特許第6386432号(P6386432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386432
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】導体接続構造および接続部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20180827BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01R4/58 C
   H02B1/20 H
   H02B1/20 E
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-183715(P2015-183715)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-59422(P2017-59422A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 崇
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−098236(JP,U)
【文献】 実開昭51−063995(JP,U)
【文献】 実開昭47−033899(JP,U)
【文献】 特開平07−215102(JP,A)
【文献】 特開2012−228111(JP,A)
【文献】 再公表特許第2003/023920(JP,A1)
【文献】 実開昭56−118529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58
H02B 1/20
H01R 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と端面と第一の側面と第二の側面とを有し、それぞれの前記端面を互いに向かい合わせて配置された、一対の導体バーと、
前記一対の導体バーの各々の前記上面に対向する対向面を有する上方部と、前記一対の導体バーの各々の前記第一の側面に接触する第一の側方部と、前記一対の導体バーの各々の前記第二の側面に接触する第二の側方部とを有する、接続部材とを備え、
前記上面と前記対向面とのいずれか一方に前記導体バーの延在方向に延びる溝形状の凹部が形成され、前記上面と前記対向面とのいずれか他方は前記凹部に嵌合する前記導体バーの延在方向に延びる畝形状の凸部を有し、
前記一対の導体バーが前記接続部材によって接続されていない状態において、前記第一の側面と前記第二の側面との間の距離が前記第一の側方部と前記第二の側方部との距離よりも大きく、前記凸部の幅が前記凹部の幅よりも大きい、導体接続構造。
【請求項2】
前記導体バーの延在方向に直交する断面は、前記上面が短辺を構成し前記第一の側面および前記第二の側面が長辺を構成する形状を有する、請求項1に記載の導体接続構造。
【請求項3】
一対の導体バーを接続する接続部材であって、
前記一対の導体バーは、上面と端面と第一の側面と第二の側面とを有し、それぞれの前記端面を互いに向かい合わせて配置されており、
前記接続部材は、前記一対の導体バーの各々の前記上面に対向する対向面を有する上方部と、前記一対の導体バーの各々の前記第一の側面に接触する第一の側方部と、前記一対の導体バーの各々の前記第二の側面に接触する第二の側方部とを有し、
前記上面と前記対向面とのいずれか一方に前記導体バーの延在方向に延びる溝形状の凹部が形成され、前記上面と前記対向面とのいずれか他方は前記凹部に嵌合する前記導体バーの延在方向に延びる畝形状の凸部を有し、
前記一対の導体バーが前記接続部材によって接続されていない状態において、前記第一の側面と前記第二の側面との間の距離が前記第一の側方部と前記第二の側方部との距離よりも大きく、前記凸部の幅が前記凹部の幅よりも大きい、接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導体バーを電気的に接続する導体接続構造、および、複数の導体バーを電気的に接続する接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−339831号公報(特許文献1)には、配電盤における母線導体の連結構造に関し、一対の母線導体に連結板をかみ合せ、母線導体と連結板とをボルトで連結する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−339831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配電盤の母線は、配電盤の据付現場での接続作業を必要とする。特許文献1に記載の技術では、母線導体に形成された貫通穴と連結板に形成された貫通穴とを用い、ボルトで連結することにより、母線導体の電気的な接続が行なわれている。据付現場におけるボルトを用いた接続作業には工具が必要であり、貫通穴の位置が合わない場合には現場での再度の穴開け加工が必要となり、作業が煩雑であった。
