特許第6386380号(P6386380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386380
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】材料層の圧縮による粉砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/06 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   B02C15/06
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-543961(P2014-543961)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2015-500137(P2015-500137A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】FR2012052768
(87)【国際公開番号】WO2013079883
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】1103689
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509140467
【氏名又は名称】フィーヴ エフセーベー
【氏名又は名称原語表記】FIVES FCB
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】コルドニエ,アラン
(72)【発明者】
【氏名】デヴロエ,セバスティアン
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−091188(JP,A)
【文献】 特開2000−033278(JP,A)
【文献】 特開平03−232541(JP,A)
【文献】 特開2006−218339(JP,A)
【文献】 特表平11−508484(JP,A)
【文献】 特開2012−148232(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1430951(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/00 − 15/16、
17/00 − 17/24、
23/00 − 23/40
B09B 3/00、
5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料層(5)の圧縮による、粉砕機(1)によって実施される材料層の圧縮による粉砕方法であって、
−水平軸(A)を有する円筒(2)であって、内壁が、前記円筒(2)の内部に配置される粉砕ローラー(3)のための転がり用行路(20)を有する円筒、
−円筒をその軸(A)を中心にして回転するように導くための手段、
−軸が円筒(2)の軸(A)に平行である前記粉砕ローラー(3)、
−前記粉砕ローラー(3)を前記円筒(2)の転がり用行路(20)に押し当てるための手段、
−前記円筒(2)の端のうちの一方に位置する、粉砕すべき材料を供給するための入口(7)、および前記円筒(2)の他端にある、粉砕された材料のための出口(8)、
−前記円筒(2)の回転方向(R)にしたがって前記粉砕ローラー(3)の上流に配置される、均等化ローラー(4)、
−前記均等化ローラー(4)と転がり用行路(20)との間の接触なく、前記円筒(2)の転がり用行路に近接しおよび離間する、均等化ローラー(4)の把持手段(6)、を含み、
前記均等化ローラー(4)は、材料層の表面を均等化するように円筒状に構成された表面を有しており、
円筒(2)が一回転するごとに、前記方法が、
−前記均等化ローラー(4)で圧力をかけることにより、前記材料層の表面を均等化するステップと、
−均等化された材料層に、前記粉砕ローラー(3)で圧力をかけることにより、前記材料を粉砕するステップと
を備え、
材料層への前記均等化ローラーの圧力は、前記均等化された材料層(5)に前記粉砕ローラー(3)によってかけられる圧力(P)よりも低く、
