(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有料駐車場を設置する場合には、稼働率を向上させるために、駐車場が設置されていることや設置場所を広く知ってもらうことが重要となる。またAEDの普及を促進して社会に貢献することが可能な技術も求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、駐車場の存在を広く認識させることが可能であり、社会貢献にも寄与できる駐車場管理システム、及び駐車料金精算機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る駐車場管理システムは、駐車料金の精算が済むと車両の出庫を可能にする駐車場管理システムであって、駐車料金精算機と、報知部とを具備する。
前記駐車料金精算機は、精算制御部と、AED部とを有する。
前記精算制御部は、前記駐車料金の精算、及び前記駐車料金の精算が済むまで前記車両の出庫を制限する出庫制限装置の制御を行う。
前記AED部は、AED(自動体外式除細動器)と、前記AEDを収納する収納部と、前記収納部からの前記AEDの持ち出しを検知可能な検知部とを有する。
前記報知部は、前記検知部による検知結果をもとに、前記AEDの使用状態を報知する。
【0008】
前記報知部は、駐車場の存在を示す看板に取り付けられた所定の画像を表示する表示部と、前記所定の画像の表示を制御する表示制御部とを有してもよい。
【0009】
前記所定の画像は、AEDの文字を含む画像であってもよい。
【0010】
前記検知部は、前記収
納部に前記AEDが収
納されている第1の状態と、前記収
納部から前記AEDが持ち出されている第2の状態とを、それぞれ検知可能であってもよい。この場合、前記報知部は、前記第1及び前記第2の状態をそれぞれ区別して報知してもよい。
【0011】
前記報知部は、前記第1の状態を前記AEDが使用可能である状態として報知し、前記第2の状態を前記AEDが使用されている状態として報知してもよい。
【0012】
前記報知部は、前記AEDが使用可能である状態を前記所定の画像を点灯させることで報知し、前記AEDが使用されている状態を前記所定の画像を点滅させることで報知してもよい。
【0013】
前記駐車料金精算機は、駐車場を管理する外部の管理機構に接続され、音声の送受信による通話、及びデータの送受信が可能な通信部を有してもよい。
【0014】
前記通信部は、前記外部の管理機構から送信された前記駐車料金精算機の動作を遠隔操作により制御するためのデータを受信してもよい。
【0015】
前記収納部は、施錠可能な開閉扉を有してもよい。この場合、前記通信部は、前記開閉扉の施錠及び解錠を制御するためのデータを受信してもよい。
【0016】
前記駐車料金精算機は、前記駐車料金精算機の周辺を撮影可能な撮像部を有してもよい。この場合、前記通信部は、前記撮像部により撮影された撮影画像を、前記外部の管理機構に送信可能であってもよい。
【0017】
前記AED部は、前記AEDと一体的に設けられ、前記AEDが持ち出されると自動的に通話可能な状態となる携帯端末を有してもよい。
【0018】
前記携帯端末は、前記携帯端末の現在の位置情報を取得可能であってもよい。
【0019】
前記AED部は、前記携帯端末により取得された位置情報と、前記駐車料金精算機の位置情報とが合致するか否かを判定する判定部を有してもよい。
【0020】
前記報知部は、前記第2の状態を報知した後、前記検知部により前記第1の状態が検知され、前記判定部による判定の結果が肯定となる場合に、前記第1の状態を報知してもよい。
【0021】
本発明の一形態に係る駐車料金精算機は、精算制御部と、AED部と、報知制御部とを有する。
前記精算制御部は、前記駐車料金の精算、及び前記駐車料金の精算が済むまで前記車両の出庫を制限する出庫制限装置の制御を行う。
前記AED部は、AEDと、前記AEDを収納する収納部と、前記収納部からの前記AEDの持ち出しを検知可能な検知部とを有する。
前記報知制御部は、前記検知部による検知結果をもとに、前記AEDの使用状態を報知する報知部を制御する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、駐車場の存在を広く認識させることが可能であり、また社会貢献にも寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車場管理システムが適用される駐車場のレイアウト例を示す概略図である。駐車場10は、例えば公道1に面して設置され、利用者3は車両5の入庫、駐車、及び出庫が可能である。
