(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386327
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】心肺パラメータモニタ用装置および心肺パラメータモニタ用システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20180827BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
A61B5/02 310F
A61B5/0245 P
【請求項の数】40
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-203540(P2014-203540)
(22)【出願日】2014年10月2日
(62)【分割の表示】特願2009-535439(P2009-535439)の分割
【原出願日】2007年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-27550(P2015-27550A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年10月31日
【審判番号】不服2017-3433(P2017-3433/J1)
【審判請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】60/863,862
(32)【優先日】2006年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508354647
【氏名又は名称】レスメッド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ド シャザル
(72)【発明者】
【氏名】コナー ハンリー
(72)【発明者】
【氏名】コナー ヘネガン
【合議体】
【審判長】
伊藤 昌哉
【審判官】
▲高▼見 重雄
【審判官】
東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−270570(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0143667(US,A1)
【文献】
特開2002−58659(JP,A)
【文献】
特開2006−255141(JP,A)
【文献】
特開2002−159453(JP,A)
【文献】
特開2000−83927(JP,A)
【文献】
特開2006−81771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/08
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から反射された高周波信号を受信するよう配置されたセンサと、
前記反射された高周波信号を増幅して送信信号と混信し、呼吸、心臓活動、および身体動作を表す未加工センサ信号を出力するよう構成されたミキサと、
前記未加工センサ信号を解析して、呼吸、心臓活動、および身体動作に関するパラメータを算出するよう構成されたプロセッサと、
算出されたパラメータを装置のユーザに提供するよう構成されたアウトプット装置とを含み、
前記プロセッサは、予め定められた所定期間であるエポックにおける前記未加工センサ信号のスペクトルを推定することを行って、各前記エポックにおける前記未加工センサ信号を解析するものであり、
前記プロセッサは、フィルタリングされた信号のエネルギー含量を測定して、前記エネルギー含量を予め定められたエネルギー値と比較することにより、各前記エポックにおける大きな前記身体動作の期間を認識するよう構成され、
前記プロセッサは、さらに、前記スペクトルの推定に大きな前記身体動作が認識された期間のデータを含めないよう構成され、
前記フィルタリングされた信号が、各前記エポックの前記未加工センサ信号をフィルタリングした結果として出力される信号からなる、生体の呼吸、心臓活動、および身体動作を計測し、解析し、出力する装置。
【請求項2】
前記センサと前記プロセッサの両方が、前記生体に直接的または間接的な物理的接触なしに作動するよう配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
パルス連続波信号からなるパルス高周波エネルギー信号を発生する送信器を含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記未加工センサ信号が処理された時間領域信号である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサが、現在の時間の呼吸パラメータを過去の時間と比較するよう構成された請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記未加工センサ信号の周波数領域処理によって前記生体の身体動作を認識するよう構成された請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、計測時点に関する活動回数を、他の時点に対応する前記未加工センサ信号を解析することによって求めるよう構成された請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサが、単位時間ごとに前記未加工センサ信号が閾値を交差した数を計数することにより前記生体の心臓活動を導くよう構成された請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサによって測定された前記生体の呼吸パラメータがユーザに合図される視覚的表示装置を含む請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサによって測定された前記生体の身体動作パラメータがユーザに合図される視覚的表示装置を含む請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサによって測定された前記生体の心臓活動パラメータがユーザに合図される視覚的な表示装置を含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
身体に装着可能である請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記アウトプット装置が、視覚的フィードバックを提供するディスプレイおよび音響フィードバックを提供する音響装置のいずれか1つを含む請求項1に記載の装置。
【請求項14】
算出した前記パラメータを第三者に送信する送信器を含む請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記生体の位置をモニタするよう構成された位置測定システムを含む請求項1に記載の装置。
【請求項16】
生体に向けて高周波信号を送信する送信器と、
生体から反射された高周波信号を受信するよう配置されたセンサと、
前記反射された高周波信号を増幅して前記送信された高周波信号と混信し、呼吸、心臓活動、および身体動作を表す未加工センサ信号を出力するミキサと、
前記未加工センサ信号を解析して、呼吸、心臓活動、および身体動作に関するパラメータを算出するよう構成されたプロセッサと、
算出されたパラメータを装置のユーザに提供するよう構成されたアウトプット装置とを含み、
前記プロセッサは、予め定められた所定期間であるエポックにおける前記未加工センサ信号のスペクトルを推定することを行って、各前記エポックにおける前記未加工センサ信号を解析するものであり、
前記プロセッサは、フィルタリングされた信号のエネルギー含量を測定して、前記エネルギー含量を予め定められたエネルギー値と比較することにより、各前記エポックにおける大きな前記身体動作の期間を認識するよう構成され、
前記プロセッサは、さらに、前記スペクトルの推定に大きな前記身体動作が認識された期間のデータを含めないよう構成され、
前記フィルタリングされた信号が、各前記エポックの前記未加工センサ信号をフィルタリングした結果として出力される信号からなる、生体の呼吸、心臓活動、および身体動作を計測し、解析し、出力するシステム。
【請求項17】
