特許第6386746号(P6386746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386746
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20180827BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H01L25/04 C
   H01L23/48 P
   H01L23/12 N
   H01L23/12 B
   H01L23/30 B
   H01L25/00 B
   H01L23/36 D
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-35891(P2014-35891)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-162516(P2015-162516A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社ジェイデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 武
(72)【発明者】
【氏名】細山田 澄和
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 欣一
(72)【発明者】
【氏名】近井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】松原 寛明
(72)【発明者】
【氏名】作元 祥太朗
【審査官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−190556(JP,A)
【文献】 特開2009−117469(JP,A)
【文献】 特開昭60−178655(JP,A)
【文献】 特開2004−014870(JP,A)
【文献】 特開2008−171963(JP,A)
【文献】 特開2003−086737(JP,A)
【文献】 特開平06−097309(JP,A)
【文献】 特開2001−291823(JP,A)
【文献】 特開2009−302526(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/011210(WO,A1)
【文献】 特開昭63−114152(JP,A)
【文献】 特開2001−068606(JP,A)
【文献】 特開2002−222890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H01L 23/12
H01L 23/29
H01L 23/31
H01L 23/36
H01L 23/48
H01L 25/00
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
前記リードフレーム上に配置された回路基板と、
スイッチング素子を有し、前記回路基板にバンプを介して実装されたパワーデバイスと、
前記パワーデバイスに接続された放熱部材と、
を有し、
前記放熱部材は、前記リードフレームに接続され、
前記リードフレームの前記回路基板が配置された側とは反対側は外部に露出されており、
前記パワーデバイス及び前記放熱部材は、前記パワーデバイスと前記放熱部材との間で電気的に接続され、
前記放熱部材及び前記リードフレームは、前記放熱部材と前記リードフレームとの間で電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記リードフレーム及び前記回路基板は、前記リードフレームと前記回路基板との間で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記パワーデバイスのソース端子は、前記リードフレームを介して、外部機器に接続される外部ソース端子に接続され、
前記パワーデバイスのドレイン端子及びゲート端子の各々は、前記回路基板に設けられた配線を介して、外部機器に接続される外部ドレイン端子及び外部ゲート端子に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記回路基板は、多層配線基板であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記回路基板は、容量素子、抵抗素子、インダクタ素子、ダイオード素子、及びスイッチング素子を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記回路基板は、入力された入力信号に対して、前記入力信号とは異なる出力信号を出力する回路を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記リードフレーム、前記回路基板、前記パワーデバイス、及び前記放熱部材を覆う封止樹脂をさらに有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記放熱部材の一部を露出するように、前記リードフレーム、前記回路基板、前記パワーデバイス、及び前記放熱部材を覆う封止樹脂をさらに有し、
前記放熱部材の前記一部の露出された表面と前記封止樹脂の表面とは、同一面であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記放熱部材の一部を露出するように、前記リードフレーム、前記回路基板、前記パワーデバイス、及び前記放熱部材を覆う封止樹脂をさらに有し、
