特許第6386383号(P6386383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386383
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】浸漬処理設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/04 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   B65G49/04 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-556949(P2014-556949)
(86)(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公表番号】特表2015-506886(P2015-506886A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2013000401
(87)【国際公開番号】WO2013124039
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年1月25日
(31)【優先権主張番号】102012003271.4
(32)【優先日】2012年2月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511056714
【氏名又は名称】アイゼンマン ソシエタス オイロペア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ロビン
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−501532(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010012534(DE,A1)
【文献】 特開2007−237783(JP,A)
【文献】 特開2004−224527(JP,A)
【文献】 実公昭45−012820(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/04
C25D 13/00 − 21/22
B05C 1/00 − 3/20
B05C 7/00 − 21/00
B08B 3/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬処理設備であって
a)少なくとも1つの浸漬槽(2)であって、
処理液によって満たすことができ、その中へ処理すべき対象(3;103)を浸漬することができる、浸漬槽(2)と;
b)コンベアシステム(4、5;104、105)であって、
前記処理すべき対象(3;103)を前記少なくとも1つの浸漬槽(2)へ近づけ、前記浸漬槽(2)の内部空間へ挿入し、前記少なくとも1つの浸漬槽(2)から取り出して前記少なくとも1つの浸漬槽から離れるように移動させることができ、かつ並進方向に移動可能な少なくとも1つの移送キャリッジ(5)を有し、前記移送キャリッジが回転軸(15;115)を中心に回動可能な支持プラットフォーム(14;114)を有し、前記支持プラットフォームに結合構造(18、19、20、21、22;118、119、120、121、122)によって少なくとも1つの対象(3;103)が固定可能とされている、コンベアシステム(4、5;104、105)と、
備え、
c)前記結合構造(18、19、20、21、22;118、119、120、121、122)が、それ自体次のように、
すなわち前記少なくとも1つの対象(3;103)が、前記回転軸(15;115)から最小の垂直の距離を有して、前記槽から出ている第1の位置を有するように、移動可能であって、かつ
回転駆動によって前記第1の位置から回転する場合に、前記少なくとも1つの対象(3;103)が、第2の位置において、前記少なくとも1つの対象(3;103)と前記回転軸(15;115)との間の最大の垂直の距離に達するまで、複数の位置を通って移動するにしたがって、前記少なくとも1つの対象(3;103)と前記回転軸(15;115)との間の垂直の距離が重力の影響を受けて増大し続け、
前記第1の位置へ戻る場合に、前記少なくとも1つの対象(3;103)が、前記少なくとも1つの対象(3;103)と前記回転軸(15;115)との間の前記最小の垂直の距離に達するまで、前記第2の位置から前記第1の位置に戻る複数の位置を通って移動するにしたがって、前記少なくとも1つの対象(3;103)と前記回転軸(15;115)との間の垂直の距離が、重力の影響を受けて減少し続ける、
浸漬処理設備。
【請求項2】
前記対象(3;103)は、180°回転した後に第2の位置に達し、前記第2の位置において前記対象が回転軸(15;115)から最大の垂直距離を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の浸漬処理設備。
【請求項3】
前記結合構造が、少なくとも2つの平行な連結部材(18)であって、その第1の端部において支持プラットフォーム(14)と結合されている、連結部材(18)を有し、
前記連結部材がその第2の端部において対象(3)のための保持構造(19)と、少なくとも1つの平行四辺形ガイドが生じるようにリンク結合されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浸漬処理設備。
【請求項4】
前記対象(103)が、ベース架台(123)を有する固定用部材(122)によって支持されており、その場合に
