(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386294
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】シートシャッター装置における巻取りドラム
(51)【国際特許分類】
E06B 9/171 20060101AFI20180827BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20180827BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
E06B9/171
E06B9/02 H
E06B9/17 T
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-171134(P2014-171134)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-44496(P2016-44496A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502122613
【氏名又は名称】株式会社エーディエフ
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 真司
(72)【発明者】
【氏名】矢沢 久義
(72)【発明者】
【氏名】島本 敏
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−146383(JP,A)
【文献】
特開2006−225936(JP,A)
【文献】
特開2007−138570(JP,A)
【文献】
米国特許第04633927(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート式のシャッターカーテンが巻装される円筒状の巻取りドラムを備えたシートシャッター装置において、前記巻取りドラムを、周回り方向に分割される複数のドラム半部と、巻取りドラム内において各ドラム半部に固定されて巻取りドラムを補強する補強材と、隣接するドラム半部の互いに対向するドラム半部用の連結部同士を連結する連結部材とを用いて構成され、前記複数のドラム半部から選択される一つのドラム半部に補強材が固定され、残りのドラム半部は、前記固定された補強材に固定され、該残りのドラム半部が固定されることで互いに隣接対向するドラム半部のドラム半部用連結部同士が連結部材で連結される構成にするにあたり、前記ドラム半部は、円弧状の本体部と、該本体部の周回り方向中間部に形成される取付け凹部と、本体部に対してドラム中心側に向けて突出するようにして折曲形成される前記ドラム半部用連結部とを備えて構成され、前記補強材は、コーナー部と辺部とを有することで多角形状をしたものであり、前記コーナー部には、前記取付け凹部をビス固定するための取付け片が形成され、前記辺部は、隣接する取付け片に挟まれる状態で凹陥状になっていて、互いに連結されるドラム半部用連結部が辺部に近接対向するようにして凹陥状部位に嵌入配設されることを特徴とするシートシャッター装置における巻取りドラム。
【請求項2】
ドラム半部と補強材との固定は、ドラム半部の外周面側からドラム中心に向けて螺入する取付けビスにより行われることを特徴とする請求項1記載のシートシャッター装置における巻取りドラム。
【請求項3】
連結部材による連結部同士の連結は、ドラム半部の外周面側からドラム中心に向けての無理嵌めであることを特徴とする請求項1または2記載のシートシャッター装置における巻取りドラム。
【請求項4】
ドラム半部のなかには、シャッターカーテン1が連結されたアタッチメントを組込むためのカーテン用連結部が本体部に対してドラム中心側に向けて突出するようにして形成されたものがあり、該カーテン用連結部は、辺部に近接対向する状態で凹陥状部位に嵌入配設されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のシートシャッター装置における巻取りドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の出入り口等の開口部に設けられるシートシャッター装置における巻取りドラ
ムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の開口部の開閉をする開閉装置として、シャッターカーテンをシート式にした所謂シートシャッター装置を用いることがあり、このようなシートシャッター装置において、シャッターカーテンを巻取るための巻取りドラムが設けられるが、このような巻取りドラムとして円筒状のものが採用されている(例えば特許文献1参照)。このようなシートシャッター装置において、巻取りドラムの径を大径(例えば直径200mm以上)にして回転時の周速度を速めることでシャッターカーテンを高速で開閉させるようにしたものがあり、このような大径の巻取りドラムをアルミニウムを押出成形により製造しようとする場合、押出し用の金型が大型化するだけでなく、押出し加工するためのプレス機も大型化することになって製造設備の負担が嵩むうえ、生産性が劣るという問題がある。
しかもこのようなシートシャッター装置を間口幅が広い大開口部(例えば間口幅が6m)に取付ける場合、巻取りドラムも左右方向に長いものを用いることとなり、そうした場合に巻取りドラムの撓み防止のため、巻取りドラム内に補強材(中子)を適宜間隔(例えば1m間隔)を存して取付ける必要があるが、巻取りドラム内にこのような補強材を組付けることは難しく、作業性に劣るという問題がある。
そこで巻取りドラムを径方向に分割する分割型にしたものが提唱されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−235964号公報
【特許文献2】特許第3348008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記分割型にしたものは、巻取りドラム内に補強材を組付けて巻取りドラムの補強をすることまでは想定していないものである。そしてこのものは、巻取りドラムの一端部側に組付けられる補強材については、端部であるため位置決めが容易であって巻取りドラムにビス固定しているが、開閉機が設けられる他端側の補強材についてはビス固定することなく単に内嵌しているだけであり、これは補強材が巻取りドラム内に深く入り込んでいるためビス固定する際に要求される巻取りドラムと補強材との位置決めが難しいことに起因すると推定され、そこでこのものでは巻取りドラムを多角形状にして補強材との一体化を図っているが、これは開閉機が躯体側に固定されていて補強材の長さ方向の移動が行われないが故に許されるものであって、躯体側への固定がない独立した補強材を単純に巻取りドラム内に挿入した場合、該補強材が傾いたり左右位置ずれを起こしたりしてしまい、必要な補強機能を発揮できないという問題がある。しかも巻取りドラムが太径である場合、搬送スペースが嵩張ってしまうという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、シート式のシャッターカーテンが巻装される円筒状の巻取りドラムを備えたシートシャッター装置において、前記巻取りドラムを、周回り方向に分割される複数のドラム半部と、巻取りドラム内において各ドラム半部に固定されて巻取りドラムを補強する補強材と、隣接するドラム半部の互いに対向する
ドラム半部用の連結部同士を連結する連結部材とを用いて構成され、前記複数のドラム半部から選択される一つのドラム半部に補強材が固定され、残りのドラム半部は、前記固定された補強材に固定され、該残りのドラム半部が固定されることで互いに隣接対向するドラム半部の
ドラム半部用連結部同士が連結部材で連結され
る構成にするにあたり、前記ドラム半部は、円弧状の本体部と、該本体部の周回り方向中間部に形成される取付け凹部と、本体部に対してドラム中心側に向けて突出するようにして折曲形成される前記ドラム半部用連結部とを備えて構成され、前記補強材は、コーナー部と辺部とを有することで多角形状をしたものであり、前記コーナー部には、前記取付け凹部をビス固定するための取付け片が形成され、前記辺部は、隣接する取付け片に挟まれる状態で凹陥状になっていて、互いに連結されるドラム半部用連結部が辺部に近接対向するようにして凹陥状部位に嵌入配設されることを特徴とするシートシャッター装置における巻取りドラムである。
請求項2の発明は、ドラム半部と補強材との固定は、ドラム半部の外周面側からドラム中心に向けて螺入する取付けビスにより行われることを特徴とする請求項1記載のシートシャッター装置における巻取りドラムである。
請求項3の発明は、連結部材による連結部同士の連結は、ドラム半部の外周面側からドラム中心に向けての無理嵌めであることを特徴とする請求項1または2記載のシートシャッター装置における巻取りドラムである。
