(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷はSOHO(small office,home office)印刷市場に好適である。次第にインクジェット印刷はラベル印刷や大判印刷等、そのほかの市場にも広がっている。高速輪転印刷は、インクジェット印刷市場にとって重要な商業分野となりつつある。高速インクジェット輪転印刷は比較的小部数の印刷で特に従来のオフセット印刷機に匹敵し、これは、デジタル印刷に初期セットアップ時間とオフセット印刷版の準備費用が不要であるからである。デジタルインクジェット輪転印刷機においては、例えば何千枚ものラベルを注文対応で印刷することが可能である。
【0003】
これまでに、本願の譲受人は、Memjet(登録商標)ページ幅プリンタ技術を利用した様々なインクジェット輪転印刷機について述べてきた。Memjet(登録商標)ページ幅プリンタは、1つまたは複数の固定印刷ヘッドを利用し、その間に印刷媒体、例えば巻取紙を連続的に供給して印刷ヘッドを通過させる。この構成により、従来の走査型印刷ヘッド技術と比較して、印刷速度が大幅に増大する。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0279530号明細書(その内容を参照によって本明細書に援用する)には、ラベル印刷に適したベンチトップ輪転印刷機が記載されている。ベンチトッププリンタは、単独のマルチカラーページ幅印刷ヘッドと、内蔵型の巻取紙供給機構と、メンテナンスステーションと、を含む。メンテナンスステーションは個別の上昇可能モジュールを含み、これは、印刷ヘッドのメンテナンスを行うために媒体供給経路を横断する。この構成の欠点は、印刷ヘッドメンテナンスを行うために巻取紙を切断しなければならない点である。このメンテナンス方式はしたがって、実行可能な印刷ジョブの種類と長さを制限する。
【0005】
米国特許出願公開第2012/0092419号明細書(その内容を参照によって本明細書に援用する)には、媒体供給方向において相互に整列する複数のモノクロページ幅印刷ヘッドからなる工業用輪転印刷機が記載されている。印刷ヘッドはシザーリフト機構に接続された共通のハウジングに取り付けられる。シザーリフト機構により、印刷ヘッドを巻取紙に対して上昇および下降させることができる。印刷ヘッドのメンテナンスを行うには、印刷ヘッドを上昇させ、メンテナンスアセンブリを印刷ヘッドの下で横方向にスライドさせ、印刷ヘッドをメンテナンスアセンブリまで下降させる。このようにして、印刷ヘッドのメンテナンスは、巻取紙を切断せずに行うことができる。しかしながら、米国特許出願公開第2012/0092419号明細書に記載されているプリンタの欠点は、比較的高コストであるほか、より広い媒体幅に印刷するために印刷機を拡張することが難しいという点である。
【0006】
米国特許第8,485,656号明細書(その内容を参照によって本明細書に援用する)には、複数の互い違いに重複する印刷ヘッドを含む大判プリンタが記載されている。各印刷ヘッドは、そのそれぞれの印刷ヘッドに対向して位置付けられたそれぞれの回転式メンテナンスカルーセルによりメンテナンスが行われる。各カルーセルは印刷ヘッドのメンテナンスを行うために媒体経路を横断するため、巻取紙を切断する必要がある。
【0007】
印刷ヘッドメンテナンスを行うために巻取紙を切断する必要のない、比較的低コストの高速インクジェット輪転印刷機を提供することが望ましいであろう。さらに、より広い媒体幅(例えば、約210mmより幅広)に合わせて容易に拡張可能なインクジェット輪転印刷機を提供することが望ましいであろう。さらに、オフセット印刷機で使用されているもののような既存の巻取紙供給装置に容易に組み込むことのできる高速インクジェット輪転印刷機を提供することが望ましいであろう。このように組み込まれるプリンタは、多数のオフセット印刷線を有する商業的印刷機にとって魅力的な提案であり、さらに比較的低コストでのデジタル輪転印刷の採用を促進する。
【発明の概要】
【0008】
第一の態様において、モジュラー式プリンタが提供され、これは、
(a)媒体供給方向を定める媒体供給経路と、
(b)媒体供給経路の上方に懸下される第一のプリンタモジュールであって、
媒体供給方向に対して横方向に延びる第一の印刷ヘッドと、
媒体供給方向に対して第一の印刷ヘッドの第一の側に位置付けられた第一のメンテナンススレッドであって、媒体供給方向に平行に第一の印刷ヘッドに向かってスライド可能な第一のメンテナンススレッドと、
を含む第一のプリンタモジュールと、
(c)媒体供給経路の上方に懸下され、媒体供給方向において第一のプリンタモジュールと少なくとも部分的に重複する第二のプリンタモジュールであって、
媒体供給方向に対して横方向に延びる第二の印刷ヘッドであって、媒体供給方向において第一の印刷ヘッドと少なくとも部分的に重複する第二の印刷ヘッドと、
媒体供給方向に対して第二の印刷ヘッドの反対の第二の側に位置付けられた第二のメンテナンススレッドであって、媒体供給方向と平行に第二の印刷ヘッドに向かってスライド可能な第二のメンテナンススレッドと、
を含む第二のプリンタモジュールと、
を含み、
第一および第二の印刷ヘッドは、媒体供給方向に対して相互に比較的近位にあり、第一および第二のメンテナンスアセンブリは媒体供給方向に対して相互に比較的遠位にある。
【0009】
本明細書中で使用されるかぎり、「印刷ヘッド」という用語一般に、印刷幅ごとに印刷する媒体経路を横切る従来の走査型印刷ヘッドと対照的に、印刷中に静止している横断しない印刷ヘッドを指す。
【0010】
第一の態様によるモジュラー式プリンタでは、有利な点として、第一および第二のプリンタモジュールの容易に拡張可能な構成を使って比較的幅広の巻取紙上に印刷することが可能となる。基本的に、印刷可能な媒体幅の範囲は、第一および第二のプリンタモジュールを、媒体供給経路を横切って交互に重複する構成で設置することにより、実質的に無限である。
【0011】
