特許第6386372号(P6386372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386372
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23M 5/08 20060101AFI20180827BHJP
   F23M 9/04 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F23M5/08 B
   F23M9/04
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-264643(P2014-264643)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-125684(P2016-125684A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】三浦 卓也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 研太
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−231559(JP,A)
【文献】 特開平09−137922(JP,A)
【文献】 特開平08−200631(JP,A)
【文献】 特開2005−69640(JP,A)
【文献】 特開2016−011824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23M 5/08
F23M 9/04
F23D 14/08
F23D 14/78
F23C 99/00
F23L 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを内蔵する燃焼筐と、燃焼筐の外壁板のバーナより上方の部分の内面を覆って外壁板との間に冷却用空気を流す空気通路を画成する遮熱板とを備える燃焼装置において、
遮熱板のバーナより上方に位置する部分の上下方向中間部に、外壁板側に屈曲する段部が設けられて、この段部に、空気通路から冷却用空気が噴出する通気孔が形成されると共に、遮熱板に、段部の外壁板側とは反対側の端部から隙間を明けずに上方にのびる整流板部が設けられることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記遮熱板の前記段部よりも上方部分は、上方に向かって前記外壁板から離隔する方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナを内蔵する燃焼筐と、燃焼筐の外壁板のバーナより上方の部分の内面を覆って外壁板との間に冷却用空気を流す空気通路を画成する遮熱板とを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、遮熱板の上端に外壁板側に屈曲する屈曲部を設け、この屈曲部に、外壁板と遮熱板との間の空気通路から冷却用空気が抜け出る通気孔を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、空気通路に遮熱板の上端に亘って冷却用空気が流れ、外壁板の耐熱性が確保される。
【0003】
ところで、バーナの燃焼ガスは広がりながら上昇し、遮熱板の上部が燃焼ガスに晒される。そのため、上記従来例の如く遮熱板と外壁板との間の空気通路に遮熱板の上端に亘って冷却用空気を流すことで、外壁板の過熱は防止できても、燃焼ガスに晒される遮熱板の上部の過熱は防止できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−69640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、遮熱板の上部の過熱を抑制して、遮熱板を含む燃焼筐全体の耐熱性を向上できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナを内蔵する燃焼筐と、燃焼筐の外壁板のバーナより上方の部分の内面を覆って外壁板との間に冷却用空気を流す空気通路を画成する遮熱板とを備える燃焼装置において、遮熱板のバーナより上方に位置する部分の上下方向中間部に、外壁板側に屈曲する段部が設けられて、この段部に、空気通路から冷却用空気が噴出する通気孔が形成されると共に、遮熱板に、段部の外壁板側とは反対側の端部から隙間を明けずに上方にのびる整流板部が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、遮熱板のバーナより上方に位置する部分の上下方向中間の段部に形成した通気孔から噴出する冷却用空気が整流板部により燃焼筐の内方に拡散することなく遮熱板の上部内面に沿って上方に流れる。そして、この空気流により、遮熱板の上部に燃焼ガスが触れることを防止するエアカーテンが形成される。従って、燃焼ガスによる遮熱板の上部の過熱を抑制して、遮熱板を含む燃焼筐全体の耐熱性を向上できる。
【0008】
また、本発明において、遮熱板の段部よりも上方部分は、上方に向かって外壁板から離隔する方向に傾斜していることが望ましい。これによれば、段部に形成した通気孔から噴出する冷却用空気が傾斜した外壁板の上部内面に確実に接触し、遮熱板の上部に燃焼ガスが触れることを防止するエアカーテンが確実に形成されて、遮熱板の上部の過熱をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の燃焼装置の斜視図。
図2図1のII−II線で切断した切断側面図。
図3】実施形態の燃焼装置に設けられる前側の遮熱板の斜視図。
図4】実施形態の燃焼装置に設けられる後側の遮熱板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図2を参照して、1は、給湯用熱源機から成る燃焼装置を構成する燃焼筐を示している。燃焼筐1の上面は開放されており、燃焼筐1の上に被加熱物として図示省略した給湯用熱交換器が設置される。燃焼筐1内には、燃焼筐1内の空間を燃焼室2とその下側の給気室3とに仕切る仕切り板4が設けられている。燃焼室2内には、上端に炎口51を有する前後方向に長手のバーナ5が横方向に並べて複数並設されている。
