特許第6386259号(P6386259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386259
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】密閉型電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/08 20060101AFI20180827BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20180827BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01M2/08 A
   H01M2/06 A
   H01M2/30 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-123741(P2014-123741)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-4668(P2016-4668A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591056097
【氏名又は名称】淀川ヒューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100142239
【弁理士】
【氏名又は名称】福富 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】草間 和幸
(72)【発明者】
【氏名】梶原 崇正
(72)【発明者】
【氏名】米田 幸志郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 克己
(72)【発明者】
【氏名】粟井 功
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 博之
(72)【発明者】
【氏名】小門 幹政
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−253295(JP,A)
【文献】 特開昭58−080264(JP,A)
【文献】 特開2014−7051(JP,A)
【文献】 特開2013−149435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/08
H01M 2/06
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する電池ケースと、
前記ケースに対向するように重ね合わされ、貫通孔を有するガスケットと、
前記ケースの貫通孔と前記ガスケットの貫通孔とをケース内側から貫通するように設けられたリベットと
を備え、
前記リベットの先端は、前記ガスケットを前記リベットの軸方向に圧縮するようにかしめられており、
前記ケースは、前記ガスケットと対向している面に、前記貫通孔の周縁に沿った突起を有しており、
前記ガスケットは、前記突起に対向している領域の面粗度が、前記突起に対向していない領域の面粗度よりも小さい、密閉型電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の密閉型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池その他の密閉型電池(例えば特許文献1)は、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−029839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
密閉型電池の一つの代表的な構成として、電極体および電解質(典型的には非水電解質)が電池ケース(外装容器)に収容され、電極端子(正極端子および負極端子のうち少なくとも一方)が上記ケースに設けられた端子引出孔を貫通して該ケースの内部から外部に引き出された構成が挙げられる。上記端子引出孔は、典型的には、前記端子引出孔の開口部を囲むケース壁面と電極端子との間に介在されたガスケットによってシールされている(例えば特許文献1等)。
【0005】
この種のシール構造の一つとして、図4に示したシール構造が検討されている。図4の例では、ケース210の端子引出孔212に電極端子230の軸部234を貫通させ、ケース210の内面214と電極端子230の台座部232との間にガスケット220の平板部222を配置する。そして、かしめ治具を用いて軸部234の先端234aを端子軸方向に加圧してかしめることにより、ケース210の内面214と電極端子230の台座部232との間でガスケット220の平板部222を圧縮する。これにより、ケース210と電極端子230との隙間を塞いで端子引出孔212のシール性(気密性)を確保している。
【0006】
しかしながら、図4に示した構造では、ガスケット220の圧縮を平板部222で行っているため、圧縮範囲が広い。そのため、ガスケット220全体の反力は大きくなるものの、単位面積当たりの反力が小さく、十分なシール性能が得られないという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、シール性能が良好な密閉型電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって提供される密閉型電池は、貫通孔を有する電池ケースと、前記ケースに対向するように重ね合わされ、貫通孔を有するガスケットと、前記ケースの貫通孔と前記ガスケットの貫通孔とをケース内側から貫通するように設けられたリベットとを備える。前記リベットの先端は、前記ガスケットを前記リベットの軸方向に圧縮するようにかしめられている。また、前記ケースは、前記ガスケットと対向している面に突起を有している。そして、前記ガスケットは、前記突起に対向している領域の面粗度が、前記突起に対向していない領域の面粗度よりも小さい。かかる構成によれば、シール性能が良好な密閉型電池を提供することができる。
