特許第6386405号(P6386405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

特許6386405インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法
<>
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000002
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000003
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000004
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000005
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000006
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000007
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000008
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000009
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000010
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000011
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000012
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000013
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000014
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000015
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000016
  • 特許6386405-インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386405
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20180827BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B41J2/14 611
   B41J2/14 303
   B41J2/16 507
   B41J2/16 509
   B41J2/16 517
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-66034(P2015-66034)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185634(P2016-185634A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】外山 晃正
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−230608(JP,A)
【文献】 特開2007−230211(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0048452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータが配置されるベース基板と、
前記ベース基板上に形成され、前記アクチュエータの電極と接続される配線パターンと、
前記ベース基板上に形成され、前記配線パターンと接続される抜きパターン状の電解メッキ用電極パターンと、を備える、
インクジェットヘッド基板。
【請求項2】
前記抜きパターンは、ストライプ状に電極が抜かれたストライプパターン、若しくはドット状に電極が抜かれたドットパターンである、
請求項1に記載のインクジェットヘッド基板。
【請求項3】
前記抜きパターンは、メッシュパターンであり、
前記抜きパターンを構成するメッシュのラインの幅は、前記配線パターンの最も幅の大きなラインの幅以下である、
請求項1に記載のインクジェットヘッド基板。
【請求項4】
アクチュエータの電極と接続される配線パターンと、前記配線パターンと接続される電解メッキ用電極パターンと、を形成するためのポジ型のレジストパターンを、金属膜が一様に形成されたベース基板の前記金属膜上に形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンが形成された前記金属膜をエッチングするエッチング工程と、
剥離液を使って前記レジストパターンを前記金属膜上から剥離する剥離工程と、
