(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386446
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】糖構成の改変されたバイオ製品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C12P 19/02 20060101AFI20180827BHJP
C12P 19/12 20060101ALI20180827BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20180827BHJP
A23L 33/14 20160101ALI20180827BHJP
A23L 33/185 20160101ALI20180827BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20180827BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20180827BHJP
C13K 13/00 20060101ALI20180827BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20180827BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20180827BHJP
A61K 8/97 20170101ALI20180827BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20180827BHJP
A61K 31/7016 20060101ALI20180827BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20180827BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20180827BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20180827BHJP
A61K 36/18 20060101ALI20180827BHJP
A23K 20/163 20160101ALI20180827BHJP
A23K 20/189 20160101ALI20180827BHJP
A23K 20/142 20160101ALI20180827BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20180827BHJP
A23K 10/10 20160101ALI20180827BHJP
C12N 9/40 20060101ALN20180827BHJP
C07H 3/02 20060101ALN20180827BHJP
C07H 3/04 20060101ALN20180827BHJP
【FI】
C12P19/02
C12P19/12
A23L33/105
A23L33/14
A23L33/185
A23L33/125
A23L33/10
C13K13/00
A61K8/60
A61K8/64
A61K8/97
A61K31/7004
A61K31/7016
A61K38/00
A61K36/899
A61K36/48
A61K36/18
A23K20/163
A23K20/189
A23K20/142
A23K10/30
A23K10/10
!C12N9/40
!C07H3/02
!C07H3/04
【請求項の数】27
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-512046(P2015-512046)
(86)(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公表番号】特表2015-523851(P2015-523851A)
(43)【公表日】2015年8月20日
(86)【国際出願番号】EP2013060025
(87)【国際公開番号】WO2013171259
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年3月23日
(31)【優先権主張番号】12168274.4
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/647,667
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/777,938
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514085229
【氏名又は名称】ハムレット・プロテイン・エ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】カトリーネ・ヴィーズ・エレゴー
(72)【発明者】
【氏名】カール・クレスチャン・トムスン
(72)【発明者】
【氏名】オーレ・コー・ハンスン
【審査官】
平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−224133(JP,A)
【文献】
特表2008−533996(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/143591(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00−41/00
A23L 33/00−33/29
A61K 31/00−31/80
A61K 38/00−38/58
A61K 36/00−36/9068
A23K 10/00−20/28
C13B 5/00−99/00
C13K 1/00−13/00
C07H 3/00− 3/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
元の難消化性オリゴ糖含有量の少なくとも80%が、消化可能な単糖および二糖に分解されている固形バイオ製品を生産するための方法であって、以下の工程:
1)オリゴ糖と、場合により多糖を含み、タンパク質性植物部位をさらに含む、粉砕された、もしくはフレーク状にされた、または他の方法で解体されたバイオマス、水、および、α-ガラクトシダーゼを含有する1つもしくは複数の酵素調製物の混合物を用意する工程、
2)工程(1)から得られた混合物を混合し続けながら、出発混合物中の水分が65重量%を超えない条件下、約20〜65℃の温度で0.15〜36時間反応させる工程、
