(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒状部は、その内周側に形成されると共に前記膨出部を挟んで前記剛板の下面側に対向して配設される支持部を備え、その支持部によって前記膨出部の他方側または一方側が支持されていることを特徴とする請求項1記載の防振台。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、本発明の第1実施の形態における第1防振台20及び第2防振台40の概略構成について説明する。
図1は、第1実施の形態における第1防振台20及び第2防振台40に載置されたバスドラム1及びキックペダル2の側面図である。
【0025】
図1に示すように、バスドラム1は、アコースティックの打楽器を模した電子打楽器であり、演奏者により打撃されるドラム本体11と、そのドラム本体11が打撃されたことを検出するセンサ(図示せず)と、ドラム本体11の外周面に連結される支持スタンド12とを備えている。支持スタンド12は、ドラム本体11を床面Fから浮かせた状態で支持するための部材であり、板状に形成される板スタンド13と、棒状に形成される棒スタンド14とを備えている。
【0026】
キックペダル2は、板状の基部2aと、その基部2aに揺動可能に支持されたペダル部2bと、そのペダル部2bに連動して回動する回動部2cとを備え、その回動部2cにビータ3が固定されている。キックペダル2は、基部2aが板スタンド13に固定されており、演奏者によりペダル部2bが踏み込まれると、その踏み込みに連動してビータ3が回動し、そのビータ3によってドラム本体11が打撃される。
【0027】
バスドラム1及びキックペダル2は、床面Fに接地された第1防振台20及び第2防振台40の上に設置されている。
【0028】
第1防振台20及び第2防振台40は、バスドラム1及びキックペダル2に付与された振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを抑制するための器具であり、第1防振台20にはバスドラム1の板スタンド13及びキックペダル2の基部2aが、第2防振台40にはバスドラム1の棒スタンド14がそれぞれ載置されている。
【0029】
次に、
図2から
図4を参照して、第1防振台20について説明する。
図2(a)は、第1防振台20の上面図であり、
図2(b)は、第1防振台20の下面図である。
図3(a)は、
図2(b)のIIIa部分を拡大した第1防振台20の部分拡大下面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のIIIb−IIIb線における第1防振台20の断面図である。
図4は、本体部22の上面図である。
【0030】
図2から
図4に示すように、第1防振台20は、所定の剛性を有する鉄板から構成される矩形板状の剛板21と、その剛板21を床面Fから浮かせた状態で支持する本体部22とを備えている。
【0031】
剛板21が矩形板状に形成されているので、第1防振台20を複数並べて使用する際には、隣接して配置される剛板21の間に隙間が形成されることを防止できる。なお、剛板21の上面(
図2(a)紙面手前側の面)には図示しないカーペットが覆設されている。
【0032】
本体部22は、剛板21よりも弾性が高い硬度60度のEPDMゴムから構成され、長手方向(
図2(a)左右方向)における中央部分で幅方向(
図2(a)上下方向)に沿って2つに分断されている。なお、
図4では、2つに分断された本体部22のうちの一方側のみを図示し、他方側の図示を省略している。
【0033】
本体部22は、矩形板状の被覆部23と、その被覆部23の一面側(
図3(b)上面側)に立設される立設部24と、被覆部23の他面側(
図3(b)下面側)に膨出形成される複数の膨出部25とを備えている。
【0034】
被覆部23は、剛板21の下面側(
図3(b)下面側)を被覆する部位であり、被覆部23の長手方向(
図2(b)左右方向)における寸法および幅方向(
図2(b)上下方向)における寸法が、それぞれ剛板21の長手方向における寸法および幅方向における寸法よりもわずかに大きい寸法に設定されている。
【0035】
立設部24は、被覆部23の周縁部分に沿って立設されており、被覆部23の長手方向または幅方向に対向して配設される立設部24どうしの間隔が、剛板21の長手方向における寸法または幅寸法における寸法と略同等に設定されている。さらに、立設部24には、その上端から被覆部23の内側へ向けて張り出す張出部24aが形成されると共に、その張出部24aと被覆部23との間には隙間が形成され、その隙間に剛板21及びカーペット(図示せず)の周縁部分が差し込まれている。
【0036】
被覆部23と張出部24aとの隙間に剛板21が差し込まれた状態では、剛板21が立設部24によって包囲されるので、剛板21の変位を被覆部23及び立設部24によって規制することができる。よって、本体部22に対する剛板21及びカーペットの位置ずれを防止することができる。
【0037】
従って、本体部22に剛板21を装着するにあたり、ボルトや接着材等の他の材料による固定作業を簡素化できるので、本体部22に対する剛板21の装着作業を簡素化することができる。
【0038】
ここで、被覆部23と張出部24aとの隙間に剛板21及びカーペットを差し込む際に、被覆部23と張出部24aとの隙間を広げつつ、その隙間に剛板21及びカーペットの周縁部分全体を差し込むことはできるものの、その差し込み作業は繁雑である。特に、剛板21は、少なくともバスドラム1の板スタンド13及びキックペダル2の基部2a(
図1参照)が載置可能な寸法に設定する必要があり、剛板21の長手方向および幅方向における長さ寸法が大きくなるほど、差し込み作業に大きな労力が必要となる。
【0039】
これに対し、本体部22が2つに分断されているので、分断された各々の本体部22を小型化して扱いやすくすることができる。さらに、本体部22の分断された部位(
図4における上側)から張出部24aと被覆部23との隙間に剛板21を差し込むことにより、剛板21を本体部22に装着することができるので、その装着作業を簡素化することができる。
【0040】
膨出部25は、その一方側から他方側へ向かうにつれて先細りとなる中空ドーム状に形成された膜状の部位であり、剛板21の下面側が膨出部25の一方側に支持されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、本体部22に12個の膨出部25が配設されており、被覆部23の長手方向(