前記結合構造が、第1の端部において固定用部材(122)のべース架台(123)とリンク結合されている少なくとも2つの平行な連結部材(118)を有し、
前記連結部材がその第2の端部において前記対象(103)のための保持構造(119)と、少なくとも1つの平行四辺形ガイドが生じるようにリンク結合されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の浸漬処理設備。
【請求項5】
緩衝または制動装置が設けられており、前記装置が、重力の影響下で進行する、前記結合構造(18、19、20、21、22;118、119、120、121、122)の運動をコントロールする、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の浸漬処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a)少なくとも1つの浸漬槽であって、処理液、特に塗料を充填可能であり、その中へ処理すべき対象、特に車両ボディを浸漬することができる、浸漬槽と;
b)コンベアシステムであって、処理すべき対象を浸漬槽へ近づけ、浸漬槽の内部へ投入し、浸漬槽から取り出してそこから離れるように移動させることができ、かつ並進方向に移動可能な少なくとも1つの移送キャリッジを有し、その移送キャリッジが回転軸を中心に回転可能な支持プラットフォームを有し、その支持プラットフォームに結合構造を用いて少なくとも1つの対象が固定可能である、コンベアシステムと、
を有する、浸漬処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
1つまたは複数の移送キャリッジを有する、原則的に連続して駆動することができるコンベアシステムによって作動する、浸漬処理設備においては、どのようにして処理すべき対象を、処理液の液面上方の高さにある移送位置から、処理液内へ完全に浸漬されるように下降させることができるか、という基礎的な問題が生じる。そのために種々の解決策がとられて来た:
【0003】
特許文献1に記載されている浸漬塗装設備においては、コンベアシステムは次のように、すなわち処理すべき対象が純粋な並進運動と移送方向に対して垂直に方向付けされた軸を中心とする純粋な回転運動とを重畳させながら槽内へ浸漬され、かつそこから再び引き上げられるように、形成されている。その場合に回転軸は、車両ボディの輪郭から比較的離れた外部に位置し、従ってその重心から離れている。ここでは、著しい重量を有する対象においては、極めて大きい力が発生するので、極めて複雑な保持架台が必要である。さらに、対象を浸漬し、かつそこから出す場合に唯一の運動学のみが可能である。そして、この種の浸漬塗装設備は、垂直方向にかなり大きい組み込み空間を必要とする。
【0004】
特許文献2から知られた浸漬塗装設備においては、各移送キャリッジが揺動アームを有し、その揺動アームが一方の端部において、移送キャリッジと共に走行する第1の回転軸を中心に揺動可能であって、他方の端部には第2の回転軸を介して固定装置を支持しており、その固定装置に塗装すべき対象が固定されている。ここでは車両ボディが浸漬槽内へ埋没する運動は、上述した2つの回転軸を中心とする2つの回転運動と水平方向における並進線形運動との重畳である。その場合に垂直運動の大部分は、揺動アームの揺動運動から発生される。この既知の浸漬塗装設備は、得ることのできる移動運動学における極めて大きい可変性と高い柔軟性を有している。もちろんそれには、ある程度の装置的費用と手間が結びついている。
【0005】
そして、冒頭で挙げた種類の浸漬処理設備は、特許文献3から知られている。これにおいて、塗装すべき車両ボディを固定することができる、支持プラットフォームは、キャリッジを介して垂直方向に走行することができる。ここでは運動全体は、並進方向における線形運動、垂直方向における線形運動および回転軸を中心とする回転運動の重畳である。垂直運動は、動力的に行われる;対象と支持プラットフォームの間の結合構造は、それ自体固定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許公報DE19641048C2
【特許文献2】独国特許公報DE10103837B4
【特許文献3】独国実用新案公報DE202008017770
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、冒頭で挙げた種類の浸漬処理設備を、構造においてより簡単かつコスト的により好ましく、かつより少ない制御技術的手間と費用しか必要としないように形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、
c)結合構造がそれ自体次のように、すなわち対象が、回転軸からできるだけ小さい垂直の距離を有する、槽から出ている第1の位置を有するように、移動可能であって、かつ
重力の影響を受けてこの第1の位置から回動する場合に、対象と回転軸との間の垂直の距離が徐々に大きくなるように増大する。
ことによって解決される。
【0009】
本発明は、浸漬するために必要な、運動の垂直成分を支持プラットフォームのそれに応じた動力駆動される運動によってもたらす、これまでの一貫したコンセプトから区別される。その代わりに本発明は、支持プラットフォームの回転軸の垂直の位置を一定に維持し、かつその代わりに支持プラットフォームと対象の間の結合構造をそれ自体移動可能にする。槽から出ている位置において、重力によって、支持構造が折り畳まれて、垂直方向におけるその寸法ができるだけ小さくなる。それに対して回動する場合には、重力は、結合構造を互いから引き離し始め、その場合に動力的な作用が必要となることはない。制御技術的手間も、完全に省かれる。対象の垂直運動は、ある程度、回転運動の「副産物」として生じる。