【0005】
本発明の目的は、複数の導体バーを電気的に接続する作業を簡略化できる導体接続構造および接続部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る導体接続構造は、一対の導体バーと、接続部材とを備えている。導体バーは、上面と端面と第一の側面と第二の側面とを有している。一対の導体バーは、それぞれの端面を互いに向かい合わせて配置されている。接続部材は、上方部と、第一の側方部と、第二の側方部とを有している。上方部は、対向面を有している。対向面は、一対の導体バーの各々の上面に対向している。第一の側方部は、一対の導体バーの各々の第一の側面に接触している。第二の側方部は、一対の導体バーの各々の第二の側面に接触している。上面と対向面とのいずれか一方に、凹部が形成されている。上面と対向面とのいずれか他方は、凹部に嵌合する凸部を有している。
【0007】
上記導体接続構造において好ましくは、導体バーの延在方向に直交する断面は、上面が短辺を構成し第一の側面および第二の側面が長辺を構成する形状を有している。
【0008】
上記導体接続構造において好ましくは、凹部は、導体バーの延在方向に延びる溝形状に形成されており、凸部は、導体バーの延在方向に延びる畝形状に形成されている。
【0009】
上記導体接続構造において好ましくは、一対の導体バーが接続部材によって接続されていない状態において、凸部の幅が、凹部の幅よりも大きい。
【0010】
上記導体接続構造において好ましくは、一対の導体バーが接続部材によって接続されていない状態において、第一の側面と第二の側面との距離が、第一の側方部と第二の側方部との距離よりも大きい。
【0011】
本発明に係る接続部材は、一対の導体バーを接続する接続部材である。一対の導体バーは、上面と端面と第一の側面と第二の側面とを有しており、それぞれの端面を互いに向かい合わせて配置されている。接続部材は、上方部と、第一の側方部と、第二の側方部とを有している。上方部は、対向面を有している。対向面は、一対の導体バーの各々の上面に対向する。第一の側方部は、一対の導体バーの各々の第一の側面に接触する。第二の側方部は、一対の導体バーの各々の第二の側面に接触する。上面と対向面とのいずれか一方に、凹部が形成されている。上面と対向面とのいずれか他方は、凹部に嵌合する凸部を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、複数の導体バーを電気的に接続する作業を簡略化することができるので、導体バーの接続に必要な作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1の導体接続構造における、一対の導体バーが接続されていない状態の斜視図である。
図2】実施の形態1の導体接続構造における、一対の導体バーが接続部材によって電気的に接続された状態の斜視図である。
図3図2中に示す矢印III方向から見た導体接続構造の側面図である。
図4図3中のIV−IV線に沿う導体接続構造の断面図である。
図5】導体バーが接続部材によって接続されていない状態の寸法関係を示す模式図である。
図6】実施の形態2の導体接続構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の導体接続構造における、一対の導体バー10A,10Bが接続されていない状態の斜視図である。以下に説明する導体接続構造は、一対の導体バー、すなわち導体バー10Aと導体バー10Bとが、接続部材20を用いて電気的に接続された構造である。導体バー10Aは、配電盤の筐体の内部に収容されている。導体バー10Bは、導体バー10Aの収容された筐体と隣り合う筐体の内部に収容されている。導体バー10A,10Bは、配電盤を構成する電気機器に接続されており、電気回路の一部を構成している。
【0016】