前記生体から反射された第2の信号を受信するよう構成された少なくともさらに1つのセンサを含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ミキサが、前記送信された高周波信号と前記反射された高周波信号と前記反射された第2の信号とを乗じて、前記未加工センサ信号を出力するよう構成された請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記生体から反射された高周波信号を受信するよう構成された複数のセンサをさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記複数のセンサから複数の未加工センサ信号を取得して、呼吸および心臓活動の検出を向上するよう構成されている請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記複数のセンサが異なる周波数で作動する請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記複数のセンサが、センチメートル範囲での動作を検出するセンサと、ミリメートル範囲での動作を検出するセンサとを含むよう構成されている請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記複数のセンサが、100MHz〜100GHzの範囲内の高周波信号を送信するよう構成されている請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記生体が歩いた距離を自動的に追跡する位置測定システムが組み込まれている請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記位置測定システムが全地球測位システムである請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記センサが、時間領域ゲーティングを用いて、前記センサから一定の距離での信号から生じる反射信号のみを計測する請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記センサが、前記高周波信号を送信するとともに、反射された前記高周波信号を用いて前記未加工センサ信号を出力する1つ以上の高周波センサを含む請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記高周波信号が、指向性アンテナを用いて送信される請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記身体動作が認識された期間におけるデータが、呼吸および/または心臓活動の推定には含まれない請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記プロセッサによって導かれるパラメータの1つが、心臓活動信号と呼吸信号との間の干渉性値である請求項1に記載の装置。
【請求項31】
画定された帯域における最も高い干渉性値が、心拍数と呼吸との間の結合性の尺度とされる請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記生体から反射された高周波信号を受信するよう構成された複数のセンサをさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項33】
前記プロセッサが、前記複数のセンサから複数の未加工センサ信号を取得して、呼吸および心臓活動の検出を向上するよう構成されている請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記複数のセンサが異なる周波数で作動する請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記複数のセンサが、センチメートル範囲での動作を検出するセンサと、ミリメートル範囲での動作を検出するセンサとを含むよう構成されている請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記複数のセンサが、100MHz〜100GHzの範囲内の高周波信号を送信するよう構成されている請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記生体が歩いた距離を自動的に追跡する位置測定システムが組み込まれている請求項16に記載のシステム。
【請求項38】
前記位置測定システムが全地球測位システムである請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記センサが、前記高周波信号を送信するとともに、反射された前記高周波信号を用いて未加工センサ信号を送信する1つ以上の高周波センサを含む請求項16に記載のシステム。
【請求項40】
前記高周波信号が、指向性アンテナを用いて送信される請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その内容のすべてが本明細書において参照により援用される、2006年11月1日出願の米国仮特許出願第60/863,862号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、例えば、健康状態およびアクティビティの心肺マーカの診断において有用である利便性、かつ、経済的な方法での、例えばヒトといった生物の動作、呼吸および心拍数のモニタに関し、具体的には、容易に理解可能な形式で対応する情報を取得し、処理し、および表示するための装置、システムおよび方法に関する。本出願においては、心肺モニタデバイスまたはシステムとしての動作、呼吸および心拍数を計測することが可能であるシステムを参照する。
【背景技術】
【0003】
心拍数および呼吸のモニタは、心肺系の性能の診断において関心がもたれている。例えば、心拍数の計測は、異なったレベルのアクティビティに対する心拍数の生理学的に正常な範囲に対する指針が十分に確立されているため、ヒトの健康レベルを診断する際に有用である。心拍数の計測は、フィットネストレーニング計画において幅広く用いられている。例えば、心拍数を100〜120拍動/分(bpm)の範囲に維持する運動は、脂肪燃焼および耐久性の構築のために有用であり、その一方で、競技を行う運動選手は、心拍数レベルを160〜180bpmに上昇させるアクティビティを行うことを望む場合がある。しかも、レベルは、体系的な心血管系フィットネスプログラムに興味を有する個人が自身の進展を定量的にモニタすることが可能であるよう、年齢および性別について高い信頼性をもって判定されてきている。したがって、心拍数を多様な設定で計測することができることが望ましい。しかしながら、運動条件における心拍数の高信頼性での計測は、一定の技術的な挑戦をもたらす。ランニングまたはサイクリングの最中では、動作アーチファクトが心拍数の計測を乱す可能性がある。水泳の最中では、心拍数の電気的計測は、水の導電性のために困難である可能性がある。
【0004】
心拍数に追加して、呼吸数、呼吸の深さおよび呼吸のパターンが心肺系の全体的な状態の有用な指標である。呼吸数は運動に応じて増加することがよく観察されるが、上昇(または運動回復期の際の下降)率が、心肺の健康の全体のマーカである。心肺状態に不全を有する、呼吸困難を経験し得る人物にとって、例えば、高い呼吸数は有用な状態のマーカである。
【0005】
心拍数および呼吸の個別の計測値は価値のあるものであるが、加えて、全体的なマーカを提供するこれらの計測値の組み合わせから有用な計測値を導くことが可能である。例えば、心臓の速度が吸気の最中に高まると共に呼気の最中に低下する呼吸性洞性不整脈(RSA)と呼ばれる生理学的メカニズムを介して、呼吸が心拍数を直接的に変調させることが知られている。RSAは、若者において特に明白であり、年齢と共に低減する傾向にある。しかしながら、普通、高度のRSAは健康に関連しており、運動に応答して変化することとなると共に、食生活で変化する(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、RSAを定量化するためには、心拍数と呼吸とを同時に計測することが所望される。
【0006】
