特許第6386603号(P6386603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386603グリセリン短鎖脂肪族エーテル化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386603
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】グリセリン短鎖脂肪族エーテル化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/20 20060101AFI20180827BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20180827BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20180827BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20180827BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20180827BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20180827BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20180827BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   C11D3/20
   C11D3/18
   C09K3/00 103P
   A01N33/12 101
   A01P3/00
   A01N25/00 101
   A01N25/02
   C11D3/43
   C09K3/00 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-23186(P2017-23186)
(22)【出願日】2017年2月10日
(62)【分割の表示】特願2014-513302(P2014-513302)の分割
【原出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-122229(P2017-122229A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】61/492,684
(32)【優先日】2011年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ジー.グリーズ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディー.レビット
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−003289(JP,A)
【文献】 特開平11−189796(JP,A)
【文献】 特開2001−254099(JP,A)
【文献】 特開2001−181698(JP,A)
【文献】 特開2008−044994(JP,A)
【文献】 特開2006−083356(JP,A)
【文献】 特開2006−176592(JP,A)
【文献】 特開2001−072995(JP,A)
【文献】 特開2011−016878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C11D 1/00− 19/00
A01N 1/00− 65/48
A01P 1/00− 23/00
C09D 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度を低減する方法であって、
A)以下のa)〜c)、
a)1質量%〜50質量%の1種もしくは2種以上の界面活性剤;
b)2質量%〜50質量%のグリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒;および、
c)水、
を含む、液体の、洗濯用、抗微生物洗浄剤用、または塗料用組成物を調製する工程であって、該グリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒が、揮発性有機化合物を置き換え、そして前記グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、モノアルキルグリセリン脂肪族エーテルであり、そのアルキル基が、3個の炭素原子を有している、工程、ならびに、
B)該組成物の粘度を低減させる工程、
を含んでなる、
方法。
【請求項2】
前記揮発性有機化合物が、グリコールエーテルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性有機化合物が、特定変性アルコール(SDA)である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
カップリングまたは可溶化しなければ不相溶性の成分をカップリングまたは可溶化する方法であって、
A)以下のa)〜b)、
a)1質量%〜50質量%の1種もしくは2種以上の界面活性剤;
b)2質量%〜50質量%のグリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒;
を含む、液体の、洗濯用、抗微生物洗浄剤用、または塗料用組成物を調製する工程であって、該グリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒が、揮発性有機化合物を置き換え、そして前記グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、モノアルキルグリセリン脂肪族エーテルであり、そのアルキル基が、3個の炭素原子を有している、工程、ならびに、
B)カップリングまたは可溶化しなければ不相溶性の成分をカップリングまたは可溶化して、均一で、安定な水溶液とする工程、
を含んでなる方法。
【請求項5】
前記揮発性有機化合物が、特定変性アルコール(SDA)である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記不相溶性の成分が、D−リモネンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
粘度を低減させる方法であって、
1質量%〜50質量の1種もしくは2種以上の界面活性剤、2質量%〜50質量%のグリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒、および水を含み、該グリセリン短鎖脂肪族エーテルがモノアルキルグリセリン脂肪族エーテルであり、そのアルキル基が、1〜3個の炭素原子を有している、洗浄剤組成物を調製する工程であって、
該グリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒は、揮発性有機化合物を置き換え、かつ、