【0026】
駐車場10は、柵11と、出入口12と、複数の駐車スペース13と、駐車料金精算機(以下、単に精算機と記載する)14と、案内看板15と、中継装置16とを有する。柵11は、駐車場10の周囲に設けられ、車両5が入場/退場する出入口12の部分は開放されている。複数の駐車スペース13の各々には、駐車場10に入庫する車両5が駐車される(
図1では、駐車車両5'が二点鎖線で図示されている)。
【0027】
図1に示すように、複数の駐車スペース13の各々には、スペース番号(車室番号)17が付せられる。また各駐車スペース13には、タイヤ止め18と、フラップ装置19と、ループコイル20が配置される。フラップ装置19は、本実施形態において、駐車料金の精算が済むまで車両5の出庫を制限する出庫制限装置として機能する。出庫制限装置として、フラップ装置19に代わりに、出入口12にゲートが配置されてもよい。その他、精算前の出庫を制限するための方法及び構成は限定されない。
【0028】
ループコイル20は、各駐車スペース13にそれぞれ埋設される。ループコイル20は、各駐車スペース13における車両5の有無を検知するために設けられる。また
図1に示すように、出入口12の駐車場10内部側にも、1対のループコイル21a及び21bが埋設される。1対のループコイル21a及び21bは、車両5の進行方向を検知するために設けられる。
【0029】
精算機14は、利用者3が駐車料金の精算をする際に用いられる。精算機14は、駐車料金の精算、及び出庫制限装置の制御を実行する。精算機14は、駐車場10内の任意の位置に配置可能であるが、典型的には、出入口12の付近であって車両5の通路から外れた安全な位置に配置される。案内看板15は、駐車場10の存在を示すものであり、周囲に目立つように、例えば出入口12の付近に配置される。
【0030】
中継装置16は、精算機14と案内看板15とを接続する装置である。また中継装置16には、各駐車スペース13に埋設されたループコイル20が一括で配線される。中継装置16の内部には図示しない車両検知器が多数設けられており、各駐車スペース13に駐車された車両5を検知することが可能である。
【0031】
駐車場10を利用する際には、利用者3は車両5を運転して出入口12から駐車場10に入場する。そして空いている駐車スペース13に車両5を駐車する。駐車スペース13に埋設されたループコイル20は常時発振しており、車両5の金属部分に反応してインダクタンスが変化すると、中継装置16の車両検知装置により車両5の入庫が検知される。この検知結果をもとにフラップ装置19が起動し、精算が済むまで車両5の出庫が制限される。
【0032】
駐車場10から車両5を出す場合には、利用者3は精算機14にて駐車料金の精算を行う。精算機14により駐車料金の精算が実行され、精算が済むとフラップ装置19が制御されて出庫の制限が解除される。利用者3は車両5を運転して、出入口12を通って公道1に出る。
【0033】
出入口12から車両5が出る際には、車両5が一対のループコイル21a及び21b上を通過する。ループコイル21a及び21bではそれぞれ車両が検知されるが、これらの検知の順番によって、車両5の入庫及び出庫を識別することが可能である。すなわち中継装置16内の車両検知装置により、ループコイル21bのインダクタンスの変化及びループコイル21aのインダクタンスの変化が、この順番で入力された場合には退場と検知され、案内看板15により車両5の退場が報知される。これにより駐車場10から退場する車両5と、入場しようとする車両5が出会い頭に衝突する事故を防止することができる。
【0034】
このように本実施形態に係る駐車場管理システムは、駐車料金の精算が済むと車両5の出庫を可能とする。以下、駐車場管理システムの構成要素となる、精算機14及び案内看板15について詳しく説明する。
【0035】
図2は、精算機14及び案内看板15の構成例を示す模式的な外観図である。精算機14は、前扉23と、パネル板24と、インターフォン25と、スピーカ26と、カメラユニット27と、AED収納ボックス(収納部)28とを有する。前扉23は、前扉23の下部側に設けられた開閉鍵29及び開閉ハンドル30を操作することで開閉可能であり、常時は施錠されている。
【0036】
