【実施例】
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明に係る干渉計装置の実施例1を示す光学図である。
その
図1において、1は波長掃引光源である。この波長掃引光源1には、公知のものを使用することができる。
図2はその波長掃引光源1による掃引波長の一例を示す説明図である。
【0016】
その
図2において、fは掃引波長の光周波数、ΔFは掃引波長幅(掃引周波数幅)、Tは波長掃引光源1の繰り返し周期、fsは波長掃引光源1の繰り返し周期T毎の掃引開始波長(開始波長)を示し、
図3においてΔfは参照光路と計測光路の距離差に応じて生じるビート周波数を示す。
【0017】
波長掃引光源1からの光は導光ファイバ1aを経由して光路分割用のフォトカプラ1bに導かれ、参照光学系2の導光路の一部を構成する導光ファイバ1cと計測光学系3の導光路の一部を構成する導光ファイバ1dとに分割される。
【0018】
導光ファイバ1cに導かれた光は、サーキュレータ1eを経由して参照光学系2の一部を構成する参照バルク光学系1fに導かれる。
その参照バルク光学系1fはコリメートレンズ1gと参照ミラー1hとから構成されている。コリメートレンズ1gは、導光ファイバ1cに導かれた光を参照光として平行光束に変換する。
【0019】
その参照ミラー1hからの反射光(戻り光)はサーキュレータ1e、導光ファイバ1jを経由して、光路合成用のフォトカプラ1kに導かれる。
【0020】
導光ファイバ1dに導かれた光は、サーキュレータ1mを経由して計測光学系3の一部を構成する計測バルク光学系1nに導かれる。その計測バルク光学系1nは、コリメートレンズ1pと、ビームスプリッタ(ハーフミラー)1qと、モニタミラー1rと、計測対象1sとから構成されている。
【0021】
その
図1には、計測対象1sは、説明の便宜のため、可動ミラーとして示されている。ここでは、この可動ミラーはステージ(可動台)1zに固定されている。
【0022】
このステージ1zは、ステージコントローラ(図示を略す)によって駆動されるもので、そのステージコントローラ(図示を略す)は処理部4から出力されるトリガー信号によってステージ1zを駆動する。
【0023】
ビームスプリッタ1qは、コリメートレンズ1pと計測対象1sとの間に配置されている。このビームスプリッタ1qは、導光ファイバ1dに導かれた光を計測対象1sに導かれる計測光とモニタミラー1rに導かれるモニタ光とに分割する機能を有すると共に、計測対象1sにより反射された計測光(戻り光)とモニタミラー1rにより反射されたモニタ光(戻り光)とを合成する役割を果たす。
【0024】
ビームスプリッタ1qから計測対象1sまでの光路長Δとビームスプリッタ1qからモニタミラー1rまでの光路長Δ’とは異ならされている。光路長Δ’は光路長Δよりも大きくする方が、位相誤差の検出感度を大きくするうえで望ましい。
【0025】
すなわち、参照ミラー1hを基準にして、参照ミラー1hとモニタミラー1rとの光路差ΔZを、参照ミラー1hと計測対象1sとの光路差(距離差Δz)よりも大きくすること(深くすること)が望ましい。
【0026】
その計測対象1sとモニタミラー1rとにより反射された反射光(戻り光)は、サーキュレータ1m、導光ファイバ1tを経由して、光路合成用のフォトカプラ1kに導かれる。
【0027】
モニタミラー1rと参照ミラー1hとは、Δz=z
2−z
1の距離差が与えられて固定されている。なお、z
2は参照ミラー1hにより反射された戻り光がフォトカプラ1kに達するまでの全光路長、z
1はモニタミラー1rにより反射された戻り光がフォトカプラ1kに達するまでの全光路長である。
【0028】
この距離差Δz=z
2−z
1という式は、参照ミラー1hと計測対象1sとの間の距離差(光路長差)についても、同様に適用できるので、特に断らない限り、同一符号を用いて説明する。
【0029】
そのサーキュレータ1eに導かれた参照ミラー1hからの戻り光(反射光という)と、ビームスプリッタ1qにより反射されてそのサーキュレータ1mに導かれたモニタミラー1rからの戻り光(モニタ光)とはフォトカプラ1kにおいて光路合成されて互いに干渉し、バランスドディテクタ1vに導かれる。
【0030】
また、そのサーキュレータ1eに導かれた参照ミラー1hからの戻り光(反射光)と、ビームスプリッタ1qを透過してそのサーキュレータ1mに導かれた計測対象1sからの戻り光(計測光)もフォトカプラ1kにおいて光路合成されて互いに干渉し、バランスドディテクタ1vに導かれる。
【0031】
バランスドディテクタ1vはそのスペクトル干渉信号S(t)をローパスフィルタ1yを介して処理部4に向けて出力する。処理部4は略すデータ収集ボード(DAQ)を有する。
【0032】
