【課題を解決するための手段】
【0010】
酵素とは、触媒として作用するタンパク質を言う。タンパク質とは、アミノ酸が脱水反応によってペプチド結合でつながった重合体である。タンパク質の作用は、個々のアミノ酸の種類とそれらがつながっている順序によって決まる。アミノ酸がタンパク質へと組み立てられる順序(タンパク質の「配列」)は、究極的にはそのタンパク質を「コード」するDNA鎖の配列によって決まる。
【0011】
タンパク質へと組み立てられるアミノ酸を指定する、3つのヌクレオチドからなる配列は、「コドン」と呼ばれる。タンパク質を構成する20種類のアミノ酸は、全部で64種類ある3ヌクレオチド配列(コドン)によりコードされる。タンパク質を指定する連続したコドンを「オープンリーディングフレーム」と言う。1つのアミノ酸を指定するコドンは、1〜6種類存在する。指定されるアミノ酸に影響を与えない、コドンの3ヌクレオチド配列における変化(変異)を「サイレント」変異と言う。
【0012】
その結果、互いに「サイレント」な変異においてのみ異なり、そのため同一のタンパク質をコードできるDNA配列が、多数存在する。所与のタンパク質をコードする1以上のコドンを変化させることにより、遺伝子から作られるタンパク質の量を、コードされるタンパク質の配列に影響を与えることなく大幅に増加させることができるかもしれない。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は配列番号1を含む。いくつかの実施形態では、本発明は配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、この配列はタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、このタンパク質はセルラーゼ活性を有する酵素である。
【0014】
本明細書に開示される改善されたヌクレオチド配列は配列番号1として示されるが、これは、Thermotoga maritimaの菌株MSB8に由来するDNAライブラリから単離された親セルラーゼ酵素に変化を加えた、以前開示されたセルラーゼ酵素(配列番号2)をコードするものである。上述の開示された配列番号2のセルラーゼは、国際公開第2009/020459号パンフレットに配列番号9として記載されたもの(同文献に記載された配列番号8(本明細書では配列番号3として記載)のポリヌクレオチドにコードされるセルラーゼ)である。いくつかの実施形態では、本発明は配列番号1のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、これらの配列はタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、このタンパク質はセルラーゼ活性を有する酵素である。
【0015】
本発明は配列番号3における複数のヌクレオチド塩基の変化を含む。これらの変化は、コードされたタンパク質に関してはサイレントである。この14の塩基の変化については、以下で説明する。「位置」は、配列番号1のオープンリーディングフレーム内のヌクレオチドの番号を示し、第1のコドンの第1のヌクレオチドが1となるようナンバリングする。配列番号1のオープンリーディングフレームがその5’末端で別の核酸配列と接続され、配列番号1の5’末端を越えて続く場合、「位置」はそのまま、各塩基が配列番号1のオープンリーディングフレームの5’末端を起点とするようナンバリングされる。同様に、配列番号1のオープンリーディングフレームが切断されて配列番号1に関連する配列の5’末端から開始されない場合、ナンバリングシステムの起点はそのまま、配列番号1のオープンリーディングフレームの5’末端に対応する該配列の5’末端であり続ける。
【0016】
ヌクレオチド塩基の変化すなわち変異は、「(置換前のヌクレオチド)(位置)(置換後のヌクレオチド)」という表記法を用いて指定される。前記変異は、T6C、T9C、T15G、A22C、G24T、A33C、A39C、A40C、A42C、A54C、A57C、T66C、G81A、A84Cであり、単独またはこれらのすべてもしくは一部の任意の組合せで、1つの配列中に見出されうる。
【0017】
配列番号1は、開示のセルラーゼをコードする以前報告された配列において複数の塩基が変化したものであり、これらの変化により、全体的にまた個別に、オープンリーディングフレームが変化し、同じタンパク質をコードする以前に使用されたヌクレオチド配列よりもタンパク質の発現レベルが高くなる。
【0018】
いくつかの実施形態において、Thermotoga maritimaに由来するセルラーゼをコードするヌクレオチド配列が開示され、このヌクレオチド配列には、T6C、T9C、T15G、A22C、G24T、A33C、A39C、A40C、A42C、A54C、A57C、T66C、G81A、A84C、A6C、G6C、A9C、G9C、A15G、C15G、T22C、G22C、A24T、C24T、T33C、G33C、T39C、G39C、T40C、G40C、T42C、G42C、T54C、G54C、T57C、G57C、A66C、G66C、C81A、T81A、T84C、G84C、またはこれらのすべてまたは一部の任意の組合せから選択される少なくとも1つが、1つの配列中に含まれる。これらの実施形態のうちいくつかの態様において、少なくとも1つの変異は、コードされたタンパク質の配列に関してサイレントである。別の態様においては、少なくとも1つの変異の結果、該ヌクレオチド配列による前記セルラーゼの発現が、少なくとも1つの前記変異を欠くもののそれ以外は上記ヌクレオチド配列と同一である配列と比べて高レベルとなる。
【0019】