肺系フィットネスの他の有用なパラメータは、無酸素性作業閾値(AT)および換気閾値(VT)である。無酸素性作業閾値は、心肺系が、有酸素代謝プロセスによって筋肉のエネルギー要求が完全に満たされるに十分な酸素を筋肉に提供していない点である。したがって、身体は、その蓄えたグリコーゲンを無酸素代謝プロセスにおいて用いて筋肉の出力を維持する。この時点では、この人物は、最大酸素消費量に達しており、直ぐに、自身のアクティビティレベルを維持するには過度に疲労してしまうであろう(最大酸素消費量はVO
2,maxと称される。)。ATの正確な計測は特殊な実験器具および血液のサンプリングを必要とし、これが「金基準」として用いられる一方で、健康状態に関心を有する個人による広範な使用には実用的ではない。換気閾値は、生理学的に無酸素性作業閾値に関連している。これは、運動の激しさに対する換気量(リットル/分での呼吸した空気)の応答が非線形となる点であって、呼吸数の相当な増加が顕著である。有酸素性フィットネスの観点からすれば、無酸素性作業閾値および換気閾値は強く相関していることが示されている。多くのフィットネスプログラムの目的はATを高めることであるため、高信頼性の代替的なマーカとしてVTを用いることができることが有用である。呼吸数および心拍数の組み合わせを用いることにより、VTを推定するために心肺モニタを用いることが可能である。これは、自身のVTにおける傾向を長期間にわたって(例えばフィットネストレーニングプログラムの過程にわたって)トラックすることが可能であるため、モニタの使用者に実用性を提供するであろう。
【0007】
臨床的設定においては、心血管系の健康状態の高信頼性のマーカを有することもまた有用である。例えば、心不全を患っている人々は高い運動不耐性を有する。心不全を有する被験者の何人かは心臓移植に対する候補であるが、利用可能な心臓の稀少性のために、医師は、疾患の重症度の順番に患者に優先度をつけなければならない。また、このような場合のために、VTの計測が、患者の総合的な健康の診断において有用である可能性がある。心臓移植候補を診断するための心肺マーカの診断の試みについての考察が非特許文献2に記載されている。
【0008】
広く多様な技術が、心肺系の健康状態を診断する目的のために心拍数を計測するために存在する。体表面心電図(ECG)は、心臓電気活動、それ故、心拍数を捕捉する高度に正確な方法である。しかしながら、被験者は、胸部領域にゲルが付された電極が取り付けられ、また、関連する電子的処理および/または記録デバイスを運ぶか装着する必要がある。したがって、一般に、完全ECG計測は臨床的用途に限定される。
【0009】
信号品質を利便性のために犠牲にしている心電図計測のためのより簡便な技術が導入されてきており、これらは、現在では、市販されている心拍数フィットネスモニタにおいて広く用いられている。これらの技術は、皮膚に近接して配置される導電性生地に埋設された電極を用いる。典型的には、生地が、胸部レベルで胸部の周りに装着される胸部のバンドの一部を形成する。生地材料の導電性は含水量に依存するため、これらのセンサは人物が激しく運動をして皮膚が汗で濡れているときに最も良好に機能する(あるいは、使用者は、いくらかの導電性ゲルを適用して良好な電気計測を確保することが可能である。)。このシステムの不利な点は、人物が胸部のバンドを装着する必要があること、および人物の皮膚が乾燥している場合の低い信号品質である。
【0010】
運動の最中に心拍数を診断するための他の技術は、血管に係る反射光/透過光の変化を計測するパルスオキシメトリーを用いる。心収縮の各々が明確なパルスとして視認可能である特徴的なプレスチモグラムを形成することが可能である。しかしながら、心拍数を形成するためのパルスオキシメトリー法は、動作アーチファクトおよび劣った灌流特徴により制約されている。酸素濃度計に用いられている発光ダイオードの電源の必要性もまた、このようなデバイスのバッテリー寿命における制約的要因である可能性がある。
【0011】
呼吸努力および呼吸数はまた複数の方法で計測することが可能である。呼吸努力を計測するための通常の方法は、人物が胸部の周りにしっかりと密着する弾性バンドを装着し、その人物が息を吸ったり吐いたりするに伴ってインダクタンスが変化する、インダクタンスプレスチモグラフィーを用いる。利便性の観点からのこの方法の制約は、人物がバンドを装着しなければならないと共に、関連する電子記録デバイスにワイヤを介して接続されたままであることである。呼吸努力を計測するための代替的なシステムは、胸部のインピーダンス変化が計測されるインピーダンスニューモグラフィーを使用する。この技術の制約は、身体に電極を取り付ける必要があると共に、被験者によって携行される必要がある能動的電気器材を有することである。
【0012】
心肺系の健康状態の診断のためには、総合的な身体動作を計測することも、日々のアクティビティおよび運動の激しさの全体的な指標であるため有用である。生物アクティビティを計測するための最も一般的な技術は、加速度を計測することが可能である加速度計を用いる。人物によって携行される場合、このようなデバイスは、その人物の動きの全体的な期間および激しさの有用な指標を提供することが可能であり、このようなデバイスは、度々、歩数計(歩数カウンター)として市販されている。このテクノロジーの制約は、その人物がこのデバイスを携行しなければならないこと、および計測された加速度をアクティビティパターンへ転換するためのアルゴリズムの制限である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Ronald E. De Meersman、による「Respiratory sinus arrhythmia alteration following training in endurance athletes」、European Journal of Applied Physiology中に発表、第64巻、第5号、1992年9月、p.434〜436
【非特許文献2】D.Ramos−Barbon、D.Fitchett、W.J.Gibbons、D.A.LatterおよびR.D.Levy、「Maximal Exercise Testing for the Selection of Heart Transplantation Candidates−Limitation of Peak Oxygen Consumption」、Chest.1999年;115:p.410〜417
【非特許文献3】「Independent component analysis for biomedical signals」、C.J.JamesおよびC.W.Hesse、Physiological Measurement、第26(1)巻、R15〜R39、2005年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のアプローチの種々の制約を克服する心拍数、呼吸数および呼吸努力ならびに動作を計測する方法、システムおよび装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、心拍数、呼吸および動作をモニタする装置、システムおよび方法の種々の実施形態および態様を提供する。一実施形態においては、センサユニットは、装着される(携行型用途用)か、または固定位置に配置される(例えば、エクササイズサイクリングマシーンの一部として)ことが可能である。センサはプロセッサおよびディスプレイと通信し、一態様においては、センサ、プロセッサおよびディスプレイは、物理的に同一のユニット内に実装されることが好ましい。プロセッサは、心拍数、呼吸および動作についての情報、および高次情報(例えば、過去のエポックに対する現在の心拍数)を採取するために用いられることが好ましい。ディスプレイは、現在の心拍数または呼吸数を表示するなどの、使用者にフィードバックをもたらすよう構成されている。フィードバックは、音を用いて提供されてもよい(例えば、検出された心拍動毎のビープ音)。一態様においては、完全なシステムは、運動センサ(全体的な身体の動き、呼吸および心拍数の検出のため);処理能力(心臓活動、呼吸および動作に直接的に関連する信号を導き、これにより、呼吸数、心拍数および動作などのパラメータを導くため);表示能力(視覚的フィードバックを提供するため);音響的能力(例えば、その周波数が呼吸に伴って変化するトーン、または検出された心拍動毎でのビープ音といった音響フィードバックを提供するため);および/または取得データを個別のユニットに送信する通信能力(有線または無線)の1つ以上を含んでいることが好ましい。この個別のユニットは、上述の処理、表示および音響機能を実施するよう構成されていることが好ましい。
