(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸収性コア及び該吸収性コアを包むコアラップシートを備え、該吸収性コアに形成された非積繊部を介して上下のコアラップシート間が接合されている吸収体を製造する吸収体の製造方法であって、
帯状のコアラップシートに接着剤を塗工した後、該コアラップシート上に、非積繊部を有する吸収性コアを配し、該吸収性コアがコアラップシートで包まれた吸収体連続体を製造する吸収体連続体の形成工程、前記吸収体連続体全体を加圧する第1プレス工程、第1プレス工程後に、該吸収体連続体における前記非積繊部を有する部分を局所的に加圧する第2プレス工程、及び第2プレス工程後の前記吸収体連続体を切断して個々の吸収体に分離する連続体切断工程を具備する吸収体の製造方法。
第1プレス工程及び第2プレス工程においては、何れも、前記吸収体連続体を一対のロール間で加圧し、第2プレス工程におけるロール間のクリアランスが、第1プレス工程におけるロール間のクリアランスより小さい、請求項1又は2に記載の吸収体の製造方法。
第1プレス工程においては、前記吸収体連続体を、一方又は双方のロールが冷却手段を備えた一対のロール間で加圧する、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、本発明の吸収体の製造方法の一実施態様により製造される吸収体について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1及び
図2に示す吸収体1は、吸収性コア11及び該吸収性コア11を包むコアラップシート15を備えている。コアラップシート15は、
図2に示すように、吸収性コア11の上下面を被覆しており、より具体的には、
図2に示すように、吸収体1の長手方向Xに沿う一側縁部と他側縁部とが積層されたコアラップシートどうしの重なり部15cを有している。これにより、コアラップシート15は、吸収性コア11の上下面及び両側面を含む、吸収性コア11の幅方向断面の全周囲を被覆している。また、コアラップシート15は、吸収体1の長手方向Xの両端部に、吸収性コア11の両端から延出した部分を有し、その延出部分に、コアラップシートどうしが接合されたエンド接着部18を有している。吸収体1の長手方向及び吸収性コア11の長手方向は、何れも
図1中のX方向であり、製造時の機械方向(MD)に相当する方向である。
【0012】
吸収性コア11は、
図1及び
図2に示すように、吸収体1の長手方向中央線CLを挟む両側それぞれに、非積繊部としての側部非積繊部12,12を有している。また、吸収体1の幅方向Yにおける側部非積繊部12,12間に中央非積繊部13を有している。側部非積繊部12,12及び中央非積繊部13は、何れも、吸収体1の長手方向Xに延びている。また、側部非積繊部12は、吸収性コア11の側縁との間に間隔を有し、中央非積繊部13との間にも間隔を有している。吸収性コア11は、長手方向Xの中央領域1cに、上下のコアラップシート間が接合された側部非積繊部12を有している。また、吸収性コア11は、側部非積繊部12を有さず、吸収性コア11の幅方向の全幅に亘って積繊部が連続する非分断部を、長手方向Xの端部領域1f、1rを有している。なお、吸収性コア11は、一対の側部非積繊部12,12を有することによって、長手方向Xの中央領域1cにおける両側部に、中央コア11aから離間した一対の側部コア11sを有している。
【0013】
吸収体1における吸収性コア11は、繊維材料の積繊体からなる。繊維材料の積繊体には、パルプ繊維等の繊維材料のみを含む積繊体と、繊維材料と吸水性ポリマーとを含む積繊体との両者が含まれる。繊維材料のみを含む積繊体は、
図3に示す積繊装置31で吸収性コア11を製造するに当たり、積繊ドラム32の外周面に、ダクト34を介して繊維材料aのみを供給することによって得られる。繊維材料と吸水性ポリマーとを含む積繊体は、
図3に示す積繊装置31で吸収性コア11を製造するに当たり、積繊ドラム32の外周面に、ダクト34を介して繊維材料a及び吸水性ポリマーbを供給することによって得られる。
【0014】
吸収性コア11を構成する繊維材料aとしては、例えば、解繊パルプ等のパルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース繊維等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等からなる縮合系繊維等を用いることできる。吸収性コア11を構成する吸水性ポリマーbとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等からなる粒子等が挙げられる。繊維材料及び吸水性ポリマーは、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。コアラップシート15としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、ティッシュペーパーのような薄紙や透水性の不織布等が好ましく用いられる。
