特許第6386360号(P6386360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386360
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】引戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20180827BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20180827BHJP
   A62C 2/06 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   E06B5/16
   E06B3/26
   A62C2/06 502
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-249879(P2014-249879)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-108906(P2016-108906A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 しのぶ
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−144877(JP,A)
【文献】 特開2006−183374(JP,A)
【文献】 特開平10−317808(JP,A)
【文献】 米国特許第07841138(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 3/04−3/46
A62C 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部に設けられる枠体と、
該枠体の内部に見付け方向にスライド可能に設けられ、上下方向に延びる縦框と、該縦框に接合され前記見付け方向に延びる横框と、を有する障子と、を備えた引戸であって
前記縦框は、
金属により形成された金属縦框部と、
該金属縦框部の見込み方向の室内側に設けられ樹脂により形成された樹脂縦框部と、を有し、
前記横框は、
金属により形成された金属横框部と、
該金属横框部の前記室内側に設けられ樹脂により形成された樹脂横框部と、を有し、
前記金属横框部の前記室内側に沿って配置された補強面を有し、前記金属縦框部に固定されるとともに、金属により形成された補強金具を、備え
前記樹脂横框部は、
前記金属横框部の前記室内側に配置された室外側樹脂部と、
該室外側樹脂部と前記見込み方向に離間して前記室内側に配置される室内側樹脂部と、を有し、
前記補強面は、前記室外側樹脂部と前記室内側樹脂部との間に形成された空間部に配置されていることを特徴とする引戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の開口部に設けられる引戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミ部材及び樹脂部材からなる障子2枚で構成された引違サッシにおいて、障子の上框、下框及び縦框それぞれの端部に火災時に熱により発泡する加熱発泡材が設けられたものが開示されている(下記特許文献1参照)。特許文献1の引違サッシでは、加熱発泡材が、火災時に障子と枠体との間の隙間を塞ぐように構成されている。
【0003】
また、上框、下框及び縦框(戸先框、召合せ框)が、それぞれアルミ部材と、アルミ部材の室内側に設けられた樹脂部材とで構成されている片引戸サッシが一般的に知られている。縦框を構成するアルミ部材の見込み方向の室外側には、対向する縦框側に向かって延びる延出壁部が設けられている。この延出壁部と縦框の樹脂部材との間に、上框(又は下框)が嵌合されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−225149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に記載の片引戸サッシでは、火災時の燃焼により、縦框の樹脂部材が溶融し、脱落してしまった場合には、縦框のアルミ部材の延出壁部だけで上框(又は下框)を支持することになる。