いくつかの実施形態において、セルラーゼをコードするヌクレオチド配列が開示され、このヌクレオチド配列には配列番号3が含まれ、かつ、T6C、T9C、T15G、A22C、G24T、A33C、A39C、A40C、A42C、A54C、A57C、T66C、G81A、A84C、A6C、G6C、A9C、G9C、A15G、C15G、T22C、G22C、A24T、C24T、T33C、G33C、T39C、G39C、T40C、G40C、T42C、G42C、T54C、G54C、T57C、G57C、A66C、G66C、C81A、T81A、T84C、G84C、またはこれらのすべてまたは一部の任意の組合せから選択される少なくとも1つが、1つの配列中に含まれる。
【0020】
いくつかの実施形態において、Thermotoga maritimaに由来するヌクレオチド配列であって、少なくとも1つの変異を有し、自体がコードするタンパク質の発現が、Thermotoga maritimaのゲノム配列と比べて高レベルであるヌクレオチド配列が開示される。いくつかの態様において、少なくとも1つの変異はサイレントである。
【0021】
いくつかの実施形態において、配列番号2のポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、配列番号2のポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列に対して変異を有し、その結果前記タンパク質の発現が、該第2のヌクレオチド配列にコードされる前記タンパク質の発現と比べて高レベルとなっているヌクレオチド配列が開示される。
【0022】
本発明は、石油やガスの発見および掘削作業によって発生した戻り流体を処理するための組成物および方法を提供する。いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物および方法は、戻り流体を処理して環境的に適切な廃棄をする目的で使用される。いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物および方法は、戻り流体を処理して石油やガスの発見および掘削作業にさらに使用できるようにするため、換言すれば、戻り流体を再生利用する目的で使用される。
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明を実施するために酵素が用いられ、このような酵素としては、たとえば配列番号2として開示される任意のアミラーゼおよび/またはセルラーゼが挙げられ、本明細書に記載の酵素および/または他の酵素の「カクテル」の使用も含まれる。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、たとえば石油やガスの発見および掘削作業によって発生した戻り流体への、たとえば配列番号2として開示される任意のアミラーゼおよび/またはセルラーゼの添加を提供する。
【0025】
別の実施形態には、本明細書に記載のアミラーゼおよび/またはセルラーゼが含まれる。
【0026】
本明細書に開示される組成物および方法は、配列番号1、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、および/または配列番号15を含む、本発明を実施するために使用される典型的な核酸と、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200残基、またはそれ以上の長さの範囲にわたって、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%,64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の、または完全な(100%の)配列同一性を有する核酸配列を含む、単離、合成、または組み換えされた核酸の使用を含み、これらの核酸は、セルラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチド、特には、典型的な配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14に基づくポリペプチド、および/またはアミラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチド、特には、典型的な配列番号16に基づくポリペプチドをコードする。
【0027】
本明細書に開示される組成物および方法は、セルラーゼ活性を有する単離、合成、または組み換えされたポリペプチド、特には、典型的な配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、および/または配列番号14に基づくポリペプチド、および/またはアミラーゼ活性を有する単離、合成、または組み換えされたポリペプチド、特には、典型的な配列番号16に基づくポリペプチドの使用を含む。
【0028】
いくつかの態様において、本発明を実施するために使用されるポリペプチドは、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を有し、その活性は熱に対して安定である。前記ポリペプチドは、約−100℃〜約−80℃、約−80℃〜約−60℃、−60℃〜約−40℃、約−80℃〜約−40℃、約−40℃〜約−20℃、約−20℃〜約0℃、約0℃〜約37℃、約0℃〜約5℃、約5℃〜約15℃、約15℃〜約25℃、約25℃〜約37℃、約37℃〜約45℃、約45℃〜約55℃、約55℃〜約70℃、約70℃〜約75℃、約75℃〜約85℃、約85℃〜約90℃、約90℃〜約95℃、約95℃〜約100℃、約100℃〜約105℃、約105℃〜約110℃、約110℃〜約120℃の温度範囲、または95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、120℃、121℃、122℃、123℃、124℃、125℃、またはそれ以上の温度を含む条件下でアミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を保持することができる。