前記放熱部材の前記一部の表面及び側面は、露出されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記放熱部材の前記一部の表面は、凹凸形状を有することを特徴とする請求項又はに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記放熱部材の前記一部に、流路が設けられていることを特徴とする請求項又はに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記封止樹脂は、第1樹脂と第2樹脂とを含み、
前記第1樹脂は、前記回路基板と前記パワーデバイスとの間に配置され、
前記第2樹脂は、前記第1樹脂を覆うように配置されることを特徴とする請求項乃至11のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1樹脂の熱膨張係数は、前記第2樹脂の熱膨張係数に比べて前記バンプの熱膨張係数に近いことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1樹脂の熱伝導率は、前記第2樹脂の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記放熱部材は、前記パワーデバイスを基準として異なる方向に延びており、前記異なる方向において前記リードフレームに接続されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記放熱部材は、少なくとも前記回路基板の各々の回路を覆うことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーデバイスの実装技術に関する。特に、パワーデバイスで発生した熱を放出するための放熱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の高性能化を実現するために、自動車用エレクトロニクスを支える半導体デバイスの一つに「パワーデバイス」が使用されている。このパワーデバイスは、自動車用エレクトロニクスの電力を制御し、例えば、ABS(Antilock Brake System)等の油圧バルブ制御、パワーウインドウ等のモータ制御、バッテリや駆動モータの直流電圧を交流に変換するインバータなど、多くの部品に使用されている。
【0003】
現在、シリコン(Si)半導体を用いたパワーデバイスが主流であるが、ハイブリッド車や電気自動車の発展に伴い、例えば、シリコンカーバイト(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などに代表されるような、より電力損失が小さく、高温・高電圧で動作可能な次世代のパワーデバイスが要求されてきている(例えば、引用文献1)。しかし、上記の次世代のパワーデバイスは、スイッチング時の動作周波数が従来よりも高い。そのため、従来のようなワイヤボンディングによる実装では、ワイヤボンディング部におけるインダクタンス成分に起因した電気的ノイズが発生することが問題となる。最悪の場合、この電気的ノイズによってパワーデバイス自体が破壊されてしまう。
【0004】
また、特に自動車エレクトロニクス用のパワーデバイスは、使用環境によっては非常に高温になり得るエンジンルームの中で使用されることが多い。また、パワーデバイス自体も駆動時に自己発熱するため、非常に高温になる。その結果、パワーデバイスの温度は200℃乃至250℃まで上昇してしまうことが想定される。パワーデバイスが高温になると、スイッチング特性に影響を及ぼすだけでなく、パワーデバイスを構成する樹脂材料を変形させてしまう。したがって、次世代のパワーデバイスは、高い放熱特性が要求される。また、エンジンルームなどの限定された空間で使用されるため、パワーデバイスの縮小化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2004−340918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高出力のパワーデバイスにおいて、高い放熱特性が得られる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、リードフレームと、リードフレーム上に配置された回路基板と、スイッチング素子を有し、回路基板にバンプを介して実装されたパワーデバイスと、パワーデバイスに接続された金属の放熱部材と、を有する。
【0008】
また、回路基板は、多層配線基板であってもよい。
【0009】
また、回路基板は、容量素子、抵抗素子、インダクタ素子、ダイオード素子、及びスイッチング素子を有してもよい。
【0010】
また、回路基板は、入力された入力信号に対して、入力信号とは異なる出力信号を出力する回路を有してもよい。
【0011】
また、放熱部材は、リードフレームに接続されてもよい。
【0012】
また、リードフレーム、回路基板、パワーデバイス、及び放熱部材を覆う封止樹脂をさらに有してもよい。
【0013】
また、放熱部材の一部を露出するように、リードフレーム、回路基板、パワーデバイス、及び放熱部材を覆う封止樹脂をさらに有し、放熱部材の一部の露出された表面と封止樹脂の表面とは、同一面であってもよい。
【0014】
また、放熱部材の一部を露出するように、リードフレーム、回路基板、パワーデバイス、及び放熱部材を覆う封止樹脂をさらに有し、放熱部材の一部の表面及び側面は、露出されてもよい。
【0015】
また、放熱部材の一部の表面は、凹凸形状を有してもよい。
