(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386314
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】気化式石油給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
F24H1/10 303E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-189694(P2014-189694)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61486(P2016-61486A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】古舘 聡
(72)【発明者】
【氏名】丸山 寛也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寿英
(72)【発明者】
【氏名】田村 竹年
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−217521(JP,A)
【文献】
特開2009−192150(JP,A)
【文献】
特開2008−157540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/00,1/10,1/18−1/20,4/00−4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用ヒータを備え燃油を気化させる気化部と、この気化部の温度を検出する気化温度センサと、前記気化部で気化させた燃油を燃焼させる燃焼部とで構成されるバーナと、このバーナに燃焼空気を供給する燃焼ファンと、該バーナの燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し一次受熱管を流通する水を加熱する一次熱交換器と、凍結防止の所定温度を検出する温度検出手段と、前記気化温度センサが検出する温度が所定の制御温度範囲になるように前記加熱用ヒータを制御する制御手段と、を備え、前記バーナの上方に前記一次熱交換器を配置した気化式石油給湯装置であって、該気化式石油給湯装置を遠隔操作するリモコンの運転スイッチがオフされ、前記気化式石油給湯装置の運転が停止している時に、前記温度検出手段が前記凍結防止の所定温度を検出した場合は、前記制御手段は、前記加熱用ヒータをオンして凍結防止運転すると共に、この凍結防止運転時の前記所定の制御温度範囲を前記温度検出手段の検出温度が低くなる程高くなるようにして前記加熱用ヒータを制御するようにした事を特徴とする気化式石油給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気化式石油給湯装置の凍結防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の気化式石油給湯装置では、バーナに設けられている燃油を気化する加熱用ヒータを利用して、水流路である配管や熱交換器の凍結防止時に、通電させることで加熱用ヒータの熱でこれらの凍結を防止しようとしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3606937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この気化式石油給湯装置では、外気温度に関係なく確実に凍結防止をする為に、加熱用ヒータの制御温度は最高値である220℃近くを維持するように制御しているが、外気温がそれ程低くない時は、これ程高い温度は必要なく、電力が無駄で経済的ではないと言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決する為に、特にその構成を、加熱用ヒータを備え燃油を気化させる気化部と、この気化部の温度を検出する気化温度センサと、前記気化部で気化させた燃油を燃焼させる燃焼部とで構成されるバーナと、このバーナに燃焼空気を供給する燃焼ファンと、該バーナの燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し一次受熱管を流通する水を加熱する一次熱交換器と、凍結防止の所定温度を検出する温度検出手段と、前記気化温度センサが検出する温度が所定の制御温度範囲になるように
