(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スリットの延出方向における両端のうち、前記収納容器が使用状態にあるときに前記収納容器の開口が位置する側の端は、前記プレート体の外縁に至っていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の収納容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、収納容器の折り畳みについては、当然ながらスムーズに行われることが望まれている。すなわち、特許文献1に記載の容器よりも折り畳み易い構造の収納容器が求められている。一方、収納容器の側壁を折り畳む際の起点となるスリットを側壁中に設けることが考えられるが、当該スリットとの関係でより折り畳み易くなっていると、より望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、側壁を折り曲げることで折り畳まれる収納容器として、より折り畳み易い容器を提供することにある。特に、本発明は、折り畳み時の起点となるスリットを側壁に設けた場合に、当該スリットの関係でより折り畳み易くなった収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の収納容器によれば、車室内に取り付けられ、折り畳み可能な収納容器であって、前記収納容器が使用状態にあるときに前記収納容器の底部をなす底壁と、前記収納容器が使用状態にあるときに前記底壁に対して起き上がり、前記底壁とともに前記収納容器の角部を形成する立壁と、前記底壁の側端部と前記立壁の側端部との間に配置され、前記収納容器が折り畳まれるにあたり折れ曲がって畳まれる側壁と、を備え、該側壁は、該側壁が折れ曲がる際の起点となるスリットが形成されたプレート体を有し、前記収納容器が使用状態にあるとき、前記スリットは、前記角部に向かって延出し、前記角部の一部又は全部には、前記プレート体を欠く領域が形成されて
おり、前記側壁の外縁には、補強部材が配設されており、前記側壁のうち、前記プレート体を欠く領域は前記補強部材により補強されていることにより解決される。
上記の構成では、収納容器が使用状態にあるとき、側壁に形成されたスリットは、立壁と底壁とがなす角部に向かって延出し、また、当該角部の一部又は全部には、側壁を構成するプレート体を欠く領域が形成されている。このように角部の一部又は全部においてプレート体が存在しないことにより、その分、側壁を折り曲げ易くなる。さらに、側壁を折り曲げる際の起点となるスリットの延長線上に角部があり、当該角部中に、プレート体を欠く領域が存在するので、側壁の折り曲げがより容易になる。したがって、上記の構成により、折り畳み時の起点となるスリットを側壁に設けた構成の収納容器を、より折り畳み易くすることが可能となる。
【0007】
また、前記課題は、本発明の収納容器によれば、車室内に取り付けられ、折り畳み可能な収納容器であって、前記収納容器が使用状態にあるときに前記収納容器の底部をなす底壁と、前記収納容器が使用状態にあるときに前記底壁に対して起き上がり、前記底壁とともに前記収納容器の角部を形成する立壁と、前記底壁の側端部と前記立壁の側端部との間に配置され、前記収納容器が折り畳まれるにあたり折れ曲がって畳まれる側壁と、を備え、該側壁は、該側壁が折れ曲がる際の起点となるスリットが形成されたプレート体を有し、前記収納容器が使用状態にあるとき、前記スリットは、前記角部に向かって延出し、前記角部の一部又は全部には、前記プレート体を欠く領域が形成されており、前記プレート体において前記スリットを挟んで互いに反対側に位置する部分は、前記スリットの両端部のうち、前記プレート体を欠く領域に近い側の端部と隣り合う位置に設けられた連結部によって連結していることにより解決される。
上記の構成では、プレート体においてスリットを挟んで互いに反対側に位置する部分が連結部によって連結されているので、当該部分が分離している場合よりもプレート体の取り扱い、例えば、位置決め作業等を容易に行うことが可能となる。
【0008】
また、上記の収納容器において、前記スリットの延出方向における一端は、前記プレート体の外縁よりも内側に位置し、前記プレート体のうち、前記プレート体を欠く領域と隣接する部分であって、前記一端から前記スリットの延出方向に沿って伸びた仮想直線と交わる部分には切り欠きが形成されていると、好適である。
上記の構成では、プレート体のうち、当該プレート体を欠く領域と隣接する部分であって、スリットの鉛直方向一端から伸びた仮想直線と交わる部分に切り欠きが形成されている。この切り欠きが形成された分、プレート体がスリットを起点にして折り曲げられ易くなっているので、収納容器がより一層折り畳み易くなる。
【0009】
また、上記の収納容器において、前記スリットの延出方向における両端のうち、前記収納容器が使用状態にあるときに前記収納容器の開口が位置する側の端は、前記プレート体の外縁に至っていると、好適である。
上記の構成では、スリットが収納容器の開口に達しているので、その分、側壁がより折り曲げられ易くなり、収納容器が尚一層折り畳み易くなる。
【0010】
また、上記の収納容器において、前記角部の奥部において前記底壁と前記立壁とが互いに隣接しており、前記プレート体の外縁中、前記角部の奥部と対向している部分は、前記角部の奥部から離間しており、前記プレート体を欠く領域は、前記プレート体の外縁中、前記角部の奥部と対向している部分と前記底壁と前記立壁とに囲まれた領域であると好適である。
上記の構成では、プレート体の形状が角部に相当する部分を欠いた形状となっている。つまり、プレート体を欠く領域がプレート体の外縁と底壁と立壁とに囲まれた領域となるように、プレート体の形状が設計されている。これにより、プレート体を欠く領域を形成する上でプレート体の形状をよりシンプルな形状とすることが可能となる。
【0011】
また、上記の収納容器において、前記スリットは、前記プレート体の外縁中、前記角部の奥部と対向している部分と交差する方向に延出していると、更に好適である。
上記の構成では、プレート体の外縁中、プレート体を欠く領域の一辺を構成する部分、すなわち角部と対向する部分に対してスリットが交差する方向に延出しているので、プレート体が更に折り曲げ易くなるので、収納容器が益々折り畳み易くなる。
