(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386581
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】抗菌剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/49 20060101AFI20180827BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20180827BHJP
A61K 35/64 20150101ALI20180827BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
A61K36/49
A01N65/00
A61K35/64
A61P31/04
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-557753(P2016-557753)
(86)(22)【出願日】2015年11月2日
(86)【国際出願番号】JP2015080901
(87)【国際公開番号】WO2016072377
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年2月14日
【審判番号】不服2018-5432(P2018-5432/J1)
【審判請求日】2018年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-224252(P2014-224252)
(32)【優先日】2014年11月4日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100189452
【弁理士】
【氏名又は名称】吉住 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100206944
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 絵美
(72)【発明者】
【氏名】渡部 多美
(72)【発明者】
【氏名】佐道 哲也
【合議体】
【審判長】
佐藤 健史
【審判官】
齊藤 真由美
【審判官】
瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−199433(JP,A)
【文献】
Australian Journal of Basic and Applied Sciences,Vol.5,No.4,(2011年),p.187−191
【文献】
GEORGIEV,G.et al.,HONEYDEW PRODUCERS IN OAK FORESTS OF STRANDZHA MOUNTAIN, BULGARIA,Silva Balcanica,Vol.9,No.1,(2008年),p.85−90
【文献】
BMC Complementary and Alternative Medicine,Vol.10,No.1,(2010年),p.1−5
【文献】
Archives of Medical Research,Vol.36,(2005年),p.464−467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K, A61P, A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580 (JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエルクス・ハルトウィッシアナ(Quercus hartwissiana)を蜜源とする蜂蜜を有効成分として含み、薬剤耐性黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を有し、かつ緑膿菌及び大腸菌からなる群より選ばれる少なくとも1種に対する抗菌活性を有する、抗菌剤。
【請求項2】
黄色ブドウ球菌、薬剤耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌及び大腸菌に対する抗菌活性を有する、請求項1に記載の抗菌剤。
【請求項3】
前記クエルクス・ハルトウィッシアナを蜜源とする蜂蜜が、クエルクス・ハルトウィッシアナの花蜜、樹液又はこれらの組合せを蜜源とする蜂蜜である、請求項1又は2に記載の抗菌剤。
【請求項4】
薬剤耐性黄色ブドウ球菌に対する最小発育阻止濃度が120mg/ml以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌剤。
【請求項5】
緑膿菌に対する最小発育阻止濃度が180mg/ml以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌剤。
【請求項6】
大腸菌に対する最小発育阻止濃度が180mg/ml以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌剤。
【請求項7】
黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を有し、当該抗菌活性が、フェノール濃度換算値として4.0質量%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂蜜は、食用にされるだけでなく、その抗菌活性を活かして種々の用途に利用されている。例えば、蜂蜜を含む創傷治療用組成物、化粧品用組成物等が検討されている(特許文献1、2)。
【0003】
マヌカ(Leptospermum scoparium)は主にニュージーランドに生育するフトモモ科の木本植物である。蜂蜜の中でも、マヌカ由来の蜂蜜は、特に高い抗菌性を有することが知られており、歯周炎治療用剤等の医療用途に利用されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−516357号公報
【特許文献2】特開2003−63984号公報
【特許文献3】特開2007−277210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蜂蜜は古くから食用とされていることから、摂取しても問題がなく、抗菌剤としても様々な用途に利用することができる。高い抗菌活性を有することで知られるマヌカ由来の蜂蜜は、主に黄色ブドウ球菌に高い抗菌活性を示すが、その他の菌に対する抗菌活性は充分であるとはいえない。
【0006】
本発明は、蜂蜜を有効成分とする、優れた抗菌活性を有する新たな抗菌剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、クエルクス・ハルトウィッシアナ(Quercus hartwissiana)由来の蜂蜜が非常に優れた抗菌活性を有することを見出した。本発明は、Quercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜を有効成分として含む抗菌剤を提供する。