前記円筒の転がり用行路に前記粉砕ローラーを押し当てるための前記手段が、粉砕ローラー(3)が材料層に10MPaから40MPaの間の平均圧力をかけるようになっており、また均等化ローラーの前記把持手段(6)が、均等化ローラー(4)が材料層(5)に10MPa未満の圧力をかけるようになっている、材料層の圧縮による粉砕方法。
【請求項2】
1mmから120mmの間に含まれる最大粒径を有する材料を粉砕機に供給するステップを含み、
均等化ローラー(4)の前記把持手段(6)が、転がり用行路(20)と前記均等化ローラー(4)の表面との間の最小距離を保証するものであり、前記最小距離が最大粒径の0.5倍以上と決定される、請求項1に記載の粉砕方法。
【請求項3】
均等化ローラー(4)が、回転自在であり、材料層(5)との摩擦を利用して均等化ローラーの軸の周りを回転するように導かれる、請求項2に記載の粉砕方法。
【請求項4】
均等化ローラーの表面の速度が、前記均等化ローラー(4)が押し当てられる材料層(5)の平均速度と等しくなるように、均等化ローラーを回転に導くためのモーター手段を有する、請求項2に記載の粉砕方法。
【請求項5】
1mmから120mmの間に含まれる最大粒径を処理し、また100mmから660mmの間に含まれる均等化ローラー(4)の直径が選択される、請求項1から4のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項6】
均等化ローラー(4)の前記把持手段(6)が、
−前記円筒(2)の軸(A)の方へ半径方向にしたがった前記均等化ローラー(4)の動きを可能にすることができる連結手段、および
−前記均等化ローラー(4)を逆の方向つまり転がり用行路(20)の方へ引き戻す弾性手段を含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項7】
前記均等化ローラー(4)が二つの端を有しており、前記均等化ローラー(4)の前記把持手段(6)が、前記均等化ローラー(4)の二つの端を把持することを確保するものであり、前記把持手段(6)の前記連結手段が、二つのアーム(60)を有し、それぞれが、一方では前記アーム(60)の二つの端のうちの一端で、前記均等化ローラー(4)の軸にしたがって前記均等化ローラー(4)に連結され、また他方では前記アーム(60)の他端で、前記粉砕機(1)のフレームに連結されており、各アーム(60)の他端は前記円筒(2)の軸(A)に平行な回転軸(B)にしたがって連結されている、請求項6に記載の粉砕方法。
【請求項8】
前記均等化ローラー(4)のその軸方向の長さが、前記粉砕ローラー(3)のその軸方向の長さ以上であり、前記均等化ローラー(4)が、円筒(2)のその軸方向の長さに沿って前記粉砕ローラー(3)と平行に配置される、請求項1から7のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項9】
前記材料が、円筒(2)が一回転するごとに円筒(2)のその軸方向の長さの一部分しかたどらないように、また円筒(2)と粉砕ローラー(3)との間を、粉砕するべき材料供給用の前記入口(7)から粉砕された材料用の前記出口(8)まで数回通るように、前記円筒(2)のその軸方向の長さにわたって材料の移動を制御するための手段を有し、
前記材料の移動を制御するための手段は、
転がり用行路から材料を剥がすように、円筒の内側の上部下降面に設置されるスクレーパー、およびスクレーパーによって剥がされた材料を途中で捕えてそれを粉砕機の出口の方に逸らすように、スクレーパーの下に配置される単数または複数の偏向板を含む、円筒(2)の一端から他端までの材料の送りを確保することを目的とした装置を有し、
また、前記均等化ローラー(4)の表面と転がり用行路(20)との間の距離(d)が、前記円筒(2)のその軸方向の長さに沿って変化し、前記入口(7)から前記出口(8)に向かって減少する、請求項1から8のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項10】
均等化ローラー(4)の回転軸が、前記円筒(2)の軸(A)に平行である、請求項1から8のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項11】
均等化ローラーの前記把持手段(6)が、均等化ローラー(4)が材料層(5)に1MPa未満の圧力をかけるようになっている、請求項1から10のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項12】