該洗浄剤は、一般用洗浄剤、硬質表面用洗浄剤、軟質表面用洗浄剤、ガラス用洗浄剤、ポットおよび平鍋用洗浄剤、自動車用洗浄剤、浴室およびタイル洗浄剤、オーブンまたはグリル用洗浄剤、トイレ用洗浄剤、木材用洗浄剤、殺菌剤、あるいは床メンテナンス用洗浄剤である、工程、ならびに、
該組成物の粘度を低減させる工程、
を含んでなる方法。
【請求項8】
前記グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、モノアルキルグリセリン脂肪族エーテルであり、そのアルキル基が、1〜2個の炭素原子を有している、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記揮発性有機化合物が、グリコールエーテルである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記揮発性有機化合物が、特定変性アルコール(SDA)である、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、洗浄する、微生物個体群を低減させる、脱脂する、床の仕上げ剤もしくは他のコーティングを表面から取り除く、さもなければ不相溶性の材料を可溶化する、塗料の膜形成を促進する、または組成物の粘度を調節するために用いることができる、溶媒組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄、脱脂、剥ぎ取り、消毒、カップリング、凝集(coalescing)または粘度調節の目的のために、多くの濃縮物およびすぐに使用できる組成物が提案されてきている。これらの配合は、しばしば種々の溶媒を含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、豊富で、無毒性で、非揮発性で、再生可能な原材料を用いた、加水分解に安定な溶媒への満たされていない要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本発明は、組成物に粘度調節剤を与えることを含む、粘度の調節方法を提供し、この粘度調節剤は、グリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒である。本発明の他の態様では、組成物が均一で安定であるように、組成物に、グリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒を与えることを含む、さもなければ不相溶の成分のカップリングまたは可溶化方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
用語「合体剤(coalescent)または合体剤(coalescing agent)」は、膜形成を促進する溶媒を表す。
【0006】
用語「濃縮物」は、使用の前に、水で希釈することが意図された組成物を表している。
【0007】
用語「カップリングまたはカップリング剤」は、さもなければ不相溶である材料もしくは成分の群を均一で、安定な水溶液へと可溶化させる溶媒を表す。
【0008】
用語「エマルジョン」は、他の不混和性の液体中に分散された1つの液体を意味している。水中溶媒型エマルジョンは、水溶液の全体に亘って分散した溶媒の小さな液滴を有している。
【0009】
用語「加水分解への安定度」は、pH変化に耐える組成物の安定性を表している。
【0010】
用語「マイクロエマルジョン」は、安定化されたエマルジョンを意味しており、その中では、分散した液滴は、極めて小さく(<100nm)、そしてそれは熱力学的に安定である。
【0011】
用語「相(phase)」は、流体系中に存在する、または形成されることができる、均一な流体の部分を表す。用語「相(phases)」は、均一な流体系中の2つ以上の相の存在を表している。
【0012】
用語「可塑剤」は、膜もしくはコーティングの形成を援ける、または膜もしくはコーティングに所望の特徴、例えば更なる可撓性を与える溶媒を表している。
【0013】
用語「疑似安定性」は、緩やかな混合または他の撹拌を加えられた場合に、単一の相を形成し、そして十分な時間に亘ってその単一の相を維持するので、そのためこの組成物を表面に適用することができるが、しかしながら、それは攪乱されないままにしておいた場合には、2つもしくは3つ以上の相を形成する、組成物を表す。
【0014】
用語「短鎖脂肪族」は、C〜Cの炭素を有する、アルキル、アルコキシ、アルケニル、またはシクロアルキル基を表す。
【0015】
用語「溶媒」は、洗浄、所望の表面の脱脂または剥ぎ取り、カップリング、合体(coalescing)または粘度の調節のために好適な有機材料またはそのような材料の混合物を表す。
【0016】
用語「熱力学的に安定」は、いずれの仕事も投入されずに単一の相を形成し、そしてその単一の相がいつまでも保持される、エマルジョンを意味している。
【0017】
用語「粘度調節剤」は、粘度を調節、例えば低下させて、配合物をより粘稠でなくし、そして注入、ポンプ送液、撹拌もしくは混合などの使用のためにより好適にするのに、好適な溶媒または組成物を表す。
【0018】
特に断りのない限り、全ての部およびパーセントは、質量基準である。
【0019】
全ての部およびパーセントは、特に断りのない限り、質量基準である。
【0020】
本組成物の態様では、グリセリン短鎖脂肪族エーテルまたはそれらの塩を溶媒として含んでいる。これらの溶媒は、例えば、下記の式を有している。
【0021】
【化1】
【0022】
式中、R、R'およびR''は、それぞれ短鎖脂肪族基または水素であり、そして少なくとも1つのR基は、短鎖脂肪族基である。
【0023】
この溶媒は、加水分解への安定性を維持することができ、そして低臭気もしくは低揮発性を有する(例えば、20℃において、0.1mmHg未満の蒸気圧を有する)、いずれかのグリセリンから誘導された短鎖脂肪族エーテルまたはその塩を含むことができる。幾つかの態様では、短鎖脂肪族基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルなどがある。グリセリン脂肪族エーテルの塩は、例えば、いずれかのハロゲン化物、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムを含むことができる。
【0024】
グリセリン短鎖脂肪族エーテルの例としては、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、グリセリンモノプロピルエーテル、グリセリンモノイソプロピルエーテル、またはいずれかのアルコキシグリセロール、アルコキシプロパンジオール、グリセリンモノエーテル、プロパンジオールモノエーテル、グリセロールモノエーテルまたはグリセリルエーテルが挙げられる。
【0025】
