(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386491
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】履物物品およびソール組立体
(51)【国際特許分類】
A43B 5/06 20060101AFI20180827BHJP
A43B 13/00 20060101ALI20180827BHJP
A43B 13/38 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
A43B5/06
A43B13/00 Z
A43B13/38 Z
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-80905(P2016-80905)
(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公開番号】特開2016-202903(P2016-202903A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年6月3日
(31)【優先権主張番号】14/689,300
(32)【優先日】2015年4月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516217457
【氏名又は名称】ウルヴリン・アウトドアーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wolverine Outdoors, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ダブリュー・ジェシーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・スペンサー・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】アンドリア・エイ・ポールソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェイ・マホーニー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ジー・オマリー
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/078152(WO,A2)
【文献】
特開2013−220354(JP,A)
【文献】
特開2007−319356(JP,A)
【文献】
特開2014−151202(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/179455(WO,A1)
【文献】
実開昭60−193106(JP,U)
【文献】
特表平09−508288(JP,A)
【文献】
特開2012−086036(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0155857(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0068060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00− 23/30
A43C 1/00− 19/00
A43D 1/00−999/00
B29D 35/00− 35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストローベルボードによって閉じられた底部を有するアッパーであって、前記アッパーは、ステッチによるバットシームにおいて前記ストローベルボードに接合されたラスティングアローワンスを有する、アッパーと、
前記ストローベルボードの下方に配置されるミッドソールと、
前記ストローベルボードの上方に配置されるトップソールであって、前記トップソールは、535kPaの応力において約750〜約950kPaの平均係数と、78%以上のエネルギー効率と、10%未満の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体を含む、トップソールと、
前記トップソールの上方に配置されるインナーソールと
を備え、
前記トップソールの前記発泡体は、膨張熱可塑性ポリウレタン(E−TPU)発泡体または熱可塑性エラストマー(TPE)発泡体を含む、
履物物品。
【請求項2】
前記トップソールは少なくとも1ミリメートルの厚さを有し、
前記インナーソールは少なくとも3ミリメートルの厚さを有し、
前記トップソールおよび前記インナーソールは、前記履物物品の足前部領域の中央部分において、少なくとも5ミリメートルの組み合わせられた厚さを有する、
請求項1に記載の履物物品。
【請求項3】
前記トップソールは少なくとも3ミリメートルの厚さを有し、
前記履物物品の足前部領域の中央部分において、前記トップソールおよび前記インナーソールの組み合わせられた厚さは少なくとも5ミリメートルである、
請求項1に記載の履物物品。
【請求項4】
前記トップソールは、前記履物物品の足前部領域、アーチ領域および踵領域を通して延びる、請求項2に記載の履物物品。
【請求項5】
前記トップソールは前記ストローベルボードに積層される、請求項2に記載の履物物品。
【請求項6】
前記トップソールは前記ストローベルボード上に直接的に形成される、請求項5に記載の履物物品。
【請求項7】
前記ストローベルボードは開口を画定し、
前記トップソールは概して前記ストローベルボードの上方に配置され、
前記トップソールは前記開口内に延びる下向きの延びを有する、
請求項6に記載の履物物品。
【請求項8】
前記ストローベルボードは開口を画定し、
前記トップソールは概して前記ストローベルボードの上方に配置され、
前記トップソールは、前記ストローベルボードの下方に、前記開口を通って実質的にある距離だけ延びる下向きの延びを有する、
請求項6に記載の履物物品。
【請求項9】
ストローベルボードで底部を閉じられたアッパーを有する履物物品のためのソール組立体であって、
前記ストローベルボードの下方に配置されるミッドソールと、
前記ストローベルボードの上方に配置されるトップソールであって、前記トップソールは、535kPaの応力において約750〜約950kPaの平均係数と、78%以上のエネルギー効率と、約10%未満の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体を含む、トップソールと、
前記トップソールの上方に配置されるインナーソールと
を備え、
前記トップソールの前記発泡体は、膨張熱可塑性ポリウレタン(E−TPU)発泡体または熱可塑性エラストマー(TPE)発泡体を含む、
ソール組立体。
【請求項10】
前記トップソールは少なくとも1ミリメートルの厚さを有し、
前記インナーソールは少なくとも3ミリメートルの厚さを有し、
前記トップソールおよび前記インナーソールは、前記履物物品の足前部領域の中央部分において、少なくとも5ミリメートルの組み合わせられた厚さを有する、
請求項9に記載のソール組立体。
【請求項11】
前記インナーソールはエチレンビニルアセテート(EVA)を含む、請求項10に記載のソール組立体。
【請求項12】
前記インナーソールは、78%未満のエネルギー効率と、10%以上の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体を含む、請求項10に記載のソール組立体。
【請求項13】
前記トップソールは前記ストローベルボードに積層される、請求項12に記載のソール組立体。
【請求項14】
前記トップソールは、足前部領域において第1の厚さを有し、踵領域において第2の厚さを有し、前記第1の厚さは前記第2の厚さよりも大きい、請求項13に記載のソール組立体。
【請求項15】
前記ストローベルボードは開口を画定する、請求項14に記載のソール組立体。
【請求項16】
前記トップソールは前記開口内に延びる、請求項15に記載のソール組立体。
【請求項17】