3)工程(2)の反応済み混合物を、前記α-ガラクトシダーゼを失活させる温度および期間において、インキュベートする工程
を含む方法。
【請求項2】
真菌/細菌の前記バイオマスに対する乾物比が1:2から1:400になるような量の真菌および/または細菌が前記バイオマスに添加され、工程(3)での前記インキュベートを、前記α-ガラクトシダーゼならびに真菌および/または細菌を失活させる温度と期間において行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(2)の前記反応が嫌気性および/または好気性条件下で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記α-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.001重量%から1.0重量%であり、ここで前記α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ/または工程(2)の前記反応が、出発混合物中の水分が30重量%から65重量%の条件下で行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(2)の前記反応が、反応混合物と添加剤の導入手段および生成物の排出手段、さらには回転速度、温度およびpHの制御手段を備えた、1つもしくは複数の非垂直の連結パドルワームコンベアもしくは連続ワームコンベア中で行われるか、または垂直スクリューミキサー、例えばナウターミキサー中で行われることをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記連続ワームコンベアが、反応混合物を圧縮することなく搬送し、掻き回すように、反応混合物を搬送すると同時に持ち上げるように設計された、場合により改変型の、単羽根もしくは多羽根スクリューコンベアまたは交差スクリューコンベアである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ホップ由来のα酸およびβ酸を含有するホップ製品などの1つまたは複数の加工助剤が、工程(1)および工程(2)のうちの任意の工程で添加される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記真菌および/または細菌が、使用済み醸造用酵母および使用済み蒸溜酒用酵母およびワイン製造由来の使用済み酵母およびパン酵母を含むサッカロミセス・セレビシエ株、ならびにC5糖を発酵させる酵母株のなかから選択される生酵母である、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質性植物部位が、ダイズ、マメ、エンドウマメ、ルピナスなどの豆類、および/またはコムギなどの穀類、および/またはナタネなどの種子、および/または植物部位が脱脂されていてもよい草本類である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオマスが、例えば含油植物、例えばナタネおよびダイズなどの種子由来の、油および脂肪をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(3)で得られるバイオ製品が、10重量%以下の水分量に乾燥される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(2)での混合物の反応が20〜55℃で行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記α-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.25重量%から1.0重量%であり、ここで前記α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ工程(2)の前記反応が30〜60℃の温度で4〜36時間行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記α-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.25重量%から1.0重量%であり、ここで前記α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ工程(2)の前記反応が50〜60℃の温度で4〜36時間行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記α-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.01重量%から1.0重量%であり、ここで前記α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ工程(2)の前記反応が50〜60℃の温度で8〜36時間行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記α-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.05重量%から1.0重量%であり、ここで前記α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、工程(2)の前記反応が、出発混合物中の水分が40%から65%までである条件下、50〜60℃の温度で行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
真菌および/または細菌が、0.25%から10%の量で添加される生酵母である、請求項2から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
回分法、流加法または連続法として行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項13から18のいずれか一項に規定する方法で得ることのできる固形バイオ製品。
【請求項20】
請求項1から18のいずれか一項に規定する方法で得ることのできる固形バイオ製品であって、植物タンパク質を乾物の約60重量%までの量、および場合によってグリセリドを25重量%までの量含む固形バイオ製品。
【請求項21】
植物タンパク質を、約60重量%未満の量含む、請求項20に記載の固形バイオ製品。
【請求項22】