図2(b)左右方向)に沿って不等間隔に配設された6個の膨出部25が、被覆部23の幅方向(
図2(b)上下方向)における一端部および他端部における周縁部分にそれぞれ並設されている。
【0042】
また、2つに分断された本体部22の各々の被覆部23には6つの膨出部が一体的に膨出形成されている。よって、全ての膨出部25が個々に形成される場合と比べて、膨出部25を剛板21に取り付ける際の作業工数を少なくできる。また、被覆部23と立設部24との隙間に剛板21を差し込むことによって膨出部25を剛板21に対して適切な位置に配置することができる。よって、剛板21に対する膨出部25の装着作業を簡素化できる。
【0043】
なお、被覆部23の長手方向において隣接する膨出部25の間隔は、被覆部23の長手方向における中心側では狭く、長手方向における両端側では広く設定されている。これにより、剛板21に荷重が付与された際に剛板21の長手方向における中央部分が撓むことを抑制できる。
【0044】
ここで、被覆部23の一面側(
図3(b)上面側)には、隣接する膨出部25どうしを連通させる溝状の溝部26が複数凹設されている。また、それら複数の溝部26のうち、被覆部23の幅方向(
図2(b)上下方向)に沿って延設される溝部26には、溝部26と被覆部23の他面側(
図3(b)下面側)とを連通させる連通孔27が被覆部23の厚さ方向(
図3(b)上下方向)に沿って穿設されている(
図4参照)。
【0045】
これにより、中空状に形成された膨出部25の内部と外部とを溝部26及び連通孔27を介して連通させることができるので、膨出部25の内部の空気を外部へ円滑に放出させることができる。
【0046】
また、膨出部25には、その他方側に位置する外表面から径方向外方へ向けて突出する突出部28が、膨出部25の他方側(
図3(a)紙面手前側)から視て同心円状に形成されている。
【0047】
次に、
図5を参照して、床面Fに設置された第1防振台20にバスドラム1及びキックペダル2を載置した状態における膨出部25の変形態様について説明する。
図5は、
図1のV部分を拡大した第1防振台20の部分拡大側面図であり、説明をわかりやすくするために剛板21及び本体部22を断面視した状態が図示されている。
【0048】
図5に示すように、膨出部25の他方側を床面Fに接地させた状態で剛板21の上にバスドラム1(
図1参照)及びキックペダル2を載置すると、それらバスドラム1及びキックペダル2の重量によって剛板21が床面F側へ押圧され、剛板21と床面Fとの間に介設された膨出部25が圧縮される。
【0049】
このとき、剛板21が所定の剛性を有する鉄板から構成されているので、バスドラム1及びキックペダル2から付与された荷重によって剛板21が変形することを抑制できる。よって、第1防振台20にバスドラム1及びキックペダル2を安定的に設置できる。
【0050】
さらに、剛板21は、所定の剛性を有する鉄板から構成されると共に、剛板21の下面側が複数の膨出部25によって支持されているので、剛板21に付与された荷重を複数の膨出部25に均等に分散させることができる。即ち、複数の膨出部25のうちの一部の膨出部25に荷重が集中することを防止できるので、一部の膨出部25が過剰に圧縮されることを抑制できると共に、複数の膨出部25によって剛板21を安定的に支持することができる。
【0051】
また、剛板21が鉄板から構成されているので、剛板21の剛性を確保しつつ剛板21の厚さ寸法を小さく設定することができる。これにより、剛板21の上に設置されたキックペダル2の床面Fからの高さ位置が高くなりすぎることを回避できるので、キックペダル2への踏み込み操作時において演奏者に与える違和感を低減させることができる。
【0052】
剛板21と床面Fとの間に介設された膨出部25は、一方側から他方側へ向けて先細りする中空状に形成され、その膨出部25の他方側が床面Fに接地されているので、剛板21から付与される小さな荷重によって各々の膨出部25の他方側を容易に弾性変形させることができる。これにより、床面Fと膨出部25との接地面積を増加させることができるので、床面Fに対して第1防振台20を安定的に設置できる。その結果、第1防振台20のがたつきを防止できるので、そのがたつきに起因して発生する床面Fからの騒音を低減させることができる。
【0053】
さらに、床面Fとバスドラム1(
図1参照)との間に本体部22が介設されているので、床面Fの振動がバスドラム1へ伝達されることを膨出部25によって抑制することができる。よって、床面Fから伝達された振動をバスドラム1のセンサ(図示せず)が誤検出することを回避しやすくすることができる。
【0054】
また、膨出部25の他方側に位置する外表面には突出部28が突出形成されているので、その突出部28を床面Fに接地させることによって、膨出部25の床面Fに対するグリップ力を高めることができる。従って、第1防振台20が床面Fに対して移動することを抑制できる。
【0055】
さらに、突出部28を床面Fに接地させることにより、膨出部25の外表面全体を床面Fに接地させる場合と比べて、床面Fに対する膨出部25の接地面積を小さくすることができる。これにより、膨出部25から床面Fへ又は床面Fから膨出部25へ振動や衝撃が伝達されることを抑制できる。
【0056】
次に、
図6を参照して、キックペダル2が踏み込まれた場合における膨出部25の変形態様について説明する。
図6(a)及び
図6(b)は、第1防振台20の部分拡大図である。なお、
図6(a)には、ペダル部2bが踏み込まれてキックペダル2に下方への荷重W1が付与された状態が、
図6(b)には、ペダル部2bが踏み込まれてキックペダル2に下方かつ前方への荷重W2が付与された状態が図示される共に、説明をわかりやすくするために剛板21及び本体部22を断面視した状態が図示されている。
【0057】
図6(a)に示すように、ペダル部2bが踏み込まれてキックペダル2に対して下方への荷重W1が付与されると、第1防振台20に対して大きな振動や衝撃が付与され、剛板21と床面Fとの間に介設される膨出部25が更に圧縮される。
【0058】
膨出部25は、硬度(JISタイプAデュロメータによる、以下同様)が60度のEPDMゴムから構成されているので、膨出部25が過剰に圧縮されることを防止できる。即ち、演奏時において想定される最大荷重に対して膨出部25を適正に圧縮させることができるので、剛板21から付与された振動や衝撃を膨出部25によって低減させることができると共に、膨出部25の塑性変形を抑制できる。