【0015】
吸収性コア11の側部非積繊部12は、吸収性コアを形成する材料(コア形成材料)が存在しない部分であり、
図2に示すように、該側部非積繊部12を介して、吸収性コア11の上下のコアラップシートどうしが接合されている。側部非積繊部12は、コアラップシードどうしの強固な接合の点から、コア形成材料が全く存在しない部分であることが好ましいが、コアラップシードどうしの接着剤による直接の接合を妨げない程度に、若干のコア形成材料が存在していても良い。中央非積繊部13は、本発明における「非積繊部」とは別に任意に設けられる非積繊部であり、側部非積繊部12と同様に吸収性コアを形成する材料(コア形成材料)が存在しない部分ではあるが、
図2に示すように、側部非積繊部12とは異なり、中央非積繊部13においては、吸収性コア11の上下のコアラップシートどうしは接合されていない。
図2に示す吸収体1は、
図8に示すように、吸収性物品100における液透過性の表面シート21と液難透過性の裏面シート23との間に介在させて、吸収性物品の一部を構成させ得るものであり、何れの面を、表面シート21側に向けて吸収性物品に組み込んでも良いが、後述する吸収体の製造方法においては、
図2中の上側の面Pが、表面シート21側に向けられ、
図2中の下側の面Qが、裏面シート23側に向けられる。
【0016】
次に、前述した吸収体1を製造する本発明の吸収体の製造方法の一実施態様について、
図3〜
図8を参照して説明する。
本実施態様の吸収体の製造方法は、吸収体連続体の形成工程、複数のプレス工程(第1〜第3のプレス工程)からなる多段プレス工程、及び連続体切断工程を具備する。
(吸収体連続体の形成工程)
本実施形態における吸収体連続体の形成工程は、接着剤塗工工程、吸収性コア転写工程、及び吸収性コア被覆工程を具備し、具体的には、帯状のコアラップシートに接着剤を塗工(接着剤塗工工程)した後、該コアラップシート上に、非積繊部を有する吸収性コアを配し(吸収性コア転写工程)、該吸収性コアがコアラップシートで包まれた吸収体連続体を製造(吸収性コア被覆工程)する。
前記接着剤塗工工程は、
図3に示す接着剤塗工部2において行われる。接着剤塗工工程においては、公知の搬送機構により連続搬送されている帯状のコアラップシート15に対して、公知の接着剤塗工装置20を用いて接着剤16(
図4参照)を塗工する。接着剤16は、帯状のコアラップシート15における、吸収性コア11が載置される面に塗工し、少なくとも、
図4及び
図6に示すように、吸収性コア11における側部非積繊部12と重なる部位に塗工する。接着剤16は、側部非積繊部12の長手方向に連続的に塗工しても良いし、側部非積繊部12の長手方向に間欠的に塗工しても良いが、連続的に塗工することが好ましい。また、側部非積繊部12が配置される部位に塗工するのに代えて、側部非積繊部12が配置される部位を含めた吸収性コア11の片面に対向する全域に塗工しても良い。
【0017】
また、コアラップシート15に塗工する接着剤は、規則的なパターンで塗工されていることが好ましく、例えば、コアラップシート15に、側部非積繊部12と同幅又はそれより広い幅のスパイラルパターンや連続波状パターン、ジグザグパターン、Ω字を連続させたパターン等で接着剤16を、吸収性コア11の長手方向に沿って塗工し、後述する吸収性コア転写工程又は吸収性コア被覆工程において、その接着剤上又はその接着剤下に側部非積繊部12を位置させ、後述する第2プレス工程において、該接着剤を介して吸収性コア11の上下のコアラップシートどうしを接合させることも好ましい。接着剤16の塗工幅は、側部非積繊部12の幅より狭くしても良く、側部非積繊部12の幅内に、側部非積繊部12の長手方向に延びる接着剤塗工部が複数本形成されるように塗工することもできる。接着剤16の塗工範囲は、側部非積繊部12(非積繊部)の全長L2(
図1参照)の50%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは100%以上である。
接着剤16としては、吸収性物品や吸収体の構成部材間の接合に従来用いられている各種公知のものを特に制限なく用いることができ、ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。
【0018】
(吸収性コア転写工程)
前記吸収性コア転写工程は、
図3に示す吸収性コア転写部3において行われる。吸収性コア転写工程においては、接着剤塗工工程後の帯状のコアラップシート15に対して、