【0016】
また、放熱部材の一部に、流路が設けられてもよい。
【0017】
また、封止樹脂は、第1樹脂と第2樹脂とを含み、第1樹脂は、回路基板とパワーデバイスとの間に配置され、第2樹脂は、第1樹脂を覆うように配置されてもよい。
【0018】
また、第1樹脂の熱膨張係数は、第2樹脂の熱膨張係数に比べてバンプの熱膨張係数に近くてもよい。
【0019】
また、第1樹脂の熱伝導率は、第2樹脂の熱伝導率に比べて大きくてもよい。
【0020】
また、放熱部材は、パワーデバイスを基準として異なる方向に延びており、異なる方向においてリードフレームに接続されてもよい。
【0021】
また、放熱部材は、少なくとも回路基板の各々の回路を覆ってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る半導体装置によると、高出力のパワーデバイスにおいて、高い放熱特性が得られる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係る半導体装置の概略平面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る半導体装置のA−B断面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る半導体装置のパワーデバイスに含まれる横型スイッチング素子の一例の断面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る半導体装置のパワーデバイスに含まれる縦型スイッチング素子の一例の断面図である。
図5】本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置のA−B断面図である。
図6】本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、リードフレーム上に回路基板を実装する工程を示す断面図である。
図7】本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、回路基板上にパワーデバイスをフリップチップ法で実装する工程を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、回路基板とパワーデバイスとの間にアンダーフィル樹脂を形成する工程を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、パワーデバイスとリードフレームとを接続する金属クリップを形成する工程を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、封止樹脂を形成する工程を示す断面図である。
図11】本発明の実施形態2に係る半導体装置のA−B断面図である。
図12】本発明の実施形態2に係る半導体装置の製造方法において、封止樹脂の成型金型及びリリースフィルムを準備する工程を示す断面図である。
図13】本発明の実施形態2に係る半導体装置の製造方法において、封止樹脂を成型金型に充填する工程を示す断面図である。
図14】本発明の実施形態2に係る半導体装置の製造方法において、リリースフィルムを剥離する工程を示す断面図である。
図15】本発明の実施形態3に係る半導体装置のA−B断面図である。
図16】本発明の実施形態3の変形例1に係る半導体装置のA−B断面図である。
図17】本発明の実施形態3の変形例2に係る半導体装置のA−B断面図である。
図18】本発明の実施形態3の変形例3に係る半導体装置のA−B断面図である。
図19】本発明の実施形態3の変形例4に係る半導体装置のA−B断面図である。
図20】本発明の実施形態4に係る半導体装置の概略平面図である。
図21】本発明の実施形態4に係る半導体装置のC−D断面図である。
図22】本発明の実施形態4の変形例1に係る半導体装置の概略平面図である。
図23】本発明の実施形態4の変形例2に係る半導体装置の概略平面図である。
図24】本発明の実施形態5に係る半導体装置の概略平面図である。
図25】本発明の実施形態5に係る半導体装置のE−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係る半導体装置について説明する。但し、本発明の半導体装置は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
〈実施形態1〉
本発明の実施形態1に係る半導体装置の概要について、図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る半導体装置の概略平面図である。また、図2は、本発明の実施形態1に係る半導体装置のA−B断面図である。
【0026】
図1によると、半導体装置100は、リードフレーム110、リードフレーム110上に配置された回路基板120、スイッチング素子を有し、回路基板120にバンプを介して実装されたパワーデバイス130、パワーデバイス130に接続された金属の放熱部材140、集積受動素子(IPD:Integrated Passive Device)160、及び周辺IC(Integrated Circuit)165を有する。
【0027】