【0059】
なお、剛板21から付与される荷重を主として支持している部位は、膨出部25が接地している部位全体のうちの外縁部分である。従って、その外縁部分を圧縮するために必要な荷重と膨出部25に付与される荷重とが均衡するまで膨出部25が圧縮される。
【0060】
ここで、キックペダル2が踏み込まれる前の状態(
図5に示す状態)において膨出部25が床面Fに接地される部位全体のうちの外縁部分を部位A、荷重W1が付与された状態(
図6(a)に示す状態)において膨出部25が床面Fに接地される部位全体のうちの外縁部分を部位Bと定義する。
【0061】
膨出部25は、一方側から他方側へ向かうにつれて先細状に膨出形成されており、部位Aは、部位Bよりも膨出部25の他方側に位置しているので、部位Aは、部位Bと比べて床面Fと接地する外縁部分の周長が短い。即ち、膨出部25に付与される荷重が大きくなり、床面Fに対する膨出部25の接地面積が大きくなるほど、床面Fと接地する外縁部分の周長が長くなり、その外縁部分を圧縮させるためには大きな荷重が必要となる。従って、部位Aは部位Bと比べて小さな荷重によって容易に弾性変形させることができる。
【0062】
さらに、膨出部25は、中空ドーム状に形成されており、膨出部25の径方向に垂直な断面のうち、部位Aを通る断面が床面Fに対してなす角度は、部位Bを通る断面が床面Fに対してなす角度よりも小さい。即ち、膨出部25に付与される荷重が大きくなり、床面Fに対する膨出部25の接触面積が大きくなるほど、床面Fと接地する外縁部分を通る断面が床面Fに対してなす角度が大きくなり、その外縁部分を圧縮させるためには大きな荷重が必要となる。従って、部位Aは部位Bと比べて小さな荷重によって容易に弾性変形させることができる。
【0063】
以上のように、膨出部25が一方側から他方側へ向けて先細りとなる中空ドーム状に形成されることにより、演奏時において想定される最大荷重に対して適正に圧縮される程度に硬度の高い硬度60度のEPDMゴムから膨出部25が構成されている場合であっても、剛板21から各々の膨出部25に付与された小さな荷重で膨出部25を弾性変形させることができる。よって、小さな荷重に起因して発生する振動および衝撃が剛板21から床面Fへ伝達されることを膨出部25によって低減させることができる。
【0064】
一方、部位Bは、部位Aと比べて床面Fと接地する外縁部分の周長が長く、部位Bを通る断面が床面Fに対してなす角度は、部位Aを通る断面が床面Fに対してなす角度よりも大きいので、部位Bを弾性変形させるためには大きな荷重が必要とされる。
【0065】
即ち、剛板21から各々の膨出部25に対して大きな荷重が付与された場合には、膨出部25が過剰に圧縮されることを回避しやすくして膨出部25を適正に圧縮させることができる。これにより、大きな荷重に起因して発生する振動および衝撃が剛板21から床面Fへ伝達されることを膨出部25によって低減させることができる。
【0066】
このように、第1防振台20は、本体部22の構造を簡素化して製造コストを抑制しつつ、バスドラム1やキックペダル2に付与された振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを膨出部25によって低減させることができる。その結果、楽器演奏時に床面Fから発生する騒音を低減させることができる。
【0067】
また、膨出部25が圧縮される際に、膨出部25の内部の空気を溝部26及び連通孔27を介して外部へ円滑に放出できるので、膨出部25の圧縮が空気圧によって阻害されることを防止できる。
【0068】
さらに、剛板21の下面側が膨出部25の一面側に支持され、膨出部25の他面側が床面Fに接地されているので、膨出部25に付与される荷重が大きくなるにつれて膨出部25と床面Fとの接地面積を大きくすることができる。
【0069】
従って、膨出部25に付与される荷重が小さい場合には、床面Fに対する膨出部25の接触面積を小さくして床面Fへ伝達される振動や衝撃を低減させることができる。一方、膨出部25に付与される荷重が大きい場合には、床面Fに対する膨出部25の接地面積を多くして床面Fに対する膨出部25のグリップ力を高めることができる。その結果、床面Fに対して膨出部25が移動することを抑制できる。
【0070】
また、突出部28が膨出部25の他方側から視て同心円状に形成されているので、膨出部25に付与される荷重が大きくなるほど床面Fに対する突出部28の接地面積を増加させることができる。
【0071】
さらに、突出部28を同心円状に形成することによって、膨出部25の径方向に沿って複数の突出部28を列設させることができる。これにより、床面Fに対する膨出部25の接地面積が増えた場合であっても、膨出部25が床面Fに接地される部位全体のうちの外縁部分において、突出部28を床面Fに接地させやすくすることができる。よって、床面Fに対する膨出部25のグリップ力をより一層高めることができる。
【0072】
図6(b)に示すように、演奏者による踏み込みに伴い、キックペダル2に対して下方かつ前方(
図6(b)左側)への荷重W2が付与されると、剛板21及び被覆部23が前方へ変位し、それに追随して膨出部25の一方側が前方へ引き寄せられる。
【0073】
これに対し、床面Fに対する突出部28のグリップ力が発揮されることにより、膨出部25の他方側が床面Fに対して前方へ引きずられることを防止できる。よって、荷重W2の付与が解除され、荷重W2が付与される前の形状に膨出部25が復元されることで、剛板21の位置を荷重W2が付与される前の位置へ戻すことができる。これにより、バスドラム1及びキックペダル2の設置位置が初期位置から移動することを抑制できる。
【0074】
また、突出部28が同心円状に形成されているので、剛板21及び被覆部23が前方へ変位し、それに追随して膨出部25の一方側が前方へ変位した場合に、膨出部25の前方側に形成される突出部28をより多く床面Fに接地させることができる。
【0075】
即ち、突出部28が同心円状に形成されることにより、剛板21に対して前後左右方向への大きな荷重が付与された場合であっても、床面Fに対する膨出部25のグリップ力を高めることができるので、第1防振台20が床面Fに対して移動することを抑制できる。
【0076】
