(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受圧体は、内部に前記受圧部の外径より大きい前記対物レンズを収容可能な中空状の本体部と、前記本体部と前記受圧部とを接続し、前記内部が前記受圧部から前記対物レンズに向けて拡がる円錐部と、を有している、
請求項1又は請求項2に記載のタイヤ踏面の接地面挙動測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タイヤの摩耗性能をより効率的に検討するために、タイヤ摩耗エネルギの算出精度を向上させることが望まれている。そのためには、例えば、タイヤ踏面の路面に対する滑りの算出精度を向上させることが必要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の測定装置では、透明な棒状部材を介してタイヤ踏面の接地面を撮像しているため、少なくとも棒状部材の長さだけ離間した位置からタイヤ踏面を撮像することになる。このため、撮像されるタイヤ踏面の接地面の画像は不鮮明となりやすい。また、透明な棒状部材は、受圧部に固定されているため受圧部に作用する振動が伝達されやすく、このため、撮像された画像にぶれが生じやすい。すなわち、特許文献1、2の測定装置では、タイヤ踏面の路面に対する滑りの測定精度が十分でない。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、タイヤ踏面の接地挙動測定におけるタイヤ踏面の路面に対する滑りの算出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タイヤ踏面の接地面挙動測定装置であって、測定孔を有し、タイヤが転動される路面プレートと、前記測定孔内に位置しており且つ頂面が前記路面プレートのタイヤ接地面と面一状とされた受圧部を、先端に有しており、前記路面プレートに対して相対変位可能に配置された受圧体と、前記受圧体の基端部に接続され、前記路面プレートを転動する前記タイヤのタイヤ踏面に作用する接地圧を検知する圧力検出器と、前記路面プレートを挟んで前記タイヤの反対側に位置しており、前記測定孔に対向してこの直下近傍に配置された対物レンズと、前記路面プレートを転動する前記タイヤの前記タイヤ踏面の接地面を、前記受圧部の内側から前記対物レンズを介して撮像する撮像手段と、撮像された画像に基づいて、前記タイヤ踏面の接地面の、前記路面プレートに対する滑りを算出する滑り算出部とを備え、前記対物レンズは、上端面が、前記路面プレートの前記タイヤ接地面よりも下方に位置して
おり、前記対物レンズは、前記受圧体に固定されていないことを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、対物レンズを介することで、タイヤ踏面の接地面を拡大して撮像できる。しかも、対物レンズによってタイヤ踏面から反射される光を広範囲にわたって集光して結像できるので、より明るい画像が得られる。すなわち、対物レンズを介して撮像することで、拡大されたより明るいタイヤ踏面の接地面の画像が得られ、この画像に基づいて、滑り算出部による、滑りの算出精度を向上させることができる。
【0010】
したがって、算出精度が向上したタイヤ踏面の接地面の滑りの算出値と、タイヤ踏面に作用するタイヤ接地圧の計測値と、に基づいて、タイヤ摩耗エネルギの測定精度を向上させることができる。
【0011】
前記対物レンズ及び前記撮像手段は、前記路面プレートに対して相対変位不能に配置されている、ことが好ましい。
【0012】
本構成によれば、路面プレートと、対物レンズ及び撮像手段との位置関係が固定されるので、常に焦点のあったタイヤ接地面の画像が得られる。しかも、タイヤ踏面に当接する受圧体に生じる振動は、圧力検出器で吸収されるので、対物レンズ及び撮像手段に前記振動が伝達されることがなく、ぶれのないタイヤ接地面の画像が得られる。したがって、滑り算出部による、タイヤ踏面の接地面の滑りの算出精度をさらに向上させることができる。
【0013】
前記対物レンズと前記撮像手段との間の光路に、接眼レンズが配置されている、ことが好ましい。
【0014】
本構成によれば、対物レンズに加えて接眼レンズを配置することで、対物レンズで結像されて拡大されたタイヤ接地面の画像をさらに拡大して撮像できる。これにより、タイヤ踏面の接地面の微細な領域における挙動を計測できる。
