(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持フレームに設けられ、前記係合部材が前記係合位置に移動したときに前記係合部材と接触する位置に配置され、前記フック部が前記コンテナフレームと接触しないように前記係合部材の回転を規制するストッパを備えた、請求項3に記載のコンテナ荷役車両。
前記支持フレームは、後部が前記車台に傾動可能に支持されたダンプフレームと、前記ダンプフレームの前部に回動可能に連結され、前記コンテナと係合可能な荷役アームと、を有し、
前記係合アームの前端は、前記コンテナ本体の車両前後方向の中間位置よりも後方に位置している、請求項3または4に記載のコンテナ荷役車両。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンテナの積み込み、降ろし、および傾動が可能なコンテナ荷役車両が知られている。コンテナ荷役車両はコンテナを支持する支持フレームを備え、支持フレームは、後端部が車台に傾動可能に支持されたダンプフレームと、ダンプフレームの前端部に回動可能に連結された荷役アームとから構成される。また、コンテナ荷役車両は、支持フレームを傾動させるダンプシリンダを備える。ダンプシリンダの前端部は車台前部に連結され、後端部は支持フレームに連結されている。
【0003】
コンテナを傾動させるときには、ダンプシリンダを伸長させる。すると、支持フレームが傾動し、支持フレームに支持されたコンテナも傾動する。
【0004】
ところで、コンテナ荷役車両では、コンテナを車台から降ろすことができるように、コンテナは支持フレームに常時固定されている訳ではなく、支持フレームから離反可能に構成されている。ところが、コンテナの傾動時にコンテナが支持フレームから離反可能になっていると、傾動角度が大きくなったときにコンテナの後部が支持フレームから浮き上がるおそれがある。
【0005】
そこで、従来は、傾動時にコンテナを支持フレームに固縛する油圧式の固縛装置を設け、コンテナの傾動時には固縛装置を駆動し、コンテナをダンプフレームに固縛することとしていた(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、油圧式の固縛装置は高価であり、また、構造が複雑である。そのため、従来のコンテナ荷役車両では、傾動時にコンテナを支持フレームに固縛する固縛装置として油圧式の固縛装置を備えていることにより、コストアップおよび構造の複雑化を招くという課題があった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテナの傾動時にコンテナを支持フレームに固縛する固縛装置として、安価かつ簡易な固縛装置を備えたコンテナ荷役車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンテナ荷役車両は、車台と、車両前後方向に延び、後部が前記車台に傾動可能に支持された支持フレームと、前記支持フレームに支持されるコンテナと、前記車台に連結された前端部と前記支持フレームに連結された後端部とを有し、伸縮することによって前記支持フレームを傾動させるダンプシリンダと、前記支持フレームが傾動したときに前記コンテナを前記支持フレームに固縛する固縛装置と、を備える。前記固縛装置は、前記支持フレームに設けられ、前記コンテナと係合する係合位置と前記コンテナと係合しない非係合位置との間で移動可能な係合手段と、前記係合手段に連結された第1連結部と前記支持フレームに連結された第2連結部とを有し、前記係合手段を前記係合位置に向けて付勢する付勢手段と、前記車台に設けられ、前記支持フレームが水平な状態のときに前記係合手段と接触することによって前記係合手段を前記非係合位置に保つ接触部材と、を有し、前記支持フレームが傾動したときに、前記係合手段が前記接触部材から離反し、前記付勢手段の付勢力により前記係合位置に移動するように構成されている。
【0010】