なお、本実施の形態では、本体部22に12個の膨出部25が形成されているが、膨出部25は少なくとも剛板21の四隅に形成されていればよい。
【0077】
膨出部25を少なくとも剛板21の四隅に配設することによって、剛板21を床面Fに対して安定的に支持することができるので、第1防振台20に載置されたバスドラム1やキックペダル2がぐらつくことを防止できる。
【0078】
また、本体部22に形成される膨出部25の数量が6個以上かつ16個以下の範囲内であることがより望ましい。
【0079】
本体部22に形成される膨出部25の数量を6個以上に設定することで、剛板21に対して付与されると想定される最大荷重に対して膨出部25が過剰に圧縮されることを回避しやすくすることができる。さらに、複数の膨出部25のうちの4個を剛板21の四隅に配置し、他の膨出部25を少なくとも剛板21の長手方向における中央部分に配置することによって、剛板21の中央部分が撓むことを防止できる。
【0080】
また、本体部22に形成される膨出部25の数量を16個以下に設定することで、剛板21に付与された荷重が小さい場合であっても、各々の膨出部25を弾性変形させやすくすることができる。
【0081】
さらに、剛板21に載置可能なバスドラム1及びキックペダル2の許容最大重量は、1個の膨出部25あたり4kg以下に設定されることが望ましい。これにより、膨出部25に荷重が付与された場合に膨出部25が過剰に圧縮されることを回避できる。その結果、バスドラム1及びキックペダル2に付与された振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを抑制できると共に、膨出部25の塑性変形を抑制できる。
【0082】
次に、
図7を参照して、第2防振台40について説明する。
図7(a)は、第2防振台40の上面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のVIIb−VIIb線における第2防振台40の断面図であり、
図7(c)は、第2防振台40の下面図であり、
図7(d)は、第2防振台40の断面図である。なお、
図7(d)は、
図7(b)に示す断面に対応しており、剛板41に下方への荷重W3が付与された状態が図示されている。
【0083】
図7(a)から
図7(c)に示すように、第2防振台40は、円板状の剛板41と、その剛板41を床面Fから浮かせた状態で支持する本体部42とを主に備えている。
【0084】
剛板41は、所定の剛性を有する鉄板から構成され、本体部42は、剛板41よりも弾性が高い硬度60度のEPDMゴムから構成されている。本体部42は、剛板41を被覆する被覆部43と、その被覆部43を摺動支持する円筒状の筒状部44と、その筒状部44に収容されると共に剛板41及び被覆部43の下方に配設される膨出部45とを備えている。
【0085】
被覆部43は、剛板41の上面側を被覆する円板状の円板部43aと、その円板部43aの下面側(
図7(b)下面側)における周縁部分に沿って立設されると共に剛板41の周縁部分を被覆する円環状の円環部43bとを備えている。
【0086】
円板部43aは、その上面側(
図7(b)上面側)における周縁部分に位置する上面視略円環状の係止部43a1と、その係止部43a1の内周側に形成されると共に係止部43a1よりも上方へ突出する上面視略円形状の突面部43a2とを備えている。
【0087】
係止部43a1は、筒状部44に係止される部位であり、突面部43a2は、棒スタンド14(
図1参照)が載置される部位である。
【0088】
なお、突面部43a2は、その上面が中心へ向かうにつれて下降傾斜するテーパ状に形成されている。これにより、突面部43a2の上面に載置された棒スタンド14が滑落することを防止できる。
【0089】
円環部43bには、その下端から円板部43aの中心側へ向けて張り出す張出部43cが形成されると共に、その張出部43cと円板部43aとの間には隙間が形成され、その隙間に剛板41の周縁部分が差し込まれている。これにより、被覆部43に対する剛板41の変位を被覆部43によって規制することができる。
【0090】
筒状部44は、その上端から筒状部44の径方向内方へ向けて張り出す上面視略円環状の規制部46と、筒状部44の下端から筒状部44の径方向内方へ向けて張り出すと共に膨出部45の一方側を支持する下面視略円環状の支持部47とを備えている。
【0091】
規制部46は、被覆部43の係止部43a1が係止される部位であり、規制部46の内径が係止部43a1の外径よりも小さな寸法に設定されている。これにより、筒状部44の内周面を摺動する被覆部43が筒状部44の上方から抜け出ることを防止できる。
【0092】
また、被覆部43の突面部43a2が、係止部43a1よりも上方へ突出しているので、突面部43a2に載置された棒スタンド14が筒状部44と干渉することを回避しやすくすることができる。また、棒スタンド14とは形状が異なる支持スタンドを突面部43a2に載置した場合であっても、その支持スタンドと筒状部44との干渉を回避しやすくすることができるので、第2防振台40の汎用性を向上させることができる。
【0093】
支持部47は、膨出部45を挟んで剛板41の下面側に対向して配設されており。支持部47の外周側が筒状部44の内周面に連設されると共に、支持部47の内周側が膨出部45に連設されている。
【0094】
また、支持部47の下面側には、支持部47の内周側と外周側とにそれぞれ同心円状の突出部48a,48bが突出形成されており、突出部48a,48bを床面Fに接地させることによって、床面Fに対する支持部47のグリップ力を高めることができる。
【0095】
なお、支持部47は、その下面側が外周側から内周側へ向かうにつれて上昇傾斜するテーパ状に形成されている。よって、剛板41に荷重が付与されていない状態では、支持部47の外周側に位置する突出部48aが床面Fに接地され、支持部47の内周側に位置する突出部48bが床面Fから離間している。
【0096】
膨出部45は、一方側から他方側へ向かうにつれて漸次先細りとなるドーム状に膨出形成された膜状の部位であり、膨出部45の一方側が支持部47に連設されると共に、膨出部45の他方側が剛板41の下面側に当接されている。膨出部45の一方側が支持部47に支持されているので、筒状部44に対する膨出部45の変位を抑制することができる。
【0097】
図7(d)に示すように、棒スタンド14(
図1参照)から剛板41に下方への荷重W3が付与されると、剛板41と床面Fとの間に介設される膨出部45が圧縮される。