パネル板23は、前扉23に設けられる。パネル板24の上段部には、駐車料金やその他のガイド等を表示する表示画面31と、利用者3が駐車料金を精算する時に車室番号を入力したり、その他各種操作を入力したりする場合に用いられる操作キー群32とが設けられる。
【0037】
またパネル板24の中段部には、駐車券や定期券やプリペイドカードなどのカード類が挿入されるカード挿入口33と、駐車料金の精算時に紙幣を挿入する紙幣挿入口34、及びコインを投入する硬貨投入口35が設けられる。またパネル板24の下段部には、釣銭・領収書取出口36が設けられる。
【0038】
駐車料金を精算する際には、例えば利用者3は、操作キー群32内のテンキーを操作して、自分の車両5を駐車している車室番号を入力する。そうすると駐車時間及び駐車料金が算出されて表示画面31に表示される。利用者3は、表示された駐車料金を紙幣挿入口34や硬貨投入口35を介して支払う。支払が済むと駐車料金の精算が済み、フラップ装置19のロック(出庫の制限)が解除される。
【0039】
インターフォン25は、パネル板24の硬貨投入口35の下方に設けられる。インターフォン25は、係員呼び出し用の通話ボタン37を有する。例えば精算機14の使用方法が分からない場合や、精算機14が故障した場合等に、インターフォン25が利用される。またAEDの使用が必要となるような緊急事態等において、緊急事態を知らせるためや、AEDの使用方法を教えてもらうために、インターフォン25を利用することが可能である。
【0040】
スピーカ26は、パネル板24の釣銭・領収書取出口36の横に設けられる。利用者3は、インターフォン25及びスピーカ26を用いることで、遠隔地の駐車場管理センターに常駐する係員(オペレータ)と対話することが可能である。駐車場管理センターは、本実施形態において、駐車場を管理する外部の管理機構に相当する。
【0041】
カメラユニット27は、精算機14の周辺を撮影可能なカメラ(撮像部)38を有する。精算機14の周辺とは、精算機14の周囲全ての範囲であってもよいし、前方や側方等の所定の方向のみの範囲であってもよい。またカメラユニット27は、駐車場管理センターと通信を可能とする機能を有する。当該機能については後に説明する。
【0042】
本実施形態では、精算機14の上面にカメラユニット27が載置される。以下、カメラユニット27を支持する筐体部分を、精算機本体39と記載する場合がある。すなわち精算機14は、精算機本体39と、精算機本体39に載置されたカメラユニット27とを有することになる。
【0043】
AED41を収納するAED収納ボックス28は、精算機14の正面から見て右側の側面に固定されている。AED収納ボックス28の前面には、施錠可能な開閉扉42が設けられる。開閉扉42は、ガラスや強化プラスチック製の透明な窓部43を介して、内部が視認可能になっている。また開閉扉42には、ハンドル44が設けられ、ポップアップボタンを押下するとハンドル44が手前にポップアップし、開閉扉42の開閉が可能となる。なお開閉扉42は、緊急事態の発生に応じて速やかにAED41が使用可能なように、常時は解錠されている。
【0044】
また精算機14の側面のAED収納ボックス28の上方には、AEDを利用する際の利用規約や緊急連絡先等が記載された注意書き45が貼り付けられる。
【0045】
案内看板15は、地面から上空に延在するポスト部51と、ポスト部51の上部の高所に取り付けられる看板部52を有する。長尺のポスト部51を設置し、その上端部に看板部52を取り付けることで、周囲から看板部52が視認しやすくなる。その結果、駐車場10の存在を広く認識させることが可能となる。
【0046】
図2に示すように、看板部52には、駐車場を示すPのマークが表記される。その他、駐車場名や所定のロゴマークが表示されてもよい。また看板部52には、満車か空車かを示す満空表示部53と、AED表示部54とが設けられる。さらに看板部52の上部には、回転灯55が設置される。
【0047】
満空表示部53は、多数のLEDが縦横に配置されたLEDユニットである。中継装置16に設けられた車両検知装置による検知結果をもとに、満及び空の文字が互いに切替えられて表示される。満空表示部53としてLED以外の光源を有する表示装置が用いられてもよい。
【0048】