【0015】
前記受圧体は、内部に
前記受圧部の外径より大きい前記対物レンズを収容可能な中空状の本体部と、前記本体部と前記受圧部とを接続し、
前記内部が前記受圧部から前記対物レンズに向けて拡がる円錐部と、を有している、ことが好ましい。
【0016】
本構成によれば、対物レンズに向けて拡がる円錐部によって、円錐部の頂部に位置する受圧部の内側を通して放射される光を、広範囲にわたって対物レンズに集光させることができ、より明るい画像が得られる。しかも、受圧部は円錐部の頂部に設けられているので、受圧部を小径に構成でき、これにより微細な領域におけるタイヤ接地圧の検知性能を維持できる。
【0017】
すなわち、タイヤ踏面のタイヤ接地面から放射される光を広範囲にわたって対物レンズへ集光させることを可能としながらも、受圧部が大型化することを防止して、微少な領域におけるタイヤ接地圧の検知性能を維持できる。また、対物レンズを、受圧体の内側にコンパクトに配置できる。
【0018】
前記対物レンズの前記測定孔と反対側に配置され、前記対物レンズと前記撮像手段との間の光路を屈曲させる反射鏡又はプリズムが配置されている、ことが好ましい。
【0019】
本構成によれば、撮像手段が測定孔の軸線を避けた位置に配置されることになるので、撮像手段と前記軸線上に位置する圧力検出器との干渉を回避できる。これにより、装置レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0020】
前記撮像手段は、前記受圧体の内部に配置されている、ことが好ましい。
【0021】
本構成によれば、受圧体の内部に光学系を収容できるので、装置レイアウトを受圧体の軸線方向に纏めつつ径方向にコンパクトに構成できる。
【0022】
また、本発明の他の側面に係る発明は、タイヤ踏面の接地面挙動測定方法であって、試験タイヤを、測定孔を有する路面プレート上で転動させるタイヤ転動ステップと、前記測定孔に位置しており且つ上端面が前記路面プレートのタイヤ接地面と面一状とされた受圧部を先端に有する受圧体を介して、前記路面プレートを転動する前記試験タイヤのタイヤ踏面に作用する接地圧を、圧力検出器により検出するタイヤ接地圧検出ステップと、前記路面プレートを挟んで前記試験タイヤの反対側に位置しており且つ前記測定孔に対向してこの直下近傍
であって、上端面が、前記路面プレートの前記タイヤ接地面よりも下方に配置されており、前記受圧体に固定されていない、対物レンズを介して、前記路面プレートを転動する前記試験タイヤの前記タイヤ踏面の接地面を、撮像手段により撮像するタイヤ接地面撮像ステップと、撮像された画像に基づいて、前記タイヤ踏面の接地面の、前記路面プレートに対する滑りを算出する滑り算出ステップとを備えている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るタイヤ踏面の接地面挙動測定装置、及びタイヤ踏面の接地面挙動測定方法によれば、タイヤ踏面の接地挙動測定におけるタイヤ踏面の路面に対する滑りの算出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1は本発明の一実施形態に係るタイヤ接地面挙動測定装置1の平面図であり、
図2は
図1のA方向矢視による同装置1の側面図であり制御装置40を合わせて示しており、
図3は
図1のB方向矢視による同装置1の正面図である。なお、本実施形態において、試験タイヤTをタイヤ接地面挙動測定装置1の長手方向に沿って転動させる方向を該装置1の前後方向とし、該装置1の短手方向を左右方向とし、路面に垂直な方向を上下方向として、以下説明する。
【0027】
図1に示されるように、タイヤ接地面挙動測定装置1は、ベースフレーム2と、ベースフレーム2上に配設された前後に延びる路面プレート3と、ベースフレーム2上を前後方向に移動可能とされた第1移動体11とを備えている。そして、タイヤ接地面挙動測定装置1は、試験タイヤTを路面プレート3上で転動させたときの、タイヤ踏面の接地面を撮像して路面に対する滑りを算出するとともに、タイヤ踏面に作用する接地圧を測定するものである。
【0028】
図2に示されるように、路面プレート3には、上下に貫通形成された測定孔3a(