前記トップソールは、前記E−TPU発泡体を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の履物物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は履物に関し、より詳細には履物物品のためのソール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
履物は非常に広く普及しているので、履物に対する増大し続ける要求に適合するために必要となる技術の複雑さは過小評価されがちである。これは、高性能用途(スポーツその他の運動努力)に用いられることを目的とする性能履物(パフォーマンス・フットウェア)に関して、とくによく当てはまる。
【0003】
ランニングシューズは、最も進歩した種類の履物の1つである。ランニングは、履物が重要な役割を演じる要求の厳しい活動である。ランニングシューズが、軽量かつ高耐久でありながら、緩衝およびエネルギー収支に対する高い技術的仕様に適合することは重要である。ランニングシューズの役割の1つは、ストライドの接地フェーズの間に生成される過度の局所的負荷から走者の体を保護することである。エラストマーの発泡体(foam)は、足と地面との衝突の衝撃エネルギーの一部を吸収するために、靴のソールにおいて利用される材料の例である。典型的には、走者が自身を空中に持ち上げるために地面を押しやる接触の推進フェーズの間には、さらに強い力が生成される。これらの力は、走者の足前部(forefoot)により加えられる。ストライドのこのフェーズにおける足前部の下方の緩衝材の主な役割は、これらの力を低減することではなく、足の形状に沿うことによって局所的ピーク圧力を低減することである。また、足前部の下方のソールは、走者のストライド力学に応じ、圧縮および圧縮解除することによって補助的なアクションも行う。
【0004】
典型的な靴の構成は、走者の足の下方に配置されたソールに接着された(cemented)非伸縮布地(non-stretch fabric)の層を作成する。一般的に、運動用履物の構成では、アッパーが靴型に適合されて所望の3次元形状に成形され、次にアッパーの底部がおおまかに靴型の底部の形状をした平坦なピースで閉じられる。これは、ボードラスティング、スリップラスティングおよびストローベルステッチを含む様々な技術により実行可能である。ストローベルステッチ底のアッパーにおける閉じ縫いは、たとえばストローベルステッチ機からのジグザグステッチまたはストローベルステッチを用いて実現可能である。この技術において、「ストローベルボード(Strobel Board)」は様々な材料から作成可能であり、典型的には織物(不織布(non-wovens)、布地(wovens)、編地(knit))である。ストローベルボードに対する典型的な要求の1つは、アッパーの形状を維持するということである。理想的には、ボードは、(とくに前後方向には)感知できる程度には伸縮しない。この比較的固い(rigid)層が、典型的にはランニング中に加わる負荷において、靴が走者の足に適合する能力を制限する。
【0005】
従来のランニングシューズは、しばしば、ストローベルボードの上方のアッパー内の、足収容空間内に配置されたインナーソール(inner sole)(「インソール(insole)」、「フットベッド(footbed)」または「ソックライナー(sockliner)」とも呼ばれる)を含む。インナーソールは、典型的には、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate)(「EVA」)から製造される。インナーソールは、比較的固い(rigid)ストローベルボードの上方にある足のすぐ下の緩衝材の層を提供するので、典型的には快適さを向上させる。一部の用途では、ストローベルボードの上方、インナーソールの下方に、薄い発泡体の層が配置される。この薄い発泡体層の主な目的は、靴のソールに対する着用者の足の局所的圧力分布を改善することである。たとえば、発泡体(しばしばEVAである)の薄いシート(たとえば1〜3mm)をストローベルボードの織物に積層して、発泡体・ストローベルボード積層体を形成することができる。経験により、積層された発泡体層は、快適さを向上させることが知られている。ソールがインナーソールおよび/またはストローベルボード積層体を含むか否かに関わらず、ストローベルボードの上方にEVAその他の類似の緩衝材のみを含む従来のソール構成では、真に快適なプラットフォームを作成する能力が限られる。この欠点は、発泡体層の厚さ制約、発泡体層の機械的固さ(mechanical stiffness)属性の制約、機械的破損(とくに非耐久性の発泡体に関して)、および/または、非伸縮ストローベル材への発泡体層の積層に起因する発泡体層の圧縮の制約を含む、いくつかの理由から生じる。たとえば、発泡体・ストローベルボード積層体のみを含む構成は、ランニングストライドの推進フェーズ(典型的には最も大きい地面の反作用力が生成される)の間に足前部の形状に適切に適合するには薄すぎる。非常に単純に言えば、足前部(またはその一部)が、下に位置するストローベルボードに「ボトムアウト」するような全体の衝撃変形に対応し得る十分な厚さ/材料が存在しない。さらに、ストローベルは足前部の幅全体にまでは延びていないので、発泡体・ストローベル積層体は足の接触面積全体を覆わない。別の例として、従来のEVA発泡体(単独で、または発泡体・ストローベルボード積層体と組み合わせて)のインナーソールを含む構成では、インナーソール(および発泡体・ストローベルボード積層体)は、適切にリバウンドできなくなるような不可逆塑性変形を時間とともに受ける。結果として、ストローベルボードの上方に従来のEVA発泡体を組み合わせた構成は、ピーク負荷下で足前部に完全に適合するには薄すぎるか、または、繰り返される荷重により発生する恒久的な圧縮永久ひずみ(compression set)が靴の「フィット」を実質的に変化させるほど厚いかのどちらかとなる。
【0006】
[発明の概要]
本発明は、ストローベルステッチ底のアッパーと、ストローベルの上方に配置されたトップソールを伴うソール組立体とを有する履物構成を提供する。トップソールは、535キロパスカル(kPa)の応力において、約750〜約950、約800〜約950、約850〜約950、または約875〜約950kPaの平均係数(average modulus)を有する発泡体から製造される。また、この発泡体は、少なくとも約78%、少なくとも約80%、または少なくとも約82%のエネルギー効率を有する。さらに、この発泡体は、約10%未満、約8%未満または約6%未満の動的圧縮永久ひずみ(dynamic compression set)を有する。
【0007】
トップソールはストローベルボードを超えて延びてもよく、たとえば足前部によって負荷を与えられる領域全体を覆ってもよい。一実施形態では、トップソールがストローベルボードの縁を超えて延び、足前部領域を通してストローベルステッチを覆う。別の実施形態では、足前部領域においてトップソールが靴型の全幅にわたって延びる。さらに別の実施形態では、トップソールが、足前部領域、アーチ(土踏まず)領域および踵領域を通して靴型の全長全幅にわたって延びる。
【0008】
様々な実施形態において、トップソールはストローベルボードに積層される。トップソールは、典型的には、足前部領域において、約1mm〜約10mm、約2mm〜約7mm、または約2mm〜約5mmの平均厚さを有する。トップソールの厚さは均一であってもよいし、(たとえば、履物の構成、エンドユーザ、等に基づいて)変化してもよいということが理解される。たとえば、トップソールは、足前部領域においては、アーチ領域および踵領域においてより厚いものであってもよい。
【0009】
一実施形態では、履物構成はソール組立体を含み、ソール組立体は、ストローベルボードの下方に配置されるアウトソールおよびミッドソールと、ストローベルボードの上方に配置されるトップソールおよびインナーソールを有する。ミッドソールは、従来のミッドソール発泡体(EVAまたはポリウレタン(「PU」)等)から製造されてもよい。ミッドソールの厚さは用途によって変化し得るが、典型的には、足前部領域では約6mm〜約30mmの範囲内であり、踵領域では約8mm〜約35mmの範囲内である。インナーソールは、約3mm〜約7mmの間の厚さを有する従来のインナーソール発泡体(典型的にはEVAまたはPU等)()から製造されてもよい。
