(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6386648
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
B60J 7/02 20060101AFI20180827BHJP
B60J 7/05 20060101ALI20180827BHJP
B60J 7/22 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
B60J7/02 B
B60J7/05 A
B60J7/22
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-186315(P2017-186315)
(22)【出願日】2017年9月27日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】201720239773.4
(32)【優先日】2017年3月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517337161
【氏名又は名称】アイシン ウーシー ボディ パーツ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AISIN WUXI BODY PARTS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】岩下 勝義
(72)【発明者】
【氏名】沢田 和希
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−32980(JP,A)
【文献】
特開2009−227057(JP,A)
【文献】
特開2013−226884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
7/05
7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ルーフに形成された開口を開閉するように設けられる可動パネルと、
前記開口の車両の幅方向の各縁部に設けられ、車両の前後方向に延在するガイドレールと、
その車両の前後方向の前端部が前記ガイドレールに支持され、前記可動パネルの車両の幅方向の各縁部を支持するパネルブラケットと、
前記ガイドレールに沿って車両の前後方向に移動自在に設けられた駆動シューと、
一端が前記駆動シューと係合され、他端が前記パネルブラケットと係合され、車両の前後方向における前記駆動シューの移動に伴い前記可動パネルを開閉させるように設けられるリアリンクと、
車両の幅方向において延在するデフレクタ本体と、車両の前後方向において延在し車両の前後方向においてデフレクタ本体の後方に位置するデフレクタアームとを備えており、車両に対してデフレクタアームの車両の前後方向の後端部を軸として回動可能に設けられるデフレクタと、を備え、
車両の前後方向において、前記駆動シューと前記リアリンクとが、前記デフレクタアームの後方に設けられており、
前記パネルブラケットの前端部が、支持軸によって車両の前後方向において移動自在に前記ガイドレールに枢支され前記デフレクタアームの車両の幅方向内側に配置されることを特徴とする、サンルーフ装置。
【請求項2】
第1の規制部を有する固定ブロックを更に備えており、
前記リアリンクは、前記第1の規制部と係合する固定ブロック側被規制部を備えており、
前記固定ブロックは、前記第1の規制部と前記固定ブロック側被規制部の係合にて車両の前後方向における前記リアリンクの移動を規制することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載のサンルーフ装置。
【請求項3】
前記駆動シューは、第2の規制部を備えており、
前記リアリンクは、前記第2の規制部と係合する駆動シュー側被規制部を備えており、
前記駆動シューは、前記駆動シュー側被規制部の車両の幅方向の内側に設けられており、
前記固定ブロックは、前記固定ブロック側被規制部の車両の幅方向の外側に設けられており、
前記支持軸は、前記駆動シューに対して車両の幅方向の内側に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のサンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ルーフに装着されるサンルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上向きに持ち上げられて前後方向に移動することで車両ルーフに形成された開口を開閉するように設けられる可動パネルと、前側及び後側のそれぞれにおいて可動パネルを昇降するフロントリンク及びリアリンクと、フロントリンク及びリアリンクを駆動する駆動シューとを備えたサンルーフ装置が知られている。
【0003】
該サンルーフ装置は、駆動シューによってフロントリンク及びリアリンクを昇降、移動させることで、可動パネルを持ち上げて後ろへ移動させ、その後、可動パネルをスライド作動させる。よって、フロントリンク及びリアリンクによって可動パネルが全閉、通風、全開状態の姿勢を保持することができる。このため、部品数が増え、全閉、通風、全開の時に機能部品のガタ量が増え、ガタ異音を発生させる恐れがある。