【0012】
また、上記の収納容器において、前記底壁の側端部は、前記角部において前記立壁と対向する第1対向部を有し、前記立壁の側端部は、前記角部において前記底壁と対向する第2対向部を有し、前記収納容器が折り畳まれた状態にあるときに、前記第1対向部と前記第2対向部とは互いに当接し、前記収納容器が使用状態にあるときに、前記プレート体の外縁中、前記角部の奥部と対向している部分は、前記第1対向部及び前記第2対向部よりも前記角部の奥部から離れた位置にあると、好適である。
上記の構成では、底壁の側端部及び立壁の側端部のそれぞれにおいて収納容器の折り畳み時に互いに当接する部分(具体的には、第1対向部及び第2対向部)を避けるように、プレート体を欠く領域が形成されている。これにより、第1対向部及び第2対向部がプレート体と干渉することなくスムーズに当接するようになる結果、収納容器の折り畳みをよりスムーズに行うことが可能となる。
【0013】
また、上記の収納容器において、前記側壁は、折り曲げ自在な生地体を更に有し、前記プレート体は、前記生地体と重ね合わされており、前記プレート体を欠く領域は、前記プレート体及び前記生地体の双方を欠く領域であると、好適である。
上記の構成では、プレート体を欠く領域では、プレート体とともに側壁を構成する生地体も存在しないので、その分、より側壁を折り曲げ易くなる。この結果、収納容器が更に折り畳み易くなる。
【0014】
また、上記の収納容器において、前記立壁は、前記底壁の一端部と隣接する第一の立壁、及び、前記底壁の他端部と隣接する第二の立壁であり、前記プレート体には2本の前記スリットが形成されており、2本の前記スリットのうちの一方は、前記収納容器が使用状態にあるときに前記第一の立壁と前記底壁とが形成する前記角部に向かって延出した第一スリットであり、2本の前記スリットのうちの他方は、前記収納容器が使用状態にあるときに前記第二の立壁と前記底壁とが形成する前記角部に向かって延出した第二スリットであり、前記収納容器が使用状態にあるとき、前記第一の立壁と前記底壁とが形成する前記角部の一部又は全部には、前記プレート体を欠く領域としての第一領域が形成され、前記第二の立壁と前記底壁とが形成する前記角部の一部又は全部には、前記プレート体を欠く領域としての第二領域が形成されると、好適である。
上記の構成では、スリットの数に対応させてプレート体を欠く領域を設けているので、収納容器が一段と折り畳み易くなる。
【0015】
また、上記の収納容器において、前記第一スリット及び前記第二スリットの一方は、他方よりも長くなっており、前記第一領域及び前記第二領域のうち、より長い前記スリットと対応している領域のサイズが、より短い前記スリットと対応している領域のサイズよりも大きくなっていると、更に好適である。
上記の構成では、2つのスリットと、それぞれのスリットに対応するプレート体を欠く領域(すなわち、第一領域及び第二領域)とが設けられており、より長いスリットに対応している領域については、よりサイズが大きくなっている。これにより、それぞれのスリットを起点にしてプレート体を折り曲げ易くなり、収納容器の折り畳みが更に容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の収納容器によれば、折り畳み時の起点となるスリットを側壁に設けた構成を活かし、容易に折り畳むことが可能である。
また、本発明の収納容器によれば、プレート体に切り欠きを形成することで、より一層折り畳み易くなる。
また、本発明の収納容器によれば、スリットが収納容器の開口に達していることで尚一層折り畳み易くなる。
また、本発明の収納容器によれば、プレート体を欠く領域を形成する上でプレート体の形状をよりシンプルな形状とすることが可能である。
また、本発明の収納容器によれば、プレート体の外縁中、プレート体を欠く領域の一辺に対してスリットが交差する方向に延出しているので、益々折り畳み易くなる。
また、本発明の収納容器によれば、底壁の側端部及び立壁の側端部のそれぞれにおいて収納容器の折り畳み時に互いに当接する部分がプレート体と干渉することなくスムーズに当接するようになり、よりスムーズに折り畳むことが可能となる。
また、本発明の収納容器によれば、プレート体を欠く領域ではプレート体とともに側壁を構成する生地体も存在しないので、その分、折り畳み易くなる。
また、本発明の収納容器によれば、スリットの数に対応させてプレート体を欠く領域を設けているので、一段と折り畳み易くなる。
また、本発明の収納容器によれば、2つのスリットのそれぞれに対応して設けられたプレート体を欠く領域のうち、より長いスリットに対応している領域のサイズをより大きくすることで、更に折り畳み易くなる。
また、本発明の収納容器によれば、プレート体においてスリットを挟んで互いに反対側に位置する部分が連結部によって連結されていることで、プレート体の位置決め作業等がより容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る収納容器について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、前後方向とは、収納容器の前後方向であり、収納容器が車室内に取り付けられた状態において車両の走行方向と一致する。また、幅方向とは、収納容器の横幅方向であり、収納容器が車室内に取り付けられた状態において車幅方向と一致する。また、上下方向とは、収納容器の上下方向であり、特に断る場合を除き、収納容器が使用状態にあるときの上下方向を意味する。
【0020】
ちなみに、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0021】
<<本実施形態に係る収納容器の基本構成>>
先ず、本実施形態に係る収納容器の基本構成について、
図1乃至
図5を参照しながら説明する。本実施形態に係る収納容器(以下、収納容器1)は、その内部に小物等を収納するボックス状の容器であり、車室内の所定位置に取り付けられた状態で用いられる。具体的に説明すると、収納容器1は、
