(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386561
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】吸湿率及び収縮率が改善されたナイロンブレンド組成物、それから製造されるナイロン系繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 6/90 20060101AFI20180827BHJP
C08L 77/02 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
D01F6/90 311A
C08L77/02
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-536797(P2016-536797)
(86)(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公表番号】特表2016-540135(P2016-540135A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】KR2014011781
(87)【国際公開番号】WO2015084056
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0150194
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513132586
【氏名又は名称】ジーエス カルテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ドン−フン
(72)【発明者】
【氏名】イ ス−ジョン
【審査官】
春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−111990(JP,A)
【文献】
特開平03−227411(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/161174(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/058019(WO,A1)
【文献】
Tuyoshi Konomi, Kyoko Ohashi,Thermal degradation and water sorption for α-Pyrrolidone/ε-Caprolactam copolymer,SEN-I GAKKAISHI,日本,SEN-I GAKKAI,1982年 6月,Vol.38, No.6,pp. 246-253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F1/00−6/96、9/00−9/04
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムがアルカリ触媒下でCO2開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することによりアニオン重合された樹脂70重量%〜95重量%;および
ナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を含む
吸湿率および収縮率が改善された繊維製造用のナイロンブレンド組成物。
【請求項2】
前記2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムがアルカリ触媒下でCO2開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することによりアニオン重合された樹脂は、ナイロン4,6樹脂である請求項1に記載の吸湿率および収縮率が改善された繊維製造用のナイロンブレンド組成物。
【請求項3】
前記2−ピロリドンまたは前記炭素数5〜7のラクタムは、バイオマスから得られるものである請求項1または請求項2に記載の吸湿率および収縮率が改善された繊維製造用のナイロンブレンド組成物。
【請求項4】
前記2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムがアルカリ触媒下でCO2開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することによりアニオン重合された樹脂の重量平均分子量が50 kg/mol〜200 kg/molである請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸湿率および収縮率が改善された繊維製造用のナイロンブレンド組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のナイロンブレンド組成物から製造される吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維。
【請求項6】
前記ナイロン系繊維の吸湿率が5%〜10%である請求項5に記載の吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維。
【請求項7】
前記ナイロン系繊維の収縮率が10%〜40%である請求項5に記載の吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維。
【請求項8】
前記ナイロン系繊維の強度が3g/d〜5g/dである請求項5に記載の吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維。
【請求項9】
2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムがアルカリ触媒下でCO2開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することによりアニオン重合された樹脂70重量%〜95重量%、およびナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を溶融ブレンドした後、紡糸して製造されることを特徴とする
吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維の製造方法。
【請求項10】