請求項4の発明は、
ドラム半部のなかには、シャッターカーテン1が連結されたアタッチメントを組込むためのカーテン用連結部が本体部に対してドラム中心側に向けて突出するようにして形成されたものがあり、該カーテン用連結部は、辺部に近接対向する状態で凹陥状部位に嵌入配設されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のシートシャッター装置における巻取りドラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1または4の発明とすることにより、巻取りドラムは周回り方向複数の半部に分割されることになって、搬送スペースが小さくなると共に、押出し加工も容易になるものでありながら、選択した一つの半部に補強材を固定し、該固定された補強材に残りの半部を固定することになるから、巻取りドラム内に設けられる補強材の組込みも容易になって作業性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、ドラム半部と補強材との位置決め固定が、ドラム半部の外周面側からできることになって容易になる。
請求項3の発明とすることにより、隣接するドラム半部同士の連結がドラム半部の外周面側からできることになって容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】巻取りドラムの上半部を断面した正面図である。
【
図5】(A)、(B)は第一半部、第二半部の断面図、正面図である。
【
図6】(A)、(B)、(C)は第三半部の断面図、要部断面図、アタッチメントの断面図である。
【
図7】(A)、(B)は補強材の正面図、側面図である。
【
図11】(A)〜(D)は巻取りドラムの前半の組立て工程図である。
【
図12】(A)〜(E)は巻取りドラムの後半の組立て工程図である。
【
図13】(A)〜(D)はシャッターカーテンを巻取りドラムに取付ける工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はシートシャッター装置を構成する可撓性シートを用いて形成されたシート式のシャッターカーテンであって、該シャッターカーテン1は、建物の出入り口等の開口部の天井部に配設したシャッターケース2内に配設された後述する巻取りドラム3に巻装され、骨材4が設けられ、躯体側に取付けた後述する開閉機17の正逆駆動に連動し、開口部左右両側に設けたガイドレール5に案内されて開閉移動するようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】
前記巻取りドラム3は、本実施の形態では、互いに同一形状となる第一、第二半部6、7と、後述するようにシャッターカーテン1を連結することができる第三半部8とを用いて円筒状に組立てられた周回り方向に三分割されたものとなっており、この円筒状のものに所定間隔を存して補強材(中子)9を内嵌組込みすることで構成されている。因みに本実施の形態では巻取りドラム3を等角度で三分割しているため、各半部6、7、8は断面120度の円弧となるように設定されているが、これに限定されるものではない。
【0010】
第一、第二半部6、7は、前述したように同一形状をしているため、便宜上、第一半部6の形状について詳述し、第二半部7の形状については説明を省略する。
前記第一半部6は、アルミニウムを押出成形したものであるが、120度の円弧板形状になった長尺状の本体部6aにより構成されているが、該本体部6aの幅方向両端部には、隣接する半部7または8との連結をするための第一、第二連結部
(本発明の「ドラム半部用連結部」に相当する。)6b、6cがドラム中心方向に向けて折曲形成されている。
【0011】
第一半部6の周回り方向一端側(便宜上、
図3において、「一端」を反時計回り側の端、「他端」を時計回り側の端と定義するが、これに限定されるものではない。)に形成される第一連結部6bは、本体部6aの一端からドラム中心側に向けて折曲形成されているが、該折曲基端側(径方向外端側)部位には、周回り方向の一端方向外側に突出する状態で外径方向が拡開したJ字形(折返し状)の第一係合部6dが形成され、さらに折曲先端側(内端側)部位には、同じく周回り方向の一端方向外側に突出する状態で外径方向が拡開したJ字形(折返し状)の第二係合部6eが形成されているが、該第二係合部6eの第一折返しフック部6fには、第一係止爪部6gが他端側面部(内側面部)に、嵌合凸部6hが一端側面部(外側面部)に形成されている。