よって、縦框と上框(又は下框)との接合部分に作用する負荷が大きくなり、障子の十分な剛性を確保することができないという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、框同士を強固に接合して防火性能を確保することができる引戸を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る引戸は、構造物の開口部に設けられる枠体と、該枠体の内部に見付け方向にスライド可能に設けられ、上下方向に延びる縦框と、該縦框に接合され前記見付け方向に延びる横框と、を有する障子と、を備えた引戸であって、前記縦框は、金属により形成された金属縦框部と、該金属縦框部の見込み方向の室内側に設けられ樹脂により形成された樹脂縦框部と、を有し、前記横框は、金属により形成された金属横框部と、該金属横框部の前記室内側に設けられ樹脂により形成された樹脂横框部と、を有し、前記金属横框部の前記室内側に沿って配置された補強面を有し、前記金属縦框部に固定されるとともに、金属により形成された補強金具を、備え、前記樹脂横框部は、前記金属横框部の前記室内側に配置された室外側樹脂部と、該室外側樹脂部と前記見込み方向に離間して前記室内側に配置される室内側樹脂部と、を有し、前記補強面は、前記室外側樹脂部と前記室内側樹脂部との間に形成された空間部に配置されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された引戸では、火災により縦框の樹脂縦框部が溶融した場合には、縦框の金属縦框部及び金属縦框部に固定され、金属横框部の室内側に沿って配置される補強面を有する補強金具により、横框の荷重を支持することができる。よって、縦框と横框との接合される接合部分に設けられた補強金具により、框同士を強固に接合することができる。したがって、引戸の剛性を確保することができるため、引戸の変形を抑制して、防火性能を確保することができる。また、接合部分における隙間の発生を抑制して、防火性能を確保することができる。
また、補強金具の補強面は、樹脂横框部の室外側樹脂部と室内側樹脂部との間に形成された空間部に配置されているため、補強面の露出を抑えつつ、框同士を強固に接合して防火性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る引戸によれば、框同士を強固に接合して防火性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る引戸を室外側から見た室外側正面図である。
図2図1に示す引戸を室内側から見た室内側正面図である。
図3図1の矢視A−A断面図である。
図4図2の矢視B−B断面図である。
図5図3の矢視C−C断面図である。
図6図3の矢視D−D断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る引戸の障子の戸先側の分解斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る引戸の障子の召合せ側の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の引戸の一実施形態として、片引戸を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る引戸を室外側から見た室外側正面図である。図2は、図1に示す引戸を室内側から見た室内側正面図である。図3は、図1の矢視A−A断面図である。図4は、図2の矢視B−B断面図である。
図1から図4に示すように、片引戸(引戸)10は、構造物Bの開口部Wに固定された枠(枠体)1と、枠1の内部に見付け方向にスライド可能に設置された障子2と、を備えている。本実施形態の片引戸10は、勝手口等に設置されるものである。
【0016】
枠1は、見付け方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の戸先側と下枠12の戸先側とを上下方向に連結する縦枠13と、上枠11の見付け方向中間部と下枠12の見付け方向中間部とを上下方向に連結する方立14と、を有している。
【0017】
障子2は、見付け方向に延在する上框(横框)3及び下框(横框)4と、上下方向に延在する戸先縦框(縦框)5及び召合せ框(縦框)6と、上框3、下框4、戸先縦框5及び召合せ框6の内側に配置されるガラス8と、を有している。
【0018】
障子2において、上框3の戸先側の端部と戸先縦框5の上端部とは、図示しないネジ等により接合されている。また、戸先縦框5の下端部と下框4の戸先側の端部とは、図示しないネジ等により接合されている。また、下框4の召合せ側の端部と召合せ框6の下端部とは、図示しないネジ等により接合されている。また、召合せ框6の上端部と上框3の召合せ側の端部とは、図示しないネジ等により接合されている。