前記電解メッキ用電極パターンから前記配線パターンに電流を流すことにより、前記配線パターンにメッキを施すメッキ工程と、を有し、
前記レジストパターン形成工程では、前記電解メッキ用電極パターンが抜きパターンとなるように前記金属膜上に前記レジストパターンを形成する、
インクジェットヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、インクジェットヘッド基板及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクの循環経路に設けられた圧力室に圧力を加えることにより、ノズル孔からインクを吐出するインクジェットヘッドが知られている。この種のインクジェットヘッドは、圧力室に圧力を加えるアクチュエータ(圧力室壁)が配置されるインクジェットヘッド基板を備える。インクジェットヘッド基板には、アクチュエータとアクチュエータを駆動する駆動回路を接続する配線パターンが形成される。
【0003】
配線パターンは電気伝導性向上のため、配線パターンにメッキを施すことがある。インクジェットヘッド基板には、配線パターンに加えて、電解メッキ用の電極パターンも設けられる。
【0004】
電極パターンは、通常、エッチングにより形成される。エッチングにより電極パターンを形成する場合、エッチング後に、剥離液を使って電極パターン表面からレジストパターンを剥離する必要がある。
【0005】
電解メッキ用の電極パターンは、端子を接続しやすいように、ベタパターンである場合が多い。多くの場合、電解メッキ用の電極パターンは、配線パターンより密度が高い。密度の高い電極パターンは、剥離液の浸透に時間がかかるため、レジストパターンの剥離に多くの時間を要する。製造時間の増加は、インクジェットヘッドの製造コストを上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−83766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、インクジェットヘッド基板、インクジェットヘッド、及びプリンタの製造コストを低くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のインクジェットヘッド基板は、アクチュエータが配置されるベース基板と、前記ベース基板上に形成され、前記アクチュエータの電極と接続される配線パターンと、前記ベース基板上に形成され、前記配線パターンと接続される抜きパターン状の電解メッキ用電極パターンと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のインクジェットヘッドの斜視図である。
図2】インクジェットヘッドの展開斜視図である。
図3】(A)インクジェットヘッド基板の平面図、(B)はインクジェットヘッド基板の部分拡大図である。
図4】駆動ユニットの部分拡大図である。
図5】(A)は変形前のアクチュエータを示す図、(B)は変形後のアクチュエータを示す図である。
図6】電解メッキ用電極パターンの部分拡大図である。
図7】(A)はノズルプレートが取り除かれたインクジェットヘッドの斜視図、(B)はノズルプレートが取り除かれたインクジェットヘッドの平面図である。
図8】インクジェットヘッドの断面図である。
図9】インクジェットヘッドの製造方法を示すフローチャートである。
図10】電解メッキ用電極パターン形成部分が切断されたインクジェットヘッドの斜視図である。
図11】電解メッキ用電極パターン形成部分が切断されたインクジェットヘッド基板の平面図である。
図12】電解メッキ用電極パターンがベタパターンとなったインクジェットヘッド基板の平面図である。
図13】電解メッキ用電極パターンの変形例を示す図である。
図14】電解メッキ用電極パターンの変形例を示す図である。
図15】インクジェットヘッド基板の変形例を示す図である。
図16】本実施形態のインクジェットヘッドを備えるプリンタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、本実施形態のインクジェットヘッド10を示す斜視図である。本実施形態のインクジェットヘッド10は、シェアモードシェアードウォールのサイドシュータ型のインクジェットヘッドである。なお、以下の説明には、X軸、Y軸、Z軸からなる直交座標系を用いる。図中、矢印の指し示す方向がプラス方向である。以下の説明では、Z軸プラス方向を上方、その反対方向を下方とする。
【0012】
図2は、インクジェットヘッド10の展開斜視図である。インクジェットヘッド10は、インクジェットヘッド基板20と、フレーム30と、ノズルプレート40と、を備える。
【0013】
図3(A)は、インクジェットヘッド基板20の平面図である。インクジェットヘッド基板20は、ベース基板21と、ベース基板21上に配置された2つの駆動ユニット50(駆動ユニット50及び駆動ユニット50)と、を備える。
【0014】
ベース基板21は、アクチュエータを配置するための基板である。本実施形態では、アクチュエータは、駆動ユニット50の一部であり、駆動ユニット50を介してベース基板21に配置されている。ベース基板21は、X軸方向を長手方向とする長方形の板状体である。ベース基板21は、例えば、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、チタン酸バリウム(BaTiO)等のセラミックから構成される。