AED表示部54は、駐車場10内にAED41が存在することを報知するために、所定の画像を表示させる。所定の画像は、典型的には、AEDの文字を含む画像である。所定の画像として、AEDの文字及び心臓のマークを含む画像、又は心臓のマークのみの画像が表示されてもよい。周囲の人たちがAED41の存在を認識可能であるのならば、所定の画像は任意に構成されてよい。
【0049】
またAED表示部54は、AED41の使用状態を報知することが可能である。後にも説明するが、本実施形態では、AED41が使用可能である状態(第1の状態)と、AED41が使用されている、すなわちAED41を使用中である状態(第2の状態)とが、それぞれ区別して報知される。具体的には、AEDの文字を点灯させることでAED41が使用可能である状態が報知され、AEDの文字を点滅させることで、AED41が使用されている状態が報知される。
【0050】
これにより近隣の住民等の周囲の人たちに、この駐車場10にはAED41が備えられていること、緊急事態にはAED41が使用可能であること等を認識させることが可能となる。その結果、駐車場10の存在も十分に認識させることが可能となり、稼働率を向上させることができる。
【0051】
またAEDの文字を点滅させることで、緊急事態が発生してAED41が使用中であることを周囲に報知することができる。これにより周囲の人の応援や適切な対応が迅速に可能となり、また駐車場10に向かう救急車両の有効な目印にもなる。さらにAEDの普及を促進することが可能となり、社会貢献にも十分に寄与することができる。
【0052】
AED表示部54の構成は限定されず、例えばAEDの文字が書かれたプラスチック製のパネルと、内部に設けられたバックライト用ランプが用いられ、ランプの点灯及び点滅が制御される。あるいはLEDが並べられたLEDユニットが用いられてもよい。その他任意の画像表示装置が用いられてもよく、満空表示部53とAED表示部54とが一体的に構成されてもよい。
【0053】
Pマーク、満空表示部53、及びAED表示部54は、看板部52の表面及び裏面の2箇所にそれぞれ設けられる。これによりこれらの情報を広く報知することができる。また看板部52が回転するような構成が採用されてもよい。
【0054】
図3は、精算機14(精算機本体39及びカメラユニット27)、及び案内看板15の機能的な内部構成例を示すブロック図である。精算機本体39内の各ブロックにより、精算制御部が実現される。
【0055】
精算機本体39は、CPU(Central Processing Unit)61と、メモリ62と、これらとバス63を介して接続されるインターフェイス64とを有する。メモリ62は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成され、システムプログラムやその他のプログラムを格納すると共に、種々の駐車データを記憶する。
【0056】
インターフェイス64には、カードリーダ65、表示画面31、操作キー群32、領収書プリンタ66、コインセレクタ67、硬貨払い出し装置68、紙幣リーダ69、及びスピーカ26が接続されている。これらの動作はプログラムに従って動作するCPU61により制御され、例えば表示画面31により表示されたガイドとスピーカ26による音声ガイドとを交えながら、駐車料金の精算、釣銭の払い出し、領収証の発行等を円滑に行うことが可能となっている。
【0057】
またインターフェイス64には、フラップ装置制御部70、外部入出力部71、外部通信部72、収納ボックス鍵ロック部(以下単に鍵ロック部と記載する)73、及びAED収納センサ(検知部)74を有する。これらのブロックもCPU61により制御される。例えばフラップ装置制御部70からは、各駐車スペース13に配置されたフラップ装置19を制御する信号が出力される。当該信号は、外部入出力部71を介してフラップ装置19に出力される。その際に、中継装置16を介して制御信号が出力されてもよい。
【0058】
鍵ロック部73は、AED収納ボックス28の開閉扉29の施錠及び解錠を電子的に行う。AED収納センサ74は、AED収納ボックス28からのAED41の持ち出しを検知する。開閉扉29の施錠及び解錠、及びAED41の持ち出しの検知をそれぞれ実現するための構成や方法は限定されず、任意の方法及び構成が採用されてよい。
【0059】
AED収納センサ74は、AED収納ボックス28にAED41が収納されている第1の状態と、AED収納ボックス28からAED41が持ち出されている第2の状態とを、それぞれ検知可能である。これらの検知結果は、中継装置16を介して案内看板15に出力される。