【0019】
図5は、図3の矢視C−C断面図である。図6は、図3の矢視D−D断面図である。図7は、片引戸10の障子2の戸先側の分解斜視図である。図8は、片引戸10の障子2の召合せ側の分解斜視図である。なお、図7図8において、後述する樹脂形材を用いて形成された部材(樹脂上部材3B、樹脂下部材4B、樹脂戸先部材5B、樹脂召合せ部材6B)の図示を省略している。
【0020】
図3図5図7及び図8に示すように、上框3は、アルミ形材を用いて中空構造で形成されたアルミ上部材(金属横框部)3Aと、アルミ上部材3Aの室内側に設けられ樹脂形材を用いて形成された樹脂上部材(樹脂横框部)3Bと、を有している。
【0021】
アルミ上部材3Aは、室外側に配置される室外側アルミ壁部31と、室外側アルミ壁部31の見込み方向の室内側に配置される室内側アルミ壁部32と、を有している。室外側アルミ壁部31と室内側アルミ壁部32とは、複数の連結アルミ壁部33…により連結されている。
【0022】
樹脂上部材3Bは、室内側アルミ壁部32に沿って配置される室外側樹脂壁部(室外側樹脂部)36と、室外側樹脂壁部36の見込み方向の室内側に配置される室内側樹脂壁部(室内側樹脂部)37と、を有している。
【0023】
室外側樹脂壁部36の上端部と室内側樹脂壁部37の上端部とは、上連結樹脂壁部38により連結されている。室外側樹脂壁部36の下端部と室内側樹脂壁部37の上下方向中間部とは、仕切り樹脂壁部39により連結されている。また、室内側樹脂壁部37の下端部には、室外側に向かって延びる延出樹脂壁部40が設けられている。延出樹脂壁部40の端部は、室内側アルミ壁部32に係合されている。これにより、室外側樹脂壁部36、上連結樹脂壁部38、室内側樹脂壁部37の上部及び仕切り樹脂壁部39により、見付け方向に延びる空間部S1が形成されている。また、室内側アルミ壁部32の下部、仕切り樹脂壁部39、室内側樹脂壁部37の下部及び延出樹脂壁部40により、見付け方向に延びる空間部S2が形成されている。
【0024】
図3図6図7及び図8に示すように、下框4は、アルミ形材を用いて中空構造で形成されたアルミ下部材(金属横框部)4Aと、アルミ下部材4Aの室内側に設けられ樹脂形材を用いて形成された樹脂下部材(樹脂横框部)4Bと、を有している。
【0025】
アルミ下部材4Aは、室外側に配置される室外側アルミ壁部41と、室外側アルミ壁部41の見込み方向の室内側に配置される室内側アルミ壁部42と、を有している。室外側アルミ壁部41と室内側アルミ壁部42とは、複数の連結アルミ壁部43…により連結されている。
【0026】
室外側アルミ壁部41の下部、室内側アルミ壁部42の下部により形成された空間部には、下方から下枠12の障子用レール12Aが配置されている。
【0027】
複数の連結アルミ壁部43…のうち室外側アルミ壁部41の下部と室内側アルミ壁部42の下部とを連結する連結アルミ壁部43において、見付け方向両端部には、上下方向に貫通する戸車挿通孔部43Kが形成されている。戸車挿通孔部43Kには、戸車部9が配置されている。この戸車部9により、障子2は下枠12(障子用レール12A)に沿って移動可能とされている。
【0028】
樹脂下部材4Bは、室内側アルミ壁部42に沿って配置される室外側樹脂壁部(室外側樹脂部)46と、室外側樹脂壁部46の見込み方向の室内側に配置される室内側樹脂壁部(室内側樹脂部)47と、を有している。
【0029】
室内側樹脂壁部47の上部には、室外側に向かって延びる延出樹脂壁部48が設けられている。延出樹脂壁部48の端部は、室内側アルミ壁部42に係合されている。また、室外側樹脂壁部46の上端部と室内側樹脂壁部47の上下方向中間部とは、仕切壁部49により連結されている。また、室外側樹脂壁部46の下部と室内側樹脂壁部47の下部とは、連結樹脂壁部50により連結されている。これにより、室内側アルミ壁部42、延出樹脂壁部48、室内側樹脂壁部47の上部及び仕切壁部49により、見付け方向に延びる空間部S3が形成されている。また、室外側樹脂壁部46、仕切壁部49、室内側樹脂壁部47の下部及び連結樹脂壁部50により、見付け方向に延びる空間部S4が形成されている。
【0030】
図5図6及び図7に示すように、戸先縦框5は、アルミ形材を用いて中空構造で形成されたアルミ戸先部材(金属縦框部)5Aと、アルミ戸先部材5Aの室内側に設けられ樹脂形材を用いて形成された樹脂戸先部材(樹脂縦框部)5Bと、を有している。
【0031】