【0098】
剛板41は、所定の剛性を有する鉄板から構成されているので、棒スタンド14から付与された荷重によって剛板41が変形することを抑制できると共に、棒スタンド14から付与された荷重が膨出部45の一部分へ局所的に付与されることを防止できる。よって、第2防振台40にバスドラム1を安定的に設置できる。
【0099】
膨出部45は、硬度が60度のEPDMゴムから構成されているので、膨出部45が過剰に圧縮されることを防止できる。即ち、演奏時において想定される最大荷重に対して膨出部45を適正に圧縮させることができるので、剛板41から付与された振動や衝撃を膨出部45によって低減させることができると共に、膨出部45の塑性変形を抑制できる。
【0100】
また、膨出部45は、一方側から他方側へ向けて先細りするドーム状に形成されているので、演奏時において想定される最大荷重に対して適正に圧縮される程度に硬度60度のEPDMゴムから膨出部45を構成した場合であっても、剛板41から膨出部45に付与された小さな荷重で膨出部45を弾性変形させることができる。よって、小さな荷重に起因して発生する振動および衝撃が剛板41から床面Fへ伝達されることを膨出部45によって低減させることができる。
【0101】
一方、剛板41から膨出部45に対して大きな荷重が付与された場合には、膨出部45が過剰に圧縮されることを回避しやすくして膨出部45を適正に圧縮させることができる。これにより、大きな荷重に起因して発生する振動および衝撃が剛板41から床面Fへ伝達されることを膨出部45によって低減させることができる。
【0102】
従って、第2防振台40は、本体部42の構造を簡素化して製造コストを抑制しつつ、バスドラム1に付与された振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを膨出部45によって低減させることができる。その結果、楽器演奏時に床面Fから発生する騒音を低減させることができる。
【0103】
さらに、膨出部45に付与される荷重が大きくなるほど、膨出部45と剛板41との接触面積を増加させることができるので、剛板41に付与された振動や衝撃を膨出部45によって低減させやすくすることができる。
【0104】
また、剛板41を被覆する被覆部43が筒状部44に摺動支持されているので、筒状部44の軸方向(
図7(d)上下方向)、即ち、膨出部45の一方側と他方側とを結ぶ方向への被覆部43の変位を許容しつつ、筒状部44の軸方向に垂直な方向(
図7(d)左右方向および紙面垂直方向)への変位を規制することができる。
【0105】
これにより、剛板41が膨出部45に対して前後左右方向(
図7(d)左右方向および紙面垂直方向)へ変位することを規制できるので、膨出部45に対する剛板41の位置ずれを防止できると共に、剛板41の上に載置された棒スタンド14が滑落することを回避できる。
【0106】
さらに、剛板41の下面側が膨出部45の他方側に支持されると共に、膨出部45を挟んで剛板41に対向して配設される支持部47に膨出部45の一方側が支持されているので、剛板41から膨出部45へ付与された下方への荷重W3によって膨出部45を圧縮させやすくすることができる。
【0107】
ここで、膨出部45に対して下方への荷重W3が付与されると、膨出部45の一方側を下方へ押し下げようとする力が付与され、これに伴って支持部47の外周側が内周側へ引き寄せられる。
【0108】
そのため、膨出部45に荷重が付与される前の状態において、支持部47の内周側が床面Fに接地している場合、膨出部45に下方への荷重W3が付与されることによって、支持部47の外周側が床面Fから浮き上がりやすくなる。
【0109】
これに対し、筒状部44は、支持部47の下面側が外周側から内周側へ向けて上昇傾斜するテーパ状に形成され、膨出部45に下方への荷重が付与される前の状態では支持部47の内周側が床面Fから離間している。よって、膨出部45に下方への荷重W3が付与された際に、支持部47の外周側に位置する突出部48aを床面Fに接地させた状態を維持することができる。
【0110】
また、所定以上の荷重が膨出部45に付与された場合には支持部47の内周側に位置する突出部48bを床面に接地させることができる。これにより、支持部47の外周側および内周側に位置する突出部48bの双方を床面Fに接地させることができるので、床面Fに対する膨出部45のグリップ力を一層高めることができる。よって、床面Fに対して第2防振台40が移動することを抑制できる。
【0111】
一方、剛板41に付与された荷重W3が所定以下であり、剛板41から伝達される振動や衝撃が小さい場合には、膨出部45と床面Fと接地面積を小さくして、振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを抑制できる。
【0112】
さらに、突出部48a,48bを床面Fに接地させることにより、支持部47の下面全体を床面Fに接地させる場合と比べて、床面Fとの接触面積を小さくすることができるので、棒スタンド14から床面Fへの振動や衝撃の伝達を低減させることができる。
【0113】
なお、本実施の形態では、第1防振台20の本体部22及び第2防振台40の本体部42がEPDMゴムから構成されているが、本体部22,42が他の弾性材料、例えば、ニトリルゴム、クロロブレンゴム、エチレンゴム、ポリイソブチレン、フッ素ゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等から構成されていてもよい。
【0114】
また、本実施の形態では、本体部22,42の硬度が60度に設定されたEPDMゴムから構成されているが、本体部22,42の硬度は50度以上かつ80度以下に設定されるのが望ましい。
【0115】
本体部22,42の硬度が50度以上に設定されることによって、剛板21,41に対して付与されることが想定される最大荷重に対して膨出部25,45を適正に弾性変形させることができる。即ち、膨出部25,45が過剰に圧縮されることを防止できるので、大きな荷重に起因して発生する振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを膨出部25,45によって確実に低減させることができる。
【0116】
