特許第6386295号(P6386295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386295
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】建築用板材成形装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/08 20060101AFI20180827BHJP
   E04D 3/30 20060101ALI20180827BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20180827BHJP
   E04D 15/06 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B21D5/08 N
   E04D3/30 H
   E04F13/12 C
   E04F13/12 101N
   B21D5/08 A
   E04D15/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-171989(P2014-171989)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-43406(P2016-43406A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175973
【氏名又は名称】三晃金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】深田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石川 和弘
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−029262(JP,A)
【文献】 特開平10−249443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/06−5/12
E04D 3/30
E04D 15/06
E04F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板材から長手方向に沿って山形弧状部と谷形弧状部とがS字状を形成するようにして連続する建築用板材を成形する複数段の成形ロールを有し、前記建築用板材がその幅方向が垂直面となるようにして送り出しながら成形するロール成形機と、円盤形状の旋回テーブルと固定ベースと旋回軸とを有する旋回機とを備え、前記旋回テーブルには前記ロール成形機が設置され、該ロール成形機は前記旋回テーブルと共に前記旋回軸を回動中心として、水平面上を回動してなることを特徴とする建築用板材成形装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ロール成形機から送り出される前記建築用板材の先端部の移動軌跡が、所定幅を有する長方形状通路内に収まるように前記旋回機は回動してなることを特徴とする建築用板材成形装置。
【請求項3】
請求項1において、前記ロール成形機から送り出される前記建築用板材の先端部の移動軌跡が直線状となるように前記旋回機は回動してなることを特徴とする建築用板材成形装置。
【請求項4】
請求項1において、前記旋回機は、手動操作としてなることを特徴とする建築用板材成形装置。
【請求項5】
請求項1において、前記旋回機の回動は、モータによる電気制御として行われてなることを特徴とする建築用板材成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根,壁等の外囲体を構成し、且つ長手方向に沿ってS字状カーブを構成する建築用板材を薄板金属材から形成する成形装置であって、該成形装置から形成されつつ送り出される過程において建築用板材が左右に大きく振幅することなく、極めて小さなスペース内で成形することができる建築用板材成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の金属製の折板タイプの屋根板材,壁板材等の建築用板材が多く使用されている。この種の建築用板材において、長手方向に沿って上下方向に円弧形状の凹凸からなる略S字状の側面形状を有するものが存在し、独創的なデザインを有する建築構造物の屋根等に使用される。この種の建築用板材を金属板原材から成形するロール成形機も、種々開発されている。その具体的なものとして、特許文献1及び特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−249442号公報