導体バー10A,10Bは、銅またはアルミニウムなどの、導電性を有する金属材料で形成されている。導体バー10A,10Bは、略平角棒状の形状を有している。略平角棒状の導体バー10A,10Bの厚み方向および幅方向は、導体バー10A,10Bの延びる方向に、直交している。
【0017】
導体バー10Aは、上面11Aと、端面12Aと、側面13Aおよび側面14Aとを有している。端面12Aは、略平角棒状の導体バー10Aの一方の端面を構成している。端面12Aは、平面状の形状を有している。上面11Aと、側面13Aおよび側面14Aとは、端面12Aに対して直交する方向に延びている。上面11Aと側面13Aとは互いに直交している。上面11Aと側面14Aとは互いに直交している。側面13Aと側面14Aとは、互いに平行に配置されている。
【0018】
略平角棒状の導体バー10Aは、その幅方向がほぼ鉛直方向に沿い、その厚み方向がほぼ水平方向に沿うように、配置されている。導体バー10Aの上面11Aは、ほぼ水平方向に沿って延びている。導体バー10Aの端面12A、側面13Aおよび側面14Aは、ほぼ鉛直方向に沿って延びている。
【0019】
導体バー10Aは、端面12Aに直交する方向であって、上面11A、側面13Aおよび側面14Aの延びる方向に、延在している。当該方向を導体バー10Aの延在方向と称する。導体バー10Aの延在方向は、ほぼ水平方向に沿っている。導体バー10Aの、延在方向に直交する断面は、略矩形状の形状を有している。上面11Aは、当該矩形の短辺を構成している。側面13Aは、当該矩形の長辺を構成している。側面14Aは、当該矩形の長辺を構成している。
【0020】
上面11Aには、凹部15Aが形成されている。凹部15Aは、導体バー10Aの延在方向に延びる溝形状に形成されている。凹部15Aは、底面16Aと、内側面17A,18Aとによって形成されている。底面16Aおよび内側面17A,18Aは、それぞれ平面状の形状を有している。底面16Aは、上面11Aと平行に設けられている。内側面17A,18Aは、上面11Aおよび底面16Aに対して直交して延びている。
【0021】
導体バー10Bは、上面11Bと、端面12Bと、側面13Bおよび側面14Bとを有している。端面12Bは、略平角棒状の導体バー10Bの一方の端面を構成している。端面12Bは、平面状の形状を有している。上面11Bと、側面13Bおよび側面14Bとは、端面12Bに対して直交する方向に延びている。上面11Bと側面13Bとは互いに直交している。上面11Bと側面14Bとは互いに直交している。側面13Bと側面14Bとは、互いに平行に配置されている。
【0022】
略平角棒状の導体バー10Bは、その幅方向がほぼ鉛直方向に沿い、その厚み方向がほぼ水平方向に沿うように、配置されている。導体バー10Bの上面11Bは、ほぼ水平方向に沿って延びている。導体バー10Bの端面12B、側面13Bおよび側面14Bは、ほぼ鉛直方向に沿って延びている。
【0023】
導体バー10Bは、端面12Bに直交する方向であって、上面11B、側面13Bおよび側面14Bの延びる方向に、延在している。当該方向を導体バー10Bの延在方向と称する。導体バー10Bの延在方向は、ほぼ水平方向に沿っている。導体バー10Bの、延在方向に直交する断面は、略矩形状の形状を有している。上面11Bは、当該矩形の短辺を構成している。側面13Bは、当該矩形の長辺を構成している。側面14Bは、当該矩形の長辺を構成している。
【0024】
上面11Bには、凹部15Bが形成されている。凹部15Bは、導体バー10Bの延在方向に延びる溝形状に形成されている。凹部15Bは、底面16Bと、内側面17B,18Bとによって形成されている。底面16Bおよび内側面17B,18Bは、それぞれ平面状の形状を有している。底面16Bは、上面11Bと平行に設けられている。内側面17B,18Bは、上面11Bおよび底面16Bに対して直交して延びている。
【0025】
導体バー10Aと導体バー10Bとは、端面12Aと端面12Bとを互いに向かい合わせて、配置されている。端面12Aは、導体バー10Aの収容された配電盤の筐体の側面から露出している。端面12Bは、導体バー10Bの収容された配電盤の筐体の側面から露出している。導体バー10Aと導体バー10Bとは、端面12Aと端面12Bとが互いに平行になるように、配置されている。典型的には、導体バー10Aと導体バー10Bとは、それぞれの延在方向が同一直線上に位置するように、配置されている。
【0026】