【0012】
一方、第一半部6の周回り方向他端側に形成される第二連結部6cは、同じく本体部6aの他端からドラム中心側に向けて折曲形成されているが、該折曲基端側(外端側)部位には、周回り方向の他端方向外側に突出する状態で外径方向が拡開したJ字形(折返し状)の第三係合部6iが形成され、さらに折曲先端側(内端側)には、同じく周回り方向の他端方向外側に突出する状態で外径方向が拡開したJ字形(折返し状)の第四係合部6jが形成されているが、該第四係合部6jの第二折返しフック部6kには、第二係止爪部6lが一端側面部(内側面部)に、嵌合凹部6mが他端側面部(外側面部)に形成されている。
さらに本体部6aの周回り方向中間部には、後述する取付けビス10の頭部の高さを吸収するためドラム中心方向に凹んだ取付け凹部6nが形成されるが、該取付け凹部6nは、後述するように巻取りドラム3を組付けた場合に、補強材9に設けられる取付け片9aが形成される位置に対応するよう設けられているが、本実施の形態では、取付け片9aは60℃の角度を存して六個が設けられており、そこで第一半部6においては、第一連結部6bから周回り方向30度ずれたところに一つの取付凹部6nが形成され、この取付け凹部6nから更に60度ずれたところにもう一つの取付凹部6nが形成され、さらにこの取付け凹部6nから30度ずれた位置に第二連結部6cが形成されるようになっている。尚、取付け凹部6nのドラム中心側面には、取付け片9aの外径面に当接するための凸リブ6oが形成されていると共に、各取付け凹部6aには、左右方向位置を同じくして左右方向所定間隔を存してビス貫通用の貫通孔6pが形成されている。
【0013】
一方、第三半部8は、第一半部6の本体部6a〜貫通孔6pに相当する本体部8a〜貫通孔8pが同様にして形成されているが、さらに
図3、4、6から明らかなように、第三半部8の本体部8aには、一対の取付凹部8nの周回り方向のあいだに位置してシャッターカーテン1を連結するための
カーテン用連結部8qが、
本体部8aに対してドラム中心側に向けて突出するようにして形成されている。
【0014】
前記連結部8qは、ドラム中心側に凹んだ凹溝状に形成されるが、周回り方向一端側に凹溝状のビスポケット8rが形成されるが、本体部8aは、ビスポケット8r部位も含めてさらに一端側に偏倚する状態で外周面が、後述するシャッターカーテン1連結用のアタッチメント11の板厚相当分だけ低くなった突当て凹部8sが形成されている。そしてビスポケット8rの他端側部位には、ドラム中心側に向けて深溝状に凹嵌した深溝部8tと、該深溝部8tに対して一端側に隣接して深溝部8tよりは浅い浅溝部8uが形成されるが、これら深溝部8t、浅溝部8uの他端側の溝底コーナー部には一端側が開口した第一係止溝8v、第二係止溝8wがそれぞれ形成されている。
【0015】
一方、前記補強材9は、
コーナー部と辺部とを有して構成されたものであって、本実施の形態では正六角形状をし、そのコーナー部には取付け片9aが長さ方向(左右方向)に向けて折曲形成されているが、取付け片9aにはブラインドナット9bが組込まれている。そして補強材9と例えば第一半部6との取付けは、貫通孔6pとブラインドナット9bとを位置合わせした状態で凸リブ6oを取付け片9aに当てがい、取付けビス10を外径方向から内径方向に螺入することで行われるようになっている。
また補強材9の隣接する取付け片9aのあいだに形成される前記辺部9cは、図3、4、7から明らかなように、該隣接する取付け片9aに対して周回り方向両側に挟まれる状態で凹陥状に形成されている。
【0016】
また12は前記第一、第二、第三半部6、7、8を連結するための連結部材であって、該連結部材12は、周回り方向に対向する一対の脚片12aと、該脚片12aの外径端部同士を連結する跨部12bとで構成されるが、跨部12bは、脚片12aよりもさらに周回り方向両側に延出し、その延出端からドラム中心方向に折曲した係止片12cが設けられる一方、脚片12aのドラム中心側端部には、脚片12aの対向間方向に突出した係止凸部12dが形成され、該係止凸部12dから更にドラム中心方向に突出する嵌合片12eが形成されている。
