特許第6386721号(P6386721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6386721-電気接続箱 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386721
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20180827BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H02G3/16
   B60R16/02 610A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-242667(P2013-242667)
(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-104206(P2015-104206A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】曹 秀東
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−194011(JP,A)
【文献】 特開平10−194059(JP,A)
【文献】 実開平5−67132(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの一方側に電源分配を行うための電子部品が装着され、前記フレームの他方側に径が異なる複数の電線が挿入され、
車体の固定部に固定されると共に、前記他方側が前記一方側よりも前記固定部側に位置付けられる向き、かつ、前記フレームの一側面が底面となる向きで固定される電気接続箱において、
前記複数の電線のうち太物電線が、前記固定部に固定された状態での前記他方側の下側に集約して挿入され、細物電線が前記他方側の上側に集約して挿入される
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記細物電線は導体断面積が0.3〜1.25mm2程度の電線であり、前記太物電線は導体断面積が5〜15mm2程度の電線である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記複数の電線が挿通される電線挿通孔が設けられ、該電線挿通孔が、前記固定部の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されて主に電源分配を行う電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電気接続箱は様々な構造のものがあるが、例えば、図4に示す構造のものがある。図4に示す電気接続箱301は、フレーム302、フレーム302の一方側に取り付けられる第1のカバー303、フレーム302の他方側に取り付けられる第2のカバー304、から成るケース310と、ケース310内に収容される複数の部品と、を備えている。ケース310の側面には、複数の電線(不図示)が挿通される電線挿通孔307が設けられている(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
フレーム302の一方側、すなわち第1のカバー303が取り付けられる側には、リレー、ヒューズ、ヒュージブルリンク等の複数の電子部品が装着される。フレーム302の他方側、すなわち第2のカバー304が取り付けられる側には、径が異なる複数の電線が挿入される。
【0004】
この電気接続箱301は、フレーム302の電子部品が装着される側が電線が挿入される側よりも固定部99から離れた側に位置付けられる向き、かつ、フレーム302の一側面が底面となる向きで、車体における鉛直方向に延びた固定部99に固定される。又、電気接続箱301は、フレーム302に設けられたブラケット322,323が固定部99にボルト締めされることにより、固定部99に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−034320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した向きで固定部99に固定される電気接続箱301は、ケース310の固定部99から離れた先端部分(図4中のG部)にウェイトが集中してしまい、ウェイトバランスが悪いという問題があった。また、このようにウェイトバランスが悪いと、ブラケット322,323に大きな負荷が掛かってしまうという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、ウェイトバランスの偏りを低減して固定部への取付部位に掛かる負荷を軽減することができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、フレームの一方側に電源分配を行うための電子部品が装着され、前記フレームの他方側に径が異なる複数の電線が挿入され、車体の固定部に固定されると共に、前記他方側が前記一方側よりも前記固定部側に位置付けられる向き、かつ、前記フレームの一側面が底面となる向きで固定される電気接続箱において、前記複数の電線のうち太物電線が、前記固定部に固定された状態での前記他方側の下側に集約して挿入され、細物電線が前記他方側の上側に集約して挿入されることを特徴とする電気接続箱である。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記細物電線は導体断面積が0.3〜1.25mm2程度の電線であり、前記太物電線は導体断面積が5〜15mm2程度の電線であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記複数の電線が挿通される電線挿通孔が設けられ、該電線挿通孔が、前記固定部の近傍に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、前記複数の電線のうち太物電線が、前記固定部に固定された状態での前記他方側の下側に集約して挿入され、細物電線が前記他方側の上側に集約して挿入されるので、フレームの一方側にウェイトが集中することを回避でき、電気接続箱全体のウェイトバランスを整えることができる。よって、固定部への取付部位に掛かる負荷を軽減することができる。