【0060】
外部通信部72は、カメラユニット27が有する、通信ユニット75と接続される。通信ユニット75は、遠隔地の駐車場管理センターと、音声の送受信による通話、及びデータの送受信が可能なように接続される。駐車場管理センターとの間で送受信されるデータは、精算機14の遠隔操作により制御するためのデータを含む。
【0061】
すなわち本実施形態では、駐車場管理センターのオペレータにより、精算機14の動作を遠隔操作することが可能である。例えば駐車料金の精算に関する種々の処理や、案内看板15に設けられた満空表示部53及びAED表示部54の動作が、遠隔操作により制御される。またカメラユニット27のカメラ38の動作や、開閉扉42の施錠及び解錠が遠隔操作により制御される。通信ユニット75は、本実施形態において通信部として機能する。カメラユニット27ではなく、精算機本体39に通信ユニットが設けられてもよい。
【0062】
図3に示すように、通信ユニット75は、データ端末装置(DCE:Data Circuit Terminating Equipment)76と、これに接続されるインターフェイス77とを有する。インターフェイス77には、精算機本体39の外部通信部72、カメラ38、及びインターフォン25が接続される。
【0063】
インターフェイス77は、データ端末装置76を介して公衆のPHS(Personal Handy−Phone System)網や、ISDN網などの広域通信回線網と接続される。これにより精算機14と、駐車場管理センターとの間で通信が可能となる。例えばカメラ38により撮影された撮影画像を駐車場管理センターに送信することも可能となる。なおDCEとは、精算機14から送られてきた信号を広域通信回線用の信号に変換する装置であり、一般的にはモデムやターミナルアダプタと云われるものである。
【0064】
案内看板15は、内部に制御部(表示制御部)78を有する。制御部78は、満空表示部53の表示内容を制御し、またAED表示部54のバックライトの点灯、消灯、及び点滅を制御する。また制御部78は、回転灯55の動作を制御する。回転灯55は点灯・点滅するランプがモータにより回転する装置であり、回転時にはブザー音が警報音として発生する。回転灯55は、駐車場10から車両5が退場する際の報知に用いられる。
【0065】
精算機本体39のAED収納センサ74から、第1の状態の検知を示す信号が出力されると、制御部78は、バックライトを点灯させて、AED41が使用可能であることを報知する。AED収納センサ74から、第2の状態の検知を示す信号が出力されると、制御部78は、バックライトを点滅させて、AED41が使用中であることを報知する。
【0066】
案内看板15に取り付けられたAED表示部54及び制御部78は、本実施形態において、報知部として機能する。駐車場10の敷地内において、案内看板15とは別の場所に、AED表示部とこれを制御する表示制御部とを有する報知部が構成されてもよい。
【0067】
図4は、遠隔地の駐車場管理センターを含む駐車場管理システムの構成例を示す概略図である。駐車場管理センター80には、オペレータが操作する複数の管理PC81と、各種データを一元的に保管する駐車場管理サーバ82とが設置される。図示しないが、各管理PC81には、オペレータ用のヘッドセット(ヘッドホンとマイク)が接続されている。オペレータは、ヘッドセットを用いて、駐車場10の利用者3と対話する。
【0068】
管理PC81は、図示しない一般的なインターネット接続アダプタを介してインターネット83に接続されており、さらに予め契約した広域通信回線網84と相互に通信可能な状態となっている。広域通信回線網84を介して、遠隔地に点在している複数の駐車場10の情報が一元的に管理PC81において把握可能となっている。これら複数の駐車場10を含めて駐車場管理システムが構築されている。
【0069】
各地に設置された駐車場10の規模が小さい場合、常駐の管理係員を配備することはコスト的に不可能であり、そのため駐車場10を十分に管理することが難しかった。従って
図4に示すような駐車場管理システムを構築することで、無人の有料駐車場を一括で遠隔監視して不慮の事態に備え、かつ、収益性や利便性を向上させることが可能となった。
【0070】
図4及び
図5を参照して、AED収納ボックス28に収納されているAEDユニット85について説明する。
図4では、AEDユニット85の構成例を示す正面図が図示されている。