【0008】
上記抗菌剤は、黄色ブドウ球菌、薬剤耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌及び大腸菌からなる群より選ばれる少なくとも1種に対する抗菌活性を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る抗菌剤は、優れた抗菌活性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の抗菌剤は、Quercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜を含む。Quercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜とは、詳細には、Quercus hartwissianaの花蜜若しくは樹液、Quercus hartwissianaに寄生する昆虫の分泌液、又はこれらの組合せを蜜源とする蜂蜜のことをいう。Quercus hartwissianaは主にヨーロッパから黒海周辺、及びアジアの一部にかけて天然に生育する
ブナ科コナラ属の木本植物である。蜂蜜の蜜源は、例えば、蜂蜜に含まれる花粉の形態的特徴の顕微鏡観察による分析、花粉に含まれるDNAの配列情報の分析等によって推定することが可能である。
【0011】
Quercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜は、Quercus hartwissianaを蜜源として養蜂を行い、公知の方法によって蜂蜜を採取することによって得ることができる。上記蜂蜜はQuercus hartwissianaのみが蜜源であることが好ましい。他方、蜜源としてその他の植物等が混入することを完全に排除するものではなく、上記蜂蜜は、実質的にQuercus hartwissianaを蜜源とするものであればよい。例えば、蜜蜂の巣箱をQuercus hartwissianaの生育域内に設けることによって、蜂蜜の主要な蜜源をQuercus hartwissianaとすることができる。また、例えば、ハウス等の密閉空間内に蜜蜂の巣箱とQuercus hartwissiana植生を共存させる方法等により、蜜蜂の蜜採取範囲内を全てQuercus hartwissianaによって占めることができる。
【0012】
上記蜂蜜は、採取されたそのままであってもよく、タンパク質、ワックス、ゴミ、巣のカス等の除去、ろ過などの精製処理、殺菌、乾燥、濃縮等の処理が行われたものであってもよい。蜂蜜を採取するために利用される蜜蜂の種類は特に限られない。
【0013】
本願発明の抗菌剤はQuercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜を有効成分とするものであるが、その他の種類の蜂蜜を更に含有していてもよい。抗菌剤中のQuercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜の含有量は、例えば抗菌剤固形分中の20質量%以上とすることができ、60質量%以上とすることが好ましい。抗菌剤中のQuercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜の含有量は、特に上限の制限はなく、例えば抗菌剤固形分中の100質量%とすることができる。
【0014】
抗菌剤は、蜂蜜以外のその他の公知の抗菌活性を有する成分を更に含んでいてもよい。その他の抗菌活性を有する成分は、摂取することが可能な、例えばキチン、キトサン、カテキン等の天然抗菌成分であることが好ましい。抗菌剤が経口摂取されない用途に用いられる場合は、その他の抗菌活性を有する成分として有機系抗菌成分、無機系抗菌成分等を含んでいてもよい。
【0015】
本実施形態に係る抗菌剤は優れた抗菌活性を有する。抗菌活性とは細菌の繁殖を抑制する活性をいう。抗菌活性を示す対象となる菌としては特に制限されないが、本実施形態に係る抗菌剤は、黄色ブドウ球菌、薬剤耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌及び大腸菌からなる群より選ばれる少なくとも1種に対する抗菌活性を有することが好ましく、黄色ブドウ球菌、薬剤耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌及び大腸菌の全てに対する抗菌活性を有することがより好ましい。本実施形態に係る抗菌剤は特に大腸菌及び緑膿菌に対して高い抗菌活性を有する。抗菌活性の高い蜂蜜として知られているマヌカ蜂蜜は、黄色ブドウ球菌に対して抗菌活性を示すことが知られているが、本実施形態に係る抗菌剤は、上記4種の菌全てに対して高い抗菌活性を有する点で有利である。
【0016】
本実施形態に係る抗菌剤は抗菌活性が非常に高く、各種の菌に対して、抗菌活性の高い蜂蜜として知られているマヌカ蜂蜜と同等又はそれ以上の抗菌活性を有する。マヌカ蜂蜜の抗菌活性の強さは蜂蜜1kg中のメチルグリオキサール(MGO)のmg量、又は黄色ブドウ球菌に対して蜂蜜と同等の抗菌活性を示すフェノール水溶液の濃度等の、種々の数値によって表されることが慣例である。本実施形態に係る抗菌剤は、例えば、メチルグリオキサール濃度が少なくとも300mg/kg、450mg/kg又は790mg/kgである市販されているマヌカ蜂蜜よりも高い抗菌活性を有する。蜂蜜中のメチルグリオキサール濃度は、例えば0.05%(w/v)o−フェニレンジアミン水溶液を溶媒としてHPLCを用いて測定することができる。本実施形態に係る抗菌剤は、例えば、黄色ブドウ球菌、薬剤耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌及び大腸菌からなる群より選ばれる1種に対する抗菌活性が少なくともメチルグリオキサール濃度450mg/kgであるマヌカ蜂蜜よりも高いものとすることができ、大腸菌及び又は緑膿菌に対する抗菌活性が少なくともメチルグリオキサール濃度790mg/kgであるマヌカ蜂蜜よりも高いものとすることができる。
【0017】
本実施形態に係る抗菌剤の黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性は、フェノール濃度換算値として4.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。上記抗菌剤の大腸菌に対する抗菌活性は、最小発育阻止濃度として180mg/ml以下であることが好ましく、120mg/ml以下であることがより好ましく、80mg/ml以下であることが更に好ましく、60mg/ml以下であることが特に好ましい。上記抗菌剤の薬剤耐性黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性は、最小発育阻止濃度として120mg/ml以下であることが好ましく、80mg/ml以下であることがより好ましく、60mg/ml以下であることが更に好ましい。上記抗菌剤の緑膿菌に対する抗菌活性は、180mg/ml以下であることが好ましく、120mg/ml以下であることがより好ましく、90mg/ml以下であることが更に好ましい。