【特許文献2】特開平10−249443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、成形品の折り曲げ方向に対して平行に小波形状を形成する一対の縦サザナミロール(2,2)と、垂直方向より傾斜角度をモーター駆動(M2)又は手動操作により変
えることができ、かつ、モーター駆動(M3)又は手動操作により上下方向に移動できる一対のアーチ曲げロール(1,1)と、縦サザナミロール(3,3)とアーチ曲げロール(1,1)の間に位
置してアーチ曲げの支点となる受けロール(4)と、アーチ曲げロール(1,1)と連動して成形品に円弧をつける補助をする押えロール(5)とを設けてなるアーチ曲げ機構付フォーミン
グロール成形機が開示されている。
【0005】
特許文献2では、アーチ曲げに必要な予備的成形品を取り入れるための一対のピンチロール(1)と、成形品の折り曲げ方向(長手方向)に対して平行に小波形状を形成する一対の縦サザナミロール(2)と、縦サザナミロール(2)に対して平行より傾斜角度をモーター(M2)駆動により変えることができ、かつ、モーター(M3)駆動により左右方向にも移動することができる一対のアーチ曲げロール(3)と、アーチ曲げロール(3)の後に位置しアーチ曲げ支点となる受けロール(4)と、成形品(10)に円弧をつける補助をする二組の押えロール(5)とからなり、前記各ロール(1,2,3,4,5)をそれぞれ回転可能に垂直に配置して構成した装
置が開示されている。
【0006】
特許文献1では、傾き角度モーター(M2)と、昇降用モーター(M3)及びメインモーター(M1)を電気的に制御することにより、下向きのアーチ形状(A)及び上向きのアーチ形状(B)を連続的に一体成形することができる。つまり、長手方向に沿って上下方向に円弧形状の凹凸からなる略S字状の側面形状を有する建築用板材を成形することができる。したがって、特許文献1の図10に開示されているような建物(19)等のスロープ状の美しい屋根(20)を簡単に葺設できるものである。これは、特許文献2についても同様である。
【0007】
ところが、特許文献1及び特許文献2の成形装置によって成形される建築用板材の成形工程では、その建築用板材は、前述したように、成形装置から送り出される方向でS字形状に形成されることになる〔図8(A)参照〕。したがって、成形機の最終段のロールから送り出される建築用板材の先端の移動軌跡は、左右に大きく振れることになる〔図8(A)参照〕。
【0008】
そのために、成形機から建築用板材を送り出す側には、大きなスペース(資材置き場のような広場)が必要となる〔図8(B)参照〕。ところが、建築構造物以外の大きなスペースが確保できないような建築現場も多く存在し、このような場所では、前述したような長手方向においてS字形状にとなる建築用板材の成形装置を設置しても、実際に建築用板材を施工することが不可能となる。
【0009】
本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、長手方向に直交する幅方向を上下方向として送り出される建築用板材に対して大きなスペースを不要とし、比較的狭い建築現場にても、S字形状にとなる建築用板材の成形ができる建築用板材成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、金属板材から長手方向に沿って山形弧状部と谷形弧状部とがS字状を形成するようにして連続する建築用板材を成形する複数段の成形ロールを有し、前記建築用板材がその幅方向が垂直面となるようにして送り出しながら成形するロール成形機と、円盤形状の旋回テーブルと固定ベースと旋回軸とを有する旋回機とを備え、前記旋回テーブルには前記ロール成形機が設置され、該ロール成形機は前記旋回テーブルと共に前記旋回軸を回動中心として、水平面上を回動してなる建築用板材成形装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項2に発明を、請求項1において、前記ロール成形機から送り出される前記建築用板材の先端部の移動軌跡が、所定幅を有する長方形状通路内に収まるように前記旋回機は回動してなる建築用板材成形装