前記加熱用ヒータを制御する制御手段と、を備え、前記バーナの上方に前記一次熱交換器を配置した気化式石油給湯装置であって、該気化式石油給湯装置を遠隔操作するリモコンの運転スイッチがオフされ、前記気化式石油給湯装置の運転が停止している時に、前記温度検出手段が前記凍結防止の所定温度を検出した場合は、前記制御手段は、前記加熱用ヒータをオンして凍結防止運転すると共に、この凍結防止運転時の前記所定の制御温度範囲を前記温度検出手段の検出温度が低くなる程高くなるようにして前記加熱用ヒータを制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、凍結防止専用のヒータを用意することなく、燃油気化用の加熱用ヒータを利用して凍結防止を行うので、特別な部品が必要なく安価で済むものであり、又この凍結防止運転時の加熱用ヒータの制御温度は、外気温が低くなる程高くなるように可変されるので、電力消費の無駄がなく経済的でありながら確実に凍結を防止することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の一実施形態の気化式石油給湯装置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この発明の一実施形態の給湯装置を
図1に基づき説明する。
1は本実施形態の潜熱回収型の気化式石油給湯装置、2は石油等の燃油を気化するアルミダイキャスト製の気化器で、気化器2底部には気化ガスの流出口3を有しているものである。4は気化器2に備えられ燃油を気化可能な温度まで加熱する加熱用ヒータとしての気化器ヒータ、5は気化器2下部で流出口3と連通し気化器2で気化された気化ガスと一次空気とを予混合するアルミダイキャスト製の混合室、6は混合室5底部に設けられ混合室5を加熱して流出口3から流入してくる気化ガスの液化を防止し気化を促進する加熱用ヒータとしての混合室ヒータで、上述した気化器2と混合室5とで燃油を気化させる気化部7を形成するものである。
【0009】
8は気化器2の温度を検出する気化温度センサ、9は混合室5の温度を検出する混合室温度センサ、10は混合室5上部で気化器2の背面側に備えられ、混合室5で予混合された予混合ガスを燃焼させる燃焼部で、この燃焼部10と気化部7とでバーナ11を構成するものである。また、12は気化器2と一体的に形成され、気化器2背面で燃焼部10上に突出した複数個の吸熱フィンで、燃焼時には燃焼熱を気化熱として気化器2にフィードバックして、気化器ヒータ4の通電量を極力抑えるものである。
【0010】
13は気化器2に燃油を噴霧するノズル、14はノズル13に送油管15を介して燃油を圧送する電磁ポンプ、16は燃焼ファンで、送風路17を介して気化器2の入口および燃焼部10とカバー枠18との間の空気室19とに連通し、吸込口20より吸引した燃焼空気を、気化器2には予混合用の一次空気として供給し、空気室19には気化器2側方を通り混合室5の下方から燃焼部10で燃焼される二次空気として供給するものである。
【0011】
21は燃焼室22内に収容された熱交換器で、この熱交換器21は、燃焼部10の燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し一次受熱管23を流通する水を加熱するフィンチューブ式の一次熱交換器24と、一次熱交換器24を通過した後の燃焼ガスから潜熱を回収し二次受熱管25を流通する水を加熱する二次熱交換器26とから構成され、燃焼部10の上方に一次熱交換器24が配置され、一次熱交換器24の上方に二次熱交換器26が配置されているものであり、一次熱交換器24、二次熱交換器26の順に通過した燃焼ガスは排気口27より給湯装置1外に排気されるものである。
【0012】
28は燃焼ガス中の水蒸気が二次熱交換器26の二次受熱管25を流通する水と熱交換して露点以下の温度となることにより生成されるドレンを回収するドレン受けで、ドレン受け28は、一次熱交換器24の上方且つ二次熱交換器26の下方に配置されているものであり、ここでは、二次熱交換器26を構成する耐食性を有する筐体(図示せず)の底板がドレン受け28となっているものである。また、29はドレン受け28で回収されたドレンを中和装置30に導くドレン配管である。
【0013】
31は給水源から供給される水を熱交換器21に流通させる給水管、32は熱交換器21で加熱された湯を流通させ、所定箇所に設けられた給湯栓(図示せず)に湯を供給する給湯管、33は給水管31から分岐した給水バイパス管であり、一次受熱管23と二次受熱管25と給水管31と給湯管32と給水バイパス管33とで水が流通する給湯回路を構成するものである。
