(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のレンジフードでは、フィルタ及び油受部が着脱可能であり、取り外して洗浄できるように構成されている。しかしながら、フィルタと油受部はそれぞれ別個にレンジフードに取り付けられており、取り外す場合も別個に取り外す必要があった。
【0005】
本発明は、より簡便にフィルタ及び油受部を清浄な状態に維持できるレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、空気を吸引して外部に排出するレンジフード(例えば、後述のレンジフード10)であって、前記レンジフード内の空気の流路上に設けられる回転可能な盤状のフィルタ(例えば、後述のフィルタ2)と、前記フィルタの周縁部に設けられる油受部(例えば、後述の油受部3)とを備え、前記油受部は、前記フィルタとともに回転可能とされることを特徴とするレンジフードを提供する。
【0007】
本発明では、レンジフードを、レンジフード内の空気の流路上に設けられる回転可能な盤状のフィルタと、フィルタの周縁部に設けられる油受部とを含んで構成する。また、油受部を、前記フィルタとともに回転可能に構成する。
【0008】
本発明によれば、油受部がフィルタとともに回転可能に構成される。即ち、油受部とフィルタを一体化できるため、フィルタに油分が付着して油受部に油が多く貯留された場合に、フィルタ及び油受部を一度に取り外すことができる。このため、より簡便にフィルタ及び油受部を清浄な状態に維持できる。
【0009】
前記油受部は、前記フィルタの外周縁から下方に延びる受け面(例えば、後述の外側面31)を備えてなることを特徴とすることが好ましい。
【0010】
この発明では、油受部を、フィルタの外周縁から下方に延びる受け面を含んで構成する。これにより、回転するフィルタに係る遠心力により、フィルタの中心側から外周縁側へ移動する油分を、受け面により受け止めて、効率良く捕集することができる。
【0011】
前記油受部は、前記受け面の下端部から前記フィルタの内周方向に延びる底面(例えば、後述の底面部33)と、該底面の内周端部から上方に延びる内側面(例えば、後述の内側面32)と、を備え、前記内側面の上端から外周方向に延び、前記フィルタとの間に間隔を介して設けられる上面(例えば、後述の返し部34)とを備えたことを特徴とすることが好ましい。
【0012】
この発明では、油受部を、受け面の下端部からフィルタの内周方向に延びる底面と、底面の内周端部から上方に延びる内側面と、を含んで構成する。また、油受部を、内側面の上端から外周方向に延び、フィルタとの間に間隔を介して設けられる上面を含んで構成する。これにより、油受部がフィルタとともに回転しても、油受部の底面側に収容される油分が、油受部の上面により覆われるため、こぼれにくくなる。
【0013】
前記上面の外周端は、さらに内周方向に向かって延びる傾斜面を備えることが好ましい。
【0014】
この発明では、上面の外周端に、さらに内周方向に向かって延びる傾斜面を含んで構成する。これにより、油受部の底面側に収容される油分が、油受部の上面及び傾斜面により覆われるため、さらにこぼれにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より簡便にフィルタ及び油受部を清浄な状態に維持できるレンジフードの油分回収装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係るレンジフード10の概略図である。
図1に示すように、レンジフード10は、集煙口11と、排煙口12と、油分除去装置1と、送風機ユニット5と、フード本体6と、整流板7と、を備える。
【0018】
集煙口11は、レンジフード10の下部に配置される開口部であり、調理の際に排出される油分を含んだ空気をレンジフード10に吸引するものである。
排煙口12は、集煙口11に対向する上部に配置され、ダクト13を介して吸引した空気を外部へ排出する開口部である。集煙口11から排煙口12へ、レンジフード10内には空気の流路が形成されている。
【0019】
送風機ユニット5は、内部にファン50を有し、ファン50を回転させる機構である。ファン50の回転により、空気が吸引されて外部に排出される。
【0020】
フード本体6は、送風機ユニット5の下方に配置される。フード本体6は、開口部61と、駆動源62と、を有する。フード本体6の下方には、集煙口11が配置されている。
開口部61は、フード本体6の上部に形成され、送風機ユニット5と連通する。開口部61は、略円形である。