導体バー10Aの上面11Aと導体バー10Bの上面11Bとは、略同一平面上にある。側面13Aと側面13Bとは、略同一平面上にある。側面14Aと側面14Bとは、略同一平面上にある。底面16Aと底面16Bとは、略同一平面上にある。内側面17Aと内側面17Bとは、略同一平面上にある。内側面18Aと内側面18Bとは、略同一平面上にある。
【0027】
接続部材20は、導電性を有する金属材料で形成されている。接続部材20は、上方部21と、側方部22,23とを有している。上方部21と側方部22,23とは、それぞれ平板状の形状を有している。上方部21は、矩形板状の形状を有している。側方部22は、矩形板状の上方部21の長辺の一方に接合されている。側方部23は、矩形板状の上方部21の長辺の他方に接合されている。側方部22,23は、上方部21に対して直交して延びている。接続部材20は、角張ったC字状の端面形状を有している。
【0028】
上方部21および側方部22,23によって三方が取り囲まれた空間31が形成されている。上方部21は、対向面24を有している。対向面24は、空間31に向いている。側方部22は、接触面25を有している。接触面25は、空間31に向いている。側方部23は、接触面26を有している。接触面26は、空間31に向いている。接触面25と接触面26とは、空間31を挟んで対向している。接触面25と接触面26とは、互いに平行に延びている。接触面25,26は、対向面24に対して直交して延びている。
【0029】
上方部21には、対向面24から空間31に向けて突起する凸部30が設けられている。凸部30は、矩形板状の上方部21の一方の短辺から他方の短辺に亘って延びる、畝形状に形成されている。凸部30は、矩形板状の長辺から離れる位置において、長辺に沿って延びている。
【0030】
凸部30は、上方部21に対して直交して延びている。凸部30は、側方部22,23と平行に延びている。凸部30は、側方部22,23から離れて配置されている。凸部30と側方部22との間に、隙間が形成されている。凸部30と側方部23との間に、隙間が形成されている。
【0031】
凸部30は、畝形状の頂面を構成している突起頂面27と、畝形状の側面を構成している突起側面28,29とを有している。突起頂面27および突起側面28,29は、それぞれ平面状の形状を有している。突起頂面27は、上方部21の対向面24と平行に設けられている。突起側面28,29は、対向面24および突起頂面27に対して直交して延びている。
【0032】
突起側面28は、接触面25に対向している。突起側面28は、接触面25と平行に延びている。接触面25と突起側面28との間に、隙間が形成されている。突起側面29は、接触面26に対向している。突起側面29は、接触面26と平行に延びている。接触面26と突起側面29との間に、隙間が形成されている。
【0033】
図2は、実施の形態1の導体接続構造における、一対の導体バー10A,10Bが接続部材20によって電気的に接続された状態の斜視図である。図3は、図2中に示す矢印III方向から見た導体接続構造の側面図である。図4は、図3中のIV−IV線に沿う導体接続構造の断面図である。
【0034】
図1に示す導体バー10A,10Bおよび接続部材20の配置から、接続部材20を移動して導体バー10A,10Bに近づけ、接続部材20の側方部22と側方部23との間に導体バー10Aおよび導体バー10Bを挟み込む。導体バー10Aおよび導体バー10Bの両方を空間31内に配置させた状態から、さらに接続部材20を、側面13A,13Bに対して接触面25を摺動させ側面14A,14Bに対して接触面26を摺動させながら、移動する。そして、凸部30を導体バー10Aの凹部15Aと導体バー10Bの凹部15Bとの両方に嵌合する。このようにして、図2〜4に示す、一対の導体バー10A,10Bが接続部材20によって電気的に接続された導体接続構造が形成される。
【0035】
図2〜4に示す、一対の導体バー10A,10Bが接続部材20によって電気的に接続された状態において、導体バー10A,10Bに形成された凹部15A,15Bに、接続部材20の凸部30が嵌合している。凸部30を構成している突起頂面27は、凹部15Aの底面16Aに面接触し、凹部15Bの底面16Bに面接触している。突起側面28は、凹部15Aの内側面17Aに面接触し、凹部15Bの内側面17Bに面接触している。突起側面29は、凹部15Aの内側面18Aに面接触し、凹部15Bの内側面18Bに面接触している。
【0036】