【0014】
34は給湯管32と給水バイパス管33との接続部に設けられ、給湯管32からの湯と給水バイパス管33からの水とを混合し、その混合比を可変できる混合弁、35は給水管31に設けられ給水温度を検出する温度検出手段としての給水温度センサ、36は給水管31に設けられ流量を検出する流量センサ、37は給湯管32に設けられ熱交換器21で加熱された湯の温度を検出する温度検出手段としての熱交出口温度センサで、運転停止時には凍結防止の所定温度を検出するものであり、38は給湯管32に設けられ混合弁34で混合された湯の温度を検出する温度検出手段としての給湯温度センサであり、39は燃焼ファン16の吸引口20近傍に備えられ燃焼空気温度を検出する空気サーミスタである。
【0015】
40はマイクロコンピュータを主体として、この潜熱回収型気化式石油給湯装置1の各センサの信号を受け、気化器ヒータ4や混合室ヒータ6や燃焼ファン16等の各アクチュエータの駆動を制御する制御手段であり、給湯装置1の運転停止状態で外気温度が下がり凍結防止の所定温度を温度検出手段37が検出するとこの制御手段40が判断して、加熱用ヒータ4、6を通電させて発生した熱気を自然対流させ、配管や熱交換器21の凍結を防止するものであり、また、制御手段40は温度検出手段37が検出する凍結防止の所定温度が低くなる程、加熱用ヒータ4、6の制御温度を高くするものであり、具体的には、温度検出手段37が−5℃を検出すると気化温度センサ8によって加熱用ヒータ4、6の制御温度を130℃〜140℃に制御し、外気温度が更に下がり−10℃に達すると170℃〜180℃に制御し、−3℃で元の制御温度に戻るもので、更に下がり−20℃に達すると220℃〜225℃に制御し、−8℃で元の制御温度に戻るもので、無駄な電力消費をなくし効率が良くしかも確実に凍結防止が行われるようにしたものであり、外気温度が3℃になるとこの凍結防止運転は一旦停止されるものである。
【0016】
41は前記制御手段40と通信可能に接続され、潜熱回収型気化式石油給湯装置1の遠隔操作を行うリモコンで、リモコン41は潜熱回収型気化式石油給湯装置1の運転のオンオフを指示する運転スイッチ42や、給湯温度を設定するための給湯温度設定スイッチなどからなる操作部43や、潜熱回収型気化式石油給湯装置1の状態や給湯設定温度などを表示する表示部44を備えているものである。
【0017】
次に、この一実施形態の潜熱回収型気化式石油給湯装置1の動作について説明する。
前記リモコン41の運転スイッチ42がオンされると、前記制御手段40は、気化温度センサ8の検出する温度に基づき気化器ヒータ4を制御すると共に、混合室温度センサ9の検出する温度に基づき混合室ヒータ6を制御し、気化器2および混合室5の予熱を行い、気化器2が燃油を気化可能な温度、例えば気化器2の温度が220℃〜250℃に維持され、混合室5の温度が125℃〜130℃に維持されるスタンバイ状態となる。このスタンバイ状態では、燃焼要求が発生した場合には素早くバーナ11を着火でき、必要最低限の温度を維持することでスタンバイ時の消費電力を低減することができるものである。
【0018】
前記スタンバイ状態において、給湯栓が開栓され、流量センサ36が最低作動流量以上の流量を検出して燃焼要求が発生したと前記制御手段40が判断すると、気化器ヒータ4および混合室ヒータ6を強制的にオンして着火性を良くし、電磁ポンプ14および燃焼ファン16を駆動させて、気化器2で気化された気化ガスと一次空気とを混合室5で予混合し、予混合ガスを燃焼部10より噴出して燃焼を開始させるものである。
【0019】
前記バーナ11の燃焼により発生した燃焼ガスは、一次熱交換器24を流通し、一次熱交換器24を通過した後、二次熱交換器26を流通し、二次熱交換器26を通過した後、排気口27から潜熱回収型気化式石油給湯装置1外へ排出されるものである。また、給水源から供給された水は、給水管31から二次受熱管25に導かれ、二次受熱管25から一次受熱管23へ順に流通して、ここで燃焼ガスとの熱交換により加熱され、そして、一次受熱管23から給湯管32へ導かれ、混合弁34の開度調整によって給湯設定温度に温調された湯が最終的に給湯栓から給湯されるものである。
【0020】
この時、二次熱交換器26において、二次受熱管25を流通する水と燃焼ガスとが熱交換され、燃焼ガス中の水蒸気が露点以下となることにより生成されたドレンはドレン受け28で回収され、ドレン配管29を介して、内部に中和剤が充填された中和装置30に流入し、中和装置30内で中和処理された後、中和装置30外に排出され、所定箇所の下水に排水されるものである。