前記2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムがアルカリ触媒下でCO2開始剤およびイソシアネート系化合物を添加することによりアニオン重合された樹脂は、ナイロン4、6樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維の製造方法。
【請求項11】
前記溶融ブレンドは230℃〜270℃で行われる、請求項9または請求項10に記載の吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維の製造方法。
【請求項12】
前記紡糸段階は、140℃〜180℃で熱固定の過程を経ることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の吸湿率および収縮率が改善されたナイロン系繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿率及び収縮率が改善されたナイロンブレンド組成物、それから製造されるナイロン系繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイロン6は、通常、優れた強度、弾性回復率、染色性などの特性を持っているが、ナイロン6を含むほとんどの合成繊維は吸湿率が低いという欠点がある。天然繊維であるコットンは吸湿率が高く従来の合成繊維に比べ肌触りが良好であるが、マイクロファイバーへの加工が不可能で、優れた肌触りの発現が不可能であり紫外線遮断性が非常に不足しているうえ、価格が高価であるため、これに代わる革新的なナイロン合成繊維の出現が求められてきた。
【0003】
古くから合成繊維を研究する人々は、従来の合成繊維の長所をそのまま維持しながら、高い吸湿率と優れたフィット感というコットンの長所を同時に生かすことができる新合成繊維の研究を重ねてきた。そのような努力の結実の中で最も注目されてきたのは、ナイロン4(2−ピロリドン単量体が単独重合された樹脂)と言える。
【0004】
このようなナイロン4は、構造において繰り返し単位当たりの親油性炭素数が少ないため、吸湿率が高く強度が優れているという強みにより、1973年コットンの代わりになる夢の合成繊維として登場したが、融点が265℃であるのに対し、熱分解温度が260℃で、紡糸加工耐熱性が非常に劣悪であるという技術的な問題点がある。
【0005】
このようなナイロン4とナイロン6の物性を相互補完することができるナイロンブレンド組成物の製造が求められているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%;及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を含む吸湿率及び収縮率が改善された繊維製造用のナイロンブレンド組成物などを提供することにその目的がある。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%;及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を含む吸湿率及び収縮率が改善された繊維製造用のナイロンブレンド組成物を提供する。
【0009】
前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂は、ナイロン4,6樹脂とすることができる。
【0010】
前記2−ピロリドンまたは前記炭素数5〜7のラクタムは、バイオマスから得られるものとすることができる。
【0011】
前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂の重量平均分子量が50kg/mol〜200kg/molであることができる。
【0012】
本発明の一実施例として、前記ナイロンブレンド組成物から製造される吸湿率及び収縮率が改善されたナイロン系繊維を提供する。
【0013】
前記ナイロン系繊維の吸湿率が5%〜10%であることができる。
【0014】
前記ナイロン系繊維の収縮率が10%〜40%であることができる。
【0015】
前記ナイロン系繊維の強度が3g/d〜5g/dであることができる。
【0016】
本発明の一実施例で、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%、及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を溶融ブレンドした後、紡糸して製造されることを特徴とする吸湿率及び収縮率が改善されたナイロンブレンド組成物の製造方法を提供する。
【0017】
前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂は、ナイロン4,6樹脂とすることができる。
【0018】
前記溶融ブレンドは230℃〜270℃で行うことができる。
【0019】
前記紡糸段階は、140℃〜180℃で熱固定の過程を経ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るナイロンブレンド組成物は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%;及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を含むことにより、紡糸加工性に優れ、高吸湿率を維持しながらも、低収縮率及び高強度の特性を有し、繊維の断面が均一な特性を示すものであって、産業用および衣料用製品を製造するための後加工時の収縮不均一現象がなく、形態の安定性に優れて、産業用および衣料用繊維材料として非常に有用であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例により製造された繊維の断面を光学顕微鏡で測定したものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、ナイロンブレンド組成物について研究していた中、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂及びナイロン6樹脂を一定の重量比で溶融ブレンドすることにより、紡糸加工性、吸湿率及び収縮率、強度など繊維物性に優れたナイロンブレンド組成物を製造することができることを確認して、本発明を完成した。
【0024】