【0004】
また、該サンルーフ装置においては、前側にフロントリンクと接続のシューが設けられているので、デフレクタの取付部が車両の幅方向において駆動シューを離れた位置に配置されている。このため、フロントリンク、リアリンク等の機能部品とデフレクタとが車両の幅方向において並列配置され、配列幅が大きくなり、可動パネルの大きさによる車両ルーフの通風面積が小さくなる。更に、デフレクタが内側に配置される場合、デフレクタ取付部が車内側から見えやすくなるので、見栄えも良くない。更に、車両ルーフの開口位置からデフレクタまでの隙間が大きくなり、走行中の風が機能部品やオープン時のガラス先端に当たることによる風切音の発生をデフレクタで防ぐことが不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2016−528105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、見栄えが良く、全閉、通風、全開の時の機能部品のガタ量を小さくしてガタ異音を抑制でき、車両ルーフの通風面積を拡大でき、且つ、走行中の風切音の発生を抑制できるサンルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサンルーフ装置は、車両ルーフに形成された開口を開閉するように設けられる可動パネルと、前記開口の車両の幅方向の各縁部に設けられ、車両の前後方向に延在するガイドレールと、その車両の前後方向の前端部が前記ガイドレールに支持され、前記可動パネルの車両の幅方向の各縁部を支持するパネルブラケットと、前記ガイドレールに沿って車両の前後方向に移動自在に設けられた駆動シューと、一端が前記駆動シューと係合され、他端が前記パネルブラケットと係合され、車両の前後方向における前記駆動シューの移動に伴い前記可動パネルを開閉させるように設けられるリアリンクと、車両の幅方向において延在するデフレクタ本体と、車両の前後方向において延在し車両の前後方向においてデフレクタ本体の後方に位置するデフレクタアームとを備えており、車両に対してデフレクタアームの車両の前後方向の後端部を軸として回動可能に設けられるデフレクタと、を備え、車両の前後方向において、前記駆動シューと前記リアリンクとが、前記デフレクタアームの後方に設けられており、前記パネルブラケットの前記前端部が、支持軸によって車両の前後方向において移動自在に前記ガイドレールに枢支され前記デフレクタアームの車両の幅方向内側に配置される。
【0008】
このような構成により、車両の前後方向において、駆動シューとリアリンクとがデフレクタアームの後方に設けられているので、車両の走行中の風が機能部品に衝突することによる風切音の発生を抑制することが可能で、且つ、見栄えを良くすることができる。更に、車両の前後方向において、駆動シューやリアリンク等の機能部品とデフレクタとを直列配置することができるので、全体の幅を縮めることができ、且つ、車両ルーフの通風面積を拡大することができる。
【0009】
また、本発明では、前記サンルーフ装置は第1の規制部を有する固定ブロックを更に備えており、前記リアリンクは前記第1の規制部と係合する固定ブロック側被規制部を備えており、前記固定ブロックは、前記第1の規制部と前記固定ブロック側被規制部の係合にて車両の前後方向における前記リアリンクの移動を規制することが可能であることが好ましい。
【0010】
このような構成により、リアリンクと固定ブロックのみによって可動パネルの車両の前後方向における位置を制限することが可能であるので、従来技術と比べて、フロントリンク及びフロントリンクと係合の固定ブロックを必要とせず、このため、部品間のガタ量を減らすことができ、ガタ異音の発生を抑制でき、部品数と組立作業時間の削減を図ることができる。
【0011】
また、本発明では、前記駆動シューは第2の規制部を備えており、前記リアリンクは前記第2の規制部と係合する駆動シュー側被規制部を備えており、前記駆動シューは前記駆動シュー側被規制部の車両の幅方向の内側に設けられており、前記固定ブロックは前記固定ブロック側被規制部の車両の幅方向の外側に設けられており、前記支持軸は前記駆動シューに対して車両の幅方向の内側に設けられていることが好ましい。
【0012】
このような構成により、駆動シューがリアリンクの内側に設けられており、パネルブラケットが駆動シューの内側に設けられているので、従来技術と比べて、駆動シュー、リアリンク及びパネルブラケットの間の構造が更にコンパクトになり、構成全体のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のサンルーフ装置を示す模式平面図である。
【
図2】本発明のサンルーフ装置を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明のサンルーフ装置のパネルブラケット、リアリンク、駆動シュー及び固定ブロックを示す分解斜視図である。
【
図4】本発明のサンルーフ装置の
図1の点線で示される部分の拡大図である。
【
図5】
図4のA−A線に沿って切断された本発明のサンルーフ装置の断面図である。
【
図6(a)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全閉状態にあることを示す模式図であり、可動パネルが全閉状態にあることを示す模式側面図である。