図1に示すように車両用シートの背部、より厳密には、シートバックを構成するシートバックフレームSf中、パンフレームPFの後面上方部に取り付けられる。なお、本実施形態では、収納容器1が後部座席に取り付けられている構成を例に挙げて説明するが、収納容器1の取り付け位置は、特に限定されるものではなく、運転席や補助席であってもよく、あるいは、シート以外の場所(例えば、ドアライニング等)であってもよい。また、車両用シートの側部に取り付けることとしてもよい。
【0022】
収納容器1は、折り畳み可能に構成されており、使用時には
図1に示すように上端に開口1aを設けた状態となる。使用状態にある収納容器1では、前壁2、後壁3及び一対の側壁5が開口1aを囲み、底壁4が開口1aの反対側、すなわち収納容器1の下端に位置している。前壁2、後壁3及び底壁4は、いずれも幾分肉厚に成形された樹脂パネルであり、本実施形態では中空状に成形されている。なお、前壁2、後壁3及び底壁4の材質や形状については特に制限なく、中実状の部品であってもよく、また、樹脂材料以外の材質(例えば、木材や金属)からなることとしてもよい。
【0023】
次に、収納容器1各部について説明する。底壁4は、
図2に示すように、収納容器1が使用状態にあるときに収納容器1の底部をなし、換言すると開口1aが位置する側とは反対側に位置する。底壁4の壁面のうち、収納容器1が使用状態にあるときに上向きとなる面(以下、上面)は、収納容器1の内部空間に面し、幅方向に長い略矩形状の平面となっている。なお、本実施形態では、底壁4の上面が表皮材によって覆われている。また、同様に、底壁4の壁面のうち、収納容器1が使用状態にあるときに下向きとなる面(以下、下面)及び側壁面についても、同様に表皮材によって覆われている。これにより、収納容器1の意匠性が高められている。ただし、表皮材が設けられていない構成であってもよい。
【0024】
前壁2は、収納容器1が使用状態にあるときに底壁4に対して起き上がる第一の立壁であり、
図2や
図3に示すように底壁4の前端部(一端部に相当)と隣接する。すなわち、収納容器1が使用状態にあるとき、前壁2の下端部は、底壁4の前端部と隣り合い、角部(具体的には前側角部Cf)を形成する。前側角部Cfとは、前壁2の下端部と底壁4の前端部との間に挟まれる空間のことである。また、前壁2の壁面のうち、収納容器1が使用状態にあるときに後向きとなる面(以下、後面)は、収納容器1の内部空間に面し、幅方向に長い略矩形状の平面となっている。なお、前壁2の下端部は、底壁4の前端部とヒンジ結合されており、具体的には、前壁2の下端と底壁4の前端とが可撓性を有する長尺板片状のヒンジ部1bにて連結している。ちなみに、前側角部Cfにおいて、前壁2の下端部と底壁4の前端部とがヒンジ結合されて互いに隣接している部分、換言すると上記のヒンジ部1bが配置されている部分は、奥部(角部の奥部)に相当する。
【0025】
また、収納容器1が使用状態にあるときに前向きとなる面(以下、前面)は、シートバックフレームSfとの接合面となっている。すなわち、収納容器1は、前壁2の前面がシートバックフレームSfに接合して固定されることで後部座席の背部に取り付けられている。なお、本実施形態では前壁2の前面がボルトやクリップ等によってシートバックフレームSfに接合されているが、接合方法については特に制限がなく、その他の方法(例えば、溶接やスナップフィット機構による接合方法)にて接合してもよい。また、前壁2には、ボルトやクリップを挿入するための貫通孔が形成されている一方で、前壁2の後面側には、上記の貫通孔及びこれに挿入されたボルトやクリップを覆い隠すための化粧板(不図示)が取り付けられている。
【0026】
後壁3は、収納容器1が使用状態にあるときに底壁4に対して起き上がる第二の立壁であり、
図2や
図3に示すように底壁4の後端部(他端部に相当)と隣接する。すなわち、収納容器1が使用状態にあるとき、後壁3の下端部は、底壁4の後端部と隣り合い、角部(具体的には後側角部Cb)を形成する。後側角部Cbとは、後壁3の下端部と底壁4の後端部との間に挟まれる空間のことである。後壁3の壁面のうち、収納容器1が使用状態にあるときに前向きとなる面(以下、前面)は、収納容器1の内部空間に面し、幅方向に長い略矩形状の平面となっている。また、後壁3の下端部は、底壁4の後端部とヒンジ結合されており、具体的には、後壁3の下端と底壁4の後端とが可撓性を有する長尺板片状のヒンジ部1cにて連結している。ちなみに、後側角部Cbにおいて、後壁3の下端部と底壁4の後端部とがヒンジ結合されて互いに隣接している部分、換言すると上記のヒンジ部1cが配置されている部分は、奥部(角部の奥部)に相当する。
【0027】
さらにまた、本実施形態では、後壁3の前面が表皮材によって覆われている。これにより、収納容器1の意匠性が高められている。ただし、表皮材が設けられていない構成であってもよい。
【0028】
なお、本実施形態において後壁3の高さは、
図3に示すように前壁2の高さよりも低くなっている。ここで、高さとは、前壁2及び後壁3のそれぞれにおいて収納容器1が使用状態にあるときに底壁4から最も離れた部分(頂上部)と底壁4との間の距離のことである。したがって、使用状態にある収納容器1の上端、すなわち、開口端は、後方に向かうほど下がるように傾斜している。
【0029】
側壁5は、収納容器1の幅方向両端部に備えられ、収納容器1が使用状態にあるときには
図2及び3に示すように底壁4の側端部、前壁2の側端部及び後壁3の側端部に取り囲まれる。具体的に説明すると、側壁5の前端部が前壁2の側端部に取り付けられており、側壁5の後端部が後壁3の側端部に取り付けられており、側壁5の下端部が底壁4の側端部に取り付けられている。また、側壁5は、所定の部位を起点にして折れ曲がることが可能であり、収納容器1を折り畳むにあたって折れ曲がって畳まれる。
【0030】
さらに、側壁5は、展開状態にあるとき(すなわち、収納容器1が使用状態にあるとき)、
図3に示すように下側隅部が切り取られた略台形状の形状となる。また、本実施形態では、上述したように後壁3の高さが前壁2の高さよりも低くなっているが、これに対応するように、展開状態にある側壁5の上端は、後方に向かうほど下がるように傾斜している。すなわち、側壁5のうち、前壁2に近い側の端部の高さと、後壁3に近い側の端部の高さとが互いに異なっており、本実施形態では、前者の高さがより高くなっている。ただし、これに限定されず、後壁3に近い側の端部の高さの方がより高くなっていてもよい。