図4も併せて参照)が設けられており、該測定孔3aを通して後述するタイヤ挙動検出センサ5によって、タイヤ踏面の接地面が撮像されるとともに、タイヤ踏面に作用する接地圧が測定されるようになっている。ベースフレーム2には、測定孔3aに対向する部分に凹部2aが設けられており、凹部2aには、タイヤ挙動検出センサ5が配置されている。
【0029】
図3に示されるように、第1移動体11には、左右方向に移動可能とされた第2移動体12と、第2移動体12に対して、水平方向R(
図1参照)に回転可能とされ、且つ、上下方向に移動可能とされた第3移動体13とが設けられている。
【0030】
第3移動体13の下部には、左右方向に延びるタイヤ支持軸14が、上下に揺動可能に設けられている。タイヤ支持軸14は、一端部に試験タイヤTが取り付けられるタイヤ取付部14aを備え、試験タイヤTに駆動力又は制動力を与えられるようになっている。
【0031】
図1に示されるように、第1移動体11は、サーボモータ21で回転されるボールネジ31で前後に移動可能とされている。第2移動体12は、サーボモータ22で回転されるボールネジ32で左右に移動可能とされている。
図3に示されるように、第3移動体13は、サーボモータ23で回転されるボールネジ33で上下に移動可能とされており、且つ、サーボモータ24で回転されるスクリュージャッキ34で水平方向R(
図1参照)に回転可能とされている。
【0032】
タイヤ支持軸14は、サーボモータ25(
図1参照)で回転されるスクリュージャッキ35で上下方向Qに揺動可能とされており、サーボモータ26によりタイヤ取付部14aに駆動力又は制動力を与えられる。
【0033】
図2に示されるように、タイヤ接地面挙動測定装置1は、制御装置40を備えている。制御装置40は、各サーボモータ21〜26を制御するタイヤ転動制御部41と、タイヤ挙動検出センサ5を制御するセンサ制御部42と、タイヤ踏面の滑りを算出する滑り算出部43と、記憶部44と、備える。タイヤ転動制御部41、センサ制御部42、及び滑り算出部43は、CPU、メモリ、記憶装置、入出力装置を備えた周知のコンピュータと、コンピュータに実装されたソフトウエアとにより実現されている。
【0034】
タイヤ転動制御部41は、各サーボモータ21〜26を制御することで、様々な走行条件及び様々なアライメントにおいて、試験タイヤTを転動させることできる。例えば、第3移動体13を水平方向Rに所定角度で回転させることで、スリップ角を所望の角度に変更でき、タイヤ支持軸14(
図3参照)を上下に所定角度で揺動させることで、キャンバー角を所望の角度に変更できる。
【0035】
センサ制御部42は、タイヤ挙動検出センサ5を制御して、測定孔3a上を転動される試験タイヤTのタイヤ接地面を撮像するとともに、タイヤ接地面に作用する接地圧を測定し、タイヤ接地面の画像及びタイヤ接地圧の測定値を記憶手段に保存する。そして、滑り算出部43は、記憶部44に保存されたタイヤ接地面の画像に基づいて、パターンマッチングを実施してタイヤ踏面の路面に対する滑りを算出する。
【0036】
次に、
図4を参照して、タイヤ挙動検出センサ5について説明する。
図4は
図1のIV−IV線に沿った断面を示しており、タイヤ挙動検出センサ5の上下方向に沿った断面を示している。タイヤ挙動検出センサ5は、試験タイヤTが路面プレート3の測定孔3aを通過するときの、タイヤ踏面に作用する接地圧を計測する接地圧検出部50と、タイヤ踏面の接地面を撮像する接地面撮像部60とを備えている。接地圧検出部50及び接地面撮像部60は、凹部2a(
図2参照)の底面2bに固定されたセンサベース80に、それぞれ固定されている。
【0037】
接地圧検出部50は、タイヤ踏面に作用する接地圧を受ける受圧体51と、受圧体51を介してタイヤ踏面に作用する接地圧を検出する圧力検出器57とを有している。
【0038】
受圧体51は、内側に対物レンズ61が収容されるように中空状とされており、円筒状の受圧部52と、受圧部52の下部から下方へ拡がる円錐部53と、円錐部53の下部から下方へ延びる有底の円筒状の本体部54と、を有している。受圧体51の中心線C1、具体的には受圧部52、円錐部53、及び本体部54の中心線C1は、測定孔3aの中心線C0に一致している。受圧部52は、頂面51aが路面プレート3のタイヤ接地面3bと面一状となるように、測定孔3a内に配置されている。
【0039】