【0016】
1つ以上の
参考実施形態において、呼吸および心臓活動を計測および解析するシステムは、生体から反射された高周波(RF)信号であって、パルスRF信号を含むRF信号を受信するよう構成された1つ以上のセンサを含む。プロセッサは、反射信号を解析して生体の呼吸および心臓活動の計測値を求めるよう構成されている。また、プロセッサは、規定計測期間にわたって計測された前記心臓活動を計測された前記呼吸と関連付けることにより心呼吸系性能のパラメータを算出するよう構成されている。アウトプット装置は、前記呼吸および心臓活動に関する選択された情報をシステムの使用者に提供するよう配置されている。他の態様において、呼吸および心臓活動を計測および解析するシステムは、生体から反射された高周波(RF)信号であって、単一周波数のRF信号を含むRF信号を受信するよう構成された1つ以上のセンサを含む。他の態様において、呼吸および心臓活動を計測および解析するシステムは、生体から反射された高周波(RF)信号を受信するよう構成された1つ以上のセンサ、ならびに、反射信号を解析して生体の呼吸および心臓活動の計測値を求めるよう構成されたプロセッサを含む。計測された生理活動は、2つ以上の生理学的信号を含むことが好ましい。本実施形態の1つ以上の態様において、生理活動は、呼吸運動および心臓活動を含む。本システムは、生体で反射される高周波信号を発生させる送信器をさらに含み、このシステムにより放射される出力レベルはヒトに対する連続使用に安全である。モニタされた生理活動は、呼吸、心臓活動および身体の大きな動作(腕の振りなど)を含むことが可能である動作に対応する。
【0017】
他の参考実施形態において、呼吸、心臓活動および身体動作を計測し、解析し、および表示する方法は、被験者から反射された高周波信号を受信するステップ;反射信号を解析して、被験者の呼吸、心臓活動および身体動作に関連する計測値をもたらすステップ;および選択された情報をシステムの使用者に提供するステップを含む。
本発明の第1態様は、生体から反射された高周波信号を受信するよう配置されたセンサと、前記反射された高周波信号を増幅して送信信号と混信し、呼吸、心臓活動、および身体動作を表す未加工センサ信号を出力するよう構成されたミキサと、前記未加工センサ信号を解析して、呼吸、心臓活動、および身体動作に関するパラメータを算出するよう構成されたプロセッサと、算出されたパラメータを装置のユーザに提供するよう構成されたアウトプット装置とを含み、前記プロセッサは、予め定められた所定期間であるエポックにおける前記未加工センサ信号のスペクトルを推定することを行って、各前記エポックにおける前記未加工センサ信号を解析するものであり、前記プロセッサは、フィルタリングされた信号のエネルギー含量を測定して、
前記エネルギー含量を予め定められたエネルギー値と比較することにより、各前記エポックにおける
大きな前記身体動作の期間を認識するよう構成され、前記プロセッサは、さらに、前記スペクトルの推定に
大きな前記身体動作が認識された期間のデータを含めないよう構成され、前記フィルタリングされた信号が、各前記エポックの前記未加工センサ信号をフィルタリングした結果として出力される信号からなる、生体の呼吸、心臓活動、および身体動作を計測し、解析し、出力する装置である。上記第1態様においては、前記センサと前記プロセッサの両方が、前記生体に直接的または間接的な物理的接触なしに作動するよう配置されていることとしてもよい。上記第1態様においては、パルス連続波信号からなるパルス高周波エネルギー信号を発生する送信器を含むこととしてもよい。本発明の参考例としての発明の参考態様においては、前記高周波信号が超広帯域信号であることとしてもよい。上記第1態様においては、前記未加工センサ信号が処理された時間領域信号であることとしてもよい。本発明の参考例としての発明の他の参考態様においては、前記プロセッサが、前記未加工センサ信号におけるピークを識別することにより心臓活動を認識するよう構成されていることとしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサが、現在の時間の呼吸パラメータを過去の時間と比較するよう構成されていることとしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサが、単位時間ごとに前記未加工センサ信号が閾値を交差した数を計数することにより前記生体の心臓活動を導くよう構成されていることとしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサが、前記未加工センサ信号の周波数領域処理によって前記生体の身体動作を認識するよう構成されていることとしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサが、計測時点に関する活動回数を、他の時点に対応する前記未加工センサ信号を解析することによって求めるよう構成されていることとしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサが、フィルタリングされた信号のエネルギー含量を測定して
大きな身体動作の期間を認識するよう構成されている。上記第1態様においては、前記プロセッサによって測定された前記生体の呼吸パラメータがユーザに合図される視覚的表示装置を含むこととしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサによって測定された前記生体の身体動作パラメータがユーザに合図される視覚的表示装置を含むこととしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサによって測定された前記生体の心臓活動パラメータがユーザに合図される視覚的な表示装置を含むこととしてもよい。上記第1態様においては、身体に装着可能であってもよい。上記第1態様においては、前記アウトプット装置が、視覚的フィードバックを提供するディスプレイおよび音響フィードバックを提供する音響装置のいずれか1つを含むこととしてもよい。上記第1態様においては、算出した前記パラメータを第三者に送信する送信器を含むこととしてもよい。上記第1態様においては、前記生体の位置をモニタするよう構成された位置測定システムを含むこととしてもよい。上記第1態様においては、前記生体から反射された高周波信号を受信するよう構成された複数のセンサをさらに含むこととしてもよい。この場合、前記プロセッサが、前記複数のセンサから複数の未加工センサ信号を取得して、呼吸および心臓活動の検出を向上するよう構成されていることとしてもよい。また、前記複数のセンサが異なる周波数で作動することとしてもよい。さらに、前記複数のセンサが、センチメートル範囲での動作を検出するセンサと、ミリメートル範囲での動作を検出するセンサとを含むよう構成されていることとしてもよい。また、前記複数のセンサが、100MHz〜100GHzの範囲内の高周波信号を送信するよう構成されていることとしてもよい。上記第1態様においては、前記生体が歩いた距離を自動的に追跡する位置測定システムが組み込まれていることとしてもよい。この場合、前記位置測定システムが全地球測位システムであってもよい。上記第1態様においては、前記センサが、時間領域ゲーティングを用いて、前記センサから一定の距離での信号から生じる反射信号のみを計測することとしてもよい。上記第1態様においては、前記センサが、前記高周波信号を送信するとともに、反射された前記高周波信号を用いて前記未加工センサ信号を出力する1つ以上の高周波センサを含むこととしてもよい。この場合、前記高周波信号が、指向性アンテナを用いて送信されることとしてもよい。上記第1態様においては、前記身体動作が認識された期間におけるデータが、呼吸および/または心臓活動の推定には含まれないこととしてもよい。この場合、画定された帯域における最も高い干渉性値が、心拍数と呼吸との間の結合性の尺度とされることとしてもよい。上記第1態様においては、前記プロセッサによって導かれるパラメータの1つが、心臓活動信号と呼吸信号との間の干渉性値であってもよい。