そのフォトカプラ1kは、計測光学系3のモニタ光と参照光学系2の参照光とによる干渉光と、計測光学系3の計測光と参照光学系2の参照光とによる干渉光とを生成するので、バランスドディテクタ1vから出力されるスペクトル干渉信号(干渉信号)S(t)は、
図4に示すように、互いに位相及び周期が異なる正弦波形が重畳された重畳波形となる。そのスペクトル干渉信号S(t)には距離差Δzに応じたビート周波数Δfが含まれている。
【0033】
その
図4には、スペクトル干渉信号S(t)として符号S1(t)、S2(t)、S3(t)が示されているが、これは、波長掃引光源1の掃引を3回連続して繰り返したときのスペクトル干渉信号S(t)の一例を例示的に示したものである。符号Tは、その波長掃引光源1の繰り返し周期である。
【0034】
そのスペクトル干渉信号S(t)は、ローパスフィルタ1yを介して処理部4に入力される。
処理部4は、サンプリング部4aと、記憶部4bとを有する。サンプリング部4aは、波長掃引光源1の繰り返し周期T毎にスペクトル干渉信号S(t)を等時間間隔でサンプリング(抽出)する。そのサンプリングデータは記憶部4bに記憶される。
【0035】
記憶部4bに記憶されたサンプリングデータは、演算部4cに送られる。演算部4cは、サンプリングデータについて後述する捨象処理を行う機能を有する。後述する捨象処理後のサンプリングデータは、フーリエ変換部4dに送られて、繰り返し周期T毎にフーリエ変換処理される。
【0036】
そのフーリエ変換部4dは、そのスペクトル干渉信号S(t)に窓関数W(t)を掛けることにより、点像分布関数(分布関数)PSF(f)を求める処理を行う。その点像分布関数PSF(f)は、
PSF(f)=C∫S(t)W(t)exp(i2πft)dt
の式によって求められる。ただし、Cは係数である。
なお、窓関数W(t)は、なめらかな点像分布関数PSF(f)を求めるために用いられる。
【0037】
周波数fと光路差cΔtと距離差Δzとの間には、以下に説明する関係式がある。なお、cは光速度、Δtはモニタミラー1r(計測対象1s)から戻って来る光と参照ミラー1hから戻って来る光との時間的ずれである。
【0038】
図3に示すように、繰り返し周期Tの掃引時間をtとする。参照ミラー1から参照光がフォトカプラ1kに戻って来るのに要する時間と、モニタミラー1rからモニタ光がフォトカプラ1kに戻って来るのに要する時間(計測対象1sから計測光がフォトカプラ1kに戻って来るのに要する時間)とには、光路差に対応して遅延時間Δtが発生する。
【0039】
このため、参照光の周波数fsに対してモニタ光(又は計測光)の周波数はfs+Δfだけ変化する。ここで、Δfは干渉スペクトル信号S(t)のビート周波数である。
【0040】
ビート周波数Δfは点像分布関数PSF(f)の変数fに対応しており、f=ΔF・Δt/Tの関係式がある。ここで、ΔFは掃引周波数幅である。
この式の両辺の項に、光速度cを掛けると、
cf=cΔF・Δt/T
従って、cf・T/ΔF=cΔt
【0041】
距離差Δzは、光路差cΔt/2であるので、掃引周波数幅ΔF、変数fを求めることにより、距離差Δzを求めることができる。
このようにして求めた距離差Δzは、点像分布関数PSF(f)の半値幅以下のオーダの距離差を求めることはできず、一般的にはマイクロオーダの分解能である。
【0042】
そこで、この実施例1では、ナノオーダ、サブナノオーダの計測を可能とするために、点像分布関数PSF(f)に含まれている位相情報を用いることとする。
【0043】
ところが、この位相情報は変動する。このため、その位相情報からナノオーダの計測が可能かどうかをまず検討することとする。この位相情報の変動を除去するため、25Hz以上の変動周期を除去するローパスフィルタを用いる。
【0044】
図5は、従来技術で説明(段落「0004」参照)したように、計測用の干渉光学計とモニタ用の干渉光学計とを備え、モニタ用の干渉光学計により得られたスペクトル干渉信号をサンプリング(抽出)して得られたモニタデータと、計測用の干渉光学計により得られたスペクトル干渉信号をサンプリングして得られた計測データとを相関演算することにより、計測用の干渉光学計により得られたスペクトル干渉信号S(t)のノイズを除去して、計測を行う従来の干渉計装置について、参照ミラーと計測対象とによるスペクトル干渉信号S(t)にフーリエ変換を行って点像分布関数PSF(f)を求め、この点像分布関数PSF(f)から位相情報φを求めたものである。なお、この
図5には、位相情報φの時間的変動を距離に換算して得た生データの時間的変動が描かれている。なお、この検討のため、計測対象1sには可動ミラーを用いている。
【0045】
その