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1において、前記ロール成形機から送り出される前記建築用板材の先端部の移動軌跡が直線状となるように前記旋回機は回動してなる建築用板材成形装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項4の発明を、請求項1において、前記旋回機は、手動操作としてなる建築用板材成形装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1において、前記旋回機の回動は、モータによる電気制御として行われてなる建築用板材成形装置としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、建築用板材成形装置は、ロール成形機と旋回機とから構成される。ロール成形機は複数段の成形ロールを有しており、このロール成形機によって、薄板金属がロール状に巻き付けられた原材から長手方向に沿って山形弧状部と山形弧状部谷形弧状部とがS字状を形成するようにして連続する建築用板材を成形する。
【0014】
そして、このロール成形機は、建築用板材をその幅方向が垂直面(Z方向)となるようにして、送り出しながら成形する。つまり、建築用板材は、平面上において、その長手方向は略S字形状を形成しつつロール成形機から送り出されるものであり、そのために、建築用板材は上下方向において地面と干渉することなく成形することができる。
【0015】
さらに、ロール成形機は、水平面上を回動する旋回テーブルを有する旋回機の旋回テーブル上に設置され、ロール成形機は水平面上を回動自在としたものである。建築用板材成形装置は、建築用板材を成形する過程で、ロール成形機から送り出される建築用板材の先端部の移動軌跡はロール成形機に対して左右に大きく振れることになる。
【0016】
このとき、送り出されながら成形される建築用板材は、その先端部の水平方向(Y方向)の振れに対して、その振れる反対の方向に前記旋回機の旋回テーブルを適宜回転させることにより、送り出されつつ成形される建築用板材の先端部は、左右に大きく振れることなく、建築用板材の成形が行われる。これによって、建築用板材の成形過程におけるスペースは、極めて少ない面積で行うことができ、建築現場における省スペース化を実現できる。
【0017】
請求項2の発明では、ロール成形機から送り出される建築用板材の先端部の移動軌跡が所定幅を有する直線状の送出し通路内に収まるように前記旋回機を回動することにより、ロール成形機から送り出される建築用板材の通路のスペースの形状を小さな幅の長方形状にすることができる。請求項3の発明では、請求項2と略同様の効果を奏する。
【0018】
請求項4の発明では、旋回機は、手動操作としたことにより、極めて簡単な構成にできる。請求項5の発明では、旋回機の回動は、モータによる電気制御とすることにより、建築用板材の成形作業を最小人数で、且つ極めて効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は本発明の第1実施形態の斜視図、(B)は(A)の平面図である。
図2】(A)及び(B)は本発明におけるロール成形機の最終仕上げロールによって建築用板材に山形弧状部及び谷形弧状部が形成される工程を示す要部の拡大断面図、(C)は本発明の第2実施形態の平面図である。
図3】本発明の建築用板材成形装置によって成形されつつ押し出される建築用板材の先端部の移動軌跡が長方形状通路内に収まるように旋回テーブルを旋回させる工程(1)乃至(8)を示す略示図である。
図4】(A)は長方形状通路内における本発明の建築用板材成形装置から送り出された建築用板材の先端部の軌跡を示す略示平面図、(B)は本発明の建築用板材成形装置における作業必要面積を示す略示平面図である。
図5】本発明の建築用板材成形装置によって成形されつつ押し出される建築用板材の先端部の移動軌跡が直線状通路に沿って移動するように旋回テーブルを旋回させる工程(1)乃至(8)を示す略示図である。
図6】(A)は本発明によって成形される建築用板材の側面図、(B)は本発明によって成形される建築用板材の斜視図、(C)は(B)のX1−X1矢視拡大断面図である。
図7】(A)は本発明によって成形された建築用板材によって屋根が施工された建築物、(B)は本発明によって成形された建築用板材によって施工された建築物の屋根の一部を示す縦断正面図、(C)は(B)の(α)部拡大図、(D)は本発明によって成形された建築用板材に適用されるキャップ材の斜視図、(E)はキャップ材の要部拡大側面図である。