前記ポリペプチドは、約−100℃〜約−80℃、約−80℃〜約−40℃、約−80℃〜約−60℃、−60℃〜約−40℃、約−80℃〜約−40℃、約−40℃〜約−20℃、約−20℃〜約0℃、約0℃〜約5℃、約5℃〜約15℃、約15℃〜約25℃、約25℃〜約37℃、約37℃〜約45℃、約45℃〜約55℃、約55℃〜約70℃、約70℃〜約75℃、約75℃〜約85℃、約85℃〜約90℃、約90℃〜約95℃、約95℃〜約100℃、約100℃〜約105℃、約105℃〜約110℃、約110℃〜約120℃の温度範囲、または95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、120℃、121℃、122℃、123℃、124℃、125℃、またはそれ以上の温度でアミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を保持することができる。
【0029】
いくつかの態様において、本発明を実施するために使用されるポリペプチドは、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を有し、その活性は耐熱性である。前記ポリペプチドは、37℃より高く約95℃以下の範囲または55℃より高く約85℃以下の範囲の任意の温度に曝された後も、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を保持することができる。本発明のポリペプチドは、約−100℃〜約−80℃、約−80℃〜約−40℃、約−80℃〜約−60℃、−60℃〜約−40℃、約−80℃〜約−40℃、約−40℃〜約−20℃、約−20℃〜約0℃、約0℃〜約5℃、約5℃〜約15℃、約15℃〜約25℃、約25℃〜約37℃、約37℃〜約45℃、約45℃〜約55℃、約55℃〜約70℃、約70℃〜約75℃、約75℃〜約85℃、約85℃〜約90℃、約90℃〜約95℃、約95℃〜約100℃、約100℃〜約105℃、約105℃〜約110℃、約110℃〜約120℃の温度範囲、または95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、120℃、121℃、122℃、123℃、124℃、125℃、またはそれ以上の温度に曝された後も、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を保持することができる。
【0030】
いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは、pH約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5、約11.0、約11.5、約12.0またはそれ以上において、約−100℃〜約−80℃、約−80℃〜約−40℃、約−80℃〜約−60℃、−60℃〜約−40℃、約−80℃〜約−40℃、約−40℃〜約−20℃、約−20℃〜約0℃、約0℃〜約5℃、約5℃〜約15℃、約15℃〜約25℃、約25℃〜約37℃、約37℃〜約45℃、約45℃〜約55℃、約55℃〜約70℃、約70℃〜約75℃、約75℃〜約85℃、約85℃〜約90℃、約90℃〜約95℃、約95℃〜約100℃、約100℃〜約105℃、約105℃〜約110℃、約110℃〜約120℃の温度範囲、または95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、120℃、121℃、122℃、123℃、124℃、125℃、またはそれ以上の温度に曝された後も、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を保持することができる。
【0031】
本発明は、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸であって、ストリンジェントな条件下で、配列番号1、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13および/または配列番号15に記載の配列とハイブリダイズする配列を含む核酸を用いて実施することができる。いくつかの態様において、本発明の核酸は、アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。本発明の核酸は、前記遺伝子または転写産物のうちの少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200残基、もしくはそれ以上の長さ、またはその全長であってよい。いくつかの態様において、ストリンジェントな条件には、0.2×SSC中、約65℃にて約15分間の洗浄工程が含まれる。本明細書に開示される組成物および方法は、配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、および/または配列番号16と少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%,64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の、もしくは完全な(100%の)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離、合成、または組み換えされたポリペプチドまたは酵素活性を有するそのフラグメントの使用を含み、このようなフラグメントは、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350残基、もしくはそれ以上の長さであるか、または前記ポリペプチドの全長である。いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは、セルラーゼ活性またはアミラーゼ活性を有する。