図5において、横軸は時間、縦軸は位相情報φに対する計測対象の変位(距離差)を示し、Q1は位相情報φの時間的変動による生データ(距離変動の生データ)、Q2は25Hzのローパスフィルタにより位相情報φの時間的変動を除去した時間的変動除去データ(距離の時間的変動を除去した時間的変動除去データ)を示している。
【0046】
本来、計測対象1sに変位がない場合には、位相情報φの時間的変動(位相誤差φe)が生じるはずがないところ、点像分布関数PSF(f)から求めた位相情報φは時間的に変動しており、25Hzのローパスフィルタを用いて位相情報の時間的変動を除去した位相情報φは、時間的に細かく見ると変動しているが総じて安定している。
【0047】
そこで、計測対象1sをナノオーダで意図的に変位(シフト)させてみると、位相情報φが変化し、従って、位相情報φから計測対象の変位を検出できる。
図5には、計測対象1sを参照ミラー1hに対して50ナノメートル変位させたときの25Hzのローパスフィルタにより位相情報の変動を除去した後の位相情報φの変動データQ2が示されている。
【0048】
図6には、計測対象1sを10ナノメートル、20ナノメートル、30ナノメートル、40ナノメートル、50ナノメートル変位させたときの、25Hzのローパスフィルタにより位相情報の時間的変動除去後の距離の変位データQ2がそれぞれ示されている。
【0049】
その
図5、
図6から明らかなように、位相情報φの時間的変動(位相誤差φe)を除去できれば、ナノオーダでの計測対象1sの変位を検出できることが理解できる。
【0050】
そこで、このローパスフィルタを用いて、位相情報の時間的変動を除去することが考えられる。しかしながら、計測対象1sの変位を予測することはできない。計測対象1sが位相情報の時間的変動と同じ変動周期で時間的に変動しているかも知れず、ローパスフィルタを用いて、計測対象1sの位相情報φの変動(位相誤差φe)を除去する方法は信頼性に欠ける。
【0051】
当初、この位相情報φの変動が何に起因するのか不明であった。発明者は、この位相情報φの原因の一つに干渉計装置が設置されている環境条件のもとで、導光ファイバの振動のため、モニタ光による位相と計測光による位相とにずれが生じていることを突き止めた。
【0052】
そこで、この実施例1では、従来技術で説明したモニタ光学系と計測光学系との共通化を極力図るために、以下に説明する構成とした。
すなわち、この実施例1に係る干渉計装置は、波長掃引光源1と、波長掃引光源1からの光を参照光路と計測光路とに分割するフォトカプラ1bと、参照光路を構成する導光ファイバ1cと、導光ファイバ1cに導かれた光を参照光として平行光束に変換するコリメートレンズ1gと参照光を反射する参照ミラー1hとからなる参照バルク光学系1fと、計測光路を構成する導光ファイバ1dと、導光ファイバ1dに導かれた光を計測光及びモニタ光として平行光束に変換するコリメートレンズ1pと計測光を反射する計測対象1sとモニタ光を反射するモニタミラー1rとを含む計測バルク光学系1nと、計測バルク光学系1nからの戻り光を導光する導光ファイバ1tと、参照バルク光学系1fからの戻り光を導光する導光ファイバ1jと、両導光ファイバ1j、1tからの戻り光を合成するフォトカプラ1kとを備えている。
【0053】
計測バルク光学系1nには、コリメートレンズ1pと計測対象1sとの間に計測光とモニタ光とを分割・合成するビームスプリッタ1qが設けられ、モニタミラー1rからビームスプリッタ1qまでの光路長Δ’は、計測対象1sからビームスプリッタ1qまでの光路長Δに対して異ならせている。
【0054】
この構成によれば、導光ファイバの振動による影響を除去できる。しかし、それでも、
図7(A)に示すように、時間的に細かく見ると、計測光学系3のモニタ光と参照光学系2の参照光とによる干渉光と、計測光学系3の計測光と参照光学系2の参照光とによる干渉光との位相は変動している。
【0055】
図7(B)はこの位相を導出するのに用いた点像分布関数PSFを示している。その
図7(A)において、符号Q3はモニタミラー1rと参照ミラー1hとの干渉によるスペクトル干渉信号S(t)を用いて導出した位相変動を示し、符号Q4はその参照ミラー1hと計測対象(この実施例1では、可動ミラー)1sとの干渉によるスペクトル干渉信号S(t)を用いて導出した位相変動を示している。
【0056】
また、その
図7(B)において、符号Q5はそのモニタミラー1rと参照ミラー1hとの干渉によるスペクトル干渉信号S(t)を用いて導出した点像分布関数を示し、符号Q6はその参照ミラー1hと計測対象(可動ミラー)1sとの干渉によるスペクトル干渉信号S(t)を用いて導出した点像分布関数を示している。
【0057】
なお、この