図8】(A)は従来技術の成形機により送り出される成形品の先端の移動軌跡を示す略示平面図、(B)は成形作業に必要な面積を示す略示平面ある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明における建築用板材成形装置は、ロール成形機Aと旋回機Bとから構成される。本発明では、方向を示す文言としてX,Y及びZ方向を使用する。水平面上は、X−Y方向で示されている。また、上下方向,垂直方向及び高さ方向等は、Z方向である。
【0021】
ロール成形機Aは、薄板金属板がロール状に巻き付けられてなる原材Pmから建築用板材9を成形するものである。旋回機Bは、ロール成形機Aを水平面上で旋回させる役目をなすものである(図1参照)。まず、ロール成形機AのZ方向(上下方向)の両側にはフレーム1,1が設けられている。両フレーム1,1の長手方向は、X方向とする。このX方向(長手方向)に沿って所定間隔をおいて複数の軸受2,2,…が装着され、該軸受2,2,…を介して複数段の成形ロール3,3,…が備わっている。
【0022】
各成形ロール3は、形状が異なり、最初の段から最終の段に到るに従い、原材Pmは、その長手方向(X方向)に直交する断面形状が建築用板材9の断面形状に成形されてゆく。成形ロール3は、横方向(Y方向)に隣接する主成形ロール部31と従成形ロール部32とから構成される。
【0023】
主成形ロール部31は、主ロール軸31aと主ロール部31bとからなり、従成形ロール部32は、従ロール軸32aと従ロール部32bとからなる〔図1(A)参照〕。主ロール軸31aと従ロール軸32aは、垂直方向(Z方向)に配置された両フレーム1,1に前記軸受2,2,…を介して垂直に装着されている。つまり、軸受2は、Y方向に対して2つ設けられたもので、X方向に対して2列となって配置される。
【0024】
それぞれの主成形ロール31と従成形ロール32とは、横方向(Y方向)に対応している。本発明の実施形態では、X方向における主成形ロール31と従成形ロール32の段数を7段としているが、必ずしもこの段数に限定されるものでなく、原材パネルPmから成形される建築用板材9の長手方向に直交する断面形状により、主成形ロール31と、従成形ロール部32の段数を適宜に調整することもある。
【0025】
その各段の対となる主成形ロール部31と従成形ロール部32とは、図示されない駆動モータ及び歯車機構によって、それぞれが適正な回転速度にて相互に反対方向に回転し、原材Pmを移動させながら、次第に建築用板材9となる成形が行われる。
【0026】
最終段の主成形ロール31と従成形ロール部32の次の段には、仕上主ロール部33と仕上従ロール部34とが存在する〔図1(B),図2(A),(B)参照〕。仕上主ロール部33と仕上従ロール部34は、建築用板材9に山形弧状部9aと谷形弧状部9bとを形成する役目をなす。仕上主ロール部33と仕上従ロール部34は、Y方向(横方向)で隣接して対をなし、これら仕上主ロール部33と仕上従ロール部34とが同時にY方向に往復移動することができる構造としたものである。
【0027】
この仕上主ロール部33と仕上従ロール部34とのY方向における往復移動により、建築用板材9には山形弧状部9aと谷形弧状部9bが形成される。仕上主ロール部33と仕上従ロール部34とは、手動又は電動の何れかによって中立位置からY方向の何れか一方側に移動し位置を変化させることができる。また、中立位置からY方向への移動距離によって山形弧状部9a及び谷形弧状部9bの曲率半径を変化させることができる。
【0028】
このように、ロール成形機Aのそれぞれの成形ロール3,3,…の主ロール軸31a及び従ロール軸32aは、垂直状(Z方向)に設置されているので、ロール成形機Aによって成形される建築用板材9は、その長手方向(X方向)に直交する幅方向が垂直面或いは略垂直面となるようにして送り出される。
【0029】
次に、旋回機Bは、旋回テーブル4と固定ベース5と旋回車輪6とからなる。固定ベース5上に旋回テーブル4が旋回自在に配置される。固定ベース5と旋回テーブル4との間には旋回車輪6が複数個配置される(図1参照)。旋回テーブル4と固定ベース5とは、共に円盤形状であり、その中心に旋回軸51が備わっている。そして固定ベース5に対して、旋回テーブル4が旋回軸51を回動中心として回動自在となる。
【0030】