短鎖脂肪族グリセリンエーテルは、グリセロール自体から、あるいはアリルアルコール、グリシドール(2,3−エポキシプロピル−1プロパノール)、またはエピクロルヒドリン(2,3−エポキシプロピルクロリド)から調製することができる。本発明の1つの態様では、グリセロールは、ソルケタール(1,2−イソプロピリデングレセロール)から、Questeら、(Green Chem. 2006, 8, 822-830)に示された合成を修正することによって、合成される。他の態様では、グリセリン短鎖脂肪族エーテルは、Garciaら、(Green Chem., 2010, 12:426-434)に記載されたように合成され、そこでは、アルコール媒質中で、対応するアルコキシドをともなったグリシドールエーテルまたはエピクロルヒドリンのいずれかの開環が起こる。グリセリン、グリセリン誘導体または他の反応物を用いた合成の他の経路もまた用いることができる。
【0026】
液体(例えば、水)を希釈する場合に、溶媒は、完全に可溶から、不溶もしくは難溶性に分類される。従って、水で希釈することを意図された組成物では、この組成物は、少なくとも約0.1質量%〜約80質量%、約0.1質量%〜約50質量%または約0.1質量%〜約25質量%の溶媒を含むことができる。
【0027】
例えば、開示された組成物は、液体を希釈する場合に、溶媒を可溶化する、または溶媒の可溶化を援ける1種もしくは2種以上の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤の量は、開示された組成物中の他の成分の種類および量、所望の希釈水準、および意図された用途、などの因子によって変わることができる。一般的な目安として、界面活性剤の量は、例えば、全濃縮物質量の、約0.1〜約50質量%、約0.1〜約25質量%、または約0.1〜約10質量%であることができる。
【0028】
代表的な界面活性剤としては、水溶性および油溶性のアニオン性、カチオン性、両性およびノニオン性界面活性およびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい界面活性剤としては、希釈された使用溶液の湿潤性を向上させるもの、濃縮物の安定性を向上させるもの、または他の望ましい性質、例えば貯蔵、混合、塗工または剥がしへの利点を与えるものが挙げられる。
【0029】
アニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、C〜C24アルキルベンゼンスルホン酸塩)、オレフィンスルホン酸塩(例えば、C〜C24オレフィンスルホン酸塩)、パラフィンスルホン酸塩(例えば、C〜C24パラフィンスルホン酸塩)、クメンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、アルコールスルホン酸塩(例えば、C〜C24もしくはC〜C12アルコールスルホン酸塩)、1〜約20のエチレンオキシド基を有するアルコールエーテルスルホン酸塩、およびそれらの混合物、が挙げられる。
【0030】
カチオン性界面活性剤の例としては、下記の式を有する四級アミン化合物が挙げられる。
【0031】
【化2】
【0032】
式中、R、R'、R''およびR'''は、それぞれアルキル、アリールまたはアラルキル基(例えば、C〜C24アルキル、アリールまたはアラルキル基)であり、それらは随意選択的に、1個もしくは2個以上のP、O、SまたはNヘテロ原子を含んでいてもよく、そしてXは、F、Cl、Br、Iまたは硫酸アルキルである。
【0033】
両性界面活性剤の例としては、下記の式を有するアミンオキシド化合物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
【化3】
【0035】
式中、R、R'およびR''は、上記で規定した通りであり、
【0036】
また、両性界面活性剤の例としては、下記の式を有するベタイン化合物およびそれらの混合物も挙げられる。
【0037】
【化4】
【0038】
式中、R、R'およびR''は、上記で規定した通りであり、nは、約1〜約10である。
【0039】
両性界面活性剤の他の例としては、イミダゾリン誘導体、例えば、アルキルアンホプロピオネート(amphopropionates)、アルキルアンホジプロピオネート、アルキルアンホアセテートおよびアルキルアンホジアセテートが挙げられる。他の例示的な両性界面活性剤としては、アルキルアミノジプロピロネートが挙げられる。
【0040】
ノニオン性界面活性剤の例としては、1〜約20のエチレンオキシド基(例えば、約9〜約20のエチレンオキシド基)を有するアルコールエトキシレート(例えば、C〜C24またはC〜C16アルコールエトキシレート)、1〜約100のエチレンオキシド基(例えば、約12〜約20のエチレンオキシド基)を有するアルキルフェノールエトキシレート(例えばC〜C24またはC〜C10アルキルフェノールエトキシレート)、1〜約20のグリコシド基(例えば、約9〜約20のグリコシド基)を有するアルキルポリグリコシド(例えばC〜C24またはC〜C20アルキルポリグリコシド)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
開示された組成物は、溶媒濃縮物をして配合および販売することができ、そして希薄相液体(dilute phase liquid)(例えば、水)を含むことができ、または本質的に無水であることができる。所望であれば、濃縮物は、薄めずにそのまま、洗浄剤、抗微生物剤、脱脂剤、剥離剤(stripper)、カップリング剤、合体剤または粘度調節剤として用いることができる。しかしながら、濃縮物は、典型的には、引き続いて希薄相を形成する液体(例えば、水)で希釈される。この希釈用液体は、好ましくは、使用時に加えられる。種々の希釈比率を用いることができる。濃縮物中の成分は、希釈された混合物の約1〜約99%、より好ましくは約1〜約50%、そして最も好ましくは約1〜約25%を占めることができる。
【0042】
濃縮物は、そのような希釈の前に単一の相を形成し、そして容器中に貯蔵されている間もそのままの状態であり、その容器に容れて販売される。水または他の所望の希釈用液体と適切な希釈水準で混合され、そして緩やかな撹拌(例えば、その組成物を、バケツ中で撹拌する、ポンプ送液する、噴霧する、またはモップ、布もしくは他の好適な用具を用いることによって)を加えられた場合には、本発明の幾つかの態様では、疑似安定な分散液が形成され、そして本発明の他の組成物は、透明な溶液もしくは分散液を形成する。
【0043】
開示された組成物は、1種もしくは2種以上の共溶媒を含むことができる。共溶媒は、安定な単相の溶液、マイクロエマルジョン、または分散液の形成を促進するその能力から選ぶことができる。
【0044】
種々の共溶媒を用いることができる。通常は、共溶媒は、選択された溶媒の特徴および希釈用溶媒への選択された溶媒の溶解性から選択される。水が希釈用溶媒として作用する組成物では、共溶媒は、通常は、選択された溶媒の水溶性よりも、より高い水溶性を有する。共溶媒は、高い引火点(例えば、約50℃超、より好ましくは約100℃超、そして最も好ましくは約200℃超)、低臭気ならびに低人体毒性および低動物毒性を有することができる。
【0045】
