特許第6386430号(P6386430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386430
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】化粧目地付きパネル及びドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/72 20060101AFI20180827BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20180827BHJP
   E04C 2/42 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   E06B3/72
   E06B3/70 E
   E04C2/42 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-180319(P2015-180319)
(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-57555(P2017-57555A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2016年9月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河合 厚
(72)【発明者】
【氏名】岡田 春香
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−009494(JP,A)
【文献】 特開平11−117492(JP,A)
【文献】 実開平03−130850(JP,U)
【文献】 特開2001−026982(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00260435(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/70、 3/72
E04C 2/42
E04F 13/00−13/18
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の両端部及び長さ方向の両端部に位置する端部芯材と、該端部芯材間に配置されて固定され、幅方向又は長さ方向の中間部に位置する複数本の中間芯材とを有する構成芯材と、
上記構成芯材の表裏面の少なくとも一方に固定された複数枚の化粧パネル材とを備え、
上記各化粧パネル材は、板状の基材と、該基材の表面に貼り付けられた表面シートとを有しており、
上記隣り合う化粧パネル材は、上記中間芯材の位置で隙間を空けた状態で構成芯材に固定されていて、該隙間により中間芯材を目地底とする目地部が形成され、
上記目地部は、幅が開口側から奥側に向かって広がるように形成されていて、目地側面となる上記化粧パネル材の幅方向側端面が上記目地底に対して傾斜する傾斜面を有しており、
上記目地部の目地底に相当する中間芯材に、該目地底の幅よりも大きい幅の着色されたシート又はテープが幅方向の両側部を上記化粧パネル材と上記中間芯材との間に挟んだ状態で貼着されていて、該シート又はテープにより該目地底に相当する該中間芯材に着色が施されており、
上記傾斜面は、上記化粧パネル材の表面とのなす角度が30°〜60°の範囲で一定の角度となるように上記目地底から上記目地部の開口に亘って連続しており、
上記表面シートの端縁部が上記目地部の開口に位置するように上記基材の表面に貼り付けられかつ該表面シートの端縁部が該基材の端縁部の全体に亘って巻き付けられていない状態において、上記目地側面は、その露出した部分が上記化粧パネル材の裏側に表側から隠蔽されるように構成されていることを特徴とする化粧目地付きパネル。
【請求項2】