パワーデバイス130は、スイッチング素子として3端子の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を有する。FETの3つの端子はそれぞれソース端子、ドレイン端子、ゲート端子と呼ばれる。FETは、ソース端子に接続されたソース電極とドレイン端子に接続されたドレイン電極との間に電圧が印加された状態で、ゲート端子に接続されたゲート電極に電圧が印加されると、ソース電極とドレイン電極との間にチャネルが形成されて電流を流す。ここで、FETのソース端子は回路基板120の配線及びリードフレーム110を介して外部ソース端子112に接続される。FETのドレイン端子は回路基板120の配線を介して回路基板120上に配置されたドレイン端子用パッド122に接続され、ドレイン端子用パッド122はワイヤ123を介して外部ドレイン端子114に接続される。FETのゲート端子は回路基板120の配線を介して回路基板120上に配置されたゲート端子用パッド124に接続され、ゲート端子用パッド124はワイヤ125を介して外部ゲート端子116に接続される。
【0028】
リードフレーム110は、高い導電性を有し、高い放熱特性を有する材料を使用してもよい。例えば、無酸素Cu材(C1020)等を使用してもよい。
【0029】
回路基板120は、少なくとも外部ソース端子112、外部ドレイン端子114、及び外部ゲート端子116から供給された電圧をパワーデバイス130のFETのソース端子、ドレイン端子、ゲート端子に伝達するための回路を有し、多層配線基板であってもよい。また、回路基板120としては、有機プリント配線(PWB:Printed Wiring Board)基板、銅回路が接合されたセラミック配線(DCB:Direct Copper Bond)基板、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等のメタルベース配線基板、及びチップコンデンサー・チップ抵抗などを基板内に埋め込んだ部品内臓基板などを用いることができる。回路基板120は、単に配線で構成された回路基板であってもよく、また、容量素子、抵抗素子、インダクタ素子、ダイオード素子、及びスイッチング素子を有し、入力された入力信号に対して、入力信号とは異なる出力信号を出力する機能的な回路基板であってもよい。
【0030】
パワーデバイス130は、数百ボルトから数千ボルトの大きな電力を制御可能な半導体装置である。また、温度によってスイッチング特性が変動しにくい半導体装置であってもよい。例えば、自動車や家電製品等に搭載されるパワーデバイスとしては、シリコン(Si)基板、シリコンカーバイト(SiC)基板、及びガリウムナイトライド(GaN)基板を用いたスイッチング素子を用いることができる。ここで、スイッチング素子としては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、トライアック、サイリスタ、ダイオード、及びHEMT(High Electron Mobility Transistor)等を使用することができる。
【0031】
放熱部材140は、熱伝導率が高い金属材料を使用することができ、例えば銅板などを使用することができる。銅板を使用した放熱部材を金属クリップ、又は銅クリップと呼ぶことがある。また、導電性が銅よりも高いグラファイトを使用したグラファイトシートなどを使用することができる。ここで、グラファイトとは、六角形に並び網目状の面構造をした炭素原子が、層状に集まった結晶のことである。そのグラファイトをシート状に加工したものがグラファイトシートである。グラファイトシートは面方向の熱伝導率が銅の約4倍あり、高性能な放熱部材である。
【0032】
IPD160は、容量素子、抵抗素子、インダクタ素子、ダイオード素子、及びスイッチング素子が集積された回路基板である。また、外部の無線装置と無線通信するために、アンテナを有していてもよい。IPD160は、図1のように回路基板120上に別個に配置されていてもよく、また、上記のように部品内臓基板に内蔵されていてもよい。また、周辺IC165は、パワーデバイス130を制御するLSIであり、パワーデバイス130に含まれるスイッチング素子のON/OFFを制御する。
【0033】
図2によると、リードフレーム110と回路基板120とは、導電性接着部材118を介して接続されている。回路基板120とパワーデバイス130とは、導電性のバンプ128を介して接続されている。パワーデバイス130はフェイスダウン方式で回路基板120に接続される、いわゆるフリップチップ法でボンディングされる。パワーデバイス130と放熱部材140、及びリードフレーム110と放熱部材140はそれぞれ高熱伝導接着部材138、139を介して接続されている。上記のように、リードフレーム110、回路基板120、パワーデバイス130、及び放熱部材140はそれぞれ接着部材やバンプを介して接続されているが、単にそれぞれの要素が接続されている、ということもある。例えば、リードフレーム110と放熱部材140とが接続されている、ということもある。
【0034】
導電性接着部材118としては、はんだや焼結銀(Ag)などを使用することができる。バンプ128としては、銅、銀、金、及びはんだなどを使用することができる。高熱伝導接着部材138、139としては、導電性接着部材としてはんだなどを使用することができ、また、絶縁性接着部材としてアルミナ等に代表される絶縁性のセラミックフィラーが配合された有機材料接着部材などを使用することができる。ここで、高熱伝導接着部材138、139は熱伝導率が高いことが要求されるが、導電性に関しては、パワーデバイス130のスイッチング素子の種類によって要求される場合と要求されない場合がある。詳細は後述するが、例えばスイッチング素子として縦型トランジスタが使用された場合、つまり、パワーデバイス130が基板の裏面(図2のD1方向の面)で導通を取る必要がある場合は、高熱伝導接着部材138、139ははんだなどの導電性材料を使用する必要がある。