接続部材20の上方部21の対向面24は、導体バー10Aの上面11Aに対向し、導体バー10Bの上面11Bに対向している。本実施の形態では、対向面24は、上面11A,11Bに面接触している。接続部材20の側方部22の接触面25は、導体バー10Aの側面13Aに接触し、導体バー10Bの側面13Bに接触している。接続部材20の側方部23の接触面26は、導体バー10Aの側面14Aに接触し、導体バー10Bの側面14Bに接触している。
【0037】
接続部材20の表面を構成している複数の平面が、導体バー10Aの表面を構成している複数の平面に面接触し、かつ、導体バー10Bの表面を構成している複数の平面に面接触している。導体バー10Aと導体バー10Bとは、接続部材20を介して、電気的に接続されている。
【0038】
図5は、導体バー10が接続部材20によって接続されていない状態の寸法関係を示す模式図である。図5中には符号10を付して導体バーを図示しているが、この導体バー10について説明する寸法関係は、図1〜4に示す導体バー10Aと導体バー10Bとの両方に適用される。
【0039】
図5中に示す幅W1は、接続部材20のうち、側方部22の接触面25と側方部23の接触面26との間の距離を示す。幅W1は、側方部22と側方部23との距離を示す。図5中に示す幅W2は、接続部材20のうち、凸部30の突起側面28と突起側面29との間の距離を示す。幅W2は、畝形状の凸部30の幅を示す。
【0040】
図5中に示す幅W3は、導体バー10のうち、側面13と側面14との距離を示す。幅W3は、平角棒形状の導体バー10の厚みを示す。図5に示す幅W4は、導体バー10のうち、凹部15の内側面17と内側面18との距離を示す。幅W4は、溝形状の凹部15の幅を示す。
【0041】
幅W3は、幅W1よりも大きい。導体バー10が接続部材20によって接続されていない状態において、側面13と側面14との間の距離が、側方部22と側方部23との間の距離よりも大きい。
【0042】
幅W2は、幅W4よりも大きい。導体バー10が接続部材20によって接続されていない状態において、凸部30の幅が、凹部15の幅よりも大きい。
【0043】
このように幅W1〜W4の寸法関係を規定することで、図2〜4に示す一対の導体バー10A,10Bが接続部材20によって電気的に接続された状態において、接続部材20が確実に導体バー10Aと導体バー10Bとの両方に面接触する。これにより、接続部材20は、導体バー10Aと導体バー10Bとを確実に電気的に接続できるように設けられている。
【0044】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2の導体接続構造の断面図である。実施の形態1の導体接続構造では、接続部材20に凸部30が設けられており、導体バー10A,10Bにそれぞれ凹部15A,15Bが形成されていたが、この構成に限られるものではない。導体バー10A,10Bの上面11A,11Bと、接続部材20の上方部21の対向面24とのいずれか一方に凹部が形成され、いずれか他方が当該凹部に嵌合する凸部を有していれば、接続部材20を用いて導体バー10Aと導体バー10Bとを確実に電気的に接続できる。
【0045】
具体的には、図6に示すように、導体バー10Aの上面11Aが凸部130を有し、接続部材20の対向面24に凹部が形成されていてもよい。なお図6には、導体接続構造の、実施の形態1で説明した図4に対応する断面が、図示されている。
【0046】
導体バー10Aの凸部130は、導体バー10Aの延在方向に延びる畝形状に形成されている。凸部130は、畝形状の頂面を構成している突起頂面116Aと、畝形状の側面を構成している突起側面117A,118Aとを有している。突起頂面116Aは、導体バー10Aの上面11Aと平行に設けられている。突起側面117A,118Aは、上面11Aおよび突起頂面116Aに対して直交して延びている。
【0047】
接続部材20に形成された凹部は、導体バー10の延在方向に延びる溝形状に形成されている。この凹部は、底面127と、内側面128,129とによって形成されている。底面127および内側面128,129は、それぞれ平面状の形状を有している。底面127は、対向面24と平行に設けられている。内側面128,129は、対向面24および底面127に対して直交して延びている。
【0048】
図6に示す、一対の導体バー10A,10Bが接続部材20によって電気的に接続された状態において、接続部材20に形成された凹部に、導体バー10Aの凸部130が嵌合している。凸部130を構成している突起頂面116Aは、凹部の底面127に面接触している。突起側面117Aは、凹部の内側面128に面接触している。突起側面118Aは、凹部の内側面129に面接触している。