【0032】
本発明を実施するために使用される典型的なポリペプチドまたはペプチド配列としては、配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、および/または配列番号16が挙げられ、さらにこれらの部分配列(酵素活性を有するフラグメント)および変異体、たとえば少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600残基、もしくはそれ以上の長さのフラグメントや酵素の全長も含まれる。
【0033】
アミラーゼ活性またはセルラーゼ活性を測定するための、たとえばポリペプチドが所望の活性を有しているかどうかを判断するための分析は、当技術分野でよく知られており、本明細書の開示の範囲に含まれる。たとえば、Baker WL,Panow A,Estimation of cellulase activity using aglucose−oxidase−Cu(II) reducing assay for glucose,J Biochem Biophys Methods.1991 Dec,23(4):265−73;Sharrock KR,Cellulase assay methods:a review,J Biochem Biophys Methods.1988 Oct,17(2):81−105;Carder JH,Detection and quantitation of cellulase by Congo red staining of substrates in a cupplate diffusion assay,Anal Biochem.1986 Feb 15,153(1):75−9;Canevascini G.,A cellulase assay coupled to cellobiose dehydrogenase,Anal Biochem.1985 Jun,30 147(2):419−27;Huang JS,Tang J,Sensitive assay for cellulase and dextranase.Anal Biochem.1976 Jun,73(2):369−77を参照のこと。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明を実施するために使用されるポリペプチドは、単独あるいは本明細書に開示された「カクテル」とともに、デンプン(1,4−α結合または1,6−α結合でつながったグルコース単量体の重合体)等の、グルコース単量体を含む多糖の加水分解を触媒することが可能なアミラーゼを含む。いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは、アミラーゼ活性(たとえばαアミラーゼ活性、エンドアミラーゼ活性、グルコアミラーゼ活性等)を有する。本明細書において、用語「アミラーゼ」は、多糖(たとえばデンプン)の加水分解を触媒する酵素活性をも含む。本発明を実施するために使用されるアミラーゼとしては、α−アミラーゼ活性、グルコアミラーゼ活性、1,4−α−D−グルカングルコヒドロラーゼ活性、エキソアミラーゼ活性、グルカンα−マルトテトラヒドロラーゼ活性、マルターゼ活性、イソマルターゼ活性、グルカン1,4−α−グルコシダーゼ活性、α−グルコシダーゼ活性、スクラーゼ活性、またはアガラーゼ活性(たとえばα−アガラーゼ活性)を有するポリペプチド等が挙げられる。たとえば、本発明を実施するために使用されるアミラーゼは、デンプン内部のα−1,4−グルコシド結合を加水分解して分子量のより小さなマルトデキストリンを生成する能力を含むα−アミラーゼ活性を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、前記α−アミラーゼ活性は、デンプンのα−1,4−グルコシド結合をランダムに加水分解する能力を含む。本発明を実施するために使用されるアミラーゼの1つは、α−1,4−グルコシド結合またはα−1,6−グルコシド結合でつながったグルコース重合体を加水分解する能力等のグルコアミラーゼ活性を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、本発明を実施するために使用されるアミラーゼは、内部のα−1,4−グルコシド結合を加水分解して分子量のより小さなマルトデキストリンを生成するグルコアミラーゼ活性を有するポリペプチドを含む。本発明を実施するために使用されるアミラーゼの1つは、グルカン1,4−α−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、一般にグルコアミラーゼと呼ばれアミログルコシダーゼおよびα−アミラーゼとも呼ばれる1,4−α−D−グルカングルコヒドロラーゼを含み、一態様において、1,4−α−結合、1,6−α−結合、および1,3−α−結合したグルカンからα−D−グルコースを遊離させる。本発明を実施するために使用されるアミラーゼの1つは、エキソアミラーゼ活性を有するポリペプチドを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明を実施するために使用されるポリペプチドは、単独あるいは本明細書に開示された「カクテル」とともに、たとえばグァーガム(1,4−α結合または1,6−α結合でつながったグルコース単量体の重合体)等の、グルコース単量体を含む多糖の加水分解を触媒することが可能なセルラーゼを含む。いくつかの態様において、本発明を実施するために使用されるポリペプチドは、単独あるいは本明細書に開示された「カクテル」とともに、本明細書に記載のセルラーゼを含み、グルカナーゼ(たとえばエンドグルカナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ)の活性、またはこれらの活性の組合せを有する。