【0011】
給気室3の底面には図外の燃焼ファンが接続されており、燃焼ファンから給気室3に空気が供給される。仕切り板4には、多数の分布孔41が形成されており、給気室3に供給された空気がこれら分布孔41を介して燃焼室2に二次空気として供給されるようにしている。
【0012】
また、仕切り板4の前端には、上方に屈曲する起立板部42と、起立板部42の上端から前方に屈曲して燃焼筐1の前面の外壁板11に達する上板部43とが設けられている。そして、給気室3の前端部に、起立板部42の前側で上板部43に達するように立上る一次空気室31が設けられる。起立板部42には、各バーナ5の下部の混合管部52の上流端の流入口52aに臨む各開口44が形成され、一次空気室31の前面は、ガスマニホールド6で閉塞される。ガスマニホールド6には、各開口44に対向する各ノズル61が設けられており、各開口44、即ち、各バーナ5の混合管部52に各ノズル61から燃料ガスが供給されると共に一次空気室31から一次空気が供給される。また、燃焼筐1の前側には、フレームロッド7と点火プラグ8と覗き窓9とが配置されている。尚、図1ではガスマニホールド6を省略している。
【0013】
ところで、燃焼筐1のバーナ5上端よりも上方の外壁板部分はバーナ5の燃焼で強く加熱される。そこで、燃焼筐1の耐熱性を確保するために、燃焼筐1の前面の外壁板11、後面の外壁板12及び左右各側面の外壁板13のバーナ5上端よりも上方の部分の内面を隙間を存して覆う前側と後側と左右各側の遮熱板14、15、16を設け、更に、燃焼筐1内に、バーナ5の後端縁に当接するバーナ押え板17を設けている。そして、前面の外壁板11と前側の遮熱板14との間に、仕切り板4の上板部43に形成した透孔45を介して一次空気室31から上昇する空気を冷却用空気として流す空気通路141を画成すると共に、後面の外壁板12と後側の遮熱板15との間にも、仕切り板4の後部の分布孔41から後面の外壁板12とバーナ押え板17との間を介して上昇する空気を冷却用空気として流す空気通路151を画成している。
【0014】
また、前側の遮熱板14の下端の高さはバーナ5上端よりも若干低くなっており、その下端に曲成した後方に屈曲する庇部53に、各バーナ5の上部前端部が係合する切欠き53a(図3参照)を形成する共に、バーナ押え板17の上端に曲成した前方に屈曲する庇部54にも、各バーナ5の上部後端部が係合する切欠きを形成して、各バーナ5が横方向に位置決めされるようにしている。尚、後側の遮熱板15の下端部は、バーナ5上端よりも下方にのびて、バーナ押え板17の外面に当接している。
【0015】
また、燃焼筐1の前面の外壁板11の上端部には、フランジ枠18が取付けられている。このフランジ枠18の下部には、外壁板11の上端部の内側でU字状に屈曲する屈曲部181が形成されており、屈曲部181内の空間により燃焼筐1の前面上端部が高温になることを防止できるようにしている。また、屈曲部181の下面に透孔182を形成して、屈曲部181内の空間に冷却用空気を流し、冷却効果を高められるようにしている。
【0016】
図2乃至図4を参照して、前側の遮熱板14のバーナ5より上方に位置する部分の上下方向中間部には、前面の外壁板11側に屈曲する段部142が設けられ、後側の遮熱板15のバーナ5より上方に位置する部分の上下方向中間部には、後面の外壁板12側に屈曲する段部152が設けられている。そして、各段部142,152に、各空気通路141,151から冷却用空気が噴出する通気孔143,153を横方向に並べて複数形成している。更に、各遮熱板14,15に、段部142,152の各外壁板11,12側とは反対側の端部から隙間を明けずに上方にのびる整流板部144,154を設けている。また、各遮熱板14,15の段部142,152よりも上方部分は、上方に向かって各外壁板11,12から離隔する方向に傾斜している。
【0017】
尚、本実施形態では、各遮熱板14,15を、上板14a,15aと下板14b,15bとの上下2枚の板を接合して構成している。そして、上板14a,15aの下端部に段部142,152を形成し、また、下板14b,15bの上端部を段部142,152よりも上方に突出させて、下板14b,15bの上端部で整流板部144,154を構成している。また、図3を参照して、前側の遮熱板14には、フレームロッド7の挿通孔145と、点火プラグ8の挿通孔146と、覗き窓9用の孔147と、フレームロッド7及び点火プラグ8の取付用ネジに対する逃げ孔148とが形成されている。
【0018】
以上の構成によれば、遮熱板14,15の上下方向中間の段部142,152に形成した通気孔143,153から噴出する冷却用空気が整流板部144,154により燃焼筐1の内方に拡散することなく遮熱板14,15の上部内面に沿って上方に流れる。そして、この空気流により、遮熱板14,15の上部に燃焼ガスが触れることを防止するエアカーテンが形成される。従って、燃焼ガスによる遮熱板14,15の上部の過熱を抑制して、遮熱板14,15を含む燃焼筐1全体の耐熱性を向上できる。更に、通気孔143,153から噴出する冷却用空気が上記の如く傾斜した遮熱板14,15の上部内面に確実に接触し、遮熱板14,15の上部に燃焼ガスが触れることを防止するエアカーテンが確実に形成されて、遮熱板14,15の上部の過熱をより確実に防止できる。
【0019】
また、遮熱板14,15の上部を上記の如く傾斜させると、燃焼ガスの前後方向の広がりが抑制される。そのため、燃焼筐1上に配置する熱交換器の胴部の前後方向寸法を燃焼筐1の前後方向寸法よりある程度短くしても、胴部内面への燃焼ガスの接触が抑制され、胴部の過熱を生じない。従って、熱交換器をダウンサイジングしてコストダウンを図ることができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、給湯用熱源機から成る燃焼装置に本発明を適用したものであるが、給湯用熱源機以外の燃焼装置にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1…燃焼筐、11,12…外壁板、14,15…遮熱板、141,151…空気通路、142,152…段部、143,153…通気孔、144,154…整流板部、5…バーナ。
図1
図2
図3
図4