そして例えば第一、第二半部6、7を連結部材12を用いて連結する場合に、第一半部第二連結部6cと第二半部第一連結部7bとを、第一半部嵌合凹部6mに第二半部嵌合突部7hを嵌合させた状態にして突合わせ、この状態で連結部材12の脚片12aを外径側からドラム中心方向に向けて第一半部第二連結部6cと第二半部第一半部7bとに嵌入組込みすると、一対の連結部材係止片12cが第一半部第三係合部6iと第二半部第一係合部7dに嵌入組込みすると共に、一対の連結部材係止凸部12dが第一半部第二係止爪部6lと第二半部第一係止爪部7gに無理嵌め状に嵌合係止し、さらに一対の連結部材嵌合片12eが第一半部第四係合部6jと第二半部第二係合部7eに嵌合組込みされることになり、これによって第一半部第二連結部6cと第二半部第一連結部7bとが連結されるようになっている。
【0017】
次に、巻取りドラム3の組付け手順について
図11、12を用いて説明する。まず、前記各半部6、7、8のうち任意の半部を選択し、ドラム中心側が上面となるように基台(図示せず)に載置する。ここでは第一半部6を選択したものとして説明する(
図11(A)、(B)参照)。そして補強材9をブラインドナット9bが第一半部貫通孔6pに対向するよう位置合わせをして当てがい、取付けビス10を用いて第一半部6に補強材9を固定する。全ての補強材9の第一半部6への取付けが終了したら、残り半部7、8の何れか一方、本実施の形態では第二半部7を選択し、第一半部6に対して周回り方向に連続するよう補強材9に当てがい、同様にして取付けビス10を用いて第二半部7を補強材9に固定する(
図11(C)、(D)参照)。このとき、前述したように第一半部第二連結部6cと第二半部第一連結部7bとが隣接するものであれば、第一半部嵌合凹部6mに第二半部嵌合突部7hとが互いに嵌合することになる。
しかる後、残りの第三半部8を、第一半部6と第二半部7とのあいだに嵌め込んで取付けビス10を用いて補強材9に固定する(
図12(A)、(B)参照)ことになるが、この場合、第三半部嵌合突部8hが第二半部嵌合凹部7mに嵌合し、第三半部嵌合凹部8mが第一半部嵌合突部6hに嵌合する。
【0018】
しかる後、連結部材12を各半部6、7、8の互いに隣接対向する連結部同士6cと7b、7cと8b、8cと6bに連結部材12を組込んで巻取りドラム3の組付けをすることになるが、この場合に連結部材12を、連結部7cと8bとのあいだに組込む場合を例にすると、各脚片12aを第二半部第四係合部7jと第三半部第二係合部8eにそれぞれ嵌入した状態であて木13を跨部12bにあてハンマー(木槌)14で軽く叩き込むことで連結部材12の係止凸部12dが無理嵌め状態となって第二半部第二係止爪部7l、第三半部第一係止爪部8gに抜止め状に係止し、これにより巻取りドラム3が組立てられることになる(
図12(C)〜(E)参照)。
そしてこのようにして組立てられた巻取りドラム3において、前記連結された第一、第二連結部同士6cと7b、7cと8b、8cと6b、並びにカーテン用連結部8qは、図3、4から明らかなように、前記補強材9の凹陥状になった辺部9cに近接対向する状態で、該凹陥状の部位(スペース)に嵌入配設されている。
【0019】
前述のように組込んだ巻取りドラム3にさらに開閉機17、従動軸(回転軸)18を取付けることになるが、開閉機17の駆動軸17a及び従動軸18には取付け部材19が設けられている。この取付け部材19は、正六角形状をしたブラケット半部19aの一対を組込み固定したものであるが、ブラケット半部19aは、120度おきの三つのコーナー部に取付け片19bが折曲形成される一方の残りのコーナー部は取付け片19bに対応して直線状のカット面19cに形成され、そして一対のブラケット半部19a同士を、取付け片19bが交互に互いのカット面19cに当接するよう間隙を存して対向配設し、取付け片19bの先端部とカット面19cとを溶着したものであって、取付け片19bにはブラインドナット19dが組込まれている。そして前記組み込まれた巻取りドラム3の端部から取付け部材19を嵌入し、ブラインドナット19dと巻取りドラム各半部貫通孔6p、7p、8pとを位置合わせし、取付けビス10を螺入固定することで開閉機17及び従動軸18が巻取りドラム3に取付けられ、このように組付けられた巻取りドラム3を躯体に建付けるようになっている。
【0020】