このモジュラー式構成において、印刷領域の幅は、印刷ヘッドを比較的近位に、メンテナンスステーションを比較的遠位に設置することによって最小化される。この構成で、印刷品質が最大限に高くなる一方で、多様なメンテナンス計画が可能となる。一般的に、第一および第二の印刷ヘッド間の媒体供給方向への距離は10〜200mmまたは20〜100mmである。これに対応して、印刷領域の幅は10〜200mmまたは20〜100mmの範囲である。印刷領域の幅は、媒体供給方向に平行な方向に定められる。
【0012】
好ましくは、第一および第二のメンテナンスアセンブリは反対方向に、すなわち相互に向かって、およびそれぞれ第一および第二の印刷ヘッドに向かって移動するように構成される。換言すれば、第一のメンテナンススレッドは媒体供給方向と同じ方向に移動してもよく、その一方で第二のメンテナンススレッドは反対方向に移動する。あるいは、第一のメンテナンススレッドは媒体供給経路の反対方向に移動してもよく、その一方で第二のメンテナンススレッドは媒体供給方向と同じ方向に移動する。
【0013】
好ましくは、第一および第二の印刷ヘッドの各々は、使用者により交換可能であってもよいそれぞれの印刷ヘッドカートリッジの中に取り付けられる。印刷ヘッドカートリッジは、印刷ヘッドのほかに、例えばインクカプリングおよびインク供給装置を含んでいてもよい。印刷ヘッドは、マルチカラー印刷ヘッドでもモノクロ印刷ヘッドでもよい。
【0014】
好ましくは、印刷ヘッドカートリッジは同一であり、第一および第二のプリンタモジュールの各々で交換可能である。第一および第二のプリンタモジュールで交換可能な印刷ヘッドカートリッジによって、印刷カートリッジの生産コストが最小限となり、また、最終使用者にとって便利である。
【0015】
第一および第二のプリンタモジュールは、相互に同じでも異なっていてもよい。同一の第一および第二のプリンタモジュールには、プリンタモジュールの生産コストを削減するという利点がある。しかしながら、同一の第一および第二のプリンタモジュールは、印刷ヘッドカートリッジとメンテナンスステーションの相対的な向きを同じにする必要がある。印刷ヘッドは一般的に、媒体供給方向に対して非対称のカラープレーンを有するため、同一の第一および第二のプリンタモジュールは、第一のプリンタモジュール内の印刷ヘッドカートリッジを「前方に」印刷させ(例えば、CMYK)と、第二のプリンタモジュール内の印刷ヘッドカートリッジを「後方に」印刷させる(例えば、LYMC)必要がある。このような構成は、適切なコントローラファームウェアを使用すれば技術的に可能であるが、実際には、いくつかの印刷ヘッドが「前方に」印刷し、いくつかの印刷ヘッドが「後方に」印刷する時に、媒体全体を通じて一貫した印刷品質を保証することは難しい。例えば、カラープレーンの順番が逆転した時に、上刷りと下刷りの効果の違いを補償するのは難しい。
【0016】
したがって、好ましくは、印刷ヘッドカートリッジが、媒体供給方向に対して全て同じ向きで、全印刷ヘッドが同じカラープレーンのシーケンスで印刷する。その結果、好ましくは、第一および第二のプリンタモジュールは、第一および第二のプリンタモジュールの中のメンテナンスアセンブリに対して印刷ヘッドが異なる向きであることによって同一でない。
【0017】
好ましくは、第一および第二のプリンタモジュールは、それぞれの印刷ヘッドカートリッジを媒体供給経路に対して上昇させるためのそれぞれのリフト機構を含む。印刷ヘッドカートリッジを媒体供給経路に対して上昇させることにより、印刷ヘッドのメンテナンスを、巻取紙を切断せずに行うことができる。
【0018】
好ましくは、第一および第二のプリンタモジュールの各々は、それぞれのプリントバーキャリッジを含み、プリントバーキャリッジはハウジング内にスライド可能に受けられ、ハウジングに対して上昇可能である。
【0019】
好ましくは、各プリントバーキャリッジはそれぞれの印刷ヘッドカートリッジを担持する
【0020】
好ましくは、各プリントバーキャリッジはそれぞれのインクマニホルドを担持し、インクマニホルドは、ぞれぞれの印刷ヘッドカートリッジと嵌合し、そこにインクを供給するための少なくとも1つの結合手段を有する。
【0021】
好ましくは、第一の態様において、印刷領域は、長さが216mmより長く、最大で約2000mmであり、印刷領域の長さは、媒体供給方向を横断する方向に定められる。いくつかの実施形態において、印刷領域は、長さが300mmより長く、400mmより長く、または500mmより長い。したがって、このモジュラー式プリンタは大判媒体、すなわち標準A4または米国のレターサイズの媒体に印刷できる。
【0022】
第一および第二のプリンタモジュールは、例えば媒体供給経路の上方に原下されたガントリに固定して取り付けられる。一般的に、第一および第二のプリンタモジュールは、プリンタモジュールを媒体供給経路の上方に取り付けるように構成された堅固な取り付けビームを含む。
【0023】
第二の態様において、プリンタアセンブリが提供され、これは、
1対の対向する側壁を含むハウジングであって、各側壁がそれぞれの参照スロットを画定するハウジングと、
1対の第一のストッパであって、各第一のストッパはハウジングのそれぞれの側壁に画定されたそれぞれの参照スロットの下端に向かって位置付けられ、それぞれの第一のストッパは第一の基準面を画定するような1対の第一のストッパと、
ハウジング内にスライド可能に受けられたプリントバーキャリッジであって、
筐体と、
筐体により支持される印刷ヘッドと、
1対の突起であって、各突起は筐体のそれぞれの側から外側に向かって延び、各突起は筐体のそれぞれの参照スロット中に受けられ、各突起はそれぞれの参照スロット内でスライド摺動可能であるような1対の突起と、
を含むプリントバーキャリッジと、
プリントバーキャリッジをハウジングに対して上昇させるリフト機構と、
を含み、
第一の基準面はプリントバーキャリッジの印刷位置を画定し、プリントバーキャリッジは、各突起がそれぞれの第一の基準面と当接係合した時に印刷位置にある。
【0024】
