【課題を解決するための手段】
【0006】
これらのおよびさらなる目的は、独立請求項に記載された、容器を把持するための装置、サンプルを分析するためのシステムおよび容器を把持する方法によって達成される。本発明の好適な実施形態は従属請求項によって示される。
【0007】
本明細書において用いられるように、用語「容器」は、液体を受け入れることのできる任意の容器を示す。一実施形態において、容器は、キュベットである。一実施形態において、容器は、内部スペースに液体を受け入れ、その中に含まれる液体サンプルの光度測定、すなわちサンプル中に存在する検体の光学的分析に用いられる、吸光および散乱などの光学的透過度の変化の測定を可能にするように構成された、少なくとも一部が光学的に透明な本体を備える。容器は、例えば化学的または生物学的反応の結果を検知し、または化学的または生物学的反応の進行をモニターするための散乱性能の評価、例えば凝固評価、凝集評価および比濁評価などにおいて使用されてもよい。一実施形態において、容器の本体は、側壁と、密閉された底部と、側壁および密閉された底部によって形成された内部スペースに液体を投入するための上部開口とを備える。一実施形態において、具体的には、本発明の装置で使用するように構成される場合、容器は、本体から外側に突出するフランジを備え、それによって容器をフランジでグリッパにより把持され得る。フランジは、例えば上部開口に近接して設けることができる。一実施形態において、容器は、2つの平行平面壁を有し、少なくとも1つの壁には壁から突出するフランジが設けられる。一実施形態において、フランジは、本体から垂直に突出する。一実施形態において、フランジは、フランジが突出する壁と一体的に形成される。一実施形態において、フランジには、グリッパによって与えられる他の係合エレメントと相互作用するために、限定的ではないが、凹部または突起部などの少なくとも1つの係合エレメントが設けられる。容器の上記の各種の実施形態は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで用いることができる。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、容器を把持するための新規な装置が提案される。
【0009】
一実施形態において、容器を把持するための装置は、固定マウントを備える。
【0010】
一実施形態において、容器を把持するための装置は、縦軸の周りでマウントに対して回転可能となるようにマウントに連結された、縦軸を有する延伸支持部を備える。一実施形態において、延伸支持部は、垂直配向を有する。一実施形態において、延伸支持部は、垂直または水平配向に対して傾斜している。具体的には、一実施形態において、支持部は、容器を把持するためのグリッパをガイドするために縦軸に沿って延びるグリッパガイドを備える。
【0011】
一実施形態において、装置は、支持部の縦軸に沿って支持部に対して移動可能なように支持部に連結されたグリッパを備える。具体的には、一実施形態において、グリッパは、グリッパの移動動作の制御を容易にできるグリッパガイドによってガイド可能である(ガイドされる)。具体的には、グリッパは、容器を把持するために互いに向かって、または容器を開放するために互いに離れるように移動することができる(例えば2つの)掴み部を備える。掴み部を互いに向かって移動させることによって、グリッパは、閉じられた状態になることができ、容器は、掴み部によって取り上げられ、保持され得る。掴み部を互いから離れるように移動させることによって、グリッパは、開いた状態になることができ、把持された容器を開放することができる。閉じられた状態では、掴み部は、互いに接触している必要はない(すなわち、互いに離間され得る)。一実施形態において、掴み部は、互いに向かって、または互いから離れるように垂直方向に移動可能なように配置される。一実施形態において、掴み部は、互いに向かって、または互いから離れるように水平方向に移動可能なように配置される。一実施形態において、掴み部は、互いに向かう方向に、または互いから離れる方向であって、垂直方向または水平方向に対して傾斜した方向に移動可能なように配置される。
【0012】
一実施形態において、装置は、グリッパがマウントの周りで回転可能なように、固定マウントの周りで支持部を回転させるように構成された回転機構を備える。
【0013】
一実施形態において、装置は、グリッパを、例えばグリッパガイドによってガイドして、支持部の縦軸に沿って移動させるように構成された移動機構を備える。
【0014】
一実施形態において、容器を把持するための装置は、回転機構を駆動するための、モータなどの第1のアクチュエータと、移動機構を駆動するための、モータなどの第2のアクチュエータとを備える。従って、グリッパは、支持部をマウントの周りで回転させることによって回転させることができ、および/または縦軸に沿って移動させることができる。具体的には、グリッパの回転動作および/または移動動作を行うように、移動機構および回転機構は、互いに独立して駆動可能である。