なお、側壁5の形状や構成に関する詳細については、後に詳しく説明する。
【0031】
次に、
図4の(A)及び(B)を参照しながら収納容器1を折り畳む手順について説明する。収納容器1を折り畳む際には、底壁4を前壁2に近付く方向、換言すると、前側角部Cfがなす角度が小さくなる方向に動かす。同じく、後壁3を底壁4に近付く方向、換言すると、後側角部Cbがなす角度が小さくなる方向に動かす。一方、2つの側壁5は、上記の動きに追従するように折れ曲がり、具体的には
図4の(A)に示すように、側壁5の前後方向中央部が内側に倒れ込むように折り畳まれ、最終的には底壁4の上面に折り重なる。そして、側壁5が完全に折り畳まれた時点で、
図4の(B)に示すように、前壁2の後面及び後壁3の前面がそれぞれ底壁4の上面に当接し、かつ、前壁2の上方に後壁3が位置するようになる。
【0032】
なお、収納容器1を折り畳む過程において、底壁4の側端部の前端部分4bが、前壁2の側端部の下端部分2bに当接するようになる。ここで、底壁4の側端部の前端部分4bとは、第1対向部に相当し、収納容器1が使用状態にあるときに前側角部Cfにおいて前壁2と対向する部分であって、それよりも後方に位置する部分に対して僅かに隆起している部分である。また、前壁2の側端部の下端部分2bとは、第2対向部に相当し、収納容器1が使用状態にあるときに前側角部Cfにおいて底壁4と対向する部分であって、それよりも上方に位置する部分に対して僅かに隆起している部分である。
【0033】
また、底壁4の側端部のうち、前後方向中央よりもやや前側に位置する部分には、
図5に示すように上方に突出した突起4aが形成されている。一方、前壁2の側端部のうち、上下方向において略中央に位置する部分には、
図5に示すように係合穴2aが形成されている。そして、収納容器1を折り畳む過程において突起4aが係合穴2aに係合する。このように突起4aが係合穴2aに係合することにより、収納容器1は、折り畳まれた状態で安定的に保持され、所定の展開力が作用した時点で使用状態に復帰するようになる。
【0034】
なお、係合するとは、2つの部材が所定の力が作用するまで係合状態を保持し得るように係り合うことを意味し、本実施形態では、突起4aが弾性変形して係合穴2aに嵌まり込むことである。ただし、係合方法は上記の方法に限定されず、凸部を凹部に対して圧入する方法、鉤爪を縁部や突起等に引っ掛ける方法、あるいは面ファスナー同士を当接させる方法を採用してもよい。
【0035】
<<側壁の詳細構成>>
次に、収納容器1の側壁5の詳細構成について
図6A、
図6B、
図7、
図8及び
図9を参照しながら説明する。なお、
図6Aは、収納容器1から取り外した状態の側壁5を示し、
図6Bは、
図6Aに図示した状態から後述の補強リボン74を更に取り外したときの側壁5を示している。また、
図6A及び
図6B中の破線は、縫い目を示している。また、以下の説明中、位置や向きに関する内容は、特に断る場合を除き、収納容器1が使用状態にあるときの内容となっている。
【0036】
本実施形態に係る側壁5は、折り曲げ自在な生地体と樹脂プレート72とを重ね合わせて双方を縫い合わせることで構成されている。より具体的に説明すると、本実施形態では、生地体としてネット状の生地体(以下、ネット生地71)が用いられている。ここで、ネット生地71は、繊維体を網状に編んで形成されるものであり、その網目は、比較的小さく且つ高密度で形成されている。なお、生地体についてはネット状の生地体に限定されず、例えば、一般的な布製の生地であってもよく、あるいは、薄紙やフィルムシートであってもよい。さらに、本実施形態では、ネット生地71と樹脂プレート72とを重ね合わせた状態で両者を縫い合わせているが、これに限定されるものではない。すなわち、ネット生地71と樹脂プレート72とを接合させる方法は他にも考えられ、例えば、接着剤を用いて接合してもよく、あるいは、留め具等を用いて接合してもよい。
【0037】
また、ネット生地71と樹脂プレート72とを縫い合わせることで形成された縫い目は、
図6Bに示すように、樹脂プレート72の外縁のうち、上端の辺を除く辺(前端の辺、後端の辺及び下端の辺)のそれぞれに沿って延びている。さらに、各縫い目の始端及び終端は、対応する辺の端、すなわち樹脂プレート72の外縁に至っている。なお、本実施形態では、
図6A及び
図6Bに示すように各縫い目が直線状に延出しているが、これに限定されるものではなく、縫い目が蛇行したり鋸歯状に屈曲していることとしてもよい。
【0038】
また、
図6A及び
図6Bに示すように、樹脂プレート72とネット生地71とが重ね合った状態において、樹脂プレート72の上端とネット生地71の上端とは一致している。一方で、ネット生地71の前端部のうちの上方部分は、樹脂プレート72の前端よりも前方に幾分はみ出ている。同様に、ネット生地71の下端部は、樹脂プレート72の下端よりも下方に幾分はみ出ており、ネット生地71の後端部のうちの上方部分は、樹脂プレート72の後端よりも後方に幾分はみ出ている。
【0039】
樹脂プレート72は、プレート体に相当し、ネット生地71に比して著しく高い剛性を有している。なお、樹脂プレート72の素材については、特に限定されないが、裁断等の加工が容易な材料によって構成されていることが望ましい。また、樹脂プレート72は、側壁5が展開状態にあるときに側壁5の外形形状と略一致しており、
図6A及び
図6Bに示すように下側隅部が切り取られた略台形状の形状となっている。
【0040】
より詳しく説明すると、本実施形態に係る樹脂プレート72は、その下側隅部が斜めのカットラインCLで切り取られたような形状をしている。なお、カットラインCLとは、樹脂プレート72の外縁中、前後2箇所に形成されている。各カットラインCLは、収納容器1が使用状態にあるとき、前側角部Cf及び後側角部Cbのうち、対応する角部の奥部と対向し、かつ、当該奥部から離間している。また、本実施形態では、樹脂プレート72中、カットラインCLにより切り取られた下側隅部には補強リボン74が被されている。このため、本実施形態でのカットラインCLは、補強リボン74が被された状態の樹脂プレート72の下側隅部の縁となる。
【0041】
そして、収納容器1が使用状態にあり、側壁5が展開状態にあるときには、