図7(B)では、参照ミラー1hに対する計測対象(可動ミラー)1sの距離差(光路差の1/2)Δzを0.5mm、参照ミラー1hに対するモニタミラー1rの距離差(光路差1/2)Δzを1.0mmに設定して測定した。
【0058】
その
図7(B)において、点像分布関数Q6のピークは、参照ミラー1hを基準として計測対象1sの位置に対応する位相φpを示し、点像分布関数Q5のピークは、参照ミラー1hを基準にしてモニタミラー1rの位置に対応する位相φmを示している。
これらの位相φp、φmは環境等の他、波長掃引光源1の掃引開始周波数等の変動で時間的に変動することにより位相誤差φeを持つ。
【0059】
出願人は、この位相誤差φe(位相φp、位相φmの変動)の原因の一つが掃引開始周波数の時間的変動にあることを突き止めたので、以下、この構成のもとで、位相誤差φe(位相φp、位相φmの変動)とサンプリング個数のずれとの間の関係について考察し、以下に説明する処理を行うことにした。
【0060】
説明の便宜のため、計測光学系3のモニタ光と参照光学系2の参照光とによる干渉光に、計測光学系3の計測光と参照光学系2の参照光とによる干渉光が重畳されていないスペクトル干渉信号S(t)について考える。このスペクトル干渉信号S(t)の波形は段落「0032」で既述したように、正弦波形である。
【0061】
例えば、参照ミラー1hと計測対象(可動ミラー)1sとの間に距離差Δz=0.5(mm)が与えられているものと仮定し、波長掃引光源1の光周波数の波長掃引幅を42nm(光周波数を5.2テラヘルツ(THz))、波長掃引の中心波長λcを1550nm、掃引時間を20マイクロセカント(掃引周波数を50KHz)とすると、スペクトル干渉信号S(t)のビート周波数Δfは900KHzであり、繰り返し周期T毎に位相ずれがないものとすると、
図8(A)に示すスペクトル干渉信号S(t)が得られる。
【0062】
スペクトル干渉信号S(t)に、繰り返し周期T毎に位相ずれφeがあるとすると、例えば、
図8(B)に示すスペクトル干渉信号S(t)が得られる。
【0063】
干渉信号のビート周波数をΔfとし、サンプリング周波数をSf(単位時間当たりのサンプリング点の個数S)とすると、後に詳述するように、位相誤差φeは、
φe=2π×サンプリング始点(抽出始点)のずれの個数sh×干渉信号のビート周波数Δf/サンプリング周波数Sfの式により表される。
【0064】
従って、例えば、サンプリング周波数Sfを500MHzとすると、サンプリング周波数Sfのサンプリング点(抽出点)が1点ずれると、φe=0.0113ラジアンとなる。
【0065】
この位相誤差φeを中心波長λc=1550nmを用いて距離に換算すると、ΔZ=1.4nmとなり、実際には、10数点以上サンプリング点がずれるので、ナノオーダの計測に支障をきたす。なお、距離への換算については、後述する公知の式を用いる。
【0066】
そこで、位相ずれφeとサンプリング点のずれの個数shとの関係を求めることとする。
スペクトル干渉信号S(t)の干渉縞の強度は、光の振動を表す複素表示の方程式exp(i2πfz
1/c)、exp(i2π(f+Δf)z
2/c)を用いて、{exp(i2πfz
1/c)+exp(i2π(f+Δf)z
2/c)}の絶対値の2乗で表される。なお、iは虚数を意味し、i
2=−1である。
【0067】
ここで、α=(2πfz
1/c)、β=(2π(f+Δf)z
2/c)とすると、
{exp(i・α)+exp(i・β)}
={cosα+i・sinα+cosβ+i・sinβ}
={(cosα+cosβ)+i・(sinα+sinβ)}
【0068】
{(cosα+cosβ)+i・(sinα+sinβ)}の絶対値の2乗は、
{cosα+cosβ+i(sinα+sinβ)}・{cosα+cosβ−i(sinα+sinβ)}であるので、
{cosα+cosβ+i(sinα+sinβ)}・{cosα+cosβ−i(sinα+sinβ)}=(cosα+cosβ)
2−i(sinα+sinβ)・(cosα+cosβ)+
i(sinα+sinβ)・(cosα+cosβ)−i
2(sinα+sinβ)
2
=(cosα+cosβ)
2+(sinα+sinβ)
2
=cos
2α+cos
2β+2cosα・cosβ+sin
2α+sin
2β+2sinα・sinβ
=2+2cosα・cosβ+2sinα・sinβ
【0069】
ここで、三角関数の公式
cos(α+β)=cosα・cosβ−sinα・sinβ
cos(α−β)=cosα・cosβ+sinα・sinβ
から、
cos(α+β)+cos(α−β)=2cosα・cosβ
cos(α−β)−cos(α+β)=2sinα・sinβ
【0070】
従って、
2+2cosα・cosβ+2sinα・sinβ=2+2cos(α−β)
すなわち、