【0015】
一実施形態において、装置は、少なくとも2つの異なる停止位置において固定マウントに固定された少なくとも2つの基準エレメントを備える。一実施形態において、少なくとも2つの基準エレメントは、縦軸に対して少なくとも2つの異なる停止位置において固定マウントに固定される。一実施形態において、少なくとも2つの基準エレメントは、縦軸に対して同じ位置にある少なくとも2つの角度位置に対して、少なくとも2つの異なる停止位置において固定マウントに固定される。具体的には、掴み部は、停止位置以外の、縦軸に対する位置、例えば少なくとも2つの停止位置の間で容器を保持するために、互いに向かって受動的に付勢可能で(付勢され)、かつ掴み部は、停止位置の1つにおいて、グリッパを基準エレメントに対して押し付けることにより互いに離れるように能動的に付勢可能である(付勢される)。
【0016】
従って、掴み部は、停止位置以外の位置において容器を保持することが可能で、これは、例えば、少なくとも1つの掴み部に連結された少なくとも1つの弾性(伸縮性)エレメントの弾性(伸縮)力によって達成される。グリッパを縦軸に沿って移動させることにより、および/またはグリッパを縦軸の周りで回転させることにより、グリッパは、基準エレメントに押し付けられることができ、それにより容器を開放するかまたは容器を把持するために、掴み部は互いから離れるように移動させられる。結果として、容器は、停止位置において把持され、もしくは解放され得るか、または停止位置以外の位置、例えば少なくとも2つの停止位置の間においてグリッパにより保持されて、移動させられ得る。
【0017】
本明細書において用いられるように、用語「受動的に付勢可能」は、停止位置においてグリッパを基準エレメントに押し付けることなく、掴み部を互い向かって付勢することに関する。掴み部を受動的に付勢することは、例えば、少なくとも1つの掴み部に連結された少なくとも1つの弾性エレメントの弾性力によって達成することができる。用語「能動的に付勢可能」は、例えば、掴み部を受動的に付勢する少なくとも1つの弾性エレメントの弾性力を対抗して作用させることにより、掴み部が付勢された状態で、グリッパを基準エレメントに押し付けることにより、掴み部が互いに離れるように移動することに関する。
【0018】
従って、本発明の装置を用いることによって、容器のピッキング位置に対応する基準エレメントまでグリッパを移動させ、グリッパを開くためにグリッパを基準エレメントに押し付け、およびグリッパを閉じて容器を把持するように、グリッパを停止位置から離れるように移動させることにより、容器を取り上げることができる。把持された容器は、容器を開放する位置に対応する基準エレメントまでグリッパを移動させ、グリッパを能動的に開けて容器を開放するためにグリッパを基準エレメントに押し付けることにより、開放され得る。結果として、容器は、ユーザの要求に従って取り上げられ、開放され得る。
【0019】
記載のように、グリッパは、掴み部を操作するためのモータを使用することなく、開かれた、または閉じられた状態になり得る。代わりに、グリッパは、グリッパを移動させ、および/または回転させ、グリッパを基準エレメントに押し付けることによって開けられるか、または閉じられ得る。一実施形態において、グリッパは、グリッパをグリッパガイドに沿って移動させることによって開けられるか、または閉じられ得る。グリッパは、機械的に操作され得るので、有利には、グリッパを操作するために追加的な電気配線を設ける必要がない。結果として、装置の組み立てが比較的簡単で、構造が頑丈であって、長期間に亘る保守不要の使用に適している。さらに、装置は、設計が高度にコンパクトであって、結果的に設置面積が小さい。装置は、低コストおよび容易な製造を可能にする少ない構成要素のみを有する。結果として、サンプル容器の使用を含むサンプルの分析処理が、容易になり、コスト効率のよい方法でなされ得る。
【0020】
本発明の装置の一実施形態において、グリッパは、グリッパヘッドおよびグリッパベースを備え、グリッパヘッドは、縦軸に沿って支持部に対して移動可能なように支持部に連結される。一実施形態において、グリッパヘッドは、支持部のグリッパガイドによりガイド可能である(ガイドされる)。グリッパヘッドは、停止位置においてグリッパベースを基準エレメントに押し付けることにより、少なくとも1つの弾性部材の弾性力に対抗してグリッパベースに対して移動可能なようにグリッパベースに連結される。掴み部は、グリッパベースと共に移動させられるように、移動可能にグリッパベースに固定され、互いに向かって、または互いから離れるように移動可能である。さらに、掴み部は、グリッパベースを基準エレメントに押し付けることにより互いに離れるように移動するように、かつ停止位置以外の位置、例えば少なくとも2つの停止位置の間において互いに向って移動するようにグリッパヘッドに連結される。従って、グリッパは、停止位置においてグリッパベースを基準エレメントに押し付けることにより容易に開けられ、かつ停止位置以外の位置において少なくとも1つの弾性エレメントの弾性力によって閉じられ得る。この実施形態は、本発明の装置の、容易で頑丈でコスト効率のよい製造を可能にする。