アルミ戸先部材5Aは、室外側に配置される室外側アルミ壁部51と、室外側アルミ壁部51の見込み方向の室内側に配置される室内側アルミ壁部52と、を有している。さらに、アルミ戸先部材5Aは、室外側アルミ壁部51の召合せ側と室内側アルミ壁部52の召合せ側の端部とを連結する第一連結アルミ壁部53と、室外側アルミ壁部51の戸先側と室内側アルミ壁部52の戸先側とを連結する第二連結アルミ壁部54と、を有している。
【0032】
室外側アルミ壁部51の先端壁部51Pは、第一連結アルミ壁部53よりも召合せ側に突出している。先端壁部51Pの上部において、室内側を向く面に沿って、アルミ上部材3Aの室外側アルミ壁部31の戸先側の端部が当接配置されている。先端壁部51Pの下部において、室内側を向く面に沿って、アルミ下部材4Aの室外側アルミ壁部41の戸先側の端部が当接配置されている。
【0033】
樹脂戸先部材5Bは、室内側アルミ壁部52に沿って配置される樹脂壁部56と、樹脂壁部56の戸先側に設けられた係合部57と、を有している。係合部57は、アルミ戸先部材5Aの室内側アルミ壁部52の戸先側の端部52Pに係合されている。
【0034】
さらに、樹脂戸先部材5Bは、樹脂壁部56の召合せ側に設けられ平面視矩形状に形成された角管部58と、角管部58の室外側の端部から室外側に向かって延びる取付壁部59と、を有している。取付壁部59には、見付け方向に貫通する取付孔59Xが形成されている。
【0035】
図5図6及び図8に示すように、召合せ框6は、アルミ形材を用いて中空構造で形成されたアルミ召合せ部材(金属縦框部)6Aと、アルミ召合せ部材6Aの室内側に設けられ樹脂形材を用いて形成された樹脂召合せ部材(樹脂縦框部)6Bと、を有している。
【0036】
アルミ召合せ部材6Aは、室外側に配置される室外側アルミ壁部61と、室外側アルミ壁部61の見込み方向の室内側に配置される中間側壁部62と、中間側壁部62の見込み方向の室内側に配置される室内側アルミ壁部63と、を有している。さらに、アルミ召合せ部材6Aは、室外側アルミ壁部61の戸先側と中間側壁部62の戸先側とを連結する第一連結アルミ壁部64と、中間側壁部62の戸先側と室内側アルミ壁部63の戸先側とを連結する第二連結アルミ壁部65と、室外側アルミ壁部61の召合せ側の端部と室内側アルミ壁部63の召合せ側の端部とを連結する第三連結アルミ壁部66と、を有している。第三連結アルミ壁部66には、中間側壁部62の召合せ側の端部が連結されている。
【0037】
室外側アルミ壁部61の先端壁部61Pは、第一連結アルミ壁部64よりも戸先側に突出している。先端壁部61Pの上部において、室内側を向く面に沿って、アルミ上部材3Aの室外側アルミ壁部31の召合せ側の端部が当接配置されている。先端壁部61Pの下部において、室内側を向く面に沿って、アルミ下部材4Aの室外側アルミ壁部41の召合せ側の端部が当接配置されている。
【0038】
中間側壁部62の先端壁部62Pは、第一連結アルミ壁部64及び第二連結アルミ壁部65よりも戸先側に突出している。先端壁部62Pの先端部には、室外側に向かって折曲された折曲壁部62Rが設けられている。
【0039】
折曲壁部62Rの上部において、戸先側を向く面には、樹脂上部材3Bの室内側樹脂壁部37の召合せ側の端部が当接している。折曲壁部62Rの下部において、戸先側を向く面には、樹脂下部材4Bの室内側樹脂壁部47の召合せ側の端部が当接している。
【0040】
室内側アルミ壁部63の先端壁部63Pは、第二連結アルミ壁部65よりも戸先側に突出している。
【0041】
樹脂召合せ部材6Bは、中間側壁部62の先端壁部62Pの端部と室内側アルミ壁部63の先端壁部63Pの端部とを塞ぐ本体壁部68と、本体壁部68の見込み方向両端部から召合せ側に向かってそれぞれ延びる係合爪部69と、を有している。係合爪部69,69は、中間側壁部62の先端壁部62P及び室内側アルミ壁部63の先端壁部63Pにそれぞれ設けられた係止突起62Q,63Qに係止されている。
【0042】
図5から図8に示すように、上記の障子2において、戸先縦框5と上框3との間には、第一金具(補強金具)101が設けられている。また、戸先縦框5と下框4との間には第二金具(補強金具)102が設けられている。また、召合せ框6と上框3との間には、第三金具(補強金具)103が設けられている。また、召合せ框6と下框4との間には第四金具(補強金具)104が設けられている。第一〜第四金具101〜104は、耐火性の高い金属で形成されていることが好ましく、本実施形態では鉄により形成されている。
【0043】