【0015】
ベース基板21のY軸方向中央部には、X軸方向に沿って一列に複数の開口22が形成されている。また、開口22のY軸マイナス方向側には、X軸方向に沿って一列に複数の開口23が形成されている。また、開口22のY軸プラス方向側には、X軸方向に沿って一列に複数の開口23が形成されている。本実施形態の場合、開口22の内径は、開口23(開口23及び開口23)の内径よりもやや大きい。開口22及び開口23には、インクの循環系が接続される。開口22は、インクの吸入口として機能し、開口23は、インクの排出口として機能する。
【0016】
ベース基板21の上面には、2つの駆動ユニット50(駆動ユニット50及び駆動ユニット50)が配置されている。駆動ユニット50は、開口22と開口23の間に配置されており、駆動ユニット50は、開口22と開口23の間に配置されている。
【0017】
図4は、駆動ユニット50の部分拡大図である。駆動ユニット50は、ベース基板21の上面に接着されるベース材51と、ベース材51に支持される複数の圧電体52と、電極パターン53と、から構成される。
【0018】
ベース材51は、X軸方向を長手方向とする細長の部材である。ベース材51は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料から構成される。ベース材51の上面には、上方に突出する突出部51aが形成されている。突出部51aは、X軸に沿って等間隔に形成されている。ベース材51の下面は、ベース基板21の上面に接着されている。
【0019】
圧電体52は、ZY断面が台形の圧電部材である。圧電体52は、圧電材料で構成される。例えば、圧電体52は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするピエゾ素子から構成される。圧電体52の下面は、突出部51aの上面に接着されている。
【0020】
圧電体52と突出部51aは、アクチュエータ(圧力室壁)50aの一部である。アクチュエータ50aは、圧電体52と、突出部51aと、電極53aと、で構成される。電極53aは、電極パターン53の一部であり、圧電体52及び突出部51aのX軸方向両面(以下、電極面という。)に配置されている。アクチュエータ50aは、電極面が対向するように、X軸方向に一列に配置されている。上述したように、圧電体52と突出部51aは、ともに圧電材料で構成されている。圧電体52と突出部51aの分極方向はZ軸に平行であり、圧電体52の極性と突出部51aの極性は逆になっている。
【0021】
本実施形態の場合、アクチュエータ50aとアクチュエータ50aの間が圧力室Sとなっている。各圧力室Sの内壁面には、電極パターン53が形成されている。電極パターン53は、ニッケル膜等の金属膜から構成される。電極パターン53の表面は、金メッキ等のメッキが施されている。電極パターン53の一部は、ベース基板21まで延伸している。延伸部分の端部は、ベース基板21上に形成された配線パターン24と接続されている。電極パターン53には、配線パターン24を介して、不図示の駆動回路(例えば、ドライバIC)が接続される。
【0022】
1つの圧力室Sには1つの電極パターン53が配置される。各電極パターン53に選択的に電圧を印加することで、図5(A)に示されるように直線状になっているアクチュエータ50aを、図5(B)に示されるように屈曲させることができる。圧力室壁aが屈曲すると、圧力室S内の圧力が高まり、ノズル孔41からインクが吐出される。なお、上記した駆動ユニット50の構成は、あくまで一例である。駆動ユニット50は、既知の様々な構成とすることができる
ベース基板21の上面には、図3(A)に示すように、配線パターン24(配線パターン24、及び配線パターン24)と、電解メッキ用電極パターン25(電解メッキ用電極パターン25、及び電解メッキ用電極パターン25)と、が形成される。
【0023】
配線パターン24は、アクチュエータ50aと、アクチュエータ50aを駆動する不図示の駆動回路(例えば、ドライバIC)と、を接続するための電極パターンである。配線パターン24は、ニッケル膜等の金属膜から構成される。配線パターン24の表面は、金メッキ等のメッキが施されている。1つの圧力室Sには、1つの配線パターン24が配置される。図3(B)に示すように、配線パターン24の一端は電極パターン53に接続され、他端は電解メッキ用電極パターン25に接続される。
【0024】
電解メッキ用電極パターン25は、配線パターン24及び電極パターン53に電解メッキを施す際に、配線パターン24及び電極パターン53に電流を供給するために使用する電極パターンである。電解メッキ用電極パターン25は、図3(A)に示すように、ベース基板21上面のY軸方向両端に配置される。なお、本実施形態では、電解メッキ用電極パターン25は、図3(B)に示すように、抜きパターンとなっている。抜きパターンとは、非電極領域がパターン中に一様に配置されたパターンのことである。