第二の態様によるプリンタアセンブリは、有利な点として、上昇可能なプリントバーキャリッジの印刷位置を、プリントバーキャリッジがスライド可能に受けられるハウジングに対して画定できる。特に、突起、参照スロット、およびストッパはコンパクトな設計を提供し、印刷ヘッドに特別な変更を加える必要がない。第一の態様に対して説明したプリンタモジュールの各々は、第二の態様によるプリンタアセンブリを含んでいてもよい。
【0025】
一般的に、ストッパの高さは調節可能であり、それによって使用者は印刷位置の高さを容易に調節でき(例えば、異なる厚さの媒体に使用するとき)、各プリンタアセンブリに中からアクセスする必要がない。プリンタアセンブリは、媒体供給経路の上方に懸下させることによって(例えば、上方の堅固なカンチレバービームまたはガントリに取り付けることによる)取り付けらたら、ストッパを使って、媒体に関する印刷位置の高さ、およびしたがって「ペン−紙距離(pen−to−paper spacing)」(PPS)、または吐出インク滴の「飛翔距離」を制御してもよい。
【0026】
好ましくは、印刷ヘッドは筐体の対向するサイドパネル間に取り付けられ、各突起はそれぞれのサイドパネルから外側に延びる。
【0027】
好ましくは、各第一のストッパはハウジングのそれぞれの側壁の外(外側)表面に取り付けられる。ストッパを外側に取り付けることにより、印刷ヘッドが参照する基準と、印刷ヘッドのメンテナンスを行うためのスライド式メンテナンススレッドとの間の全ての干渉が防止される。さらに、ストッパを外側に取り付けることにより、プリンタアセンブリを設置する際に、使用者がその場で容易にアクセスできる。
【0028】
好ましくは、各第一のストッパは、そのそれぞれの側壁に対して調節可能に取り付けられて、複数の異なる印刷位置を提供する。各第一のストッパを調節可能に取り付けるのに適した手段は、当業者であれば容易にわかるであろう。例えば、スライダ機構またはねじ機構を使って、手動で高さを調節してもよい。あるいは、当業界で知られているように、1つまたは複数の戻り止めをスライダ機構と共に使用して、ある範囲の所定の停止高さを提供してもよい。
【0029】
好ましくは、プリンタアセンブリが媒体経路の上方に懸下されるようにプリンタアセンブリを支持構造上に固定して取り付けるための1つまたは複数の上側取り付け板またはビームを含む。
【0030】
好ましくは、リフト機構はラックアンドピニオン機構を含む。
【0031】
好ましくは、キャリッジは1対のラックを含み、シャフトがハウジングの側壁間に回転可能に取り付けられ、1対のピニオンがシャフトの周囲に固定して取り付けられ、各ピ二オンがそれぞれのラックと係合する。
【0032】
好ましくは、ハウジングはキャリッジの一部と係合するガイドスロットを画定し、前記ガイドスロットはハウジングに関するキャリッジの移動を制約する。
【0033】
好ましくは、ガイドスロットは、参照スロットの一方の横方向に離間され、それと平行に延びる。
【0034】
好ましくは、ハウジングの第一の側壁はそれぞれのガイドスロットを有し、キャリッジは、回転可能に取り付けられた複数の第一の軸受を含み、各第一の軸受はガイドスロット内で移動する。
【0035】
好ましくは、複数の第一の軸受は、筐体のサイドパネルに固定されたブラケットに回転可能に取り付けられる。
【0036】
好ましくは、第一の軸受は、相互に整列し、ラックと平行である。
【0037】
好ましくは、プリンタアセンブリはさらに、
ハウジングに固定されたトラックであって、参照スロットに対して横方向に延びるトラックと、
トラックに取り付けられたメンテナンススレッドと、
トラックに沿ってメンテナンススレッドを搬送するための搬送機構と、
リフト機構と搬送機構を調整するコントローラであって、
メンテナンススレッドが印刷ヘッドと整列した状態から横方向に移動された印刷位置と、
メンテナンススレッドの少なくとも一部が印刷ヘッドと整列するメンテナンス位置と、
を提供するように構成されたコントローラと、
を含み、
印刷ヘッドはメンテナンス位置において、印刷位置に対して上昇される。
【0038】
プリンタアセンブリは、リフト機構を使ってプリントバーを上昇させ、メンテナンススレッドを媒体供給方向と平行に印刷ヘッドに向かって搬送し、プリントバーを、印刷ヘッドが適当なメンテナンスモジュール(例えば、キャッパまたはワイパ)と係合するように下降させることによって、メンテナンス位置(例えば、拭き取り位置のキャップ取付位置)に設定されてもよい。プリンタアセンブリは、リフト機構を使ってプリントバーを上昇させ、メンテナンススレッドを印刷ヘッドと反対に搬送し、プリントバーを、印刷ヘッドが印刷位置に来るように下降させることによって、印刷位置に設定されてもよく、印刷位置はメンテナンス位置より低い。
【0039】
好ましくは、メンテナンススレッドは、
印刷ヘッドにキャップを取り付けるキャッパモジュールと、
印刷ヘッドを拭くためのワイパモジュール
のうちの少なくとも一方を含む。
【0040】
好ましくは、キャッパモジュールは、周辺キャッパのそれぞれの端に配置された1対の第二のストッパを含み、各第二のストッパは第二の基準面を画定する。
【0041】
好ましくは、着弾領域が印刷ヘッドの長手方向の何れかの端に画定されて、キャップ取付位置において、第二の基準面と当接係合する。
【0042】
その内容を参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2011/0279524号明細書に記載されているように、周辺キャッパは、スピッティングおよび/またはプライミング動作中にインクを捕捉するように位置付けられた内部ウィック要素を含んでいてもよい。ウィック要素は、正確に印刷ヘッドの付近に(ただし接触しないように)位置付けられ、それによって流体ブリッジ(「インクブリッジ」)が印刷ヘッドとウィッキング要素との間に形成されうる。したがって、第二の基準面と着弾領域は、好ましくは米国特許出願公開第2011/0279524号明細書に記載されているタイプである周辺キャッパを正確に位置決めするために利用される。
【0043】