【
図6(b)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全閉状態にあることを示す模式図であり、
図6(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【
図7(a)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全閉状態から徐々に通風状態へ移行する途中を示す模式図であり、可動パネルが全閉状態から徐々に通風状態へ移行する途中を示す模式側面図である。
【
図7(b)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全閉状態から徐々に通風状態へ移行する途中を示す模式図であり、
図7(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【
図8(a)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが通風状態にあることを示す模式図であり、可動パネルが通風状態にあることを示す模式側面図である。
【
図8(b)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが通風状態にあることを示す模式図であり、
図8(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【
図9(a)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全開状態にあることを示す模式図であり、可動パネルが全開状態にあることを示す模式側面図である。
【
図9(b)】本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全開状態にあることを示す模式図であり、
図9(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、添付図面を組み合わせて本発明の好ましい実施形態を説明する。
以下の添付図面では、車両の前後方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、上下方向をZとする。
【0015】
図1は、本発明のサンルーフ装置を示す平面図である。
図2は、本発明のサンルーフ装置を示す分解斜視図である。
図3は、本発明のサンルーフ装置のパネルブラケット、リアリンク、駆動シュー及び固定ブロックを示す分解斜視図である。
図1〜
図3に示されるように、本発明のサンルーフ装置は車両ルーフ10に装着され、車両ルーフ10に形成された略矩形の開口を開閉するように設けられる可動パネル8を備える。
【0016】
図4は、本発明のサンルーフ装置の
図1の点線で示される部分の拡大図である。
図5は、本発明のサンルーフ装置が
図4のA−A線に沿って切断された断面図である。
図4及び
図5に示されるように、本発明のサンルーフ装置は、デフレクタ1と、駆動シュー2と、パネルブラケット4と、リアリンク5と、固定ブロック6と、ガイドレール7(
図4に図示されておらず、詳しくは
図9(a)を参照)と、を更に備える。
【0017】
また、
図4、
図5及び下記の
図6(a)、
図6(b)、
図9(a)に示されるように、ガイドレール7は、開口の車両の幅方向Yの各縁部に設けられ、車両の前後方向Xに延在するように形成される。パネルブラケット4は、前記ガイドレール7に支持された車両の前後方向Xの前端部4aを備えており、前記可動パネル8の車両の幅方向Yの各縁部を支持する。駆動シュー2は、ガイドレール7に沿って車両の前後方向Xにおいて移動自在になるように設けられる。リアリンク5は、その一端が下記の駆動シュー側被規制部5bと第2の規制部2bとの係合によって駆動シュー2と係合され、他端がパネルブラケット4と係合され、車両の前後方向Xにおける駆動シュー2の移動に伴い可動パネル8を開閉させるように形成される。
【0018】
図4に示されるように、デフレクタ1は、車両の幅方向Yにおいて延在するデフレクタ本体11と、車両の前後方向Xにおいて延在し車両の前後方向Xにおいてデフレクタ本体11の後方に位置するデフレクタアーム12とを備えており、車両に対してデフレクタアーム12の車両の前後方向Xの後端部を軸として回動可能に設けられる。駆動シュー2とリアリンク5とが、車両の前後方向Xにデフレクタ1のデフレクタアーム12よりも後方の位置に設けられており、即ち、車両の前後方向Xにおいて、駆動シュー2とリアリンク5とがデフレクタアーム12の後方に設けられている。更に、パネルブラケット4の前端部4aが、支持軸によって車両の前後方向Xにおいて移動自在にガイドレール7(
図4に図示されておらず、詳しくは
図9(a)を参照)に枢支され、且つ、デフレクタアーム12の車両の幅方向Yの内側に配置される。
【0019】
図6(a)及び
図6(b)は、本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全閉状態にあることを示す模式図であり、
図6(a)は、可動パネルが全閉状態にあることを示す模式側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【0020】