【0025】
図6は、電解メッキ用電極パターン25の拡大図である。本実施形態では、電解メッキ用電極パターン25は、メッシュパターンとなっている。メッシュパターンとは、メッシュ状に電極が配置されたパターンである。言い換えると、メッシュパターンとは、ドット状の非電極領域(以下、抜き領域Bという)が電極中にマトリクス状に配置されたパターンのことである。電解メッキ用電極パターン25は、非電極領域から電極の最深部Pまでの距離dが予め設定された距離以下となるよう構成される。最深部Pとは、電解メッキ用電極パターン25の電極領域のうち、非電極領域(もしくは基板端辺)までの最短距離が最も大きい箇所(点)である。一例として、距離dは、100μm〜3mmである。
【0026】
本実施形態では、電解メッキ用電極パターン25を構成するメッシュの縦、横の導電体のライン(以下、単にラインという。)の幅W1、W2は、配線パターン24の最も幅の大きなラインの幅W3と等しくなっている。配線パターン24上のレジストパターンが剥離される時間と、電解メッキ用電極パターン25上のレジストパターンが剥離される時間との間に大きな差は生じない。なお、幅に多少の違いがあっても、同じ幅とみなすことができる。例えば、プラスマイナス10%程度の差であれば、同じ幅とみなすことができる。幅W3を1とした場合、幅W1、W2は、0.9〜1.1である。なお、抜き領域Bの縦、横の幅W4、W5も、幅W3と等しい。例えば、幅W3を1とした場合、幅W4、W5は、0.9〜1.1である。
【0027】
図2に戻り、フレーム30は、長手方向をX軸方向とする枠状体である。フレーム30は、例えば、セラミックから構成される。フレーム30の大きさは、ベース基板21よりも一回り小さな大きさである。
【0028】
フレーム30は、図7(A)に示されるように、ベース基板21の上面に接着される。フレーム30の中央には、開口31が形成されている。フレーム30は、図7(B)に示されるように、ベース基板21の開口23がフレーム30の開口31の中に位置するよう接着される。
【0029】
図2に戻り、ノズルプレート40は、X軸方向を長手方向とする長方形のシートである。ノズルプレート40は、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムで構成される。ノズルプレート40のXY平面上の大きさは、フレーム30のXY平面上の大きさと同じである。
【0030】
ノズルプレート40には、図2に示されるように、X軸に沿って円形のノズル孔41が等間隔に形成される。また、ノズル孔41のY軸プラス方向側には、X軸に沿って円形のノズル孔41が等間隔に形成される。ノズル孔41(ノズル孔41及び41)の配列ピッチは、アクチュエータ50aのX軸方向の配列ピッチと同じである。
【0031】
ノズルプレート40は、図1に示されるように、フレーム30の上面、及びアクチュエータ50aの上方の端面に接着される。図5(A)を参照するとわかるように、ノズルプレート40がフレーム30に接着されたとき、ノズル孔41は、圧力室Sそれぞれの上方に位置する。
【0032】
図8は、図1に示されるインクジェットヘッド10のA−A線断面図である。インクジェットヘッド基板20、フレーム30、及びノズルプレート40が一体化されたとき、圧力室Sの上方がノズルプレート40によって塞がれた状態になる。開口22及び23と、圧力室Sとの間にインクの流路が形成される。実線矢印で示されるように、開口22から流入したインクは、圧力室Sを通過して、インクジェットヘッド基板20の開口23から流出する。
【0033】
インクが循環しているときに、電極パターン53に選択的に電圧を印加することにより、アクチュエータ50aが、図5(A)に示される状態から、図5(B)に示される状態に変形する。図8の白抜き矢印に示されるように、ノズル孔41からインクが吐出される。
【0034】
次に、インクジェットヘッド10の製造方法について説明する。図9は、インクジェットヘッド10の製造工程を示すフローチャートである。
【0035】
まず、インクジェットヘッド10の製作者(以下、単に製作者という。)は、ベース基板21と同じ素材からなる板状体に機械加工を施すことにより、ベース基板21を成形する(S1)。そして、製作者は、ベース基板21の予め決められた位置に、2つの駆動ユニット50を接着する(S2)。
【0036】
次に、製作者は、フォトリソグラフィー法を使って、ベース基板21及び駆動ユニット50に、配線パターン24、電解メッキ用電極パターン25、及び電極パターン53を形成する。具体的には、以下の工程を実行する。
【0037】
まず、製作者は、ベース基板21及び駆動ユニット50の表面に、金属膜を形成する(S3)。金属膜は、例えば、ニッケル膜である。金属膜を形成する方法は、無電解メッキ法、イオンビームスパッタ法、化学気相成長法、蒸着法、電子ビーム共蒸着法等、既知の様々な方法を使用可能である。
【0038】
次に、製作者は、金属膜の上にポジ型のレジストパターンを形成する(S4)。具体的には、以下の処理を実行する。
【0039】