好ましくは、ワイパモジュールは、メンテナンススレッド上に弾性的に取り付けられる。ワイパモジュールを弾性的に取り付けることによって、拭き取り位置において、印刷ヘッドをワイパに対して位置付ける際のある程度の許容度が得られる。一般的に、拭き取り位置はキャップ取付位置ほど重要ではなく、基準を介してではなく、リフト機構上の適当なセンサおよび/またはタイマを使って制御されてもよい。
【0044】
好ましくは、ワイパモジュールは、回転可能に取り付けられたワイパローラを含み、ワイパローラは印刷ヘッドと同範囲で延びる。本発明のプリンタアセンブリに関連して使用するようになされてもよいワイパローラと周辺キャッパを含む適当なメンテナンススレッドが米国特許出願公開第2012/0092419号明細書に記載されておりその内容を参照によって本明細書に援用する。
【0045】
第三の態様において、プリンタアセンブリが提供され、これは、
名目上のx軸に沿って延びる1対の対向する第一および第二の側壁を含むハウジングであって、第一の側壁がz軸に沿って延びるガイドスロットを有し、ガイドスロットは対向する第一の軸受面間に画定されるようなスロットと、
側壁間に回転可能に取り付けられたシャフトであって、y軸に沿って延びるシャフトと、
シャフトのそれぞれの端に固定して取り付けられ、それと共に回転する第一および第二のピニオンと、
ハウジング内にスライド可能に受けられたプリントバーキャリッジであって、
筐体と、
筐体に固定された第一および第二の平行なラックであって、各ラックがそれぞれのピニオンと係合してラット・アンド・ピニオン式リフト機構を画定する第一と第二の平行なラックと、
筐体の第一の側に回転可能に取り付けられた第一の軸受群であって、各第一の軸受がガイドスロット内に受けられる第一の軸受群と、
筐体により支持された印刷ヘッドと、
を含むプリントバーキャリッジと、
シャフトに動作的に接続され、シャフトを回転させて、それによってラックアンドピニオン式リフト機構を介してプリントバーキャリッジをz軸に沿ってハウジングに対して上昇させるドライブモータと、
を含み、
プリントバーキャリッジのスライド移動中、第一の軸受群はガイドスロット内を移動し、第一の案内面に当たってプリントバーキャリッジの回転運動を制約する。
【0046】
第三の態様によるプリンタアセンブリは、有利な点として、高い位置決め精度でプリントバーキャリッジを上昇させ、下降させる堅固なフレームワークを提供する。特に、第一の軸受が堅固なハウジングのガイドスロットと協働することにより、印刷ヘッドの不要な回転を非常によく制約する。第一の態様に関連して説明した第一および第二のプリンタモジュールは各々、第三の態様によるプリンタアセンブリを含んでいてもよい。
【0047】
プリントバーを上昇させ、下降させると、上昇軸の周囲でのプリントバーの固有モーメントによって大きな回転力が生じる。これに対して、米国特許第8,353,566号明細書が開示しているラックアンドピニオン式リフト機構では、1対のブラケットが相補的な1対のガイドポストにスライド可能に取り付けられる。各ブラケットはプリントバーに接続されたラックを有し、それによって、ラックと係合する1対のピニオンを有するシャフトの回転を介してプリントバーを上昇および下降させることができる。米国特許第8,353,566号明細書に記載されているリフト機構の欠点は、長いガイドポストが不可避的に真の平行関係を欠くことであり、これは印刷ヘッドの位置決めとリフト機構の動作にとって問題である。米国特許第8,353,566号明細書は、ブラケット取付においてある程度の遊びを持たせ、上昇/下降中にシータyの位置ずれを補正するのに下降した位置での基準だけを利用することによってこの問題に対処しようとしている。しかしながら、この先行技術の構成の結果、不可避的にリフト構造が過剰に摩耗し、さらに、確実に印刷ヘッドを印刷位置に正確に位置付けることができない。第三の態様によるプリンタアセンブリにより、摩耗が最小限で済む印刷ヘッドのスムーズな上昇と下降および印刷ヘッドの印刷位置への正確な位置付けを確保できる。
【0048】
好ましくは、キャリッジは、第二の側壁の内面に回転可能に取り付けられた第二の軸受を含み、第二の軸受はプリントバーキャリッジの第二の軸受面に当たり、前記第二の時軸受はz軸に沿って延びる。したがって、第一および第二の軸受は協働して、プリントバーキャリッジのシータzおよびシータyの回転運動を制約する。
【0049】
好ましくは、第二の軸受面は、第二のラックの歯のない面により画定される。一般的に、歯のない面は第二のラックの歯付面と対向し、歯付面は第二のピニオンと噛み合う。
【0050】
好ましくは、シャフトとピニオンは平行なラックと協働して、プリントバーのx軸の周囲の回転移動を制約する。それゆえ、プリントバーキャリッジは好ましくは、上昇および下降中にシータx、シータyおよびシータzにおいて制約される。
【0051】
好ましくは、筐体は第一および第二の対向するサイドパネルを含み、第一の軸受群は筐体の第一のサイドパネルに固定されたブラケットに回転可能に取り付けられる。
【0052】
好ましくは、ハウジングは、参照スロットに対して横方向に延びるトラックを含み、プリンタアセンブリはさらに、
トラック上に取り付けられたメンテナンススレッドと、
メンテナンススレッドをトラックに沿って搬送する搬送機構と、
リフト機構と搬送機構を調整するコントローラであって、
メンテナンススレッドが印刷ヘッドと整列した状態から横方向に移動された印刷位置と、
メンテナンススレッドの少なくとも一部が印刷ヘッドと整列するメンテナンス位置と、
を提供するように構成されたコントローラと、
を含み、
印刷ヘッドは、メンテナンス位置において印刷位置に対して上昇される。
【0053】
好ましくは、搬送機構は、複数のプーリの周囲で緊張状態とされた無限駆動ベルトを含み、メンテナンススレッドは駆動ベルトに取り付けられ、それと共に移動する。
【0054】
好ましくは、ブラケットは、印刷位置において駆動ベルトとの接触を回避するように構成される。好ましくは、ブラケットはL字形またはU字形である。
【0055】