上記コンテナ荷役車両によれば、支持フレームを傾動させたときに、係合手段が接触部材から離反し、係合手段は付勢手段の付勢力により係合位置に移動する。その結果、コンテナは、支持フレームに設けられた係合手段に係合し、支持フレームに固縛される。よって、コンテナの傾動時にコンテナの後部が支持フレームから浮き上がることが防止される。一方、支持フレームを水平な状態に戻すと、係合手段は接触部材と接触し、接触部材から力を受けることにより、付勢手段の付勢力に抗して係合位置から非係合位置に移動する。その結果、コンテナの固縛が解除される。よって、コンテナを車台から降ろすことが可能となる。このように、上記コンテナ荷役車両によれば、油圧式の固縛装置は不要であり、安価かつ簡易な固縛装置によって、支持フレームの傾動と連動してコンテナの固縛およびその解除を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記係合手段は、前記支持フレームに支持された回動軸と、前記回動軸に回動可能に支持された係合部材とを有する。前記係合部材は、前記コンテナと係合可能なフック部と、前記付勢手段の前記第1連結部に連結された連結部と、前記接触部材と接触可能なカム部と、を有する。前記支持フレームが傾動した状態から水平な状態に移行するときには、前記カム部が前記接触部材に押し上げられることにより前記フック部が前記非係合位置に移動し、前記支持フレームが水平な状態から傾動した状態に移行するときには、前記カム部が前記接触部材から離反し、前記フック部が前記係合位置に移動するように構成されている。
【0012】
上記態様によれば、前記固縛装置を安価かつ簡易に構成することができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記係合手段の前記回動軸は、前記支持フレームと平行に配置されている。前記コンテナは、収容物を収容する箱状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体の下部に設けられた車両前後方向に延びるコンテナフレームと、前記コンテナフレームの側部に車両前後方向に延びるように設けられ、前記係合手段の前記フック部と係合する係合アームと、を有する。
【0014】
このことにより、前記係合部材との係合およびその解除が良好に行われる安価かつ簡易なコンテナを得ることができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記支持フレームに設けられ、前記係合部材が前記係合位置に移動したときに前記係合部材と接触する位置に配置され、前記フック部が前記コンテナフレームと接触しないように前記係合部材の回転を規制するストッパを備えている。
【0016】
上記態様によれば、係合部材が係合位置に移動するときに、フック部がコンテナフレームと接触しないので、コンテナフレームが係合部材によって傷つけられることを防止することができる。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記支持フレームは、後部が前記車台に傾動可能に支持されたダンプフレームと、前記ダンプフレームの前部に回動可能に連結され、前記コンテナと係合可能な荷役アームと、を有する。前記係合アームの前端は、前記コンテナ本体の車両前後方向の中間位置よりも後方に位置している。
【0018】
上記態様によれば、荷役アームがダンプフレームに対して回動することにより、コンテナの積み込みおよび降ろしを行うことができる。係合アームはコンテナ本体の後部に配置されているので、コンテナの積み込みおよび降ろしの際に邪魔になりにくい。上記態様によれば、係合アームの好適な一態様を提供することができる。
【0019】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記支持フレームは、伸縮可能に構成されている。前記コンテナ荷役車両は更に、前記支持フレームに設けられた第1係合部材と、前記コンテナに設けられ、前記支持フレームの伸縮に伴って前記コンテナが前方に移動すると前記第1係合部材と係合し、前記支持フレームの伸縮に伴って前記コンテナが後方に移動すると前記第1係合部材との係合が解除される第2係合部材と、を備える。前記ダンプシリンダは、前記第1係合部材と前記第2係合部材との係合が解除されているときに前記支持フレームを傾動させるように構成されている。
【0020】
上記態様によれば、コンテナ荷役車両の走行時には、コンテナを前方に移動させておくことにより、第1係合部材および第2係合部材によってコンテナを固縛することができる。よって、走行時にコンテナが浮き上がることを防止することができる。一方、支持フレームを傾動させるときには、第1係合部材および第2係合部材の係合が解除されているので、前記固縛装置がなければコンテナの後部が浮き上がるおそれがある。そのため、前記固縛装置の必要性が高く、前述の効果が顕著に発揮される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンテナの傾動時にコンテナを支持フレームに固縛する固縛装置として、安価かつ簡易な固縛装置を備えたコンテナ荷役車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1を示している。コンテナ荷役車両1は、コンテナ2の傾動、積み込み、および降ろし動作を行う荷役装置3を備えている。