図3に示すように、積繊装置31で製造された吸収性コア11を、コアラップシート15の長手方向に沿って間欠的に転写し、配置する。積繊装置31は、外周面に集積用凹部33を有する積繊ドラム32と、積繊ドラム32の外周面に、解繊パルプ等の繊維材料aや吸水性ポリマーb等のコア形成材料を飛散状態にて供給するダクト34とを備えており、ダクト34を介して供給したコア形成材料を、積繊ドラム32を回転させつつ、吸引により集積用凹部33内に堆積させる。集積用凹部33内に堆積したコア形成材料は、集積用凹部33に対応する形状に成形され、所定形状の形成された吸収性コア11として、コアラップシート15上に順次転写される。
【0019】
(吸収性コア被覆工程)
前記吸収性コア被覆工程は、
図3に示すコアラップシート折り返し部4において行われる。本実施態様における前記の吸収性コア転写工程においては、コアラップシートの幅方向(コアラップシートの搬送方向である機械方向(MD)に直交する方向)の中央部に、吸収性コア11を配置しており、吸収性コア被覆工程においては、吸収性コア転写工程後のコアラップシート15における、吸収性コア11の両側縁それぞれから外方に延出した部分を、吸収性コア11の上面側に巻き上げて、吸収性コア11をコアラップシートで包む。上面側に巻き上げられたコアラップシート15の両側部は、
図4に示すように一部を重ねた状態とすることが好ましい。重ねた部分のシート間は、吸収体コアを形成するコア形成材料がコアラップシートから漏れないように接着剤を介して接合させる必要がある。
吸収性コア被覆工程により、
図4に示すような、プレス前吸収体連続体10が得られる。以下、プレス工程前の吸収体連続体10を、便宜上、プレス前吸収体連続体10Aともいう。
【0020】
(多段プレス工程)
本実施態様における多段プレス工程は、第1〜第3プレス工程の3段階のプレス工程を具備する。また、それに先立つ上下反転工程を具備する。
上下反転工程は、上下反転部5において行われ、上下反転工程においては、吸収性コア被覆工程において得られたプレス前吸収体連続体10Aを、一対の従動ローラー51,52等の任意の搬送機構により、上下面を逆転させた後、プレス工程に導入する。
【0021】
(第1プレス工程)
第1プレス工程は、
図5に示す第1プレス部6において行われる。第1プレス工程においては、前述したプレス前吸収体連続体10Aを、表面が平坦な一対のロール61,62間で加圧し、プレス前吸収体連続体10A全体を加圧する。
第1プレス工程には、一対のロール61,62として、それぞれ表面が平滑なロール等を用いることもできるが、一方又は双方のロールとして、表面に微小な凹凸が一定のパターンで均一に形成されているロールを用いることもできる。例えば、一方又は双方のロールとして、表面に格子状の隆起部を有し、格子の目に相当する部分が凹部となったロール等を用いることもできる。ただし、格子の大きさは、格子の目の一辺の長さが10mm以下であることが望ましい。
第1プレス工程に用いるロール61,62は、表面が、金属やセラミック、硬質ゴム等の硬質材料からなることが好ましい。
【0022】
第1プレス工程は、吸収性コア11の壊れを防止する目的、及び後述する第2プレス工程において、側部非積繊部12と重なる部分において、コアラップシート15が急激に引き伸ばされて破れることを防止する目的で行われる。
第1プレス工程は、側部非積繊部12を介したコアラップシート15どうしの接合を、主たる目的としないため、ロール61,62間にある程度の幅のクリアランスを設けることが好ましい。繊維材料や吸水性ポリマーの分布にムラがある場合における吸収体の部分的な硬化やコアラップシートの破れを防止する観点から、第1プレス工程における加圧ロール61,62間のクリアランスは、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、また好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下であり、また、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以上2.5mm以下である。
【0023】
第1プレス工程においては、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、プレス前吸収体連続体10Aにおける内部に吸収性コア11が存在する部分の厚みt1を、吸収性コア11の幅方向に全域に亘って一様に減少させることが好ましい。
また、第1プレス工程の前後の厚み減少率〔(t1−t2)/t1 ×100〕は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、また好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは10%以上50%以下、より好ましくは20%以上40%以下である。
【0024】
また、第1プレス工程における下記方法で算出される単位長さ(1m)当りの加圧力は、好ましくは10kN/m以上、より好ましくは15kN/m以上、また好ましくは30kN/m以下、より好ましくは25kN/m以下であり、また、好ましくは10kN/m以上30kN/m以下、より好ましくは15kN/m以上25kN/m以下である。