本発明の第2態様は、生体に向けて高周波信号を送信する送信器と、生体から反射された高周波信号を受信するよう配置されたセンサと、前記反射された高周波信号を増幅して前記送信された高周波信号と混信し、呼吸、心臓活動、および身体動作を表す未加工センサ信号を出力するミキサと、前記未加工センサ信号を解析して、呼吸、心臓活動、および身体動作に関するパラメータを算出するよう構成されたプロセッサと、算出されたパラメータを装置のユーザに提供するよう構成されたアウトプット装置とを含み、前記プロセッサは、予め定められた所定期間であるエポックにおける前記未加工センサ信号のスペクトルを推定することを行って、各前記エポックにおける前記未加工センサ信号を解析するものであり、前記プロセッサは、フィルタリングされた信号のエネルギー含量を測定して、
前記エネルギー含量を予め定められたエネルギー値と比較することにより、各前記エポックにおける
大きな前記身体動作の期間を認識するよう構成され、前記プロセッサは、さらに、前記スペクトルの推定に
大きな前記身体動作が認識された期間のデータを含めないよう構成され、前記フィルタリングされた信号が、各前記エポックの前記未加工センサ信号をフィルタリングした結果として出力される信号からなる、生体の呼吸、心臓活動、および身体動作を計測し、解析し、出力するシステムである。上記第2態様においては、前記生体から反射された第2の信号を受信するよう構成された少なくともさらに1つのセンサを含むこととしてもよい。上記第2態様においては、前記ミキサが、前記送信された高周波信号と前記反射された高周波信号と前記反射された第2の信号とを乗じて、前記未加工センサ信号を出力するよう構成されていることとしてもよい。上記第2態様においては、前記生体から反射された高周波信号を受信するよう構成された複数のセンサをさらに含むこととしてもよい。この場合、前記プロセッサが、前記複数のセンサから複数の未加工センサ信号を取得して、呼吸および心臓活動の検出を向上するよう構成されていることとしてもよい。また、前記複数のセンサが異なる周波数で作動することとしてもよい。さらに、前記複数のセンサが、センチメートル範囲での動作を検出するセンサと、ミリメートル範囲での動作を検出するセンサとを含むよう構成されていることとしてもよい。また、前記複数のセンサが、100MHz〜100GHzの範囲内の高周波信号を送信するよう構成されていることとしてもよい。上記第2態様においては、前記生体が歩いた距離を自動的に追跡する位置測定システムが組み込まれていることとしてもよい。この場合、前記位置測定システムが全地球測位システムであってもよい。上記第2態様においては、前記センサが、前記高周波信号を送信するとともに、反射された前記高周波信号を用いて未加工センサ信号を送信する1つ以上の高周波センサを含むこととしてもよい。この場合、前記高周波信号が、指向性アンテナを用いて送信されることとしてもよい。
本発明の参考例としての発明の他の参考態様は、生体の生理活動を計測して解析する機能を実行するように構成されたシステムであって、反射された高周波信号に送信信号を乗じて、呼吸、心臓活動、および身体動作の1つ以上を表す未加工センサ信号を出力することと、該未加工センサ信号を解析して、呼吸、心臓活動、および身体動作に関するパラメータを算出することと、該生理活動の計測値の少なくとも1つを装置のユーザに提供することとを実行するために操作可能なシステムである。
【0018】
開示の実施形態が添付の図面を参照してここに記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態のシステムがどのように運動およびアクティビティの診断に用いられ得るかを概略的に示す図であり;(a)は、上腕カフバンドとしてのシステムの実施形態を示し;(b)は、シャツのポケットに取り付けることが可能であるクリップオンデバイスとしてのシステムを示し;(c)は、ペンダントとして首の周りに装着されたデバイスの例を示し;(d)は、トレッドミルフィットネスシステム中の心肺モニタを例示し;(e)は、エクササイズサイクルマシーンに組み込まれた心肺モニタの例を示し;(f)は、デバイスを水泳中の腕時計状デバイスとして示している。
【
図2】一実施形態のセンサ構成部品の概略図である。
【
図3】センサが体表に近接(例えば、5cm以内)しているときに得られる代表的な未加工センサ信号を示している。
【
図4】上方の曲線は成人被験者から得たプレスチモグラム信号の時間経過を示し、ここで、心拍動の各々は明確なパターンに関連している。下方の曲線は、数メートルの距離で同一の被験者から同時に得た信号を例示し、個別の呼吸および心信号があることを示している。
【
図5】短時間フーリエ変換およびピーク−検出アルゴリズムなどの時間−頻度表示を用いて、呼吸および心臓情報にアクセスすると共に可視化するための技術を適用した結果を示している。
【
図6】
図2に示したものと類似の複数の高周波(RF)ブロックが電波の送信および受信に用いられる場合のシステムの概略図である。
【
図7】システムについてのディスプレイの概略図である。
【
図8】システムが、換気閾値に関連するパラメータをどのように算出することが可能であるかの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、運動およびアクティビティの診断においてこのシステムが用いられ得る種々の環境を概略的に示す図である。デバイスは、携行型用途(人物が、心肺モニタを装着しているために自由に動くことが可能である場合。)に用いられることが可能である。
図1(a)は、上腕カフバンドとしてのシステムの実施形態を示す。
図1(b)は、シャツのポケットに取り付けることが可能であるクリップオンデバイスとしてのシステムを示す。
図1(c)は、ペンダントとして首の周りに装着されたデバイスの例を示し、
図1(d)は、トレッドミルフィットネスシステム中の心肺モニタを例示し、
図1(e)は、エクササイズサイクルマシーンに組み込まれた心肺モニタの例をもたらし、
図1(f)は、デバイスを水泳中の腕時計状デバイスとして示す。デバイスは、他の公知の運動器具との併用のために構成されていることも可能である。
【0021】
図2は、例示的なセンサ構成部品の概略図を提供する。センサ構成部品は、高周波検出および処理を利用して、呼吸および心拍数に関連する身体動作を採取する。呼吸に関連する身体動作は、呼吸は胸部および腹部の動作を誘起させるために容易に観察可能である。心臓活動に関連する動作は明白性に欠けるが、生理学者は、心収縮により皮膚の表面に見られる圧力波を称して「バリストカルジオグラム」という用語を用いる。この小さな動きは、高感度の運動センサにより検出することが可能である。
【0022】
システムから高周波信号が人物に向けて発信される。反射信号が次いで受信され、増幅され、および元の信号の一部と混信され、ならびに、このミキサのアウトプットが次いで低域フィルタに通される。このミキサのアウトプットは、反射高周波信号に由来する処理された時間領域信号とみなすことが可能である。この得られた信号は、人物の動作、呼吸および心臓活動に関する情報を含むものであり、未加工センサ信号と称される。
図2において、システムの高周波センサコンポーネントは、例示のためにパルス連続波信号で示されている。代替的な実施形態においては、このシステムは、90度で位相外の2つの搬送信号が用いられる直交位相送信を用い得る。パルスが時間できわめて短くなるという制約下では、このようなシステムは、超広帯域(UWB)高周波センサとして再度特徴付けられることが可能である。RF信号が連続的に送信される連続波システムを用いて向上したSN比を得ることも可能である。
【0023】
図3は、センサが体表に近接(例えば、5cm以内)しているときに得られる代表的な未加工センサ信号を示す。受信した未加工センサ信号中の主要なコンポーネントは、バリストカルジオグラム、ならびに、センサと人物との相対的な動作であろう。相対的動作を低減するために、センサユニットは、弾性拘束メカニズム等を用いて皮膚に機械的に固定され得る。