【0010】
一実施形態では、トップソールは領域によって厚さが変化する。一実施形態では、トップソールは、足前部領域においては、アーチ領域および踵領域においてより厚いものであってもよい。トップソールの厚さは、足前部領域では約2mm〜約10mmの範囲内であってもよく、アーチ領域では約1mm〜約7mmの範囲内であってもよく、踵領域では約1mm〜約7mmの範囲内であってもよい。
【0011】
一実施形態では、ストローベルボードは、トップソールとストローベルボードの下方のソール構成要素(ミッドソール等)とのより直接的な相互作用を許容する開口を画定してもよい。開口のサイズ、形状および構成は変化し得る。開口は、足前部、アーチおよび踵領域を通して延びてもよい。代替的に、開口は足前部領域内に画定されてもよい。別の代替例では、ストローベルボードは、足前部領域内に1つ、踵領域内に1つ、のように複数の開口を画定してもよい。いくつかの用途では、トップソールの材料が、ストローベルボードの開口(1つまたは複数)を通して延びてもよい。この特性の実施では、ミッドソールが1つ以上の凹部(ストローベルボードを通して下向きに延びるトップソール材料を収容することを意図するもの)を画定してもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は、アッパーを形成する一般的ステップと、ストローベルボードを用いてアッパーに底を付ける一般的ステップと、ストローベルボードの下表面にソールを貼る一般的ステップと、ストローベルボードの上方のアッパーにトップソールを挿入する一般的ステップとを含み、トップソールは、535kPaの応力において約750〜950kPaの平均係数と、少なくとも約78%のエネルギー効率と、約10%未満の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体から製造される、履物物品を製造する方法を提供する。本方法は、トップソールをストローベルボードに積層するステップを含んでもよい。積層ステップは、ストローベルボードに発泡体を直接的にモールドすることを含んでもよいし、接着剤を用いてトップソールをストローベルボードに接合することを含んでもよい。トップソールは、ストローベルボードがアッパーに接合される前にストローベルボードに積層されてもよく、接合された後にストローベルボードに積層されてもよい。本方法は、ストローベルボードに開口を画定するステップを含んでもよい。トップソールは、ストローベルボード内の開口へと、および/または、ストローベルボード内の開口を通して、延びてもよい。本方法は、また、異なる領域でトップソールの厚さを変化させるステップを含んでもよい。
【0013】
本発明は、高性能と向上した快適さとを提供する履物構成を提供する。トップソールは、従来のストローベル構成では得られないと思われる快適さおよびサポート特性を提供する発泡体から製造される。このトップソール発泡体の物理的特性によれば、トップソール(またはトップソール/インナーソールの組み合わせ)は、早すぎる破損または過度の圧縮永久ひずみに対する心配なく、ランニングストライドの推進フェーズの間であっても足前部の形状に適合するのに十分な厚さを持つよう製造することができる。トップソールは、様々な方法で履物物品に組み込むことができ、これによって履物の設計および製造に柔軟性が提供される。要求があれば、トップソールは、追加のトップソール材料を収容するために、ストローベルボード内の開口を通して下向きに延びてもよい。
【0014】
本発明の、これらの目的および他の目的と、利点と、特徴とは、本実施形態および図面の記載を参照することにより、より完全に理解される。
【0015】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の記載に示されまたは図面に図示される動作の詳細または構成および構成要素の配置の詳細に限定されないということが理解されるべきである。本発明は、様々な他の実施形態において実施可能であり、また、本明細書に明示的には開示されない代替的態様において実行されまたは実施されることである。また、本明細書において用いられる表現法および用語法は説明目的のものであり、限定とみなされるべきではないということが理解されるべきである。「含む(including)」および「備える(comprising)」ならびにそれらの変化形の使用は、その後に列挙される項目およびその均等物と、追加の項目およびその均等物とを包含することを意味する。さらに、様々な実施形態の記載において数え上げること(enumeration)が用いられる場合がある。明示的に述べる場合を除き、数え上げの使用は、構成要素のいかなる具体的順序または数を限定するものとして理解されるべきでもない。また、数え上げの使用は、数え上げられたステップまたは構成要素と組み合わせ得るいかなる追加ステップまたは追加構成要素も、本発明の範囲から除外すると理解されるべきではない。「X、YおよびZのうち少なくとも1つの」としての、特許請求の範囲の構成要素へのいかなる参照も、X、YおよびZのうち任意の1つを個別に含み、X、YおよびZの任意の組み合わせ(たとえば、「X、Y、Z」、「X、Y」、「X、Z」、および「Y、Z」)を含むことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による、トップソールを組み込んだ履物物品の斜視図である。
【
図3】
図1の3−3線に沿った履物物品の断面図である。
【
図4A】履物物品のソール組立体の、一部を除く上面図である。
【
図4B】
図4Aの4B−4B線に沿った、履物物品の断面図である。
【
図5】
図4Aの5−5線に沿った履物物品の断面図である。
【
図6】代替的実施形態による履物物品の展開図である。
【
図7】
図3と同様の、代替的履物物品の断面図である。
【
図8】第1の代替的な発泡体・ストローベルボード積層体の断面図である。
【
図9】第2の代替的な発泡体・ストローベルボード積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本実施形態の説明]
[概要]
図1に、本発明の一実施形態を組み込んだ履物物品を示す。履物物品10は、概して、アッパー12とソール組立体14とを含む。アッパー12はストローベル構成を用いて製造され、ストローベルボード16で底を付けられる(bottomed)。ソール組立体14は、概して、ストローベルボード16の下方に配置されるアウトソール20およびミッドソール18と、ストローベルボード16の上方に配置されるトップソール22とを含む。トップソール22は、ストローベルボード16に積層されるか、または他の方法でストローベルボード16に貼ることができる。インナーソール24(またはソックライナー)がトップソール22の上方に配置されてもよい。トップソール22は、535kPaの応力において約750〜約950kPaの平均係数と、少なくとも約78%のエネルギー効率と、約10%未満の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体から製造される。
【0018】
本実施形態は、運動靴またはランニングシューズのコンテキストにおいて例示されるが、任意の種類またはスタイルの履物(パフォーマンスシューズ、ハイキングシューズ、トレイルシューズ、ブーツ、ハイキングブーツ、全地形シューズ、ベアフットランニングシューズ、スニーカー、従来のテニスシューズ、ウォーキングシューズ、マルチスポーツフットウェア、カジュアルシューズ、ドレスシューズ、または他の任意の種類の履物もしくは履物構成要素を含む)にも組み込むことができる。また、方向的用語(「垂直」、「水平」、「頂(トップ)」、「底(ボトム)」、「アッパー」、「ロワー」、「インナー」、「内側に」、「アウター」および「外側に」等)は、図示された実施形態の向きに基づいて本発明の説明を支援するために用いられる。さらに、用語「中央(medial)」、「横(lateral)」および「長手(longitudinal)」は、履物に関連して一般的に用いられる態様において用いられる。たとえば、靴のサイドを参照して用いられる時には、用語「中央」は内側のサイド(すなわち他方の靴に面するサイド)を参照し、「横」は外向きのサイドを参照する。方向に関連して用いられる時には、用語「長手方向」は概してつま先と踵との間の靴の長さに沿って延びる方向を参照し、用語「横方向」は概して靴の中央サイドと横サイドとの間の靴幅にわたって延びる方向を参照する。方向的用語の使用は、本発明をいかなる特定の向きに限定するものと解釈すべきでもない。