請求項2から18のいずれか一項に規定する方法で得ることのできる固形バイオ製品であって、植物タンパク質を乾物の約75重量%までの量、および場合によってグリセリドを25重量%までの量含む固形バイオ製品。
【請求項23】
ラフィノース、スタキオースおよびベルバスコースの総量が、8重量%未満、例えば5重量%未満または2重量%未満である、請求項19から22のいずれか一項に記載の固形バイオ製品。
【請求項24】
ラフィノースの量が、3.0%未満、例えば2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満または0.25%未満である、請求項19から23のいずれか一項に記載の固形バイオ製品。
【請求項25】
スタキオースの量が、1.0%未満、例えば0.75%未満または0.5%未満または0.25%未満である、請求項19から24のいずれか一項に記載の固形バイオ製品。
【請求項26】
ヒトおよび/もしくは動物による消費用の加工食物製品の製造のための、または食物もしくは飼料製品の製造のための、あるいは化粧品もしくは医薬品または栄養補助食品の製造のための、請求項19から25のいずれか一項に規定する固形バイオ製品の使用。
【請求項27】
請求項19から25のいずれか一項に規定する固形バイオ製品を1重量%から99重量%含有する、食品、飼料、化粧品もしくは医薬品または栄養補助食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単糖およびスクロースの含有量が豊富になり、かつ難消化性オリゴ糖の含有量が低減された、糖構成の改変されたバイオ製品を生産するための方法に関する。本発明はさらに、もともとあった、またはα-ガラクトシダーゼにより生じた発酵性糖が、真菌または細菌によりさらに変換されうる方法に関する。
本発明はさらには、この方法によって得ることのできる製品、およびその得られた製品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
主に食物または飼料中の成分として使用できる、バイオ製品が必要とされている。このような製品中の基礎構成成分は、タンパク質、脂肪、および炭水化物である。
このような製品に適したバイオマスは、草本類、ならびに種子、穀類および豆類などの、油作物である。乾物ベースで、例えばコムギなどの穀類はタンパク質を最大15%含有し、ダイズなどの豆類は最大45%含有する。
特に豆類に関係する一般的問題は、含有される難消化性オリゴ糖が腸内で発酵すると、鼓腸を引き起こしてしまうことである。オリゴ糖であるラフィノース、スタキオースおよびベルバスコースの存在は、水に浸漬するか、または酵素的にα-ガラクトシダーゼによって加水分解することによって低減することができる。これに伴う問題は、80%以上の比較的高い水分で行わなければならない浸漬におけるまたは酵素処理による水の使用のために、最終製品のコストに上乗せされてしまうことである。
【0003】
US 6,238,725 B1には、水に浸漬することによって、鼓腸を引き起こすオリゴ糖を除去する、マメ科植物を調製するための方法が開示されている。
【0004】
WO 02/15712 A2には、α-ガラクトシダーゼを使用してダイズタンパク質製品を製造するための方法であって、その方法における水分が80〜90%である方法が開示されている。得られたダイズ製品は、最低60%のタンパク質含有量、ならびに5%未満のラフィノースおよびスタキオースの合計含有量を有する。
【0005】
US 2003/019041 A1には、グリコシダーゼ酵素(α-ガラクトシダーゼ)を使用してダイズタンパク質濃縮物を製造するための方法であって、その実施例によればその方法における水分が約90%である方法が開示されている。加水分解後、炭水化物および塩を限外濾過で除去する。得られたダイズ濃縮物は、最低65%のタンパク質含有量、ならびに4%未満のラフィノースおよびスタキオースの合計含有量を有する。
【0006】
WO 2009/143591には、不溶性多糖を可溶性糖に変換でき、かつ最大35%の水分でタンパク質を加水分解できる酵素を使用することにより、ダイズを加工するための方法が開示されている。分解レベルは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 6,238,725 B1
【特許文献2】WO 02/15712 A2
【特許文献3】US 2003/019041 A1
【特許文献4】WO 2009/143591
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Lipid Glossary 2」、F.D. Gunstone、The Oily Press、2004年
【非特許文献2】「Carbohydrate analysis - A practical approach」、 IRL Press、Oxford、 M.F.ChaplanおよびJ.F.Kennedy編、1986年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、単糖およびスクロースの含有量が豊富になり、かつ難消化性オリゴ糖の含有量が低減された、糖構成の改変されたバイオ製品を生産するための改良された方法であって、その方法における水分が少ないためにより低コストで行うことができる方法を提供することである。
【0010】
さらに別の目的は、もともとあった、またはα-ガラクトシダーゼにより生じた発酵性糖が、例えば酵母などの真菌、および/またはラクトバチルス(Lactobacillus)などの細菌によりさらに変換されうる方法を提供することである。
【0011】
以上の目的は、本発明の方法および製品により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、元の消化できない植物オリゴ糖(ラフィノース、スタキオースおよびベルバスコース)含有量の少なくとも80%が、消化可能な単糖および二糖に分解されている固形バイオ製品を生産するための方法であって、以下の:
1)オリゴ糖と、場合により多糖を含み、タンパク質性植物部位をさらに含む、粉砕された、もしくはフレーク状にされた、または他の方法で解体されたバイオマス、水、および、α-ガラクトシダーゼを含有する1つもしくは複数の酵素調製物の混合物を用意する工程と、
2)工程(1)から得られた混合物を混合し続けながら、出発混合物中の水分が65重量%を超えない条件下、約20〜65℃の温度で0.15〜36時間反応させる工程と、
3)工程(2)の反応済み混合物を、前記α-ガラクトシダーゼを失活させる温度および期間、インキュベートする工程と