なお、受圧部52及び円錐部53には、例えば樹脂製の透明部材は充填されておらず、上方(すなわち、タイヤ接地面側)に向けて開口している。言い換えれば、受圧部52及び円錐部53は、タイヤ接地面側に連通している。
【0040】
受圧部52は、小径且つ薄肉に構成された円筒状体とされ、測定孔3aの内側に対して隙間をもって配置されており、上端側に開口する観察部52aを通してタイヤ接地面を観察可能とされている。受圧部52は、好ましくは、直径が約2〜4mmであり、肉厚が0.5〜1mmである。これにより、タイヤ接地面のより微細な領域のタイヤ接地圧を検知可能とするとともに、観察部52aを通してタイヤ接地面の挙動を観察可能とされている。
【0041】
受圧部52の外径が2mmより小さい場合、又は直径が2〜4mmであっても肉厚が1mmより大きい場合、受圧部52の内側を通してタイヤ踏面の接地面の撮像することが困難となる。受圧部52の外径が4mmより大きい場合、タイヤ接地面の微細な領域の接地圧を検出できない。肉厚が0.5mmより小さい場合、タイヤ接地圧を受けて受圧部52が変形しやすく、タイヤ接地圧を正確に検知できない。
【0042】
本体部54は、内側に対物レンズ61を収容可能な円筒状体とされ、側部において後方に向けて開口する開口54aと、圧力検出器57に接続される底部54bと、を有している。受圧部52の外径より大きな対物レンズ61を収容するため、本体部54の外径は受圧部52の外径よりも大きく形成されている。円錐部53は、受圧部52の下端部と本体部54の上端部とを接続するように、円錐状に構成されている。
【0043】
圧力検出器57は、基端部57aがセンサベース80に固定されており、上端部57bに本体部54の底部54bが接続されている。圧力検出器57としては、例えば周知のロードセルを使用でき、平面における直交2分力、又はこれにタイヤの法線方向分力を加えた直交3分力を測定可能な、2軸又は3軸ロードセルを使用できる。
【0044】
なお、円錐部53及び本体部54は、受圧部52よりも厚肉とされて剛性が高められており、これにより受圧部52で検知したタイヤ接地圧を変形することなく圧力検出器57に伝達して、タイヤ接地圧が圧力検出器57で精度良く検出される。
【0045】
また、受圧部52と円錐部53との内径側の接続部には、テーパー部55が形成されており、これにより受圧部52の内径部の下端位置52bが下方に位置するのを回避して、受圧部52の上端の観察部52aから放射される光を、広範囲にわたって対物レンズ61に導入させやすい。また、テーパー部55により受圧部52から円錐部53へ肉厚を徐変させたので、受圧部52と円錐部53との外径側の接続位置の外径が大きくなることを回避して、受圧部52を小径且つ薄肉に構成できる。
【0046】
すなわち、受圧部52と円錐部53との内径側の接続部にテーパー部55を設けることで、円錐部53を厚肉としつつも、受圧部52が大型化するのを回避して、微細な領域のタイヤ接地圧の検知を可能できる。しかも、タイヤ接地面から放射される光を広範囲にわたって対物レンズに導入させることができ、これにより対物レンズで明るい画像を結像させることができる。
【0047】
接地面撮像部60は、対物レンズ61と、ミラー62(反射鏡)と、接眼レンズ63と、撮像手段64と、光源装置65と、ミラー66と、これらの部品61〜66を保持するとともに内部に光路を画定している撮像部本体70と、を有している。
【0048】
撮像部本体70は、筒状体とされ、上下方向に延びる第1部分71と、第1部分71の下端部から前後方向に延びる第2部分72と、第2部分72から下方に延びる第3部分73とを備え、第2部分に設けた取付部72aでセンサベース80に固定されている。
【0049】
撮像部本体70がセンサベース80に固定された状態で、第1部分71は中心線C3を測定孔3aの中心線C0に一致させて受圧体51の内側に位置しており、第2部分72は受圧体51の開口54aを通過して受圧体51の外側へ後方に延びており、第3部分73は受圧体51の外側に位置している。
【0050】
第1部分71の上端部には、対物レンズ61がレンズ軸C2を、測定孔3aの中心線C0に一致させて取り付けられている。対物レンズ61は、複数の、凸レンズ、凹レンズ、及び/又は非球面レンズを組み合わせて構成されており、収差補正がなされている。
【0051】