図3は、主要なバリストカルジオグラムコンポーネントを伴う未加工センサ信号の例である(この場合、上腕の肘の内側で計測した。)。これは、システムの26GHzパルス連続波プロトタイプを用いて回収したデータの5秒間を表す。このような場合において、心拍動は、閾値通過技術によって測定されることとなる(1つのパルスは、信号が閾値超または未満である点に関連している。)。より複雑な場合(しかしながら、典型的なケース)、バリストカルジオグラムは、より複雑ではあるが反復可能なパルス形状を表すこととなる。したがって、例えば整合フィルタにより実現されたパルス形状テンプレートを、取得心信号と相関することが可能であり、相関が強い場所が心拍動位置として用いられることとなる。また、システムは、処理された時間領域信号におけるピークを識別することにより、または受信信号の原型心信号との時間領域相関を実施することにより、または他の手段により生体の心拍動を認識する。この処理は、心拍動の各々の発生時を識別する一連のタイムマーカをもたらす。これらのタイムマーカは、生体の心拍動の各々の音響的な合図のため、またはディスプレイ上での間欠アイコンの点滅のために、プロセッサにより用いられることが可能である。
【0024】
各事象がいつ発生したかのタイムマーカが与えられることで、心拍数の算出が可能である。
図3に示されている信号について、信号が閾値と交差する点を心臓性事象時間B
n(nは拍動数である。)として標識する。瞬間心拍数を1/BB
nとして算出することが可能であり、BB
n=B
n−B
n−1(拍動間隔)である。実際には、時間エポック(例えば10秒間)にわたる平均心拍数を定義するためにより有用であり得る。これは、10秒間のウィンドウ中に発生した拍動数を計数し、次いで、10で除して1秒当たりの平均拍動数を得ることにより達成することが可能である。
図3に示されている例については、5秒間のウィンドウ中に5.9回の拍動が発生し、報告された心拍数は(5.9/5)×60=71拍動/分である。
【0025】
デバイスが身体からさらに離れている(例えば、1メートル以上)場合、受信される未加工センサ信号は、総合的な身体動作、呼吸および心臓活動の組み合わせとなる。
図4の上方の曲線は成人被験者から得たプレスチモグラム信号の時間経過を示し、心拍動の各々は明確なパターンに関連している。
図4の下方の曲線は、数メートルの距離で同一の被験者から同時に得た信号を例示し、呼吸および心信号が個別にあることを示す。特に、図中に○で示した箇所は、心拍動の各々に関連する皮膚の動きを強調する。皮膚の動きは、典型的には、パルス波形中のダイクロティック(dichrotic)ピークと一致している。
【0026】
さらに身体から離して用いる場合には、上述のとおり、受信される未処理信号は、呼吸および心拍数、ならびに総合的な身体動作に関する情報を含む。呼吸および心臓情報にアクセスすると共に可視化するための技術は、短時間フーリエ変換およびピーク−検出アルゴリズムなどの時間−頻度表示の使用である。プロセッサは、受信信号の周波数領域処理を用いて生体の生理活動を認識するよう構成されていることが可能である。これの詳細な説明が以下に記載されているが、概して、時間t
1を中心とするエポックのスペクトルを得る工程、ならびに、推定した呼吸頻度および心拍数に最もよく一致するスペクトルピークを見出す工程からなる。このエポックについて、2つのピークに注目し、時間t
1での心拍数および呼吸頻度としてみなすことが可能である。以前のエポックと重畳する新たなエポックが形成されることが可能であるが、ここではt
2を中心とし、時間t
2での心臓および呼吸頻度を形成する2つの周波数を算出することが可能である。
図5は、データの50秒間に、20秒間のウィンドウ長さおよび19秒間の重畳で本技術を適用した結果を例示する。約20呼吸/分での呼吸コンポーネント、およびおよそ70拍動/分での心臓コンポーネントを経時的に追跡することが可能である。
【0027】
図6は、複数の高周波(RF)ブロックが電波の送信および受信に用いられる場合のシステムの概略図を提供する。この概略図には、3つの独立したRFブロックがあり、各々が電波を受信し、送信することが可能である。個別のRFブロックは、
図2において既に示したものと類似のものである。これらは、検知されている人物からの全体的信号の独立した複製を生成し、独立した動作コンポーネントを、信号処理を用いて採取することが可能となる(例えば、呼吸、心信号および上半身の動作)。アンテナも、必要に応じて個別の周波数で送信することが可能であることに注目すべきである。アンテナの物理的な分離(例えば四分の一波長超で)が、送信路を統計的に独立とするであろう。
【0028】
図7は、本システム用のディスプレイの概略図を示す。このシステムは、典型的には、現在の心拍数、現在の呼吸数、および呼吸性洞性不整脈の程度などのパラメータを表示する。このシステムは、位置を計測することができるデバイスが容易に組み込まれ得る(例えば、全地球測位システム−GPSを用いて)ため、位置もまたシステムアウトプットに表示され得る。システムは、ディスプレイ経過時間にわたる心拍数、先の週にわたるRSAの値等などの使用者について有用な傾向を表示する能力を有するであろう。位置情報を組み込むさらなる利点は、フィットネスの標準的なテストにおけるシステムの使用を許容することである。例えば、全身の心血管系の健康の良好なマーカは、「1マイルフィットネステスト」である。ここでは、人物は早足で1マイル歩き、彼らのパルスが1マイルの終了時に記録される。位置測定システムは、人物が1マイル歩き終わったら自動的に通知し、その時間での心拍数を記録するであろう。同様に、臨床的用途においては、6分歩行テストがルーチン的に利用されている。ここでは、人物は自分のペースで6分間歩行することが要求され、歩いた距離が彼らの全身の心血管系健康のマーカである。組み込まれた位置測定システムは、歩いた距離を自動的に追跡し、ならびに、その期間の間の心臓および呼吸数を監視するであろう。したがって、生体の位置をモニタすると共に、同時にこれらの生体の生理活動を追跡するよう構成された位置測定システムを含むことにより、本システムの実用性を強化することが可能である。
【0029】
図8は、システムが、換気閾値に関するパラメータをどのように算出することが可能であるかを概略的に示す。本デバイスは、運動中の期間にわたって心拍数および呼吸数を記録することが可能である。運動の終了時に、デバイスは、心拍数をその心拍数で見られた平均呼吸数に対してプロットすることが可能である。このような曲線の概略図が
図8に示されている。運動の激しさがその人物の限界に近ければ、この曲線を用いて、心拍数に対して呼吸数がより急速に増加する「屈折点」を識別することが可能である。これが生じる呼吸数は、換気閾値(VT)の代理として作用することが可能である。このパラメータの値は、人物がフィットネスプログラムを行うに伴って、数週間または数ヶ月にわたって追跡することが可能である。
【0030】
一実施形態において、このシステムは、センサユニットと、結果を解析し、可視化し、および使用者に対して通信することが可能であるモニタおよびディスプレイユニットとを含む。センサユニットおよびディスプレイ/モニタユニットは、必要な場合には、単一の独立型デバイスに組み込まれることが可能である。本デバイスは、1つ以上の運動センサ(全体的な身体動作、呼吸および心拍数の検出用);処理能力(心臓活動、呼吸および動作に直接的に関連する信号を導き、これにより、呼吸数、心拍数および動作などのパラメータを導くため);表示能力(視覚的フィードバックを提供するため);音響的能力(例えば、その周波数が呼吸に伴って変化するトーン、または検出された心拍動毎でのビープ音といった音響フィードバックを提供するため);取得データを個別のユニットに送信するための通信能力(有線または無線)を含み得る。この個別のユニットは、上述の処理、表示および音響的能力を実行することが可能である。
【0031】
より具体的には、典型的なセンサは、高周波エネルギー(典型的には100MHz〜100GHzの範囲内)を送信すると共に、反射された受信信号を利用して動作信号を構成する、1つ以上の高周波ドップラーセンサを含むであろう。説明の容易さのために、先ず、考察を1つのセンサユニットのみが用いられる場合に限定することとする。これが機能する原理は以下のとおりである。高周波
【数1】
がユニットから送信される。この例において、搬送周波数は