一方、本体部22,42の硬度が80度以下に設定されることによって膨出部25,45を小さな荷重によって弾性変形させやすくすることができる。よって、小さな荷重に起因して発生する振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを膨出部25,45によって確実に低減させることができる。
【0117】
また、第1防振台20の膨出部25及び第2防振台40の膨出部45の厚さ寸法は、膨出部25,45の曲率半径の1/10以上かつ1/4以下の範囲内に設定されることが望ましい。
【0118】
膨出部25,45の厚さ寸法を膨出部25,45の曲率半径の1/10以上に設定することによって、剛板21,41に対して付与されると想定される最大荷重に対して膨出部25,45を適正に弾性変形させることができる。一方、膨出部25,45の厚さ寸法を膨出部25,45の曲率半径の1/4以下に設定することによって、膨出部25,45を小さな荷重で容易に弾性変形させやすくすることができる。
【0119】
なお、本実施の形態では、第1防振台20の膨出部25及び第2防振台40の膨出部45の厚さ寸法が3mmに設定され、膨出部25,45の曲率半径が20mmに設定されている。
【0120】
ここで、
図8を参照して、第1防振台20の膨出部25に対して行った圧縮試験について説明する。
図8は、圧縮試験の試験結果を示すグラフである。この圧縮試験は、第1防振台20の一の膨出部25の他方側に鉄板を当接させ、その当接させた鉄板を介して膨出部25に荷重を付与するものであり、
図8は、鉄板に付与された荷重に対して膨出部25がどれほど圧縮されたかを示すグラフである。
【0121】
図8に示すように、圧縮試験の結果、膨出部25を初期状態(膨出部25に荷重が付与される前の状態)から2mm圧縮するのに必要な荷重が約10N、膨出部25を4mm圧縮するのに必要な荷重が約35N、膨出部25を6mm圧縮するのに必要な荷重が約57N、膨出部25を8mm圧縮するのに必要な荷重が約95N、膨出部25を10mm圧縮するのに必要な荷重が約142Nであった。
【0122】
この試験結果は、膨出部25の1つ当たりに付与される荷重が0以上かつ40N以下である場合には、膨出部25が1mmから5mmの間で比例的に変位(圧縮)し、膨出部25の1つ当たりに付与される荷重が40Nを超えた場合には、膨出部25が3次関数的に変形する特性を有していることを示している。
【0123】
即ち、鉄板に付与される荷重が小さい場合であっても膨出部25を容易に弾性変形させることができる一方、鉄板に付与される荷重が大きくなるにつれて膨出部25が圧縮されにくくなることを示している。
【0124】
これは、鉄板に付与される荷重が小さい場合には、その荷重を主に支持する膨出部25と鉄板との接触部位の外周部分の周長も短いため、小さな荷重で膨出部25を弾性変形させることができたと考えられる。
【0125】
一方、鉄板に付与される荷重が大きくなるにつれて、膨出部25と鉄板との接触部位の外周部分の周長が長くなるため、その外周部分を弾性変形させるためには大きな荷重が必要となり、その結果、膨出部25が過剰に圧縮されることを回避できたと考えられる。
【0126】
さらに、膨出部25は、一方側から他方側へ向かうにつれて膨出部25の径方向に垂直な断面と鉄板とのなす角度が小さくなる。そのため、膨出部25の他方側から一方側へ向けて付与される荷重に対して、膨出部25の他方側に近接した部位ほど小さな荷重で弾性変形させやすくすることができたと考えられる。
【0127】
一方、膨出部25は、他方側から一方側へ向かうにつれて膨出部25の径方向に垂直な断面と鉄板とのなす角度が大きくなる。そのため、膨出部25の他方側から一方側へ向けて付与される荷重に対して、膨出部25の一方側に近接した部位ほど弾性変形させるためには必要な荷重が大きくなり、その結果、膨出部25が過剰に圧縮されることを回避できたと考えられる。
【0128】
以上説明したように、第1防振台20及び第2防振台40によれば、剛板21,41に付与される様々な大きさの荷重に起因して発生する振動や衝撃が床面Fへ伝達されることを膨出部25,45によって低減させることができる。その結果、床面Fからの騒音の発生を低減させることができる。
【0129】
次に、
図9を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態における第2防振台40では、剛板41の下面側が膨出部45の他方側に支持される場合について説明したが、第2実施の形態における第2防振台240では、剛板41が膨出部の一方側に支持される。なお、上記した実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0130】
図9(a)は、第2実施の形態における第2防振台240の側面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のIXb−IXb線における第2防振台240の断面図である。なお、
図9(a)及び
図9(b)には、第2防振台240に棒スタンド214が支持された状態を図示している。
【0131】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、第2防振台240は、棒スタンド214から床面Fへ伝達される振動や衝撃を低減させるための器具であり、剛板41と、その剛板41を床面Fから浮かせた状態で支持する本体部242とを備えている。
【0132】
本体部242は、剛板41を被覆する被覆部243と、その被覆部243に摺動支持する円筒状の筒状部244と、その筒状部244に収容されると共に剛板41及び被覆部243の下方に配設される膨出部245とを備えている。
【0133】
被覆部243は、剛板41の表面全体を被覆しており、被覆部243の上面には円筒状の把持部246が立設されている。
【0134】
把持部246は、棒スタンド214を把持する部位であり、把持部246の外周面が筒状部244の内周面に摺動支持されると共に、把持部246の内周側に棒スタンド214が収容可能に形成されている。
【0135】
よって、第2防振台240に棒スタンド214を設置する際には、棒スタンド214を把持部246に収容することによって、第2防振台240に対する棒スタンド214の位置ずれを防止できるので、棒スタンド214が第2防振台240から滑落することを回避できる。
【0136】
筒状部244は、その下端側を閉塞すると共に膨出部245の他方側を支持する支持部247を備えている。
【0137】