このように建付けられた巻取りドラム3にシャッターカーテン1を連結することになるが、それには前記アタッチメント11を用いて行うことになる。該アタッチメント11は、他端側が開口したコ字形をした本体部11aを有しているが、該本体部11aを構成する両脚片11bの開口端には、互いに対向する側に向けて係止突起11cが突設されている。そしてシャッターカーテン1の上端部に筒状に縫合された連結筒部1aを、係止突起11cを通して本体部11a内に嵌入した後、該連結筒部1aの嵌入部位に、係止突起11cの対向間隔よりも大径の棒状の連結体1bを挿入することでシャッターカーテン1のアタッチメント11への連結ができるようになっている(
図13(A)参照)。
【0021】
次に前記シャッターカーテン1が連結されたアタッチメント11を連結部8qに組込むことになるが、その場合に、アタッチメント本体部11aの跨部11dから脚片11bとは反対側に延設された第一片部11eを第三半部突当て凹部8sに当てがった状態で、該第一片部11eの先端を突当て凹部8sの本体部8aとの段差部8xに突き当てると、アタッチメント11の一方の脚片11bと跨部11dとのコーナー部にL字形に形成した第一係止片11fが第三半部溝深部8tに当接すると共に、前記一方の脚片11bの先端から延出した第二係止片11gが第三半部浅溝部8uに当接する(
図13(B)参照)。この状態からアタッチメント11を、第一片部11eの先端が段差部8xから離間する方向に移動すると、第一係止片11fが第一係止溝8vに嵌入すると共に、第二係止片11gが第二係止溝8wに嵌入し(
図13(C)参照)、この状態で、第一片部11eを貫通させたビス20をビスポケット8rに螺入することでアタッチメント11の第三半部8への組込みができ、これによってシャッターカーテン1の巻取りドラム3への取付ができるようになっている(
図13(D)参照)。
【0022】
叙述の如く構成された本実施の形態において、巻取りドラム3は、外周となる円筒部が周回り方向に複数(本実施の形態では三枚)の半部6、7、8に分割され、そしてこれら分割された半部6、7、8から適宜選択された半部(本実施の形態では第一半部)6の内周面に補強材9を取付けビス10を介して固定する。そして該固定された補強材9の外周に残りの半部7、8を、取付けビス10を外周方向からドラム中心に向けて螺入して固定することになるため、補強材9の巻取りドラム3内への組込みが確実かつ容易になって作業性が向上する。しかも巻取りドラム3は、半部6、7、8と補強材9とが固定されることで互いに隣接する連結部同士を、連結部材12を用いて同じく外周方向からドラム中心に向けて無理嵌めする状態で連結組込みすることになるため、半部同士の連結も確実になって強度のある巻取りドラム3とすることができる。
【0023】
しかも巻取りドラム3は、外周側からの組込み作業で良いため、建付け現場での組込みができることになり、大径のものを現場搬入する必要がなく、搬入コストの低減が図れると共に、工場では分割された半部の加工で良いこととなって、加工装置の小型化が図れると共に、加工コストも低減することができる。
そのうえ本発明においては、何れかの半部6、7、8が破損しり変形したような場合、対応する半部パーツを現場に持ち込んで交換することで簡単に補修するすることができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。そのうえ巻取りドラムが従来のように円筒状の一体物である場合、筒内部の防錆処理が難しいが、本発明においては分割式であるため、巻取りドラム内周面の防錆処理ができることになって耐食性の向上を図ることができる。
またアタッチメント11を巻取りドラム3よりも例えば数センチメートル短くしておくことで、シャッターカーテン1の交換時にビス20を止めていたビスポケット8r位置がバカになって使えなくなった場合に、アタッチメント11をドラム長方向に移動させることで新しいビスポケット8r位置にビス20を螺入することで再使用することができ、シャッターカーテン1の交換が容易となり都合がよい。尚、アタッチメント11を短くすることは、シャッターカーテン1の交換時に現場にて行ってもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、シャッターカーテンが高速にて開閉するシート式シャッター装置の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 シャッターカーテン
3 巻取りドラム
6 第一半部
7 第二半部
8 第三半部
9 補強材
10 取付けビス
12 連結部材