請求項1の化粧目地付きパネルからなることを特徴とするドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧目地付きパネル及びその化粧目地付きパネルからなるドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の化粧目地付きパネルとして、特許文献1に示されているように、基材の表面又は表裏面に貼り付けられる表面材を、複数枚の化粧パネル材と、隣り合う化粧パネル材の側端面間に設けられ、凹部等を有する化粧目地材(化粧目地棒)とで構成し、化粧目地材を化粧パネル材の側端面間に、化粧目地材の底面が下側になり側面が化粧パネル材の側端面に当接した状態で介在させたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−9463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1のものでは、隣り合う化粧パネル材間に化粧目地材を介在させて化粧目地付きパネルの目地部を形成するので、その化粧目地材を化粧パネル材間に差し込むだけで済み、化粧パネル材の目地部周りを綺麗に塗装したり、化粧パネル材の表面層をなす化粧シートを目地部内まで綺麗に折り込んだりする必要がなくなる。
【0005】
ところが、その反面、化粧パネル材の他に化粧目地材が別途に必要であり、その分、化粧目地付きパネルのコストが高くなる難がある。
【0006】
しかも、化粧目地材は、接着剤や粘着材等によって基材に貼り付けられているものの、その化粧目地材が外れる可能性は否定できず、その場合には化粧目地付きパネルの外観意匠が大きく損なわれるという不具合が生じる。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、化粧目地付きパネルの目地構造を工夫することにより、化粧目地材を要することなく目地部を形成するようにして、コストダウンを図り、化粧目地材の外れによる意匠性の悪化の不具合をも防止するようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的の達成のため、この発明では、化粧目地付きパネルの隣り合う化粧パネル材をそれらの間に隙間を空けて配置し、その化粧パネル材間の隙間により目地部を形成するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明は化粧目地付きパネルに係り、この化粧目地付きパネルは、幅方向の両端部及び長さ方向の両端部に位置する端部芯材、及びこの端部芯材間に配置されて固定され、幅方向又は長さ方向の中間部に位置する複数本の中間芯材とを有する構成芯材と、この構成芯材の表裏面の少なくとも一方に固定された複数枚の化粧パネル材とを備え、上記隣り合う化粧パネル材は、上記中間芯材の位置で隙間を空けた状態で構成芯材に固定されていて、その隙間により中間芯材を目地底とする目地部が形成され、上記目地部は、幅が開口側から奥側に向かって広がるように形成されており、上記目地部の目地底に相当する中間芯材に、該目地底の幅よりも大きい幅の着色されたシート又はテープが幅方向の両側部を上記化粧パネル材と上記中間芯材との間に挟んだ状態で貼着されていて、該シート又はテープにより該目地底に相当する該中間芯材に着色が施されていることを特徴とする。
【0010】
この第1の発明では、構成芯材に複数枚の化粧パネル材が固定されて化粧目地付きパネルが形成され、それら隣り合う化粧パネル材が構成芯材における中間芯材の位置で隙間を空けた状態で構成芯材に固定され、その隙間により目地部が形成されている。すなわち、目地部は中間芯材を目地底とし、隣り合う化粧パネル材の側端面を目地側面としたものとなる。このことで、化粧パネル材だけで目地部を形成することができて、目地部を形成するための化粧目地材が不要となり、化粧目地付きパネルのコストダウンを図ることができる。
【0011】
また、目地部は、隣り合う化粧パネル材間の隙間によって形成され、目地部に化粧目地材がないので、その化粧目地材が外れるという問題が生じる余地は全くなく、化粧目地付きパネルの外観意匠が損なわれる不具合を確実に解消することができる。また、目地部の幅は開口側で狭く開口側から奥側に向かって広がっているので、目地部は奥広がりの断面形状となり、目地部(化粧パネル材間の隙間)の奥部に陰影ができるのに対し、化粧パネル材の表面は明るく見えるようになり、両者の明るさの差異により目地部に奥行き感が得られる。さらに、目地部の目地底に相当する中間芯材に着色が施されているので、この着色を施すことによって目地部の色柄を容易に変更することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記目地部は、その目地側面となる上記化粧パネル材の幅方向側端面が上記目地底に対して傾斜する傾斜面に形成されかつ該傾斜面が該目地底から該目地部の開口に亘って一定の角度で連続するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記各化粧パネル材は、板状の基材と、該基材の表面に貼り付けられた表面シートと、を有しことを特徴とする。