図5及び図7に示すように、第一金具101は、アルミ戸先部材5Aの第一連結アルミ壁部53に固定される固定壁部111と、固定壁部111から室内側に向かって延びる延出腕部112と、を有している。固定壁部111には、上下方向に離間して2個の取付孔111Xが形成されている。ネジ111Zが、取付孔111X及び樹脂戸先部材5Bの取付孔59Xに挿通され、アルミ戸先部材5Aに形成された取付孔53Xに螺合されている。これにより、第一金具101は、樹脂戸先部材5Bとともにアルミ戸先部材5Aに固定されている。
【0044】
さらに、第一金具101は、延出腕部112の室内側に設けられた見込み面補強壁部113を有している。見込み面補強壁部113は、延出腕部112から室内側且つ上方に延びるように形成されている。見込み面補強壁部113は、アルミ戸先部材5Aの第一連結アルミ壁部53に沿って配置されている。
【0045】
さらに、第一金具101は、見込み面補強壁部113の室外側の端部から召合せ側に向かって折曲された2個の見付け面補強壁部(補強面)114,115を有している。2個の見付け面補強壁部114,115は、上下方向に離間して設けられている。
【0046】
見付け面補強壁部114は、上框3の空間部S1(図3参照。以下同じ。)に挿入配置されている。見付け面補強壁部115は、上框3の空間部S2(図3参照。以下同じ。)に挿入配置されている。見付け面補強壁部114の見込み方向の室外側を向く面には、第一加熱発泡材H1が設けられている。見付け面補強壁部115の見込み方向の室外側を向く面には、第二加熱発泡材H2が設けられている。
【0047】
第一加熱発泡材H1、第二加熱発泡材H2及び下記に記載の各加熱発泡材は、火災の熱によって発泡して膨張する公知のもので、シート状に形成されて、火災の熱によって面外方向に発泡するように構成されている。そして、第一加熱発泡材H1は発泡すると空間部S1を塞ぎ、第二加熱発泡材H2は発泡すると空間部S2を塞ぐ。
【0048】
図6及び図7に示すように、第二金具102は、アルミ戸先部材5Aの第一連結アルミ壁部53に固定される固定壁部121を有している。固定壁部121には、上下方向に離間して2個の取付孔121Xが形成されている。ネジ121Zが、取付孔121Xに挿通され、アルミ戸先部材5Aに形成された取付孔53Yに螺合されている。これにより、第二金具102は、アルミ戸先部材5Aに固定されている。
【0049】
さらに、第二金具102は、固定壁部121の室外側の端部から召合せ側に向かって折曲された2個の見付け面補強壁部(補強面)124,125、を有している。2個の見付け面補強壁部124,125は、上下方向に離間して設けられている。
【0050】
見付け面補強壁部124は、下框4の空間部S3(図3参照。以下同じ。)に挿入配置されている。見付け面補強壁部125は、下框4の空間部S4(図3参照。以下同じ。)に挿入配置されている。見付け面補強壁部124の見込み方向の室外側を向く面には第三加熱発泡材H3が設けられている。見付け面補強壁部125の見込み方向の室外側を向く面には、第四加熱発泡材H4が設けられている。そして、第三加熱発泡材H3は発泡すると空間部S3を塞ぎ、第四加熱発泡材H4は発泡すると空間部S4を塞ぐ。
【0051】
図5及び図8に示すように、第三金具103は、アルミ召合せ部材6Aの先端壁部62Pの室外側を向く面に固定される固定壁部(補強面)131と、固定壁部131の見付け方向両端部から室外側に向かって折曲された折曲壁部132と、を有している。固定壁部131には、上下方向に離間して2個の取付孔131Xが形成されている。
【0052】
固定壁部131の見込み方向の室外側を向く面には3枚の第五加熱発泡材H5…が見込み方向に積層配置されている。ネジ131Zが、アルミ召合せ部材6Aの先端壁部62Pに形成された取付孔62Xに挿通され、固定壁部131の取付孔131Xに螺合されている。これにより、第三金具103は、アルミ召合せ部材6Aに固定されている。
【0053】
第五加熱発泡材H5は発泡すると、先端壁部62P、アルミ召合せ部材6Aの第一連結アルミ壁部64並びにアルミ上部材3Aの室内側アルミ壁部32により形成された空間部、及び当該空間部と連続する空間部S1、空間部S2を塞ぐ。
【0054】
図6及び図8に示すように、第四金具104は、アルミ召合せ部材6Aの先端壁部62Pの室外側を向く面に固定される固定壁部(補強面)141と、固定壁部141の見付け方向両端部から室外側に向かって折曲された折曲壁部142と、を有している。固定壁部141には、上下方向に離間して2個の取付孔141Xが形成されている。