図5は、AEDユニット85の機能的な内部構成例を示すブロック図である。AEDユニット85、AED収納ボックス28、AED収納センサ74により、本実施形態に係るAED部が実現される。
【0071】
図4及び
図5に示すように、AEDユニット85は、AED41と、AED41と一体的に設けられた携帯端末86とを有する。AED41は、表示部87と、操作ボタン88と、スピーカ89と、給電パッド90とを有する。またAED41は、制御部91と、高電圧部92と、通信部93と、電源制御部94とを有する。
【0072】
利用者3が、操作ボタン88を押下することにより、制御部91の制御に応じて、表示部87が電圧のチャージ状態を表示する。チャージが完了すると、高電圧部92が高電圧を給電パッド90に供給する。その際に、スピーカ89から「危険ですから離れてください!」といった音声による案内が行われる。
【0073】
電源制御部94は、充電用コイル95を有する電池パックを有する(充電用コイルのみ図示)。AEDユニット85がAED収納ボックス28に収納されると、AED収納ボックス28側に設けられた充電コイルにより、非接触式の充電が行われる。また電源制御部94には、外部機器への電源供給が可能な、例えばUSB端子のような端子部(図示なし)が設けられている。本実施形態では、所定のケーブル96を介して端子部と、携帯端末86とが接続されている。
【0074】
通信部93は、AED41の内部状態を出力したり、外部より種々の設定を行うための信号等を入力することが可能となっている。通信部93の具体的な構成は限定されない。
【0075】
携帯端末86としては、例えばPHS端末が用いられるが、これに限定されない。携帯端末86は、制御部98と、通話部99と、操作キー群100と、GPS受信部101と、給電/通信部102とを有する。
図4及び
図5に示すように、通話部99は、広域通信回線網と接続され通話が可能となっている。GSP受信部101は、GPS衛星からの電波に基づき携帯端末86の現在の位置情報を取得可能である。給電/通信部102には、AED41の電源制御部94からケーブル96を介して電源が供給される。また給電/通信部96は、AED41の通信部93と通信可能である。
【0076】
携帯端末86は、AED収納ボックス28からAEDユニット85が持ち出されると、自動的に通話可能な状態となる。例えば電源制御部94の充電用コイル95の充電状態が変化したことが制御部91により感知され、その情報が通信部93を介して出力される。携帯端末86では、当該情報を給電/通信部102を介して受信し、制御部98により自動的に通話状態に設定される。
【0077】
本実施形態では、携帯端末86は、駐車場管理センター80のオペレータと通話可能となる。これに限定されず、AEDユニット85の製造元、近所の消防署、又は専門の医療機関等と通話が可能となってもよい。なおAEDユニット85の持ち出しに伴って自動的に通話状態がスタートするための方法は限定されず、任意の方法が採用されてよい。
【0078】
AEDユニット85内部において、AED41と携帯端末86とは、取り外し不能に一体的に固定されている。なお携帯端末86は、利用者3から視認できない状態となっていてもよい。例えば通話できる程度に通話部99のみが開口していて、それ以外がカバー等で覆われていてもよい。また操作キー群100は省略されてもよい。
【0079】
次に、AED41の使用手順について説明する。何らかの緊急事態が発生して利用者3がAED41の使用を所望したとする。AED収納ボックス28の開閉扉42は解錠しているので、利用者は、開閉扉42を開けてAEDユニット85を持ち出すことができる。AEDユニット85が取り出されると、その状態がAED収納センサ74により検知される。それに応じて、案内看板15のAED表示部54にて点灯されていたAEDの文字が、点滅して表示される。この際に所定の警報音等が発生してもよい。
【0080】
またAEDユニット85が持ち出されると、携帯端末86が、駐車場管理センター80のオペレータと通話可能になる。これにより利用者3とオペレータとが自動的に対話可能となる。利用者3は、例えば状況の説明を行ったり、緊急事態への対応方法やAEDの使用方法を、オペレータに尋ねることができる。この結果、自分自身を落ち着かせることや、AEDの適切な使用を含め、緊急事態に対して適切な対応をとることが可能となる。
【0081】