【0019】
さらに、本明細書において用いられる場合には、用語「アーチ領域(arch region)」(またはアーチまたは足中部(midfoot))は、概して、着用者の足のアーチまたは足中部に対応するソール組立体または履物の一部を参照する。用語「足前部領域(forefoot region)」(または足前部(forefoot))は、概して、着用者の足の足前部(たとえばボール(ball)およびつま先を含む)に対応する、アーチ領域の前方の履物の一部を参照する。用語「踵領域(heel region)」(または踵)は、概して、着用者の足の踵に対応する、アーチ領域の後方の履物の一部を参照する。足前部領域60、アーチ領域または足中部領域62および踵領域64は、概して
図4Aにおいて特定されるが、これらの領域の描写はソール組立体および履物の構成に依存して変化し得るということが理解されるべきである。
【0020】
[トップソール発泡体]
上述のように、トップソール22は、ストローベルボードの上方に用いるのに適した、ある定義された機械的特性を有する発泡体から製造されることが望ましい。たとえば、トップソール22の発泡体は、従順で(compliant)、弾力的で、耐久性があり、高度に適合可能な(conformable)ものであることが望ましい。また、トップソール22の発泡体はストローベルボードに積層される場合があるので、トップソール22の発泡体は縫い合わせることができることが有益である。
【0021】
係数(modulus)に関して、トップソール22の発泡体は、従来のミッドソール発泡体(EVAミッドソール発泡体等)よりも低い係数を有することが望ましい。低係数EVA発泡体は、ピーク足前部荷重の間に生成される負荷の下で早期に破損するので、履物における低係数EVA発泡体の使用には実用的な限界がある。破損の例は、負荷の後にリバウンドできないこと(たとえば恒久的圧縮)、裂け(tearing)、等を含む。早すぎる破損を防止するため、低係数EVA発泡体は、比較的薄い層(たとえば1〜3mm)においてしか用いられ得ない。あいにく、薄い発泡体層の使用は、足前部の下方のソールについての重要な目的である適合性を限定する。したがって、トップソール22の発泡体は、足前部荷重の間に足に適合するのに十分な厚い層において用いるのに十分な耐久性があり、これに伴い、繰り返されるサイクルにわたってその特性を失わず柔軟であることが望ましい。様々な実施形態において、トップソール22はEVA発泡体を含まない。
【0022】
このような目的を念頭に置いて、トップソール22は、柔らかく高度に弾力的で(エネルギー効率的で)耐久性のある材料から製造される。本開示の目的に適した発泡体の例は、ある膨張熱可塑性ポリウレタン(expanded thermoplastic polyurethane)(「E−TPU」)発泡体および熱可塑性エラストマー(「TPE」)発泡体を含む。いくつかの実施形態では、トップソール22は、E−TPU発泡体を備えるか、E−TPU発泡体からなるか、または、実質的にE−TPU発泡体からなる。他の実施形態では、トップソール22は、TPE発泡体を備えるか、TPE発泡体からなるか、または、実質的にTPE発泡体からなる。
【0023】
適した発泡体の具体例は、中国福建省晋江市Chidian町のGuo Shengから商業的に入手可能な「180SD」E−TPU発泡体、中国広東の東莞市Nan-ChengのEcocellから商業的に入手可能な高リバウンドTPE PH−60発泡体、韓国Gyungnamの金海市のFine Chemicalから商業的に入手可能な「X−Bounce45」発泡体、中国広東の東莞市のSuperfoamから商業的に入手可能な「S−Lite」発泡体、および、ニュージャージー州Florham ParkのBASFコーポレーションから商業的に入手可能な「Infinergy(登録商標)」発泡体を含む。
【0024】
トップソール22の発泡体は、高度に弾力的であり、低応力(たとえば立っている間に発生するもの)においてEVA発泡体よりも従順であり、繰り返しの衝撃の後の厚さの変化に対してより抵抗力のあるものである。とくに、トップソール22の発泡体は、とくに足前部において、EVAストローベルボード発泡体よりも優れた性能を提供することができる。トップソール22の発泡体の柔らかさ(softness)は、足前部の打撃(strike)の間の追加的衝撃吸収と快適さ向上とを可能にする。さらに、トップソール22の発泡体は、推進の間に利益を提供する。具体的には、トップソール22の発泡体は、着地の間の剪断力(つま先離反の間に解放される)を吸収する。トップソール22の発泡体の増大したエネルギー効率は、より効率的なストライドを生成する。
【0025】
トップソール22を製造するのに用いられる発泡体は、材料サンプルに対する衝撃テストによって定義される「柔らかさ」「弾力的」「耐久性のある」機械的特性を有する。たとえば、発泡体の機械的特性は、電磁的に駆動される衝撃テスト装置(ElectroPuls E3000、Instron、Norwood、マサチューセッツ州)で測定することができる。手順は、ASTM F1614-99(2006)「Standard Test Method for Shock Attenuating Properties of Materials Systems for Athletic Footwear Procedure C」の修正版であってもよい。原理の修正は、(3インチ最小正方形サンプルではなく)45mmディスク形状のサンプルの使用である。
【0026】
負荷曲線は、足の衝突(ストライク)をシミュレートするよう制御される。サンプルは約20mmの厚さである(また、結果のデータは厚さによって正規化される)。対象となる機械的属性は、平均固さ(Average Stiffness)、エネルギー効率、動的圧縮永久ひずみ、および535キロパスカル(kPa)における発泡体の平均固さを含む。ここで、足の衝突の間の典型的なピーク応力として535kPaが選択される。トップソール22の発泡体が「柔らかく」「弾力的で」あるために、対象となる重要な機械的属性は平均係数およびエネルギー効率である。平均固さは、(45mm直径のタップまたは「衝突者(ストライカー)」を用いて)衝撃タップ(impact tup)の断面積を計算に入れ、サンプルの厚さで乗算することによって、平均係数として正規化される。エネルギー効率は、サンプルによってリターンされるエネルギーを、サンプルによって吸収されるエネルギーで除算した比率である。
【0027】
機械的属性のベースライン測定値を得るために、発泡体サンプルはそれぞれ1000回衝撃テストされる。属性を決定するために、980回目、990回目および1000回目の衝撃サイクルが平均される。
【0028】
耐久性の測定値として、動的圧縮永久ひずみが用いられる。動的圧縮永久ひずみは、所与の衝撃回数に対するサンプルの厚さの変化である。機械的属性(平均係数およびエネルギー効率を含む)のベースライン測定値を得るために、発泡体サンプルはそれぞれ1000回衝撃テストされ、その後、拡張された荷重サイクルをシミュレートするために100,000回(同じ負荷プロファイルで)衝撃テストされ、その後、荷重後の機械的属性の測定値を得るために、さらに1000回衝撃テストされる。
【0029】
