(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ヘッダ集合管には一方向(一側面)側にだけ複数の扁平管が接続されていて、逆の方向(側面)には扁平管は接続されておらず、扁平管が接続されていない部分は扁平管が接続されている部分に比べて歪みが生じやすい。特にヒートポンプ式の空気調和装置に上記熱交換器が使用される場合は、ヘッダ集合管に流れる冷媒の圧力差が大きいため、
図11に示すように、本来は破線で示すようにまっすぐなヘッダ集合管が弓形に変形してしまう。
【0006】
そして、ヘッダ集合管が弓形に変形すると扁平管に強い引っ張り力がかかり、扁平管が変形してしまう。扁平管が変形すると冷媒流路の断面の形状も変形する。具体的には、扁平管の冷媒流路のアスペクト比が変わってしまい、扁平管の耐圧強度が弱くなる。これに対して、扁平管の肉厚を厚くして強度を高めるか、ヘッダ集合管の肉厚を厚くして弓なりの変形を防止すると上記の問題は回避できるものの、熱交換器を軽量化することができなくなり、コストアップの問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の扁平管の端部がヘッダ集合管に接続された熱交換器において、熱交換器の軽量化を実現できる構成を可能にするとともに、ヘッダ集合管の変形を抑えることにより熱交換器自体の強度低下を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の発明者らは、熱交換器において上記の問題を解決するという新規な課題に対して、以下の構成を採用することによりその課題を解決できることを見いだし、本願発明をなし得たものである。
【0009】
第1の発明は、複数の扁平管(63)と、上記複数の扁平管(63)の端部が接続されるヘッダ集合管(80)と、上記ヘッダ集合管(80)の内部に接合され、該ヘッダ集合管(80)の内部と外部および該ヘッダ集合管(80)の内部を複数の空間に仕切る複数の仕切部(83,84)とを備えた熱交換器を前提としている。
【0010】
そして、この熱交換器は、上記複数の仕切部(83,84)が、上記ヘッダ集合管(80)の最も端部付近に配置された端部仕切部(83)と、該ヘッダ集合管(80)の両端よりも内側に配置された中間仕切部(84)からなり、該端部仕切部(83)は該中間仕切部(84)よりも剛性が大きい。また、第1の発明では、上記端部仕切部(83)及び中間仕切部(84)は、それぞれが
上記ヘッダ集合管(80)に形成されたスリット(S)に装着される板材により形成され、全体が均一な厚さの仕切板であり、上記端部仕切部(83)は、上記中間仕切部(84)よりも、上記ヘッダ集合管(80)の長さ方向の厚さ寸法が大きい。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記端部仕切部(83)が、上記ヘッダ集合管(80)の両端部付近に配置されることを特徴として
いる。
【0012】
上記
第1,第2の発明では、端部仕切部(83)の剛性が中間仕切部(84)よりも大きいので、端部仕切部(83)の耐圧強度が向上する。したがって、従来であればヘッダ集合管(80)が弓なりに撓んでいたのに対して、ヘッダ集合管(80)が撓まない状態に保持
できる。
【0013】
また、第1の発明では、端部仕切部(83)が中間仕切部(84)よりも厚さ寸法が大きいので、端部仕切部(83)の耐圧強度が向上する。したがって、従来であればヘッダ集合管(80)が弓なりに撓んでいたのに対して、ヘッダ集合管(80)が撓まない状態に保持できる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記中間仕切部(84)が、それぞれ、1枚の板材により構成され、上記端部仕切部(83)は、それぞれ、中間仕切部(84)よりも厚さ寸法が厚くなるように、複数枚の板材が積層されて構成されていることを特徴としている。
【0015】
この
第3の発明では、中間仕切部(84)を1枚の板材で形成するのに対して、端部仕切部(83)を複数枚の板材を積層することにより形成しているので、端部仕切部(83)の耐圧強度が向上する。したがって、従来であればヘッダ集合管(80)が弓なりに撓んでいたのに対して、ヘッダ集合管(80)が撓まない状態に保持できる。
【発明の効果】
【0016】
上記
第1,第2の発明によれば、端部仕切部(83)を中間仕切部(84)よりも厚くしたことにより、ヘッダ集合管(80)が撓まない状態に保持できるから、ヘッダ集合管(80)の両端の扁平管(63)が強い引っ張り力を受けることがなくなり、扁平管(63)の強度が低下するのも抑えられる。具体的には、扁平管(63)の冷媒流路のアスペクト比を維持できるので、扁平管(63)の耐圧強度が低下しない。
【0017】
また、従来であれば、扁平管(63)の肉厚を厚くして強度を高めるか、ヘッダ集合管(80)の肉厚を厚くして弓なりの変形を防止すると上記の問題は回避できるものの、熱交換器を軽量化することができなくなり、コストアップの問題が生じてしまうのに対して、本発明によれば端部仕切部(83)を厚くすればよいだけであるため、強度の維持と軽量化を同時に実現してコストアップの問題も防止でき、上記の新規な課題を解決できる。
【0018】
また、第1の発明によれば、端部仕切部(83)を中間仕切部(84)の板材の厚さを変えるだけで、第1から第3の発明の効果を簡単な構成で達成できる。