図5に示すように、前側角部Cf及び後側角部Cbに、樹脂プレート72を欠く領域が形成されることになる。ここで、樹脂プレート72を欠く領域とは、樹脂プレート72が無い領域(樹脂プレート72が差し掛かっていない領域)であり、具体的には、上記のカットラインCLを一辺とする三角形状の穴となっている。より詳しく説明すると、樹脂プレート72の下端部前側に形成されたカットラインCL、前壁2の下端部及び底壁4の前端部に囲まれた領域が、前側角部Cf内で形成された樹脂プレート72を欠く領域に相当し、以下、第一領域F1と呼ぶ。同様に、樹脂プレート72の下端部後側に形成されたカットラインCL、後壁3の下端部及び底壁4の後端部に囲まれた領域が、後側角部Cb内で形成された樹脂プレート72を欠く領域に相当し、以下、第二領域F2と呼ぶ。
【0042】
また、本実施形態において、樹脂プレート72を欠く領域(すなわち、第一領域F1及び第二領域F2)は、
図5に示すように樹脂プレート72のみならずネット生地71をも欠いている。ただし、これに限定されるものではなく、樹脂プレート72を欠く領域については、少なくとも樹脂プレート72を欠いていればよく、同領域内にネット生地71が存在していてもよい。
【0043】
また、側壁5は、
図6A及び
図6Bに示すように、他の壁(具体的には、前壁2、後壁3及び底壁4)に取り付けられるための取り付けプレート73A、73B、73Cを備えている。この取り付けプレート73A、73B、73Cは、樹脂材料からなる略矩形状のプレートであり、ネット生地71の前端部、後端部及び下端部に取り付けられている。より具体的に説明すると、ネット生地71の下端部、厳密には、樹脂プレート72とネット生地71とが重ね合った状態において樹脂プレート72の下端からはみ出た部分に底壁4用の取り付けプレート73Aが取り付けられている。かかる取り付けプレート73Aは、その上端部がネット生地71の下端部と重ね合された状態でネット生地71に縫い合わされている。なお、本実施形態において、ネット生地71の下端部は、前後方向に長く伸びており、底壁4用の取り付けプレート73Aは、その長手方向が前後方向と平行になった状態でネット生地71の下端部に重ねられて縫い合わされている。
【0044】
また、ネット生地71の前端部、厳密には、樹脂プレート72とネット生地71とが重ね合った状態において樹脂プレート72の前端からはみ出た上方部分に前壁2用の取り付けプレート73Bが取り付けられている。かかる取り付けプレート73Bは、その後端部がネット生地71の前端部と重ね合された状態でネット生地71に縫い合わされている。なお、前壁2用の取り付けプレート73Bは、収納容器1が使用状態にあるときに前壁2と底壁4とがなす角度、すなわち前側角部Cfの角度の分だけ底壁4用の取り付けプレート73Aに対して傾いた状態でネット生地71の前端部に縫い合わされている。
【0045】
また、ネット生地71の後端部、厳密には、樹脂プレート72とネット生地71とが重ね合った状態において樹脂プレート72の後端からはみ出た上方部分に後壁3用の取り付けプレート73Cが取り付けられている。かかる取り付けプレート73Cは、その前端部がネット生地71の前端部と重ね合された状態でネット生地71に縫い合わされている。なお、後壁3用の取り付けプレート73Cは、収納容器1が使用状態にあるときに後壁3と底壁4とがなす角度、すなわち後側角部Cbの角度の分だけ底壁4用の取り付けプレート73Aに対して傾いた状態でネット生地71の後端部に縫い合わされている。
【0046】
そして、各取り付けプレート73A、73B、73Cは、前壁2、後壁3及び底壁4のうち、対応する壁の側端部に取り付けられている。ここで、取り付けプレート73A、73B、73Cを対応する壁に取り付けるための構造について説明すると、前壁2、後壁3及び底壁4の各々の側端部の中央部分には、
図5に図示のカバー部110を設けている。このカバー部110は、各壁の側端部中の基部111に対して着脱自在であり、具体的には基部111に対してボルト止めされる。ここで、基部111とは、前壁2、後壁3及び底壁4の各々の側端部中、カバー部110の厚み分だけ窪んだ部分である。そして、各取り付けプレート73A、73B、73Cは、カバー部110と基部111とに挟み込まれることで対応する壁に取り付けられる。
【0047】
具体的に説明すると、基部111からカバー部110が取り外された状態にあるとき、基部111上に取り付けプレート73A、73B、73Cが載置される。その後、基部111に載置された取り付けプレート73A、73B、73Cを覆うようにカバー部110が取り付けられる。そして、カバー部110が基部111に対してボルト止めされると、取り付けプレート73A、73B、73Cがカバー部110と基部111とに挟み込まれるようになり、この結果、対応する壁に取り付けられることになる。なお、取り付けプレート73A、73B、73Cを対応する壁に取り付けるための構造については、上記の構造に限定されず、他の構造を採用することとしてもよい。
【0048】
そして、前壁2、後壁3及び底壁4に取り付けられた側壁5においては、収納容器1が使用状態にあるときにはネット生地71がより内側に位置し、樹脂プレート72がより外側に位置するようになる。
【0049】
側壁5の構成について引き続き説明すると、
図6Aに示すように各側壁5の外縁には補強用のリボン(以下、補強リボン74)が配設されている。この補強リボン74は、帯状の補強部材であり、山折りされて側壁5の縁に跨った状態で配設され、側壁5の表側(収納容器1の外側)及び裏側(収納容器1の内側)に縫い付けられている。
【0050】
本実施形態では、3つの補強リボン74が用いられ、そのうちの一つは、側壁5の外縁のうち、上端に位置する辺に沿って設けられている。ここで、上端に位置する辺とは、側壁5の外縁のうち、前壁2用の取り付けプレート73Bと後壁3用の取り付けプレート73Cとの間に位置する辺である。かかる辺に沿って設けられている補強リボン74は、側壁5の上端に位置し、
図6Aに示すように、前壁2用の取り付けプレート73Bから後壁3用の取り付けプレート73Cまで連続した状態で設けられている。
【0051】
3つの補強リボン74中の一つは、側壁5の外縁のうち、前端下方部に位置する辺に沿って設けられている。ここで、前端下方部に位置する辺とは、側壁5の外縁のうち、前壁2用の取り付けプレート73Bと底壁4用の取り付けプレート73Cとの間に位置する辺である。かかる辺に沿って設けられている補強リボン74は、側壁5の前端下方部に位置し、