いくつかの態様において、前記グルカナーゼ活性はエンドグルカナーゼ活性(たとえばエンド−1,4−β−D−グルカン4−グルカノヒドロラーゼ活性)であり、セルロース、セルロース誘導体(たとえば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、リケニンに含まれる1,4−β−D−グルコシド結合、ならびにたとえば穀物β−Dグルカンやキシログルカンとセルロース部分を有するその他の植物原料とで構成される混合β−1,3グルカンにおけるβ−1,4結合の加水分解を含む。別の態様において、これらのグルカナーゼ、たとえばエンドグルカナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ等は、pHや温度の増減にかかわらず、より強い活性およびより高い安定性(耐熱性や熱安定性等)を有する。
【0036】
適切な多糖基質としては、ガラクトマンナンガム、グァー、グァー誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、ならびにこれらの混合物が挙げられる。具体例としては、グァーガム、グァーガム誘導体、ローカストビーンガム、カラヤガム、キサンタンガム、セルロース、セルロース誘導体等が挙げられるが、これらに限定はされない。開示の酵素が対象とする典型的な重合体増粘剤またはゲル化剤としては、グァーガム、ヒドロキシプロピルグァー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグァー、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ジアルキルカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。重合体の別の例としては、ホスホマンノース、スクレログルカン、デキストラン、および他のタイプの重合体が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、重合体基質はカルボキシメチルヒドロキシプロピルグァーである。いくつかの実施形態において、開示の酵素はバイオガム(たとえば、デーツシロップやスクロースから作られたサクシノグリカンバイオガム)の加水分解にも効果的である。いくつかの実施形態において、開示の酵素をセルロース含有重合体、またはセルロース誘導体含有重合体の加水分解に使用してもよい。このような酵素は、典型的には、セルロースの主鎖のグルコシド結合を攻撃する。開示の酵素は、重合体をほぼ単糖単位へと分解することに適しているかもしれない。この分解は、場合によっては、任意のセロビオースフラグメントの(1,4)−β−D−グルコシド結合における単糖単位とセルロースの主鎖との間のエキソ(1,4)−β−D−グルコシド結合およびエンド(1,4)−β−D−グルコシド結合の特異的加水分解によって行われる。
【0037】
本明細書に開示される酵素含有組成物は、本明細書に記載の多糖分解酵素の1つ、または本明細書に記載の多糖分解ポリヌクレオチドのうち任意の1種、2種、3種、4種、もしくはそれ以上の混合物(「カクテル」)を含むことができ、該ポリペプチドとしては、配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14および/または配列番号16に基づくポリペプチドが挙げられる。本発明を実施するために使用される組成物は、配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14および/または配列番号16に基づくポリペプチドを含む、本明細書に記載のポリペプチドの1種、2種、3種、もしくはそれ以上、ならびに、トリプトファナーゼ、チロシンデカルボキシラーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、ラッカーゼ、他のセルラーゼ、エンドグリコシダーゼ、エンド−β−1,4−ラッカーゼ、アミログルコシダーゼ、他のグルコシダーゼ、グルコースイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、リポキシゲナーゼ、β−ラッカーゼ、エンド−β−1,3(4)−ラッカーゼ、クチナーゼ、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、キサンタナーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、デカルボキシラーゼ、フェノールオキシダーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、アラビナナーゼ、ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、キシロラッカーゼ、キシラナーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、プロテイナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ガラクタナーゼ、ペクチンリアーゼ、トランスグルタミナーゼ、ペクチメチルエステラーゼ、その他のセロビオヒドロラーゼ、および/またはトランスグルタミナーゼ等の、他の酵素の任意の組合せを含むことができる。
【0038】
本明細書に開示される組成物および方法は、単離、合成、または組み換えされたポリペプチドの使用を含み、該ポリペプチドはこれらのポリペプチド(例えば上述のポリペプチド等)とシグナル配列とを含むものである。シグナル配列は、別のアミラーゼ、キサンタナーゼ、および/またはグリコシダーゼ(たとえばセルラーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、マンナナーゼ、および/またはβ−グルコシダーゼ酵素)または非セルラーゼ(たとえば非エンドグルカナーゼ、非セロビオヒドロラーゼ、および/または非β−グルコシダーゼ酵素(異種酵素))に由来するものであってもよい。