共溶媒の例としては、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミルアセテート、アミルアルコール、ブタノール、3−ブトキシエチル−2−プロパノール、ブチルアセテート、n−ブチルプロピオネート、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジエトキシエタノール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジイソブチルカルビノール、ジイソブチルケトン、ジメチルへプタノール、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールターシャリ‐ブチルエーテル、エタノール、エチルアセテート、2−エチルヘキサノール、エチルプロピオネート、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ヘキサノール、イソブタノール、イソブチルアセテート、イソブチルヘプチルケトン、イソホロン、イソプロパノール、イソプロピルアセテート、メタノール、メチルアミルアルコール、メチルn−アミルケトン、2−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−ペンタノール、n−ペンチルプロピオネート、1−プロパノール、n−プロピルアセテート、n−プロピルプロピオネート、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn−ブチルエーテルが挙げられる。エチレングリコールブチルエーテルおよびジプロピレングリコールn−ブチルエーテルが、特に好ましい共溶媒である。必要であれば、共溶媒の混合物を用いることができる。
【0046】
商業的に入手可能な共溶媒としては、Butoxyethyl PROPASOL(商標)、Butyl CARBITOL(商標)acetate、Butyl CARBITOL(商標)、Butyl CELLOSOLVE(商標)acetate, Butyl CELLOSOLVE(商標)、Butyl DIPROPASOL(商標)、Butyl PROPASOL(商標)、CARBITOL(TM) PM-600、CARBITOL(商標)Low Gravity、CELLOSOLVE(商標)acetate、CELLOSOLVE(商標)、Ester EEP(商標)、FILMER IBT(商標)、Hexyl CARBITOL(商標)、Hexyl CELLOSOLVE(商標)、Methyl CARBITOL(商標)、Methyl CELLOSOLVE(商標)acetate、Methyl CELLOSOLVE(商標)、Methyl DIPROPASOL(商標)、Methyl PROPASOL(商標)acetate、Methyl PROPASOL(商標)、Propyl CARBITOL(商標)、Propyl CELLOSOLVE(商標)、Propyl DIPROPASOL(商標)およびPropyl PROPASOL(商標)が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物は、0〜約50%の共溶媒、0〜約10%の共溶媒、または0〜約5%の共溶媒を含むことができる。
【0048】
開示された組成物は、抗微生物剤または殺生物剤を更に含むことができる。好適な抗微生物剤としては、所望の程度の微生物防御を与えるのに十分な量の、カルボン酸(例えば、酪酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、およびデカン酸)、スルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸)、活性ハロゲン化合物(例えば、次亜塩素酸ナトリウムまたは亜塩素酸ナトリウム)、活性酸素化合物(例えば、過酸化水素、または平衡誘導された、もしくは単離された過酸、例えば過酢酸、過ヘプタン酸、過スルホン化オレイン酸(persulfonated oleic acid)、過オクタン酸、過ギ酸、過クエン酸、過グリコール酸、過乳酸、過安息香酸、および二塩基酸、例えばアジピン酸、コハク酸、グルタル酸もしくはマロン酸から誘導された過酸のモノエステル、ならびにそれらの混合物)、フェノール誘導体(例えば、o−フェニルフェノール、o−ベンジル−p−クロロフェノールおよびターシャリ−アミルフェノール)、四級アンモニウム化合物(例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびそれらの混合物)、ならびにそのような抗微生物剤または殺生物剤の混合物が挙げられる。本濃縮物中に存在するのであれば、抗微生物剤または殺生物剤は、本濃縮物の約0.01〜約70%、約0.1〜約50%、または約0.5〜約30%である。
【0049】
所望であれば、開示された溶媒組成物は、種々の補助剤、例えば、キレート化剤、ビルダーもしくは充填剤、増粘剤、芳香剤、染料、pH調節剤、防食性添加剤、消泡剤、および防錆剤含むことができる。そのような補助剤の種類および量は、当業者には明らかである。
【0050】
開示された組成物は、1種もしくは2種以上の酵素を含むことができ、この酵素は、タンパク質系の、炭水化物系の、またはトリグリセリド系の汚れを基材から取り除くための;洗浄、脱染および消毒のための予浸、例えば平食器、カップおよびボウルのための予浸、およびポットおよび平鍋のための予浸;医療用および歯科用器具のための予浸;または肉切り用具のための予浸;器物洗浄機のための;洗濯および繊維製品の洗浄と脱染;カーペット洗浄および脱染のための;現場での洗浄および現場での脱染のための;食品加工表面および設備の洗浄と脱染のための;排水管洗浄のための;洗浄のための予浸など、所望の活性を提供することができる。酵素は、表面または繊維製品上で遭遇する、1種もしくは2種以上の種類の汚れ残渣を、分解または変質させることによって、そうしてその汚れを除去するか、あるいはその汚れを、界面活性剤もしくは洗浄組成物の他の成分によってより除去可能にすることによって、作用することができる。汚れ残渣の分解および変質の両方が、洗浄される表面または繊維製品に汚れを結合させている物理化学的力を低下させる、例えば、汚れは、より水溶性になることによって、洗浄力を向上させることができる。例えば、1種もしくは2種以上の蛋白質分解酵素は、汚れ残渣中に存在する複雑な、高分子のタンパク質構造を、より単純な短鎖の分子へと、切断することができ、それらはそれら自体が、表面からより容易に脱着され、可溶化されるか、あるいは、このタンパク質分解酵素を含む洗浄溶液によって、別なように容易に除去される。
【0051】