図6Aに示すように、樹脂プレート72の前方下側隅部を覆うように設けられている。
【0052】
3つの補強リボン74中の一つは、側壁5の外縁のうち、後端下方部に位置する辺に沿って設けられている。ここで、後端下方部に位置する辺とは、側壁5の外縁のうち、後壁3用の取り付けプレート73Bと底壁4用の取り付けプレート73Cとの間に位置する辺である。かかる辺に沿って設けられている補強リボン74は、側壁5の後端下方部に位置し、
図6Aに示すように、樹脂プレート72の後方下側隅部を覆うように設けられている。
【0053】
側壁5の構成について更に説明すると、側壁5中、樹脂プレート72と取り付けプレート73A、73B、73Cとの間には隙間が形成されている。この隙間は、収納容器1が使用状態にあるとき、当該収納容器1の内側でネット生地71により覆われている。これにより、収納容器1が使用状態にあるときに上記の隙間から容器内の物品が脱落してしまうのを抑制することが可能である。また、側壁5のうち、上記の隙間が形成されている部位、すなわち、樹脂プレート72を欠きネット生地71のみが存する領域は、側壁5が折り曲がる際の起点(折り曲げ起点)となる。つまり、収納容器1を折り畳むために後壁3及び底壁4を移動させるとき、側壁5は、上記の隙間が形成されている部分を折り曲げ起点とし、他の壁(後壁3や底壁4)に追従して折れ曲がるようになる。
【0054】
ここで、側壁5が折れ曲がるときの様子について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、側壁5を折り曲げている様子を示す図であり、同図の(A)は、折り曲げ前の段階の図であり、(B)は、折り曲げ途中の段階の図であり、(C)は、完全に折り曲げられた段階の図である。なお、
図7中の各図では、説明を分かり易くする目的から側壁5を幾分簡略化して図示しており、例えば、取り付けプレート73A、73B、73C、補強リボン74及び縫い目等については図示を省略している。
【0055】
側壁5は、収納容器1が使用状態にあるときには
図7の(A)に図示の状態、すなわち、展開状態にある。ここで、展開状態にある側壁5(厳密には、取り付けプレート73A、73B、73Cを除いた部分)を大きく3つの領域に分け、それぞれ、前方領域5X、中央領域5Y、後方領域5Zと呼ぶこととする。前方領域5Xは、側壁5の前方上側隅部から略三角形状に拡がった領域であり、具体的には後述する前側スリット76よりも前方に位置する領域である。後方領域5Zは、側壁5の後方上側隅部から略三角形状に拡がった領域であり、後述する後側スリット77よりも後方に位置する領域である。中央領域5Yは、側壁5のうち、前方領域5X及び後方領域5Zを除いた領域である。
【0056】
そして、収納容器1を折り畳むとき、側壁5は、前方領域5X及び中央領域5Yの境界に相当する部位、及び、後方領域5Z及び中央領域5Yの境界に相当する部位を起点にして折れ曲がる。すなわち、収納容器1を折り畳む際、側壁5は、
図7の(B)に示すように前方領域5X及び後方領域5Zが中央領域5Yに折り重なるように折れ曲がる。なお、側壁5を折り曲げる過程において、中央領域5Yは、収納容器1の内側に向かって倒伏する。
【0057】
最終的に収納容器1が完全に折り畳まれると、
図7の(C)に示すように前方領域5X及び後方領域5Zが中央領域5Yに折り重なり、かつ、中央領域5Yが倒れて底壁4の上面の上に伏した状態となる。以上のように側壁5が折れ曲がることで、収納容器1の折り畳み、換言すると、後壁3及び底壁4の移動が実現される。
【0058】
ところで、本実施形態に係る側壁5は、ネット生地71と樹脂プレート72とを重ね合わせて縫い合わせることで構成されているが、これにより、収納容器1を使用状態のままで安定的に保持することが可能である。分かり易く説明すると、側壁5をネット生地71のみで構成しようとすると、ネット生地71自体が折れ曲げ自在となっているので、例えば収納容器1を使用する際に側壁5が意図せずに折れ曲がる可能性がある。これに対して、本実施形態では、比較的剛性が高い樹脂プレート72が側壁5中に設けられていることで、ネット生地71の意図しない折れ曲がりを規制することが可能となる。
【0059】
一方、ネット生地71に単に樹脂プレート72を重ね合わせるだけでは、収納容器1を折り畳む時点で側壁5が折れ曲がり難くなる。そこで、本実施形態では、樹脂プレート72中、側壁5が折れ曲がる際の起点となる部分にスリット75が形成されている。このスリット75が形成されていることにより、樹脂プレート72を側壁5中に設けたとしても側壁5をスムーズに折れ曲げられ、不使用時には容易に収納容器1を折り畳むことが可能となる。
【0060】
上記のスリット75について詳しく説明すると、本実施形態では、
図6A及び
図6Bに示すように2本のスリット75が形成されている。2本のスリット75のうちの一方は、第一スリットに相当し、樹脂プレート72において前方領域5X及び中央領域5Yの境界に相当する部位に設けられた前側スリット76である。この前側スリット76は、所定方向に長くなるように形成された長穴であり、収納容器1が使用状態にあるとき、前壁2と底壁4とが形成する前側角部Cfに向かって延出している。具体的に説明すると、前側スリット76は、樹脂プレート72の下端に対して斜めに傾いており、
図6Bに示すように、樹脂プレート72の上端部において前端よりも幾分後方に位置する箇所から樹脂プレート72の前方下側隅部に向かって延出している。なお、同図に示すように、前側スリット76の延出方向両端部は、樹脂プレート72の外縁よりも手前側に位置している。
【0061】
また、2本のスリット75のうちの他方は、第二スリットに相当し、樹脂プレート72において後方領域5Z及び中央領域5Yの境界に相当する部位に設けられた後側スリット77である。この後側スリット77は、所定方向に長くなるように形成された長穴であり、収納容器1が使用状態にあるとき、後壁3と底壁4とが形成する後側角部Cbに向かって延出している。具体的に説明すると、前側スリット76は、樹脂プレート72の下端に対して斜めに傾いており、