【0039】
本明細書に開示される組成物および方法は、単離、合成、または組み換えされたポリペプチドの使用を含み、該ポリペプチドはシグナル配列を含まない、またはシグナル配列の一部または全部を欠いているか、または異種のシグナル配列、たとえば異種のアミラーゼ、キサンタナーゼ、グリコシダーゼ、セルラーゼ(たとえば、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、マンナナーゼ、および/またはβ−グルコシダーゼ酵素)のシグナル配列、または、非アミラーゼ、非キサンタナーゼ、非セルラーゼ(たとえば非エンドグルカナーゼ、非セロビオヒドロラーゼ、および/または非β−グルコシダーゼ酵素)のシグナル配列を含むものである。
【0040】
本明細書に開示される組成物および方法は、シグナル配列を含む第1のドメインと、上述のポリペプチドを含む少なくとも1つの第2のドメインとを含む、単離、合成、または組み換えされたキメラタンパク質の使用を含む。前記タンパク質は融合タンパク質であってもよい。前記第2のドメインは、複数の酵素または活性を含んでもよい。前記酵素は、非酵素であってもよい。本明細書に開示される組成物および方法は、単離、合成、または組み換えされたキメラタンパク質の使用を含み、該キメラタンパク質は、上述のポリペプチド、シグナルペプチド(SP)、プレプロ配列、および/または酵素ドメイン(CD)を含み、別の一実施形態においては、異種のポリペプチドまたはペプチドを含む少なくとも1つのまた別のドメインを含むが、該異種のポリペプチドまたはペプチドは、シグナルペプチド(SP)、プレプロ配列、および/または触媒ドメイン(CD)と生来の関連性を有するものではない。いくつかの態様において、前記異種のポリペプチドまたはペプチドは、アミラーゼでもキサンタナーゼでもセルラーゼ(たとえば、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、マンナナーゼ、および/またはβ−グルコシダーゼ)でもない。前記異種のポリペプチドまたはペプチドは、シグナルペプチド(SP)、プレプロ配列、および/または触媒ドメイン(CD)のアミノ末端、カルボキシ末端、または両末端に位置していてもよい。
【0041】
いくつかの態様において、本発明を実施するために使用されるアミラーゼおよび/またはセルラーゼは、およそpH6.5、pH6、pH5.5、pH5、pH4.5、pH4.0、pH3.5、pH3.0、またはそれ以下のpH(より酸性)を含む条件下で酵素活性を保持することができるか、およそpH7、pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9、pH9.5、pH10、pH10.5、pH11.0、pH11.5、pH12、pH12.5、またはそれ以上のpH(よりアルカリ性)を含む条件下で活性を保持することができるか、およそpH6.5、pH6、pH5.5、pH5、pH4.5、pH4.0、pH3.5、pH3.0、またはそれ以下のpH(より酸性)を含む条件に曝された後も酵素活性を保持することができるか、およそpH7、pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9、pH9.5、pH10、pH10.5、pH11.0、pH11.5、pH12、pH12.5、またはそれ以上のpH(よりアルカリ性)を含む条件に曝された後も酵素活性を保持することができるか、あるいは、アルカリ性の条件下で活性を保持することができる。ある種の態様において、反応はpH約3.0〜9.0の範囲で行われる。別の態様では、反応はpH約4.5、約7.5、または約9で行われる。アルカリ条件下の反応条件も、たとえば本明細書に開示された酵素のいくつかの産業上の利用において、有利になることがある。
【0042】
本発明は、本明細書に記載の数種のポリペプチド(ペプチドを含む)のいずれかを含むタンパク質製剤を提供する。該タンパク質製剤は、液体、固体、またはゲルを含み、該タンパク質製剤において、本発明を実施するために使用される前記数種のポリペプチド(ペプチドを含む)は本明細書に記載のポリペプチドを含むヘテロダイマーであってよく、該ヘテロダイマーの第2のメンバーは、異なるアミラーゼ、キサンタナーゼ、セルラーゼ(たとえば、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、マンナナーゼ、および/またはβ−グルコシダーゼ酵素)、異なる酵素、または別のタンパク質であってもよい。いくつかの態様において、前記第2のドメインはポリペプチドであってもよく、また前記ヘテロダイマーは融合タンパク質であってもよい。いくつかの態様において、前記第2のドメインはエピトープまたはタグであってもよい。いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するために使用されるポリペプチドを含むホモダイマーを提供する。
【0043】
本発明は、本明細書に記載のアミラーゼおよび/またはセルラーゼの酵素活性を有する固定化ポリペプチド(ペプチドを含む)を使用することにより実施可能であり、ポリペプチドは少なくとも1つのさらなる(第2の)ドメインを有しうる。いくつかの態様において、前記ポリペプチドは、細胞、金属、樹脂、重合体、セラミック、ガラス、微小電極、黒鉛粒子、ビーズ、ゲル、プレート、アレイまたは毛細管上に固定化されうる。
【0044】