膨出部245は、一方側から他方側へ向かうにつれて先細りとなるドーム状に膨出形成された膜状の部位であり、膨出部245の一方側が被覆部243の下面側に連設されると共に、膨出部245の他方側が支持部247に支持されている。
【0138】
棒スタンド214から剛板41に下方への荷重が付与されると、剛板41と支持部247との間に介設される膨出部245が圧縮される。
【0139】
このとき、棒スタンド214が収容される把持部246及び剛板41を被覆する被覆部243が筒状部244に摺動支持されているので、筒状部244の軸方向(
図9(d)上下方向)、即ち、膨出部245の一方側と他方側とを結ぶ方向に沿った方向への剛板41及び被覆部243の変位を許容しつつ、筒状部244の軸方向に垂直な方向(
図9(d)左右方向および紙面垂直方向)への変位を規制することができる。
【0140】
これにより、剛板41及び棒スタンド14が膨出部245に対して前後左右方向(
図9(d)左右方向および紙面垂直方向)へ変位することを規制できるので、膨出部245に対する剛板41の位置ずれを防止できると共に、剛板41の上に載置された棒スタンド214が滑落することを回避できる。
【0141】
また、剛板41の下面が膨出部245の一方側に支持されると共に、膨出部245を挟んで剛板41に対向して配設される支持部247に膨出部245の他方側が支持されているので、膨出部245を圧縮変形させやすくすることができる。その結果、剛板41から膨出部245へ伝達された振動や衝撃を確実に低減させることができる。
【0142】
また、膨出部245は、一方側から他方側へ向けて先細りするドーム状に形成されているので、演奏時において想定される最大荷重に対して適正に圧縮される程度に硬度60度のEPDMゴムから膨出部245を構成した場合であっても、剛板41から膨出部245に付与された小さな荷重で膨出部245を弾性変形させることができる。よって、小さな荷重に起因して発生する振動および衝撃が剛板41から床面Fへ伝達されることを膨出部245によって低減させることができる。
【0143】
一方、剛板41から膨出部245に対して大きな荷重が付与された場合には、膨出部245が過剰に圧縮されることを回避しやすくして膨出部245を適正に圧縮させることができる。これにより、大きな荷重に起因して発生する振動および衝撃が剛板41から床面Fへ伝達されることを膨出部245によって低減させることができる。
【0144】
このように、膨出部245が一方側から他方側へ向けて先細りとなる中空ドーム状に形成されることによって、様々な大きさの荷重に起因して発生する振動や衝撃を低減させることができるので、振動や衝撃が床面F(
図7(b)参照)へ伝達されることを抑制でき、その結果、床面Fからの騒音の発生を低減させることができる。
【0145】
次に、
図10を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、膨出部25の厚さ寸法が一方側から他方側にかけて一定である場合について説明したが、第3実施の形態では、膨出部325の厚さ寸法が一方側から他方側へ向かうについて漸次大きくなっている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0146】
図10(a)は、第3実施の形態における本体部320の部分拡大下面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のXb−Xb線における本体部320の断面図である。
【0147】
図10(a)及び
図10(b)に示すように、膨出部325は、一方側から他方側(
図10(b)上側から下側)へ向かうにつれて漸次先細りとなるドーム状に形成された膜状の部位であり、膨出部325の一方側が被覆部323に連設されると共に、膨出部325の他方側が床面F(
図1参照)に接地可能に形成されている。
【0148】
また、膨出部325の他方側に面取り加工が施されているので、膨出部325を床面F(
図1参照)に対して安定的に接地させることができる。
【0149】
さらに、膨出部325は、その厚さ寸法が一方側から他方側へ向かうにつれて漸次小さくなっている。これにより、膨出部325の変位特性を任意に調整することができる。
【0150】
次に、
図11を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、膨出部25が一方側から他方側へ向かうにつれて漸次先細りとなるドーム状に形成されているのに対し、第4実施の形態では、膨出部425が一方側から他方側へ向かうにつれて漸次先細りとなる下面視略菱形状に形成されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0151】
図11(a)は、第4実施の形態における本体部420の下面図であり、(b)は、本体部420の部分拡大下面図であり、(c)は、
図11(b)のXIc−XIc線における本体部420の断面図であり、(d)は、
図11(d)のXId−XId線における本体部420の断面図である。なお、
図11(c)及び
図11(d)では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、膨出部425の断面形状を模式的に図示している。
【0152】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、本体部422には、一方側から他方側(
図11(b)上側から下側)へ向かうにつれて漸次先細りとなる膨出部425が被覆部423に一体的に膨出形成されている。
【0153】
膨出部425は、その他方側から視て略菱形状に形成されており、一方の対角線の長さが他方の対角線の長さよりも長く設定されている。また、膨出部425の他方側に面取り加工が施されているので、膨出部425を床面F(
図1参照)に対して安定的に接地させることができる。
【0154】
本体部422には、8個の膨出部425が配設され、被覆部423の長手方向(
図11(a)左右方向)に沿って等間隔に配設された4個の膨出部425が、被覆部423の幅方向(
図11(a)上下方向)における一端部および他端部における周縁部分にそれぞれ並設され、被覆部423の長手方向および幅方向において隣接する膨出部425の一方の対角線が異なる方向へ向くように配設されている。
【0155】
図11(c)及び