好適な酵素としては、いずれかの好適な起源、例えば植物、動物、細菌、真菌または酵母由来の、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼまたはそれらの混合物を挙げることができる。選択は、pH活性の安定性の最適条件、熱安定性または、活性洗浄剤、ビルダーなどへの安定性などの因子によって影響される。この点では、細菌の、または真菌の酵素が、好ましい可能性があり、例えば、細菌のアミラーゼおよびプロテアーゼ、ならびに真菌のセルラーゼである。好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、またはそれらの組合わせであることができる。酵素は、本組成物中に、少なくとも0.01質量%、または0.01〜5質量%存在することができる。
【0052】
開示された組成物は、更に酵素安定化系を含むことができる。酵素安定化系としては、ホウ酸塩、例えば、アルカリ金属ホウ酸塩またはアミン(例えば、アルカノールアミン)ホウ酸塩、またはアルカリ金属ホウ酸塩、またはホウ酸カリウムを挙げることができる。また、酵素安定化系は、特定の酵素を安定化するために、またはホウ酸塩の効果を促進し、もしくは維持するために、他の成分を含むことができる。
【0053】
例えば、洗浄組成物は、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの水溶性の供給源を含むことができる。唯一の種類のカチオンが用いられる場合には、カルシウムイオンは、通常は、マグネシウムイオンよりもより効果的であり、そしてここでは好ましい。洗浄用および/または安定化された酵素洗浄組成物、特に液体は、最終的な組成物のリットル当たりに、1〜30、2〜20または8〜12ミリモルのカルシウムイオンを含むことができるが、しかしながら組み入れられる酵素の多様性、種類および量を含めた因子に応じて、変更が可能である。水溶性のカルシウムまたはマグネシウムイオンを用いることができ、例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、ギ酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、水酸化カルシウムおよび酢酸カルシウム、より一般的には、硫酸カルシウムが挙げられ、あるいは列挙したこれらのカルシウム塩に対応するマグネシウム塩を用いることができる。更に増加した量のカルシウムおよび/またはマグネシウムも、例えば、特定の種類の界面活性剤の油落とし作用を促進するために、勿論のこと有用である可能性がある。
【0054】
特定の洗浄組成物の安定化系、例えば、器物洗浄用の安定化酵素洗浄組成物は、多くの用水中に存在する塩素漂白種が、特にアルカリ性条件下で、酵素を攻撃および不活性化するのを防止するために加えられた、0〜10質量%、または0.01〜6質量%の塩素漂白剤スカベンジャーを更に含むことができる。水中の塩素の量は、小さい可能性があり、典型的には約0.5ppm〜約1.75ppmの範囲であるが、例えば器物洗浄の間に、酵素と接触するようになる水の全体積中の利用可能な塩素は、比較的に大きい可能性があり、従って、使用中の塩素に対する酵素の安定性は、問題である可能性がある。
【0055】
好適な塩素スカベンジャーアニオンは、容易に入手可能であり、そして用いられる場合には、アンモニウムカチオンを含んだ、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヨウ化物など、の塩であることができる。酸化防止剤、例えば、カルバミン酸塩、アスコルビン酸塩など、有機アミン、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはそのアルカリ金属塩、モノエタノールアミン(MEA)、およびそれらの混合物も、同様に用いることができる。
【0056】
開示された組成物は、キレート化剤/金属イオン封止剤、例えば、アミノカルボン酸、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリアクリレートなどを含むことができる。通常は、キレート化剤は、金属イオンが、洗浄組成物中の他の洗浄成分の活性を妨害するのを防ぐように、天然水中に通常見出される金属イオンと配位する(例えば、結合する)ことができる分子である。また、キレート化剤/金属イオン封止剤は、効果的な量で含まれる場合には、イオン析出防止剤(threshold agent)として機能することができる。本組成物は、0.1〜70質量%、または5〜60質量%のキレート化剤/金属イオン封止剤を含むことができる。イミノジコハク酸(Bayerから、IDS(商標)として商業的に入手可能である)を、キレート化剤として、用いることができる。
【0057】
有用なアミノカルボン酸としては、例えば、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)などが挙げられる。
【0058】
開示された組成物に有用な縮合リン酸塩の例としては、ナトリウムおよびカリウムのオルトリン酸塩、ナトリウムおよびカリウムのピロリン酸塩、トリポリ燐酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0059】
本組成物は、ホスホン酸塩、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸などを含むことができる。
【0060】
また、ポリマーのポリカルボン酸塩を、本組成物中に含むことができる。洗浄剤として用いるために好適なものは、ペンダントのカルボン酸塩基を有しており、そして例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィン共重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミド共重合体、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0061】
基材の淡色化(lightening)または白化のための漂白剤としては、洗浄プロセスの間に典型的に遭遇する条件の下で、活性ハロゲン種、例えばCl、Br、−OCl、または−OBrを遊離することができる漂白化合物が上げられる。好適な漂白剤としては、例えば、塩素含有化合物、例えば、塩素、次亜塩素酸塩、クロラミンなどが挙げられる。ハロゲン遊離化合物としては、アルカリ金属ジクロロイソシアヌル酸塩、塩素化リン酸三ナトリウム、アルカリ金属次亜塩素酸塩、モノクロラミンおよびジクロラミンなどを挙げることができる。また、カプセル化された塩素源を、本組成物中の塩素源の安定性を向上させるために用いることができる。
【0062】
また、漂白剤は、活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミンなどのあり、およびなしで、過酸素化合物または活性酸素源、例えば過酸化水素、過ホウ酸塩、炭酸ナトリウム−過酸化水素化物、リン酸塩過酸化水素化物、モノ過硫酸カリウム、ならびに過ホウ酸ナトリウム一および四水和物、であることができる。洗浄組成物は、少量ではあるが、しかしながら有効な量の漂白剤、例えば、0.1〜10質量%、または1〜6質量を含むことができる。
【0063】