を含む方法に関する。
【0013】
酵素加水分解、すなわち水との反応による触媒的分解を、65重量%を超えない水分で行うことができるというのは驚きである。通常水分が少ないと、基質との、力学的接触の問題により反応を遅くする傾向がある。この段階で科学的説明を与えようとすると、推測的になる。基質の前処理と、α-ガラクトシダーゼの活性と、反応中の混合手順との組合せが、鍵となる要因だと考えられる。
利点は、この方法により得られる製品が、この方法における水分が少ないことにより、わずかな量の水分しか含有しないこと、したがって除去すべき水の量がわずかなために製品の乾燥が低コストで行えることである。
【0014】
本発明はさらに、本発明による方法で得ることのできる固形バイオ製品であって、植物タンパク質を乾物の約60重量%までおよび場合によってグリセリドを25重量%までの量含む製品を提供する。
【0015】
本発明は、請求項13から20に規定される方法で得ることのできる固形バイオ製品も提供する。
【0016】
最後に、本発明は、本発明による固形バイオ製品を1重量%から99重量%含有する、食品、飼料、化粧品もしくは医薬品または栄養補助食品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本発明に関しては、本明細書の記述中の他の箇所で規定されない限りは、下記の用語は以下を含意する。
【0018】
「約」、「ほぼ」、「およそ」または「約(記号)」という用語は、例えば+/- 1、2、5、10、20%、または50%程度の大きさにすらなることがある、当技術分野で一般に経験される測定の不確かさなどを示すことを意図する。
【0019】
「含む」という用語は、言及された部分、工程、特徴、組成物、化学物質または構成要素の存在を特定すると解釈されたい。しかしこの用語は、1つまたは複数の追加の部分、工程、特徴、組成物、化学物質または構成要素の存在を除外しない。例えば、ある化学化合物を含む組成物は、したがって、追加の化学化合物などを含むことができる。
【0020】
「難消化性」という用語は、ヒトおよび単胃/非反芻動物によって消化できないと解釈されたい。
【0021】
「元の難消化性オリゴ糖含有量の少なくとも80%が、分解されている」という用語は、難消化性オリゴ糖の総含有量が、少なくとも80%分解されていることを特定するものと解釈されたい。この用語には、元の、つまり開始時点でのオリゴ糖の総含有量が、少なくとも80%だけ、と特定された分、低減されている限りは、ある種類のオリゴ糖が別の種類のオリゴ糖よりも大きく分解されることや、ある種類のオリゴ糖はわずかしか分解されないことすらある製品も含まれる。
【0022】
バイオマス:
光合成により生成し、工業生産での原料として使用できる生物材料を含む。
これに関しては、バイオマスは、草本類、穀類、種子、堅果、マメおよびエンドウマメなどの形態の植物物質、ならびにそれらの混合物を指す。
さらには、豆類を含むバイオマスは、そのタンパク質の含有量および組成のために好まれる。それらはまた、アルファ-ガラクトシド(alpha-galactosides)を含む炭水化物を含有する。一般に、主要なオリゴ糖がベルバスコースであるフィールドピー(field pea)を除けば、主要なアルファ-ガラクトシドはスタキオースである。
【0023】
他の方法で解体された:
調理により、ならびに/あるいは浸軟および/また酸もしくはアルカリによる圧力調理、または超音波処置により解体されたことを意味する。
【0024】
炭水化物:
単糖、二糖、オリゴ糖および多糖を含む。
C5糖(ペントース)は、例えばアラビノースなど、その構成要素の単量体糖が5つの炭素原子を有する環から構成される、炭水化物である。
C6糖(ヘキソース)は、例えばガラクトースなど、その構成要素の単量体糖が6つの炭素原子を有する環から構成される、炭水化物である。
【0025】
オリゴ糖および多糖:
オリゴ糖は、単純糖(simple sugars)としても知られる構成要素の単量体糖を、少数個(例えば8〜10個までを含む)含有する糖の重合体である。代表例は、三糖であるラフィノース(D-ガラクトース-α1,6-D-グルコース-α1,β2-D-フルクトース)、四糖であるスタキオース(D-ガラクトース-α1,6-D-ガラクトース-α1,6-D-グルコース-α1,β2-D-フルクトース)および五糖であるベルバスコース(D-ガラクトース-α1,6-D-ガラクトース-α1,6-D-ガラクトース-α1,6-D-グルコース-α1,β2-D-フルクトース)である。
【0026】
多糖は、構成要素の単量体糖を多数含有する糖の重合体であり、複合炭水化物(complex carbohydrates)としても知られる。もしこれらの単量体糖が同じ種類であれば、多糖はホモ多糖と呼ばれるが、複数種類存在すれば多糖はヘテロ多糖と呼ばれる。
例としては、澱粉などの貯蔵多糖、ならびにセルロースおよびアラビノキシランなどの構造多糖が挙げられる。
【0027】
タンパク質材料:
直鎖状に並び、ペプチド結合と呼ばれる結合により、相互に連結されたアミノ酸から構成される有機化合物を含む。鎖長がおよそ50アミノ酸までのとき、この化合物はペプチドと呼ばれ、より高分子量のとき、この有機化合物はポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
【0028】
脂肪:
脂肪酸とグリセロールとのエステルを含む。1分子のグリセロールは、1、2および3分子の脂肪酸とエステル形成して、それぞれモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドを生ずることができる。通常、脂肪は、主にトリグリセリド、およびわずかな量のレシチン、ステロールなどからなる。脂肪が室温で液体である場合、これは通常油と呼ばれる。これに関する油、脂肪および関連する生成物については、「Lipid Glossary 2」、F.D. Gunstone、The Oily Press、2004年を参照する。
【0029】
グリセリド:
モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドを含む。
【0030】
加工助剤:
1.酵素
酵素は、触媒として働くタンパク質物質の、非常に大きなクラスである。一般的に酵素は6つのクラスに分類され、本発明の範囲に含まれる主なクラスは、官能基を転移する転移酵素、および種々の結合を加水分解する加水分解酵素であり得る。