駆動源62は、開口部61の略中央に配置される。具体的には、駆動源62は、フード本体6から支持される支持部(図示せず)を介して設置されている。
【0021】
整流板7は、フード本体6の下方の集煙口11に配置され、集煙口11から吸引される空気をフード本体6の開口部の方へ導く。
【0022】
油分除去装置1は、レンジフード10内の空気の流路上に設けられている。具体的には油分除去装置1は、フード本体6の開口部61に取り付けられている。油分除去装置1は、使用時には駆動源62により駆動されて回転する。油分除去装置1は、フィルタ2と、油受部3と、を備える。
【0023】
図2は、本実施形態の油分除去装置1の斜視分解図である。
図2に示すように、フィルタ2は、円盤状に形成され、中心から外周側に至る空気を透過する薄い面により構成される。フィルタ2は、外周縁21と、連結部22と、複数の貫通孔23と、取付け孔24と、を有する。
【0024】
外周縁21は、フィルタ2の外周に沿う円形の縁である。外周縁21は、油分除去装置1の外縁の上面部である。
取付け孔24は、フィルタ2の中心に配置される円形の孔である。取付け孔24を介して、油分除去装置1が駆動源62に連結される。
連結部22は、取付け孔24から外周縁21に向かって略十字状に延びる細長い帯状の部分である。連結部22は、渦巻き状に回転する回転方向に沿って緩やかに湾曲している。連結部22と連結部22との間には、連結部22よりも細い幅で構成される格子部221が形成されており、格子部221も連結部22の湾曲に沿って緩やかに湾曲している。
複数の貫通孔23は、格子部221の間に形成される孔である。
【0025】
図3は本実施形態の油分除去装置1の油受部3の部分断面概略図である。
油受部3は、フィルタ2の外周縁21の下方に、フィルタ2と一体に成形され、フィルタ2とともに回転する。油受部3は、受け面としての外側面31と、内側面32と、底面としての底面部33と、上面としての返し部34と、傾斜面35と、窓部36と、油分収容部37と、を有する。
外側面31は、フィルタ2の外周縁21から下方に延び、油受部3の厚さ方向の外壁を構成している。
底面部33は、フィルタ2の外周縁21に対向し、外側面31の下端部から内周方向へ延びる面である。
内側面32は、底面部33の内周端部から上方へ延び、外側面31に対向して配置される壁面である。内側面32は、油受部3の周縁に沿って油受部3の内縁に立設され、外側面31よりも高さが低く形成される。
返し部34は、内側面32の上端を基端として、底面部33と平行に外周方向の外側面31側へ向かって延びる。返し部34は、フィルタ2の下面との間に間隔を介して設けられている。返し部34の外側の端部である外周端34aは、外側面31よりも内周側に位置しており、油受部3の上方から底面部33へ連通する通路38が形成されている。
傾斜面35は、返し部34の外周端34aから内周方向に向かって傾斜し、フィルタ2における外周縁21の裏面に接合される面である。
窓部36は、傾斜面35に形成される貫通孔である。窓部36は、傾斜面35の周面に沿って、所定間隔を開けて複数配置されている。
油分収容部37は、外側面31と、内側面32と、底面部33と、返し部34と、により構成される。油分収容部37は、返し部34の外周端34aから上方に向かって連通している通路38を開口とする容器状に構成されている。油分収容部37は、油分を収容する溝である。
【0026】
以上の油分除去装置1は、使い捨てカートリッジ式に構成される。使い捨て可能な素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂を用いてよい。
【0027】
次に、油分除去装置1を備えるレンジフード10の使用の状態について説明する。
図1に戻って、調理等により排出される油分を含んだ空気は、温度が高いため上方へ移動する。この油分を含んだ空気は、ファン50の回転により吸引され、整流板7の外側からフード本体6の内部へ流通し、フード本体6の開口部61を介して上方へ流通する。
【0028】
フード本体6の開口部61には、駆動源62が配置されている。この駆動源62により駆動されて、油分除去装置1が空気の吸引方向を回転軸として回転する。
フィルタ2は、連結部22及び格子部221と、貫通孔23とを有している。このため、油分を含んだ空気がフィルタ2を通過する際に、油分は連結部22及び格子部221に衝突して、遠心力によりフィルタ2の外周縁21側へ移動する。このように、フィルタ2は、吸引した空気から油分を分離し、油分が除去された空気は、貫通孔23を通過してファン50に吸引される。