〔単位長さ当り加圧力の算出方法〕
エアシリンダーによる押し付け力をエアシリンダーにかけられたエア圧と用いたシリンダーのチューブ面積から算出し、その押し付け力を上下のロールの円周状の接触点におけるCD方向のロールの接触長さで除した値を単位長さ当たりの押し付け力とする。
【0025】
(第2プレス工程)
第2プレス工程は、
図5に示す第2プレス部7において行われる。第2プレス工程においては、吸収体連続体10における非積繊部を有する部分を局所的に加圧する。具体的には、第2プレス工程においては、第1プレス工程後の吸収体連続体10を、側部非積繊部12に対応する部分に押し込み部72を有する加圧ロール71と、加圧ロール71と対向配置された受けロール73との間に導入して加圧し、加圧ロール71の押し込み部72で、吸収性コア11の上面側のコアラップシート15における側部非積繊部12と重なる部分15aを、吸収性コア11の下側に位置するコアラップシート15における相対向する部分15bに押し付け、接着剤塗工工程で塗工した接着剤16を介して接合させる。
第2プレス工程は、側部非積繊部12を介したコアラップシート15どうしの接合を主目的とするため、加圧ロール71の押し込み部72と受けロール73との間のクリアランスは、第1プレス工程におけるロール間のクリアランスより小さくすることが好ましく、ゼロとすることが更に好ましい。
第2プレス工程に用いる加圧ロール71は、表面が、金属やセラミック等の硬質材料からなることが好ましい。受けロール73は、表面が硬質材料からなるものであっても良いが、表面がゴム状の弾性材料からなるものを用いることも好ましい。
【0026】
(第3プレス工程)
第3プレス工程は、
図5に示す第3プレス部8において行われる。
本実施態様の方法においては、前述した吸収性コア転写工程において、連続的に搬送される帯状のコアラップシート15に対して吸収性コア11を間欠的に配置しているため、プレス前吸収体連続体10A及び第1及び第2プレス工程後の吸収体連続体10は、何れも、吸収性コア11を長手方向に間欠的に含んでおり、搬送方向(機械方向MD)に間欠的に、吸収性コア11が存在しない部分を有している。
本実施態様の第3プレス工程においては、第2プレス工程後の吸収体連続体10における吸収性コア11どうし間を、エンド接着部形成用の凸部82を有する加圧ロール81と、該凸部82を周面に受ける受けロール83との間で加圧し、上下のコアラップシート15a,15bどうしが接合されたエンド接着部18Aを形成する。
第3プレス工程も、コアラップシート15どうしの接合を主目的とするため、加圧ロール71の凸部82と受けロール83との間のクリアランスは、第1プレス工程におけるロール間のクリアランスより小さくすることが好ましく、ゼロとすることが更に好ましい。
【0027】
(連続体切断工程)
連続体切断工程は、図示しない切断工程部において行われる。連続体切断工程においては、第3プレス工程後の吸収体連続体10を切断して個々の吸収体に分離する。具体的には、連続体切断工程においては、各種公知の任意の切断手段により、エンド接着部18Aの中間位置で、吸収体連続体10をその幅方向の全体に亘って切断することにより、
図1及び
図2に示す、吸収性物品1個分の吸収体1が得られる。
前述した第3プレス工程及び吸収体切断工程は、第2プレス工程後の吸収体連続体10のみの状態で行っても良いが、本実施態様の方法においては、
図3に示すように、吸収体1を用いて吸収性物品を製造するための裏面シート23を、第2プレス工程後の吸収体連続体10に対して合流させるとともに、吸収体1を用いて吸収性物品を製造するための表面シート21も、第2プレス工程後の吸収体連続体10に対して合流させており、前述した第3プレス工程及び吸収体切断工程を、表面シート21と裏面シート23との間に挟まれた状態の吸収体連続体10に対して行っている。そのため、
図1及び
図2に示す吸収体1は、
図8に示すように、表面シート21と裏面シート23との間に挟まれた状態として得られる。
【0028】
以上に説明から明らかなように、本実施態様の方法によれば、吸収性コア11に設けた側部非積繊部12を介して上下のコアラップシート15どうしが接合された吸収体1が得られる。吸収体1は、上下のコアラップシート15どうしが接合された側部非積繊部12を有するため、吸収性コア11の保形性が高まり、吸収性物品に組み込まれて使用されたときに、側部非積繊部12を設けた部分が変形誘導領域として機能して折れ曲がり、吸収体1が、設計通りの状態に変形する。それにより、吸収体1を含む吸収性物品100は、防漏性やフィット性に優れたものとなる。
【0029】