本発明を実施するために使用されるアミラーゼおよび/またはセルラーゼは、該酵素をコードするポリヌクレオチドを任意の生物、たとえば細菌、酵母、植物、昆虫、菌類、および/または動物において発現させることによって調製できる。前記生物は、たとえば、P.flourescencs、S.pombe、S.cerevisiae、Pichia pastoris、E.coli、Streptomyces sp.、Bacillus sp.、またはLactobacillus sp.であってもよい。
【0045】
本発明を実施するために使用されるアミラーゼおよび/またはセルラーゼは、たとえば熱安定性組み換え酵素等を含む任意の酵素送達マトリックスとして製剤化することが可能であり、たとえば粒状担体と熱安定性組み換え酵素とを含むペレット剤の形態の酵素送達マトリックスとして製剤化することができる。このようなペレット剤は、自体が含有する酵素を水性溶媒に容易に分散させ、所望の環境(たとえば戻り流体)に対して前記酵素送達マトリックスを投与するものである。
【0046】
本発明は、様々な形態および剤形で使用される組成物および酵素を提供する。本明細書に開示される方法において、これらの酵素は様々な形態および剤形で使用される。たとえば、精製されたポリペプチドは、掘削または破砕の用途に活用される酵素製剤に使用することができる。
【0047】
別の実施形態において、本発明は配列番号1を含み、該配列はタンパク質をコードする。本発明の別の実施形態において、本発明は、Thermotoga maritimaに由来するセルラーゼをコードするヌクレオチド配列すなわち配列番号3であって、T6C、T9C、T15G、A22C、G24T、A33C、A39C、A40C、A42C、A54C、A57C、T66C、G81A、A84C、A6C、G6C、A9C、G9C、A15G、C15G、T22C、G22C、A24T、C24T、T33C、G33C、T39C、G39C、T40C、G40C、T42C、G42C、T54C、G54C、T57C、G57C、A66C、G66C、C81A、T81A、T84C、G84C、またはこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つの変異を含むヌクレオチド配列を含み、該変異はサイレントであってもよい。本発明のさらなる実施形態において、少なくとも1つの変異の結果、該ヌクレオチド配列による前記セルラーゼの発現が、少なくとも1つのそのような変異を欠いたヌクレオチド配列と比べて高レベルとなる。
【0048】
本発明の別の実施形態において、本発明は、Thermotoga maritimaに由来するヌクレオチド配列であって、少なくとも1つの変異を有し、自体がコードするタンパク質の発現が、Thermotoga maritimaの野生型ゲノム配列と比べて高レベルであるヌクレオチド配列を含み、該変異はサイレントであってもよい。
【0049】
本発明の別の実施形態において、本発明は、配列番号2のポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列であって、配列番号2をコードする第2のヌクレオチド配列に対して変異を有し、その結果前記タンパク質の発現が、該第2のヌクレオチド配列にコードされる前記タンパク質の発現と比べて高レベルとなっているヌクレオチド配列を含む。
【0050】
本発明の別の実施形態において、本発明は、配列番号2と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%もしくは100%一致する、タンパク質またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列であって、T6C、T9C、T15G、A22C、G24T、A33C、A39C、A40C、A42C、A54C、A57C、T66C、G81A、A84C、A6C、G6C、A9C、G9C、A15G、C15G、T22C、G22C、A24T、C24T、T33C、G33C、T39C、G39C、T40C、G40C、T42C、G42C、T54C、G54C、T57C、G57C、A66C、G66C、C81A、T81A、T84C、G84C、またはこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つの変異を含む、ヌクレオチド配列を含む。
【0051】
本発明の別の実施形態において、本発明の任意のタンパク質は細菌発現系において発現され、該細菌発現系は、たとえばPseudomonas、E.coli、RalstoniaまたはCaulobacter等の発現系であるグラム陰性菌発現系である。
【0052】
本発明の別の実施形態において、本発明のセルラーゼは、少なくとも1.0g/L、2.0g/L、3.0g/L、4.0g/L、5.0g/L、6.0g/L、7.0g/L、8.0g/L、9.0g/L、10.0g/L、11.0g/L、12.0g/L、13.0g/L、14.0g/L、15.0g/L、16.0g/L、17.0g/L、18.0g/L、19.0g/L、20.0g/L、21.0g/L、22.0g/L、23.0g/L、24.0g/L、25.0g/L、26.0g/L、27.0g/L、28.0g/L、29.0g/L、30.0g/L、31.0g/L、32.0g/L、33.0g/L、34.0g/Lまたは35.0g/L発現するよう産生される。
【0053】
本発明の別の実施形態において、本発明のセルラーゼは第2の酵素と組み合わされ、該第2の酵素は、ラクターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、カタラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ、マンナナーゼ、アミラーゼ、アミダーゼ、エポキシドヒドロラーゼ、エステラーゼ、ホスホリパーゼ、トランスアミナーゼ、アミンオキシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、アンモニアリアーゼ、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0054】