図1の仮想線は、コンテナ2を積み込む際および降ろす際のコンテナ荷役車両1の動作を表している。
【0025】
(コンテナ荷役車両の構成)
コンテナ荷役車両1は、それぞれ車両前後方向に延びる左右一対の車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部の上に配置されたキャブ12とを備えている。以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、キャブ12内の乗員(図示せず)から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ言うものとする。左右の車体フレーム11の上には、それぞれ左右のサブシャーシ13が配置されている。各サブシャーシ13は前後方向に延びている。
図2に示すように、左右のサブシャーシ13の前端部は、前クロスメンバ15により連結されている。左右のサブシャーシ13の後端部は、後クロスメンバ17により連結されている。車体フレーム11、サブシャーシ13、前クロスメンバ15、および後クロスメンバ17は、「車台」を構成している。
【0026】
コンテナ2は、左右のサブシャーシ13に支持される。
図3に示すように、コンテナ2は、収容物を収容する箱状のコンテナ本体2mと、コンテナ本体2mの下部に設けられた前後方向に延びるコンテナフレーム2kとを有している。本実施形態では、コンテナ本体2mは、前後方向の長さが左右方向の長さおよび上下方向の長さよりも長い直方体形状に形成されている。ただし、ここで説明するコンテナ2の形状は一例に過ぎず、本発明に係るコンテナの形状は特に限定されない。コンテナ本体2mの前壁2fの上部には、後述する荷役アーム34のフック38cに係合可能な係合ピン22が設けられている。図示は省略するが、コンテナ本体2mの後壁2bの上端部は、車幅方向に延びる軸に回動可能に支持されている。なお、車幅方向は左右方向と同義である。コンテナ本体2mの後端部には開口(図示せず)が形成されており、後壁2bが上記軸の周りに回動することにより、上記開口が開閉される。
【0027】
(荷役装置)
図2に示すように、荷役装置3は、左右一対のダンプフレーム30と、荷役アーム34とを備えている。ダンプフレーム30および荷役アーム34は、支持フレーム10を構成している。荷役装置3は、更に、左右一対のダンプシリンダ35と、伸縮シリンダ39とを備えている。
【0028】
サブシャーシ13の後端部には、車幅方向に延びる回動軸31が設けられている。ダンプフレーム30の後端部は、回動軸31に回動自在に取り付けられている。よって、ダンプフレーム30の後端部は、回動軸31を介してサブシャーシ13に傾動可能に支持されている。ダンプフレーム30は、サブシャーシ13に対して傾動可能となっている。ダンプフレーム30の前部には、車幅方向に延びる回動軸32が設けられている。なお、本明細書において、部材の前部とは、当該部材の前後方向の中間位置よりも前方の部分をいい、部材の後部とは、当該部材の前後方向の中間位置よりも後方の部分をいう。
【0029】
荷役アーム34は、回動アーム37と、回動アーム37にスライド自在に連結されたフックアーム38とを備えている。フックアーム38がスライドすることにより、荷役アーム34は伸縮する。よって、支持フレーム10は伸縮可能に構成されている。回動アーム37の後部は、回動軸32を介してダンプフレーム30の前部に連結されている。回動アーム37は、回動軸32に回動可能に支持されており、ダンプフレーム30に対して回動可能となっている。
図3に示すように、フックアーム38は、側方から見てL型に形成されている。フックアーム38の根元部は、回動アーム37の内部にスライド可能に挿入されている。フックアーム38の先端部には、フック38cが設けられている。
【0030】
なお、図示は省略するが、荷役装置3は、荷役アーム34がダンプフレーム30に対して回動しないように荷役アーム34をダンプフレーム30に固縛する荷役アーム固縛装置を備えている。荷役アーム固縛装置の構成は何ら限定されず、従来から周知の各種の荷役アーム固縛装置を用いることができる。荷役アーム固縛装置の構成は周知であるので、ここではその説明は省略する。
【0031】