【0018】
本実施形態に係る抗菌剤は、有効成分であるQuercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜のみからなるものであってもよく、抗菌効果を妨げられない限り、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、薬学的に許容される添加剤(賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等)などが挙げられる。
【0019】
本実施形態に係る抗菌剤は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液や電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)、スプレー剤などの形態であってもよい。これらの各種製剤は、例えば、蜂蜜とその他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
【0020】
本実施形態に係る抗菌剤は、食品、医薬用途等に用いることができる。
【0021】
本実施形態に係る抗菌剤は、その他の食品原料と組み合わせて、上記抗菌剤を含有する食品組成物として利用してもよい。食品組成物には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる食品組成物が含まれる。本実施形態に係る抗菌剤は優れた抗菌活性を有するため、食品組成物に上記抗菌剤を含有させることによって、保存性に優れる食品組成物とすることができる。
【0022】
食品組成物には、必要に応じて、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等を配合することができる。
【0023】
食品組成物の種類は、特に限定されず、例えば、飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実種、ハチミツ酒等の酒など);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム、ハチミツ、ローヤルゼリー、プロポリス等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。上記抗菌剤は抗菌剤のみからなる食品組成物としてもよい。
【0024】
食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、食品組成物の製造工程における中間製品又は最終製品に、上記蜂蜜を混合等して、上記の目的に用いられる食品組成物を得ることができる。
【0025】
また、食品組成物は、抗菌活性を有する健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント又は特定保健用食品としても使用できる。サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択でき、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤等が挙げられる。
【0026】
本実施形態に係る抗菌剤は、医薬(特に、経口医薬)の形態で利用することができる。医薬組成物として調製する場合、上記抗菌剤を、医薬品において許容される無毒性の担体、希釈剤又は賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液や電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)などの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
【実施例】
【0027】
以下の実施例において本発明をより詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例等になんら限定されるものではない。
【0028】
(試験例1)
50w/v%に希釈した蜂蜜を菌培養培地に添加し、形成する阻止円の大きさで抗菌活性を比較するディスク拡散法を用いて、各種蜂蜜の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp. aureus(NBRC13276))に対する抗菌活性をフェノール水溶液濃度に換算して算出する方法にて確認した。具体的には、固化した黄色ブドウ球菌含有ミュラーヒントンII寒天培地の中心部に8mm径の孔を開け、その孔に濃度50%の検体(蜂蜜)を播種し、37℃にて18時間培養した。培養後、阻止円の直径を測定した。検体としてフェノールを用いた場合の、フェノール濃度と阻止円直径の相関より、検体(蜂蜜)のフェノール濃度換算値(質量%)を算出した。蜂蜜としては、Quercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜(アレキサンダー株式会社より入手)(実施例1)、蜂蜜1kg中のメチルグリオキサール濃度がそれぞれ302.3mg/kg(商品名マヌカハニーUMF10+、コンビタジャパン株式会社)、458.5mg/kg(商品名マヌカ蜜、双日食料株式会社)、790.9mg/kg(商品名ストロングマヌカハニー、株式会社TCN)であるマヌカ蜂蜜(比較例1〜3)を用いた。各蜂蜜中のメチルグリオキサール濃度は、0.05%(w/v)o−フェニレンジアミン水溶液を溶媒としてHPLCを用いて測定した。結果を表1に示す。フェノール濃度換算値は、数値が大きいほど抗菌活性が高いことを意味する。
【0029】
(試験例2)
最小発育阻止濃度(MIC)法にて、大腸菌(Escherichia coli(ATCC 10536))、薬剤耐性(ペニシリン耐性)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus(ATCC 6538P))、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa(ATCC 43504))に対する各種蜂蜜の抗菌活性を確認した。具体的には、検体(蜂蜜)の濃度が53〜900mg/mLになるようにCAMHB培地にて希釈し、各種菌液を播種した。36℃にて20時間培養後、各種菌の発育状態を確認し、最少発育阻止濃度を評価した。結果を表1に示す。最小発育阻止濃度は、数値が低いほど抗菌活性が高いことを意味する。
【0030】
【表1】
【0031】
抗菌活性試験の結果、Quercus hartwissianaを蜜源とする蜂蜜は、メチルグリオキサール濃度が790.9mg/kgのマヌカ蜂蜜よりも大腸菌及び緑膿菌に対しては高い抗菌活性を示し、薬剤耐性黄色ブドウ球菌に対しては同等の抗菌活性を示し、黄色ブドウ球菌に対してはメチルグリオキサール濃度が458.5mg/kgのマヌカ蜂蜜より高い抗菌活性を示した。