図7(a)及び
図7(b)は、本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全閉状態から徐々に通風状態へ移行する途中を示す模式図であり、
図7(a)は、可動パネルが全閉状態から徐々に通風状態へ移行する途中を示す模式側面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【0021】
図8(a)及び
図8(b)は、本発明のサンルーフ装置の可動パネルが通風状態にあることを示す模式図であり、
図8(a)は、可動パネルが通風状態にあることを示す模式側面図であり、
図8(b)は、
図8(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【0022】
図9(a)及び
図9(b)は、本発明のサンルーフ装置の可動パネルが全開状態にあることを示す模式図であり、
図9(a)は、可動パネルが全開状態にあることを示す模式側面図であり、
図9(b)は、
図9(a)の点線で示される部分の拡大図である。
【0023】
図6(a)〜
図9(b)に示されるように、固定ブロック6は第1の規制部6aを備え、駆動シュー2は第2の規制部2bを備え、そのうち、
図6(a)〜
図9(b)において、第1の規制部6aと第2の規制部2bとはいずれも鎖線で示されている。リアリンク5は、第1の規制部6aと係合する固定ブロック側被規制部5aと、第2の規制部2bと係合する駆動シュー側被規制部5bとを備えている。これによって、リアリンク5と固定ブロック6とは固定ブロック側被規制部5aと第1の規制部6aにより係合され、リアリンク5と駆動シュー2とは駆動シュー側被規制部5bと第2の規制部2bにより係合される。
【0024】
以下には、可動パネル8の全閉状態(
図6(a)及び
図6(b))、通風状態(
図8(a)及び
図8(b))、全開状態(
図9(a)及び
図9(b))という3つの状態をそれぞれ説明する。
【0025】
図6(a)、
図6(b)及び
図3に示されるように、具体的に、固定ブロック6の第1の規制部6aは第1の後規制溝6a1と第1の後規制溝6a1の前方にある第1の前規制溝6a2とからなり、リアリンク5の固定ブロック側被規制部5aは第1の後規制溝6a1と係合する固定ブロック側リアピン5a1と第1の前規制溝6a2と係合する固定ブロック側フロントピン5a2とからなる。
【0026】
同じく、
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、駆動シュー2の第2の規制部2bは第2の後規制溝2b1と第2の後規制溝2b1の前方にある第2の前規制溝2b2とからなり、リアリンク5の駆動シュー側被規制部5bは第2の後規制溝2b1と係合する駆動シュー側リアピン5b1と、第2の前規制溝2b2と係合する駆動シュー側フロントピン5b2とからなる。
【0027】
図6(a)及び
図6(b)に示される可動パネル8の全閉状態において、リアリンク5は、その固定ブロック側リアピン5a1が固定ブロック6の第1の後規制溝6a1の下端、即ち、第1の後規制溝6a1の車両の上下方向Zにおける最下方にあり、そして、固定ブロック側フロントピン5a2が第1の前規制溝6a2の上端、即ち、第1の前規制溝6a2の車両の上下方向Zにおける最上方にある。
【0028】
これに対して、リアリンク5は、その駆動シュー側リアピン5b1が駆動シュー2の第2の後規制溝2b1の下端、即ち、第2の後規制溝2b1の車両の上下方向Zにおける最下方にあり、そして、駆動シュー側フロントピン5b2が駆動シュー2の第2の前規制溝2b2の上端、即ち、第2の前規制溝2b2の車両の上下方向Zにおける最上方にある。
【0029】
これによって、
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、可動パネル8は全閉状態にあり、固定ブロック6は、第1の規制部6aと固定ブロック側被規制部5aの係合にて車両の前後方向Xにおけるリアリンク5の移動を規制することが可能である。
【0030】
次に、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、車両の前後方向Xにおいて、駆動シュー2が後に向かって移動することで、リアリンク5は、その固定ブロック側リアピン5a1が固定ブロック6の第1の後規制溝6a1に沿って上に移動し、そして、固定ブロック側フロントピン5a2が固定ブロック6の第1の前規制溝6a2に沿って下に移動する。これに対して、リアリンク5は、その駆動シュー側リアピン5b1が駆動シュー2の第2の後規制溝2b1に沿って上に移動し、駆動シュー側フロントピン5b2が駆動シュー2の第2の前規制溝2b2に沿って下に移動する。
【0031】
これによって、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、可動パネル8は徐々に開けられ、固定ブロック6は、第1の規制部6aと固定ブロック側被規制部5aの係合にて車両の前後方向Xにおけるリアリンク5の移動を規制することが可能である。
【0032】
次に、
