【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、薬物送達デバイスのためのアセンブリが提供される。そのアセンブリは、ある用量の薬物を設定するために近位方向に設定運動を実行するように構成され、ある用量の薬物を投薬するために遠位方向に投薬運動を実行するように構成されている、アクチュエータを含む。そのアセンブリはさらに、ある用量の設定が妨げられるようにアクチュエータの設定運動を軸方向に制限するように構成されており、最大用量の薬物が送達された後に働く止め具機構(stop mechanism)を含み、ここで、アクチュエータの限定的な軸方向運動が可能になる。限定されている軸方向運動は、ゼロより大きくてよいが、用量設定運動より小さい。
【0008】
最大用量はデバイス内で利用可能な薬物の量とすることができる。たとえば、最大用量はカートリッジによって含まれる量とすることができる。一実施形態によれば、決められた回数の投薬運動の後のアクチュエータの軸方向運動を限定することができる。特に、アクチュエータの軸方向運動は、可能な最終用量を投薬した後に限定することができる。
【0009】
アクチュエータの限定的な軸方向運動が可能であるときにある用量の設定を妨げる止め具機構の利点は、たとえば製造公差によってアクチュエータの限定的な運動が可能な場合でも用量を設定することができないことである。それにより、間違った用量、たとえば不十分な用量をユーザが投薬することができない。特に、ユーザがデバイスに残る薬物量を超える用量を設定することを妨げることができる。それにより、投薬の正確性を向上させることができる。さらに、デバイスが空であるというフィードバックがユーザに与えられる。さらに、そのデバイスは止め具機構によってロックすることができる。これは再使用できない使い捨ての薬物送達デバイスの場合に有利である。
【0010】
遠位方向はデバイスの投薬端部(dispensing end)に向かう方向とすることができる。同様に、アセンブリまたは任意の構成要素の遠位端は投薬端部に最も近い端部とすることができる。近位方向はデバイスの投薬端部から離れる方向とすることができる。アセンブリまたは任意の構成要素の近位端は投薬端部から最も遠い端部とすることができる。
【0011】
一実施形態によれば、アセンブリは駆動部材を含む。駆動部材はスリーブ部材でよい。駆動部材はアセンブリのハウジングに対して回転方向に固定することができる。駆動部材は、ある用量を設定するために近位方向に、ある用量を投薬するために遠位方向に移動するように構成することができる。ある用量を設定および投薬する間の駆動部材の軸方向運動の量を決定することができる。それにより、設定される用量の量は固定されている。特に、ユーザが設定される用量の量を調節することができない。たとえば、アセンブリはストップ面を含むことができ、ここで、駆動部材がストップ面に当接すると一方向へのさらなる軸方向運動が妨げられる。ストップ面はアセンブリのハウジングに含まれてよい。特に、駆動部材はある用量を設定および投薬する間に軸方向運動、非回転運動を実行することができる。
【0012】
一実施形態によれば、アセンブリはばね機構を含む。ばね機構は、アクチュエータが用量設定方向の限定的な運動を実行した後に遠位方向にアクチュエータを付勢できるように構成することができる。特に、ばね機構は駆動部材と相互作用することができる。それにより、ばね機構は、アクチュエータが用量設定方向の限定的な運動を実行したときに遠位方向に駆動部材を付勢することができる。特に、アクチュエータは、ばね機構によって遠位方向に後退することができる。
【0013】
アクチュエータが限定的な運動を実行した後に遠位方向にアクチュエータを付勢するように構成されたばね機構の利点は、デバイスが空であること、すなわち、デバイスから最終用量が投薬されたことをユーザが認識できることである。それにより、ユーザに対する安全性を向上させることができる。
【0014】
一実施形態によれば、駆動部材はランプ(ramp)機能を含み、ここで、ばね機構はランプ機能と相互作用することができる。ランプ機能は駆動部材の遠位部分に配置することができる。ランプ機能は三角形の突出部として構成することができる。一実施形態では、駆動部材は互いに反対側に配設できる2つのランプ機能を含むことができる。代替方法として、ランプ機能は駆動部材上の円周方向の突出部とすることができる。ランプ機能は遠位ランプ面および近位ランプ面を含むことができる。遠位ランプ面はデバイスの遠位端を向いていてよい。特に、遠位ランプ面は、デバイスの近位端に向かう方向において隆起することができる。近位ランプ面はデバイスの近位端を向いていてよい。特に、近位ランプ面はデバイスの遠位端に向かう方向において隆起することができる。遠位ランプ面および近位ランプ面はデバイスの長手方向軸に対して傾斜してよい。特に、遠位ランプ面および近位ランプ面はいずれもデバイスの長手方向軸との間に鋭角を囲むことができる。たとえば、ランプ機能のプロフィルは直角三角形とすることができる。
【0015】
一実施形態によれば、ばね機構は少なくとも1つの弾性アームを含む。たとえば、ばね機構は互いに反対側に配設された2つの弾性アームを含むことができる。少なくとも1つの弾性アームはアセンブリの構成要素に配置することができる。少なくとも1つの弾性アームは軸方向に固定することができる。弾性アームはデバイスの長手方向軸に対して偏向するように構成することができる。特に、弾性アームは、アクチュエータが設定運動または投薬運動を事項するときに偏向するように構成されている。
【0016】