【0011】
請求項に記載された発明によれば、前記複数の電線が挿通される電線挿通孔が設けられ、該電線挿通孔が、前記固定部の近傍に設けられているので、フレームの一方側にウェイトが集中することを回避でき、電気接続箱全体のウェイトバランスを整えることができる。よって、固定部への取付部位に掛かる負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる電気接続箱が車体に固定された状態を示す側面図である。
図2図1に示された電気接続箱の断面斜視図である。
図3図1に示されたフレームの他方側を示す斜視図である。
図4】参考例の電気接続箱が車体に固定された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる「電気接続箱」を図1〜3を参照して説明する。図1に示す電気接続箱1は、自動車に搭載されて主に電源分配を行うものであり、車体における鉛直方向に延びた固定部99に固定される。図1中の矢印Yは鉛直下方向を示しており、矢印Yと直交した矢印Z,矢印Xは水平方向を示している。
【0014】
電気接続箱1は、フレーム2、フレーム2の一方側に取り付けられる第1のカバー3、フレーム2の他方側に取り付けられる第2のカバー4、から成るケース10と、ケース10内に収容される複数の部品と、を備えている。フレーム2、第1のカバー3、第2のカバー4は、それぞれ合成樹脂で構成されており、周知の射出成型によって成形されている。
【0015】
フレーム2は、図2,3に示すように、筒状の周壁21と、周壁21の内側に設けられた部品装着部24と、周壁21の外側に設けられた補強部6と、周壁21の外面に連なって設けられ、固定部99に重ねられてボルト締めされるブラケット22,23と、を有している。
【0016】
部品装着部24の一方側24aにはリレー、ヒューズ、ヒュージブルリンク等の複数の電子部品11,12,13が装着され、部品装着部24の他方側24bには径が異なる複数の電線が挿入される(図1〜3においては、電線の図示を省略している。)。
【0017】
補強部6は、周壁21の外側に周壁21と間隔をあけて配置された補強壁61と、補強壁61と周壁21とを連結した複数の補強リブ62と、で構成されている。この補強部6は、フレーム2の複数箇所に設けられている。
【0018】
第1のカバー3は、板部30と該板部30の外縁から立設した周壁31と、を有する箱状に形成されている。第1のカバー3は、フレーム2に取り付けられた状態で、部品装着部24の電子部品11,12,13が装着された一方側24aを覆う。
【0019】
第2のカバー4は、板部40と該板部40の外縁から立設した周壁41と、を有する箱状に形成されている。第2のカバー4は、フレーム2に取り付けられた状態で、部品装着部24の電線が挿入された他方側24bを覆う。
【0020】
ケース10の側面には、複数の電線が挿通される電線挿通孔7が設けられている。電線挿通孔7は、図1に示すように、周壁21に形成された半円状の切り欠き部7aと、周壁41に形成された半円状の切り欠き部7bと、で全体として円状に構成されている。
【0021】
このような電気接続箱1は、図1に示すように、部品装着部24の他方側24bが一方側24aよりも固定部99側に位置付けられる向きかつ周壁21の一側面が底面となる向きで、ブラケット22,23が固定部99にボルト締めされることにより、固定部99に固定される。
【0022】
上記電気接続箱1においては、複数の電子部品11,12,13が集約されたフレーム2の一方側、すなわちケース10の固定部99から離れた先端部分、にウェイトが集中することを回避し、電気接続箱1全体のウェイトバランスを整えて、ブラケット22,23に掛かる負荷を軽減するために、以下の構成を採用している。
【0023】
電気接続箱1においては、部品装着部24の他方側24bに挿入される複数の電線のうち最も太い電線が、固定部99に固定された向きでの他方側24bの下側に挿入される構成となっている。又、「最も太い電線」は、電気接続箱1に複数本用いられている。このように、他の電線よりも重量がある「最も太い電線」を他方側24bの下側に集約することにより、「他方側24bの上側のウェイト」よりも「他方側24bの下側のウェイト」を重くでき、電気接続箱1全体のウェイトバランスを整えることができる。
【0024】
上記「他方側24bの下側」とは、電気接続箱1が固定部99に固定された状態での他方側24bの下半分(図1〜3中のB部)を意味している。上記「他方側24bの上側」とは、電気接続箱1が固定部99に固定された状態での他方側24bの上半分(図1〜3中のA部)を意味している。
【0025】
又、電気接続箱1においては、「他方側24bの上側のウェイト」よりも「他方側24bの下側のウェイト」をより重くするために、一般的に「細物電線」と呼ばれる導体断面積が0.3〜1.25mm2程度の電線を他方側24bの上側に集約し、一般的に「太物電線」と呼ばれる導体断面積が5〜15mm2程度の電線を他方側24bの下側に集約した構成となっている。このようにすることで、電気接続箱1全体のウェイトバランスを整えることができるだけでなく、電線の挿入作業性を向上させることができる。
【0026】
さらに、電気接続箱1においては、上記電線挿通孔7が、ケース10側面の固定部99側の端部(すなわち固定部99の近傍)に設けられている。上記部品装着部24の他方側24bに挿入されて電子部品11,12,13等に接続される複数の電線は、この電線挿通孔7からケース10外に導出される。そして、この電線挿通孔7がケース10側面の固定部99側の端部に設けられていることにより、前記複数の電線の配索経路が固定部99寄りになるので、これら複数の電線の重量によって、ケース10の固定部99から離れた先端部分にウェイトが集中することを回避し、電気接続箱1全体のウェイトバランスを整えることができる。
【0027】
又、上述した実施形態の電気接続箱1は、車体における鉛直方向に延びた固定部99に固定される構成であったが、本発明の電気接続箱は、これに限らず、傾斜した固定部に固定されても良い。
【0028】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 電気接続箱
2 フレーム
7 電線挿通孔
11〜13 電子部品
99 固定部
図1
図2
図3
図4