好ましくは、ハウジングの各側壁は1対の第一のストッパを含み、各第一のストッパは第一の基準面を画定し、各第一のストッパは各側壁内に画定されたそれぞれの参照スロットの下端に向かって位置付けられ、各参照スロットはガイドスロットから横方向に離間され、それと平行であり、
プリントバーキャリッジは1対の突起を含み、各突起は筐体のそれぞれの側から外側に延び、各突起はハウジングのそれぞれの参照スロット内に受けられ、各突起はそれぞれの参照スロット内でスライド式に移動可能であり、第一の基準面はプリントバーキャリッジの印刷位置を画定し、プリントバーキャリッジは、各突起がそれぞれの第一の基準面と接触係合した時に印刷位置にある。
【0056】
好ましくは、プリントバーキャリッジは対向するサイドパネルを有する筐体を含み、印刷ヘッドはサイドパネル間に取り付けられ、各突起はそれぞれのサイドパネルから外側に延びる。
【0057】
好ましくは、各第一のストッパはハウジングのそれぞれの側壁の外面に取り付けられる。
【0058】
好ましくは、各第一のストッパは、そのそれぞれの側壁に対して調節可能に取り付けられて、複数の異なる印刷位置を提供する。
【0059】
好ましくは、メンテナンススレッドは、印刷ヘッドにキャップを取り付けるキャッパモジュールと、印刷ヘッドを拭くワイパモジュールのうちの少なくとも一方を含む。
【0060】
好ましくは、キャッパモジュールは、周辺キャッパのそれぞれの端に設置された1対の第二のストッパを含み、各第二のストッパは第二の基準面を画定する。
【0061】
好ましくは、着弾領域が印刷ヘッドの長手方向の何れかの端に画定されて、キャップ取付位置において、第二の基準面と当接係合する。
【0062】
好ましくは、ワイパモジュールはメンテナンススレッドに弾性的に取り付けられる。
【0063】
好ましくは、ワイパジュールは、回転可能に取り付けられたワイパローラを含み、ワイパローラは、印刷ヘッドと同じ範囲に延びる。
【0064】
本明細書に記載された好ましい、およびその他の実施形態は、第一、第二、および第三の態様のうちの何れの1つまたは複数にも適用可能であってもよいことがわかるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0067】
プリンタモジュールの概要
図1を参照すると、プリンタモジュール1の形態のプリンタアセンブリが示されており、これは、第一の側壁12および対向する第二の側壁14を有するハウジング10を含む。第一および第二の側壁12および14は、上側取付ビーム15および17と下側取付ビーム19および21を介して接続され、プリントバーキャリッジ100とメンテナンススレッド200からなるプリントエンジン(
図5参照)を格納するための堅固なフレームワークを提供する。取付ビーム15および17の各々は、プリンタモジュール1をガントリまたはカンチレバービーム(図示せず)に取り付けるための取付具18を有する。それゆえ、プリンタモジュール1は、印刷媒体経路の上方に懸下されるように構成される。印刷媒体、例えば巻取紙は、例えば当業界で知られている適当な給紙ローラを使って、プリンタモジュール1を通過するように供給されてもよい。ハウジング10は、プリンタモジュール1の下側部分を通過するように巻取紙を供給しやすくするために、底部を持たない。
【0068】
プリントバーキャリッジ100はハウジング10の中にスライド可能に受けられ、リフト機構を使って、プリントバーキャリッジをハウジング10に対して上昇および下降させることができる。
図1および2に示されるように、プリントバーキャリッジ100は移行位置で上昇され、
図3に示されるように、プリントバーキャリッジ100は印刷位置で下降され、
図4に示されるように、プリントバーキャリッジ100はメンテナンス位置で上昇される。
【0069】
図6および7を簡単に参照すると、プリントバーキャリッジ100は、筐体104に取り付けられたインクマニホルド101と印刷ヘッドカートリッジ102、例えば交換式Memjet(登録商標)印刷ヘッドカートリッジを含み、これは1回の通過で印刷媒体に印刷を行う。(印刷ヘッドカートリッジ102の詳細な説明は、米国特許第8,540,353号明細書、第8,025,383号明細書、および第7,845,778号明細書を参照されたく、その内容を参照によって本明細書に援用する。)インクマニホルド101は、1対の結合手段、例えばその内容を参照によって本明細書に援用する米国特許第8,540,353号明細書に記載されている結合手段を介して印刷ヘッドカートリッジ102にインクを供給し、そこからインクを受け取るように構成される。インクマニホルド101は、印刷ヘッド105と流体連通するインク供給システム(図示せず)の一部を形成する。印刷ヘッドカートリッジ102は、その下面に取り付けられた印刷ヘッド105を含み(
図14)、これには定期的なメンテナンスが必要となる。メンテナンスは、インクまたはごみを拭き取って、インクで詰まったノズルの詰まりを取り除くか、または印刷ヘッド105にキャップを取り付けることによってインクの蒸発を最小限にするために必要となりうる。
【0070】
図2〜4を参照すると、メンテナンススレッド200は、搬送機構(後述)を使ってプリンタモジュール1の名目上のx軸に沿ってスライド可能であり、x軸は媒体供給方向に平行な軸として定義される。キャッパモジュール202とワイパモジュール204の形態のメンテナンスモジュールは、印刷ヘッドに対するそれぞれのキャップ取付および拭き取り動作を実行するためにメンテナンススレッド200に取り付けられる。
【0071】
キャップ取付または拭き取り動作を実行するには、プリントバーキャリッジ100が移行位置(
図1および2)へと上昇され、メンテナンススレッドがx軸に沿って移動されて、印刷ヘッド105の下に位置付けられ、プリントバーキャリッジはキャッパモジュール202またはワイパモジュール204の何れかまで下降される(
図4)。もちろん、メンテナンススレッド200の印刷ヘッド105に関する精密な位置決めは、キャップ取付と拭き取り動作の何れが実行されているかによって決まる。一般に、印刷ヘッド105は、待機期間中はキャップが付けられた状態に保持される。