【0021】
一実施形態において、グリッパヘッドは、支持部の縦軸に垂直な動作成分を有するグリッパベースに対して移動可能なようにグリッパベースと連結される。具体的には、一実施形態において、グリッパヘッドは、グリッパベースをガイドするための(例えば、線形の)ベースガイドを備え、ベースガイドは、支持部の縦軸に対して傾斜している。具体的には、一実施形態において、(例えば、線形の)ベースガイドは、グリッパベースを基準エレメントに押し付けることにより誘発されるグリッパベースの動きにより与えられる方向に対して上向きに傾斜している。従って、グリッパベースをグリッパヘッドに対して移動させる場合、掴み部は、(縦軸に向かって、または縦軸から離れるような)縦軸に垂直な動作成分を有するように、グリッパベースと共に移動させられる。掴み部の、支持部の縦軸に垂直な動作は、有利には、容器にまで達して容器を把持するために、掴み部を互いに向かって、または互いに離れるよう移動させるのに用いられ得る。さらに、掴み部の前進および後退動作は、有利には、容器を把持し、または解放するために用いられ得る。
【0022】
一実施形態において、グリッパヘッドは、掴み部をガイドするために掴み部に連結された少なくとも1つの掴み部ガイドを備え、掴み部ガイドは、グリッパベースを基準エレメントに押し付けることにより掴み部を互いから離れるように、または停止位置の間で掴み部を互いに向かって移動させるように形成される。従って、掴み部は、容易で、頑丈で、コスト効率の良い方法で、互いに向かって、または互いに離れるように移動させられ得る。一実施形態において、グリッパヘッドは、掴み部をガイドするために掴み部に連結された少なくとも2つの掴み部ガイドを備え、掴み部ガイドは、グリッパベースを基準エレメントに押し付けることにより掴み部を互いから離れるように、または停止位置以外の位置で、例えば、少なくとも2つの停止位置の間で掴み部を互いに向かって移動させるように形成される。従って、グリッパは、高度に効率的な方法で容易に開けられるか、または閉じられ得る。
【0023】
本明細書において用いられるように、用語「停止位置」は、一般的には、掴み部を開けるか、または閉じるように、グリッパが基準エレメントに接触する、グリッパの位置に関する。具体的には、停止位置は、グリッパヘッドがグリッパベースに対して移動可能な状態で、グリッパベースが基準エレメントに接触する、グリッパの位置に関するものとすることができる。従って、停止位置は、基準エレメントに接触しているグリッパベースの位置が縦軸に対して変わらない、縦軸に対するグリッパヘッドの位置の範囲を含む。
【0024】
一実施形態において、容器を把持するための装置は、支持部の縦軸に対して1つの停止位置に配置された複数の基準エレメントを含む。従って、グリッパは、有利には、容器を取り上げ、または解放するために、同じ停止位置の縦軸の周りの異なる角度(回転)位置で開けることができ、それにより装置の操作能力が増加する。一実施形態において、容器を把持するための装置は、互いに異なる少なくとも3つの停止位置に配置された少なくとも3つの基準エレメントを備える。従って、グリッパは、有利には、1つの停止位置において容器を取り上げ、複数の停止位置の1つで容器を選択的に開放するために用いることができ、それにより装置の操作能力が増加する。
【0025】
本発明の装置の一実施形態において、少なくとも1つの基準エレメントは、環状セグメントとして形成される。従って、同じ停止位置において、容器を取り上げ、または解放するために、縦軸の周りのグリッパの回転位置の(例えば、広い)範囲が、アクセス可能である。具体的には、環状セグメントは、グリッパベースを環状セグメントに沿って移動させている間、グリッパを開位置に維持するために用いられ得る。結果として、掴み部は、容器が配置されている位置まで、開位置で横方向に移動することができ、次に掴み部を閉じて、容器を把持するように、グリッパベースに対してグリッパヘッドが移動される。逆の操作によって、容器は開放される。
【0026】
本発明の装置の一実施形態において、少なくとも1つの基準エレメントは、グリッパをガイドするための案内面を備える。案内面は、グリッパを回転軸の周りで回転させることによってグリッパを案内面に接触して案内面に沿って移動させている間、グリッパを開けた状態に維持するために用いられ得る。従って、グリッパは、案内面に沿ってグリッパをガイドしている間、回転位置の(例えば、広い)範囲において、容易に開いた状態に維持され得る。具体的には、一実施形態において、案内面は、グリッパと摺動係合するように適合された摺動面として構成される。