−前記粉砕機(1)に1mmから120mmの間に含まれる最大粒径の材料を供給するステップと、
粉砕するべき前記最大粒径の2倍から6倍という倍率が、粉砕ローラー(3)の直径の0.15倍以上の前記均等化ローラー(4)の直径をもたらす場合に、前記均等化ローラー(4)の直径を、粉砕するべき前記最大粒径の2倍から6倍の間に含まれる直径に選択するステップと
−そうでない場合に、前記均等化ローラー(4)の直径を、粉砕ローラー(3)の直径の0.15倍以上の直径に選択するステップと、
を備える、請求項1から11のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項13】
−前記粉砕機(1)に1mmから120mmの間に含まれる最大粒径の材料を供給するステップと、
−均等化ローラー(4)の表面が、転がり用行路(20)から、粉砕するべき最大粒径の0.5倍から3倍の間に含まれる距離に保たれるように、前記均等化ローラー(4)の移動行程を調整するステップとを備える、請求項6に記載の粉砕方法。
【請求項14】
前記粉砕機(1)において材料を乾式粉砕する、請求項1から13のいずれか一つに記載の粉砕方法。
【請求項15】
材料層(5)の圧縮による粉砕機(1)であって、
−水平軸(A)を有する円筒(2)であって、内壁が、前記円筒(2)の内部に配置される粉砕ローラー(3)のための転がり用行路(20)を有する円筒、
−円筒をその軸(A)を中心にして回転するように導くための手段、
−軸が円筒(2)の軸(A)に平行である前記粉砕ローラー(3)、
−前記粉砕ローラー(3)を前記円筒(2)の転がり用行路(20)に押し当てるための手段、
−前記円筒(2)の端のうちの一方に位置する、粉砕すべき材料を供給するための入口(7)、および前記円筒(2)の他端の、粉砕された材料のための出口(8)、を含み、
−材料層の表面を均等化するように円筒状に構成された表面を有する均等化ローラー(4)であって、前記円筒(2)の回転方向(R)にしたがって前記粉砕ローラー(3)の上流に配置される、均等化ローラー(4)、
−前記均等化ローラー(4)と転がり用行路(20)との間の接触なく、前記円筒(2)の転がり用行路に近接しおよび離間する、均等化ローラー(4)の把持手段(6)、を含むことを特徴とし
記円筒の転がり用行路に前記粉砕ローラーを押し当てるための前記手段が、粉砕ローラー(3)が材料層に10MPaから40MPaの間の平均圧力をかけるようになっており、また均等化ローラーの前記把持手段(6)が、均等化ローラー(4)が材料層(5)に10MPa未満の、前記材料層の前記表面を均等化する圧力をかけるようになっている、材料層の圧縮による粉砕機。
【請求項16】
無機材料の粉砕、および/または、セメントクリンカーの製造における材料の粉砕のための、請求項1から14のいずれか一つに記載の粉砕方法の利用、または請求項15に記載の粉砕機(1)の利用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に横型ローラーミルという名称の、材料層の圧縮による粉砕機、並びにそのような粉砕機を用いる粉砕方法に関するものである。
【0002】
そのような粉砕機は、とりわけ乾式での無機材料粉砕のための、非限定的にはセメントクリンカー製造のための、特定応用例を見出す。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第0486371号明細書および欧州特許第0934120号明細書は、水平軸に従って回転する円筒であり、その円筒の内壁が、円筒の軸に平行な回転軸を有し転がり用行路へ強い圧力で押し当てられる粉砕ローラーのための、転がり用行路を形成するものである円筒を含む、そのようなタイプの粉砕機を記載している。材料は、円筒の端のうちの一方で供給され、そして他端でまた外に出る。
【0004】
円筒の回転効果によって、材料は、転がり用行路と粉砕ローラーとの間を数回通過するが、先に言及された明細書の中で記載されるような材料の送り装置を用いて、通過数を制御することが公知である。
【0005】
そのような粉砕機において、材料は、連続する粉砕作用を受けながら、円筒の一端から他端まで進む。したがって、材料の粒度は、出口の端の近くに位置する粉砕機の部分でよりも、入口の端の近くに位置する粉砕機の部分での方が、より粗い。