【0072】
印刷を実行するには、プリントバーキャリッジ100がその移行位置へと上昇され、メンテナンススレッド200が、メンテナンススレッドをx軸に沿ってスライドさせることによって印刷ヘッド105の片側まで横方向に移動される。メンテナンススレッド200が印刷ヘッド105から横方向に移動されると、プリントバーキャリッジ100は印刷位置まで下降され(
図3)、これはプリントバーキャリッジの最も低い位置である。
【0073】
図8を参照すると、コントローラ500は、媒体供給機構501、インクを印刷ヘッドに供給するインク供給システム502、プリントバーキャリッジ100と印刷ヘッド105とリフト機構を含むプリントバーシステム503、およびメンテナンススレッド200と搬送機構とメンテナンスモジュールを含むメンテナンスシステム504の各種の動作を調整するために利用される。インク供給システム502は、米国特許第8,485,619号明細書に記載されている種類であってもよく、同特許の内容を参照によって本明細書に援用する。例えば、インク供給システム502は、インク容器を有する循環システムであってもよく、これはインクを印刷ヘッドカートリッジ102の入口ポート105に供給し、インクを印刷ヘッドカートリッジの出口ポート107から受け取る。印刷、パージ、圧力プライミングおよびデプライミングの各種の動作は、米国特許第8,485,619号明細書に記載されているように、インク供給システムのポンプおよびバルブ装置を介して調整されてもよい。しかしながら、当然のこととして、当業界で知られているように、他のインク供給システムも使用してよい。コントローラ500は、インク供給システム502とメンテナンスシステム504のほか、プリントバーシステム503と媒体供給機構501との適切な信号通信を介して全てのメンテナンスおよび印刷動作を調整する。
【0074】
リフト機構
プリントバーキャリッジ100は、ラックアンドピニオン式リフト機構を使ってハウジング10に対して(名目上のz軸に沿って)スライド式に上昇させることができる。まず
図7を参照すると、ラックアンドピニオン式リフト機構は、筐体104のそれぞれ第一および第二のサイドパネル114および116に固定して取り付けられた第一および第二の歯付ラック110および112を含む。筐体104は、サイドパネル114および116と交差するエンドパネル118およびベースパネル120をさらに含み、サイドパネルの平行関係、およびしたがってサイドパネルに取り付けられたラック110および112の平行関係を確保するような堅固なフレームワークを提供する。
図3、5および9に最もよく示されているように、シャフト25はハウジング10の側壁12および14間に回転可能に取り付けられる。第一および第二の歯付ピニオン26および28は、シャフト25と回転するようにシャフトの周囲にその両端において固定して取り付けられる。第一および第二のピニオン26および28は、それぞれ第一および第二のラック110および112と噛み合い、ラックアンドピニオン式リフト機構を提供する。
【0075】
シャフト25の回転は、ウォームギア装置を介してシャフトと係合するリフトモータ30によって駆動される。ウォームギア装置は、リフトモータ30に接続されたウォーム32と、シャフト25の周囲に第二のピニオン28に隣接して取り付けられた、嵌合相手となるウォームホイール34(
図9)を含む。したがって、リフトモータ30は、シャフト25を何れかの方向に回転させて、ラックアンドピニオン式リフト機構を介してプリントバーキャリッジ100を上昇または下降させるために使用される。
【0076】
プリントバーキャリッジの移動の制約
前述のように、プリントバーキャリッジ100は、ラックアンドピニオン式リフト機構に動作的に接続されたリフトモータ30の作動によって上昇および下降される。スムーズで確実なリフト機構を提供するために、プリンタモジュール1のy軸の周囲でのプリントバーキャリッジのあらゆる回転移動を制約することが好ましい。
図10に示されるように、プリントバーキャリッジ100は、矢印Wにより示されるプリントバーキャリッジ100の重量によって、ピニオン26の周囲で時計回り方向の回転付勢力を受ける。
【0077】
あらゆる回転移動を制約するために、1対の第一の軸受105Aおよび150Bが、取付ブラケット152を介して筐体104の第一のサイドパネル114に回転可能に取り付けられる。第一の軸受105Aおよび105Bは、ハウジング10の第一の側壁12により画定されるガイドスロット47の中に受けられ、ガイドブラケット49は第一の側壁12の外面に固定される。ガイドスロット47は、プリンタモジュール1のz軸に沿って延び、それと平行に延びる参照スロット40(後述)から横方向にずれている。
【0078】
ガイドブラケット49は、ガイドスロット47の対向する縦方向の辺に沿って延びる1対の対向する第一の軸受面50Aおよび50Bを画定する。第一の軸受面50Aおよび50Bは、プリントバーキャリッジ100の固有の回転バイアスに対する反力を提供する。第一の軸受150Aおよび150Bは、ガイドスロット47と平行であり、ガイドスロットの中でz軸に沿って移動し、プリントバーキャリッジ100の上昇および下降中に、それぞれの軸受面50Aおよび50Bに当たる。実際に、第一の軸受と第一の軸受面との間の最小限のクリアランス(例えば、0.01〜0.1mm)によって、プリントバーキャリッジ100の回転バイアスにより、(
図10の中で見た場合)上側の第一の軸受150Aは右側の第一の軸受面50Aに当たり、下側の第一の軸受150Bは左側の第一の軸受面50Bに当たる。
【0079】
図11は、プリントバーキャリッジ100がその最も下の印刷位置にあるときの第一の軸受150とガイドスロット47の側面図である。プリントバーキャリッジ100がこの最も下の位置で第一のストッパ36により支持されると、プリントバーキャリッジの回転バイアスが逆転する。
【0080】