これに関して、グリコシドヒドロラーゼ酵素は重要である。特に、ガラクトースオリゴ糖およびガラクトマンナンを含むアルファ-ガラクトシドの、末端アルファ-ガラクトース(alpha-galactose)を加水分解してD-ガラクトース残基を遊離する酵素であるα-ガラクトシダーゼは、重要である。
調製物中のα-ガラクトシダーゼ活性は、実際の酵素製品1グラムあたりのユニットで表され、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシドを水および酵素と25℃で10分間反応させてD-ガラクトースおよびp-ニトロフェニルを形成させ、分光光度法で410nmにおいてモニターすることによりアッセイする。
α-ガラクトシダーゼ1ユニットは、1分あたり1マイクロモル(10
-6モル)のp-ニトロフェニルを遊離する酵素活性である。
酵素のさらなる例は、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、フィターゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼおよび酸化還元酵素を含む。
【0031】
2.植物構成要素および有機加工剤
これに関して重要な機能的特性のいくつかは、抗酸化、抗菌作用、湿潤特性および酵素の刺激である。
植物ベースの構成要素の一覧は長大なものとなるが、最も重要なのは以下である:ローズマリー、タイム、オレガノ、フラボノイド、フェノール酸、サポニン、ならびに可溶性炭水化物を改質するための、例えばフムロンおよびルプロンなど、ホップ由来のα酸およびβ酸。さらには、pH値、保存特性、およびキレートとしての特性を調節するための、例えばソルビン酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸およびアスコルビン酸など、有機酸ならびにそれらの塩も、このグループの加工助剤の一部である。
【0032】
3.無機加工剤
例えば重亜硫酸ナトリウムなど、加工中、発酵混合物を細菌による攻撃から保護することのできる、無機組成物を含む。
例えばケイ酸アルミニウムカリウムなど、最終製品中の固化防止剤および流動性向上剤。
【0033】
加工食物製品:
乳製品、加工肉製品、菓子、デザート、アイスクリームデザート、缶入り製品、凍結乾燥食品、ドレッシング、スープ、コンビニエンスフード、パン、ケーキなどを含む。
【0034】
加工飼料製品:
子ブタ、子ウシ、家禽、毛皮の動物、ヒツジ、ネコ、イヌ、魚および甲殻類などの動物のための、すぐに使える飼料または飼料成分を含む。
【0035】
医薬製品:
疾患または状態の症状を治療および/または軽減する目的の、1つまたは複数の生物学的有効成分を含有する、一般的には錠剤の形態または顆粒化された形態の製品を含む。医薬製品にはさらに、薬学的に許容できる賦形剤および/または担体が含まれる。本明細書で開示される固形バイオ製品は、錠剤または顆粒剤中の薬学的に許容できる成分として使用するのに、非常によく適している。
【0036】
化粧製品:
コンディショナーおよび浴用剤などの身なりの清潔さおよび外見の改善を目的とした製品を含む。
【0037】
発明の詳細な説明
含有されていると本発明の方法で分解される、元の消化できない植物オリゴ糖は主に、ラフィノース、スタキオースおよびベルバスコースである。
【0038】
出発反応混合物中の水分は、65重量%を超えないが、これは混合物中の乾物含量が少なくとも35%であることを意味する。
【0039】
反応時間は、約20〜65℃の温度で0.15〜36時間である。温度は、例えば25〜60℃、30〜55℃、35℃から50℃まで、40℃から45℃まで変化させることができ、また反応時間は、例えば10分から36時間まで、20分から30時間まで、1時間から24時間まで、2時間から20時間まで、4時間から18時間まで、8時間から16時間まで、または12時間から14時間まで変化させることができる。
【0040】
本発明の方法の一実施形態では、生酵母などの真菌、および/または細菌を、オリゴ糖および/または多糖ならびにタンパク質性植物部位を含むバイオマス(真菌/細菌とバイオマスとの乾物比が1:2から1:400まで)に添加し、かつ工程(3)のインキュベートを、前記α-ガラクトシダーゼならびに真菌および/または細菌を失活させる温度と期間、行うことを、方法はさらに含む。したがって、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:200および1:300などの、乾物比が含まれる。反応混合物のインキュベートは、70、75、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150℃を含む例えば85〜150℃など、約70〜150℃で、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、90、120、150、180、210、および240分を含む例えば6〜240分など、0.5〜240分間行うことができる。
【0041】
インキュベートのための条件を選択するにあたっては、技術者は、非常に高い温度を使うと、比較的短いインキュベート時間が必要なことを知っている。
【0042】
この実施形態では、反応工程(2)を嫌気性および/または好気性条件下で行うことができる。
【0043】
第2の実施形態では、α-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマスの0.001重量%から1.0重量%であり、ここでα-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ/または工程(2)の反応が、出発混合物中の水分が30重量%から65重量%である条件下で行われる。この水分は、混合物中の乾物含量が35重量%から70重量%であることを意味する。
【0044】
したがって水分は、例えば35%から60%まで、40%から55%まで、または45%から50%までになるように変化させることができる。ゆえに、工程(1)で用意する反応混合物中の乾物含量も、それに応じて、例えば45%、50%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%または67.5%など、例えば40%から65%まで、45%から60%まで、または50%から55%までになるように変化させることができる。
【0045】