【0019】
上記
第3の発明によれば、端部仕切部(83)を中間仕切部(84)に同じ厚さの板材を用い、端部仕切部(83)を複数の板材を積層するだけで、第1から第3の発明の効果をより簡単な構成で達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
《発明の実施形態》
この実施形態は、空気調和装置(1)の熱交換ユニット(U)に冷媒分流器(70)を適用したものである。
【0023】
〈空気調和装置の基本構成〉
図1は、本発明に係る
熱交換器を有する空気調和装置(1)の概略構成図である。この空気調和装置(1)は本発明の熱交換器が適用される冷凍装置(庫内の冷凍冷蔵や室内の空調を行う広義の冷凍装置)の一例である。
【0024】
空気調和装置(1)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置(1)は、主として、室外ユニット(2)と、室内ユニット(4)とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット(2)と室内ユニット(4)とは、液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6)を介して接続されている。すなわち、空気調和装置(1)の蒸気圧縮式の冷媒回路(10)は、室外ユニット(2)と、室内ユニット(4)とが冷媒連絡管(5,6)を介して接続されることによって構成されている。
【0025】
〔室内ユニット〕
室内ユニット(4)は、室内に設置されており、冷媒回路(10)の一部を構成している。室内ユニット(4)は、主として、室内熱交換器(第2熱交換器)(41)を有している。
【0026】
室内熱交換器(41)は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器(41)の液側は液冷媒連絡管(5)に接続されており、室内熱交換器(41)のガス側はガス冷媒連絡管(6)に接続されている。
【0027】
室内ユニット(4)は、室内ユニット(4)内に室内空気を吸入して、室内熱交換器(41)において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン(42)を有している。すなわち、室内ユニット(4)は、室内熱交換器(41)を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を室内熱交換器(41)に供給するファンとして、室内ファン(42)を有している。ここでは、室内ファン(42)として、室内ファン用モータ(42a)によって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
【0028】
〔室外ユニット〕
室外ユニット(2)は、室外に設置されており、冷媒回路(10)の一部を構成している。室外ユニット(2)は、主として、圧縮機(21)と、四路切換弁(22)と、室外熱交換器(第1熱交換器)(23)と、膨張弁(膨張機構)(24)と、液側閉鎖弁(25)と、ガス側閉鎖弁(26)とを有している。
【0029】
圧縮機(21)は、冷凍サイクルの低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機(21)は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機用モータ(21a)によって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機(21)は、吸入側に吸入管(31)が接続されており、吐出側に吐出管(32)が接続されている。吸入管(31)は、圧縮機(21)の吸入側と四路切換弁(22)とを接続する冷媒管である。吐出管(32)は、圧縮機(21)の吐出側と四路切換弁(22)とを接続する冷媒管である。
【0030】
四路切換弁(22)は、冷媒回路(10)における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁(22)は、冷房運転時には、室外熱交換器(23)を圧縮機(21)において圧縮された冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器(41)を室外熱交換器(23)において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる冷房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁(22)は、冷房運転時には、圧縮機(21)の吐出側(ここでは、吐出管(32))と室外熱交換器(23)のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管(33))とが接続される(
図1の四路切換弁(22)の実線を参照)。また、このとき、圧縮機(21)の吸入側(ここでは、吸入管(31))とガス冷媒連絡管(6)側(ここでは、第2ガス冷媒管(34))とが接続される(
図1の四路切換弁(22)の実線を参照)。
【0031】