図6Bに示すように、樹脂プレート72の上端部において後端よりも幾分前方に位置する箇所から樹脂プレート72の後方下側隅部に向かって延出している。なお、同図に示すように、後側スリット77の延出方向両端部は、樹脂プレート72の外縁よりも手前側に位置している。
【0062】
以上のように本実施形態では、樹脂プレート72中、側壁5が折れ曲がる際の起点となる部分、すなわち、前方領域5Xと中央領域5Yとの境界部分、及び、後方領域5Zと中央領域5Yとの境界部分には、それぞれ、当該境界部分に沿うように延びたスリット75が形成されている。つまり、比較的剛性が高い樹脂プレート72を備えた側壁5であっても、前側スリット76や後側スリット77が形成された部分では剛性が低くなっているので、各スリット75を起点としてスムーズに折り曲げることが可能になる。
【0063】
また、本実施形態では、樹脂プレート72の折り曲げ起点の個数に対応させて2本のスリット75が樹脂プレート72中に形成されていることとした。これにより、樹脂プレート72を折り曲げる際には各折れ曲がり起点にてスムーズに折り曲げることが可能となる。ただし、スリット75の個数については、特に限定されず、折り曲げ起点の個数と同じ数だけスリット75を設けることとしてもよい。
【0064】
また、前側スリット76は、収納容器1の前側角部Cfに向かって延出しており、後側スリット77は、収納容器1の後側角部Cbに向かって延出している。さらに、前側角部Cf及び後側角部Cbでは、その大部分が樹脂プレート72を欠く領域(すなわち、第一領域F1や第二領域F2)となっている。このように角部において樹脂プレート72を欠くことで、その分、側壁5を折り曲げ易くなる。その上で、側壁5を折り曲げる際の起点となるスリット75が対応する角部に向かって延出するように形成されていれば、各スリット75を折れ曲がり起点として側壁5をスムーズに折り曲げることが可能となる。すなわち、スリット75の延長線上に角部があり、当該角部中に樹脂プレート72を欠く領域が存在するので、側壁5の折り曲げがより容易になる。したがって、本実施形態に係る収納容器1では、上記の構成により、折り畳み時の起点となるスリット75を側壁5に設けたことに依る効果を、より有効に発揮することが可能となり、この結果、収納容器1の折り畳みがより容易となる。
【0065】
なお、本実施形態では、前側角部Cf及び後側角部Cbのそれぞれにおいて、略全体が樹脂プレート72を欠く領域となっているが、これに限定されるものではない。各角部中の少なくとも一部(例えば、角部の奥部付近に位置する領域)が、樹脂プレート72を欠く領域となっていればよい。
【0066】
また、本実施形態では、各角部において樹脂プレート72を欠く領域を形成するために、樹脂プレート72の下側隅部を斜めのカットラインCLにて切り取ることとしたが、これに限定されるものではない。角部の一部又は全部に樹脂プレート72を欠く領域を形成する方法は他にも考えられ、例えば、
図8に示すように、樹脂プレート72の下側隅部をカットラインCLで切り取る代わりに当該下側隅部に貫通穴Hを穿つこととしてもよい。この場合、貫通穴Hが角部内に位置するようになり、当該角部中、貫通穴Hが形成された領域が、樹脂プレート72を欠く領域となる。ただし、樹脂プレート72の形状をよりシンプルな形状とし、補強リボン74をより取り付け易くするという観点では、
図8に示す構成よりも、本実施形態に係る構成(すなわち、
図5に示す構成)の方が好適である。なお、
図8では、説明を分かり易くする目的から側壁5を幾分簡略化して図示しており、例えば、縫い目等については図示を省略している。
【0067】
また、本実施形態では、樹脂プレート72を欠く領域が、樹脂プレート72及びネット生地71の双方を欠く領域となっている。このように樹脂プレート72を欠く領域において樹脂プレート72及びネット生地71の双方が存在しないことで、樹脂プレート72を欠く一方でネット生地71が存在する構成よりも側壁5を折り曲げ易くなり、結果として、収納容器1の折り畳みが更に容易になる。
【0068】
さらにまた、樹脂プレート72の下側隅部を切り取るために形成されたカットラインCLは、樹脂プレート72を欠く領域の一辺を構成している。一方、各スリット75は、
図6Bに示すように上記のカットラインに対して直交するように形成されている。このように各スリット75が上記のカットラインCLに対して直交していれば、当該各スリット75を折れ曲がり起点として側壁5を折り曲げることがより一層スムーズに行われるようになる。
【0069】
また、本実施形態では、前述したように、側壁5のうち、前壁2に近い側の端部の高さが後壁3に近い側の端部の高さよりも高くなっている。一方、側壁5においてより高い方の端部側にあるスリット75、すなわち、前側スリット76は、
図6Bに示すように、低い方の端部側にあるスリット75である後側スリット77よりも長くなっている。このように前壁2と後壁3のうち、より高い方の壁に近い方のスリット75をより長くすれば、側壁5をよりスムーズに折り曲げることが可能となる。より分かり易く説明すると、収納容器1が使用状態にあるとき、側壁5の前端部の高さが後端部の高さよりも高くなっているため、必然的に折れ曲がり起点の長さについても前端側でより長くなることになる。このように側壁5の前端部では折れ曲がり起点がより長くなるので、その分スリット75をより長く形成することにより、前端側の折れ曲がり起点にて側壁5を折り曲げることを容易に行うことが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、前側角部Cf及び後側角部Cbのそれぞれに樹脂プレート72を欠く領域、すなわち第一領域F1及び第二領域F2が形成されている。このように本実施形態に係る収納容器1では、前側スリット76及び後側スリット77の各々に対して、樹脂プレート72を欠く領域が設けられているので、収納容器1が一段と折り畳み易くなる。ただし、これに限定されるものではなく、各スリット75別に樹脂プレート72を欠く領域が設けられていなくてもよく、例えば、前側角部Cfのみに樹脂プレート72を欠く領域が設けられていてもよい。
【0071】
そして、本実施形態では、