本発明は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%;及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を含む吸湿率及び収縮率が改善されたナイロンブレンド組成物を提供する。
【0025】
前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂において、炭素数5〜7のラクタムとしては、ピペリドン(piperidone)、カプロラクタム(caprolactam)、エナントールラクタム(enantholactam)などが挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、ε−カプロラクタムを使用することができる。
【0026】
前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂は、ナイロン4,6樹脂とすることができ、ナイロン4,6樹脂は、炭素数5〜7のラクタムとしてε−カプロラクタムを使用して製造され、ナイロン4(2−ピロリドン単量体が単独重合された樹脂)の劣悪な紡糸加工性及び耐熱性を改善して製造したものである。
【0027】
例えば、本発明に係る2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムを含む単量体をアニオン重合してナイロン4,6共重合体を製造した後、前記ナイロン4,6共重合体内の未反応単量体および触媒を水で精製し、前記精製された水のイオン交換を通じてpHを制御し、前記pH制御された水を濃縮して前記未反応単量体を回収することにより製造することができる。
【0028】
前記ナイロン6樹脂は、炭素数6つのε−カプロラクタムが重合された樹脂を言い、(C
5H
10CONH)
nの化学構造を有する。
【0029】
本発明に係る2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂(例えば、ナイロン4,6樹脂)とナイロン6樹脂は、別途の反応性相溶化剤(compatibilizing agent)がなくても、相互間の混練性に優れた特徴がある。すなわち、前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂と、前記ナイロン6樹脂を含むナイロンブレンド組成物は、単一溶融温度(Tm)及び単一結晶化温度(Tc)を有する。
【0030】
すなわち、本発明に係るナイロンブレンド組成物は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%;及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を含むことが好ましいが、これに限定されない。この時、ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂の重量比が上記の範囲未満である場合には吸湿率が低下する問題があり、ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂の重量比が上記の範囲を超える場合には、紡糸安定性が落ちて紡糸条件を設定するのに困難があり、収縮率が高くなり、強度が落ちる問題がある。
【0031】
前記2−ピロリドンまたは前記炭素数5〜7のラクタムは、バイオマスから得られるものとすることができる。
【0032】
具体的には、前記2−ピロリドンは微生物発酵によって生産されたグルタミン酸またはグルタミン酸ナトリウムを出発物質とし、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)を触媒として用いて4−アミノ酪酸を製造した後、そこから触媒または脱水剤を用いて2−ピロリドンを得ることができる。
【0033】
前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂の重量平均分子量が50kg/mol〜200kg/molであることができる。この時、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂の重量平均分子量が50kg/mol未満の場合、繊維製品の機械的物性が低下する問題があり、ナイロン4,6樹脂の重量平均分子量が200kg/molを超える場合、繊維紡糸時の粘度が高く流動性が悪いという問題がある。
【0034】
前記ナイロンブレンド組成物は、必要に応じて様々な安定化剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、難燃剤、強化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性添加剤、EMI遮蔽剤、結晶核剤、抗菌剤、消臭剤や潤滑剤などからなる群から選択された1種以上を物性、外観、成形性に影響を与えない範囲内でさらに含むことができる。
【0035】
また、本発明は、前記ナイロンブレンド組成物から製造される吸湿率及び収縮率が改善されたナイロン系繊維を提供する。
【0036】
前記ナイロン系繊維の吸湿率が5%〜10%であることができる。
【0037】
前記ナイロン系繊維の収縮率が10%〜40%であることができる。
【0038】
前記ナイロン系繊維の強度が3g/dから5g/dであることができる。
【0039】
つまり、本発明に係るナイロンブレンド組成物から製造されるナイロン系繊維は、紡糸加工性に優れ、高吸湿率を維持しながらも、低収縮率及び高強度の特性を有し、繊維の断面が均一な特性を示すものであって、産業用および衣料用製品を製造するための後加工時の不均一現象がなく、形態の安定性に優れ、産業用および衣料用繊維材料として非常に有用である。
【0040】
また、本発明は、2−ピロリドンおよび炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂70重量%〜95重量%;及びナイロン6樹脂5重量%〜30重量%を溶融ブレンドした後、紡糸して製造されることを特徴とする吸湿性及び紡糸加工性に優れながら、収縮率が改善されたナイロン系繊維の製造方法を提供する。前記2−ピロリドン及び炭素数5〜7のラクタムが重合された樹脂としては、炭素数5〜7のラクタムとしてε−カプロラクタムを使用したナイロン4,6樹脂が挙げられる。
【0041】