四路切換弁(22)は、暖房運転時には、室外熱交換器(23)を室内熱交換器(41)において放熱した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器(41)を圧縮機(21)において圧縮された冷媒の放熱器として機能させる暖房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁(22)は、暖房運転時には、圧縮機(21)の吐出側(ここでは、吐出管(32))とガス冷媒連絡管(6)側(ここでは、第2ガス冷媒管(34))とが接続される(
図1の四路切換弁(22)の破線を参照)。また、このとき、圧縮機(21)の吸入側(ここでは、吸入管(31))と室外熱交換器(23)のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管(33))とが接続される(
図1の四路切換弁(22)の破線を参照)。ここで、第1ガス冷媒管(33)は、四路切換弁(22)と室外熱交換器(23)のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管(34)は、四路切換弁(22)とガス側閉鎖弁(26)とを接続する冷媒管である。
【0032】
室外熱交換器(23)は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器(冷媒放熱器)として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器(冷媒蒸発器)として機能する熱交換器である。室外熱交換器(23)は、液側が液冷媒管(35)に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒管(33)に接続されている。液冷媒管(35)は、室外熱交換器(23)の液側と液冷媒連絡管(5)側とを接続する冷媒管である。
【0033】
膨張弁(24)は、冷房運転時には、室外熱交換器(23)において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。また、膨張弁(24)は、暖房運転時には、室内熱交換器(41)において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。膨張弁(24)は、液冷媒管(35)の液側閉鎖弁(25)寄りの部分に設けられている。ここでは、膨張弁(24)として、電動膨張弁が使用されている。
【0034】
液側閉鎖弁(25)及びガス側閉鎖弁(26)は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6))との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁(25)は、液冷媒管(35)の端部に設けられている。ガス側閉鎖弁(26)は、第2ガス冷媒管(34)の端部に設けられている。
【0035】
室外ユニット(2)は、室外ユニット(2)内に室外空気を吸入して、室外熱交換器(23)において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン(36)を有している。すなわち、室外ユニット(2)は、室外熱交換器(23)を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器(23)に供給するファンとして、室外ファン(36)を有している。ここでは、室外ファン(36)として、室外ファン用モータ(36a)によって駆動されるプロペラファン等が使用されている。
【0036】
〔冷媒連絡管〕
冷媒連絡管(5,6)は、空気調和装置(1)を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニット(2)と室内ユニット(4)との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
【0037】
〈室外熱交換器の基本構成〉
次に、室外熱交換器(23)の構成について
図1〜
図5を参照しながら説明する。ここで、
図2は、熱交換ユニット(U)(室外熱交換器(23))の概略斜視図、
図3は、
図2の熱交換部(60)の部分拡大図である。
図4は、伝熱フィン(64)として波形フィンを採用した場合の
図3に対応する図である。
図5は、室外熱交換器(23)の概略構成図である。なお、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、室外熱交換器(23)が室外ユニット(2)のケーシング(図示せず)に設置された状態を基準とした方向や面を意味する。
【0038】
室外熱交換器(23)は、平面視略L字形状の熱交換器パネルである。室外熱交換器(23)は、主として、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換部(60)と、熱交換部(60)の一端側に設けられた出入口ヘッダ(80)(第1ヘッダ集合管)と、熱交換部(60)の他端側に設けられた中間ヘッダ(90)(第2ヘッダ集合管)とを有している。室外熱交換器(23)は、出入口ヘッダ(80)、中間ヘッダ(90)、及び熱交換部(60)のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された熱交換器を構成する。
【0039】