オペレータ側では、利用者3への呼びかけ、緊急事態の発生の有無、及びその状況等を十分に聞き出すことができる。また遠隔操作により、カメラ38の動画撮影を開始し、精算機14周辺の映像をLIVE映像として、管理PC81のモニタに表示させることができる。なおカメラ38の起動は、AEDユニット85の持ち出しや、携帯端末86との通話の開始と同時に、自動的に開始されてもよい。
【0082】
またオペレータは、必要であれば、AED41の使用方法や救命措置等を指導・ガイドする、又は利用者3を励ます、等のサポートを行うことが可能である。また、近所の消防署等に緊急車両を要請し、携帯端末86との通話をその係員に繋ぐことが可能である。また専門の医療機関の緊急対応の係員に通話を繋ぐことも可能である。これにより医療機関等からの専門的なサポートを利用者に受けさせることができる。
【0083】
緊急事態の発生に対して、利用者3がAEDの使用を迷ってしまう場合も考えらえる。このような場合でも、精算機14に設けられたインターフォン25を使用することで、十分に対応することが可能である。利用者3がインターフォン25の通話ボタン37を押下すると、精算機14はインターフォン25からDCE76と広域通信回線網84を介して駐車場管理センター80に発呼(コール)する。それに伴い、駐車場管理センター80の管理PC81が自動的にアラームを表示させ、適宜警報音も出してもよく、駐車場管理センター80のオペレータに通知する。
【0084】
オペレータはそれに応答するために、管理PC81の所定の操作をおこなって現地駐車場10の精算機14との通話を開通させ、利用者3に呼びかける。そして例えばAED41の使用を指示した後は、携帯端末86が繋がったときと同様に、利用者へのサポートが可能となる。この場合、インターフォンによる通話と、携帯端末86による通話とが適宜切り替え可能であってもよい。
【0085】
通常時では、インターフォン26は、駐車場10内のトラブルや要望、苦情の内容などを確認するために使用される。本発明では、オペレータとの対話を、AED41の適切な使用を実現するために活用することが可能である。
【0086】
またAEDユニット85が持ち出されるのに伴って、GPS信号の移動履歴が逐次記録される。すなわち携帯端末86の位置情報の履歴が逐次記憶される。例えば携帯端末86内に搭載されたメモリ等により、GPS信号を一定時間記録することができる。携帯端末86の位置情報は、駐車場管理センター80に送信される。これによりAEDユニット85の現在地の情報が取得可能となる。なお携帯端末86に、ジャイロセンサや加速度センサ等が設けられ、AEDユニット85の移動が検出可能であってもよい。
【0087】
AEDユニット85が持ち出されてAEDの文字が点滅表示される時間が設定されてもよい。すなわちAEDユニット85が持ち出され所定の時間が経過した後に、一端AEDの文字が消灯され、AEDユニット85の返却をもって、再度AEDの文字が点灯されてもよい。所定の時間としては、例えばAED41の持ち出しから、緊急車両が到着するまでの時間として、約15分程度に設定される。この時間に限定されず、また遠隔操作によって延長したり、途中で消灯させることも可能である。
【0088】
AED41の返却の検知は、AED収納センサ74による第1の状態の検知により実行可能である。これに加えて携帯端末86の位置情報が用いられてもよい。例えば精算機本体39のメモリ62に精算機14の位置情報が記憶され、CPU61により、携帯端末86により取得された位置情報と、精算機14の位置情報とが合致するか否かが判定される。この際CPU61は、判定部として機能する。
【0089】
案内看板15にて、AED41の使用中(第2の状態)が報知された後、AED収納センサ74により第1の状態が検知され、上記のCPU61の判定の結果が肯定である場合に、AEDユニット85の返却の完了が検知されてもよい。そしてAED表示部54により、第1の状態が報知されてもよい。これによりAEDユニット85の返却を確実に検知することが可能となり、第1の状態の報知を正確に実行することが可能となる。またAEDユニット85の返却を確認するために係員を駐車場に派遣する必要をなくすことができる。
【0090】
利用者3がAEDユニット85を返却せず放置したり、失念した場合には、オペレータが携帯端末86を発呼して通話により返却を要請することができる。また携帯端末85のGPSの位置情報から、AEDユニット85の場所を特定することもできる。従って管理PC81上の地図アプリケーション上に、現在の位置情報を表示させ、別途係員(駐車場の管理や釣銭等の補充、回収を行う係員ら)に指示して、回収させることも可能である。