【0010】
対象が、180°回動した後に第2の位置をとり、その中で対象は回転軸から最大の垂直距離を有する。
【0011】
本発明の特に好ましい実施形態において、結合構造は、第1の端部において支持プラットフォームとリンク結合されている、2つの平行な連結部材を有し、それらがその第2の端部において対象のための保持構造と、少なくとも1つの平行四辺形ガイドが生じるようにリンク結合されている。この形態において、支持プラットフォーム、連結部材および保持構造から形成される平行四辺形は、槽から出ている位置においては極端にフラットであり、180°回動した後の第2の位置においては、矩形になり、従って支持プラットフォームと保持構造およびそれに伴って対象との間の距離が最大になる。
【0012】
この考え方の代替的な実施形態において、対象はベース架台を有する固定用部材によって支持されており、その場合に結合構造が、第1の端部において固定用部材のベース架台とリンク結合されている、少なくとも2つの平行な連結部材を有し、それらがその第2の端部において対象のための保持構造と、少なくとも1つの平行四辺形ガイドが生じるようにリンク結合されている。従ってここでは、垂直運動するための能力は、支持構造自体にではなく、固定用部材に内在し、その固定用部材が装置全体を通って(かつ場合によっては自動車製造の他の設備部分内で、対象を支持する。
【0013】
多くの場合において、緩衝または制動装置が設けられており、それが重力の影響下で遂行される、結合構造の内的運動をコントロールすると、効果的である。このようにして、唐突な運動が回避される。
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電気泳動浸漬塗装設備の一部を示す側面図である。
図2図1の拡大として、車両ボディを有する移送キャリッジを浸漬前の第1の位置で示す側面図である。
図3図2と同様の図であるが、車両ボディが90°回動されている。
図4図2および3と同様の図であるが、車両ボディが初期位置に対して135°回動されている。
図5図2、3および4と同様の図であるが、車両ボディが初期位置から180°の角度だけ回動されている。
図6図1のVI−VI線に基づく断面図である。
図7図1から5の浸漬塗装設備内で使用されるような、車両ボディ用の移送キャリッジを、復帰移送前の中間位置で示している。
図8図7の移送キャリッジを復帰移送のためにとった位置で示す側面図である。
図9】車両ボディを装填した移送キャリッジの代替的な実施形態を、図5と同様に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、種々の図を用いて説明する、全体を参照符号1で示す、電気泳動浸漬塗装設備は、その原則的な構造において、特許文献3から、特にその図21から38から、知られている。この文献が補足的に参照される。以下において異なる記載がない限りにおいて、この電気泳動塗装設備1の構造は、既知のものと一致する。該当する構造的特徴を、以下に簡単に要約する:
【0017】
電気泳動浸漬塗装設備1は、液状の塗料で満たされた浸漬槽2を有している。車両ボディ3は、コンベアシステム4によって浸漬塗装設備1を通り、特に浸漬槽2とその中にある塗料を通って案内される。車両ボディ3の移動ルートに沿って陽極が配置されているが、これは見やすくする理由から図示されていない。車両ボディ3と陽極との間に形成される電場内で塗料粒子が車両ボディ3上へ移動して、それに沈積する。
【0018】
コンベアシステム4は、多数の移送キャリッジ5を有しており、それについてはさらに下で詳細に説明する。浸漬槽2の上方に、従来のロープウェイにおいて使用されるような、I字プロフィールを備えた駆動レール6が延びている。
【0019】
車両ボディ3がコンベアシステム4によって移送される移動方向が、図1に矢印8で示されている。駆動レール6は、移動方向8に対して垂直の方向において浸漬槽2の中心に関して外側へ変位しているので、浸漬槽2の上方に延びていない。これは特に、図6からも読み取ることができる。
【0020】
移送キャリッジ5は、原則的に、従来の電気ロープウェイから知られている構造である。この移送キャリッジ5の各々が移動方向8において前を行く、専門用語で「先導体」と称される、走行装置9と、移動方向8において後を追う、専門用語で「追従体」と称される、他の走行装置10とを有している。先導体9はと追従体10は、既知のように、ガイドおよび支持ローラを有しており、それらはここでは専用の参照符号をもたず、駆動レール6のI字状のプロフィールの種々の面に接して転動する。先導体9ないし追従体10の少なくとも1つのローラ、この場合においては先導体9のローラが、駆動ローラとして用いられ、そのために電気モータ11によって回転可能である。
【0021】
各移送キャリッジ5の先導体9と追従体10は、桁体12によって互いに結合されている。桁体12自体は、実質的に垂直に延びる保持部材13を介して支持プラットフォーム14と結合されている。支持プラットフォーム14は、回転軸線を定める回転軸15によって保持部材13に自由支持で保持され、その回転軸が保持部材13の下方の領域内に軸承されている。回転軸は、この端部において回転駆動装置によって回転され、その回転駆動装置は詳細には示されておらず、かつ中空の保持部材13の内部空間を通って延びている。
【0022】
従って配置は、支持プラットフォーム14が浸漬槽2の上方に位置し、保持部材13が駆動レール6と同様に浸漬槽2の側方に配置されているように、行われる(図6を参照)。
【0023】