【0055】
固定壁部141の見込み方向の室外側を向く面には3枚の第六加熱発泡材H6…が見込み方向に積層配置されている。ネジ141Zが、アルミ召合せ部材6Aの先端壁部62Pに形成された取付孔62Yに挿通され、固定壁部141の取付孔141Xに螺合されている。これにより、第四金具104は、アルミ召合せ部材6Aに固定されている。
【0056】
第六加熱発泡材H6は発泡すると、先端壁部62P、アルミ召合せ部材6Aの第一連結アルミ壁部64並びにアルミ下部材4Aの室内側アルミ壁部42により形成された空間部、及び当該空間部と連続する空間部S3、空間部S4を塞ぐ。
【0057】
このように構成された片引戸10では、火災により樹脂戸先部材5B、樹脂召合せ部材6Bが溶融した場合には、アルミ戸先部材5A、アルミ召合せ部材6A及びアルミ戸先部材5A、アルミ召合せ部材6Aに固定された第一〜第四金具101〜104により、上框3、下框4の荷重を支持することができる。よって、戸先縦框5、召合せ框6と上框3、下框4とを第一〜第四金具101〜104により、強固に接合することができる。したがって、片引戸10の剛性を確保することができるため、片引戸10の変形を抑制して、防火性能を確保することができる。また、接合部分における隙間の発生を抑制して、防火性能を確保することができる。
【0058】
また、第一〜第四金具101〜104の見付け面補強壁部114,115,124,125は、空間部S1〜S4に配置されている。また、固定壁部131は、先端壁部62P、アルミ召合せ部材6Aの第一連結アルミ壁部64及びアルミ上部材3Aの室内側アルミ壁部32により形成された空間部に配置され、固定壁部141は、先端壁部62P、アルミ召合せ部材6Aの第一連結アルミ壁部64及びアルミ下部材4Aの室内側アルミ壁部42により形成された空間部に配置されている。よって、見付け面補強壁部114,115,124,125、固定壁部131,141の露出を抑えつつ、框同士を強固に接合して防火性能を確保することができる。
【0059】
また、火災の熱により、第一〜第四金具101〜104の見付け面補強壁部114,115,124,125、固定壁部131,141の室外側に設けられた第一〜第六加熱発泡材H1〜H6が発泡することで、戸先縦框5、召合せ框6と上框3、下框4等の部材同士の接合部分における隙間が塞がれる。よって、火災の熱により戸先縦框5、召合せ框6や上框3、下框4等の部材自体が溶融して発生した可燃性ガスが、室内側へ流入することを抑制することができる。
さらに、第一〜第四金具101〜104の見付け面補強壁部114,115,124,125、固定壁部131,141が空間部S1〜S4及び当該空間部S1〜S4に連続する空間部に配置されているため、当該空間部S1〜S4内全体において第一〜第四金具101〜104を確実に発泡させることができる。
【0060】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0061】
また、上記に示す実施形態において、引戸は片引戸により構成されているが、本発明はこれに限られない。障子2枚により構成される引違戸や両開き戸にも適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…枠(枠体)
2…障子
3…上框(横框)
3A…アルミ上部材(金属横框部)
3B…樹脂上部材(樹脂横框部)
4…下框(横框)
4A…アルミ下部材(金属横框部)
4B…樹脂下部材(樹脂横框部)
5…戸先縦框(縦框)
5A…アルミ戸先部材(金属縦框部)
5B…樹脂戸先部材(樹脂縦框部)
6…召合せ框(縦框)
6A…アルミ召合せ部材(金属縦框部)
6B…樹脂召合せ部材(樹脂縦框部)
9…戸車部
10…片引戸(引戸)
11…上枠
12…下枠
13…縦枠
14…方立
36…室外側樹脂壁部(室外側樹脂部)
37…室内側樹脂壁部(室内側樹脂部)
46…室外側樹脂壁部(室外側樹脂部)
47…室内側樹脂壁部(室内側樹脂部)
101…第一金具(補強金具)
102…第二金具(補強金具)
103…第三金具(補強金具)
104…第四金具(補強金具)
114,115…見付け面補強壁部(補強面)
124,125…見付け面補強壁部(補強面)
131…固定壁部(補強面)
141…固定壁部(補強面)
B…構造体
H1…第一加熱発泡材
H2…第二加熱発泡材
H3…第三加熱発泡材
H4…第四加熱発泡材
H5…第五加熱発泡材
H6…第六加熱発泡材
W…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8