{(cosα+cosβ)+i・(sinα+sinβ)}の絶対値の2乗は、
2+2cos(α−β)である。
α=(2πfz
1/c)、β={2π(f+Δf)z
2/c}、Δz=z
2−z
1
であるので、
α=(2πfz
1/c)={2πf(z
2−Δz)/c}
=2πfz
2/c−2πfΔz/c
β={2π(f+Δf)z
2/c}
=2πfz
2/c+2πΔfz
2/c
これらα、βの式から、
α−β=−2πfΔz/c+2πΔfz
2/c
=−{2πfΔz/c−2πΔfz
2/c}
【0071】
従って、
{(cosα+cosβ)+i・(sinα+sinβ)}の絶対値の2乗は、
2+2cos(α−β)=2+2cos{2πfΔz/c−2πΔfz
2/c}、
すなわち、バランスドディテクタ1vから出力されたスペクトル干渉信号S(t)から4cos{2πfΔz/c−2πΔfz
2/c}の方程式に従う干渉縞強度を有するスペクトル干渉信号S(t)が抽出される。
【0072】
干渉縞の強度が2倍に増加しているのは、バランスドディテクタ1vの出力特性に起因するものであり、また、定数項「2」は、本発明に係る測定には寄与しない項であるので無視することとする。
【0073】
波長掃引光源1による繰り返し周期T毎に得られるスペクトル干渉信号S(t)に位相誤差(位相エラー又は位相のずれ)φeがないものとすると、
cos{2πfΔz/c−2πΔfz
2/c}の方程式で表されるスペクトル干渉信号S(t)が得られる(
図8(A)参照)。
【0074】
波長掃引光源1による繰り返し周期Tごとに得られるスペクトル干渉信号S(t)に位相誤差(位相エラー又は位相のずれ)φeがあるものとすると、スペクトル干渉信号S(t)が得られる(
図8(B)参照)。
【0075】
掃引開始周波数(掃引スタート周波数)をfsとすると、掃引周波数fは、掃引周波数幅ΔF、繰り返し周期T、時間tを用いて、
f=fs+(ΔF/T)t
と表される。
【0076】
バランスドディテクタ1vから4cos{2πfΔz/c−2πΔfz
2/c}の方程式に従う干渉縞強度を有するスペクトル干渉信号S(t)は、
上記式を用いて、
4cos{2π(fs+(ΔF/T)t)Δz/c−2πΔfz
2/c}
と書き表すことができる。
【0077】
ここで、位相誤差φeが掃引開始周波数fsの変動のみに起因して、fsが繰り返し周期T毎にδfsだけ変動したと仮定しているので、
上記式の2π(fs+(ΔF/T)t)Δz/cの項は、
2π(fs+(ΔF/T)t)Δz/c+2πδfsΔz/c
と書き表すことができる。
【0078】
上記式において、2πδfsΔz/cの項は掃引開始周波数fsの変動に起因する位相誤差φeを意味し、
φe=2πδfsΔz/c
【0079】
この掃引開始周波数fsのずれを意味する位相誤差φeとサンプリング点のずれ個数shとの関係がわかれば、位相誤差φeをサンプリング点のずれの個数に換算できる。
図9はその掃引開始周波数fsのずれ量δfsとサンプリング点のずれの個数shとの関係を説明するための図である。
【0080】
単位時間(1秒)当たりのサンプリング点の個数をSとし、掃引開始波長fsに対して掃引開始波長fsがfs+δfsに変化したとすると、本来の掃引開始波長(掃引開始波長の平均値)fsに対するサンプリング点のずれの個数をshとして、
shとδfsとの間には、三角形のタンジェントの公式により、
δfs/{1/S・sh}=ΔF/T
の関係にあるから、
δfs={ΔF/T}・{1/S・sh}
【0081】
従って、位相誤差φeは、サンプリング点のずれの個数shを用いて、
φe=2π(Δz/c)δfs=2π(Δz/c){ΔF/T}・{1/S・sh}
段落「0040」のcf・T/ΔF=cΔtの式において、ビート周波数Δfは点像分布関数PSF(f)の変数fに対応しており、f=ΔF・Δt/Tの関係があるので、cΔf・T/ΔF=cΔt=Δzであり、この式を変形して、Δfを求める式に書き改めると、
Δf=Δz・ΔF/c・T
従って、位相誤差φeは、
φe=2π(Δf/S)・sh
【0082】
スペクトル干渉信号S(t)をサンプリングして得られた計測データは、記憶部4bに記憶された後、演算部4cに入力される。
その演算部4cは、繰り返し周期T毎に掃引開始波長fsの平均値に対するサンプリング点のずれの個数shを求める換算処理を行う。
【0083】
ついで、演算部4cは、繰り返し周期T毎の掃引開始波長fsの平均値に対する各繰り返し周期毎の掃引開始波長fsのずれ量δfsに対応するサンプリング点のずれの最大個数shmを算出する。
【0084】
次に、演算部4cは、繰り返し周期T毎に求められた計測データについて、繰り返し周期T毎にサンプリング始点からサンプリング終点に向かう方向のずれの最大個数shmに対応する計測データとサンプリング終点からサンプリング始点に向かう方向のずれの最大個数shmに対応する計測データとを捨象して計測用データのサンプリング幅Hを揃える。