図12および13を参照すると、第二の軸受60が、取付ブロック62を介してハウジング10の第二の側壁14の内面に回転可能に取り付けられている。第二の軸受60は、第二のラック112の歯のない面に当たるように位置付けられる。歯のない面は第二のラック112の歯付面と対向して、第二の軸受面155を画定し、プリントバーキャリッジ100の上昇および下降中に第二の軸受60がそれに当たる。
図13は、第二の軸受60と第二の軸受155との係合をより明瞭に示すために、第二の側壁14および第二のサイドパネル116が取り除かれている。
【0081】
第一の軸受150と第二の軸受60は、そのそれぞれの第一の軸受面50および第二の軸受面155と協働して、上昇および下降中にyおよびz軸(シータyおよびシータz)の周囲でのプリントバーキャリッジ100の回転移動を制約する。この回転移動の制約によって、プリントバーキャリッジ100の上昇と下降が繰り返された時のラックアンドピニオン機構の過度な摩耗が最小限にされる。
【0082】
基準装置
図1〜4を参照すると、プリントバーキャリッジ100の印刷位置は、第一および第二の側壁12および14の外面に取り付けられた1対の第一のストッパ36により画定される。第一のストッパ36の各々は、ハウジング10のそれぞれの側壁12おび14に画定されたそれぞれの参照スロット40の下端に向かって位置付けられる。筐体104は、それぞれのサイドパネル114および116から外側に延びる1対の突起130を有し、突起は、ハウジング10のそれぞれの参照スロット40に受けられる。突起130は、それぞれの参照スロット40の中でz軸に沿ってスライド式に移動可能である。第一のストッパ36は、印刷位置において(
図3)、それぞれの突起130と当接係合するためのそれぞれの第一の基準面37を画定する。突起130の各々が下降されてそれぞれの当接面37と係合しているとき、プリントバーキャリッジ100はその印刷位置にある。
【0083】
上昇および下降中にプリントバーキャリッジ100はz軸においてしなり、それによって突起の一方が他方より先にそれぞれの当接面と係合する可能性がある。プリントバーキャリッジ100がしなった場合にこれに対処するために、コントローラ500はリフトモータ30からフィードバックを受ける−すなわち、リフトモータがそのそれぞれの当接面と突起の一方が係合したことに対応する抵抗の急激な増加を感知すると、コントローラはモータに対し、所定の期間にわたって動作を継続するように指示し、もう一方の突起が確実にその当接面と係合するようにする。このようにして、毎回の下降動作で、プリントバーキャリッジ100が確実にその印刷位置に位置付けられる。
【0084】
第一のストッパ36は各々、それぞれの側壁12および14にスライド可能に取り付けられて、調節可能な印刷位置を提供する。したがって、プリンタモジュール1の据付後、使用者は、例えば異なる厚さの媒体に印刷する際に、印刷品質を最適化するために印刷ヘッドの印刷位置を調節できる。ストッパ36の各々は、ストッパをスライドさせて調節した後、それぞれの対のロックねじ45を介してその位置に固定される。
【0085】
プリントバーキャリッジ100の印刷位置は、吐出インク滴の飛翔距離(当業界では「ペン−紙距離」とも呼ばれる)の制御にとって重要であり、前述のように、第一の基準面37は筐体104に取り付けられた突起130と共に、この距離を正確に制御する。
【0086】
キャッパモジュール202は一般的に、内部ウィック要素(図示せず)を含み、これはキャップ取付中に印刷ヘッド105に近接して、ただし接触しないように位置付けられるべきであるため(その内容を参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2011/0279524号明細書参照)、プリントバーキャリッジ100がキャップ取付位置に位置付けられた時に、印刷ヘッド−キャッパ距離を制御することが重要である。
【0087】
図14を参照すると、キャッパモジュール202は周辺キャッパ210を含み、これは印刷ヘッド105の長さにわたって延び、内部空洞を画定する弾性変形可能な側壁を有する。キャッパモジュール202は、周辺キャッパ210のそれぞれの端に位置付けられる1対の第二のストッパ212をさらに含む。第二のストッパ212は、印刷ヘッド105の何れかの端において印刷ヘッドカートリッジ102により画定されるそれぞれの着弾領域215と当接係合するための、それぞれの第二の基準面214を画定する。プリントバーキャリッジ100がキャップ取付位置まで下降されると(
図4)、着弾領域215は第二の基準面214と当接して、キャップ取付位置を画定する。
【0088】
したがって、プリントバーキャリッジ100の印刷位置は、突起130を第一の基準面37と当接係合させることによって制御され、プリントバーキャリッジ100のキャップ取付位置は、着弾領域215を第二の基準面214と当接係合させることによって制御される。
【0089】
メンテナンススレッドと搬送機構
図1〜4に関連して述べたように、メンテナンススレッド200は、媒体供給方向と平行な方向に、印刷ヘッド105に向かって、およびそこから反対にスライド可能である。
図15を参照すると、メンテナンススレッドはスレッドフレーム201を含み、その上にキャッパモジュール202とワイパモジュール204が取り付けられる(本明細書ではまとめて「メンテナンスモジュール」と呼ぶ)。
【0090】
上述のように、キャッパモジュール202はスレッドフレーム201に固定して取り付けられ、その一方でワイパモジュール204はスレッドフレームに、コイルばね217を介して弾性的に取り付けられ、これは拭き取り動作中にワイパモジュールを印刷ヘッド105に向かって付勢する。ワイパモジュール204は、マイクロファイバ面を有するワイパローラ218を含み、これは、印刷ヘッド105から、それと接触して回転または並進移動した時にインクとごみを拭き取るように構成される。メタルトランスファローラ(