【0014】
化粧パネル材が基材表面に表面シートを貼り付けたものであって、その表面シートの端縁部が基材の端縁部の全体に亘って巻き付けられていない場合、化粧パネル材の端縁部において表面シートがなくて基材が露出した部分が生じ、この部分が目地部内の側面に位置するが、仮に目地部が奥広がりでない例えば断面V字状、断面U字状、断面矩形状であると、その目地部内において、表面シートがなくて基材が露出した部分が目立つようになる。しかし、この発明では、目地部が奥広がり形状であるので、表面シートがなくて基材が露出した部分は目地部の側面であって化粧パネル材裏側に表側から隠蔽されるように位置することとなる。そのため、表面シートの巻き込みがなくても基材が露出した部分が目立つことはない。
【0015】
第4の発明はドアに係るもので、このドアは、第1〜第3の発明のいずれか1つ化粧目地付きパネルからなることを特徴とする。
【0016】
この第4の発明では、ドアが化粧目地付きパネルからなり、このドアの目地部を形成するための化粧目地材が不要となってドアのコストダウンを図ることができるとともに、化粧目地材が外れてドアの外観意匠が損なわれる不具合をも解消することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によると、構成芯材に複数枚の化粧パネル材を固定した化粧目地付きパネルに対し、隣り合う化粧パネル材を、構成芯材における中間芯材の位置で隙間を空けた状態で構成芯材に固定して、その隙間により中間芯材を目地底とする目地部を形成したことにより、目地部を形成するための化粧目地材が不要となって化粧目地付きパネルのコストダウンを図ることができるとともに、化粧目地材が外れて化粧目地付きパネルの外観意匠が損なわれる不具合をも解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、ドア表面の目地部の拡大断面図である。
図2図2は、図3のII−II線拡大断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る化粧目地付きパネルの正面図である。
図4図4は、化粧目地付きパネルの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0020】
図3及び図4は本発明の実施形態に係る化粧目地付きパネルからなるドアAを示し、このドアAは、建具や家具等のフラッシュ構造のドアを構成している。ドアAは、その内部に矩形枠状の構成芯材1を備えている。この構成芯材1は、ドアAの幅方向(左右方向)の両端部にそれぞれ位置して上下方向に互いに平行に延びる左右1対の縦芯材2,2(縦框)と、両縦芯材2,2の上下端部間に連結固定され、ドアAの高さ方向(長さ方向)の両端部にそれぞれ位置して水平方向に互いに平行に延びる上芯材3及び下芯材4(横桟)とを有し、これらの芯材2〜4は、各々のドア表裏方向の厚さが互いに同じで端部芯材を構成している。
【0021】
上芯材3及び下芯材4の間には上下方向(縦方向)に延びる例えば4本の中間芯材6,6,7,7が連結固定されている。図2にも示すように、4本の中間芯材6,6,7,7のうち、ドアAの幅方向内側(左右中央側)に位置する2本の内側中間芯材6,6はドア表裏方向の厚さが縦芯材2よりも少し小さく、ドアAの幅方向外側に位置する2本の外側中間芯材7,7は同厚さが縦芯材2と同じとなっている。外側中間芯材7の表裏面にはそのドアAの幅方向内側(左右中央側)を部分的に段差状に切り欠いた段差部7aが形成され、この段差部7aでの外側中間芯材7のドア表裏方向の厚さは上記内側中間芯材6の同厚さと同じとなっている。
【0022】
また、図3に示すように、隣り合う中間芯材6,6,7,7の間、及び外側中間芯材7と縦芯材2との間にはそれぞれ水平方向に延びる補強用の横芯材9,9,…が同じ高さ位置になるように連結固定され、この横芯材9,9,…はドアAの高さ方向に間隔を空けて複数段に設けられている。
【0023】
上記縦芯材2と上下芯材3,4との固定、上下芯材3,4と内側及び外側中間芯材6,7との固定、横芯材9の固定はビスや釘等の締結具によって行われている。
【0024】
上記縦芯材2、上下芯材3,4、内側及び外側中間芯材6,7、横芯材9としては、例えば合板、LVL、MDF、PB等が好適に用いられる。
【0025】