様々な実施形態では、本開示のトップソール22の製造に利用される発泡体は、約750〜約950kPa、約800〜約950kPa、約850〜約950kPa、または約875〜950kPaの平均係数を有する。平均係数は、ASTM F1614-99(2006)の修正版に従って、535kPaの応力において分析される。また、発泡体は、少なくとも約78%、少なくとも約80%、または少なくとも約82%のエネルギー効率を有する。エネルギー効率は、ASTM F1614-99(2006)の修正版に従って分析される。さらに、発泡体は、約10%未満、約8%未満、または約6%未満の動的圧縮永久ひずみを有する。動的圧縮永久ひずみは、ASTM F1614-99(2006)の修正版に従って分析される。アスカーC硬度値(Asker C hardness values)を決定するために、アスカーCデュロメーター計(Asker C Durometer Gage)を利用してもよい。
【0030】
トップソール22の発泡体は、その材料的属性のため、機械的属性を時期尚早に失うことなく、より大きい厚さで用いることができる。トップソール22の発泡体は、向上した機械的属性を提供するのみならず、ストローベルボード16の上方にトップソール22を配置することにより、トップソール22は、ストローベルボード16によって生成される比較的固い(rigid)非適合性の層を動かし、足からより遠く離れて接着する(cement)。
【0031】
様々な実施形態において、トップソール22は、足前部領域において約1mm〜約10mm、約2mm〜約7mm、または約2mm〜約5mmの平均厚さを有する。トップソール22の厚さは均一であってもよく、(たとえば履物の構成、エンドユーザ、等に基づいて)変化するものであってもよいということが理解されるべきである。トップソール22の厚さは、靴の領域によって変化してもよい。たとえば、足前部領域において、トップソール22は、約2mm〜約10mmの範囲内または約3mm〜約7mmの範囲内の厚さを有してもよく、また、踵領域において、トップソール22は、約1mm〜約7mmの範囲内または約2mm〜約5mmの範囲内の厚さを有してもよい。
図1の実施形態では、トップソール22は、中央の足前部領域(central forefoot region)においておよそ5mmの最大厚さを有し、踵領域を通しておよそ3mmの厚さを有する。トップソール22は、アーチ領域を通して、5mmと3mmとの間で徐々に遷移してもよい。
【0032】
本開示の目的に適した、柔らかく弾力的で耐久性のある発泡体の例と、本開示の目的に適さない従来の発泡体の例とが、以下の表I〜IVに示される。とくに、例1〜4は比較例と見なされ、例5〜8は本開示のトップソール22を形成するのに適した発明例と見なされる。
【0033】
各例に対する発泡体サンプルは、上述のようにテストされる。各発泡体サンプルのアスカーC硬度値を決定するために、アスカーデュロメーターを利用してもよい。アスカーデュロメーターは、いくつかの商業的供給元から容易に入手可能であり、その使用は当業者に理解される。次に、各例をより詳細に説明する。
【0034】
例1は、韓国Gyungnamの金海市のFine Chemicalから商業的に入手可能な、52アスカーCの硬度を有するミッドソールに従来用いられているEVA発泡体である。
【0035】
例2は、中国の東莞市Gaobu町のXie Liから商業的に入手可能な、42アスカーCの硬度を有するストローベルボード積層体に従来用いられているEVA発泡体である。
【0036】
例3は、マサチューセッツのブロックトンのJones and Viningから「U−2」指定下で商業的に入手可能な、35アスカーCの硬度を有するミッドソールのための固さ範囲にあるポリウレタン発泡体である。
【0037】
例4は、マサチューセッツのブロックトンのJones and Viningから「U−14Soft」指定下で商業的に入手可能な、25アスカーCの硬度を有するより軟らかい従来のポリウレタン発泡体である。
【0038】
例5は、中国福建省晋江市のChidian町のGuo Shengから「180SD」指定下で入手可能なE−TPU発泡体である。
【0039】
例6は、中国広東の東莞市のNan-ChengのEcocellから「PH−60」指定下で商業的に入手可能な、47アスカーCの硬度を有するTPE発泡体である。
【0040】
例7は、韓国Gyungnamの金海市のFine Chemicalから「X−Bounce45」指定下で商業的に入手可能な、45アスカーCの硬度を有する発泡体である。
【0041】
例8は、中国広東の東莞市のSuperfoamから「S−Lite」指定下で商業的に入手可能な、52アスカーCの硬度を有するTPE混合発泡体である。
【0042】
例9は、中国福建省晋江市のChidian町のGuo Shengから「160SD」指定下で入手可能なE−TPU発泡体である。
【0043】
各例の平均係数は、上述のように、ASTM F1614-99(2006)の修正版に従って決定される。平均係数に対する閾値として、約750〜約950kPaの制限が選択される。この範囲内に含まれる発泡体例は、望ましい柔らかさを有するとみなされ、その範囲外となる発泡体例は、望ましくない柔らかさを有するとみなされる。結果は以下の表Iに例示される。
【0045】
上述の表Iに例示されるように、例1および例3はいずれも平均係数範囲の外となる。要するに、例1および例3はいずれも望ましくない柔らかさを有するが、例2および例4〜9はいずれも望ましい柔らかさを有する。
【0046】
各例のエネルギー効率もまた上述のようにして決定される。エネルギー効率に対する閾値として、少なくとも約78%の制限が選択される。この範囲内に含まれる発泡体例は、望ましい弾力性(すなわち、望ましい「リターンされたエネルギー」/「吸収されたエネルギー」の比率)を有するとみなされ、その範囲外となる発泡体例は、不十分な弾力性を有するとみなされる。結果は以下の表IIに例示される。
【0048】
上述の表IIに例示されるように、例1〜4はいずれもエネルギー効率範囲の外となる。要するに、例1〜4はいずれも不十分な弾力性を有するが、例5〜9はいずれも望ましい弾力性を有する。
【0049】
各例の動的圧縮永久ひずみもまた上述のようにして決定される。動的圧縮永久ひずみに対する閾値として、約10%未満の制限が選択される。この範囲内に含まれる発泡体例は、望ましい耐久性を有するとみなされ、その範囲外となる発泡体例は、不十分な耐久性を有するとみなされる。結果は以下の表IIIに例示される。
【0051】
上述の表IIIに例示されるように、例1および例2はいずれも動的圧縮永久ひずみ範囲の外となる。要するに、例1および例2はいずれも不十分な耐久性を有するが、例3〜9はいずれも望ましい耐久性を有する。
【0052】
結果のすべてが作表され、以下の表IVに提示される。要するに、例1〜4はいずれも本開示の目的にとって望ましくないものとなる属性を1つ以上有するが、例4〜9はいずれも本開示のトップソール22を形成するのに適したものとなる属性を所有している。
【0054】
[履物の構成]
上述のように、
図1に示す履物物品10は、概して、アッパー12とソール組立体14とを含む。アッパー12はストローベル構成を用いて製造され、ストローベルボード16で底を付けられる(bottomed)。ソール組立体14は、概して、ストローベルボード16の下方に配置されるアウトソール20およびミッドソール18と、ストローベルボード16の上方に配置されるトップソール22とを含む。トップソール22は、ストローベルボード16に積層されるか、または他の方法でストローベルボード16に貼ることができる。インナーソール24(またはソックライナー)がトップソール22の上方に配置されてもよい。図示される実施形態のトップソール22は、535kPaの応力において約750〜950kPaの平均係数と、少なくとも約78%のエネルギー効率と、約10%未満の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体から製造される。トップソール22は、接触の推進フェーズの間に、足前部領域を通して足の形状に適合するのに十分な厚さである。たとえば、図示される実施形態では、トップソール22は足前部領域の中央を通して約5mmの厚さを有する。
【0055】
アッパー12は、概して従来のアッパーであり、その底部はストローベルボード16によって閉じられる。アッパー12の構成は用途によって異なり得るが、