【0091】
昨今において、AEDを多数設置して普及させ、緊急対応を一般の住民が行うことが推奨されている。上記で説明したように、本発明者は、可搬型のAEDを駐車場の精算機に設置し、その管理を駐車場管理センターで行うことを新規に考案した。
【0092】
上でも述べたが、これにより以下のような効果を発揮させることが可能となる。
駐車場の近隣の住民などもAEDを活用でき、緊急時には精算機の通信・通話機能を利用して、緊急車両の誘導や、人命蘇生措置等のサポートを行う事ができる。
精算機にAEDを設置することで、近隣の住民などにも駐車場の場所を覚えてもらい易く、駐車場の稼働率が上昇する。
携帯端末のGPSの位置情報で、持ち出し場所の特定や、返却有無の確認が駐車場センターから可能となる。
AEDの普及は公益財団法人日本心臓財団や様々なNPO法人が推進しており、各自治体でも設置の協力を求めている。本発明によれば、駐車場の営業目的だけでなく、社会貢献が可能となる。
AEDを設置することで補助金が出る自治体もあるため、AED設置コストを抑えることが可能となる。
遊休地の活用として、駐車場の運営に乗り出す土地オーナーが増加する。
駐車場を管理するシステムを利用することが可能であるので、緊急時に対応可能な本発明に係るシステムを構築するためのコストを十分に抑えることが可能となる。
【0093】
これらの効果を含む本開示中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではない。また上記の複数の効果の記載は、それらの効果が必ずしも同時に発揮されるということを意味しているのではない。条件等により、少なくとも上記した効果のいずれかが得られることを意味しており、もちろん本開示中に記載されていない効果が発揮される可能性もある。
【0094】
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0095】
例えば緊急事態が発生していないのにAEDユニット85を持ち出すといった、心無い悪戯をする者が現れる可能性がある。通常の駐車場システムにおいては、精算機14や案内看板15への悪戯や不正行為、駐車車両5'に対する盗難や車両荒らし等の犯罪行為等を防止するために、防犯カメラ等が設置されることが多い。そのような防犯カメラや、上記で説明した精算機14のカメラユニット27により、駐車場内の人物の行動を監視・記録が可能であるので、AEDに対する悪戯を防止することにも非常に有利である。
【0096】
またAEDの悪戯を防止するために、AED収納ボックス28の開閉扉42が常時施錠されていてもよい。そして駐車場管理センター80のオペレータによる判断により、適宜開閉扉42の施錠及び解錠が制御されてもよい。
【0097】
例えば利用者3がAEDの使用を所望する場合には、まずインターフォン25の通話ボタン37が押下され、オペレータとの対話が開始する。利用者3は、現在の状況やAEDを使用したい旨をオペレータに説明する。オペレータは、利用者3の説明内容やカメラ38からの撮影画像をもとに、例えば運用ルールに則り、AEDを使用すべき状況か否かを判断する。そしてAEDの使用が必要だと判断した場合には、遠隔操作により、開閉扉42を解錠する。この際には、カメラ38を介して利用者3に免許証の提示を依頼したり、電話番号の申告を依頼したりしてもよい。
【0098】
遠隔操作により開閉扉42を解錠する方法は限定されないが、例えば遠隔操作により、AED収納ボックス28の開閉扉42の鍵をロックしているソレノイド等の通電をOFFさせ、ソレノイドによってロックされていた鍵を移動させることで、解錠が実現される。その他の構成が採用されてもよい。
【0099】
AEDユニット85の返却時には、AED収納センサ74の検知や、GPS信号による位置情報を用いた返却の検知等をもとに、オペレータの遠隔操作、または自動的に開閉扉42が施錠される。そして開閉扉42の施錠後に、AED表示部54にてAEDの文字が点灯される。このように駐車場管理センター80のオペレータの判断によりAEDの使用の許可及び否認が行われてもよい。これにより不審者等が勝手にAEDを持ち出してしまうといった悪戯を防止することができる。
【0100】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。