しかも、本実施態様の方法においては、側部非積繊部12を介して上下のコアラップシートどうしを接合させる第2プレス工程前に、吸収体連続体10全体を加圧する第1プレス工程を具備するため、第2プレス工程で、コアラップシート15の側部非積繊部12と重なる部分が急激に引き伸ばされて破れることを防止することができる。また、コアラップシート15の破れを防止するために、コアラップシートを厚くする必要もないので、吸収体の柔らかさが損なわれることもなく、吸収体が着用者の身体に沿いにくくなる等の不都合の発生も防止することができる。
【0030】
また、側部非積繊部12を介して上下のコアラップシートどうしを接合させる第2プレス工程前に、第1プレス工程を具備することによって、接着剤を塗工してから第2プレス工程で加圧するまでの時間が長くなる。そのため、塗工後に硬化していない接着剤がコアラップシートを通って染み出すことも起りにくくなり、接着剤が搬送や各種加工のためのロールに付着することによる不具合、例えば、付着した接着剤を除去するために設備の停止回数が増え稼働率が低下したり、ロールに蓄積した接着剤が脱落し製品に混入したりする等の不都合を防止することができる。しかも、接着剤の塗工量を減らして染み出しを防止する場合とは異なり、非積繊部を介した上下のコアラップシートどうしの接合部に剥離が生じにくい。
【0031】
また、前述した実施態様の方法においては、吸収体1を用いて吸収性物品100を製造するための裏面シート23を、
図3に示すように、第2プレス工程後、第3プレス工程前の吸収体連続体10に対して合流させている。第2プレス工程を、裏面シート23と積層した状態で行うと、第2プレス工程で、側部非積繊部12を有する部分を加圧した際に、裏面シート23に穴が開く恐れがあるが、本実施形態のように、裏面シート23を、第2プレス工程後の吸収体連続体10に対して合流させることによりそのような不都合を防止することができる。なお、合流させる裏面シート23は、吸収体連続体10側の面に接着剤を塗布しておき、それにより裏面シート23を吸収体連続体10に貼りつける。
【0032】
また、前述した実施態様の方法においては、吸収体1を用いて吸収性物品100を製造するための表面シート21を、
図3に示すように、第2プレス工程後、第3プレス工程前の吸収体連続体10に対して合流させている。第3プレス工程を、表面シート21を吸収体連続体10と積層した状態で行うことにより、第3プレス工程において、吸収性コア11間に配された接着剤が、表面シート21側に染み出すことを防止することができ、接着剤が、搬送や各種加工のためのロールに付着することによる不都合を防止することができる。
【0033】
また、第1プレス工程で用いるロール61,62の何れか一方又は双方には冷却手段を設けることもできる。冷却手段を設けることで、第2プレス工程における接着剤の染み出しを一層確実に防止することができる。
冷却手段としては、ロールを中空構造とし、冷却水を循環させる方法などが考えられる。また、冷却水を循環させる装置は、必要に応じて水の冷却装置を備える。効率よく冷却するために搬送するシートと冷却したロールの接触時間を長くとることが好ましく、ロール径を可能な限り大きく、また冷却したロールにシートをより巻掛かるような搬送ルートを設定することが好ましい。また、冷却手段を設けたロールの表面温度を、25℃以下に維持可能であることが好ましく、20℃以下に維持可能であることが更に好ましい。
【0034】
以上、本発明をその好ましい実施態様に基づいて説明したが、本発明は上記の実施態様に制限されることなく適宜変更可能である。
例えば、上述した実施態様では、側部非積繊部12に加えて中央非積繊部13を有する吸収体1を製造したが、中央非積繊部13のない吸収体を製造しても良い。また、上述した実施態様においては、長手方向の中央線の両側それぞれに側部非積繊部12を有する吸収体1を製造したが、上下のコアラップシートが接合された非積繊部は一つのみ形成しても良く、一つ又は2つ以上の非積繊部の位置も適宜に変更可能である。
【0035】
また、上述した実施態様は、吸収性コア転写工程において、連続的に搬送される帯状のコアラップシート15に対して吸収性コア11を間欠的に配置したが、それに代えて、連続的に搬送される帯状のコアラップシート15に対して、その長手方向と同方向に連続する帯状の吸収性コアを配置しても良く、その場合、第3プレス工程を省略して連続体切断工程を行っても良い。
また、帯状のコアラップシートにおける、吸収性コアの両側縁それぞれから外方に延出した部分を、吸収性コアの上面側に巻き上げて、吸収性コアの上下面を被覆するのに代えて、帯状のコアラップシートに吸収性コアを載置した後に別のコアラップシートを合流させ、それらを、吸収性コアの上面又は下面と重なる部位や吸収性コアの側縁より外方において接合して、コアラップシートに吸収性コアが包まれた吸収体連続体を得ることもできる。
【0036】
また、第3プレス工程前に、表面シート21及び裏面シート23の一方又は双方を合流させなくても良い。