図1のアッパー12は概して、甲革(vamp)(または先芯(toe box))40と、舌革42と、1つ以上の腰革44とを備える。甲革40は、概してアッパー12の足前部部分を形成し、アッパー材料の部品の任意の組み合わせから製造され得る。舌革42は、甲革40に接合されてもよく、後方に延びて靴紐(図示せず)を支えてもよい。舌革42は、甲革40とともに部品の任意の組み合わせから製造され得る。舌革42は、着用者の足を靴紐から保護するのを部分的に支援するように、詰め物をされてもよい。腰革(1つまたは複数)42は、アッパー12の踵部分を形成し、アッパー材料の部品の任意の組み合わせから製造され得る。甲革40、舌革42および腰革44の内部は、ライニング材料(DriLex、Cambrelle、または他のライニング材料の層等)で覆われてもよい。アッパー12の様々な部品は、広範囲の材料(皮革、合成皮革、メッシュ、キャンバス、織物(たとえば、布地(wovens)、編地(knit)、接着された繊維(bonded))、織地(fabric)、モールド構成要素、等)の任意のものから製造され得る。アッパー12は、様々な飾り(trim)、緩衝および補強要素を含んでもよい。たとえば、踵カウンター(図示せず)が踵カップを補強しサポートを増強するように踵領域内にフィットしてもよい。別の例として、甲革40を補強するためにつま先カップ(図示せず)が設けられてもよい。さらに、アッパー12の各層の間(たとえば甲革40とライニング材料との間等)に詰め物が挟まれてもよい。補強要素は、アッパー12の、靴紐を受ける部分を補強するためにアッパー12に貼られてもよい。図示されるアッパー12の構成は単に例示的なものであり、本発明は本質的にはいかなるアッパー構成を含む履物にも組み込み得る。
【0056】
図示の実施形態では、アッパー12の底部はストローベルボード16またはストローベル織物(これらの用語は本明細書において交換可能に用いられる)によって閉じられる。ストローベルボード16は、典型的には非伸縮布地または織物(すなわち、感知できる程度には伸縮しないもの)から製造される。たとえば、ストローベルボード16は、不織布織物(non-woven textile)、織られた織物(woven textile)または編まれた織物(knit textile)から製造され得る。ストローベルボード16がアッパー12の形状を維持するように意図される場合には、ストローベルボード16は(とくに前後方向において)感知できる程度には伸縮しない。ストローベルボード16は、異なる領域においてストローベルボード16に異なる特性を与える様々な材料の組み合わせから製造される複合構成であってもよい。たとえば、このタイプの複合ストローベルボード16は、異なる材料から製造される足前部領域および踵領域を有してもよい。これにより、ストローベルボード16は異なる領域で異なる機械的属性を提供することができる(たとえば、比較的柔軟な足前部、比較的固いアーチ、比較的固い踵、等)。図示の実施形態では、アッパー12の底部端は、内側に向けて巻かれストローベルボード16に接合されたラスティングアローワンス50において終端する。図示の実施形態では、ラスティングアローワンス50は、ステッチ52(ストローベルステッチ機からのジグザグステッチまたはストローベルステッチ等)によってバットシーム(butt-seam)においてストローベルボード16に固定される(
図2および4A参照)。図示の実施形態はストローベル構成を含むが、本発明は、トップソールの使用から利益を受け得る他の履物構成(ボードラステッド構成またはスリップラステッド構成等)に組み込むこともできる。これらの代替的なラステッド構成では、トップソールはラスティングボードに積層されてもよいし(たとえば、ラスティングボード上に直接的に形成されるか、またはまず形成され次にラスティングボードに固定される)、ラスティングボードから分離していてもよい。
【0057】
図1のソール組立体14は、上述のように、概してミッドソール18とアウトソール20とを含むツーピース構成であってもよい。ミッドソール18は、ある密度を有する材料から構成することができ、その密度は、アウトソール20の密度よりも概して小さいものであってもよい。前者の密度は、用途に応じ、任意選択で、約5ポンド/立方フィート〜約20ポンド/立方フィートであってもよく、さらに、約9ポンド/立方フィート〜約15ポンド/立方フィートであってもよく、または他の密度であってもよい。概して、ミッドソールの密度は、着用者の足に緩衝を提供するために比較的容易に圧縮される程度である。ミッドソール材料はまた、デュロメーター(任意選択で、約30アスカーC〜約55アスカーC、さらに任意選択で約42アスカーC〜約48アスカーC、さらに任意選択で約45アスカーCまたは約43アスカーC)を有してもよい。ミッドソールは、エチルビニルアセテート(ethyl vinyl acetate)(EVA)、ポリウレタン、ラテックス、発泡体、ジェルまたは他の材料から構成されてもよい。
【0058】
ミッドソール18は、上表面30と、反対向きの下表面32とを含んでもよい。概して、上表面30は、閉じられたアッパー12の下表面に直接的に接合されてもよい。たとえば、ミッドソール18は、ストローベルボード16の下表面と、アッパー12の内側に曲がる境界アローワンス(inwardly-turned marginal allowance)とに接合されてもよい。上表面30は、着用者の足の底部の自然な外形に緊密に追従する形状であってもよい。たとえば、ミッドソール18は、踵領域において踵カップ(概して周囲に延びて、着用者によって履物が着用された時に着用者の踵の一部を収容する)を画定するよう成形されてもよい。踵カップは、上向きに延びるフランジ34(着用者の踵の後部を束縛し取り囲む実質的に連続な壁)を含んでもよい。この上向きに延びるフランジまたは壁34は、また、アッパーがソール組立体14と接合される時にアッパー12の最下部に沿って上向きに延びてもよい。フランジ34は、任意選択で約1.0mm〜約10.0mm、さらに任意選択で約2.0mm〜約6.0mm、または適宜他の距離、上向きに延びてもよい。図示の実施形態では、フランジ34はソール組立体14のつま先端に向かって徐々にテーパ状に下がる。フランジ34は、踵領域においてアッパーになんらかの補強サポートを提供してもよく、概して踵の横方向回転または中央方向回転に抵抗してもよい。
【0059】
アウトソール20は、ミッドソール18およびアッパー12の下方に配置することができる。図示の実施形態では、アウトソール20は、ミッドソール18の下表面32と概して同一の広がりを持つ単一部品の層から製造される。しかしながら、アウトソール20は、ミッドソール18の下表面32に個別に固定される複数の分離したセグメントから製造されてもよい(たとえば
図5に示す代替的実施形態を参照)。アウトソール20は、1つ以上の材料から構成することができ、本実施形態は発泡体およびラバーの混合物から構成することができる。代替的に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ラバー、ナイロン、または他のポリマーブレンド(ナイロンおよび/またはTPUを含むもの)から構成することができる。これらの材料は単に例示的なものであり、アウトソール20は本質的には、比較的耐摩耗性のある任意のポリマー、エラストマーおよび/または天然または人工ラバーまたは他の材料(所望の機能的特性を提供することができるもの)から構成することができる。また、アウトソールは、熱可塑性エラストマーおよび/または熱硬化性エラストマーを含むように構成することができる。繊維強化ポリマー等の他の材料を用いてもよい。これらは、エポキシ、ポリエチレン、ポリエステル、炭素で補強された熱硬化性プラスチック、ガラス、および/またはアラミド繊維を含んでもよい。
【0060】
図1〜3、
図4Aおよび
図4Bのアウトソール20は、概して滑らかな底部の、地面と係合する表面をもって示される。