【数2】
であり、tは時間であり、θは任意の位相角である。u(t)はパルス形状である。連続波システムにおいて、値は常に1であり、式(1)から省略することが可能である。より一般的には、パルスは
【数3】
と定義されるであろう。式(2)において、Tは期間幅であると共にT
pはパルス幅である。T
p<<Tである場合、これはパルス連続波システムとなる。極端な場合には、T
pが時間できわめて短くなるに伴って放射信号のスペクトルはきわめて広くなり、システムは超広帯域(UWB)レーダーまたはインパルスレーダーと称される。あるいは、RF送信信号の搬送周波数は変更(チャープ)されて、いわゆる周波数変調連続波(FMCW)システムを形成することが可能である。
【0032】
この高周波信号は、パルスゲーティングを適用するための回路コンポーネントと結合された局部発振器を用いるセンサシステムにおいて生成される。FMCWの場合には、電圧制御発振器が電圧−周波数変換器と一緒に用いられて、送信用のRF信号が生成される。RF信号の空気への結合は、アンテナを用いて達成される。アンテナは、全方向性(送信出力はすべての方向においてほぼ等しい。)または指向性(送信出力は一定の方向に選択的である。)であることが可能である。送信され、反射されたエネルギーが主に一方向から来るように、指向性アンテナを本システムにおいて用いることが有利である可能性がある。
このシステムは、単純な双極子アンテナ、パッチアンテナ、および螺旋アンテナなどの種々のタイプのアンテナと互換性があり、アンテナの選択は必要な指向性、サイズ、形状またはコストなどの要因により影響されることが可能である。また、このシステムは、ヒトの使用に対して安全であると示された様式で作動されることが可能であることに留意すべきである。また、このシステムは、<1mW(0dBm)以下の合計システム放射平均出力で実証されている。RF露出に対する推奨される安全レベルは、1mW/cm
2である。0dBmで送信しているシステムから1メートルの距離で同等な電力密度は、この推奨制限値の100分の一以下であろう。
【0033】
すべての場合において、放射信号は、電波を反射する物体で反射され(空気−身体界面など)、反射信号の一部が送信器で受信されることとなる。受信信号および送信信号は、ミキサと呼ばれる標準的な電子装置において一緒に乗じられることが可能である(アナログまたはデジタル式のいずれかで)。例えば、CWの場合には、混信された信号は
【数4】
と等しくなり、式(3)において、φ(t)は送信と受信信号との路程差であり(単一の反射性物体による反射が優勢である場合)、γは反射信号が経る減衰量である。反射物体が固定されている場合には、φ(t)は固定であると共に、m(t)も固定である。ここで関心のある場合においては、反射物体(例えば胸部)は動いており、およびm(t)は時間的に変化することとなる。単純な例として、胸部が呼吸による正弦動作:
【数5】
をしている場合には、混信された信号は
【数6】
でコンポーネントを含むこととなる(ならびに、
【数7】
を中心とするコンポーネント、これは単にフィルタリングにより除去することが可能である。)。混信後の低域フィルタのアウトプットでの信号は、未加工センサ信号と称され、動作、呼吸および心臓活動に関する情報を含む。
【0034】
未加工センサ信号の振幅は反射信号の平均路程により影響され、センサのナル検出およびピークをもたらす(センサの感度がより小さいまたは高い領域)。この効果は、送信器が同時に90度で位相外の信号を送信する直交位相技術を用いることにより最低限とすることが可能である(これらの2つの信号は、IおよびQコンポーネントと称されるであろう。)。これは、混信されている可能性がある2つの反射信号をもたらし、最終的には2つの未加工センサ信号をもたらすであろう。これらの2つの信号からの情報を、モジュラスを取得することにより(または他の技術により)組み合わせて、単一の出力未加工センサ信号を提供することが可能である。
【0035】
UWBの場合には、未加工センサ信号を取得する代替的な方法が好ましい場合がある。UWBの場合には、最も有効な空気−身体界面までの路程は、送信パルスとピーク反射信号との間の遅延を計測することにより判定することが可能である。例えば、パルス幅が1nsであると共にセンサから身体までの距離が0.05mである場合には、パルスのピーク反射前の経過した合計時間m(τ)は0.1/(3×10
8)s=0.33nsとなるであろう。多数のパルス(例えば、1μs毎に1nsパルス)を送信すると共に路程は徐々に変化していると仮定することにより、その期間にわたる遅延時間の平均としての未加工センサ信号を導くことが可能である。
【0036】
このように、高周波センサは、システムが目標とした身体の一部の動作を取得することが可能である。方向選択性は、指向性アンテナ、または複数のRF送信器を用いて達成することが可能である。パルス連続波システムを用いてこのように取得された胸部の複合的な動作(主に呼吸および心信号の組み合わせである。)が、
図4の下方の曲線に示されている。しかしながら、連続波、FMCWまたはUWBレーダーもまた同様の信号を得ることが可能であることを強調しておく。
【0037】
しかも、反射エネルギーのほとんどが皮膚の表面層から受信されるため、この運動センサは、各拍動での血圧の変化による皮膚の表面での心臓の拍動の発現であるバリストカルジオグラムも得ることが可能である。RF運動センサで得られる表面バリストカルジオグラムの一例が、
図3に示されている。この場合において、バリストカルジオグラムは、センサを皮膚(上腕)に近づけると共に、呼吸コンポーネントを不可視とすることにより強調されている。
【0038】
計測センサ信号の品質を向上させるために、反射エネルギーがセンサにより収集される物理的体積は、種々の方法を用いて限定することが可能である。受信アンテナが可能であるとおり、例えば送信アンテナを、「指向性」(すなわち、一定の方向により多くのエネルギーを送信する。)とすることが可能である。「時間領域ゲーティング」と呼ばれる技術を用いて、センサから一定の物理的距離での信号から生じる反射信号のみを計測することが可能である。これを実行する実用的な方法は、所定の期間にわたり、受信信号を確実に送信信号と混信することである。例えば、12nsパルスが時間t=0nsで放射されると想定する。反射物体が150cm離れている場合、反射パルスは、先ず、10ns後に受信されることとなる(光は300cmを移動するために10nsかかるため)。300cm離れた検出を所望しない第2の物体を仮定する。この第2の物体からの反射パルスは、先ず、時間t=20nsまで到達しないであろう。したがって、送信パルスと受信パルスとの混信がt=10ns〜t=15nsの時間でのみ許容される場合、受信される情報のすべては第1の反射物体とのみ関連されることとなる。周波数領域ゲーティングを用いて、反射物体の動作を一定の周波数より高くに限定することが可能である。
【0039】
システムの単純な実施形態において、1つのアンテナが単一の搬送周波数で用いられることとなる。このアンテナは、送信および受信アンテナの両方として作動するであろう。しかしながら、原理上は、複数の搬送周波数が可能であるとおり、複数の受信および送信アンテナを用いることが可能である。複数の周波数(例えば、500MHzおよび5GHz)での計測の場合、より低い周波数を用いて大きな動作を位相アンビギュイティなしで正確に測定することが可能であり、これを、より高い周波数のセンサ信号(これは、心臓シグネチャーなどの小さい動きの計測により好適である。)から減ずることが可能である。
【0040】
これらのセンサ入力のすべてが、処理およびディスプレイの目的のためにユニットに、ならびに、予想される個別のユニット(モニタユニット)への送信のためにフィードされる。
【0041】
次いで、このシステムは、その処理能力を用いてセンサ入力を組み合わせて、多数の有用なアウトプットを提供すると共に、これらのアウトプットを有意義な様式で表示する。これらのステップは、以下の様式で実施される。
【0042】
心肺モニタは、主に、心拍数および呼吸に関する情報を提供するために設計されている。人物が動いている場合、度々、動作によるセンサ信号が優勢となり、動作アーチファクト問題を低減するための処理が必要とされる。ノイズの存在下で呼吸および心拍動アクティビティを算出するために好ましい技術は以下のとおりである。