【0035】
また、リードフレーム110、回路基板120、パワーデバイス130、及び放熱部材140を覆うように封止樹脂150が配置されている。封止樹脂150は上記の各要素を固定し、外部からの水分や不純物の混入を防止し、また、外部からの衝撃を緩和させて上記の各要素を保護する。封止樹脂150としては、エポキシ樹脂、シネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを使用することができる。
【0036】
次に、図3及び4を用いて、パワーデバイス130のスイッチング素子について説明する。図3は、本発明の実施形態1に係る半導体装置のパワーデバイスに含まれる横型スイッチング素子の一例の断面図である。また、図4は、本発明の実施形態1に係る半導体装置のパワーデバイスに含まれる縦型スイッチング素子の一例の断面図である。
【0037】
図3の横型スイッチング素子200は、プレーナ型トランジスタとも呼ばれ、例えばSi基板MOSFET、GaN基板MOSFET、GaN基板HEMTなどが挙げられる。横型スイッチング素子200の簡易的な構造は、図3に示すように、半導体基板210、ソース電極220、ドレイン電極230、ゲート絶縁膜240、及びゲート電極250を有する。半導体基板210とゲート電極250とはゲート絶縁膜240で絶縁されている。
【0038】
横型スイッチング素子は、ゲート電極250に電圧を印加することで、その電界によって半導体基板210のゲート絶縁膜240付近に電子が集まってチャネルを形成し、スイッチング素子がON状態となる。この状態でソース電極220−ドレイン電極230間に電圧を印加すると、その電界に従って電子が横方向に移動することで電流が流れる。このように、横型スイッチング素子では、ソース電極220、ドレイン電極230、及びゲート電極250は、それぞれ基板のD1の逆方向(表面方向)において、ソース端子221、ドレイン端子231、及びゲート端子251に接続される。つまり、トランジスタを駆動するための3つの端子は全て基板表面側に配置される。
【0039】
図4の縦型スイッチング素子300は、例えばSiC基板MOSFETなどが挙げられる。縦型スイッチング素子300の簡易的な構造は、図4に示すように、N型エピタキシャル成長層310、P型注入層320、N型注入層(ソース電極という場合もある)325、N型SiC基板(ドレイン電極という場合もある)330、ゲート絶縁膜340、及びゲート電極350を有する。半導体基板310とゲート電極350とはゲート絶縁膜340で絶縁されている。また、N型注入層325とP型注入層320との界面はpn接合が形成されている。
【0040】
縦型スイッチング素子では、N型注入層325とP型注入層320との界面にpn接合が形成されているため、ゲート電極350に電圧が印加されていない状態では、N型注入層325からP型注入層320には電流が流れない。一方、ゲート電極350に電圧が印加されると、pn接合のエネルギー障壁が低くなり、N型注入層325からP型注入層320に電流が流れる状態(スイッチング素子がON状態)となる。この状態でN型注入層325−N型SiC基板330間に電圧を印加すると、その電界に従って電子が縦方向に移動することで電流が流れる。このように、縦型スイッチング素子では、ソース電極325及びゲート電極350は、それぞれ基板のD1の逆方向(表面方向)において、ソース端子321及びゲート端子351に接続される。また、ドレイン電極330は基板のD1方向(裏面方向)において、ドレイン端子331に接続される。つまり、トランジスタを駆動するための3つの端子は、基板の表裏面側にそれぞれ配置される。
【0041】
上記のように、実施形態1に係る半導体装置によると、パワーデバイス130の裏面とリードフレーム110とが放熱部材140を介して接続されているため、パワーデバイス130に含まれるスイッチング素子の駆動によって発生した熱が、放熱部材140を介して効率よくリードフレーム110に伝達される。したがって、高出力のパワーデバイスにおいて、高い放熱特性が得られる。また、パワーデバイス130がフリップチップ法でバンプ128を介して回路基板120に接続されているため、ワイヤボンディングに比べて接続部におけるインダクタ成分を小さくすることができる。したがって、接続部に起因した電気ノイズを抑制することができる。また、リードフレーム110上に回路基板120を介してパワーデバイス130を搭載することで、半導体装置に必要な機能を有する部品を積層することができる。したがって、半導体装置を小型化することができる。
【0042】
〈実施形態1の変形例〉
本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置について、図5乃至10を参照しながら詳細に説明する。まずは、図5を用いて、実施形態1の変形例に係る半導体装置の構造について説明する。次に、図6乃至10を用いて、実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法について説明する。なお、実施形態1の変形例に係る半導体装置100の平面図は図1と同様であるので、図1を参照して説明する。
【0043】