図5の代替的実施形態に関連して示すように、アウトソール20の底表面は、複数の突起36’(または滑り止め(cleat)、へこみ(groove)、溝(channel)、接地面(tread)、踏み面の溝(siping)、等)を含んでもよい。突起36’は、本質的にいかなる形状であってもよく、テクスチャーされてもよく、地面と係合する部分を介して表面の特徴を有してもよい。上述のように、アウトソール20は材料の単一の連続する区分であってもよく、複数の分離したアウトソールセグメントから形成されてもよい。アウトソール20または各アウトソールセグメントは、1つ以上の可撓外形(flex contour)38’を含んでもよい。可撓外形38’は、つま先が独立して曲がるようにするために(および、足のボールに関連してより容易に)、概して、足のボールとつま先との間に、足前部内に配置することができる。概して、可撓外形38’は、アウトソールの厚さが、足のボール内の、および/またはつま先内の、または領域内のアウトソールの厚さに比較して減少している(またはまったく存在しない)領域とすることができる。
【0061】
ミッドソール18およびアウトソール20は、ユニットソールとして製造することができ、ユニットソールは、ラスティングの後にアッパー12の底部に固定されてもよい。代替的に、まずミッドソール18がアッパー12の底部に接合され、ミッドソール18がアッパー12に接合された後に、アウトソール20がミッドソール18の底部に接合されてもよい。
【0062】
上述のように、履物物品10は、ストローベルボード16の上方に配置されるトップソール22を含む。トップソール22は、535kPaにおいて約750〜約950kPaの平均係数と、少なくとも約78%のエネルギー効率と、約10%未満の動的圧縮永久ひずみとを有する発泡体から製造される。しかしながら、これらの値は、上述のように用途によって異なり得る。たとえば、535kPaにおける平均係数は、約750〜約950kPaであってもよく、約800〜約950kPaであってもよく、約850〜約950kPaであってもよく、約875〜約950kPaであってもよい。さらに、エネルギー効率は、少なくとも約78%であってもよく、少なくとも約80%であってもよく、少なくとも約82%であってもよい。最後に、動的圧縮永久ひずみは、約10%未満であってもよく、約8%未満であってもよく、約6%未満であってもよい。
【0063】
図示の実施形態では、トップソール22はストローベルボード16の上表面に積層される。たとえば、アッパー12とストローベルボード16とが接合された後に、トップソール22がストローベルボード16の頂部に粘着的に固定されてもよい。しかしながら、トップソール22は、ラスティングの前または後にストローベルボード16に接着され(cemented)てもよい。接着の代替として、トップソール22は、ストローベルボード16の頂面上の適切な位置に直接的に形成されてもよい。たとえば、モールド内にストローベルボード16を配置し、トップソール発泡体をモールドに導入し、トップソール発泡体をモールド内の適切な位置でストローベルボード16と密接に接触させて硬化させることにより積層が形成されてもよい。この代替例では、アッパー12の底部にストローベルボード16を接合する前に、ストローベルボード16上の適切な位置にトップソール22をモールドしてもよい。いくつかの用途では、ラスティング後にストローベルボード16上の適切な位置にトップソール22をモールドすることもできる。ストローベルボード16にトップソール22を積層することは必須ではない。たとえば、いくつかの用途では、トップソール22は、ストローベルボード16の頂部上のアッパー12内に、(これら2つの構成要素の間に直接的接続を設けずに)緩くフィットしてもよい。このオプションは、ストローベルボード16に接合されなくともトップソール22がその形状を維持するのに十分な固有の構造的固さを有している用途では、より実現性がある。
【0064】
上述のように、ストローベルボード16はアッパー12の底部を閉じる。図示の実施形態では、ストローベルボード16は概して、足前部領域、アーチ領域および踵領域を通して連続的に延びる。この実施形態では、ストローベルボード16は開口なく形成され、アッパーの底部の開口全体を実質的に塞ぐ(それはその周囲の周りにラスティングアローワンス50の終端縁によって画定される)。ラスティングアローワンス50のサイズ、形状および構成は、用途によって異なる可能性があり、結果としてストローベルボード16の様々なサイズ、形状および構成につながる。
【0065】
望ましい場合には、アッパー12内の足収容空間は、トップソール22を収容するために全体的にまたは部分的に拡大されてもよい。たとえば、
図1〜3、
図4Aおよび
図4Bに関連して、靴型は、トップソール22の余分な厚さを収容するために靴型の全長にわたって拡大されてもよい。この拡大は、靴型を通して均一であってもよく、変化してもよい。たとえば、拡大の量はトップソール22の厚さに比例してもよい。別の例として、靴型は、足前部領域のみにおいて、またはトップソール22が最も厚い可能性のある他の領域のみにおいて、拡大されてもよい。
【0066】
この実施形態では、トップソール22は、アッパー12の内部の足収容スペースの底部を形成する。図示のように、トップソール22は、つま先から踵までおよび横サイドから中央サイドまで延びるソール組立体14およびアッパー12の底部と本質的に同一の広がりを持つ。この実施形態では、トップソール22は、ラスティングアローワンス50およびストローベルボード16を覆う(
図3および
図4B参照)。トップソール22は、サイズ、形状および構成において、異なるものであってもよい。たとえば、トップソール22は、選択領域(足前部領域等)のみを通して延びてもよいし、他の領域(踵領域等)に存在しないものであってもよい。別の例として、トップソール22は、選択位置において、1つ以上のアパーチャまたは開口を有してもよい。アパーチャまたは開口は、空であってもよく、別の材料(様々な機械的属性の緩衝材等)によって塞がれてもよい。
【0067】
おそらく
図2に最もよく示されるように、図示の実施形態のトップソール22は、概して、つま先から踵まで厚さが均一である。図示の実施形態では、トップソール22は約3mmの厚さである。代替的に、トップソール22は、約1mm〜約10mm、または約2mm〜約7mm、または約2mm〜約5mmの厚さを有してもよい。均一な厚さに代えて、トップソールは、ソールの様々な領域を通して厚さが変化してもよい。たとえば、
図5に示すように、トップソール22’は、足前部領域において、アーチ領域または踵領域におけるよりも厚いものであってもよい。
図5の実施形態では、トップソール22’は、足前部領域の大部分を通しておよそ5mmの最大厚さを有し、踵領域を通しておよそ3mmの厚さを有する。トップソール22’は、アーチ領域において、これら2つの厚さの間の漸進的遷移を含む。しかしながら、トップソール22’の厚さは、用途によって、また、領域によって変化してもよい。たとえば、トップソールは、足前部領域において、約1mm〜約10mmの範囲内、または約2mm〜約7mmの範囲内、または約2mm〜約5mmの範囲内の厚さを有し、アーチ領域において、約1mm〜約7mmの範囲内、または約1mm〜約5mmの範囲内の厚さを有し、踵領域において、約1mm〜約7mmの範囲内、または約1mm〜約5mmの範囲内の厚さを有してもよい。
【0068】
インナーソール24が、トップソール22の上方でアッパー12内にフィットしてもよい。インナーソール24は、足収容スペースの全長および全幅にわたって延びてもよい。インナーソール24は、ミッドソール18の密度よりも概して小さい密度を有する材料から製造されてもよい。インナーソール密度は、用途によって、任意選択で、約5ポンド/立方フィート〜約15ポンド/立方フィート、さらに任意選択で、約7.5ポンド/立方フィート〜約12.5ポンド/立方フィート、または他の密度であってもよい。インナーソール24の材料は、デュロメーター(任意選択で、約15アスカーC〜約50アスカーC、さらに任意選択で約20アスカーC〜約45アスカーC、さらに任意選択で約25アスカーC〜約35アスカーC)を有してもよい。インナーソール24は、EVA、ポリウレタン、ラテックス、発泡体、ジェルまたは他の材料から構成されてもよい。図示の実施形態では、インナーソール24はEVAから製造され、およそ3mm〜7mmの厚さを有するが、厚さは用途によって異なり得る。たとえば、インナーソールは、約2mm〜約10mmの範囲内、または約1mm〜約12mmの範囲内の厚さを有してもよい。図示の実施形態のインナーソール24は厚さが均一であるが、用途によって適宜厚さが変化してもよい。たとえば、インナーソール24は踵領域においてより厚いものであってもよい。インナーソール24は、容易に取り付けられ取り外せるようにアッパー12に緩くフィットしてもよく、アッパー12内に粘着的に固定されてもよい。たとえば、インナーソール24はトップソール22の頂面に接着されてもよい。インナーソール24は、「インナーソール」として参照されているが、「インソール」「フットベッド」または「ソックライナー」としても知られている。