【0085】
図10は繰り返し周期T毎のスペクトル干渉信号S(t)の計測データを示しており、この
図10には中央の繰り返し周期Tの計測データの位相誤差φeが0として、左側の計測データの位相誤差がφe、右側の位相誤差が−φeとして模式的に示されている。
【0086】
モニタ光と参照光との干渉による干渉光をサンプリングして得られたモニタデータについても同様の処理により求められる。
演算部4cは、計測データ、モニタデータを用いて求めたサンプリング点のずれの最大個数shmを用いて、
図11に示すように、サプリング幅(抽出幅)Hを揃える処理を行う。
【0087】
このようにして、サンプリング幅Hが揃えられた繰り返し周期T毎の計測データ、モニタデータは、フーリエ変換部4dに入力される。フーリエ変換部4dは、そのサンプリング幅Hが揃えられた計測データ、モニタデータについて繰り返し周期T毎にフーリエ変換を行って、点像分布関数PSF(f)を求める。この点像分布関数PSF(f)により、位相誤差φeが除去された位相情報φp、φmが求められる。
【0088】
計測対象1sが変位したとすると、位相情報φがφからφ’に変化する。
掃引波長λの中心波長をλcを用いると、φ’-φ=(2π/λc)・2Δzの関係式が得られるので、この式を変形して、Δz={(φ’−φ)/4π}×λcの式により、距離差Δz、すなわち、計測対象1sの変位をナノオーダ、サブナノオーダの大きさで求めることができる。なお、位相差を距離に換算する上記の式は公知である。
【0089】
すなわち、この実施例1によれば、処理部4は、波長掃引光源1の繰り返し周期T毎にスペクトル干渉信号S(t)を抽出して得られたモニタデータと計測データとを記憶部4aに記憶する処理(第1ステップ)を行う。
【0090】
ついで、処理部4は、モニタデータと計測データとに基づき繰り返し周期T毎の掃引開始波長fsの平均値に対する各繰り返し周期T毎の掃引開始波長fsのずれ量δfsを抽出点のずれの個数shに換算して求める処理(第2ステップ)を行う。
【0091】
ついで、処理部4は、各計測データについて繰り返し周期T毎の抽出始点から抽出終点に向かう方向及び抽出終点から抽出始点に向かう方向のずれの最大個数shmに対応する抽出データを捨象して計測データの抽出幅Hを揃える処理(第3ステップ)を行う。
【0092】
そして、処理部4は、その第3ステップにより得られた計測データについて繰り返し周期T毎にフーリエ変換を行うことにより求められた位相情報φから距離を求める。
【0093】
これにより、導光ファイバの振動による影響を除去しつつ、かつ、演算処理速度の高速度化を図りつつ位相情報φの変化から計測対象1sのナノオーダの変位を検出できる。
【0094】
この実施例1では、サンプリング点のずれの個数(サンプリングずれ量sh)をサンプリング間隔の整数倍として取り扱っているが、計測対象1sが深いほど位相誤差φeの変動が大きくなる。
【0095】
(実施例2)
そこで、スペクトル干渉信号S(t)のサンプリングデータを補間により求めて、この補間データを含めて周波数誤差φeの変動を除去する構成とする。
この補間処理を行うことにすれば、位相誤差φeをより一層精密に除去することができる。
【0096】
図12は、記憶部4bに記憶されている干渉信号S(t)のサンプリングデータと掃引矩形信号S(t)’と得られた点像分布関数PSF(f)との関係を示している。
波長掃引光源1を掃引周波数により周期Tで繰り返し掃引すると、
図12(a)に示すスペクトル干渉信号S(t)が既述したように生じる。
【0097】
このスペクトル干渉信号S(t)は、データ収集ボード(DAQ)により分解能12Bit、最大サンプリング周波数(例えば500MS/s)でデジタル化されて、サンプリング部4aでサンプリングされる。
【0098】
その
図12(b)には1回の掃引波長分のスペクトル干渉信号S(t)を抽出するための掃引矩形信号S(t)’が示されている。記憶部4bには、予め設定された測定時間分のサンプリングデータが周期T毎に時間順次(時系列的に)に記録される。
【0099】
掃引矩形信号S(t)’もデータ収集ボード(DAQ)を介して記憶部4bに記憶される。符号S
1(t)’はスペクトル干渉信号S
1(t)に対応する掃引矩形信号、符号S
2(t)’はスペクトル干渉信号S
2(t)に対応する掃引矩形信号、符号S
3(t)’はスペクトル干渉信号S
3(t)に対応する掃引矩形信号をそれぞれ示している。
【0100】
実施例1で説明したステージ1zを駆動するためのトリガー信号は、サンプリングデータ取得のためのトリガー信号としても用いられる。