第1部分71と第2部分72との交差部には、ミラー62が配置されている。ミラー62は、対物レンズ61で結像される光が、第2部分72の中心線C4に沿った方向に反射されるように傾斜して配置されている。本実施形態では、第1部分71は上下方向に延びており、第2部分72は前後方向に延びているので、ミラー62は、水平状態から後方に向けて45°の角度で傾斜して配置されている。
【0052】
第2部分72の後端部には、接眼レンズ63と撮像手段64とが前から順に配置されており、ミラー62で反射された光が結像されてなる像を、接眼レンズ63でさらに拡大して撮像手段64で撮像できるようになっている。本実施形態においては、対物レンズ61及び接眼レンズ63とで、例えば約5倍の倍率で観察部52aを拡大して、タイヤ踏面のタイヤ接地面を撮像できるようになっている。
【0053】
第3部分73の下端部には、光源装置65が配置されている。また、第2部分72と第3部分73との交差部には、ミラー66が配置されている。ミラー66は、ハーフミラーとされ、光源装置65が放射された光をミラー62に向けて反射するように、水平状態から後方へ向けて45°の角度で傾斜して配置されている。一方で、ミラー66は、ミラー62から後方へ反射される光を、接眼レンズ63及び撮像手段64へ向けて透過させる。
【0054】
撮像手段64としては、カメラ又はビデオカメラを採用してもよく、例えば連写機能を備えたデジタルカメラを採用できる。
【0055】
以下に、タイヤ接地面挙動測定装置1の作動、及び該装置1を用いたタイヤ踏面の接地面挙動測定方法について説明する。
【0056】
まず、タイヤ支持軸14のタイヤ取付部14aに取り付けられた試験タイヤTを、タイヤ転動制御部41により、各サーボモータ21〜26を制御して、所望の転動条件(上下方向の荷重、駆動状態、制動状態、スリップ角、キャンバー角等を適宜設定)の下、路面プレート3上で転動させる(タイヤ転動ステップ)。
【0057】
次に、試験タイヤTが測定孔3a上を転動されるとき、センサ制御部42は、接地圧検出部50を作動させて、タイヤ踏面に作用するタイヤ接地圧を検出する。具体的には、タイヤ踏面に作用するタイヤ接地圧が、受圧体51の受圧部52で検知されて、円錐部53及び本体部54を介して圧力検出器57へ伝達される。そして、圧力検出器57によって、タイヤ踏面に作用するタイヤ接地圧が検出される(タイヤ接地圧検出ステップ)。
【0058】
このとき、受圧部52は小径に構成されているので、タイヤ踏面のより微細な領域に作用するタイヤ接地圧を検知でき、これにより、タイヤ踏面に作用するタイヤ接地圧を高精度に検出できる。
【0059】
また、タイヤ接地圧を検出するのと同時に、センサ制御部42は、接地面撮像部60を作動させて、観察部52aを通してタイヤ接地面を撮像する。具体的には、光源装置65から上方へ向けて放射された光が、ミラー66で前方へ反射される。前方へ反射された光は、ミラー62で上方へ反射されて、観察部52aが対物レンズ61を通して照射されることになる。
【0060】
観察部52aに照射された光により、測定孔3aを転動される試験タイヤTのタイヤ接地面が照らされて、反射光がタイヤ接地面から下方へ放射される。タイヤ接地面から放射された反射光は、対物レンズ61により広範囲にわたって集光されて、対物レンズ61の下方で結像されることになる。対物レンズ61により結像される光は、ミラー62によって後方へ反射されて接眼レンズ63に至る。対物レンズ61で結ばれた像が、接眼レンズ63を介することで拡大されて、撮像手段64によって撮像されて、記憶部44に記憶される(タイヤ接地面撮像ステップ)。
【0061】
すなわち、観察部52aを通して、測定孔3a上を転動される試験タイヤのタイヤ接地面を、対物レンズ61及び接眼レンズ63を通して撮像することで、拡大して撮像できる。さらに、観察部52aの直下に対物レンズを配置するとともに、受圧部52と円錐部53との内径側の接続部にテーパー部55を設けたことで、タイヤ接地面から反射される光を対物レンズ61で広範囲にわたって集光することができ、明るい画像が得られる。
【0062】
次に、滑り算出部43は、記憶部44に記憶されたタイヤ接地面の画像に基づいて、パターンマッチングを実施して、タイヤ踏面のタイヤ接地面の路面プレート3に対する滑りを算出する(滑り算出ステップ)。
【0063】
接地面撮像部60によって撮像された拡大され且つ明るい画像に基づいて、タイヤ踏面の路面プレート3に対する滑りの算出精度が高められ、タイヤ踏面の微細な挙動を検出できる。