回転軸15の外側の端部は、支持プラットフォーム14の長手桁部材16に相対回動不能に固定されている。長手桁部材16の対向する端部は、2本の保持ロッド17によって貫通されており、その保持ロッドの対向する端部に、それぞれ連結部材18が同様に回転可能にリンク結合されている(図6を参照)。連結部材18の、保持ロッド17から遠い端部は、保持構造19に同様にリンク的に取り付けられている。保持構造19は、2つの平行なステイ20(図6も参照)を有しており、その上に固定部材(図示せず)が取り付けられており、その固定部材は既知のように、車両ボディ3を支持する固定用部材22を固定するために用いられる。
【0024】
長手桁部材16と保持構造19のステイ20は、連結部材18と同様に、側面図において平行に延びている。このようにして、長手桁部材16、2対の連結部材18および保持構造19によって二重の平行四辺形ガイドが生じる。
【0025】
上述した浸漬塗装設備1の機能方法は、以下の如くである:
図2には、支持プラットフォーム14上に固定された車両ボディ3が移送方向8に槽2の上方へ走行する前の状況が示されている。この移送位置において、上述した平行四辺形がガイドは「折り畳まれている」。すなわち連結部材18は、長手桁部材16に対して実質的に平行に延びるように揺動されている。保持構造19の2つのステイ20は、長手桁部材16よりもわずかに高い高さを有している。
【0026】
移送キャリッジ5がさらに移動する場合に、回転軸15の回転軸線を中心とする支持プラットフォーム14の回転が開始される。図3には、90°の回転角度が達成された状況が示されている。この位置において、車両ボディ3はその前方の領域のみが浸漬槽2の内部へ没入する。保持構造19は、支持プラットフォーム14の長手桁部材16と同様に実質的に垂直であって、その場合に両方の構成部材は相変わらず互いに近接している。
【0027】
そして、図4に135°の回転について示されるように、回転がさらに進行すると、支持プラットフォーム14の平行四辺形ガイドが「開き」始める。連結部材18は、長手桁部材16と支持構造19に対してもはや平行または鋭角ではなく、それらとより大きい角度を形成する。このプロセスと結びついて、保持構造19が長手桁部材16から垂直方向に離れる。この位置においても、車両ボディ3はまだ浸漬槽2内へ完全には埋没していない。
【0028】
そして、回転運動が続行された場合に、180°の回転角度が達成され、それが図5と6に示されている。この回転位置において、連結部材18は、長手桁部材16に対しても保持構造19に対しても垂直に延びている。保持構造19は、長手桁部材16からできる限り大きな距離を有している。平行四辺形ガイドは、矩形の形状を有する。車両ボディ3は、完全に埋没しており、かつ「仰向け」になっている。
【0029】
これらすべてのプロセス(もちろん、動力で実施される回転運度を別にして)は、ただ重力の影響を受けて行われ、従って付加的な駆動装置を必要としない。もちろん、ブレーキまたは緩衝機構を設けることを推奨することができ、その影響の下で平行四辺形ガイドが「開かれる」。
【0030】
移送キャリッジ5がさらに移動方向8へ走行し、その場合に支持プラットフォーム14の往復する揺動運動も可能である。浸漬槽2の、移送方向後方の端部において、車両ボディ3は再び、たとえば逆の回転方向に、180°回転することによって、浸漬槽2から引き出される。長手桁部材16、連結部材18および保持構造19によって形成される平行四辺形ガイドは、再び「折り畳まれる」;車両ボディ3は、移送キャリッジ5上で再び図2に示す移送位置をとり、その後搬出することができる。
【0031】
コンベアシステム4の端部において、車両ボディ3が固定用部材22と共に移送キャリッジ5から取り出される。今や空になった移送キャリッジ5を復帰移送するために、支持プラットフォーム14が回転軸15によって、図7に示すように、垂直にされる。その後、支持プラットフォーム14全体、回転軸15および保持部材13が、垂直の軸線を中心に移送キャリッジ5の桁体12に対して回動されるので、従って回転軸15は駆動レール6に対して、その下方において、実質的に平行になる。その場合に、移送キャリッジ5全体は、移動方向に見て(図8を参照)、極めて細い寸法を有する。従って、空の移送キャリッジ5を積み卸しステーションから積み込みステーションへ復帰移送するために必要となる要求スペースは、極めて小さい。
【0032】
上で説明した実施例において、2つの平行四辺形ガイドは、支持プラットフォーム14の長手桁部材16、連結部材18および保持構造19によって形成されている。車両ボディ3が固定されている固定用部材22は、そこではそれ自体堅固な形成物である。しかし、この平行四辺形ガイドの形成に、支持プラットフォーム14の代わりに固定用部材を取り入れることも、可能である。これが図式的に図9に示されている。図9のコンポーネントが図5のそれに相当する限りにおいて、それらは同一の参照符号に100を加えて示されている。
【0033】
固定用部材122は、ベース架台123を有している。保持構造119は、第1の実施例の保持構造19と同様に、長手桁部材16と結合されており、リンク的に取り付けられた連結部材118を介して固定用部材122のベース架台123と結合されている。この保持構造119に車両ボディ103が固定されている。その後、支持プラットフォーム114が回動する場合に、固定用部材122のベース架台123から車両ボディ103を支持する保持構造119が立ち上がり、それによって同様に、支持プラットフォーム114の回転軸115と車両ボディ103との間に付加的な垂直の距離が獲得されて、それによって車両ボディ103の沈降が可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9