フーリエ変換部4dは、この抽出されたスペクトル干渉信号S(t)をフーリエ変換して、
図12(c)に示す点像分布関数Q5、Q6を演算する。
【0101】
この
図12(c)に示す点像分布関数Q5、Q6を用いて、モニタミラー1r、計測対象1sの位置(点像分布関数Q6のピーク位置)に対応する位相φp、モニタミラー1rの位置(点像分布関数Q5のピーク位置)に対応するφmの変動を、サンプリング順に演算により求める。
【0102】
ここでは、位相φp、φmの変動を計測対象1s、モニタミラー1rの位置に対応する光路差Δzの変動に換算して求めることとした。
φe=φp(φm)=tan
-1(Im[ASF]/Re[ASF])=(2π/λc)・Δz
ここで、ASFとはAmplitude spread functionを略したもので、スペクトル干渉信号S(t)をフーリエ変換して得られた複素振幅である。
【0103】
Im[ASF]はその複素振幅分布の虚数部の項をいい、Re[ASF]はその複素振幅分布の実数部をいう。点像分布関数PSFはその複素振幅分布の絶対値である。
【0104】
その
図13(a)は、このようにして求めたモニタミラー1rの位置変動Q7と、計測対象1sとの位置変動Q8とを示している。モニタミラー1rは本来固定されているので、モニタミラー1rに関係する位置変動はないはずである。
【0105】
また、参照光学系と計測光学系とをバルク光学系により構成したので、導光ファイバに起因する変動も取り除かれているはずである。
それにも拘わらず、モニタミラー1rに関係する位置変動が生じる理由は、掃引開始周波数の変動に起因している。
【0106】
掃引開始周波数の変動のみによって、位相誤差φeが生じていると仮定した場合、位相誤差φeは、
φe=2π・(Δz/c)・δfs=2π・(Δz/c)・(ΔF/T)・(sh/S)により表されることは、段落「0081」において既述した。
この式をビート周波数Δfを用いて表すと、
φe=2πΔf(sh/S)
【0107】
そこで、モニタデータを用いてモニタミラー1rの位相変動の平均値を求める。次に、この位相変動の平均値から、モニタミラー1rの位相ずれ量を演算する。
【0108】
すなわち、繰り返し周期T毎の掃引開始波長fsの平均値に対する各繰り返し周期毎の掃引開始波長fsのずれ量δfsに対応するサンプリング点のずれ量shを計算する。干渉信号S(t)をずれ量sh分シフトすることにより掃引開始波長fsの変動による位相誤差を除去できる。
【0109】
次に、繰り返し周期T毎にサンプリング始点からサンプリング終点に向かう方向のずれの最大個数shmに対応するモニタデータとサンプリング終点からサンプリング始点に向かう方向のずれの最大個数shmに対応するモニタデータとを捨象してモニタデータのサンプリング幅Hを揃える。
求めたサンプリング点のずれの最大個数shmを用いて、
図11に示すように、サプリング幅(抽出幅)Hを揃える。
【0110】
このようにして、サンプリング幅Hが揃えられた繰り返し周期T毎のモニタデータを、再度フーリエ変換部4dに入力する。フーリエ変換部4dは、そのサンプリング幅Hが揃えられたモニタデータについて繰り返し周期T毎にフーリエ変換を行って、点像分布関数PSF(f)を求める。
【0111】
この点像分布関数PSF(f)により、モニタミラー1rについて位相誤差φeが除去された位相φmが求められる。このようにして、位相誤差φeが除去された位相φmが
図13(a)に符号Q7’として示されている。
モニタミラー1rについての位相誤差の除去により、掃引開始波長fsの時間的変動に伴う位相誤差が除去されるため、計測対象1sについても位相誤差φeが除去された位相φpが求められる。この位相誤差φeが除去された位相φpが
図13(a)に符号Q8’として示されている。
すなわち、そのモニタミラー1rの情報に基づいて掃引開始波長の時間的変動に伴う計測対象1sの情報の較正処理が行われる。
【0112】
その
図13(a)において、測定開始から0.08ms後に計測対象1sの位相が変動しているが、これは、計測対象1sを意図的に150nm変位させたからである。
【0113】
導光ファイバの振動による位相誤差φeの変動を除去し、実施例1の処理を行うことにより、ナノオーダの変位を確認することはできた。しかし、サブナノオーダ以下の位相変動φeは、それでも除去仕切れていないことが
図13(a)により理解できる。
【0114】
その理由は、φe=2πΔf(sh/S)の式から明らかなように、位相誤差φeはビート周波数Δfに依存し、このビート周波数Δfが参照ミラー1hとモニタミラー1r(計測対象1s)との距離差(深さ)Δzに依存して増加するからである。
【0115】
サブナノオーダ以下の位相変動を除去するには、φ=2πΔf(sh/S)の式から明らかなように、サンプリングずれ量shを「0」に近づけなければならない。