【0006】
通常、粉砕機の中に供給される材料は、粒度が粗く最大粒径が120mmに達することもある。運搬システムの作動具合の影響により、材料の流量は変動し易く、また粒度分布は不均一である。これにより、材料層の組成および厚みの変化が引き起こされ、またしたがって粉砕機の振動となって現れる、粉砕ローラーによってかけられる力の反応の変化が引き起こされる。
【0007】
これらの振動は、機械の構成要素、さらに粉砕作業場において隣接する部品の寿命の減少に関与する、機械的外力を作り出す。
【0008】
また国際公開第97/39829号から、円形行路、および行路上を転がるのに適しかつ行路に弾力的に強く押し当てられる粉砕ローラーを有する粉砕機において利用される湿式粉砕方法も公知である。
【0009】
この先行技術において、材料層の表面は、水または他の液体がノズルによる圧縮噴射によって付加されることにより均一化され、このことにより、行路上の均一な厚みの層における材料の分布を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この先行技術の変形形態によると、粉砕機は、粉砕ローラーの上流に置かれる予備圧縮ローラーを含む。この予備圧縮ローラーは、粉砕ローラーと全く同じように、円形行路に弾力的に強く押し当てられる。予備圧縮ローラーは、材料層の脱水を確保する機能、および脱水によって材料層上に送り出される水が粉砕ローラーに達するのを回避する機能を果たす。国際公開第97/39829号の粉砕機は、乾式の材料粉砕には適さないかもしれない。行路から離れて把持されていない、この先行技術の予備圧縮ローラーは、材料層の表面を均一化するための液体散布なしでは、本発明に係る粉砕機の均等化ローラーのように材料層を均一化することは出来ないかもしれない。本発明の目的は、前述の不都合を克服する、従来技術で公知の横型の円筒付き粉砕機に比べて寿命が長い、横型の円筒付き粉砕機を提案することである。
【0011】
本発明の別の目的は、本発明に係る粉砕機によって用いられる粉砕方法を提案することである。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、ただ参考としてのみ与えられ本発明を限定することを目的としない、以下に続く説明の中で明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、
−水平軸を有する円筒であって、その内壁が、前記円筒の内部に配置される粉砕ローラーのための転がり用行路を有する円筒、
−円筒をその軸を中心にして回転するように導くための手段、
−軸が円筒の軸のそれに平行である前記粉砕ローラー、
−前記粉砕ローラーを前記円筒の転がり用行路に押し当てるための手段、
−前記円筒の端のうちの一方に位置する、粉砕するべき材料を供給するための入口、および前記円筒の他端にある、粉砕された材料のための出口、
を含む、材料層の圧縮による粉砕機に関している。
【0014】
本発明によると、前記粉砕機は、
−材料層の表面を均等化することを目的とした、前記円筒の回転方向にしたがって前記粉砕ローラーの上流に配置される、均等化ローラー、
−前記均等化ローラーと転がり用行路との間のあらゆる接触を禁じつつ、前記円筒の転がり用行路に近接しおよび離間する、均等化ローラーの把持手段、
を含む。
【0015】
本発明によると、一方では前記円筒の転がり用行路に近接しおよび離間するための、均等化ローラーの前記把持手段、また他方では前記粉砕ローラーを前記円筒の転がり用行路に押し当てるための前記手段は、前記均等化ローラーが、前記粉砕ローラーが前記材料層にかける圧力よりも低い、その表面を均等化する圧力を、材料層にかけることができるようになっている。
【0016】
そのような粉砕機は、円筒が一回転するごとに材料が均等化ローラーの下ついで粉砕ローラーの下を続けて通過する、材料層の圧縮による粉砕方法を用いることを可能にするものであり、前記均等化ローラーは、前記粉砕ローラーが前記材料層にかける圧力よりも低い、その表面を均等化する圧力を、材料層にかける。
【0017】
本粉砕方法の一実施態様によると、均等化ローラーの前記把持手段は、転がり用行路と前記均等化ローラーの表面との間の最小の距離を保証するものであり、該実施態様において、1mmから120mmの間に含まれる所定の最大粒径が粉砕機に供給され、また所定の最大粒径の0.5倍以上の前記最小距離が決定される。