図2に示すように、回動アーム37およびフックアーム38の内部には、前後方向に延びる伸縮シリンダ39が配置されている。伸縮シリンダ39の前端部は、フックアーム38に形成されたピン38pに回動自在に連結されている。伸縮シリンダ39の後端部は、回動アーム37に形成されたピン37pに回動自在に支持されている。本実施形態では、伸縮シリンダ39は油圧シリンダにより構成されているが、特に限定される訳ではない。伸縮シリンダ39が収縮すると、フックアーム38が回動アーム37に対し後方にスライドし、支持フレーム10は収縮する。伸縮シリンダ39が伸長すると、フックアーム38が回動アーム37に対し前方にスライドし、支持フレーム10は伸長する。
【0032】
ダンプシリンダ35は、荷役アーム34の左側および右側にそれぞれ設けられている。本実施形態では、ダンプシリンダ35は油圧シリンダにより構成されている。しかし、ダンプシリンダ35は油圧シリンダに限らず、エアシリンダ、電動式のアクチュエータ等により構成されていてもよい。ダンプシリンダ35の前端部は、車台に連結されている。本実施形態では、前クロスメンバ15上にピン15pが設けられており、ダンプシリンダ35の前端部は、前クロスメンバ15のピン15pに回動自在に連結されている。ダンプシリンダ35の後端部は、支持フレーム10に連結されている。本実施形態では、ダンプシリンダ35の後端部は、回動アーム37のブラケット37bに設けられたピン33に回動自在に連結されている。ダンプシリンダ35の後端部は、ピン33を介して回動アーム37に回動自在に支持されている。
【0033】
サブシャーシ13の後端部には、案内ローラ16が設けられている。案内ローラ16は、コンテナ2を積み込む際およびコンテナ2を降ろす際に、コンテナ2を前後方向へ案内するローラである。
【0034】
(コンテナ固縛装置)
荷役装置3は、走行時にコンテナ2が跳ね上がることを防止するコンテナ固縛装置50(
図3参照)を備えている。次に、コンテナ固縛装置50について説明する。
【0035】
図3に示すように、回動アーム30には第1係合部材51が設けられている。本実施形態では、第1係合部材51は門型に形成されており、回動アーム30から上方に突出している。すなわち、第1係合部材51は、回動アーム30から上方に延びる左板および右板と、それら左板と右板とに架け渡された天板とを有している。コンテナ2の底壁2aには、左右一対の第2係合部材52が設けられている。第2係合部材52は、底壁2aからいったん下方に延びてから前方に突出する形状に形成されている。第2係合部材52は第1係合部材51の内側に挿入可能に形成されており、第1係合部材51と係合可能である。
【0036】
コンテナ2を積み込む際に、コンテナ2は支持フレーム10の荷役アーム34により前方に引っ張られる。コンテナ2が前方に移動すると、コンテナ2の第2係合部材52が第1係合部材51の内側に挿入され、第1係合部材51と第2係合部材52とが係合する。これにより、コンテナ2が支持フレーム10に固縛され、走行時にコンテナ2が跳ね上がることが防止される。
【0037】
なお、上記の第1係合部材51および第2係合部材52の形状は一例に過ぎない。第1係合部材51および第2係合部材52は互いに係合可能であれば足り、その形状は特に限定される訳ではない。
【0038】
コンテナ2内の収容物を排出する際には、コンテナ2が傾けられ、後壁2bが開かれる。本実施形態では、コンテナ2から排出される収容物がリアバンパ53に引っ掛からないように、コンテナ2を傾動する前に、
図4に示すようにコンテナ2を後方に移動させる。ところが、コンテナ2を後方に移動させると、上述の第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除される。そのため、コンテナ2の傾動時に、コンテナ固縛装置50による固縛が解除されているので、傾動角度が大きくなるとコンテナ2の後部が支持フレーム10から浮き上がるおそれがある。そこで、本実施形態では、コンテナ2の傾動時にコンテナ2の後部が浮き上がることを防止する傾動時コンテナ固縛装置60を備えている。
【0039】
(傾動時コンテナ固縛装置)
傾動時コンテナ固縛装置60は、コンテナ2の傾動時にコンテナ2を支持フレーム10に固縛し、非傾動時にコンテナ2の固縛を解除するように構成されている。また、傾動時コンテナ固縛装置60は、上記固縛およびその解除を、油圧アクチュエータ等の駆動装置を用いることなく実行可能に構成されている。
【0040】