【0027】
一実施形態において、グリッパは、支持部の縦軸の周りでグリッパを回転させることにより基準エレメントの案内面上を転動するように構成された、限定されないが、アイドルローラなどの少なくとも1つの接触ホイールを備える。従って、有利には、グリッパと基準エレメントとの間の摩擦力を減少させることができる。一実施形態において、グリッパベースはホイールを備える。
【0028】
一実施形態において、支持部は、垂直位置にあって、少なくとも2つの停止位置が異なる高さに配置される。結果として、容器は、異なる高さで取り上げ、および開放することが可能で、これは、異なる高さの間での容器の移送を含む分析器において有利となり得る。
【0029】
本発明の装置の一実施形態において、移動機構および/または回転機構は、簡単で、頑丈で、およびコスト効率の良いグリッパの駆動を可能にするベルト駆動部として構成される。
【0030】
本発明の装置の一実施形態において、少なくとも1つの掴み部は、容器のフランジによって形成された、対応する係合エレメントとの係合のために、限定されないが、凹部または突起部などの少なくとも1つの係合エレメントを備える。具体的には、一実施形態において、容器のフランジには、掴み部によって形成された突起部と係合するための少なくとも1つの凹部が設けられる。従って、容器は、把持または保持不良のリスクを減少させるように、より信頼できる方法で把持され得る。
【0031】
一実施形態において、本発明の装置は、グリッパを第1の停止位置まで移動させるように移動機構および/または回転機構を制御するように設定された制御器を備え、制御器は、容器を取り上げるために、グリッパを第1の基準エレメントに押し付けることによりグリッパを開け、容器を把持するように、グリッパを第1の基準エレメントから離れるように移動させることによりグリッパを閉じ、グリッパを第2の停止位置に移動させ、そして容器を開放するために、グリッパを第2の基準エレメントに押し付けることによりグリッパを開ける。具体的には、一実施形態において、制御器は、容器を把持し、開放するためにグリッパを移動させおよび/または回転させるように、移動機構および/または回転機構を制御するように設定される。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、サンプルを分析するための新規なシステム(機器)が提案される。システムは、限定されるものではないが、測光法、特に容器中の光度測定などの1つまたは2つ以上の分析方法に関連してサンプルを分析するように構成され得る。システムは、ばら荷状態で分離器に供給された容器を分離し、一塊(single)の容器をピッキング位置に提供するための分離器を備える。本明細書で用いられるように、用語「ばら荷状態」(bulk form)は、例えば一塊で存在する複数の容器が不規則な状態を示す。ばら荷状態の容器は、サンプルの処理のために分離され(個別化され)、別々に送り出される。システムはさらに、サンプルを分析するための少なくとも1つの分析区画を備える。システムはさらに、第1の停止位置に対応して配置されるピッキング位置から、少なくとも1つの第2の停止位置に対応して配置される少なくとも1つの分析区画まで容器を移送するために、1つまたは2つ以上の上記の実施形態の容器を把持する装置を備える。システムの一実施形態において、容器を把持する装置は、容器を廃棄区画に送り出すための第3の停止位置を備える。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、容器を把持する新規な方法が提案される。この方法は、以下の工程:互いに向かって受動的に付勢された掴み部が設けられたグリッパを第1の停止位置まで移動させる工程;容器を取り上げるためにグリッパを第1の基準エレメントに押し付けることによりグリッパを開ける工程;容器を把持するように、グリッパを第1の基準エレメントから離れるように移動させることによりグリッパを再度閉じる工程;グリッパを第2の停止位置まで移動させる工程;および容器を開放するために、グリッパを第2の基準エレメントに押し付けることによりグリッパを開ける工程を備える。一実施形態において、グリッパの移動は、グリッパを移動させおよび/または回転させることを含む。
【0034】
本発明の様々な態様の上記の実施形態は、単独でまたは本発明の範囲から逸脱することなく組み合わせて用いられてもよい。
【0035】
本発明の他のおよびさらなる目的、特徴および利点は、以下の記載から、より完全に明らかになるだろう。明細書に組み込まれかつ明細書の一部を構成する付随の図面は、本発明の好適な実施形態を示し、また上記の一般的な記載および下記の詳細な記載と共に、本発明の原理の説明に貢献する。