【0049】
接続部材20の表面を構成している複数の平面が、導体バー10Aの表面を構成している複数の平面に面接触し、かつ、導体バー10Bの表面を構成している複数の平面に面接触している。導体バー10Aと導体バー10Bとは、接続部材20を介して、電気的に接続されている。
【0050】
実施の形態1の導体バー10A,10Bには、上面11A,11Bにそれぞれ凹部15A,15Bが形成されている。そのため、凹部15A,15Bのうち接続部材20と係合しない箇所に、塵埃がたまる可能性がある。これに対し、実施の形態2の導体バー10Aの上面11Aには、凹部は形成されていない。そのため、より塵埃のたまりにくい構造とされている。
【0051】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。なお、実施の形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
【0052】
本実施の形態の導体接続構造は、図1に示すように、一対の導体バー10A,10Bを備えている。導体バー10Aは、上面11Aと側面13A,14Aとを有している。導体バー10Bは、上面11Bと側面13B,14Bとを有している。導体バー10Aと導体バー10Bとは、端面12Aと端面12Bとを互いに向かい合わせて配置されている。
【0053】
導体接続構造はまた、接続部材20を備えている。接続部材20は、上方部21と、側方部22,23とを有している。上方部21は、対向面24を有している。側方部22は、接触面25を有している。側方部23は、接触面26を有している。
【0054】
図4に示すように、接続部材20を一対の導体バー10A,10Bに接合した状態において、上方部21の対向面24は、導体バー10Aの上面11Aおよび導体バー10Bの上面11Bに対向している。側方部22の接触面25は、導体バー10Aの側面13Aおよび導体バー10Bの側面13Bに接触している。側方部23の接触面26は、導体バー10Aの側面14Aおよび導体バー10Bの側面14Bに接触している。
【0055】
図1に示すように、導体バー10Aの上面11Aに凹部15Aが形成され、導体バー10Bの上面11Bに凹部15Bが形成されている。接続部材20の対向面24は、凸部30を有している。凸部30は、凹部15A,15Bに嵌合している。
【0056】
一対の導体バー10A,10Bは、配電盤の据付現場などの、導体バー10A,10Bを製造する工場外で接続される。導体バー10Aと導体バー10Bとを接続する現場において、接続部材20を導体バー10Aと導体バー10Bとに嵌め込んで固定する単純な作業手順で、一対の導体バー10A,10Bを、互いに電気的に接続された状態にできる。そのため、導体バー10A,10Bへの穴開け加工は不要であり、また現場でのボルトおよびナットの締付作業が不要になる。したがって、導体バー10A,10Bを電気的に接続する作業を簡略化することができるので、導体バー10A,10Bの接続に必要な現場での作業時間を短縮することができる。
【0057】
また図4に示すように、導体バー10Aの延在方向に直交する導体バー10Aの断面は、上面11Aが短辺を構成し側面13A,14Aが長辺を構成する、略矩形形状を有している。略平角棒状の導体バー10Aの幅方向に沿って凹部15Aが形成されているので、凹部15Aの深さ、または上面11Aから底面16Aまでの距離を、より大きくできる。これにより、凸部30を凹部15Aに嵌合させることで、導体バー10Aと接続部材20とをより強固に固定できる。したがって導体バー10Aと接続部材20とを確実に電気的に接続することができる。
【0058】
また図1に示すように、凹部15Aは導体バー10Aの延在方向に延びる溝形状に形成されており、凸部30は導体バー10Aの延在方向に延びる畝形状に形成されている。点状突起ではなく線状に対向面24から突起した形状に凸部30を形成し、この凸部30に対応して二次元状に延びる形状に凹部15Aを形成する。これにより、凸部30を凹部15Aに嵌合させたときに互いに接触する面積が、より増大している。そのため、凸部30を凹部15Aに嵌合させることで、導体バー10Aと接続部材20とをより強固に固定できる。したがって導体バー10Aと接続部材20とを確実に電気的に接続することができる。
【0059】