1つまたは複数のα-ガラクトシダーゼ調製物の量は、酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有するα-ガラクトシダーゼ調製物の、例えば0.01%から1.0%まで、0.025%から0.75%まで、0.05%から0.5%まで、0.075%から0.25%まで、または0.1%から0.125%まで変化させることができる。α-ガラクトシダーゼ調製物の活性も、用いる酵素の量が酵素製品の強さに適している限り、例えば酵素製品1グラムあたり、5から200,000まで、または100,000から150,000まで、50から50,000まで、または500から10,000までのユニットなど、酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットよりも低くても高くてもよい。α-ガラクトシダーゼ調製物の量および活性が高いほど、より短い反応時間が一般に必要とされ、逆もまた真である。酵素技術分野内の技術者ならば、このことを承知しているであろう。
【0046】
第3の実施形態では、工程(2)の反応を、反応混合物と添加剤の導入手段および生成物の排出手段、さらには回転速度、温度およびpHの制御手段を備えた、1つもしくは複数の非垂直の連結パドルワームコンベア(interconnected paddle worm conveyer)または連続ワームコンベア(continuous worm conveyer)において行う。この実施形態は、連続ワームコンベアを、反応混合物を圧縮することなく搬送し、掻き回すように、反応混合物を搬送すると同時に持ち上げるように設計された、場合により改変型の、単羽根スクリュー(single bladed screw)もしくは多羽根スクリュー(multi bladed screw)のコンベアまたは交差スクリュー(intersected screw)コンベアとすることもできる、変形形態であってもよい。反応工程(2)は、例えばナウターミキサー(Nauta Mixer)など、垂直スクリューミキサー(Vertical Screw Mixer)中で行うこともできる。
【0047】
本発明の方法の、第4の実施形態では、ホップ由来のα酸およびβ酸を含有するホップ製品などの1つまたは複数の加工助剤を、工程(1)、工程(2)および/または工程(3)のうちの任意の工程で添加する。1つまたは複数の加工助剤は、本出願の「定義」の章で上記規定した、酵素、植物構成要素および/または有機加工剤、および/または無機加工剤であってもよい。
【0048】
第5の実施形態では、バイオマスに添加することのできる真菌および/または細菌は、使用済み醸造用酵母(spent brewer's yeast)および使用済み蒸溜酒用酵母(spent distiller's yeast)およびワイン製造由来の使用済み酵母およびパン酵母(baker's yeast)を含むサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株、ならびにバチルス・セレウス(Bacillus cereus)株およびC5糖を発酵させる酵母株のなかから選択される生酵母である。生酵母は、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%または9%などの、例えば0.25%から10%までの量で添加することができる。
【0049】
第6の実施形態では、バイオマスに含まれるタンパク質性植物部位は、ダイズ、エンドウマメ、マメ、ルピナスなどの豆類、および/またはコムギなどの穀類、および/または草本類、ならびにさらに本出願の「定義」の章で規定したものであってよい。第7の実施形態では、バイオマスはさらに、例えばナタネおよびダイズなど、例えば含油植物の種子由来の、油および脂肪、ならびにさらに本出願の「定義」の章で上記規定したものを含むことができる。
【0050】
第8の実施形態では、工程(3)で得られる反応混合物を、水分10重量%以下に乾燥する。
【0051】
さらなる実施形態では、前記1つもしくは複数のα-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.25重量%から1.0重量%であり、α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ工程(2)の前記反応を、30〜60℃の温度で4〜36時間行う;または、
前記1つもしくは複数のα-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.25重量%から1.0重量%であり、α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ工程(2)の前記反応を、50〜60℃の温度で4〜36時間行う;または、
前記1つもしくは複数のα-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.01重量%から1.0重量%であり、α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、かつ工程(2)の前記反応を、50〜60℃の温度で8〜36時間行う;または、
前記1つもしくは複数のα-ガラクトシダーゼ調製物の量が、出発混合物中のバイオマス乾物の0.05重量%から1.0重量%であり、α-ガラクトシダーゼ調製物が酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有し、工程(2)の前記反応を、出発混合物中の水分が40%から65%までである条件下50〜60℃の温度で行う;または、
真菌および/もしくは細菌が、0.25%から10%の量で添加される生酵母である。
【0052】
最後の実施形態では、本方法を回分法、流加法または連続法として行う。
【0053】
請求項1から16に規定の方法で得ることのできる固形バイオ製品は、タンパク質を約60重量%までの量含む。この量は乾物の例えば10〜59重量%、40〜59重量%、45〜58重量%、48〜55重量%または50〜53重量%など、60重量%未満でよい。グリセリドの量は、例えば乾物の0〜20重量%、2〜20重量%、5〜18重量%または10〜15重量%でよい。
【0054】
請求項22に規定の固形バイオ製品は、タンパク質を、例えば40重量%から75重量%まで、45重量%から70重量%まで、48重量%から65重量%まで、50重量%から60重量%まで、または53重量%から55重量%までなど、約75重量%まで含むことができる。前記固形バイオ製品はさらに、グリセリドを例えば乾物の0〜20重量%、2〜20重量%、5〜18重量%または10〜15重量%など、乾物の25重量%までの量含むことができる。
【0055】