熱交換部(60)は、室外熱交換器(23)の上部を構成する複数(ここでは、12個)のメイン熱交換部(61A〜61L)と、室外熱交換器(23)の下部を構成する複数(ここでは、12個)のサブ熱交換部(62A〜62L)とを有している。メイン熱交換部(61A〜61L)においては、最上段にメイン熱交換部(61A)が配置されており、その下段側から上側に向かって順にメイン熱交換部(61B〜61L)が配置されている。サブ熱交換部(62A〜62L)においては、最下段にサブ熱交換部(62A)が配置されており、その上段側から下側に向かって順にサブ熱交換部(62B〜62L)が配置されている。
【0040】
熱交換部(60)は、扁平管からなる多数の伝熱管(63)と、いわゆる差込フィンからなる多数の伝熱フィン(64)とにより構成された、いわゆる差込フィン式の熱交換器である。伝熱管(63)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部(63a)と、冷媒が流れる多数の小さな内部流路(63b)を有する扁平多穴管である。多数の伝熱管(63)は、鉛直方向に沿って間隔をあけて複数段配置されている。伝熱管(63)の一端が出入口ヘッダ(80)に接続され、伝熱管(63)の他端が中間ヘッダ(90)に接続されている。伝熱フィン(64)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。伝熱フィン(64)の片方の側縁部には、出入口ヘッダ(80)と中間ヘッダ(90)との間に配置された多数の伝熱管(63)に差し込めるように、水平に細長く延びる多数の切り欠き(64a)が形成されている。伝熱フィン(64)の切り欠き(64a)の形状は、伝熱管(63)の断面の外形にほぼ一致している。
【0041】
多数の伝熱管(63)は、メイン熱交換部(61A〜61L)及びサブ熱交換部(62A〜62L)に区分されている。多数の伝熱管(63)のうち、室外熱交換器(23)の最上段から下側に向かう所定数(3〜8本程度)毎の伝熱管(63)群が、メイン熱交換部(61A〜61L)をそれぞれ構成している。多数の伝熱管(63)のうち、室外熱交換器(23)の最下段から上側に向かう所定数(1〜3本程度)毎の伝熱管(63)群が、サブ熱交換部(62A〜62L)をそれぞれ構成している。
【0042】
なお、室外熱交換器(23)は、上記のような伝熱フィン(64)として差込フィン(
図3参照)を採用した差込フィン式の熱交換器に限定されるものではなく、伝熱フィン(64)として多数の波形フィン(
図4参照)を採用した波形フィン式の熱交換器であってもよい。
【0043】
〔中間ヘッダの構成〕
中間ヘッダ(90)の構成について
図5を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、中間ヘッダ(90)を含む室外熱交換器(23)が室外ユニット(2)に設置された状態を基準とした方向や面を意味する。
【0044】
中間ヘッダ(90)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる筒状の部材であり、縦長中空の中間ヘッダケース(91)を有している。
【0045】
中間ヘッダケース(91)は、その内部空間が、複数(ここでは、11個)のメイン側中間バッフル(92)、複数(ここでは、11個)のサブ中間バッフル(93)、境界側中間バッフル(94)によって、鉛直方向に沿って仕切られている。複数のメイン側中間バッフル(92)は、中間ヘッダケース(91)の上部の内部空間をメイン熱交換部(61A〜61K)の他端に連通するメイン側中間空間(95A〜95K)に仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。サブ中間バッフル(93)は、中間ヘッダケース(91)の下部の内部空間をサブ熱交換部(62A〜62K)の他端に連通するサブ側中間空間(96A〜96K)に仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。境界側中間バッフル(94)は、中間ヘッダケース(91)の最下段側のメイン側中間バッフル(92)と最上段側のサブ中間バッフル(93)との鉛直方向間の内部空間をメイン熱交換部(61L)の他端に連通するメイン側中間空間(95L)とサブ熱交換部(62L)の他端に連通するサブ側中間空間(96L)に仕切るように設けられている。
【0046】
中間ヘッダケース(91)には、複数(ここでは、11本)の中間連絡管(97A〜97K)が接続されている。中間連絡管(97A〜97K)は、メイン側中間空間(95A〜95K)とサブ側中間空間(96A〜96K)とを連通する冷媒管である。これにより、メイン熱交換部(61A〜61K)とサブ熱交換部(62A〜62K)とが中間ヘッダ(90)及び中間連絡管(97A〜97K)を介して連通することになり、室外熱交換器(23)の冷媒パス(65A〜65K)が形成されている。また、境界側中間バッフル(94)には、メイン側中間空間(95L)とサブ側中間空間(96L)とを連通させる中間バッフル連通孔(94a)が形成されている。これにより、メイン熱交換部(61L)とサブ熱交換部(62L)とが中間ヘッダ(90)及び中間バッフル連通孔(94a)を介して連通することになり、室外熱交換器(23)の冷媒パス(65L)が形成されている。このように、室外熱交換器(23)は、多パス(ここでは、12パス)の冷媒パス(65A〜65L)に区分された構成を有している。
【0047】
〔出入口ヘッダの構成〕