弾性アームは、駆動部材のランプ機能と相互作用するように構成することができる。特に、弾性アームは、アクチュエータが容量の設定運動または投薬運動を実行するときにランプ機能と相互作用することができる。弾性アームは、ある用量を設定する間に、まず、近位ランプ面と接触し、近位ランプ面に沿って摺動することができる。それにより、弾性アームは径方向外側に偏向する。それにより、弾性アームはランプ機能に径方向内側を向いた力を加える。それにより、デバイスお投薬端部に向かって駆動部材またはアクチュエータを付勢することができる。弾性アームは、全用量を設定するためのさらなる設定運動の間に、遠位ランプ面に接触し、遠位ランプ面に沿って摺動することができる。それにより、弾性アームは弛緩させられ、径方向内側に偏向することができる。投薬運動の間には、弾性アームはまず、遠位ランプ面に接触し、近位ランプ面を摺動して戻ることができる。特に、弾性アームは軸方向に固定することができ、一方ランプ面は用量を設定および投薬する間に前後に運動する。
【0017】
アクチュエータが用量設定方向に限定的な軸方向運動を実行すると、弾性アームはランプ機能の近位ランプ面に力を加えることができる。特に、アクチュエータが用量設定方向に限定的な軸方向運動を実行すると、ランプ機能は、弾性アームが近位ランプ面と接触するように軸方向の位置にあってよい。それにより、アクチュエータを付勢することができる。
【0018】
一実施形態によれば、弾性アームは径方向内側に向いた近位ランプ面に力を加える。近位ランプ面がデバイスの長手方向軸に対して傾斜しているので、径方向の力がランプ機能に軸方向の力を誘起する。それにより、軸方向の力は駆動部材およびアクチュエータに働くことができる。それにより、アクチュエータは、用量設定方向のアクチュエータの限定的な運動の後にユーザがアクチュエータを解放するときにデバイスの遠位端に向かって移動することができる。
【0019】
一実施形態によれば、アクチュエータはボタンでよい。アクチュエータの設定運動は近位方向の並進運動でよい。特に、ユーザによって近位方向にアクチュエータを引っ張ることができる。特に、アクチュエータは機械的なストップに到達するまで近位方向に移動することができる。アクチュエータの投薬運動は遠位方向の移動、たとえば純粋な軸方向運動でよい。特に、ある用量を投薬するために、ユーザによって遠位方向にアクチュエータを押すことができる。アクチュエータは、主ハウジング部に対して、軸方向に運動可能であり、回転方向に固定することができる。
【0020】
一実施形態によれば、アセンブリは主ハウジング部を含むことができ、ここで、アクチュエータはある用量の薬物を投薬するために主ハウジング部に向かって押し下げられるように構成することができる。特に、アクチュエータは、投薬動作の最後に機械的なストップに当接するまで主ハウジング部に向かって押し下げることができる。
【0021】
一実施形態によれば、駆動部材は、駆動部材が運動するとアクチュエータが運動し、その逆も同様になるように、アクチュエータに連結することができる。たとえば、ユーザがある用量を設定するためにアクチュエータを引っ張ると、近位方向に駆動部材を引っ張ることができる。ユーザがある用量を投薬するためにアクチュエータを押すと、遠位方向に駆動部材を押すことができる。一実施形態によれば、駆動部材およびアクチュエータは1つの部片として形成することができる。
【0022】
一実施形態によれば、アセンブリはピストンロッドを含む。ピストンロッドは親ねじとして構成することができる。アクチュエータが投薬運動する間は、ピストンロッドは遠位方向に軸方向運動および回転運動することができる。それにより、ある用量の薬物を投薬することができる。ある用量を設定する間に、アセンブリの主ハウジング部に対してピストンロッドを固定することができる。デバイスが動作する間には、ピストンロッドは開始位置から終了位置まで移動することができる。ピストンロッドはデバイスから用量が送達されていないときは開始位置にあってよい。開始位置はピストンロッドの最も近位の位置とすることができる。終了位置はピストンロッドの最も遠位の位置とすることができる。ピストンロッドは、アクチュエータが用量投薬方向に移動することによって、その終了位置に向かって移動することができる。ピストンロッドは、最大用量の薬物が送達されたときに、特に、最終用量が送達されたときに終了位置にあってよい。
【0023】
一実施形態によれば、アセンブリは内部ハウジングを含むことができる。内部ハウジングは主ハウジングに固定することができる。内部ハウジングは開口部を含むことができ、ピストンロッドは開口部を通って延びる。好ましくは、ピストンロッドは内部ハウジングとねじ山によって係合している。
【0024】
駆動部材は、ある用量を設定する間に、ピストンロッドに対して相対的軸方向運動を実行することができる。駆動部材は、ある用量を設定するために、ピストンロッドに沿って近位方向に移動するように構成することができる。ある用量を投薬する間に駆動部材はデバイスの投薬端部に向かって、すなわち特に終了位置に向かってピストンロッドを押すことができる。特に、駆動部材が遠位方向に移動すると、ピストンロッドが軸方向にデバイスの遠位端に向かって回転および移動することができる。駆動部材はピストンロッドの周りに同心で配置することができる。さらに、駆動部材はその内面にねじ山を含むことができる。それにより、駆動部材はピストンロッドの対応するねじ山とねじ山によって係合することができる。対応するねじ山はピストンロッドの近位端に配置することができる。
【0025】
ピストンロッドは少なくとも1つの最終用量止め具(last dose stop)を含むことができる。最終用量止め具はピストンロッドの突出部として構成することができる。一実施形態では、最終用量止め具は互いに反対側に配設された2つの突出部を含むことができる。最終用量止め具はピストンロッドの近位部分にまたは近位端の近くに配置することができる。
【0026】
止め具機構は、ピストンロッドの少なくとも1つの最終用量止め具と相互作用するように構成された少なくとも1つの止め具要素(stop element)を含むことができる。特に、止め具要素は最終用量止め具に当接するように構成することができる。アセンブリは、最大用量の薬物が投薬された後で止め具要素が最終用量止め具と相互作用できるように構成することができる。止め具要素が最終用量止め具に当接すると、アクチュエータが近位方向に移動すること妨げられる。それにより、さらなる用量の設定が妨げられる。
【0027】