旋回テーブル4には、ロール成形機Aが設置される。設置されるロール成形機Aの主成形ロール部31,従成形ロール部32,仕上主ロール部33及び仕上従ロール部34の主ロール軸31aと従ロール軸32aは、垂直状(Z方向)に沿うものとなる。ロール成形機Aは、旋回テーブル4と共に水平面上を回動自在な構成となる〔図1(B)参照〕。これによって、ロール成形機Aから送り出される建築用板材9の先端部9dの移動方向を水平面(X−Y方向)にて制御することができる(図1図3図4等参照)。
【0031】
旋回テーブル4の旋回手段としては、作業員の手動によるものと、駆動モータ71による電動としたものとが存在する。手動では、作業員が旋回テーブル4又はロール成形機Aを、前記旋回軸51を回動中心として、回動させ、ロール成形機Aによって成形される建築用板材9の送り出し方向を制御するものである。
【0032】
また、電動の場合には、固定ベース5又は旋回テーブル4に電動駆動部7が具備される〔図2(C)参照〕。駆動モータ71には、駆動歯車72が装着され、旋回テーブル4の外周には被駆動歯車73が設けられている。被駆動歯車73は、旋回テーブル4又は固定ベース5の全周に亘って形成される必要はなく、旋回テーブル4の必要な回動範囲のみに形成されればよい。
【0033】
次に、建築用板材成形装置にて成形される建築用板材9について説明する。建築用板材9は、主に山形弧状部9aと谷形弧状部9bとから構成される。山形弧状部9aと谷形弧状部9bは、長手方向と高さ方向に沿って形成されるものである〔図6(A),(B)参照〕。
【0034】
建築用板材9を屋根板材として使用する場合において、山形弧状部9aは、建築用板材9の上方に凸状とした円弧状の成形領域であり、谷形弧状部9bは下方に凹状として円弧状の成形領域である〔図6(A)参照〕。そして、山形弧状部9aと谷形弧状部9bにより、建築用板材9は長手方向に沿う側面より見て略扁平S字形状に形成される〔図6(A),(B)参照〕。
【0035】
また、山形弧状部9aと谷形弧状部9bとの境界となる部分を変曲点9cと称する。該変曲点9cは建築用板材9において、山形弧状部9aと谷形弧状部9bとが変化する部分である〔図6(A),(B),図7(A)参照〕。
【0036】
建築用板材9は、略平坦状の主板91の両側に立上り部92,92が形成され、該立上り部92,92の中間箇所には内方に向かって略半円形状に膨出する屈曲部92a,92aが形成されている〔図6(C),図7(B),(C)参照〕。建築用板材9は、キャップ材95及び吊子96等と共に使用する〔図7(B),(C)参照〕。
【0037】
建築用板材9は、構造材又は下地部上に配置され、吊子96を介して固定され、隣接する建築用板材9,9同士の立上り部92,92上のキャップ材95が嵌合固着される。キャップ材95は、断面略逆U字形状の覆い部95aの両下端に嵌合片95b,95bが形成され、両嵌合片95b,95bと、前記立上り部92,92の屈曲部92a,92aとが嵌合し、これを順次繰り返すことにより、屋根或いは壁等の外囲体を施工することができる〔図7(B),(C)参照〕。
【0038】
さらにキャップ材95の覆い部95aの長手方向(建築用板材9のX方向に相当)には、所定間隔をおいて、略蛇腹状となる伸縮凹部95c,95c,…が形成されている〔図7(D),(E)参照〕。該伸縮凹部95c,95c,…は、前記建築用板材9の山形弧状部9a及び谷形弧状部9bの形状にしたがって、同様の弧状部を形成し、建築用板材9と同様に山形弧状部9aと谷形弧状部9bを形成する。
【0039】
次に、本発明の建築用板材成形装置により、山形弧状部9aと谷形弧状部9bとが変曲点9cを介して連続する建築用板材9を成形する工程について説明する。原材Pmは、金属薄板がロール状に巻き付けられたドラムとしたものである。ドラムは、特に図示しないが、旋回テーブル4上に配置されることが多い。原材Pmがロール成形機Aの最初の成形ロール3側から挿入される。
【0040】
ロール成形機Aに挿入された原材Pmは、複数段の成形ロール3,3,…を通過する過程で、次第に建築用板材9に近い形状に成形される。該建築用板材9の先端部9dが、仕上主ロール部33と仕上従ロール部34を通過するときに、これらによって、谷形弧状部9b及び山形弧状部9aが成形される。このとき、ロール成形機Aによって成形される建築用板材9は、その長手方向(X方向)に直交する幅方向が垂直面(Z方向)となるように送り出される〔図1(A)参照〕。
【0041】