まず、製作者は、金属膜の表面にレジストを一様に塗布する。そして、製作者は、レジストをプリベークした後、配線パターン24等、基板上に形成される電極パターンの形状に合わせてレジストを露光する。なお、電解メッキ用電極パターン25の形成部分は、抜きパターンが形成されるように露光される。より具体的には、電解メッキ用電極パターン25の形成部分は、メッシュパターンが形成されるように露光される。露光により、金属膜の上には潜像が形成される。その後、製作者は、現像液を使ってレジストを現像する。現像により、潜像が溶けて除去され、金属膜上にレジストパターンが形成される。
【0040】
次に、製作者は、金属膜のレジストパターンで覆われていない部分をエッチングする(S5)。エッチングにより、ベース基板21及び駆動ユニット50には、配線パターン24、電解メッキ用電極パターン25、及び電極パターン53が形成される。
【0041】
次に、製作者は、電極パターンの上に残るレジストパターンを除去する(S6)。レジストパターン除去のとき、製作者は、剥離液を使ってレジストパターンを除去する。剥離液は、既知の様々なフォトレジスト剥離剤を使用可能である。例えば、剥離液は、有機アミンと極性溶剤との混合物である。製作者は、この剥離液の中に、ベース基板21を一定時間浸すことにより、レジストパターンを除去する。電極パターン上からレジストパターンが剥離され、電極が露出する。
【0042】
次に、製作者は、配線パターン24及び電極パターン53に電解メッキを施す(S7)。電解メッキの方法は、既知の様々な方法を使用可能である。例えば、製作者は、ベース基板21をメッキ層となる物質(例えば、金)が溶けた電解液に浸し、配線パターン24及び電極パターン53に電流を供給する。電極パターン53に電流を供給するとき、装置製作者は電解メッキ用電極パターン25から電流を供給する。配線パターン24及び電極パターン53の表面にはメッキ層が形成される。以上の工程を経て、インクジェットヘッド基板20が完成する。
【0043】
次に、製作者は、インクジェットヘッド基板20にフレーム30を接着する(S8)。その後、フレーム30の上面に、ノズルプレート40を接着する(S9)。以上の工程を経て、インクジェットヘッド10が完成する。
【0044】
なお、電解メッキ用電極パターン25は、インクジェットヘッド10がプリンタに実装される際に、インクジェットヘッド基板20からベース基板21ごと切り取られる。例えば図10に示されるような、プリンタ実装用のインクジェットヘッド10が完成する。なお、電解メッキ用電極パターン25は、例えば図11に示されるように、インクジェットヘッド基板20にフレーム30が接着される前に切り取られてもよい。
【0045】
電解メッキ用電極パターン25が図12に示されるようなベタパターンであった場合、剥離液が電解メッキ用電極パターン25の最深部まで浸透するのに多くの時間がかかる。結果として、レジストパターンの剥離に多くの時間がかかる。しかしながら、本実施形態の電解メッキ用電極パターン25は、図6に示されるように抜きパターンとなっている。最深部Pまで剥離液が素早く浸透するので、レジストパターンは短時間で剥離される。その結果、インクジェットヘッド基板20は短時間で製造されるので、インクジェットヘッド基板20、及びインクジェットヘッド基板20を備えるインクジェットヘッド10の製造コストを低くできる。
【0046】
なお、上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、電解メッキ用電極パターン25を構成するメッシュの縦、横のラインの幅W1、W2が、配線パターン24の最も幅の大きなラインの幅W3と同じであるものとして説明したが、幅W1、W2は幅W3と異なっていてもよい。例えば、幅W1、W2は幅W3以下であってもよい。すなわち、幅W1、W2は、幅W3と同じであってもよいし、幅W3より小さくてもよい。幅W1、W2を幅W3以下とすることで、配線パターン24上のレジストパターンが剥離される時間と、電解メッキ用電極パターン25上のレジストパターンが剥離される時間との間に、大きな時間差が生じなくなる。もちろん、幅W1、W2は、幅W3より大きくてもよい。また、幅W1と幅W2は、異なる幅であってもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、抜き領域Bの縦、横の幅W4、W5が、幅W3と等しいものとして説明したが、幅W4、W5は、幅W3と異なっていてもよい。幅W4と幅W5は、異なる幅であってもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、電解メッキ用電極パターン25はメッシュパターンであるものとして説明したが、電解メッキ用電極パターン25は、例えば図13に示されるように、電極中にドット状の抜き領域Bが一様に配置されたドットパターンであってもよい。なお、ドットの形状は、図13に示されるような円形や半円に限られない。ドットの形状は、円形や半円以外の形状、例えば、楕円、多角形であってもよい。なお、メッシュパターンは、四角形のドットがマトリクス状に配置さえたドットパターンとみなすことができる。
【0050】