開示した組成物は、少量ではあるが、しかしながら効果的な量の1種もしくは2種以上の洗浄充填剤またはビルダー含むことができ、それらはそれ自体は洗浄剤としては作用しないが、しかしながら洗浄剤と協働して、本組成物の全体的な洗浄能力を向上させる。本発明の洗浄組成物での使用に好適な充填剤の例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、C〜C10アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールなどが挙げられる。無機またはリン酸塩含有洗浄剤ビルダーは、アルカリ金属、ポリホスフェートのアンモニウムおよびアルカノールアンモニウム塩(例えば、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、およびガラス質ポリメタリン酸塩)を含むことができる。また、非リン酸のビルダーも用いることができる。洗浄充填剤またはビルダーは、1〜20質量%、または3〜15質量%の量で含むことができる。
【0064】
また、少量ではあるが、しかしながら有効な量の消泡剤を、泡の安定性を低下させるために、本組成物に含むことができる。消泡剤の例としては、シリコーン化合物、例えば、ポリジメチルシロキサン中に分散されたシリカ、脂肪族アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸石ケン、エトキシレート、鉱油、ポリエチレングリコールエーテル、アルキルホスフェートエステル、例えばモノステアリルホスフェートなどが挙げられる。本洗浄組成物は、0.01〜5質量%の消泡剤、または0.01〜3質量%を含むことができる。
【0065】
開示された組成物は、汚れの洗浄組成物中への持続された懸濁を促進することができ、そして除去された汚れが、洗浄されている基材上に再堆積するのを防止することができる、抗再付着剤を含むことができる。好適な抗再付着剤の例としては、脂肪酸アミド、フルオロカーボン界面活性剤、複合リン酸エステル、スチレン無水マレイン酸共重合体、およびセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプピルセルロースなどが挙げられる。本組成物は、0.5〜10質量%、または1〜5質量%の抗再付着剤を含むことができる。
【0066】
また、種々の染料、着臭剤、例えば香料、および他の審美性向上剤を、本組成物中に含むことができる。染料は、本組成物の外観を変えるのに含むことができ、例えば、Direct Blue 86(Miles)、Fastusol Blue(Mobay Chemical Corp. )、Acid Orange 7(American Cyanamid)、Basic Violet 10(Sandoz)、Acid Yellow 23(GAF)、Acid Yellow 17(Sigma Chemical)、Sap Green(Keyston Analine and Chemical)、Metanil Yellow(Keystone Analine and Chemical)、Acid Blue 9(Hilton Davis)、Sandolan Blue/Acid Blue 182(Sandoz)、Hisol Fast Red (Capitol Color and Chemical)、Fluorescein (Capitol Color and(Chemical)、Acid Green 25 (Ciba-Geigy)など、が挙げられる。
【0067】
本組成物中に含むことができる芳香剤または香料としては、例えば、テルペノイド、例えば、シトロネロール、アルデヒド、例えば、アミルシンナムアルデヒド、ジャスミン、例えば、C1S−ジャスミンまたはジャスマル、バニリンなどを挙げることができる。
【0068】
アルカリ源または酸源を、組成物のpHを調整するために与えることができる。例示的なアルカリ源としては、アルカリ金属のケイ酸塩、水酸化物、リン酸塩または炭酸塩が挙げられる。
【0069】
アルカリ源としては、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを挙げることができる。また、これらの水酸化物種の混合物も用いることができる。また、アルカリ金属ケイ酸塩も、本発明の洗浄剤のアルカリ源として作用することができる。
【0070】
アルカリ源として、アルカリ金属炭酸塩を挙げることができる。用いることができるアルカリ金属炭酸塩としては、とりわけ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムもしくはカリウムの重炭酸またはセスキ炭酸塩が挙げられる。これらのアルカリ源は、開示された組成物中に、0.1質量%〜70質量%、1質量%〜30質量%、または5質量%〜20質量%の濃度で用いることができる。
【0071】
二価のイオンは、例えばカルシウムまたはマグネシウムであることができる。カルシウムイオンは、例えば、塩化物、水酸化物、酸化物、ギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩として加えることができる。開示された組成物は、カルシウムおよびマグネシウムから選ばれた二価のイオンを、本組成物の、0.05質量%〜5質量%、または0.1質量%〜1質量%、または0.25質量%含むことができる。
【0072】
酸源または酸味料としては、通常の商業的に入手可能な弱無機および有機酸である酸を挙げることができる。有用な弱無機酸としては、リン酸およびスルファミン酸が挙げられる。有用な弱有機酸としては、酢酸、ヒドロキシ酢酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。有用であると認められた酸味料としては、有機および無機酸、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、グリコール酸、アジピン酸、酒石酸、コハク酸、プロピオン酸、マレイン酸、アルカンスルホン酸、シクロアルカンスルホン酸、ならびにリン酸など、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0073】
また、開示された組成物は、慣用の用法において液体予備処理液または洗浄剤組成物中に通常見出される、洗浄性の点では典型的には非活性の付加的な材料を含むことができる。これらの成分は、本発明の材料と相溶性であるように選択され、そしてそのような材料を、柔軟仕上げ剤、蛍光増白剤、汚れ懸濁剤、殺菌剤、粘度調節剤、無機担体、固化剤などとして含む。
【0074】
また、開示された組成物は、ポリオールを含むことができる。ポリオールは、本組成物に、更なる安定性およびヒドロトロープ性を与えることができる。プロピレングリコールおよびソルビトールは、ポリオールの例である。
【0075】