【0069】
代替的実施形態では、ストローベルボードが1つ以上の開口を含んでもよい。たとえば、代替的実施形態が
図6〜7に示される。開示を容易にするために、
図6〜7の実施形態は
図1〜3、
図4Aおよび
図4Bの参照符号に対応する参照符号を含む(ただし二重ダッシュ(すなわち「’’」)が続くことを除く)。おそらく
図6〜7に最もよく示されるように、履物物品10’’は、中央開口54’’(その周囲は
図6に破線で示される)を画定するストローベルボード16’’を含む。この例では、中央開口54’’が、足前部領域60’’、アーチ領域62’’および踵領域62’’の少なくとも一部を通して延びている。しかしながら、ストローベルボード開口の数、サイズ、形状、位置および構成は、用途によって異なり得る。たとえば、ストローベルボード16’’は、足前部領域60’’内にのみ開口を含んでもよい。別の例として、ストローベルボード16’’は、足前部領域60’’内と、踵領域64’’内とに、個別の開口を含んでもよい。
図6の実施形態に戻り、中央開口54’’は、ラスティング後にダイカットによりストローベルボード16’’の中央部分を除去することにより形成されてもよい。代替的に、ストローベルボード16’’は、中央開口54’’を占めるストローベルボード材料がラスティング後にストローベルボード16’’から剥がせるように、中央開口54’’の周囲の周りに、穿孔またはその他の弱化ライン(line of weakening)で形成されてもよい。
図6〜7の実施形態では、トップソール22’’は中央開口54’’を通して下向きに延び、ストローベルボード16’’の底表面と位置合わせされて終端する。この構成は単に例示的なものであり、トップソールはストローベルボードに対して様々な位置に延びてもよい。たとえば、ストローベルボード内に開口が存在する用途では、
図8に示すようにトップソール22’’’が開口54’’’を通して下に延びてもよいし、
図9に示すように、トップソール22’’’’がストローベルボード16’’’’内の開口54’’’’の上側に延びてもよい。
図8の実施形態は、追加のトップソール材料を含むことと、トップソール22’’’とミッドソール18’’’との間により直接的な相互作用を提供することとが望ましい用途において、とくに有用である。この実施形態では、トップソール22’’’はストローベルボード16’’’の周囲を超えて外側に延び、これによって、ラスティングアローワンスおよびバットシームを覆うことができる。
図9の実施形態は、トップソール22’’’’が均一な厚さのトップソール発泡体のシートからダイカットされる時にとくに有用な可能性がある。たとえば、この実施形態では、トップソール22’’’’はダイカットされ、その後ストローベルボード16’’’’の頂面に接着されてもよい。この実施形態では、トップソール22’’’’とストローベルボード16’’’’とは、同じ外縁を共有するという意味において共通境界である。この共通境界構成は、トップソール22’’’’がストローベルボード16’’’’を超えて延びラスティングアローワンスを覆う必要がない用途において、とくに有用な可能性がある。
【0070】
上記の説明は、本発明の本実施形態のものである。添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの発明の精神およびより広い態様から逸脱することなく、様々な代替および変更を加えることができ、これは均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるべきである。この開示は例示目的で提示されており、発明の全実施形態の網羅的な記述として解釈されるべきではなく、また、特許請求の範囲を、これらの実施形態に関連して図示または記載される特定の要素に限定すると解釈されるべきでもない。たとえば、かつ限定なしで、記載された発明のいかなる個別の要素も、実質的に同様の機能性を提供するかまたは他の態様で適切な動作を提供する代替的要素によって置き換えることができる。これは、たとえば、既知の代替的要素(たとえば当業者が現在知っている可能性があるもの等)および将来開発される可能性がある代替的要素(たとえば当業者が開発に際して代替物として認識する可能性があるもの)を含む。さらに、開示される実施形態は、提携して記載され協調して利益の集合を提供する可能性がある複数の特徴を含む。本発明は、それらの特徴をすべて含む実施形態のみには限定されず、また、記述された利益をすべて提供するものにも限定されない(ただし他の態様で特許請求の範囲に明示的に規定される範囲を除く)。特許請求の範囲の、単数形の要素へのいかなる参照(たとえば冠詞「a」、「an」、「the」または「said」を用いたもの)も、その要素を単数のものに限定すると理解されるべきではない。
【0071】
本発明の様々な実施形態に関連して明示的に開示される、すべての範囲およびサブ範囲(subrange)は、そのような範囲内およびサブ範囲内のすべてのサブ範囲(そのうちの整数値および/または分数値を、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても含む)をも記載し、考慮し、包含し、開示すると解釈されるべきである。したがって、明示的に列挙された範囲およびサブ範囲は、その列挙された範囲内およびサブ範囲内の可能なサブ範囲をすべて開示しサポートを提供すると解釈されるべきである。これは、列挙された範囲およびサブ範囲を分割した範囲およびサブ範囲(1/2、1/3、1/4、1/5、等の分数的断片への表現等)を含むがこれに限定されない。単なる一例として、「0.1〜0.9の」範囲の明示的な開示は、0.1〜0.9の範囲内の任意かつすべての可能な値およびサブ範囲(0.1と0.9との間のすべての個別の値を含み、0.1と0.9との間の任意の値によって下限を制限され0.1と0.9との間の任意の値によって上限を制限される値からなる任意のサブ範囲とを含む)を本質的に開示すると解釈されるべきである。また、これは、分数的断片に表現された範囲(たとえば、低いほうからの1/3(すなわち0.1〜0.3)、中央の1/3(すなわち0.4〜0.6)、高いほうからの1/3(すなわち0.7〜0.9)、等)によって導出されるすべてのサブ範囲を含むとも解釈されるべきである。したがって、範囲またはサブ範囲の明示的な列挙は、明示的に列挙された範囲内の値からなる任意の値またはサブ範囲に向けられた任意かつすべての特許請求の範囲の語句に対する適切なサポートを提供する(個別に、および/または、集合的に)と解釈されるべきである。加えて、範囲を定義または修飾する語句(たとえば「少なくとも」「より大きい」「未満」「以下」等)に関して、そのような語句はサブ範囲および/または上限または下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10〜35のサブ範囲と、少なくとも10〜25のサブ範囲と、少なくとも25〜35のサブ範囲と、等を含むと解釈されるべきである。さらなる例として、開示された範囲またはサブ範囲は、その範囲内およびサブ範囲内の任意の個別の数を開示しサポートを提供すると解釈されるべきである。例示すると、「1〜9の」範囲は、1〜9の個別の値をすべて含み、個別の整数(「3」等)を含み、小数点を含む数(または分数)(「4.1」等)を含むと解釈されるべきである。