また、電解メッキ用電極パターン25はドットパターンに限られない。電解メッキ用電極パターン25は、例えば図14に示されるように、電極中にストライプ状の抜き領域Bが一様に配置されたストライプパターンであってもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、インクジェットヘッド基板20は、駆動ユニット50を備えるものとして説明したが、駆動ユニット50を備えていない状態の基板もインクジェットヘッド基板20とみなすことができる。例えば、図15(A)及び図15(B)に示されるように、駆動ユニット50の配置領域(図中の凹部26及び凹部26)に駆動ユニット50が配置されていない状態であっても、インクジェットヘッド基板20とみなすことができる。インクジェットヘッド基板20は、配線パターン24にメッキが施される前の状態であってもよいし、メッキが施された後の状態であってもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、配線パターン24及び電極パターン53にメッキが施された状態の基板をインクジェットヘッド基板20としたが、メッキが施される前の基板もインクジェットヘッド基板20とみなすことができる。
【0053】
また、上述の実施形態では、配線パターン24、電解メッキ用電極パターン25、及び電極パターン53は、ニッケル膜で構成されるものとして説明したが、配線パターン24電解メッキ用電極パターン25、及び電極パターン53の素材はニッケル(Ni)に限られない。例えば、配線パターン24、電解メッキ用電極パターン25、及び電極パターン53は、銅(Cu)等、ニッケル以外の金属から構成されていてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、配線パターン24、及び電極パターン53に、金メッキが施されるものとして説明したが、メッキは金メッキに限られない。配線パターン24、及び電極パターン53に施されるメッキは、銀メッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、スズメッキ、亜鉛メッキ等、金メッキ以外のメッキであってもよい。また、メッキは、黄銅メッキ等の合金メッキであってもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、ノズルプレート40は、樹脂プレートであるものとして説明したが、ノズルプレート40は金属プレートであってもよい。また、ノズルプレート40は、樹脂フィルムに金属膜が積層された積層板であってもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、ベース材51及び圧電体52は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料から構成されるものとして説明したが、ベース材51及び圧電体52を構成する圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛に限られない。例えば、ベース材51及び圧電体52を構成する圧電材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)やチタン酸鉛(PbTiO)等であってもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、ベース基板21及びフレーム30が、セラミックから構成されるものとして説明したが、ベース基板21及びフレーム30の素材はセラミックに限られない。ベース基板21及びフレーム30は、樹脂から構成されていてもよい。また、例えば、表面が絶縁材料によって被覆され、絶縁性が確保されているのであれば、ベース基板21及びフレーム30は、金属から構成されていてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、インクジェットヘッド10は、圧力室Sの深さ方向(Z軸方向)にインクを押し出すサイドシュータ型のインクジェットヘッドであるものとして説明したが、インクジェットヘッド10は、サイドシュータ型のインクジェットヘッドに限られない。例えば、インクジェットヘッド10は、圧力室Sの長手方向(Y軸方向)にインクを押し出すエッジシュータ型のインクジェットヘッドであってもよい。
【0059】
上記実施形態に係るインクジェットヘッド10は一例である。ベース基板21に形成される開口22,22の数、ノズル孔41の数、及びアクチュエータ50aの数は、インクジェットヘッド10の用途や解像度に応じて、適宜、変更可能である。
【0060】
次に、インクジェットヘッドを備えるプリンタ70について説明する。図16は、本実施形態のプリンタ70を示す図である。プリンタ70は、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kを備える。インクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kは、上述で説明した製造方法を使って製造されたインクジェットヘッドである。
【0061】