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、車両の前後方向Xにおいて、駆動シュー2が後に向かって更に移動することで、リアリンク5は、その固定ブロック側リアピン5a1が固定ブロック6の第1の後規制溝6a1に沿って更にその上端、即ち、第1の後規制溝6a1の車両の上下方向Zにおける最上方まで移動し、そして、固定ブロック側フロントピン5a2が固定ブロック6の第1の前規制溝6a2に沿って更にその下端、即ち、第1の前規制溝6a2の車両の上下方向Zにおける最下方まで移動する。これに対して、リアリンク5は、その駆動シュー側リアピン5b1が駆動シュー2の第2の後規制溝2b1に沿って更にその上端、即ち、第2の後規制溝2b1の車両の上下方向Zにおける最上方まで移動し、そして、駆動シュー側フロントピン5b2が駆動シュー2の第2の前規制溝2b2に沿って更にその下端、即ち、第2の前規制溝2b2の車両の上下方向Zにおける最下方まで移動する。
【0033】
これによって、
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、可動パネル8は通風状態にあり、固定ブロック6は、第1の規制部6aと固定ブロック側被規制部5aの係合にて車両の前後方向Xにおけるリアリンク5の移動を規制することが可能である。
【0034】
次に、
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、車両の前後方向Xにおいて、駆動シュー2が後に向かって更に移動することで、リアリンク5の固定ブロック側リアピン5a1と固定ブロック側フロントピン5a2は固定ブロック6の第1の後規制溝6a1と第1の前規制溝6a2を離脱し、この時、駆動シュー2の第2の後規制溝2b1、第2の前規制溝2b2とリアリンク5の駆動シュー側リアピン5b1と駆動シュー側フロントピン5b2のそれぞれの係合が依然として保持されているので、可動パネル8を後に引っ張ることで全開状態にすることができる。
【0035】
前述したように、本発明のサンルーフ装置は、リアリンク5と固定ブロック6のみによって可動パネル8の車両の前後方向Xにおける位置を制限することができるので、従来技術と比べて、フロントリンク及びフロントリンクと係合の固定ブロックを必要としない。そのため、部品間のガタ量を減らすことができ、ガタ異音の発生を抑制でき、部品数と組立作業時間の削減を図ることができる。
【0036】
また、本発明のサンルーフ装置では、車両の前後方向Xにおいて、駆動シュー2とリアリンク5とがデフレクタ1のデフレクタアーム12よりも後方に設けられているので、可動パネル8を開けて前から見れば、駆動シュー2やリアリンク5等の機能部材はデフレクタ1の後に隠されている。そのため、車両の走行中の風が機能部品に当たることによる風切音の発生を防ぐことが可能であり、且つ、見栄えを良くすることができる。更に、車両の前後方向Xにおいて、駆動シュー2やリアリンク5等の機能部品とデフレクタ1とを直列配置することができるので、全体の幅を縮めることができ、且つ、車両ルーフ10の開口を拡大することができる。
【0037】
また、本発明のサンルーフ装置では、駆動シュー2が駆動シュー側被規制部5bの車両の幅方向Yの内側に設けられており、固定ブロック6が固定ブロック側被規制部5aの車両の幅方向Yの外側に設けられており、支持軸が駆動シュー2に対して車両の幅方向Yの内側に設けられており、即ち、駆動シュー2がリアリンク5の内側に設けられており、パネルブラケット4が駆動シュー2の内側に設けられているので、従来技術と比べて、駆動シュー2、リアリンク5及びパネルブラケット4の間の構造が更にコンパクトになり、構成全体のコンパクト化を図ることができる。
【0038】
以上では、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限られず、発明の旨から外れないように適当に変形することも許される。
【符号の説明】
【0039】
1…デフレクタ、11…デフレクタ本体、12…デフレクタアーム、2…駆動シュー、2b…第2の規制部、2b1…第2の後規制溝、2b2…第2の前規制溝、3…側部デフレクタ、4…パネルブラケット、5…リアリンク、5a…固定ブロック側被規制部、5a1…固定ブロック側リアピン、5a2…固定ブロック側フロントピン、5b…駆動シュー側被規制部、5b1…駆動シュー側リアピン、5b2…駆動シュー側フロントピン、6…固定ブロック、6a…第1の規制部、6a1…第1の後規制溝、6a2…第1の前規制溝、7…ガイドレール、8…可動パネル。
【要約】
【課題】見栄えが良く、全閉、通風、全開の時の機能部品のガタ量を小さくしてガタ異音を抑制でき、車両ルーフの開口を拡大でき、且つ、走行中の風切音の発生を抑制できるサンルーフ装置を提供すること。
【解決手段】本発明のサンルーフ装置は、可動パネルと、ガイドレールと、パネルブラケットと、ガイドレールに沿って車両の前後方向に移動自在に設けられた駆動シューと、一端が駆動シューと係合され、他端がパネルブラケットと係合されるリアリンクと、デフレクタ本体と、車両の前後方向においてデフレクタ本体の後方に位置するデフレクタアームとを備えているデフレクタと、を備え、車両の前後方向において、駆動シューとリアリンクとが、デフレクタアームの後方に設けられており、パネルブラケットの前端部が、支持軸によって車両の前後方向において移動自在にガイドレールにピボット支持されデフレクタアームの車両の幅方向内側に配置される。
【選択図】
図4