【0009】
なお、本明細書では、上下方向を規定する際に、電池ケースに固定したリベットの軸方向において、軸部が位置する側を上方向とし、台座部が位置する側を下方向として規定する。また、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池および二次電池を含む概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、リチウムイオン二次電池、金属リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する概念である。ここに開示される技術は、典型的には二次電池に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る電池の電極端子周辺の要部断面を模式的に示す図である。
図2】一実施形態に係る電池の電極端子周辺の要部断面を模式的に示す図である。
図3】一実施形態に係る第1ガスケットの上面図である。
図4】従来の電池の電極端子周辺の要部断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のいくつかの好適な実施形態例を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0012】
特に限定することを意図したものではないが、以下では捲回型の電極体(捲回電極体)と非水系の液状電解質(電解液)とを扁平な角形(箱形)のケースに収容した形態の密閉型リチウムイオン二次電池を製造する場合を例として本発明を詳細に説明する。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
【0013】
図1および図2に、本実施形態に係る密閉型電池100の要部断面を示す。図2は、図1の要部断面をさらに拡大した図である。なお、図2では、便宜上、各部材20、50、30に隙間を開けた状態で図示している。図1および図2に示すように、密閉型電池100は、貫通孔22を有する電池ケース20と、該ケース20に対向(接触)するように重ね合わされ、貫通孔58を有する第1ガスケット50と、ケース20の貫通孔22と第1ガスケット50の貫通孔58とをケース内側から貫通するように設けられたリベット30とを備えている。この実施形態では、リベット30は電極端子30である。また、この密閉型電池100は、第2ガスケット70と外部端子40とを備えている。
【0014】
電池ケース(ここでは蓋体)20は、電極体80を電解液とともに収容するケースであり、その一部に貫通孔(端子引出孔)22が設けられている。貫通孔(端子引出孔)22は、電極端子30をケースの内部から外部に引き出すための引出孔であり、ケース20の外面と内面24とを貫通するように設けられている。電池ケース20を構成する材質としては、一般的なリチウムイオン二次電池で使用されるものと同様のもの等を適宜使用することができ、特に制限はない。放熱性等の観点から、金属製(例えばアルミニウム製)のケース20を好ましく使用し得る。
【0015】
電極端子(リベット)30は、リベット状の電極端子であり、端子引出孔22の外形よりも外周側に広がった台座部34と、台座部34から突設した軸部32とを有する。台座部34は、ケース20の引出孔22の外形よりも外周側に広がった板状部材であり、その下面に集電部(図示せず)が取り付けられている。集電部は、電極体80の正極または負極と電気的に接続されている。電極端子30の構成材料としては導電性のよい金属材料が好ましく、例えばアルミニウムが用いられる。
【0016】
軸部32は、ケース内側からケース20の端子引出孔22と第1ガスケット50の貫通孔58とを貫通するように配置されている。そして、軸部32の先端を放射状に拡径し、外部端子40の上面に押し広げることにより軸部32の先端がかしめられている。なお、図1の二点鎖線は、かしめる前の軸部33を表している。
【0017】
第1ガスケット50および第2ガスケット70は、それぞれフッ素ゴム(例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、等のフッ素ゴム)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴムなどの絶縁性を有する弾性部材であり得る。第1ガスケット50と第2ガスケット70とは、電極端子30と、電池ケース20との隙間に装着され、電極端子30と電池ケース20とを絶縁するとともに、当該電極端子30が装着される部位において電池ケース20のシール性を確保している。
【0018】
この実施形態では、第2ガスケット70は、電池ケース20の外側において端子引出孔22の周囲を覆うように配置される略円板状の部材である。
【0019】
図3は、第1ガスケット50を上方から視た上面図である。図1図3に示すように、第1ガスケット50は、貫通孔58をあけた筒部52と、平板部54とを備えている。筒部52は、第1ガスケット50の一端(上端)に設けられている。平板部54は、筒部52の一端(下端)から外径方向に平板状(この実施形態では、円板状)に延びている。第1ガスケット50の筒部52は、電極端子30の軸部32の外周に装着され、電極端子30の軸部32とともに、端子引出孔22に挿し込まれる。第1ガスケット50の平板部54は、端子引出孔22からケース20の内側に沿って延び、ケース20の内面24と、電極端子30の台座部34との間に挟まれている。