図5は、本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置のA−B断面図である。図5は、図2に類似しているが、回路基板120とパワーデバイス130との間に第1樹脂170が配置され、第1樹脂170を覆うように第2樹脂180が配置されている点において、図2と相違する。第1樹脂170は、回路基板120とパワーデバイス130とを固定するための樹脂であり、アンダーフィル樹脂とも呼ばれる。また、第2樹脂180は、図2における封止樹脂150と同じ材料が使用される。
【0044】
ここで、第1樹脂170の熱膨張係数は、第2樹脂180の熱膨張係数に比べてバンプ128の熱膨張係数に近くてもよい。また、第1樹脂170の熱伝導率は、第2樹脂180の熱伝導率に比べて大きくてもよい。第1樹脂170としては、図2の封止樹脂150と同じように、エポキシ樹脂、シネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを使用することができる。また、これらの樹脂材料に不純物を混入させて、上記のような熱膨張係数又は熱伝導率を得るように調整された樹脂材料を使用してもよい。例えば、シリカフィラーが配合されたエポキシ樹脂を使用することができる。
【0045】
上記のように、実施形態1の変形例に係る半導体装置によると、バンプ128を介して接続された回路基板120とパワーデバイス130との間に第1樹脂170を配置することで、回路基板120とパワーデバイス130との接合強度をより向上させることができる。したがって、半導体装置100の機械的強度が向上する。ここで、例えば図2に示す構造において、バンプ128の熱膨張係数と封止樹脂150の熱膨張係数との差が大きいと、熱伸縮によって発生する応力でバンプ128が回路基板120又はパワーデバイス130から剥離され、回路基板120とパワーデバイス130との電気的接続が切断されてしまう場合がある。
【0046】
しかし、第1樹脂170が、第2樹脂180よりもバンプ128に近い熱膨張係数を有することで、熱伸縮によって発生する第2樹脂180とバンプ128との間の応力が緩和される。したがって、バンプ128が回路基板120又はパワーデバイス130から剥離されることを抑制することができる。また、第1樹脂170の熱伝導率が第2樹脂180の熱伝導率に比べて大きいことで、パワーデバイス130で発生した熱は、回路基板120を介してリードフレーム110に伝達されやすくなる。したがって、高出力のパワーデバイスにおいて、高い放熱特性が得られる。
【0047】
次に、図5に示した半導体装置の製造方法を断面図を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、リードフレーム上に回路基板を実装する工程を示す断面図である。まず、リードフレーム110上に溶融したはんだを滴下し、固化する前に回路基板120を装着する。このとき、回路基板120の外部端子とはんだが接触するようにアライメントをとって装着する。また、はんだ以外の方法として、ナノサイズの銀の粒子が分散された溶剤を塗布し、回路基板120を装着した後に熱処理を行うことで固化させてもよい(焼結)。
【0048】
図7は、本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、回路基板上にパワーデバイスをフリップチップ法で実装する工程を示す断面図である。図7では、パワーデバイス130の表面に配置された入力部(図示せず)に対応してバンプ128が形成され、パワーデバイス130がフェイスダウン、つまりパワーデバイス130の表面が回路基板120の表面と対向するように、回路基板120に装着される。このとき、パワーデバイス130は、回路基板120の出力部とバンプ128とが接触するようにアライメントをとって回路基板120に装着される。また、上記の方法とは異なり、回路基板120の表面にバンプ128を形成してから、回路基板120にパワーデバイス130を装着してもよい。
【0049】
図8は、本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、回路基板とパワーデバイスとの間にアンダーフィル樹脂を形成する工程を示す断面図である。図8では、バンプ128を介して接続された回路基板120とパワーデバイス130との間にアンダーフィル樹脂として第1樹脂170が形成される。第1樹脂170は、回路基板120とパワーデバイス130との間に間隙が形成されないように、一方向から注入されてもよい。具体的には、図7に示す回路基板120及びパワーデバイス130が搭載されたリードフレーム110が加熱された状態で、パワーデバイス130の端部付近の回路基板120上に第1樹脂170が滴下される。滴下された第1樹脂170は、毛細管現象によって回路基板120とパワーデバイス130との間に広がる。このとき、回路基板120の表面が加熱されていることで、第1樹脂170の粘度が低下し、よりスムーズに回路基板120とパワーデバイス130との間に第1樹脂170を広がらせることができる。
【0050】
また、図7及び8では、バンプ128を介して回路基板120とパワーデバイス130とを実装し、その後に第1樹脂170を形成するプロセスについて例示したが、このプロセスに限定されず、回路基板120上に第1樹脂170を塗布し、その後にバンプ128が形成されたパワーデバイス130を加熱熱圧着方式により実装してもよい。また、回路基板120上にバンプ128を形成してから第1樹脂170を塗布し、これらに対してパワーデバイス130を加熱熱圧着方式により実装させてもよい。
【0051】
図9は、本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、パワーデバイスとリードフレームとを接続する金属クリップを形成する工程を示す断面図である。図9では、パワーデバイス130の裏面及びリードフレーム110上に高熱伝導接着部材138、139としてはんだを滴下し、固化する前に放熱部材140を装着する。