図15では図示せず)、はマイクロファイバワイパローラ218と永久的に接触して、ワイパローラローラからのごみの混ざったインクを受け取る。ワイパモジュールのより詳細な説明は、米国特許出願公開第2012/0092419号明細書を参照されたく、その内容を参照によって本明細書に援用する。
【0091】
拭き取り中のワイパローラ218と印刷ヘッド105との間の距離は、キャップ取付距離ほど重要ではない。したがって、ばね217を介したワイパモジュール204の付勢は、適当な拭き取り力を提供するのに十分であり、拭き取り動作中に印刷ヘッドの位置を正確に制御する必要はない。
【0092】
メンテナンススレッド200は、ハウジング10の側壁12および14間にスライド可能に取り付けられて、プリンタモジュール1のx軸に沿ってスライド式に移動可能である。
図5を簡単に参照すると、スレッドガイド65は第二の側壁14の内面に固定して取り付けられて、x軸に沿って延びる。スレッドガイド65は、スレッドフレーム291の第二の面に回転可能に取り付けられたスレッド軸受群222を受ける。
【0093】
図16および17を参照すると、レール67は第一の側壁12の内面に固定して取り付けられ、x軸に沿って延びる。スレッドキャリッジ69は、レール67にスライド可能に取り付けられて、それに沿って移動する。スレッドキャリッジ69は、スレッドフレーム201に固定されたスレッドマウント224に接続される。したがって、メンテナンススレッド200は、スレッドガイド65とレール67によって画定されるトラックに沿ってスライド可能である。
【0094】
レール67に沿ったスレッドキャリッジ69の移動は搬送機構により駆動され、これは駆動プーリ72に動作的に接続された搬送モータ70と、駆動プーリ72と従動プーリ74A、74B、および74Cとの間で緊張状態にある無限駆動ベルト73からなる。第一の従動プーリ74Aは、レール67の一方の端において第一の側壁12に取り付けられ、第二および第三の従動プーリ74Bおよび74Cは、レール67の反対の端で第一の側壁12に取り付けられる。従動プーリ74A、74B、および74Cはレール67の両端間と駆動プーリ72の周囲で駆動ベルト73を導く役割を果たす。
【0095】
図16に示されるように、駆動ベルト73は、スレッドマウント224と係合する歯付の内面を有する。それゆえ、搬送モータ70により駆動される駆動ベルト73の移動によって、メンテナンススレッド200はプリンタモジュール1のx軸に沿って、プリントバーキャリッジ100に向かって、またはその反対の何れかに移動する。
【0096】
プリンタモジュールアレイを含むモジュラー式プリンタ
図18を参照すると、プリンタモジュール1を詳しく説明してきたが、互い違いに重複するアレイとして配置された3つのプリンタモジュールA、BおよびCを含むモジュラー式プリンタ600の平面図が示されている。プリンタモジュールA、BおよびCは、巻取紙602の上方に延びるガントリ(図示せず)に取り付けられて、各プリンタモジュールが巻取紙の上方に懸下される。媒体供給方向は矢印Mにより示される。この互い違いに重複する構成により、比較的幅広い媒体に印刷することが可能であり、原則として、モジュラー式プリンタ600は、例えば2個から10個と、何れの数のプリンタモジュールを含んでいてもよい。
【0097】
各プリンタモジュールは、少なくとも1つの隣り合うプリンタモジュールと媒体供給方向Mに重複する。各プリンタモジュール内のノズル発射の適当なタイミングと制御により、重複するモジュールの各々を使って、巻取紙602に画像を継ぎ目なく印刷できる。互い違いに重複する印刷ヘッドの同様の構成は、メンテナンス構成は異なるものの、米国特許第8,485,656号明細書に記載されており、その内容を参照によって本明細書に援用する。
【0098】
図18に示されるモジュラー式構成において、プリンタモジュールA、BおよびCは、印刷ヘッドカートリッジ102が相互に比較的近位にあり、メンテナンススレッド200が媒体供給方向に対して相互から比較的遠位になるような向きである。換言すれば、中央のプリンタモジュールBは、2つの外側のプリンタモジュールAおよびCと比較して、向きが逆転している。この構成によって、印刷ヘッド105は比較的近位にあり、したがって、印刷領域の幅が最小となる。(本明細書中で使用されるかぎり、印刷領域の幅は、媒体供給方向と平行に定められ、印刷領域の長さは媒体供給方向に垂直に定められる。)それゆえ、全てのプリンタモジュールに対するメンテナンスを同時に実行するために、プリンタモジュールBのメンテナンススレッド200は、プリンタモジュールAおよびCのメンテナンススレッド200と反対方向に移動する。換言すれば、全てのメンテナンススレッド200は、それぞれの印刷ヘッド105へのメンテナンス動作を実行するために、印刷領域に向かって移動する。このプリンタモジュールの構成によって、印刷領域の幅が最小限となることで高い印刷品質を得ることが可能となり、さらに、巻取紙602を切断せずに印刷ヘッドのメンテナンスが可能となる。
【0099】
さらに
図18を参照すると、プリンタモジュールBはプリンタモジュールAおよびCと同様であるが同一ではないことに留意するべきである。プリンタモジュールAおよびCは、上述のプリンタモジュール1と同一であり、図のように、印刷位置においてメンテナンススレッド200に比較的近いインクマニホルド101を有する。しかしながら、プリンタモジュールBは、図のように、印刷位置においてプリンタモジュールBのインクマニホルド101がメンテナンススレッド200から比較的遠くにあるため、プリンタモジュールAおよびCとはわずかに異なる。このわずかな違いにより、全ての印刷ヘッドカートリッジ102と、したがって全ての印刷ヘッド105を媒体供給方向Mに対して同じ方向に向けることができる。したがって、所定の順序のカラーチャネルを有する全ての印刷ヘッド105が、同じ方向感で、カラーチャネル発射の同じ順序で印刷する。したがって、マルチカラー印刷中に上刷りまたは下刷りから生じるあらゆる印刷アーチファクトが最小化する。
【0100】
もちろん、本発明は例として説明されたにすぎず、付属の特許請求の範囲の中で定義される本発明の範囲内で詳細箇所の改変を行ってもよい。