また、開示された組成物は、少し例を挙げれば、種々の消費者製品および商品、例えば、接着剤、接着剤除去剤、空気新鮮化剤(air fresheners)、発汗抑制剤、収斂剤もしくは化粧水(toners)、自動車用研磨および洗浄剤、浴室およびタイル洗浄剤、昆虫およびタール除去剤、一般用洗浄剤、木炭ライトナー(lightener)流体、台所脱脂剤、脱臭剤、消毒剤、エンジン脱脂剤、繊維製品保護剤、繊維製品柔軟化剤、繊維製品消臭剤(fabric refresher)、床メンテナンス製品、髪用製品、塗料製品、履物もしくは皮革手入れ製品、家具メンテナンス製品、汎用脱脂剤、昆虫忌避剤、殺虫剤、臭気除去剤(odor removers)もしくは臭気除去剤(odor eliminators)、オーブンもしくはグリル洗浄剤、自動車用洗浄剤、個人用芳香製品、ゴム/ビニル保護剤、殺菌剤、塗料増粘剤、塗料剥離剤、封止用もしくはコーキング用配合物、シェービングクリームもしくはジェル、シリコーン系および多目的の潤滑剤もしくは特殊用途の潤滑剤、トイレ用洗浄剤、木材用洗浄剤、および風防ガラス撥水剤に用いることができる。
【0076】
開示された組成物は、種々の方法、例えば、噴霧、刷毛塗り、ワイピング(wiping)、パブ掛け(mopping)、およびフラッドコーティング(flood coating)を用いて、表面に適用することができる。開示された溶媒組成物は、種々の材料および種々の表面に適用することができる。例えば、本溶媒組成物は、塗料、仕上げ剤、フォトレジスト、インク、オイル、食品汚れおよび他の被覆物を、平坦なもしくは多孔質の微細構成(topography)を有する、硬質表面および軟質表面から除去するのに用いることができる。好適な硬質表面としては、例えば、建築物の表面(例えば、床、壁、窓、流し、テーブル、カウンターおよび看板(signs));食器;硬質表面の医療用もしくは外科用器具および装置;硬質表面の包装;ならびに輸送車両および車両用部品(例えば、自動車、オートバイ、自転車および航空機;ならびに車輪、ギア、エンジンおよびそれらのための他の部品)が挙げられる。そのような硬質表面は、例えば、セラミック、金属、木材または硬質プラスチックを含む、種々の材料で作られていることができる。好適な軟質表面としては、例えば、壁紙;カーペット;軟質表面の医療用もしくは外科用器具および装置;ならびに軟質表面の包装が挙げられる。そのような軟質表面は、例えば、紙、繊維、織物の、もしくは不織布帛または軟質プラスチックを含む、種々の材料で作られていることができる。また、開示された組成物は、洗濯プロセスにおいて、予備染み取り剤または主要洗浄工程の要素として用いることができる。また、開示された組成物は、食品および皮膚のような軟質表面に適用することができる。更に、開示された組成物は、台所、浴室、工場、病院、歯医者、食品工場などの区域の表面の微生物個体群を低減するのに、ならびに主要な抗微生物剤の効果を向上させるのを援けるような作用するように用いることができる。開示された溶媒または組成物の更なる使用としては、塗料合体剤(coating coalescing agent)、粘度調節剤、カップリング剤または可塑剤としての使用がある。
【0077】
本溶媒または組成物の幾つかの態様では、塗料に、硬化性または塗料の粘度を調節するために、あるいは塗料配合物中の異なる成分(例えば顔料および樹脂)を溶解もしくは分散させて、塗料に、用途のための所望の堅牢さにするために用いることができる。一旦塗料が適用されると、開示された溶媒は蒸発し、樹脂および顔料が、塗料の膜もしくは被覆を形成し、そしてこの塗料が迅速に乾燥するのを可能にする。開示された溶媒は、室内および屋外用途の、耐久性および装飾性コーティングおよび塗料に、そして希釈剤もしくは合体剤として、用いることができる。開示された溶媒または組成物は、樹脂配合物、例えばポリアミド樹脂に加えることができる。開示された溶媒または組成物は、水性コーティング中に、膜形成を援けるために、そして次いで蒸発するか、またはその膜中に留まって、そして可塑剤として潜在的に作用することができるように、用いることができる。
【0078】
他の態様では、開示された組成物または溶媒は、着色剤、例えば染料、顔料またはそれらの組合わせを分散させ、着色剤の色間のにじみを防止するように、インクジェットインク組成物中に用いることができる。インクジェット組成物は、色間のにじみを防止するために、多くのエチレングリコール誘導体を用いている。これらのグリコールは、開示された、より環境的に好ましい短鎖脂肪族エーテルに置き換えることができる。また、インクジェット組成物は、インクの物理的な性質(例えば、ジェット性能など)を向上させるために、しわ防止剤およびカール防止剤を用いてる。しかしながら、これらの化学薬品は、望ましくない高粘度を有している。しわ防止剤またはカール防止剤の粘度を調節するための、開示された組成物もしくは溶媒の使用は、より良好なインクジェット配合物を可能とする。
【0079】
本発明の組成物の幾つかの態様では、組成物の表面への適用の後で相が分離する、疑似安定な組成物が提供される。また、それらの組成物は、分相特性を示すと表すことができる。本発明の他の態様では、溶液、分散液、エマルジョン、またはマイクロエマルジョンとして、組成物が提供される。
【0080】
本発明の態様は、以下の限定するものではない例で更に説明され、その中では、部およびパーセントは、特に断りのない限り、質量基準である。
【実施例】
【0081】
例1
5モル(64.3g)のソルケタール、180mLのKOH33%、および0.025モル(8g)のテトラブチルアンモニウムブロミドを、連続的に、1Lの2首丸底フラスコに導入し、そして25℃で、15分間激しく撹拌した。0.5モルのブロモアルカン(Ci2i+1Br)を次いで滴下して加えた。添加の最後に、温度を100℃に上昇させて、そしてこの混合物を24時間激しく撹拌した。次いで、有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で蒸留して、純粋なアルキルソルケタールを得た。次いで、純粋なアルキルソルケタールを、1L丸底フラスコ中で、500mLのHCl(2M)へと加えた。室温での4時間の激しい撹拌の後に、この混合物を水性NaOHで中和し、そして、200mLのCHClで3回抽出した。CHClは、その高い効率のために選択されたが、しかしながら、シクロヘキサン、ならびに他の「より環境に配慮した」溶媒もまた用いることができる。有機相は集められて、硫酸ナトリウム上で乾燥され、そしてCHClを減圧下で除去した。最後に、残渣を真空下で、そしてアルゴン雰囲気で蒸留して、純粋な1−O−アルキルグリセロールを得たが、これをアルゴン下で、モレキュラーシーブ上に貯蔵した。純度はHおよび13C−NMRによって、そしてガスクロマトグラフィーで調べた。
【0082】
例2
洗濯用配合を、下記の表1中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1には、グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、洗濯用配合物中のカップリング剤として示されている。D−リモネンは、高価な成分であるだけでなく、非常に水に不溶性である。この溶媒、エチレングリコールモノブチルエーテルは、D−リモネンを可溶化するのを援ける。エチレングリコールモノブチルが、グリセリンエチルエーテルまたはグリセリンメチルエーテルで置き換えられた場合に、同様の結果が得られた。更に、揮発性の化合物であるエチレングリコールモノブチルエーテルは、非VOC成分であるグリセリン短鎖脂肪族エーテルによって置き換えられている。