また図5に示すように、導体バー10A,10Bが接続部材20によって接続されていない状態において、凸部30の幅を示す幅W2が、凹部15の幅を示す幅W4よりも大きい。このようにすれば、凸部30を凹部15に嵌合させることで、凸部30の突起側面28,29と凹部15の内側面17,18とを確実に面接触させることができる。したがって導体バー10と接続部材20とを確実に電気的に接続することができる。
【0060】
また図5に示すように、導体バー10A,10Bが接続部材20によって接続されていない状態において、導体バー10の側面13,14間の距離を示す幅W3が、接続部材20の側方部22,23間の距離を示す幅W1よりも大きい。このようにすれば、接続部材20を導体バー10に組み付けることで、導体バー10の側面13,14と接続部材20の接触面25,26とを確実に面接触させることができる。したがって導体バー10と接続部材20とを確実に電気的に接続することができる。
【0061】
本実施の形態の接続部材20は、一対の導体バー10A,10Bを接続するための部材である。図1に示すように、導体バー10Aは、上面11Aと側面13A,14Aとを有している。導体バー10Bは、上面11Bと側面13B,14Bとを有している。導体バー10Aと導体バー10Bとは、端面12Aと端面12Bとを互いに向かい合わせて配置されている。接続部材20は、上方部21と、側方部22,23とを有している。上方部21は、対向面24を有している。側方部22は、接触面25を有している。側方部23は、接触面26を有している。
【0062】
図4に示すように、接続部材20を一対の導体バー10A,10Bに接合した状態において、上方部21の対向面24は、導体バー10Aの上面11Aおよび導体バー10Bの上面11Bに対向している。側方部22の接触面25は、導体バー10Aの側面13Aおよび導体バー10Bの側面13Bに接触している。側方部23の接触面26は、導体バー10Aの側面14Aおよび導体バー10Bの側面14Bに接触している。
【0063】
図1に示すように、導体バー10Aの上面11Aに凹部15Aが形成され、導体バー10Bの上面11Bに凹部15Bが形成されている。接続部材20の対向面24は、凸部30を有している。凸部30は、凹部15A,15Bに嵌合している。
【0064】
導体バー10Aと導体バー10Bとを接続する現場において、接続部材20の凸部30を導体バー10A,10Bの凹部15A,15Bに嵌合し、さらに側方部22の接触面25を導体バー10A,10Bの側面13A,13Bに接触させるとともに側方部23の接触面26を導体バー10A,10Bの側面14A,14Bに接触させる。接続部材20を導体バー10Aと導体バー10Bとに嵌め込んで固定する単純な作業手順で、一対の導体バー10A,10Bを、互いに電気的に接続された状態にできる。そのため、導体バー10A,10Bへの穴開け加工は不要であり、また現場でのボルトおよびナットの締付作業が不要になる。したがって、導体バー10A,10Bを電気的に接続する作業を簡略化することができるので、導体バー10A,10Bの接続に必要な現場での作業時間を短縮することができる。
【0065】
なお、これまでの説明においては、導体バー10を構成している側面13,14および内側面17,18が平面状であり、接続部材20を構成している接触面25,26および突起側面28,29が平面状である例について説明したが、この例に限られるものではない。接続部材20の嵌め込み作業をより容易にするために、たとえば、側面13,14を、上面11から離れるにつれて導体バー10の幅が広がる形状としてもよい。内側面17,18を、上面11から離れるにつれて凹部15の幅が狭まる形状としてもよい。
【0066】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の導体接続構成および接続部材は、受配電技術分野に属する盤類の導体接続構成に、好適に適用され得る。
【符号の説明】
【0068】
10,10A,10B 導体バー、11,11A,11B 上面、12A,12B 端面、13,13A,13B,14,14A,14B 側面、15,15A,15B 凹部、16A,16B,127 底面、17,17A,17B,18,18A,18B,128,129 内側面、20 接続部材、21 上方部、22,23 側方部、24 対向面、25,26 接触面、27,116A 突起頂面、28,29,117A,118A 突起側面、30,130 凸部、31 空間、W1,W2,W3,W4 幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6