【0018】
単独でまたは組み合わされて選ばれる、本発明の選択できる特徴によると、
−均等化ローラーは、回転自在であり、材料層との摩擦を利用してその軸の周りを回転するように導かれることができる、
−粉砕機は、均等化ローラーの表面の速度が、前記均等化ローラーに押し当てられるようになっている材料層の平均速度と等しくなるように、均等化ローラーを回転に導くためのモーター手段を有する、
−粉砕機は、1mmから120mmの間に含まれる最大粒径を処理することを目的とし、また該粉砕機において、均等化ローラーの直径は100mmから660mmの間に含まれる、
−均等化ローラーの前記把持手段は、前記円筒の軸の方へほぼ半径方向にしたがった前記均等化ローラーの動きを可能にすることができる連結手段、および前記均等化ローラーを逆の方向つまり転がり用行路の方へ引き戻す弾性手段を含む、
−前記均等化ローラーの前記把持手段は、その二つの端によって前記均等化ローラーを把持することを確保するものであり、前記把持手段は、二つのアームを有し、それぞれが、一方では前記アームの端のうちの一端で、前記均等化ローラーの軸にしたがって前記均等化ローラーに連結され、また他方では前記アームの他端で、前記円筒の軸に平行な回転軸にしたがって前記粉砕機のフレームに連結されている、
−前記均等化ローラーの長さは、前記粉砕ローラーの長さ以上であり、前記均等化ローラーは、円筒の長さに沿って前記粉砕ローラーと対応して配置される、
−粉砕機は、前記材料が、円筒が一回転するごとに円筒の長さの一部分しかたどらないように、また円筒と粉砕ローラーとの間を、粉砕するべき材料供給用の前記入口から粉砕された材料用の前記出口まで数回通るように、前記円筒の長さにわたって材料の移動を制御するための手段を有し、また該粉砕機において、前記均等化ローラーの表面と転がり用行路との間の距離は、前記円筒の長さに沿って変化し、前記入口から前記出口に向かって減少する、
−前記円筒の転がり用行路に前記粉砕ローラーを押し当てるための前記手段は、粉砕ローラーが材料層に10MPaから40MPaの間の平均圧力をかけるようになっており、また均等化ローラーの前記把持手段は、均等化ローラーが材料層に10MPa未満好ましくは1MPa未満の圧力をかけるようになっている、
−均等化ローラーの回転軸は、前記円筒の軸に平行である。
【0019】
本粉砕方法の一実施態様によると、前記粉砕機に所定の最大粒径の材料が供給され、また以下のような前記均等化ローラーの直径が選択される:
−粉砕するべき前記最大粒径の2倍から6倍の間に含まれる直径、ただしこの条件下で、均等化ローラーの直径が粉砕ローラーの直径の0.15倍以上であること、または
−粉砕ローラーの直径の少なくとも0.15倍の直径。
【0020】
本発明はまた、把持手段が前記連結手段を有する、本発明に係る粉砕機によって実施される材料層圧縮粉砕方法にも関しており、該方法において、前記粉砕機に所定の最大粒径の材料を供給し、また均等化ローラーの表面が、転がり用行路から、粉砕するべき最大粒径の0.5倍から3倍の間に含まれる距離に保たれるように、前記均等化ローラーの移動行程を調整する。
【0021】
本発明に係る粉砕方法および粉砕機は、材料の乾式粉砕のための特定応用例を見出すものである。
【0022】
本発明は、以下のような付属の図面を伴う続く説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】縦断面図による、本発明に係る粉砕機の概略図であって、円筒および粉砕ローラーを示している(均等化ローラーは図示されていない)。
図2図1による粉砕機の側面概略図である。
図3図2による粉砕機の概略図であって、より詳細には、非限定的な一実施態様による、前記均等化ローラーの前記把持手段を示している。
図4】第二の実施態様による本発明に係る粉砕機の断面図であって、円筒および均等化ローラーを示している(粉砕ローラーは図示されていない)。
【0024】
したがって本発明は、
−水平軸Aを有する円筒2であって、その内壁が、前記円筒2の内部に配置される粉砕ローラー3のための転がり用行路20を有するもの、
−円筒をその軸Aを中心にして回転するように導くための手段、