前記溶融ブレンドは230℃〜270℃で行われることができる。この時、溶融ブレンドは230℃〜270℃で行われることにより、前記ナイロン4,6樹脂とナイロン6樹脂を混練性に優れるように安定していて効果的にブレンドすることができる利点がある。
【0042】
前記紡糸段階は、140℃〜180℃で熱固定の過程を経ることが、製造されるナイロン系繊維の収縮率を向上させるために好ましいが、これに限定されない。
【0043】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであるだけで、下記の実施例により本発明の内容が限定されるのではない。
【0045】
(1)2−ピロリドン及びε−カプロラクタムが重合された樹脂(ナイロン4,6樹脂)の製造
【0046】
単量体として2−ピロリドン25.5gとε−カプロラクタム79.1g、アルカリ性触媒として水酸化カリウム(KOH)8.4g、CO
2開始剤1.76g及びイソシアネート系化合物として1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−hexamethylene diisocyanate)0.32gを添加してアニオン重合してナイロン4,6共重合体を製造した。ナイロン4,6共重合体内の未反応単量体として2−ピロリドンとε−カプロラクタム及びアルカリ性触媒として水酸化カリウム(KOH)を水で精製した。精製された水のイオン交換を通じてK
+を除去してpHを制御した。pH制御された水を逆浸透膜および蒸留によって濃縮して未反応単量体として2−ピロリドンとε−カプロラクタムを回収することにより、ナイロン4,6樹脂(Mw=140kg/mol)を最終製造した。
【0048】
上記(1)で製造したナイロン4,6樹脂4.75kgとナイロン6樹脂(KN−138/Kolon)0.25kgを混合し、これを235℃で溶融ブレンドしてナイロンブレンド組成物を製造した。ナイロンブレンド組成物を紡糸圧100kgf、延伸比1.15、熱固定温度175℃の条件下で36ホール(hole)紡糸機で紡糸加工して繊維原糸を最終製造した。
【0049】
製造された繊維の断面を光学顕微鏡で測定した結果を
図1に示した。その結果、繊維の断面が均一に形成されたことが確認された。
【0051】
ナイロン4,6樹脂4kgとナイロン6樹脂1kgとを混合したことを除いては、実施例1と同様にした。
【0053】
ナイロン4,6樹脂3.5kgとナイロン6樹脂1.5kgとを混合したことを除いては、実施例1と同様にした。
【0055】
ナイロン4,6樹脂4kgとナイロン6樹脂1kgとを混合し、熱固定温度160℃の条件下で実施したことを除いては、実施例1と同様に実施した。
【0057】
実施例1の(1)で製造したナイロン4,6樹脂5kgを単独で使用し、熱固定温度160℃の条件下で実施した。
【0059】
ナイロン6樹脂(KN−138/Kolon)5kgを単独で使用したことを除いては、実施例1と同様に実施した。
【0062】
実施例1〜4のナイロンブレンド組成物及び比較例1〜2によるナイロン樹脂を紡糸加工した繊維の吸湿率を測定したく、繊維10gずつをそれぞれ用意して、105℃のオーブンに35分間入れておく。オーブンから取り出した後、乾燥した繊維の重量を量って以下の式を使用して吸湿率を計算した。
【0063】
吸湿率(Moisture Regain)(%)=(繊維の重量−乾燥した繊維の重量)/乾燥した繊維の重量×100
【0065】
実施例1〜4のナイロンブレンド組成物及び比較例1〜2によるナイロン樹脂を紡糸加工した繊維の沸水収縮率を測定したく、原糸をそれぞれ約1m程度採取して両端を結んで50cmの長さになるようにし、一定の初荷重(原糸の太さの0.1%)を付与した後、恒温恒湿で24時間保管した。この時の原糸の長さを収縮前原糸の長さと定義し、初荷重を維持したまま、沸水(90〜95℃)で30分浸した後、水気を拭き取って恒温恒湿で24時間保管した後、原糸の長さを測定して収縮後の原糸の長さと定義した。
【0066】
以下の式を使用して沸水収縮率を計算した。
【0067】
沸水収縮率(%)=(収縮前の原糸の長さ−収縮後の原糸の長さ)/収縮前の原糸の長さ×100
【0069】
実施例1〜4のナイロンブレンド組成物及び比較例1〜2によるナイロン樹脂を紡糸加工した繊維の強度を測定したく、繊維を捻れ数及びその他の原形変化が生じないように採取して(100mm)、繊維を引張強度試験機(Universal tensile test machine(Instron社))のクランプに固定し、引張速度200mm/minの十分な力を加えて切断させて引張強度を測定した。
【0070】
上記のような吸湿率、収縮率及び強度の測定結果を下記の表1にまとめて記載した。
【0072】
上記の表1に示すように、実施例1〜4によるナイロンブレンド組成物から製造された繊維は、5.0%〜7.4%の吸湿率を持つため、高吸湿率を維持していることが確認できた。また、上記の表1に示すように、実施例1〜4によるナイロンブレンド組成物から製造された繊維は、14%〜35%の収縮率を持つため、低収縮率の特性を有することが確認できた。また、上記の表1に示すように、実施例1〜4によるナイロンブレンド組成物から製造された繊維は、3.5g/dから4.11g/dの強度を持つため、高強度の特性を有することが確認できた。
【0073】
それに対して、比較例1によるナイロン4,6樹脂から製造された繊維は、45%の高収縮率を持つため、低収縮率の特性が低下を確認することができ、比較例2によるナイロン6樹脂から製造された繊維は4.5%の低吸湿率を持つため、高吸湿率を維持しないことが確認できた。
【0074】
したがって、本発明に係るナイロンブレンド組成物から製造された繊維は、紡糸加工性に優れ、高吸湿率を維持しながらも、低収縮率及び高強度特性を有し、繊維の断面が均一な特性を示すものであって、産業用および衣料用製品の製造のための後加工時の収縮不均一現象がなく、形態安定性に優れ、産業用および衣料用繊維材料として非常に有用である。
【0075】
前述した本発明の説明は例示のためであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更しない範囲内で他の具体的な形態に容易に変形可能であることが理解できるだろう。そのため、前述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定されないものと理解されるべきである。