本実施形態では、傾動時コンテナ固縛装置60は左右に一対設けられている。しかし、傾動時コンテナ固縛装置60は少なくとも一つ設けられていればよく、その個数は何ら限定されない。左右の傾動時コンテナ固縛装置60は、互いに左右対称形状に形成されている。以下では、
図6〜
図9を参照しながら、左の傾動時コンテナ固縛装置60について説明し、右の傾動時コンテナ固縛装置60の説明は省略する。
【0041】
図6および
図7は傾動時コンテナ固縛装置60を車両後方から見た図であり、
図6は
図4のVI−VI線断面、
図7は
図5のVII−VII線断面に対応する。
図6に示すように、コンテナフレーム2kの側部には、車両前後方向に延びる係合アーム2sが設けられている。係合アーム2sは、コンテナフレーム2kの左側に設けられている。言い換えると、係合アーム2sは、コンテナフレーム2kの車幅方向の外側に設けられている。
図3に示すように、係合アーム2sの前端2saは、コンテナ本体2mの車両前後方向の中間位置よりも後方に位置している。このように係合アーム2sは比較的後方に配置されているので、コンテナ2を積み込む際および降ろす際(
図1参照)に、係合アーム2sは邪魔になりにくい。
【0042】
図8は、傾動時コンテナ固縛装置60の平面図である。
図8に示すように、回動アーム30には、車幅方向の外方に延びるコンテナガイド70が固定されている。なお、コンテナガイド70は支持フレーム10の一部である。
図6および
図7に示すように、コンテナガイド70は、車幅方向の外方に延びる水平部70aと、水平部70aの先端から上方に延びる垂直部70bとを有している。垂直部70bは、係合アーム2sよりも車幅方向の外方に配置されており、係合アーム2sが車幅方向の外方に移動することを規制する。コンテナガイド70は、コンテナ2を積み込む際または降ろす際にコンテナ2が車幅方向の外方にずれることを防止し、コンテナ2を車両前後方向に案内する役割を果たす。
【0043】
傾動時コンテナ固縛装置60は、係合アーム2sと係合可能な係合部材65と、ばね68と、板からなる接触部材69とを備えている。係合部材65は、支持フレーム10(詳しくは、コンテナガイド70)に支持されており、係合アーム2sと係合する係合位置(
図7参照)と、係合アーム2sと係合しない非係合位置(
図6参照)との間で移動可能に構成されている。ばね68は、係合部材65に連結された第1連結部68aと、コンテナガイド70に連結された第2連結部68bとを有しており、係合部材65を係合位置に向けて付勢している。本実施形態では、ばね65は引張りばねであり、係合部材65を常時引っ張るように構成されている。ただし、ばね65は圧縮ばねであってもよい。ばね65はコイルスプリングに限らず、トーションばね等の他の種類のばねであってもよい。接触部材69は、サブシャーシ13の上に固定されている。
【0044】
係合部材65は、係合アーム2sよりも車幅方向の外側に配置されたフック部61と、フック部61をコンテナガイド70に回動可能に支持する回動軸62と、ばね68の第1連結部68aが連結された連結部63と、接触部材69と接触可能なカム部64とを有している。回動軸62は支持フレーム10(詳しくはダンプフレーム30)と平行に配置されている。回動軸62は、支持フレーム10が傾動していないとき、すなわち水平な状態のときには、前後方向に延びるように配置されている。回動軸62は、フック部61を左右に回動可能に支持している。連結部63およびカム部64は、回動軸62よりも車幅方向の内側に配置されている。連結部63はカム部64の上側に配置されている。
【0045】
図7に示すように、コンテナガイド70には、係合部材65の回動を規制するストッパ67が設けられている。ストッパ67は、係合部材65が係合位置に移動したときに係合部材65と接触する位置に配置されている。係合部材65がばね68の力により
図6中の時計回りに回動するときに、係合部材65はストッパ67に接触し、その回動が停止する。
図7に示すように、フック部61はコンテナフレーム2kと接触しないようになっている。そのため、係合部材65がコンテナフレーム2kに勢いよく衝突することを防止することができ、コンテナフレーム2kが係合部材65によって傷つけられることを防止することができる。
【0046】
(コンテナ荷役車両の傾動動作)
次に、コンテナ荷役車両1の傾動動作について説明する。本実施形態に係るコンテナ荷役車両1では、傾動動作に先立って、伸縮シリンダ39(
図2参照)を収縮させることにより、荷役アーム34を後方にスライドさせる。すると、
図4に示すように、コンテナ2が荷役アーム34により後方に押され、後方に移動する。