請求項11から16に記載の方法で得ることのできる固形バイオ製品は、タンパク質を60重量%まで含むことができるか、または、タンパク質を60重量%を超えて含むことができる。例えば40重量%から75重量%まで、45重量%から70重量%まで、48重量%から65重量%まで、50重量%から60重量%まで、または53重量%から55重量%まで、のタンパク質など。前記固形バイオ製品はさらに、グリセリドを、例えば乾物の0〜20重量%、2〜20重量%、5〜18重量%または10〜15重量%など、乾物の25重量%までの量含むことができる。
【0056】
バイオマスが、請求項2に記載の方法に従って生酵母により発酵している場合、タンパク質の量は特に多くなりうる。
【0057】
オリゴ糖であるラフィノース、スタキオースおよびベルバスコースは、本発明の方法によりガラクトースおよびスクロースなどの単糖および二糖に分解される。スクロースは、得られるバイオ製品中に多く含有されていると消費後の食傷感に寄与することになるので、本方法から得られる興味深い生成物である。スクロースの量は、乾物の15〜20重量%もの多量でもよい。
【0058】
一実施形態では、本発明の固形バイオ製品は、ラフィノース、スタキオースおよびベルバスコースを合計で、例えば6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満または1重量%未満など、8重量%未満の量含む。
【0059】
別の実施形態では、本発明の固形バイオ製品は、ラフィノースを、例えば2%未満、1.5%未満、1%未満または0.75%未満または0.5%未満または0.25%未満など、3.0%未満の総量含む。
【0060】
さらに別の実施形態では、本発明の固形バイオ製品は、スタキオースを、例えば0.75%未満または0.5%未満または0.25%未満など、1.0%未満の総量含む。
【0061】
本発明はまた、ヒトおよび/もしくは動物による消費用の加工食物製品において、食物もしくは飼料製品中で使用されるための成分として、あるいは化粧製品もしくは医薬製品または栄養補助食品の成分としての、本発明による固形バイオ製品の使用に関する。
【0062】
最後に、本発明は、本発明による固形バイオ製品を1重量%から99重量%含有する、食品、飼料、化粧品もしくは医薬品または栄養補助食品に関する。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
ダイズ由来オリゴ糖を含むバイオマスの実験室規模の方法による酵素加水分解
1.1材料と方法:
オリゴ糖であるスタキオースおよびラフィノースの酵素加水分解を、脱脂ダイズからなるバイオマス10gと、混合物中における特定の乾物(DM)含量、および特定の酵素濃度に達するような量加えた、α-ガラクトシダーゼ酵素を含有する水とで行った。
混合物が確実に均一になるように、混合した。
ダイズミール(soy bean meal)の乾物に対して様々な濃度で使用された酵素は、Advanced Enzyme Technologies、Maharasthra、IndiaからSEBSoy 5.0 Lの商品名のもとで販売されている市販製品であった。
SEBSoy 5.0 Lの活性は、5,000U/gに統一する。
【0064】
酵素加水分解は、小さなガラス容器中、34℃および55℃で4時間から16時間行い、続いて100℃で熱処理して酵素を失活させた。
酵素加水分解を終結させた後、含有される可溶性炭水化物を、10%DMの水懸濁液スラリーを30分撹拌し、続いて3,000×gで10分間遠心分離することにより、抽出した。
バイオマスの水性抽出物中の単糖およびオリゴ糖を、TLCシリカゲル60プレート(Merck)上で薄層クロマトグラフィーにより分析した。各種構成要素を、濃度既知の標準物質と比較して定量した(「Carbohydrate analysis - A practical approach」、 IRL Press、Oxford、 M.F.ChaplanおよびJ.F.Kennedy編、1986年)。
【0065】
1.2結果:
1.2-a.異なる温度での用量応答
45%DMでの4時間の反応時間の後、下記の表に記載した結果を得た:
【0066】
【表1】
【0067】
この結果から、スタキオースは、低い方の酵素濃度で、1分子のD-ガラクトースおよび1分子のラフィノースを加水分解の第1段階において生成するにつれ、低減するのが見て取れる。
スタキオースおよびラフィノースを合わせた含有量の低減分の合計は、酵素濃度に対してほとんど線形関数である。
さらには、温度を34℃から55℃に増加させるのは、用量を2から3倍に増加させる場合と同じ効果に相当するのが見て取れる。
【0068】
1.2-b.反応時間に応じた効果
0.05%の用量のSEBSoyを用い、55℃の反応温度、45%DMで、下記の表に記載した結果を得た:
【0069】
【表2】
【0070】
この結果から、反応時間が2倍に増加するたびに、スタキオースおよびラフィノースを合わせた含有量がほとんど3分の1にまで低減するのが見て取れる。
【0071】
1.2-c.反応混合物中の乾物含量に応じた効果
0.25%の用量のSEBSoyを用い、55℃の温度で、4時間の反応時間、下記の表に記載した結果を得た:
【0072】
【表3】
【0073】
この結果から、スタキオースおよびラフィノースの総含有量が、乾物に応じて増加し、かつ50%から60%の区間では、この増加が等間隔であることが見て取れる。
【0074】
(実施例2)
エンドウマメ由来オリゴ糖を含むバイオマスの実験室規模の方法による酵素加水分解
2.1材料と方法:
オリゴ糖であるスタキオース、ラフィノースおよびベルバスコースの酵素加水分解を、粉砕されたエンドウマメからなるバイオマス10gと、混合物中における50%の乾物(DM)含量、および特定の酵素濃度に達するような量加えた、α-ガラクトシダーゼ酵素を含有する水とで行った。
使用した酵素調製物および方法は、実施例1の段落1.1のもとに記述した通りであった。
【0075】
2.2結果:
2.2異なる温度での用量応答
50%DMでの4時間の反応時間の後、下記の表に記載した結果を得た:
【0076】
【表4】
【0077】
この結果から、34℃で4時間の反応時間を使用すると、オリゴ糖の総含有量を低減するためには、0.25%の用量が必要なことが見て取れる。
【0078】
【表5】
【0079】
この結果から、55℃で4時間の反応時間を使用すると、オリゴ糖の総含有量を低減するためには、たった0.05%の用量しか必要とされないことが見て取れる。これは、反応温度を34℃から55℃に上げると、酵素活性が約5倍に上昇することに相当する。