【0029】
図3の矢印に示されるように、フィルタ2の回転による遠心力で滴下される油分は、油分除去装置1の外側へ移動して、外周縁21の下方に配置されている油受部3に捕集される。具体的には、油分は、フィルタ2の連結部22及び格子部221の下面を伝い、外周縁21の下方に形成されている傾斜面35の窓部36を通過して、外側面31につき当たる。外側面31に当たった油分は、外側面31を下方へ移動して油分収容部37に収容される。油分収容部37は、内側面32及び底面部33に対して蓋をするように配置されている返し部34を有する。また、油分収容部37の上方には、返し部34の外周端34aから外周縁21の裏面へ連続する傾斜面35が形成されている。このため、油分除去装置1が回転していても、収容される油分が溢れたりこぼれることが防止される。
【0030】
台所等で排出される油分を含んだ空気から油分を分離して空気を排気していくと、油分除去装置1に油分が付着し、油分収容部37に油分が貯留する。そこで、使用後の油分除去装置1をレンジフード10から取り外して廃棄する。油分除去装置1は、使い捨て可能な素材で構成されているため、新たな油分除去装置1と交換される。
【0031】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、レンジフード10を、レンジフード10内の空気の流路上に設けられる回転可能な盤状のフィルタ2と、フィルタ2の周縁部に設けられる油受部3とを含んで構成した。また、油受部3をフィルタ2とともに回転可能に構成した。
【0032】
本実施形態によれば、油受部3をフィルタ2とともに回転可能に構成した。即ち、油受部3とフィルタ2を一体化できるため、フィルタ2に油分が付着して油受部3に油が多く貯留された場合に、フィルタ2及び油受部3を一度に取り外すことができる。このため、より簡便にフィルタ2及び油受部3を清浄な状態に維持できる。
【0033】
また本実施形態では、油受部3を、フィルタ2の外周縁21から下方に延びる外側面31を含んで構成した。これにより、回転するフィルタ2に係る遠心力により、フィルタ2の中心側から外周縁側へ移動する油分を、外側面31により受け止めて、効率良く捕集することができる。
【0034】
また本実施形態では、油受部3を、外側面31の下端部からフィルタ2の内周方向に延びる底面部33と、底面部の内周端部から上方に延びる内側面32と、を含んで構成した。また、油受部3を、内側面32の上端から外周方向に延び、フィルタ2との間に間隔を介して設けられる返し部34を含んで構成した。これにより、油受部3がフィルタ2とともに回転しても、油受部3の底面部33側に収容される油分が、油受部3の返し部34により覆われるため、こぼれにくくなる。
【0035】
本実施形態では、返し部34の外周端34aに、さらに内周方向に向かって延びる傾斜面35を含んで構成した。これにより、油受部3の底面部33側に収容される油分が、油受部3の返し部34及び傾斜面35により覆われるため、さらにこぼれにくくなる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する部分は、その説明を省略又は簡略化する。特に説明されない構成は、第1実施形態と同様である。また、図面において第1実施形態と共通するものにおいては第1実施形態と共通する符号を用いる。
【0037】
図4は、第2実施形態の油分除去装置1Aの部分断面概略図である。
図4に示すように、第2実施形態では、油受部3Aが、傾斜面35及び窓部36を有さない点で第1実施形態と異なる。
返し部34の外周端34aは、自由端となっている。このため、フィルタ2の内周側から外側面31の内面までの間に連通する上部空間39が形成される。また、この上部空間39と油分収容部37とが、通路38を介して連通している。
【0038】
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果が奏されるとともに、傾斜面35及び窓部36を有さないため、製造が簡易になる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
第1実施形態では、油受部3が第2実施形態では傾斜面35及び窓部36を有し、第2実施形態では、油受部3Aが傾斜面35及び窓部36を有していないが、これに限られない。例えば、油受部は、返し部を有さず、油分収容部が外側面と、内側面と、底面部により構成されてもよい。この構成によれば、製造がさらに簡易になる。