【0043】
未処理信号が、所望の期間(例えば20秒間)のエポックについて取得される。信号のこの期間のスペクトルが、平滑化平均化ペリオドグラム法などの技術を用いて推定される。普通、呼吸は、10〜25呼吸/分(約0.15〜0.45Hz)の頻度で生じ、心臓活動60〜120拍動/分(1〜2Hz)の範囲で生じるため、信号のスペクトルは、0.15〜0.4Hz、および1〜2Hzの範囲に2つのピークを有することとなる。これらのピークが生じる周波数は、それぞれ、そのエポックについての呼吸頻度および心拍数と称することが可能である。各エポックについてのスペクトル解析の結果を時間で配列させて、全体的な呼吸および心臓活動を可視化させる有用な手段である、時間−頻度呼吸プロットを形成することが可能である。呼吸頻度および心拍数を任意の時間で算出することが可能であるよう、エポックは重畳することが可能であることに注目すべきである(例えば、
図5は、解析されたエポックが1秒間隔の場合を示す。)。
【0044】
大きな動作アーチファクトの存在は上述の処理を混乱させる可能性があり、いくつかの場合において、動作アーチファクトの影響を低減させるために信号を前処理する必要があり得る。大きな動作は、処理された時間領域において大きな振幅の信号をもたらすため、生体の身体動作の期間がエネルギー含量を予め定められたエネルギー値と比較することにより認識されるよう、プロセッサはフィルタ信号のエネルギー含量を形成するよう構成されることが可能である。これを行うための方法は、リニアな高域フィルタでエポックを事前にフィルタリングすることである(例えば0.05Hz未満のすべての周波数を除去するため)。代替手段は、10秒のウィンドウ長を有するデータを中央値フィルタリングすると共に、中央値フィルタ信号を元の信号から除去することであろう。あるいは、動作期間を高いエネルギー含量から認識することが可能である。これらの動作期間は、処理信号におけるアーチファクトをもたらし、計測期間を除去する好適なスペクトル解析を用いることが可能である。特に、エポックのスペクトルを算出しているとき、これらの高動作セクションからのデータは推定には含まれていない(欠損セグメントを有するデータからスペクトル推定値をもたらすLombのペリオドグラムと呼ばれる技術を用いて)。
【0045】
心拍動および呼吸検出の正確性を向上させるための代替的な処理技術は、複数のセンサから複数の信号を取得することである。これは、センサ領域内で人物がジョギングをするトレッドミル設定においてシステムが用いられている場合などの高動作アーチファクトの場合に特に有益である。このような事例において、好ましい解決法は複数のセンサを有することである(例えば、m個。ここで、mは、典型的には、4〜16の範囲内であり得るが、1以上のいずれかの数で変更されることが可能である。)。実際には(経済的な理由から)、おそらくは、アンテナの各々を送信用および受信用の両用とするよりは、単一の送信アンテナ、および複数の受信アンテナのみを有することが効率的である。同様に、複数の周波数でRF信号を生成するアンテナを有することが有益であり得る。しかしながら、この方法の実施形態は、1つの送信器が用いられると共にm個の信号がセンサで受信される場合である(各経路は、異なる位相遅れおよび振幅変化を受けるであろう。)。
このシステムのさらに有用な実施形態は、異なる周波数で作動する複数のセンサがあり、比較的低い周波数が生体の大きい身体動作の推定に用いられると共に、比較的高い周波数が生体のより小さい動作の推定に用いられるものである。例えば、1GHzで作動するセンサが、センチメートルの範囲での動作を検出するために有用であり、一方で、同一のシステムにおいて100GHzで動作するセンサはミリメートル単位での動作の検出を補助することが可能であろう。
【0046】
有用なモデルは、m個の受信信号を信号xのベクトルに収集するものである:
【数8】
各信号は、複数のソースからの反射の混信物を表すと、合理的に仮定することが可能である(例えば、呼吸から1つ、心臓活動から1つ、左腕の動作から1つ等)。したがって、受信信号はソースwのリニアな混信物を表す。
【数9】
【0047】
実際には、異なる注目しているコンポーネントを明らかに分離するであろうため、信号wの取得が注目される。この解析を補助する重要な要因は、ソース信号は独立しているということである(すなわち、例えば、心信号は呼吸から独立しており、呼吸は腕の動作から独立している。)。この仮定下に受信したxをマッピングしてwに戻す多くのアルゴリズムがあり、これらは独立コンポーネント解析(ICA)技術と称される。特に、ソース信号に一定の制約を付すことにより、得られた解決法をさらに最適化することが可能である(例えば、0.15〜0.25Hzの範囲内に支配的な周波数を有するべきである。)。このようなアルゴリズムは、制約付きICAアルゴリズムと呼ばれる。ICA解析における技術の有用な調査は、(例えば、非特許文献3参照)に見出すことが可能である。
【0048】
呼吸数および振幅、心拍数、ならびに、動作の測定と共に、このシステムはさらに有用なアウトプットの算出のために信号を組み合わせる手段を提供する。例えば、全体的な心肺の健康の有用なマーカは呼吸性洞性不整脈(RSA)である。これは、呼吸の心拍数への影響を計測し、結合性が強ければ強いほど全体的な心肺の健康はより良好である。普通、計測された心拍数および呼吸数情報を用いて呼吸性洞性不整脈のパラメータを算出するようプロセッサを構成することは実用的である。1つのアプローチは、計測された心拍数および呼吸数信号の重なりスペクトル解析を用いて呼吸性洞性不整脈のパラメータを算出することであり得る。
【0049】
しかしながら、RSAを算出するための多様な技術が存在する。このシステムについての一実施形態は以下のとおりである。
【0050】
計測エポック(例えば60秒)が取得され、この期間にわたって人物のアクティビティはかなり一定である。心信号と呼吸信号との間の干渉性が入手される(干渉性は、典型的には、個別に得られた2つの信号の重なりスペクトル密度を信号の出力スペクトル密度の平方根で除した比と定義される。)。画定された帯域(例えば、0.15〜0.25Hz)における干渉性の最高値が、心拍数と呼吸との間の結合性の尺度とされる。この干渉性値は、異なる運動セッションにまたがって追跡することが可能であり、または、母平均に対して比較することが可能である。
【0051】
このシステムにより得られる呼吸系性能のさらに有用な計測値は、心拍数計測値のみ、または心拍数と呼吸数との組み合わせからの換気閾値の推定である。このシステムは、心呼吸系性能の有用なパラメータ(換気閾値など)を、規定計測期間にわたって計測された心拍数を計測された呼吸数と関連付けることにより算出するよう構成されることが可能である。組み合わされた心拍数および呼吸数から換気閾値を捕捉するために好ましい実施形態は、心拍動/呼吸サイクル対呼吸数の曲線を試験することである。このような曲線には、換気閾値に対応する周波数で生じる特徴的な屈折点がある。
【0052】
最後に、このシステムは、有用な情報をその使用者に伝えるための手段を提供する。ディスプレイ手段は、現在の心拍数、現在の呼吸数および位置などのパラメータを備える腕時計などの形式であり得る。使用者は、様々な時間スケールにわたる過去の心拍数、過去の呼吸数、ならびに、推定RSA干渉性などの導かれたパラメータのチャートを示すトレンドスクリーンを示す能力を有し得る。いくつかの用途において、1つ以上のセンサ、プロセッサ、およびディスプレイを含むことが可能である筐体を設計することが有益である。この筐体は、使用の簡便性のために使用者の手に保持されるのに好適である可能性がある。筐体は、電気通信または位置測定システムなどの他の機能を組み込んでいてもよい(例えば、携帯電話のハンドセットがこのような筐体の特定の実施形態であろう。)。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、例えば、生物(例えばヒト)の動作、呼吸および心拍数をモニタすることにより、簡便、かつ、経済的な様式で、医学的、安全性およびスポーツフィットネスの分野における用途を有する。このようなモニタリングは、例えば、ヒトのフィットネスおよびアクティビティの心肺マーカの診断に有用である。