本発明の別の実施形態において、本発明は、配列番号1を含む核酸配列を有する、単離、組み換え、または合成により得られたヌクレオチドを含み、該核酸配列は、セルラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものである。
【0055】
本発明の別の実施形態において、本発明は、配列番号1の核酸配列を含む、単離、組み換え、または合成により得られたヌクレオチドであって、該核酸配列がセルラーゼ活性を有するポリペプチドをコードし、該ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸配列または酵素活性を有するそのフラグメントを含む、ヌクレオチドを含む。
【0056】
本発明の別の実施形態において、本発明は、配列番号1を含む、単離、組み換え、または合成により得られた、セルラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含み、該ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を含み、組み換えPseudomonas fluorescens発現系で産生される。
【0057】
本発明のさらなる実施形態において、本発明は、石油またはガスの操業によって使用されたまたは生じた戻り流体を処理する方法であって、(a)戻り流体に酵素または酵素処理剤を供給することと、(b)前記酵素または酵素処理剤によって、戻り流体中の多糖またはデンプンを含む物質を分解することとを含み、前記酵素または酵素処理剤が、前記多糖またはデンプンを含む物質の分解または加水分解に有効である方法、を含み、この酵素は任意選択でセルラーゼまたはアミラーゼであってもよい。戻り流体を処理するための方法のさらなる実施形態において、前記酵素または酵素処理剤はアミラーゼを含み、該アミラーゼは、配列番号16と少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%,64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の、もしくは完全な(100%の)配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは酵素活性を有するそのフラグメントを含む。戻り流体を処理するための方法のさらなる実施形態において、前記酵素または酵素処理剤はセルラーゼを含み、該セルラーゼは、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12および/または配列番号14と少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%,64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の、もしくは完全な(100%の)配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは酵素活性を有するそのフラグメントを含む。
【0058】
本発明のさらなる実施形態において、本発明は、重合体増粘剤、界面活性剤、熱安定剤、および超好熱性細菌に由来する野生型セルラーゼまたはその変異体を含む酵素分解剤を含む組成物を含む。前記組成物のさらなる実施形態において、前記増粘剤は、直鎖グァー、架橋グァー、またはこれらの混合物を含むグァーゲルである。前記組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は前記グァーゲル中のβ−1,4−グリコシド結合を特異的に加水分解する。前記組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は、前記グァーゲル中のα−1,6−グリコシド結合の特異的な加水分解をしない。前記組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は、前記グァーゲル中のβ−1,4−グリコシド結合に対する加水分解能を、華氏約275度以下の温度において保持する。前記組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は、前記グァーゲル中のβ−1,4−グリコシド結合に対する加水分解能を、約11以下のpHにおいて保持する。前記組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は配列番号2を有する。前記組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は配列番号1を有するポリヌクレオチドにコードされる。前記のいずれかの組成物のさらなる実施形態において、前記酵素分解剤は野生型セルラーゼの変異体であり、pH約6.5では野生型セルラーゼの融点より少なくとも華氏20度高い融点を有し、pH約10.5では野生型セルラーゼの融点より少なくとも華氏10度高い融点を有する。前記のいずれかの組成物のさらなる実施形態において、前記エステルは、酢酸エチル、酢酸2−エトキシエチル、アセト酢酸エチル、安息香酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチルおよびフタル酸ジメチルからなる群から選択されてもよい。
【0059】
別の実施形態において、本発明は、配列番号1にコードされたポリペプチドを含む飼料または飼料用添加剤を含む。別の実施形態において、前記飼料または飼料用添加剤は、飼料の消化を助ける。
【0060】
本願明細書に引用された刊行物、特許、特許出願、GenBank配列、およびATCC寄託物はすべて、目的を問わず参照によりその全体が本願に明示的に援用される。