【0080】
(実施例3)
ダイズ由来オリゴ糖およびタンパク質を含むバイオマスの回分法による酵素加水分解
3.1材料と方法:
瞬間脱溶媒化された(flash desolventized)ダイズフレーク200kgを、材料を搬送し、持ち上げ、かつ混合することのできる密閉単羽根(closed single bladed)ワームコンベアに供給した。同時に、170リットルの水および200mlのSEBSoy 5.0 L酵素(酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有する調製物を0.1%の用量)を加え、混合物中の乾物含量が約50重量%に達するようにした。
混合物を、34℃で16時間加水分解し、水分が5.6%になるまで乾燥した。バイオマスの水性抽出物を、炭水化物の含有量についてフェノール硫酸法により分析し、オリゴ糖を、TLCで分離した後、定量した(「Carbohydrate analysis - A practical approach」、 IRL Press、Oxford、 M.F.ChaplanおよびJ.F.Kennedy編、1986年)。
【0081】
3.2結果:
結果を以下に表にする:
【0082】
【表6】
【0083】
この結果から、本発明の製品は、タンパク質を乾物の約60重量%、およびオリゴ糖を少量含有することが見て取れる。
【0084】
(実施例4)
ダイズ由来オリゴ糖およびタンパク質を含むバイオマスの回分法による酵素加水分解および種々の酵母による発酵
4.1材料と方法:
瞬間脱溶媒化されたダイズフレーク200kgを、材料を搬送し、持ち上げ、かつ混合することのできる密閉単羽根ワームコンベアに供給した。同時に、170リットルの水、使用済み醸造用酵母またはパン酵母のスラリー、および200mlのSEBSoy 5.0 L酵素(酵素製品1グラムあたりα-ガラクトシダーゼ5,000ユニットの活性を有する調製物を0.1%の用量)を加え、混合物中の乾物含量が約50重量%に達するようにした。
この2つの混合物を、34℃で16時間加水分解し、乾物含量が95±0.3%になるまで乾燥した。
この製品を前記実施例の通りに分析した。
【0085】
4.2結果:
結果を以下に表にする:
【0086】
【表7】
【0087】
この結果から、本発明の製品は、本方法を酵母発酵下で行うと、タンパク質を乾物の60重量%よりわずかに多く含有することが見て取れる。得られる製品は、オリゴ糖を少量含有する。
【0088】
(実施例5)
ダイズ由来オリゴ糖を含むバイオマスの実験室規模の方法による比較のための酵素加水分解
この実施例では、α-ガラクトシダーゼによるオリゴ糖低減への、本発明での加工パラメーター(温度および乾物)のもとにおける影響を、WO 2009/143591の発明での加工パラメーターのもとにおける影響と比較して例示する。
WO 2009/143591では、水分は最大35%、より良くて30%、さらに良くて25%であると記載されている。酵素加水分解のための最適温度は、60℃から80℃の間であると言及されている。
【0089】
5.1材料と方法:
オリゴ糖であるスタキオースおよびラフィノースの酵素加水分解を、脱脂ダイズおよび全脂ダイズミールからなるバイオマス10gと、混合物中における特定の乾物(DM)含量、および特定の酵素濃度に達するような量加えた、α-ガラクトシダーゼ酵素を含有する水とで行った。
混合物が確実に均一になるように、混合した。
脱脂ダイズまたはダイズミールの乾物に基づき様々な濃度において使用された酵素は、Advanced Enzyme Technologies、Maharasthra、Indiaから入手可能で、SEBSoyの商品名のもとで販売されている市販製品、およびEnzyme Development Corporation (EDC) New York、USA製のα-ガラクトシダーゼであった。
酵素調製物の活性は、5,000U/gに統一した。
酵素加水分解は、小さなガラス容器中、55℃または70℃で4時間および16時間行い、続いて100℃で熱処理して酵素を失活させた。
酵素加水分解を終結させた後、含有される可溶性炭水化物を、10%DMの水懸濁液スラリーを30分間撹拌し、続いて3,000×gで10分間遠心分離することにより、抽出した。
バイオマスの水性抽出物中に含有される単糖およびオリゴ糖を、TLCシリカゲル60プレート(Merck)上で薄層クロマトグラフィーにより分析した。各種構成要素を、濃度既知の標準物質と比較して定量した(「Carbohydrate analysis - A practical approach」、 IRL Press、Oxford、 M.F.ChaplanおよびJ.F.Kennedy編、1986年)。
【0090】
5.2結果:
A.本発明のパラメーター: DM 45%、温度55℃および反応時間16時間
【0091】
【表8】
【0092】
この結果から、本発明の加工パラメーターでは、16時間の反応時間の後、0.05%の酵素用量では、バイオマス中のオリゴ糖の低減は89%を超えるのが見て取れる。
【0093】
B.本発明のパラメーター: DM 45%、温度55℃および反応時間4時間
【0094】
【表9】
【0095】
この結果から、本発明の加工パラメーターでは、4時間の反応時間の後、0.25%の酵素用量では、バイオマス中のオリゴ糖の低減は93%を超えるのが見て取れる。
【0096】
C. WO 2009/143591のパラメーター: DM 70%、温度70℃および反応時間4時間
【0097】
【表10】
【0098】
この結果から、WO 2009/143591の加工パラメーターでは、4時間の反応時間の後、0.25%の酵素用量では、バイオマス中のオリゴ糖の低減は21〜39%の区間内に留まるのが見て取れる。
【0099】
D. WO 2009/143591のパラメーター: DM 70%、温度70℃および反応時間16時間
【0100】
【表11】
【0101】
この結果から、WO 2009/143591の加工パラメーターでは、16時間の反応時間の後、0.05%の酵素用量では、バイオマス中のオリゴ糖の低減は0〜28%の区間内に留まるのが見て取れる。
【0102】
5.3結論:
これらの結果から、WO 2009/143591で使用される加工パラメーター(温度および乾物含量)は、ダイズ由来のバイオマス中に存在するオリゴ糖を80%以上変換することができないのは明らかである。したがって、本発明の方法によって得ることができるのと同じ高レベルでの、消化可能な単糖および二糖への分解を達成することは、可能でない。