なお、吸収性物品としては、使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー等が挙げられる。また、液透過性の表面シート、液難透過性の裏面シート、及びそれら両シート間に配された吸収体を具備する吸収性物品等の吸収性物品を製造する場合、表面シートとしては、不織布や開孔フィルム等を用いることができ、裏面シートとしては、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネート等が挙げられる。裏面シートに関し、液難透過性とは、液不透過性も含む概念である。
【0037】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収体の製造方法を開示する。
<1>
吸収性コア及び該吸収性コアを包むコアラップシートを備え、該吸収性コアに形成された非積繊部を介して上下のコアラップシート間が接合されている吸収体を製造する吸収体の製造方法であって、
帯状のコアラップシートに接着剤を塗工した後、該コアラップシート上に、非積繊部を有する吸収性コアを配し、該吸収性コアがコアラップシートで包まれた吸収体連続体を製造する吸収体連続体の形成工程、前記吸収体連続体全体を加圧する第1プレス工程、第1プレス工程後に、該吸収体連続体における前記非積繊部を有する部分を局所的に加圧する第2プレス工程、及び第2プレス工程後の前記吸収体連続体を切断して個々の吸収体に分離する連続体切断工程を具備する吸収体の製造方法。
【0038】
<2>
前記吸収体連続体は、前記吸収性コアを、長手方向に間欠的に含んでおり、
第2プレス工程後に、前記吸収体連続体における吸収性コアどうし間を局所的に加圧する第3プレス工程を有する、前記<1>に記載の吸収体の製造方法。
<3>
第1プレス工程及び第2プレス工程においては、何れも、前記吸収体連続体を一対のロール間で加圧し、第2プレス工程におけるロール間のクリアランスが、第1プレス工程におけるロール間のクリアランスより小さい、前記<1>又は<2>に記載の吸収体の製造方法。
<4>
吸収性物品を製造するための裏面シートを、第2プレス工程後の吸収体連続体に対して合流させる、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<5>
吸収性物品を製造するための表面シートを、第2プレス工程後の吸収体連続体に対して合流させる、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<6>
第1プレス工程においては、前記吸収体連続体を、一方又は双方のロールが冷却手段を備えた一対のロール間で加圧する、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<7>
第1プレス工程においては、前記吸収体連続体を一対のロール間で加圧し、一方又は双方の該ロールとして、表面に凹凸が一定のパターンで形成されているロールを用いる、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<8>
前記一方又は双方のロールとして、表面に格子状の隆起部を有し、格子の目に相当する部分が凹部となったロールを用いる、前記<7>に記載の吸収体の製造方法。
<9>
前記格子の大きさは、格子の目の一辺の長さが10mm以下である、前記<8>に記載の吸収体の製造方法。
<10>
第2プレス工程においては、第1プレス工程後の収体連続体を、前記非積繊部に対応する部分に押し込み部を有する加圧ロールと、加圧ロールと対向配置された受けロールとの間に導入して加圧し、加圧ロールの押し込み部で、吸収性コアの上面側のコアラップシートにおける非積繊部と重なる部分を、吸収性コアの下側に位置するコアラップシートにおける相対向する部分に押し付け接合させる、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
【0039】
<11>
第2プレス工程におけるロール間のクリアランスをゼロとする、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<12>
第3プレス工程においては、第2プレス工程後の吸収体連続体における吸収性コアどうし間を、凸部を有する加圧ロールと該凸部を周面に受ける受けロールとの間で加圧し、上下のコアラップシートどうしが接合されたエンド接着部を形成する、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<13>
第1プレス工程及び第3プレス工程においては、何れも、前記吸収体連続体を一対のロール間で加圧し、第3プレス工程におけるロール間のクリアランスが、第1プレス工程におけるロール間のクリアランスより小さい、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<14>
第3プレス工程におけるロール間のクリアランスをゼロとする、前記<13>に記載の吸収体の製造方法。
<15>