【0116】
このサンプリングずれ量shは、サンプリング間隔「1/S」以下には小さくできないため、このサンプリングずれ量shの間隔を「0」に近づけるためには、サンプリングデータを補間しなければならない。
【0117】
そこで、サンプリング周波数Sf以下の間隔のサンプリングデータを得るために、隣接するサンプリングデータを補間する処理を行って、位相誤差φeの変動を求めた。
この補間は、例えば、隣り合うサンプリングデータのデータ値の和を取り、その平均値を求めることにより行う。この補間処理によれば、サンプリング間隔を1/2にすることができる。また、例えば、3次スプライン等の補間処理を行うことにすれば、サンプリングの間隔に対する補間の間隔をより細かくすることができる。
【0118】
図13(b)はサンプリングデータを補間する処理を行って位相変動を除去した結果を示している。
この
図13(b)にはサンプリングデータ補間処理した後のモニタミラー1rについて位相誤差φeが除去された位相φmと計測対象1sについて位相誤差が除去された位相φpとが示されている。
【0119】
その
図13(b)において、符号Q7”は、サンプリングデータ補間処理後の位相φmの変動を示し、符号Q8”は、サンプリングデータ補間処理後の位相φpの変動を示している。
【0120】
図13(a)と
図13(b)との比較から明らかなように、サンプリングデータの補間処理を行った場合の方が、位相誤差φeの変動が小さい。
次に、参照ミラー1hを基準にして参照ミラー1hと計測対象1sとの距離差Δzを1.5mm、参照ミラー1hを基準にして参照ミラー1hとモニタミラー1rとの距離差Δzを1mmに設定して位相誤差φeの変動を計測した。
【0121】
計測対象1sの深さの増加に伴って増加する位相誤差φeの変動を除去できるか否かを確認するためである。
図14(a)はサンプリングデータの補間を行わずに求めた位相誤差φeの変動を示し、
図14(b)はサンプリングデータの補間を行って求めた位相誤差φeの変動を示している。
【0122】
図14(a)、
図14(b)において、符号Q9は、このようにして位相誤差φeが除去されたモニタミラー1rの位相φmの変動を示し、符号Q10は位相誤差φeが除去された計測対象1sの位相φpの変動を示している。
【0123】
モニタミラー1rの深さは1.0mmであるので、そのモニタミラー1rの変動の大きさは
図13(a)、(b)に示す場合と同じである。サンプリングデータの補間処理行わなかったときの位相誤差φeが除去された位相φmの変動Q9’も
図13(a)に示す場合と同様である。
【0124】
これに対して、計測対象1sの位相φpの変動は、参照ミラー1hと計測対象1sとの深さ(距離差Δz)を0.5mmから1.5mmに変更したので、すなわち、参照ミラー1hを基準にして計測対象1sの深さを増加させたので、位相φpの変動は増加している。サンプリングデータの補間処理行わなかったときの位相誤差φeが除去された位相φpの変動Q10’も増加している。
【0125】
図14(b)はサンプリングデータを補間する処理を行って位相誤差φeの変動を除去した結果を示している。
この
図14(b)にはサンプリングデータを補間処理した後のモニタミラー1rについて位相誤差φeが除去された位相φmと計測対象1sについて位相誤差が除去された位相φpとが示されている。
【0126】
その
図14(b)において、符号Q9”は、サンプリングデータ補間処理後の位相φmの変動を示し、符号Q10”は、サンプリングデータ補間処理後の位相φpの変動を示している。
サンプリングデータを補間処理後の位相φmの変動Q9”は
図13(b)に示す変動Q7”と本来的に同じである。
【0127】
計測対象1sについて位相誤差φeが除去された位相φpの変動Q10”は
図14(a)に示す変動Q10’に対して改善されている。
図14(c)、
図14(d)は、計測対象1sを意図的に150nm変位させて強制停止後の計測対象1sの位相変動部分Q10’a、Q10”aを拡大して示している。
【0128】
図14(c)においては、計測対象1sについてサンプリングデータの補間処理を行っていないために、ノイズが除去しきれておらず、強制停止の際の振動が一見して分かり難い。
これに対して、
図14(d)においては、計測対象1sについてサンプリングデータの補間処理を行っているために、ノイズがほぼ除去され、強制停止の際の振動が明瞭に把握できる。
【0129】
このように、サンプリングデータの補間処理を行うことにより、深さの増加に伴って増加するという位相誤差の増加を除去できるので、モニタミラー1rの深さを計測対象1sよりも深く設定するという制約を受けないことになり、その結果、計測感度が向上する。