【0021】
次に、低温環境下での潜熱回収型気化式石油給湯装置1の状況について
図2に示すフローチャートで説明すると、冬季等で外気温度が低い時であって、リモコン41の運転スイッチ42がオフされて潜熱回収型気化式石油給湯装置1の運転が停止している状態が長時間続いた時、潜熱回収型気化式石油給湯装置1内の温度は潜熱回収型気化式石油給湯装置1外の外気温度に近似し、一次受熱管23、二次受熱管25では水の流通がないため、一次受熱管23内および二次受熱管25内に滞留している水は凍結する可能性がある。
【0022】
ここで、上記のように、リモコン41の運転スイッチ42がオフされて潜熱回収型気化式石油給湯装置1の運転が停止している時において、温度検出手段37(熱交出口温度センサ)の検出する温度が、凍結のおそれがある予め設定された所定温度の−5℃を検出した場合(ステップ45)、YESでステップ46に進み前記制御手段40は加熱用ヒータである気化器ヒータ4及び混合室ヒータ6をオンさせ、気化温度センサ8によって加熱用ヒータ4、6の制御温度を130℃〜140℃に制御し、気化器2の熱が燃焼部10および吸熱フィン12に伝熱し、燃焼部10および吸熱フィン12を介して効率的に放熱され、その熱によって燃焼部10上の空気が加熱される。この加熱された空気は燃焼室22内へ上昇し、燃焼部10の上方すなわちバーナ11の上方で燃焼室22内に位置する一次受熱管23および二次受熱管25を加熱するものである。それによって、一次受熱管23内に滞留する水および二次受熱管25内に滞留する水の凍結防止を確実に行うことができ、燃油を気化するための気化器2に備えられた気化器ヒータ4及び混合室ヒータ6を凍結防止に使用するので、一次受熱管23および二次受熱管25内の水の凍結を防止するための専用の凍結防止用ヒータを設ける必要がなく部品コストを抑えることができると共に、凍結防止用ヒータの組み付け作業を不要とすることができ、さらに、凍結防止用ヒータを設ける必要がないことから部品故障のリスクを低減させることができるものである。
【0023】
次にステップ47で外気温度が更に下がり−10℃に達すると、YESでステップ48に進み気化温度センサ8によって加熱用ヒータ4、6の制御温度を170℃〜180℃と高い温度に制御するが、ステップ49で温度検出手段37による検出温度が−3℃を検出するとステップ46の元の制御温度に戻るもので、逆にステップ50で更に温度検出手段37の検出温度が下がり−20℃を検出することで、YESでステップ51に進み気化温度センサ8によって加熱用ヒータ4、6の制御温度を220℃〜225℃と更に高い温度に制御するが、ステップ52で温度検出手段37による検出温度が−8℃を検出するとステップ48の一つ前の制御温度に戻るもので、次にステップ53で外気温温度が3℃になるとステップ54で一旦凍結防止運転が停止されるが、再び外気温度が低下すれば凍結防止運転は再開されるものであり、無駄な電力消費をなくし効率が良くしかも確実に凍結防止が行われるようにしたものである。
【0024】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、凍結防止温度を検出する温度検出手段を熱交出口温度センサ37としたが、温度検出手段は、冬季等で外気温度が低く、潜熱回収型気化式石油給湯装置1の運転が停止している時に、一次受熱管23、二次受熱管25内に滞留している水が凍結するおそれがあるか否かを判断するための温度を検出できるものであればよく、熱交出口温度センサ37の代わりに、潜熱回収型気化式石油給湯装置1内の給水温度センサ35や給湯温度センサ38を凍結防止温度を検出する温度検出手段としてもよく、また、潜熱回収型気化式石油給湯装置1内の雰囲気温度を検出する専用の温度センサを設けて、それを凍結防止温度を検出する温度検出手段としてもよいものである。
【0025】
また、本実施形態では、熱交出口温度センサ37の検出する温度が、凍結のおそれがある予め設定された凍結防止温度を検出した場合、気化器ヒータ4及び混合室ヒータ6の両方をオンするようにしたが、気化器ヒータ4と混合室ヒータ6のどちらか一方を選択したり、温度検出手段37の検出温度で変更するようにしてもよいものである。
【符号の説明】
【0026】
1 気化式石油給湯装置
2 気化器
4 気化器ヒータ(加熱用ヒータ)
5 混合室
6 混合室ヒータ(加熱用ヒータ)
7 気化部
10 燃焼部
11 バーナ
16 燃焼ファン
23 一次受熱管
24 一次熱交換器
37 熱交出口温度センサ(温度検出手段)
40 制御手段
41 リモコン
42 運転スイッチ