出入口ヘッダ(80)の構成について
図5及び
図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、出入口ヘッダ(80)を含む室外熱交換器(23)が室外ユニット(2)に設置された状態を基準とした方向や面を意味する。
【0048】
出入口ヘッダ(80)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、縦長中空の出入口ヘッダケース(81)を有している。出入口ヘッダケース(81)は、上端及び下端が開口した円筒形状の出入口ヘッダ筒状体(82)を有しており、2つの閉塞バッフル(83)によって上端及び下端の開口が閉じられている。出入口ヘッダケース(81)は、その内部空間が、境界バッフル(84)によって、上部の出入口空間(85)と下部の供給空間(86A〜86L)とに鉛直方向に沿って仕切られている。閉塞バッフル(83)は、後述する本発明の端部仕切部を構成し、境界バッフル(84)は、後述する本発明の中間仕切部を構成しており、端部仕切部と中間仕切部とで複数の仕切部が構成されている。上記端部仕切部である閉塞バッフル(83)は、上記出入口ヘッダ(ヘッダ集合管)(80)の両端部付近に配置されている。
【0049】
閉塞バッフル(83)と境界バッフル(84)は、ヘッダ集合管である出入口ヘッダ(80)に形成されるスリット(S)の内部に挿通される。スリット(S)は、出入口ヘッダ(80)の全周のうち外側寄りの略半分の領域に形成される、略円弧状の切り欠き部で構成される。閉塞バッフル(83)と境界バッフル(84)は、出入口ヘッダ(80)の内部を、供給空間(86A〜86L))と出入口空間(85)とに仕切っている。供給空間(86A〜86L)は、伝熱管(63)に流入する前の冷媒(流体)が流れる第1空間を構成する。出入口空間(85)は、伝熱管(63)を流れた後の冷媒(流体)が流れる第2空間を構成する。
【0050】
出入口空間(85)は、メイン熱交換部(61A〜61L)の一端に連通する空間であり、冷媒パス(65A〜65L)を通過した冷媒を出口で合流させる空間として機能している。このように、出入口空間(85)を有する出入口ヘッダ(80)の上部が、冷媒パス(65A〜65L)を通過した冷媒を出口で合流させる冷媒出口部として機能している。
【0051】
出入口ヘッダ(80)は、第1ガス冷媒管(33)に接続して出入口空間(85)に連通している。供給空間(86A〜86L)は、複数(ここでは、11個)の供給側出入口バッフル(87)によって仕切られたサブ熱交換部(62A〜62L)の一端に連通する複数(ここでは、12個)の空間であり、冷媒パス(65A〜65L)に冷媒を流出させる空間として機能している。このように、複数の供給空間(86A〜86L)を有する出入口ヘッダ(80)の下部が、複数の冷媒パス(65A〜65L)に区分して冷媒を流出させる冷媒供給部(86)として機能している。
【0052】
〈冷媒分流器〉
冷媒分流器(70)の構成について、
図5〜
図7を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
冷媒分流器(70)は、液冷媒管(35)を通じて流入する冷媒を分流して下流側(ここでは、複数の伝熱管(63))に流出させる冷媒通過部品である。冷媒分流器(70)は、室外熱交換器(23)の一端側に設けられており、出入口ヘッダ(80)の冷媒供給部(86)を介して伝熱管(63)の一端が接続されている。冷媒分流器(70)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。冷媒分流器(70)は、室外熱交換器(23)と一体化されることで、熱交換ユニット(U)を構成する。
【0054】
冷媒分流器(70)は、縦長の中空状の分流器本体(71)を有している。分流器本体(71)は、上端及び下端が開口した円筒形状の胴部(72)を有している。胴部(72)には、該胴部(72)の軸方向(鉛直方向)に沿って複数の差込スリット(72a,72b,72c)が形成される。各差込スリット(72a,72b,72c)には、それぞれ複数のバッフル(73,77,77a)が挿通される。なお、分流器本体(71)は、円筒形状に限定されず、例えば、四角筒形状等の多角筒形状であってもよい。
【0055】
複数の差込スリット(72a,72b,72c)は、2つの端部側スリット(72a,72a)と、1つのノズル側スリット(72c)と、多数の中間スリット(72b)とで構成される。端部側スリット(72a,72a)は、胴部(72)の上端及び下端にそれぞれ形成される。ノズル側スリット(72c)は、複数の差込スリット(72a,72b,72c)のうち下側の端部側スリット(72a)に最も近い差込スリット(72c)を構成する。多数の中間スリット(72b)は、上側の端部側スリット(72a)とノズル側スリット(72c)の間に形成される。
【0056】
複数のバッフル(73,77,77a)は、2枚の端部側バッフル(73,73)と、多数の中間バッフル(77)とで構成される。各端部側バッフル(73,73)は、円形板状に形成され、各端部側スリット(72a,72a)にそれぞれ挿通される。各端部側バッフル(73,73)は、分流器本体(71)の胴部(72)の上下の開口をそれぞれ閉塞している。
【0057】