【0047】
傾動動作では、前述の荷役アーム固縛装置により荷役アーム34がダンプフレーム30に固縛された状態のまま、ダンプシリンダ35を伸長させる。
図5に示すように、ダンプシリンダ35が伸長すると、支持フレーム10すなわち荷役アーム34およびダンプフレーム30は傾動し、その結果、コンテナ2は傾動する。
【0048】
コンテナ2が傾動すると、
図7に示すように、傾動時コンテナ固縛装置60の係合部材65のカム部64は、接触部材69から離反する。すると、係合部材65は、ばね68の力により回動軸62周りに回動し、フック部61がコンテナ2の係合アーム2sと係合する。すなわち、係合部材65は係合位置に移動し、係合アーム2sと係合する。その結果、係合アーム2sの上方への移動が係合部材65によって規制されるので、コンテナ2の後部が支持フレーム10から浮き上がることが防止される。
【0049】
ダンプシリンダ35を収縮させると、支持フレーム10すなわち荷役アーム34およびダンプフレーム30は、傾いた状態から水平な状態に戻る。傾動時コンテナ固縛装置60の係合部材65は下方に移動し、カム部64が接触部材69と接触する。この際、カム部64は接触部材69から上向きの力を受ける。その結果、
図6に示すように、係合部材65はばね68の付勢力に抗して回動軸62周りに回動し、フック部61と係合アーム2sとの係合が解除される。
【0050】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1によれば、支持フレーム10を傾動させたときに、係合部材65が接触部材69から離反し、係合部材65はばね68の付勢力により係合位置に移動する。その結果、コンテナ2は、支持フレーム10に設けられた係合部材65に係合し、支持フレーム10に固縛される。よって、コンテナ2の傾動時にコンテナ2の後部が支持フレーム10から浮き上がることが防止される。一方、支持フレーム10を水平な状態に戻すと、係合部材65は接触部材69と接触し、接触部材69から力を受けることにより、ばね68の付勢力に抗して係合位置から非係合位置に移動する。その結果、コンテナ2の固縛が解除される。よって、コンテナ2を車台から降ろすことが可能となる。このように、本実施形態に係るコンテナ荷役車両1によれば、コンテナ2の傾動時にコンテナ2を固縛する油圧式の固縛装置は不要であり、安価かつ簡易な固縛装置60によって、支持フレーム10の傾動と連動してコンテナ2の固縛およびその解除を自動的に行うことができる。
【0051】
(変形例)
上記コンテナ荷役車両1は本発明の実施の一形態に過ぎず、本発明は他に種々の形態にて実施することができる。
【0052】
図6に示すように、前記実施形態では、係合アーム2sはコンテナフレーム2kの車幅方向の外側に設けられ、係合部材65のフック部61は係合アーム2sの車幅方向の外方に配置されていた。しかし、係合アーム2sをコンテナフレーム2kの車幅方向の内側に設け、係合部材65のフック部61を係合アーム2sの車幅方向の中央側に配置してもよい。
【0053】
コンテナガイド70は必ずしも必要ではなく、省略することが可能である。ばね68の第2連結部68bは、支持フレーム10のうちコンテナガイド70以外の部分に連結されていてもよい。
【0054】
前記実施形態では、接触部材69はサブシャーシ13と別体であったが、接触部材69はサブシャーシ13と一体化されていてもよい。サブシャーシ13の一部が接触部材を構成していてもよい。
【0055】
前記実施形態では、係合部材65は、支持フレーム10が水平な状態のときに前後方向に延びる回動軸62に支持され、左右に回動するように構成されていた。しかし、回動軸62の方向は特に限定されない。例えば、係合部材65は、左右方向に延びる回動軸に支持され、前後に回動するように構成されていてもよい。
【0056】
前記実施形態では、係合部材65のフック部61と係合アーム2sとが係合することにより、係合部材65とコンテナ2とが係合するようになっていた。しかし、係合部材65とコンテナ2との係合の態様は何ら限定されない。係合部材65とコンテナ2とは、係合部材65およびコンテナ2のいずれか一方に形成された凸部と他方に形成された凹部とが係合するように構成されていてもよく、いずれか一方に形成された凸部と他方に形成された孔とが係合するように構成されていてもよい。
【0057】
前記実施形態では、係合部材65を係合位置に向けて付勢する付勢手段は、ばね68であった。しかし、付勢手段は、ばね68以外の弾性体であってもよい。