最大用量、特に、最終用量の薬物が送達されたときは、止め具要素は最終用量止め具まで軸方向に距離を有する状態に配置することができる。さらに、最終用量止め具は、デバイスの投薬端部から見て止め具要素のすぐ上に位置してよい。止め具要素と最終用量止め具との間の軸方向距離は、アクチュエータの可能な限定的な軸方向運動に相当する。
【0028】
一実施形態によれば、最終用量止め具は、止め具要素が最終用量止め具に当接すると止め具要素を少なくとも部分的に囲繞するように形成される。それにより、デバイスをロックすることができる。一実施形態によれば、最終用量止め具は挿入面取り部(insertion chamfer)を含むことができる。挿入面取り部は、ピストンロッドの可能な両転回方向に対して当接させることができる。特に、面取り部はデバイスの長手方向軸に対して傾斜してよい。たとえば、最終用量止め具はポケットの形態を含むことができる。止め具要素はポケット内に係合することができる。それにより、止め具要素が最終用量止め具を越えて横に移動することを妨げることができる。たとえば、最終用量止め具は円錐の形態を含むこともでき、テーパ状にすることもできる。止め具機能(stop feature)はそれに従って最終用量止め具内に嵌まるように形成することができる。
【0029】
ある用量を設定するためにアクチュエータがユーザによって押されると、駆動部材は遠位方向に移動し軸方向の力をピストンロッドに加える。それにより、ピストンロッドは、内部ハウジングの開口部を通って回転させることができる。さらに、ピストンロッドはさらに、螺旋方向に後退して部分的に駆動部材中に戻る。
【0030】
それにより、ある用量を投薬する間の駆動部材の軸方向変位が、ある用量を投薬する間のピストンロッドの軸方向変位より大きくなる。それにより、機械的な利点を実現することができる。その機械的な利点は、駆動部材の、したがってピストンロッドのねじ山のピッチを選択することによって調節することができる。
【0031】
止め具要素は駆動部材の内面に配置することができる。たとえば、止め具要素は駆動部材の内面にある突出部とすることができる。一実施形態によれば、駆動部材は、その内面に互いに反対側に配設された、2つの止め具要素、特に、2つの突出部を含むことができる。駆動部材の2つの突出部は、最終用量止め具の2つの突出部と相互作用することができる。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、薬物送達デバイスが提供される。その薬物送達デバイスは上記で説明したような駆動アセンブリを含む。
【0033】
薬物送達デバイスは注射デバイス、特に、ペン型デバイスでよい。薬物送達デバイスは、ユーザにある用量の薬物を送達するのに適したものとすることができる。アクチュエータを押し下げることによってある用量を送達することができる。薬物送達デバイスは、ユーザが用量のサイズを選択できないように固定用量のデバイスとすることができる。たとえば、用量設定機構はプッシュプル式の機構とすることができる。薬物送達デバイスは複数回の用量を利用するように構成することができる。薬物は針によってユーザに送達することができる。デバイスは完全に組み立てられ使用する準備ができた状態でユーザに送達することができる。特に、デバイスは充填済みとすることができる。薬物送達デバイスは使い捨てのデバイスとすることができる。用語「使い捨て」は、利用可能な量の薬物が薬物送達デバイスから送達された後にその薬物送達デバイスを再利用できないことを意味する。代替方法として、薬物送達デバイスは再利用可能なデバイスとすることができる。薬物送達デバイスは液体の薬物を送達するように構成することができる。薬物はたとえばインスリンでよい。
【0034】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0035】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0036】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0037】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0038】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0039】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0040】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0041】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0042】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0043】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0044】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0045】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0046】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0047】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0048】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0049】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0050】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0051】
さらなる機能、改善点および有用性が、図に関連付けられた例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。