前記連続体切断工程においては、第3プレス工程において形成されたエンド接着部の中間位置で、前記吸収体連続体をその幅方向の全体に亘って切断する、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
【0040】
<16>
吸収性物品を製造するための表面シートを、第2プレス工程後、第3プレス工程前の吸収体連続体に対して合流させる、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<17>
吸収性物品を製造するための裏面シートを、第2プレス工程後、第3プレス工程前の吸収体連続体に対して合流させる、前記<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<18>
前記非積繊部は、吸収体の長手方向に延びている、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<19>
前記非積繊部は、前記吸収体の長手方向中央線を挟む両側それぞれに配置された側部非積繊部である、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<20>
前記吸収体は、幅方向における側部非積繊部間に中央非積繊部を有しており、該中央非積繊部においては、吸収性コアの上下のコアラップシートどうしは接合されていない、前記<19>に記載の吸収体の製造方法。
【0041】
<21>
前記吸収体連続体又は前記吸収体におけるコアラップシートは、吸収性コアの上下面を被覆しており、吸収体の長手方向に沿う一側縁部と他側縁部とが積層されたコアラップシートどうしの重なり部を有している、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<22>
前記重なり部におけるコアラップシート間は、接着剤を介して接合されている、前記<21>に記載の吸収体の製造方法。
<23>
前記吸収体連続体の形成工程は、帯状のコアラップシートに接着剤を塗工する接着剤塗工工程を有し、該接着剤塗工工程においては、前記接着剤は、前記吸収性コアにおける前記非積繊部の長手方向に連続的に塗工される、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<24>
前記吸収体連続体の形成工程は、吸収性コア転写工程を有し、該吸収性コア転写工程においては、前記接着剤塗工工程後の帯状のコアラップシートに対して、積繊装置において製造された吸収性コアを、コアラップシートの搬送方向に直交するコアラップシートの幅方向の中央部に転写し、配置する、前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<25>
前記吸収体連続体の形成工程は、吸収性コア被覆工程を有し、該吸収性コア被覆工程においては、前記吸収性コア転写工程後のコアラップシートにおける、吸収性コアの両側縁それぞれから外方に延出した部分を、吸収性コアの上面側に巻き上げて、吸収性コアをコアラップシートで包む、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
【0042】
<26>
前記吸収体連続体の形成工程においては、前記接着剤塗工工程、前記吸収性コア転写工程、前記吸収性コア被覆工程の順により、プレス工程前のプレス前吸収体連続体を製造する、前記<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<27>
前記吸収体連続体の形成工程と前記第1プレス工程との間に上下反転工程を具備し、該上下反転工程においては、吸収性コア被覆工程において得られたプレス前吸収体連続体を上下面を逆転させる、前記<1>〜<26>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<28>
第1プレス工程における加圧ロール間のクリアランスは、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上であり、また好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下であり、また、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以上2.5mm以下である、前記<1>〜<27>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。
<29>
第1プレス工程における単位長さ(1m)当りの加圧力は、好ましくは10kN/m以上、より好ましくは15kN/m以上、また好ましくは30kN/m以下、より好ましくは25kN/m以下であり、また、好ましくは10kN/m以上30kN/m以下、より好ましくは15kN/m以上25kN/m以下である、前記<1>〜<28>の何れか1に記載の吸収体の製造方法。