図2に示すように、上記構成芯材1の表面(図2で上側の面)には例えば5枚の化粧パネル材12,12,…が、また裏面(同下側の面)には同じ5枚の化粧パネル材12,12,…がそれぞれ接着剤による接着により固定されている。これらの化粧パネル材12,12,…の長さ(高さ)は互いに同じでいずれもドアAの高さとされている。また、表側の5枚の化粧パネル材12,12,…と裏側の5枚の化粧パネル材12,12,…とは表裏方向に対向するように配置されており、この表裏方向に対向する化粧パネル材12,12,…は互いに同じ幅である。化粧パネル材12,12,…の固定構造はドアAの表側及び裏側で同じであり、表側について説明すると(裏側については説明を省略する)、2本の内側中間芯材6,6間には1枚の化粧パネル材12が架け渡されて固定されている。また、この内側中間芯材6と外側中間芯材7の段差部7aとの間には、内側中間芯材6,6間に架け渡された化粧パネル材12と略同じ幅の1枚の化粧パネル材12が架け渡されて固定されている。さらに、外側中間芯材7の段差部7a以外の部分と縦芯材2との間には、内側中間芯材6,6間に架け渡された化粧パネル材12の幅よりも狭い幅の1枚の化粧パネル材12が架け渡されて固定され、この化粧パネル材12のドア幅方向中央側端部は、外側中間芯材7の段差部7a上まで延びていて、内側中間芯材6と外側中間芯材7の段差部7aとの間に架け渡された化粧パネル材12のドア幅方向外側端部上にドアAの表裏方向に重なっている。
【0026】
尚、縦芯材2のドア幅方向外側の端面も縦芯材2の厚さと同じ幅の化粧パネル材13が接着により固定され、この化粧パネル材13の幅方向両端部(ドア表裏方向両端部)と、外側中間芯材7の段差部7a以外の部分及び縦芯材2の間に架け渡された表裏の化粧パネル材12,12のドア幅方向外側端部とは、平面視で断面コ字状となるように面取り部14を介して接続されており、ドアAの幅方向両側部(左右側部)は、これら3枚の断面コ字状の化粧パネル材12,12,13により覆われた形態となっている。
【0027】
化粧パネル材12,13としては、例えば合板、中比重繊維板、パーティクルボード等の基材にオレフィン樹脂シート、塩ビシート、薄葉紙等の表面シート、或いは突板、単板を貼着したもの、アクリル樹脂やABS樹脂等の合成樹脂、アルミニウム、ステンレス鋼、亜鉛引き鋼板等の金属等が好適に用いられる。
【0028】
尚、図4中、16は縦芯材2と外側中間芯材7との間の範囲において上下芯材3,4の表裏面と化粧パネル材12,12との間に形成される空間を閉塞するための閉塞パネル材である。
【0029】
そして、図1に拡大して示すように、2本の内側中間芯材6,6間に架け渡された化粧パネル材12と、内側中間芯材6及び外側中間芯材7の段差部7aの間に架け渡された化粧パネル材12とは、各々の幅方向端部が厚さ方向にずれることなく突き合わされた状態で互いに隣り合っており、両化粧パネル材12,12は、その両化粧パネル材12,12の隣接部分に位置する上記内側中間芯材6の位置において、隙間Sを空けた状態で該内側中間芯材6(構成芯材1)に固定されている。これら両化粧パネル材12,12間の隙間Sにより目地部20が形成され、この目地部20は、内側中間芯材6を目地底20aとし化粧パネル材12の幅方向端面を目地側面20bとしている。
【0030】
上記目地部20は、断面逆V字状の蟻溝形状のもので、幅が開口側で狭く開口側から奥側に向かって広がっている。この目地部20における目地側面20bが化粧パネル材12の表面となす角度θは30°〜60°が好ましい。この角度θが30°よりも小さい(θ<30°)と、目地部20における開口の両側部が薄くなり過ぎ、その強度が弱くなって両側部が折れ易くなる一方、角度θが60°よりも大きい(θ>60°)と、目地部20の陰影感が不十分となる。
【0031】
このような目地部20の目地側面20bとなる化粧パネル材12の幅方向側端面を傾斜面に形成する場合、例えば、(180−2θ)°の切削角度を持つ刃物を有するNC加工機により広幅の化粧パネル材を裏側から切削して幅方向に分割し、その分割された化粧パネル材12の切削面を傾斜面とすればよい。
【0032】
また、図2及び図4に示すように、外側中間芯材7の段差部7a以外の部分と縦芯材2との間に架け渡された表裏の化粧パネル材12,12のドア幅方向内側の端面12aもドアAの厚さ方向(表裏方向)の中央に向かってドア幅方向外側に向かうように傾斜する傾斜面に形成されている。
【0033】