−軸が円筒2の軸Aのそれに平行である、前記粉砕ローラー3、
−前記粉砕ローラー3を前記円筒2の転がり用行路20に押し当てるための手段、
−前記円筒2の端のうちの一方に位置する、粉砕すべき材料を供給するための入口7、および前記円筒2の他端の、粉砕された材料のための出口8、
を含む、材料層5の圧縮による粉砕機1に関している。
【0025】
円筒2を回転に導くための前記手段は、ギアモーターを含むことができるが、その出力軸は、円筒2の外壁に連動する、リングギアと対になるピニオンギアを有する。
【0026】
前記粉砕ローラー3を転がり用行路20に押し当てるための前記手段は、粉砕ローラー3の端を案内する滑り溝、ならびに、粉砕ローラー3の端に粉砕ローラー3に伝達される応力をかけることができるジャッキまたはばねを含むことができる。
【0027】
一実施態様によると、前記円筒2の転がり用行路20に前記粉砕ローラー3を押し当てるための前記手段は、粉砕ローラー3が、材料層5に、10MPaから40MPaの間の平均圧力をかけるようになっている。
【0028】
入口7への材料の供給および/または出口8への材料の排出は、気体運搬システムによって得られることができる。
【0029】
好ましくは、粉砕機は、前記材料が、円筒2が一回転するごとに円筒2の長さの一部分しかたどらないように、また円筒2と粉砕ローラー3との間を、粉砕するべき材料供給用の前記入口7から粉砕された材料用の前記出口8まで数回通るように、前記円筒2の長さにわたって材料の移動を制御するための手段(非表示)を有する。
【0030】
これらの手段は、とりわけ欧州特許第0486371号明細書あるいはまた欧州特許第0934120号明細書に記載されているような、円筒2の一端から他端までの材料の送りを確保することを目的とした装置を含むことができる。
【0031】
そのような装置は、転がり用行路から材料を剥がすように、円筒の内側の上部下降面に設置されるスクレーパー(または刃)、およびスクレーパーによって剥がされた材料を途中で捕えてそれを粉砕機の出口の方に逸らすように、スクレーパーの下に配置される単数または好ましくは複数の偏向板を含む。
【0032】
本発明によると、粉砕機は、
−前記円筒2の回転方向Rにしたがって前記粉砕ローラー3の上流に配置される、均等化ローラー4、
−前記円筒2の転がり用行路に近接しおよび離間する、均等化ローラー4の把持手段6、
を含む。
【0033】
手段4、6は、円筒2が一回転するごとに、材料が均等化ローラー4の下ついで粉砕ローラー3の下を続けて通過するようにするものであり、前記均等化ローラー4は、前記粉砕ローラー3が前記材料層5にかける圧力Pよりも低い、その表面を均等化する圧力を、材料層5にかける。
【0034】
好ましくは、運転中、材料層5への均等化ローラーの圧力は、材料の粒子を粉砕するのに必要な圧力よりも低い。このために、均等化ローラー4の前記把持手段60は、均等化ローラー4が、材料層5に、10MPa未満好ましくは1MPa未満の圧力をかけるようになっている。
【0035】
好ましくは、前記均等化ローラー4の長さは、前記粉砕ローラー3の長さ以上であることができ、前記均等化ローラー4は、円筒2の長さに沿って前記粉砕ローラー3と対応して配置される。
【0036】
本発明によると、均等化ローラー4の前記把持手段6は、転がり用行路20と前記均等化ローラー4の表面との間の最小距離を保証するものであり、前記均等化ローラー4と転がり用行路20との間のあらゆる接触を禁止する。
【0037】
この最小距離は、材料層の粒状材料が、前記均等化ローラー4の作用によって、ローラーの軸にしたがって、横に追い払われることができることを確保すること、またこのように均等化ローラー4の長さにわたって一定の厚みの材料層を得ること、を可能にする。この最小距離は、1mmから120mmの間に含まれることができる、粉砕機に供給される最大粒径に応じて決定されることができる。一実施態様によると、最小距離は、所定の最大粒径の0.5倍以上である。
【0038】
一実施態様によると、均等化ローラー4は、回転自在であり、材料層5との摩擦を利用してその軸の周りを回転するように導かれることができる。
【0039】
選択的に、粉砕機は、均等化ローラーの周辺速度が、前記均等化ローラー4が押し当てられるようになっている材料層5の平均速度と同じになるように、均等化ローラー4を回転に導くためのモーター手段を有することができる。