図5に示すように第一領域F1のサイズが第二領域F2のサイズよりも大きくなっている。ここで、第一領域F1は、2本のスリット75のうち、より長い前側スリット76と対応しており、第二領域F2は、より短い後側スリット77と対応している。このように第一領域F1及び第二領域F2のうち、より長いスリット75と対応している領域のサイズを、より短いスリット75と対応している領域のサイズよりも大きくすれば、収納容器1の折り畳みが更に容易になる。つまり、スリット75の長さが長いほど、当該スリット75を起点として側壁5を折り曲げることが難しくなる。一方、樹脂プレート72を欠く領域のサイズが大きくなれば、当領域に向かって延出したスリット75を起点として側壁5を折り曲げることが容易となる。したがって、より長いスリット75と対応している領域のサイズをより大きくすれば、スリット75が長くなったことの影響を相殺し、当該スリット75を起点にして側壁5を折り曲げることが容易になる。
【0072】
ところで、本実施形態では、樹脂プレート72のうち、スリット75を挟んで互いに反対側に位置する部分(すなわち、前方領域5X、中央領域5Y及び後方領域5Z)が、スリット75の延出方向端部と隣接する連結部72rによって連結されている。つまり、本実施形態に係る樹脂プレート72は、一部材として取り扱うことが可能であり、このため、樹脂プレート72をネット生地71に重ねて縫い合わせる際の位置決め等を容易に行うことが可能となる。ただし、これに限定されるものではなく、
図9に示すように、スリット75が樹脂プレート72の外縁まで達している構成、すなわち、スリット75を挟んで互いに反対側に位置する部分が互いに分離している構成であってもよい。なお、
図9では、説明を分かり易くする目的から側壁5を幾分簡略化して図示しており、例えば、補強リボン74や縫い目については図示を省略している。
【0073】
連結部72rに関して付言しておくと、スリット75の延出方向両端部のうち、少なくとも樹脂プレート72を欠く領域に近い側の端部、と隣り合う位置に設けられていればよい。その一方で、スリット75の延出方向両端のうち、収納容器1が使用状態にあるときに収納容器1の開口が位置する側の端は、樹脂プレート72の外縁上端に至っていてもよい。かかる構成であれば、補強リボン74の取り付け性の面で本実施形態に劣るものの、スリット75が収納容器1の開口1aに達している分、本実施形態よりも側壁5を折り曲げ易くなり、収納容器1の折り畳みが尚一層容易になる。
【0074】
さらにまた、樹脂プレート72のうち、上記の連結部72rには、
図6Bに図示したような略半円状の切り欠き78が形成されている。この切り欠き78は、スリット75の延出方向一端からスリット75の延出方向に沿って伸びた仮想直線と樹脂プレート72の外縁とが交わる位置に設けられている。かかる切り欠き78が形成されていることにより、各スリット75を折れ曲がり起点として側壁5を折り曲げることが益々スムーズに行われるようになる。なお、切り欠き78の形状やサイズについては、特に限定されず、例えば三角形状の切り欠きであってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、
図6Bに示すように、樹脂プレート72とネット生地71とを縫い合わせることで形成される縫い目が、各スリット75の両脇位置に当該各スリット75に沿って延出している。このように各スリット75の両脇位置に縫い目が形成されれば、スリット75周りにおいてネット生地71が樹脂プレート72から離間してしまうのを抑制し、これにより、側壁5が良好な外観を呈するようになる。
【0076】
また、本実施形態では、
図6A及び6Bに示すように、収納容器1が使用状態にあるとき、側壁5を構成するネット生地71のうち、スリット75と対向する部分が収納容器1の内側でスリット75を覆っている。換言すると、側壁5中、スリット75が形成されている部分については、ネット生地71のみで構成されていることになる。このような構成であれば、収納容器1の意匠性が向上し、また、収納容器1が使用状態にあるときには収納容器1内の物品がスリット75から脱落してしまうのを抑制することが可能となる。さらに、スリット75を覆っている生地体がネット生地71であれば、ネット越しに収納容器1内の物品を確認することも可能となる。
【0077】
さらにまた、ネット生地71のうち、スリット75と対向する部分には、
図6A及び
図6Bに示すように、スリット75と同じ方向に延出した縫い目が形成されている。かかる縫い目は、スリット75の中央位置(スリット幅方向における中央位置)を通過するようにスリット75の延出方向一端から他端に亘って形成され、さらに、側壁5の上端に設けられた補強リボン74に差し掛かる位置まで延出している。このようにスリット75の中央位置を通過するように縫い目が形成されていると、当該縫い目を折れ曲がり線として側壁5が折れ曲げるようになる。この結果、側壁5を一段とスムーズに折り曲げることが可能となる。
【0078】
さらに、本実施形態では、収納容器1が折り畳まれた状態にあるとき、
図4の(B)に示すように、底壁4の側端部の前端部分4bと前壁2の側端部の下端部分2bとが互いに当接している。また、収納容器1が使用状態にあるとき、底壁4の側端部の前端部分4bと前壁2の側端部の下端部分2bとは、いずれも前側角部Cf内に位置する。一方、収納容器1が使用状態にあるとき、前側角部Cfには、樹脂プレート72を欠く領域としての第一領域F1が形成されている。このとき、第一領域F1の際位置、すなわちカットラインCLの形成位置は、
図5に示すように、底壁4の側端部の前端部分4bや前壁2の側端部の下端部分2bよりも第一領域F1の奥部(換言すると、ヒンジ部1bの配置位置)から離れた位置にある。具体的に説明すると、収納容器1が使用状態にあるとき、カットラインCLの一端は、底壁4の側端部の前端部分4bよりも後方に位置し、カットラインCLの他端は、前壁2の側端部の下端部分2bよりも上方に位置している。
【0079】
以上のように本実施形態では、収納容器1の折り畳み時に互いに当接する部分(具体的には、底壁4の側端部の前端部分4bと前壁2の側端部の下端部分2b)を避けるように第一領域F1が形成されている。これにより、底壁4の側端部の前端部分4bと前壁2の側端部の下端部分2bとは、樹脂プレート72と干渉することなくスムーズに当接するようになる。この結果、収納容器1の折り畳みをよりスムーズに行うことが可能となる。