さらに、上記隣り合う化粧パネル材12,12の幅方向側端面間にあって目地部20の目地底20aに相当する中間芯材6には着色が施されている。具体的には、中間芯材6の表裏面上に、所定の色柄に着色された薄厚(例えば0.2mm程度)のタックシート又は木口テープ23(粘着シート)が貼着されている。このタックシート又は木口テープ23は、目地底20aの幅よりも大きい幅の細長いシートであり、その幅方向の中間部が部分的に目地部20の目地底20aに露出し、幅方向の両側部が化粧パネル材12と中間芯材6との間に挟まれるように、中間芯材6上に貼着されている。
【0034】
尚、目地部20の目地底20aに相当する中間芯材6に着色を施す場合、タックシート又は木口テープ23に代えて中間芯材6の外表面上に所定の色柄の着色塗装を施してもよい。
【0035】
したがって、この実施形態においては、ドアA(化粧目地付きパネル)における隣り合う化粧パネル材12,12が構成芯材1における内側中間芯材6の位置で隙間Sを空けた状態で構成芯材1に固定され、その隙間Sにより目地部20が形成されているので、この目地部20は中間芯材6を目地底20aとし、隣り合う化粧パネル材12,12の幅方向側端面を目地側面20bとするものとなる。このことで、化粧パネル材12,12だけで目地部20を形成することができ、目地部20を形成するための化粧目地材が不要となるので、ドアAの製造コストを下げることができる。
【0036】
また、目地部20は、隣り合う化粧パネル材12,12間の隙間Sによって形成され、目地部20に化粧目地材がないので、その化粧目地材が外れるという問題が生じる余地は全くなく、ドアAの外観意匠が損なわれる不具合を確実に解消することができる。
【0037】
また、目地部20は、幅が開口側から奥側に向かって広がっている奥広がりの蟻溝形状(断面逆V字状)であるので、この目地部20(化粧パネル材12,12間の隙間S)の奥部に陰影ができるようになる。一方、化粧パネル材12の表面は明るく見えるので、両者に相対的な明るさの差異が生じ、この差異により目地部20に奥行き感が得られる。
【0038】
さらに、化粧パネル材12が基材の表面に表面シートを貼り付けた構造のものである場合、その表面シートの端縁部が基材の端縁部の全体に亘って巻き付けられていないと、化粧パネル材12の端縁部において表面シートがなくて基材が露出した部分が生じて、この部分が目地部20内の目地側面20bに位置することになる。そして、仮に目地部20が奥広がりでない例えば断面V字状、断面U字状、断面矩形状であると、その目地部20内において、表面シートがなくて基材が露出した部分が目立つようになる。しかし、この実施形態では、目地部20が奥広がり形状であるので、表面シートがなくて基材が露出した部分は目地部20の目地側面20bであって化粧パネル材12裏側に表側から隠蔽されるように位置することとなる。そのため、表面シートの巻き込みがなくても基材が露出した部分が目立つことはなく、綺麗で高品質の目地部20が安定して得られる。
【0039】
また、目地部20の目地底20aに相当する中間芯材6にタックシート又は木口テープ23や塗装により着色が施されているので、この着色によって目地部20の色柄を容易に変更することができる。
【0040】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、複数枚の化粧パネル材12,12,…はドアAの構成芯材1の表裏面の双方に固定されているが、構成芯材1の表裏面のいずれか一方のみに固定されていてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、ドアAの構成芯材1における中間芯材6,6,7,7が上下方向(縦方向)に延びているが、中間芯材6,6,7,7は水平左右方向(横方向)に延びていてもよく、その場合は目地部20が中間芯材6,6,7,7に沿って水平左右方向(横方向)に延びるように形成される。
【0042】
上記実施形態は、本発明の化粧目地付きパネルをドアAに適用した場合であるが、本発明はドアAに限定されず、例えば壁パネル等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、化粧目地付きパネルのコストダウンを図り、その外観意匠が損なわれる不具合をも解消できるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0044】
A ドア(化粧目地付きパネル)
1 構成芯材
2 縦芯材(端部芯材)
3 上芯材(端部芯材)
4 下芯材(端部芯材)
6 内側中間芯材
7 外側中間芯材
12 化粧パネル材
S 隙間
20 目地部
20a 目地底
20b 目地側面
θ 目地側面が化粧パネル材表面となす角度
23 タックシート又は木口テープ
図1
図2
図3
図4