プリンタ70は、筐体80と、給紙カセット71と、排紙トレイ72と、保持ローラ73と、搬送装置74と、反転装置78と、を備える。保持ローラ73の周りには、上流側から下流側に向かって順番に、保持装置75と、画像形成装置76と、除電剥離装置77と、クリーニング装置79と、が設けられている。また、プリンタ70の内部には、用紙Pの先端位置を検知する用紙位置センサ107と、プリンタ70の内部の温度を検出する温度センサ108と、が設けられている。
【0062】
保持ローラ73は、用紙Pを保持して回転するローラである。保持ローラ73は、回転軸71aと、アルミニウムからなる円筒状の円筒フレーム91と、円筒フレーム91の表面に形成された絶縁層92と、を備えている。円筒フレーム91は、接地されている。
【0063】
搬送装置74は、搬送路A1に沿って用紙Pを搬送する装置である。搬送路A1は、給紙カセット71から保持ローラ73を経由し、排紙トレイ72にわたって形成されている。搬送装置74は、搬送路A1に沿って設けられた複数のガイド部材81〜83と、複数の第1の搬送用ローラと、複数の第2の搬送ローラと、を備える。搬送装置74は、第1の搬送用ローラとして、ピックアップローラ84、給紙ローラ対85、を有している。第1の搬送用ローラにより、用紙Pは、インクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kへ搬送される。また、第2の搬送用ローラとして、レジストローラ対86、分離ローラ対87、搬送ローラ対88、排出ローラ対89を有している。第2の搬送用ローラにより、用紙Pは、プリンタ70の外部へ搬送される。
【0064】
保持装置75は、用紙Pを保持ローラ73の外周面に吸着させる装置である。保持装置75は、押圧装置93と、吸着装置94と、を備える。押圧装置93は、用紙Pを保持ローラ73に押圧する装置である。押圧装置93は、回転軸95cと、保持ローラ73の表面に対向して配置される押圧ローラ95と、押圧ローラ95を駆動する押圧モータと、を備える。押圧ローラ95の外周面は、絶縁層95bで覆われている。吸着装置94は、用紙Pを保持ローラ73に吸着させる装置である。吸着装置94は、帯電ローラ97を備えている。帯電ローラ97は、帯電可能な帯電軸97aと帯電軸97aの外周に形成された表層部97bと、を備える。帯電ローラ97が保持ローラ73に近接した状態で、帯電ローラ97に電力が供給されると、帯電ローラ97と接地された円筒フレーム91との間に電位差が生じる。用紙Pを保持ローラ73に吸着させる方向の静電気力が発生し、用紙Pは、保持ローラ73の表面に吸着する。
【0065】
画像形成装置76は、用紙Pに画像を形成する装置である。画像形成装置76は、保持ローラ73の上方に配置された4つのインクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kを備える。4色のインクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kは、用紙Pにインクを吐出する。用紙Pに画像が形成される。
【0066】
除電剥離装置77は、用紙Pを保持ローラ73から剥離する装置である。除電剥離装置77は、除電装置101と、剥離装置102と、を備える。除電装置101は、用紙Pの除電を行う装置である。除電装置101は、画像形成装置76よりも下流側に設けられ、帯電可能な除電ローラ103を備える。除電装置101は、電荷を供給して用紙Pを除電することで、用紙Pを保持ローラ73から剥離しやすい状態にする。剥離装置102は、除電後に保持ローラ73の表面から用紙Pを剥離する装置である。剥離装置102は、除電装置101の下流側に設けられた分離爪105を備えている。分離爪105は、用紙Pを保持ローラ73の表面から剥離する。
【0067】
反転装置78は、剥離装置102で剥離された用紙Pを反転させる装置である。反転装置78は、例えば用紙Pをスイッチバックさせる反転経路に沿って用紙Pを案内することにより、用紙Pを反転させる。
【0068】
クリーニング装置79は、保持ローラ73をクリーニングする装置である。クリーニング装置79は、クリーニング部材を備える。クリーニング部材が、保持ローラ73の表面に当接した状態で、保持ローラ73が回転することにより、保持ローラ73の表面がクリーニングされる。
【0069】
上述したプリンタ70は、上述で説明した製造方法を使って製造されたインクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kを備えている。インクジェットヘッド10C、10M、10Y、10Kの製造コストは低いので、プリンタ70の製造コストも低くできる。
【0070】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10、10C、10K、10M、10Y…インクジェットヘッド
20…インクジェットヘッド基板
21…ベース基板
24、24、24…配線パターン
25、25、25…電解メッキ用電極パターン
30…フレーム
40…ノズルプレート
50、50、50…駆動ユニット
50a…アクチュエータ
70…プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16