【0085】
例3
抗微生物配合物を、下記の表2中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製した。
【0086】
【表2】
【0087】
表2には、抗微生物配合物中でのグリセリン短鎖脂肪族エーテルの、粘度調節効果が更に示されている。比較例では、ジプロピレングリコールメチルエーテルが、この配合物の粘度調節剤として作用している。ジプロピレングリコールメチルエーテルが、グリセリン短鎖脂肪族エーテルで置き換えられた場合にも、この配合物は、低下した粘度を有し続けている。
【0088】
例4
抗微生物配合物を、下記の表3中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製することができる。
【0089】
【表3】
【0090】
表3に示されているように、グリセリンエチルエーテルは、プロピレングリコールフェニルエーテル(DOWANOL PPh(商標))を置き換えることができる。グリセリンエチルエーテルは、DOWANOL PPh(商標)と同様に、抗微生物剤の効能を増大させることができる可能性がある。
【0091】
例5
ガラス洗浄剤配合物を、下記の表4中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製することができる。
【0092】
【表4】
【0093】
表4に示されているように、グリセリンエチルエーテルは、ヘキシレングリコールを置き換える。グリセリンエチルエーテルは、比較例Dと同様に、ガラス洗浄剤として作用することができる可能性がある。
【0094】
例6
硬質表面洗浄剤配合物を、下記の表5中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製した。
【0095】
【表5】
【0096】
表5では、グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、硬質表面洗浄剤配合物中のカップリング剤として示されている。D−リモネンは、高価な成分であるだけでなく、非常に水に不溶性である。D−リモネンは、界面活性剤、ethylan HB4の助けにより、可溶化されている。ethylan HB4が、グリセリンメチルエーテルまたはグリセリンエチルエーテルによって置き換えられた場合にも、同様の結果が得られた。更に、このカップリングはより効率的であり、比較例に比べて、相当に少量のカップリング剤しか必要としない。
【0097】
例7
ポットおよび平鍋洗浄剤配合物を、下記の表6中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製した。
【0098】
【表6】
【0099】
表6には、グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、ポットおよび平鍋洗浄剤配合物の好適な粘度調節剤として示されている。また、この配合物は、より環境に配慮したものであることを示している:すなわち、揮発性有機化合物(VOC)、エタノールSDA-3C、が非VOC化合物、グリセリンメチルエーテルまたはグリセリンエチルエーテルで置き換えられている。この配合物は、比較例Fと同様に、好適な粘度を有している。
【0100】
例8
自動車用タイヤ処理配合物を、下記の表7中に示したパーセントでの量の成分を互いに混合することによって調製した。
【0101】
【表7】
【0102】
表7には、カップリング剤として、グリセリン短鎖脂肪族エーテルを示した、更に他の例を示している。VOC化合物であるエチレングリコールモノブチルエーテルが、カップリング剤として、2種の非常に水に不溶性の化合物、ジココジメチルアンモニウムクロリドおよびジ四級ポリジメチルシロキサン、を可溶化するのを援けるのに用いられた。非VOC、グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、このVOCカップリング剤を置き換えた場合には、このグリセリン短鎖脂肪族エーテルが、この2種の水に不溶性の成分を可溶化するように作用する。
【0103】
例9
塗料配合物を、下記の表8に示したパーセントでの量で以下の成分を有するように調製することができる。
【0104】
【表8】
【0105】
表8に示されているように、短鎖グリセロールエーテルは、塗料配合物中のエチレングリコール溶媒または合体剤のいずれか、またはその両方を置き換えるように用いることができる。
【0106】
例10
半光沢仕上げ剤を、下記の表9に示したパーセントでの量で以下の成分を有するように調製することができる。
【0107】
【表9】
【0108】
表9に示されているように、短鎖脂肪族グリセロールエーテルは、塗料配合物中のエチレングリコール溶媒または合体剤のいずれか、またはその両方を置き換えるように用いることができる。
【0109】
例11
接着剤配合物を、下記の表10に示したパーセントでの量で以下の成分を有するように調製することができる。
【0110】
【表10】
【0111】
表10に示されているように、短鎖脂肪族グリセロールエーテルは、接着剤配合物中のPGMEA溶媒、合体剤のいずれか、またはその両方を置き換えるように用いることができる。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)組成物に粘度調節剤を与えることを含む粘度調節方法であって、該粘度調節剤が、グリセリン短鎖脂肪族エーテル溶媒である、方法。
(2)前記グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、モノアルキルグリセリン脂肪族エーテルであり、そのアルキル基が、1〜2個の炭素原子を有する、(1)記載の方法。
(3)前記グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、グリセリンモノメチルエーテルまたはグリセリンモノエチルエーテルである、(1)記載の方法。
(4)前記粘度調節剤が、前記組成物の約0.1質量%〜約80質量%である、(1)記載の方法。
(5)前記粘度調節剤が、洗濯用、抗微生物用、洗浄剤用、塗料用またはインクジェット用組成物の粘度を調節するのに用いられる、(1)記載の方法。
(6)組成物にカップリング剤を与えることを含む、さもなければ不相溶性の成分をカップリングまたは可溶化する方法であって、該カップリング剤が、グリセリン短鎖脂肪族エーテルである、方法。
(7)前記グリセリン短鎖脂肪族エーテルが、モノアルキルグリセリン脂肪族エーテルであり、そのアルキル基が、1〜2個の炭素原子を有する、(6)記載の方法。
(8)前記カップリング剤が、洗濯用、抗微生物用、洗浄剤用、塗料用またはインクジェット用組成物に用いられる、(6)記載の方法。