【0064】
以上説明した、タイヤ接地面挙動測定装置1、及び該装置1を用いたタイヤ踏面の挙動測定方法によれば、以下の効果を発揮できる。
【0065】
(1)受圧部52及び円錐部53をタイヤ接地面側に向けて開口させるように構成したので、受圧部52及び円錐部53の内側に透明部材がなく、対物レンズ61を観察部52aの直下に配置できる。これにより、タイヤ踏面の接地面を拡大して撮像できる。しかも、観察部52aの直下に配置された対物レンズ61によって、タイヤ踏面から反射される光を広範囲にわたって集光して結像できるので、より明るい画像が得られる。
【0066】
すなわち、対物レンズ61を介して撮像することで、拡大されたより明るいタイヤ踏面の接地面の画像が得られ、この画像に基づいて、滑り算出部43による、滑りの算出精度を向上させることができる。したがって、算出精度が高められたタイヤ踏面の接地面の滑りの算出値と、タイヤ踏面に作用するタイヤ接地圧の計測値と、に基づいて、タイヤ摩耗エネルギの測定精度を向上させることができる。
【0067】
(2)接地面撮像部60は、センサベース80を介して、ベースフレーム2の凹部2aに固定されており、ベースフレームの上部には路面プレート3が固定されている。したがって、接地面撮像部60は、路面プレート3に対して相対変位不能に位置している。このため、観察部52aと接地面撮像部60の各要素との間の位置関係が固定されるので、常に焦点のあったタイヤ接地面の画像が得られる。
【0068】
また、受圧体51は、底部54bで圧力検出器57に取り付けられており、接地面撮像部60とは固定されていないので、タイヤ踏面に当接することで受圧体51に生じる変位及び/又は振動が、接地面撮像部60に伝達されることを防止されている。したがって、ぶれのないタイヤ接地面の画像が得られる。したがって、滑り算出部43による、タイヤ踏面の接地面の、路面プレート3に対する滑りの算出精度をさらに向上させることができる。
【0069】
加えて、受圧体51と接地面撮像部60とは固定されていないので、圧力検出器57に接地面撮像部60の重量が印加されない。さらに、制御装置40から撮像手段64と光源装置65に接続される電線に加わる張力も圧力検出器57に印加されない。したがって、圧力検出器57には受圧体51の重量とタイヤ接地面から受圧体51に作用する圧力のみを精度良く検知できる。
【0070】
(3)対物レンズ61に加えて接眼レンズ63を配置することで、対物レンズ61で結像されたタイヤ接地面の画像をさらに拡大して撮像できる。これにより、タイヤ踏面の接地面の微細な領域における挙動を計測できる。
【0071】
(4)対物レンズ61に向けて拡がる円錐部53によって、観察部52aから放射される光を、広範囲にわたって対物レンズに集光させることができ、より明るい画像が得られる。しかも、受圧部52は円錐部の頂部に設けられているので、受圧部52を小径に構成でき、これにより微細な領域におけるタイヤ接地圧の検知性能を維持できる。
【0072】
すなわち、タイヤ踏面のタイヤ接地面から放射される光を広範囲にわたって対物レンズ61へ集光させることを可能としながらも、受圧部52が大型化することを防止して、微少な領域におけるタイヤ接地圧の検知性能を維持できる。また、対物レンズ61を、受圧体51の内側にコンパクトに配置できる。
【0073】
(5)撮像手段64が測定孔3aの中心線C0を避けた位置に配置されることになるので、撮像手段64と中心線C0上に位置する圧力検出器57との干渉を回避できる。これにより、装置レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0074】
なお、上記の実施形態では、ミラー62を用いたが、これに代えて、上方から入射された光を後方へ反射するプリズムを用いてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、ミラー62を用いて、対物レンズで結像される光を後方へ反射させたが、ミラー62を用いずに、対物レンズの下方に接眼レンズ及び撮像手段を配置してもよい。これにより、装置レイアウトを受圧体の軸線方向に配置することができ、径方向にコンパクトに構成できる。
【0076】
本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変形が可能であることは言うまでもない。