中間バッフル(77)は、ノズル側スリット(72c)及び各中間スリット(72b)に1枚ずつ挿通される。ノズル側スリット(72c)には、中間バッフル(77)の下側にノズル部材(79)が挿通される。ノズル側バッフル(77a)及び中間スリット(72b)は、中央に略円形状の挿通穴(77b)が形成された円環板状の部材である。多数の中間スリット(72b)には、各々の挿通穴(77b)を貫通するように棒状の分流部材(74)が挿通される。
【0058】
分流器本体(71)の内部には、1つの下部空間(78)と、多数の中継空間(76A〜76L)とが形成される。下部空間(78)は、下側の端部側バッフル(73)とノズル部材(79)の間に区画される。下部空間(78)には、液冷媒管(35)の開口端が連通している。多数の中継空間(76A〜76L)は、分流部材(74)と、上下に隣り合う各中間バッフル(77)との間にそれぞれ形成される。つまり、多数の中継空間(76A〜76L)は、分流部材(74)の周囲に形成される略円筒柱状の空間である。
【0059】
分流部材(74)は、鉛直方向に延びる棒状の部材である。分流部材(74)は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。分流部材(74)には、該分流部材(74)の周方向に配列される複数(ここでは、12個)の分流路(74A〜74L)が形成される。これらの分流路(74A〜74L)は、例えば分流部材(74)を該分流部材(74)の長手方向に押出成形することで形成される。分流部材(74)では、複数の分流路(74A〜74L)に囲まれた部分が中実となっている。
【0060】
分流部材(74)の上端は、上側の端部側バッフル(73)の下面と接触する。複数の分流路(74A〜74L)の上端の開口は、上側の端部側バッフル(73)により実質的に閉塞される。分流部材(74)の下端は、ノズル部材(79)の上面と接触する。複数の分流路(74A〜74L)の下端の開口は、ノズル部材(79)に形成される1つの分流空間(75)と連通する。
【0061】
分流部材(74)の外周面には、多数(ここでは、12個)の側面孔(74a)が形成される。各側面孔(74a)は、分流部材(74)の下側から上側に向かうにつれて徐々に周方向にずれるように、螺旋状に配列されている。各側面孔(74a)は、該各側面孔(74a)に1つずつ対応する各中継空間(76A〜76L)と連通している。つまり、各側面孔(74a)は、それぞれ対応する中継空間(76A〜76L)のみと連通し、対応しない他の中継空間(76A〜76L)とは連通しない。
【0062】
ノズル部材(79)は、最も下側の中間バッフル(77)とともに、ノズル側スリット(72c)に差し込まれる。つまり、ノズル部材(79)は、中間バッフル(77)の下側に積層された状態で分流器本体(71)に保持される。ノズル部材(79)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。ノズル部材(79)は、円板状の板部材であり、径方向の中央部分に円形のノズル孔(70c)が形成されている。ノズル部材(79)の上面には、凹部(70b)が形成されている。凹部(70b)の内部の内径は、ノズル孔(70c)の内径よりも大きい。凹部(70b)の内部には、円柱状の分流空間(75)が形成される。分流空間(75)の下端は、ノズル孔(70c)と連通している。分流空間(75)の上端は、各分流路(74A〜74L)と連通している。
【0063】
冷媒分流器(70)は、分流器本体(71)の各中継空間(76A〜76L)と、出入口ヘッダ(80)の各供給空間(86A〜86L)とをそれぞれ1つずつ連通させる複数の分流管(88)を有している。
図6の例では、分流器本体(71)と出入口ヘッダ(80)との間に12本の分流管(88A〜88L)が接続される。
【0064】
〈仕切部の構成〉
中間仕切部である境界バッフル(84)と、端部仕切部である閉塞バッフル(83)について、
図8,
図9を参照して説明する。
【0065】
境界バッフル(84)はほぼ円径の板材(仕切板)であり、第1大径部(111a)と第1小径部(111b)とを有している。第1大径部(111a)は、第1円板部(111)の差込方向の手前側(後方)の略半分に形成される略半円形の板部である。第1大径部(111a)の半径は、出入口ヘッダ(80)の外周面の半径と概ね等しい。第1小径部(111b)は、第1円板部(111)の差込方向の奥側(前方)の略半分に形成される略半円形の板部である。第1小径部(111b)の半径は、出入口ヘッダ(80)の内周面の半径と概ね等しい。第1大径部(111a)は、その幅方向(扁平管(63)の幅方向)の両端部が第1小径部(111b)から突出している。この2つの突出部分(111c)は、第1板部(110)をスリット(S)の奥側まで差し込んだ状態において、スリット(S)の開口縁部と接触する接触部を構成する。
【0066】
閉塞バッフル(83)は、境界バッフル(84)の厚さを(t)とすると、その約2倍の厚さ寸法(2t)のほぼ円径の板材(仕切板)であり、第2大径部(121a)と第2小径部(121b)とを有している。第2大径部(121a)は、第2円板部(121)の差込方向の手前側(後方)の略半分に形成される略半円形の板部である。第2大径部(121a)の半径は、出入口ヘッダ(80)の外周面の半径と概ね等しい。第2小径部(121b)は、第2円板部(121)の差込方向の奥側(前方)の略半分に形成される略半円形の板部である。第2小径部(121b)の半径は、出入口ヘッダ(80)の内周面の半径と概ね等しい。第2大径部(121a)は、その幅方向(扁平管(63)の幅方向)の両端部が第2小径部(121b)から突出している。この2つの突出部分(121c)は、第2板部(120)をスリット(S)の奥側まで差し込んだ状態において、スリット(S)の開口縁部と接触する接触部を構成する。