【0020】
電池ケース20は、該ケース20の内面24のうち第1ガスケット50の平板部54と対向(接触)している部位(対向面)に突起26が形成されている。この実施形態では、突起26は、端子引出孔22の周縁に沿ってリング(環)状に形成されている。また、突起26の先端は面取りされている。
【0021】
第1ガスケット50は、図2および図3に示すように、突起26に対向している領域Aの面粗度Rzが、突起26に対向していない領域Bの面粗度Rzよりも小さい(Rz<Rz)。ここで本明細書において面粗度とは、ガスケット50表面の凹凸の最大高さ粗さRzをいい、詳細には、基準長さにおいてガスケット50の輪郭曲線の平均線よりも上側の部分である山高さの最大値と、該輪郭曲線の平均線よりも下側の部分である谷深さの最大値との和をいう。最大高さ粗さRzは、例えばJIS B 0601:2001に準拠して求めるものとする。
【0022】
第1ガスケット50のうち突起26に対向している領域Aの面粗度Rzは、突起26に対向していない領域Bの面粗度Rzよりも小さければよく、特に限定されない。例えば、領域Aの面粗度Rzとしては、Rz≦0.8が適当であり、好ましくはRz≦0.6である。また、突起26に対向していない領域Bの面粗度Rzは、突起26に対向している領域Aの面粗度Rzよりも大きければよく、特に限定されない。例えば、領域Bの面粗度Rzとしては、0.8<Rzが適当であり、好ましくは1.0≦Rzである。
【0023】
続いて、電極端子30と、第1ガスケット50と、第2ガスケット70と、外部端子40とを電池ケース20の端子引出孔22に取り付ける方法について説明する。
【0024】
ここでは、先ず、電極端子30の軸部32を、第1ガスケット50の貫通孔58に挿し込み、該軸部32を筒部52に装着する。そして、第1ガスケット50とともに、電極端子30の軸部32を、電池ケース20の端子引出孔22にケース20の内側から挿し込む。そして、端子引出孔22から突出した、電極端子30の軸部32に第2ガスケット70を取り付け、電池ケース20の上に配置する。さらに、軸部32に外部端子40を取り付け、第2ガスケット70の上に配置する。この状態で、かしめ治具(例えば回転ヘッドを有するロータリかしめ機)を用いて、軸部32の先端が外径側に広がるように、軸部32の先端を一定圧(例えば2500N〜3000N)にて押しつぶし、電極端子30を電池ケース20にかしめる。これにより、電極端子30と、第1ガスケット50と、第2ガスケット70と、外部端子40とが、電池ケース20の端子引出孔22に取り付けられている。
【0025】
その際、軸部32のかしめ部分と台座部34との間で、第1ガスケット50の平板部54、ケース20、第2ガスケット70および外部端子40を挟持してこれらを押圧することにより、第1ガスケット50の平板部54がリベット軸方向に圧縮され、ケース20の内面24と台座部34とが平板部54を挟んで密着する。また、ケース20の内面24のうち平板部54と対向している面には、突起26が形成されているので、該突起26によって平板部54の一部がさらに圧縮され、平板部54に高圧縮部56(図2)が形成される。これにより、ケース20と電極端子30間の高いシール性が確保され得る。また、上記圧縮時には、高圧縮状態となった第1ガスケット50が径方向外側(低圧縮側)に逃げようとする(図2の矢印92参照)が、本実施形態によると、平板部54のうち突起26に対向していない領域Bの面粗度Rzが突起26に対向している領域Aの面粗度Rzよりも大きいので、ケース20と領域Bとの間、および電極端子30と領域Bとの間にて大きな摩擦力90が発生する。この摩擦力90によって、径方向外側(低圧縮側)に逃げようとする第1ガスケット50の移動が阻止される。そのため、ケース20と電極端子30間の高いシール性が長期にわたって維持され得る。
【0026】
このように構成された密閉型電池100によると、電池ケース20は、第1ガスケット50の平板部54と対向している面に突起26を有しているので、該突起26によって平板部54に高圧縮部56が形成され、高圧縮部56から高い反力が得られる。そのため、ケース20と電極端子30との間のシール性を高めることができる。また、第1ガスケット50は、突起26に対向している領域A(すなわち高圧縮部56が形成される領域A)の面粗度Rzが相対的に小さいので、突起26と高圧縮部56との界面、ならびに電極端子30と高圧縮部56との界面の密着性が向上し、高い界面シール性を確保することができる。さらに、第1ガスケット50は、突起26に対向していない領域B(すなわち領域A以外の他の領域B)の面粗度Rzが相対的に大きいので、圧縮時にケース20と領域Bとの間、および電極端子30と領域Bとの間にて大きな摩擦力90が発生する。この摩擦力90によって、径方向外側(低圧縮側)に逃げようとする第1ガスケット50の移動が阻止されるため、高圧縮部56からの高い反力を長期にわたって維持し得る。したがって、上記構成によれば、従来に比して高いシール性能を長期にわたって維持し得る、高性能な密閉型電池100を提供することができる。
【0027】
以上、本発明を好適な実施形態により説明したが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0028】
20 電池ケース
22 貫通孔(端子引出孔)
24 ケース内面
26 突起
30 電極端子(リベット)
32 軸部
34 台座部
40 外部端子
50 第1ガスケット
52 筒部
54 平板部
56 高圧縮部
58 貫通孔
70 第2ガスケット
80 電極体
100 密閉型電池



図1
図2
図3
図4