【0052】
図10は、本発明の実施形態1の変形例に係る半導体装置の製造方法において、封止樹脂を形成する工程を示す断面図である。図10では、回路基板120、パワーデバイス130、及び放熱部材140が形成されたリードフレーム110を成型金型181内に設置し、成型金型181内に樹脂材料を流し込むことで第2樹脂180を形成する。図10では、成型金型181を使用して第2樹脂180を形成したプロセスを例示したが、このプロセスに限定されず、例えば成型金型を使用せずに1回又は複数回の塗布法によって第2樹脂180を形成してもよい。
【0053】
上記のように、実施形態1の変形例の製造方法によると、放熱部材140を形成する前に、回路基板120とパワーデバイス130との間に第1樹脂170を形成することで、放熱部材140の実装工程時に回路基板120とパワーデバイス130とがずれることを抑制することができる。したがって、より安定したプロセスを供給することができ、アライメントずれによる導通不良などのない信頼性が高い半導体装置を得ることができる。
【0054】
〈実施形態2〉
本発明の実施形態2に係る半導体装置100の概要について、図11乃至14を参照しながら詳細に説明する。まずは、図11を用いて、実施形態2に係る半導体装置の構造について説明する。次に、図12乃至14を用いて、実施形態2に係る半導体装置の製造方法について説明する。なお、実施形態2に係る半導体装置100の平面図は図1と同様であるので、図1を参照して説明する。
【0055】
図11は、本発明の実施形態2に係る半導体装置のA−B断面図である。図11は、図5と類似しているが、放熱部材140の一部の表面141が第2樹脂180から露出されている点において、図5とは相違する。つまり、第2樹脂180は、放熱部材140の一部を露出するように、リードフレーム110、回路基板120、パワーデバイス130、及び放熱部材140を覆っている。ここで、露出された放熱部材140の一部の表面141と第2樹脂180の表面とは、同一面であってもよい。
【0056】
上記のように、実施形態2に係る半導体装置によると、放熱部材140の一部が露出されていることで、パワーデバイス130で発生した熱は放熱部材140の露出した一部から外部に放出される。したがって、高出力のパワーデバイスにおいて、高い放熱特性が得られる。特に、パワーデバイスを含む半導体装置の実際の使用において、半導体装置100のD1方向に冷却機構を設けることがある。そのような場合には、放熱部材140の露出した一部と冷却機構との距離を近づけることができるため、より高い放熱特性を得ることができる。また、半導体装置100のD1方向の面に冷却機構を接触させる場合、露出された放熱部材140の一部の表面141と第2樹脂180の表面とが同一面であることで、冷却機構の不安定な接触(がたつき)を抑制することができ、半導体装置100と外部装置の冷却機構との接触を安定させることができる。
【0057】
次に、図11に示した半導体装置の製造方法を断面図を用いて説明する。図12は、本発明の実施形態2に係る半導体装置の製造方法において、封止樹脂の成型金型及びリリースフィルムを準備する工程を示す断面図である。図12では、回路基板120、パワーデバイス130、及び放熱部材140が形成されたリードフレーム110を、開口部183が設けられた成型金型182内に設置する。また、成型金型182の上部には、放熱部材140の一部の表面141と接するようにリリースフィルム184を設置する。ここで、第2樹脂180が接着を抑制するように、リリースフィルム184の表面(第2樹脂180と接する面)に有機被膜をコーティングしてもよい。コーティングする有機被膜としては、テフロン(登録商標)樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を使用することができる。
【0058】
図13は、本発明の実施形態2に係る半導体装置の製造方法において、封止樹脂を成型金型に充填する工程を示す断面図である。図13では、開口部183を介して成型金型182内に樹脂材料を流し込むことで、第2樹脂180を形成する。このとき、空気が閉じ込められて気泡等が発生しないように、成型金型182及びリリースフィルム184の一方又は両方に通気口が設けられていてもよい。通気口は開口部183の逆側に設けられてもよい。また、放熱部材140の一部の表面141に第2樹脂180が形成されないように、放熱部材140の一部の表面141がリリースフィルム184と接着されていてもよい。
【0059】
図14は、本発明の実施形態2に係る半導体装置の製造方法において、リリースフィルムを剥離する工程を示す断面図である。図14では、成型金型182内に第2樹脂180を充填させた後に、リリースフィルム184を剥離する。リリースフィルム184の剥離は、第2樹脂180を硬化させた後でもよく、また、第2樹脂180を硬化させる前でもよい。ここで、リリースフィルム184の表面にコーティングされた有機被膜によって、リリースフィルム184を容易に剥離することができる。
【0060】
そして、図14において、リリースフィルム184を剥離後に成型金型182から取り出すことで、図11に示された半導体装置100を得ることができる。
【0061】