【0067】
上述したように、境界バッフル(84)と閉塞バッフル(83)は、上記出入口ヘッダ(80)の内部に接合され、該出入口ヘッダ(80)の内部と外部および該ヘッダ集合管の内部を複数の空間に仕切る複数の仕切部である。そして、上記出入口ヘッダ(80)の最も端部付近に配置された端部仕切部である閉塞バッフル(83)は、該出入口ヘッダ(80)の両端よりも内側に配置された中間仕切部である境界バッフル(84)約2倍の厚さであり、境界バッフル(84)よりも剛性が高い。
【0068】
上述したように閉塞バッフル(83)と境界バッフル(84)の厚さ寸法が異なるため、出入口ヘッダ(80)に形成されるスリット(S)は、それぞれが閉塞バッフル(83)と境界バッフル(84)の厚さに対応する寸法で形成されている。
【0069】
〈運転動作〉
次に、空気調和装置(1)の基本動作について
図1を参照しながら説明する。空気調和装置(1)は、基本動作として、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能である。
【0070】
〔冷房運転〕
冷房運転時には、四路切換弁(22)が冷房サイクル状態(
図1の実線で示される状態)に切り換えられる。冷媒回路(10)において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機(21)に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
【0071】
圧縮機(21)から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を通じて、室外熱交換器(23)に送られる。室外熱交換器(23)に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒放熱器として機能する室外熱交換器(23)において、室外ファン(36)によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。
【0072】
室外熱交換器(23)において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁(24)に送られる。膨張弁(24)に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁(24)によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁(24)で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁(25)及び液冷媒連絡管(5)を通じて、室内熱交換器(41)に送られる。
【0073】
室内熱交換器(41)に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器(41)において、室内ファン(42)によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。
【0074】
室内熱交換器(41)において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管(6)、ガス側閉鎖弁(26)及び四路切換弁(22)を通じて、再び、圧縮機(21)に吸入される。
【0075】
〔暖房運転〕
暖房運転時には、四路切換弁(22)が暖房サイクル状態(
図1の破線で示される状態)に切り換えられる。冷媒回路(10)において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機(21)に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
【0076】
圧縮機(21)から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)、ガス側閉鎖弁(26)及びガス冷媒連絡管(6)を通じて、室内熱交換器(41)に送られる。室内熱交換器(41)に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器(41)において、室内ファン(42)によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。
【0077】
室内熱交換器(41)で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管(5)及び液側閉鎖弁(25)を通じて、膨張弁(24)に送られる。膨張弁(24)に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁(24)によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁(24)で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器(23)に送られる。