図11(d)に示すように、膨出部425は、一方側から他方側へ向けて直線状に形成されており、膨出部425の一方側と他方側とを一方の対角線上に沿って結んだ膨出部425と床面F(
図1参照)とがなす角度は、膨出部425の一方側と他方側とを他方の対角線上に沿って結んだ膨出部425と床面Fとがなす角度よりも小さくなっている。
【0156】
よって、膨出部425の他面側を床面F(
図1参照)に接地させた場合に、一方の対角線に沿った方向の接地領域を、他方の対角線に沿った方向の接地領域よりも広く確保することができる。よって、一方の対角線に沿って荷重が膨出部425に付与された場合には、床面Fに対する膨出部425のグリップ力を向上させることができる。
【0157】
また、本体部420では、被覆部423の長手方向および幅方向において隣接する膨出部425が、その一方の対角線が異なる方向へ向くように配設されているので、床面Fに対する膨出部425の前後左右方向(
図11(a)上下方向および左右方向)へのグリップ力を高めることができる。
【0158】
膨出部425は、その一方側から他方側へ向けて先細りとなっているので、膨出部425に対して下方へ付与される荷重が大きくなるほど、床面Fと膨出部425との接触面積を増加させることができる。
【0159】
よって、膨出部425に付与される荷重が小さい場合には、その荷重を主に支持する膨出部425と床面Fとの接地部位の外周部分の周長も短いため、小さな荷重で膨出部425を弾性変形させることができる。
【0160】
一方、膨出部425に付与される荷重が大きくなるにつれて、膨出部425と床面Fとの接地部位の外周部分の周長が長くなるため、その外周部分を弾性変形させるためには大きな荷重が必要となり、その結果、膨出部425が過剰に圧縮されることを回避できる。
【0161】
従って、小さな荷重で膨出部425を容易に弾性変形させることができるので、小さな荷重に起因して発生する振動および衝撃が床面Fへ伝達されることを膨出部425によって低減させることができる。また、膨出部425に対して大きな荷重が付与された場合には、膨出部425が過剰に圧縮されることを回避しやすくして膨出部425を適正に圧縮させることができる。
【0162】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0163】
例えば、上記各実施の形態では、剛板21,41が所定の剛性を有する鉄板から構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、剛板が鉄板とは異なる金属材料、又は、所定の剛性を有する金属材料以外の板状の部材、例えば、木材や樹脂材料等から構成されていてもよい。
【0164】
なお、剛板を金属材料から構成することによって、剛板の剛性を確保しつつ、剛板の厚さ寸法を小さく設定できるので、剛板の上に載置されるキックペダル2の床面Fからの高さ位置が高くなりすぎることを防止できる。
【0165】
上記第1から第3実施の形態では、膨出部25,45,245,325が一方側から他方側へ向けて先細り状となるドーム状に、第4実施の形態では、膨出部425が一方側から他方側へ向けて先細り状となる上面視略菱形形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、膨出部が少なくとも一方側から他方側へ向けて先細り状に形成されていればよく、膨出部の形状が他の形状、例えば、上面視多角形状、上面視楕円形状に形成されていてもよい。
【0166】
上記各実施の形態では、第1防振台20,320,420の複数の膨出部25,325,425が、被覆部23,323,423の幅方向における一端部および他端部における周縁部分にそれぞれ並設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、膨出部25,325,425を被覆部23,323,423の他の位置、例えば、被覆部23,323,423の幅方向における中央部分に配置してもよい。
【0167】
上記各実施の形態では、第1防振台20,320,420の本体部22,322,422が長手方向における中央部分で幅方向に沿って2つに分断される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本体部が分断されていなくてもよく、本体部が3つ以上に分断されていてもよい。また、本体部を長手方向に沿って2つ以上に分断してもよい。
【0168】
なお、本体部22,322,422を2つ以上に分断することによって、分断された各々の本体部22,322,422を小型化して扱いやすくすることができる。
【0169】
また、本体部22,322,422が2つ以上に分断された場合には、剛板21よりも長手方向または幅方向のいずれか一方における寸法が大きく設定された剛板に対して本体部22,322,422を装着することができる。さらに、本体部22,322,422が同一方向に沿って3つ以上に分断された場合には、その分断された本体部22,322,422の一部を省略することによって、剛板21よりも長手方向または幅方向のいずれか一方における寸法が小さく設定された剛板に対して本体部22,322,422を装着することができる。よって、本体部22,322,422の汎用性を向上させることができる。
【0170】
上記各実施の形態では、第1防振台20,320,420の剛板21が矩形板状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、剛板を他の形状に形成してもよい。例えば、剛板の形状にキックペダル2の基部2aに近似した上面視略台形状に形成することによって、第1防振台の省スペース化を図ることができる。
【0171】
上記第1実施の形態では、第1防振台20の突出部28及び第2防振台40の突出部48a,48bが膨出部25,45の他方側から視て同心円状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、突出部の形状が同心円状以外の形状、例えば、膨出部25,45の他方側から視て放射線状、渦巻き状等に形成されていてもよい。
【0172】
上記第3実施の形態では、膨出部325の厚さ寸法が一方側から他方側へ向かうについて漸次大きくなる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、膨出部325の厚さ寸法を一方側から他方側へ向かうについて漸次小さくしてもよい。これにより、膨出部の変位特性を任意に設定することができる。