前記ロール成形機Aは、成形されつつ送り出される建築用板材9は、山形弧状部9aと谷形弧状部9bとが形成される工程で、ロール成形機Aの送出し部に対して水平面(X−Y方向)上を左右両側に大きく振れることになる。ここで、ロール成形機Aは、旋回機Bの旋回テーブル4上に設置されており、該旋回テーブル4と共にロール成形機Aを水平面上で適宜回動させる(図1参照)。このロール成形機Aの水平面上における回動は、成形されつつ送り出される建築用板材9の先端部9dの振れ方向(X−Y方向)と常時反対方向となるように回動させる。
【0042】
これによって、ロール成形機Aから送り出される建築用板材9は、先端部9dの振れ方向(X−Y方向)における振れ幅を少なくして〔図4(A)参照〕、建築用板材9を略直線状に移動させ、その先端部9dの移動軌跡が、X方向に延在する細長状の長方形状通路82内に収めることができる〔図4(B)参照〕。
【0043】
つまり、成形されつつ送り出される建築用板材9の先端部9dの振れを、旋回機Bによるロール成形機Aの回動動作により吸収するものである。これによって、本発明における建築用板材成形装置では、ロール成形機Aから送り出される建築用板材9の作業必要面積を略細長方形状にして、作業領域の省スペース化を実現することができる(図3図4参照)。
【0044】
この動作を図3により具体的に説明する。まず、ロール成形機Aから成形されつつ送り出される建築用板材9の先端部9dが出現し始めたときには、ロール成形機Aの長手方向(X方向)は送り出し方向を示す仮想線Lと同一方向である〔図3(1)参照〕。
【0045】
そして、成形された建築用板材9がロール成形機Aから送り出されて、谷形弧状部9bが形成される過程で、且つ変曲点9cがロール成形機Aから出現するまでは、該ロール成形機Aは時計方向に回転する〔図3(1)乃至(4)参照〕。ロール成形機Aから山形弧状部9aが出現すると、ロール成形機Aは反時計方向に回動を開始する〔図3(6)乃至(8)参照〕。このように、ロール成形機Aは、時計方向回転と、反時計方向回転を行うことによって、成形される建築用板材9は、略直線状に移動し、狭いスペース内を移動することができる。
【0046】
特に、図3(1)乃至(8)では、建築用板材9は、狭幅の所定幅Wを有する長方形状の長方形状通路81内に収まるように、前記旋回機Bが作業員の手動或いは電動による制御にて操作される。また、図5(1)乃至(8)では、前記ロール成形機Aから送り出される建築用板材9の先端部9dの移動軌跡がX方向に延在する直線(略直線も含む)状の直線状通路82に沿って移動できるように旋回機Bを制御するものである。
【0047】
さらに、図2(C)に示すように、旋回機Bの旋回テーブル4を電動駆動部7によって回動させる構成とした場合には、旋回テーブル4及びロール成形機Aの回動を、成形されつつ送り出される建築用板材9の先端部9dの移動方向が直線移動(略直線移動も含む)することができるように、自動制御とする構成が具備されることもある。
【0048】
駆動モータ71は、回転角度を制御可能なステッピングモータが使用される。そして、建築用板材9における山形弧状部9a及び谷形弧状部9bの長手方向長さ、曲率半径及び変曲点9cの位置、建築用板材9の送り速度等のデータについてステッピングモータとした駆動モータ71の制御部73に入力しておく。このようにして旋回テーブル4及びロール成形機Aの回動を自動制御しつつ建築用板材9を成形する工程を、図3を参考にして以下に説明する。
【0049】
ロール成形機Aから成形されつつ送り出される建築用板材9の送り出し方向を示す仮想線Lを設定し、該仮想線Lに対して、建築用板材9の先端部9dがロール成形機Aから出現し始めたときから、先端部9dの移動する位置に従い、制御部は、前記データに基づいて時計方向に適正な角度θ或いは反時計方向に適正な角度(−)θだけ回動制御する。
【0050】
これによって、ロール成形機Aから成形されつつ送り出される建築用板材9の先端部9dは、前記長方形状通路81内を正確に移動することができる。また、図5(1)〜(8)に示すように、ロール成形機Aから成形されつつ送り出される建築用板材9の先端部9dが前記直線状通路82上に沿って移動する場合も同様の自動制御機構が備えられる。
【符号の説明】
【0051】
9a…山形弧状部、9b…谷形弧状部、9…建築用板材、3…成形ロール、
A…ロール成形機、4…旋回テーブル、B…旋回機、9d…先端部、
81…長方形状通路、82…直線状通路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8