【0078】
室外熱交換器(23)に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒蒸発器として機能する室外熱交換器(23)において、室外ファン(36)によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。
【0079】
室外熱交換器(23)で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁(22)を通じて、再び、圧縮機(21)に吸入される。
【0080】
[暖房運転時の熱交換ユニットの冷媒の流れ]
上述した暖房運転時における熱交換ユニット(U)の冷媒の流れについて、
図5、
図6を参照しながら詳細に説明する。
【0081】
気液二相状態の冷媒は、液冷媒管(35)を流れた後、冷媒分流器(70)の下部空間(78)に流入する。この冷媒は、ノズル孔(70c)、分流空間(75)、各分流路(74A〜74L)、及び各側面孔(74a)を通過して更に減圧された後、各中継空間(76A〜76L)に流出する。各中継空間(76A〜76L)の冷媒は、各分流管(88)を流れ、出入口ヘッダ(80)の各供給空間(86A〜86L)にそれぞれ流入する。
【0082】
各供給空間(86A〜86L)の冷媒は、サブ熱交換部(62A〜62L)の各伝熱管(63)をそれぞれ流れて空気から吸熱した後、中間ヘッダ(90)の各サブ側中間空間(96A〜96K)に流入する。各サブ側中間空間(96A〜96K)の冷媒は、各中間連絡管(97A〜97K)を流れた後、各メイン側中間空間(95A〜95K)に流入する。
【0083】
各メイン側中間空間(95A〜95K)の冷媒は、メイン熱交換部(61A〜61L)の各伝熱管(63)を流れて空気から吸熱した後、出入口ヘッダ(80)の出入口空間(85)に流入する。この冷媒は、第1ガス冷媒管(33)を流れ、圧縮機(21)の吸入側へ送られる。
【0084】
本実施形態においては、端部仕切部である閉塞バッフル(83)を中間仕切部である境界バッフル(84)よりも厚い板材で形成しているので、閉塞バッフル(83)の耐圧強度が向上する。したがって、従来であれば出入口ヘッダ(80)が
図11に示すように弓なりに撓んでいたのに対して、出入口ヘッダ(80)を撓まない状態に保持できる。
【0085】
−実施形態の効果―
上記実施形態によれば、端部仕切部である閉塞バッフル(83)を中間仕切部である境界バッフル(84)よりも厚い板材で形成し、出入口ヘッダ(80)が撓まない状態に保持できるようにしているので、出入口ヘッダ(80)の両端の扁平管(63)が強い引っ張り力を受けることがなくなり、扁平管(63)の強度が低下するのも抑えられる。具体的には、扁平管(63)の冷媒流路のアスペクト比が変化しないように維持できるので、扁平管(63)の耐圧強度が低下しない。
【0086】
また、従来であれば、扁平管(63)の肉厚を厚くして強度を高めるか、出入口ヘッダ(80)の肉厚を厚くして弓なりの変形を防止することで上記の問題は回避できるものの、そうすると熱交換器(23)を軽量化することができなくなり、コストアップの問題が生じてしまうのに対して、本実施形態によれば閉塞バッフル(83)を厚くするだけで熱交換器(23)強度の維持と軽量化を同時に実現でき、コストアップの問題も防止できる。
【0087】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0088】
上記実施形態は、ヘッダ集合管である出入口ヘッダ(80)の閉塞バッフル(83)と境界バッフル(84)について、本発明の仕切部を採用している。しかし、出入口ヘッダ(80)に限らず、同じくヘッダ集合管である中間ヘッダ(90)を複数の空間に仕切る仕切部(バッフル)に本発明を適用してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、中間仕切部である境界バッフル(84)と端部仕切部である閉塞バッフル(83)をそれぞれ厚さが異なる1枚の板材で形成している。しかしながら、境界バッフル(84)を1枚の板材で形成する一方、
図10に示すように、閉塞バッフル(83)を境界バッフル(84)と同じ板材を2枚重ねることにより、境界バッフル(84)よりも厚さのある部材にしてもよい。このようにすると、境界バッフル(84)と閉塞バッフル(83)に同じ板材を用いることができるので、材料の管理が容易になる。
【0090】
さらに、上記実施形態では、閉塞バッフル(83)を境界バッフル(84)の約2倍の厚さに設定しているが、厚さ寸法の関係は2倍に限らず、適宜変更してもよい。
【0091】
また、上記実施形態において説明した室外熱交換器(23)の具体的な構成や、冷媒分流器(70)の具体的な構成は、いずれも一例であり、適宜変更してもよい。例えば室外熱交換器(23)は平面視L形でなくてもよいし、伝熱管の段数も適宜変更してもよい。また、室外熱交換器(23)は、複数(例えば2列)の熱交換部(60)が空気の通過方向に並んで配置されるものであってもよい。
【0092】
本発明の
熱交換器(23)は、上述した空気調和装置(1)に限らず、庫内を冷却する冷凍装置の庫内熱交換器に適用してもよい。
【0093】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。