【0040】
一実施態様によると、粉砕機1は、1mmから120mmの間に含まれる最大粒径を粉砕することを目的としており、そのとき均等化ローラー4の直径は、100mmから660mmの間に含まれる。
【0041】
好ましくは、前記粉砕機1に所定の最大粒径の材料が供給され、また以下のような、前記均等化ローラー4の直径が選択される:
−粉砕するべき前記最大粒径の2倍から6倍の間に含まれる直径、ただし、この条件下で、均等化ローラーの直径が粉砕ローラー3の直径の0.15倍以上であること、または
−粉砕ローラー3の直径の少なくとも0.15倍であり、とりわけ粉砕ローラー3の直径の0.5倍未満の直径。
【0042】
均等化ローラー4の前記把持手段6は、前記円筒2の軸Aの方へほぼ半径方向にしたがった前記均等化ローラー4の動きを可能にすることができる連結手段、および、前記均等化ローラー4を逆の方向つまり転がり用行路(20)の方へ引き戻す弾性手段(非表示)を含むことができる。
【0043】
一実施態様によると、前記均等化ローラー4の前記把持手段6は、その二つの端によって前記均等化ローラー4の把持を確保するが、前記把持手段6の前記連結手段は、二つのアーム60を有し、それぞれが、一方では前記アーム60の端のうちの一つで、前記均等化ローラー4の軸にしたがって前記均等化ローラー4に連結され、また他方では前記アーム60の他端で、とりわけ前記円筒2の軸Aに平行な回転軸Bにしたがって前記粉砕機1のフレームに連結されている。
【0044】
好ましくは、均等化ローラー4の移動行程は、前記把持手段6によって制限される。
【0045】
有利には、所定の最大粒径の材料が前記粉砕機1に供給され、また均等化ローラー4の表面が、転がり用行路20から、粉砕するべき最大粒径の0.5倍から3倍の間に含まれる距離に保たれるように、前記均等化ローラー4の移動行程が調整される。均等化ローラー4の移動行程は、均等化ローラー4がこの値の範囲全体を巡るようなものであることができる。
【0046】
一実施態様によると、粉砕機1は、前記材料が、円筒2が一回転するごとに円筒2の長さの一部分しかたどらないように、また円筒2と粉砕ローラー3との間を、粉砕するべき材料供給用の前記入口7から粉砕された材料用の前記出口8まで数回通るように、前記円筒2の長さにわたって材料の移動を制御するための前記手段を有する。
【0047】
有利には、この直前の実施態様によると、前記均等化ローラー4の表面と転がり用行路20との間の距離「d」は、前記入口7から前記出口8の方へ減少していくように、前記円筒2の長さに沿って変化するものであることができる。このため、また図4で示される例によると、均等化ローラー4の軸は、円筒2の軸に対して傾いていることができる。
【0048】
この配置は、材料の粒度は出口8の端の近くに位置する粉砕機の部分でよりも、入口7の端の近くに位置する粉砕機の部分での方がより粗いということを考慮に入れることを可能にする。
【0049】
このように、均等化ローラー4の表面と入口7の近くのローラーの端の転がり用行路20との間の距離は、均等化ローラー4の表面と出口8の近くのローラーの端の転がり用行路20との間の距離より長い。二つの距離の間の比率は、1から2の間に含まれることができる。
【0050】
選択的に、均等化ローラー4の回転軸は、前記円筒2の軸Aに平行である。
【0051】
本発明に係る粉砕機および粉砕方法は、無機材料の粉砕、および/または、セメントクリンカーの製造における材料の、とりわけ乾式での粉砕、のための特定応用例を見出す。
【0052】
当然、当業者であれば、以下の請求項によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施態様を検討することができるであろう。
【符号の説明】
【0053】
1 粉砕機
2 円筒
3 粉砕ローラー
4 均等化ローラー
5 材料層
6 把持手段(均等化ローラー)
7 入口
8 出口
20 転がり用行路
60 アーム(連結手段)
A 水平軸
B 回転軸
P 圧力
R 回転方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】欧州特許第0486371号明細書
【特許文献2】欧州特許第0934120号明細書
【特許文献3】国際公開第97/39829号
図1
図2
図3
図4