ここで、放熱部材140の一部の表面141に第2樹脂180が形成されてしまう場合がある。放熱部材140の一部の表面141を確実に露出させるために、第2樹脂180を形成した後に、放熱部材140の一部の表面141を露出させる工程を追加してもよい。例えば、ドライエッチング、O2プラズマ処理などによって第2樹脂180を薄膜化してもよい。また、機械研削、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などによって、第2樹脂180と放熱部材140との両方を削ってもよい。
【0062】
上記のように、実施形態2の製造方法によると、成型金型182及びリリースフィルム184を用いて第2樹脂180を形成することで、容易に放熱部材140の一部を露出するような第2樹脂180を形成することができる。したがって、より簡易的なプロセスで安価に図11に示された半導体装置100を製造することができる。
【0063】
〈実施形態3〉
本発明の実施形態3に係る半導体装置100の概要について、図15を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態3に係る半導体装置100の平面図は図1と同様であるので、図1を参照して説明する。図15は、本発明の実施形態3に係る半導体装置のA−B断面図である。図15は、図11と類似しているが、露出した放熱部材140の一部が第2樹脂180より突出している点において、図11とは相違する。つまり、第2樹脂180は、放熱部材140の一部を露出するように、リードフレーム110、回路基板120、パワーデバイス130、及び放熱部材140を覆っている。ここで、放熱部材140の一部の表面及び側面は露出されている。
【0064】
図15において、放熱部材140の露出した側面の厚さは、好ましくは放熱部材140の厚さの1/4以上であるとよい。また、より好ましくは、放熱部材140の露出した側面の厚さは放熱部材140の厚さの1/2以上であるとよい。
【0065】
また、図15に係る半導体装置は、図11に係る半導体装置に対して第2樹脂180を選択的に除去することで得られる。例えば、放熱部材140と第2樹脂180のそれぞれのエッチング速度比が大きいドライエッチングやプラズマ処理を使用することができる。
【0066】
上記のように、実施形態3に係る半導体装置によると、放熱部材140の一部が露出されていることで、パワーデバイス130で発生した熱は放熱部材140の露出した一部から外部に放出される。また、露出される面積が広いため、より高い放熱特性が得られる。さらに、実施形態3に係る半導体装置を水冷又は空冷する際に、露出した放熱部材140の一部が突出していることで、突出部付近において冷却水又は空気が対流しやすくなり、より高い冷却効果が得られる。
【0067】
〈実施形態3の変形例〉
本発明の実施形態3の変形例に係る半導体装置100の概要について、図16乃至18を参照しながら詳細に説明する。図16は、本発明の実施形態3の変形例1に係る半導体装置のA−B断面図である。図17は、本発明の実施形態3の変形例2に係る半導体装置のA−B断面図である。図18は、本発明の実施形態3の変形例3に係る半導体装置のA−B断面図である。図19は、本発明の実施形態3の変形例4に係る半導体装置のA−B断面図である。
【0068】
図16は、露出した放熱部材140の一部の表面141が粗面(梨地ともいう)である。図16に示した放熱部材140の粗面は、図15に示す半導体装置において、露出した放熱部材140に対してブラスト法や、やすりなどを用いた研磨法によって形成してもよい。また、始めから表面の全部または一部が粗面の材料を使用して放熱部材140を形成してもよい。また、図17は、露出した放熱部材140の一部の表面141にパターン(微細形状又はテクスチャともいう)が形成されている。このパターンは、図15に示す半導体装置において、露出した放熱部材140の一部の表面をフォトリソ工程及びエッチング工程によって加工することで得られる。また、始めからパターンが形成された材料を使用して放熱部材140を形成してもよい。
【0069】
図16及び図17に示す、露出した放熱部材140の一部の表面状態を、いずれも凹凸形状と呼んでもよい。つまり、図16及び17に示す半導体装置は、いずれも放熱部材140の一部の表面141が凹凸形状を有するということができる。上記のように、実施形態3の変形例1及び2によると、放熱部材140の一部が露出される面積が広くなるため、より高い放熱特性を得ることができる。
【0070】
図18は、放熱部材140の内部に空洞の流路145が形成されている。この流路に冷却水又は冷却ガス(空気でもよい)を流すことで、放熱部材140を効率よく冷却することができる。流路145は、始めから放熱部材140に形成されていてもよく、また、図17の放熱部材140の上に他の放熱部材を貼り合せることで形成されてもよい。
【0071】
図19は、本発明の実施形態3に係る半導体装置を他の装置に取り付けた例である。放熱部材140の表面には凹凸形状の流路パターンが形成されている。図19では、放熱部材140と他の装置の部品190とによって閉じられた領域に流路146が形成されている。図19で示す実施形態の場合、露出した放熱部材140の一部の表面と第2樹脂180の表面が同一面であってもよい。
【0072】
図18及び19に示すように、放熱部材140が流路を有することで、流路に冷却水や冷却ガスを流すことができ、放熱部材140を積極的に冷却することができる。したがって、より高い放熱特性を得ることができる。
【0073】
〈実施形態4〉
本発明の実施形態4に係る半導体装置100の概要について、図20及び21を参照しながら詳細に説明する。図20は、本発明の実施形態4に係る半導体装置の概略平面図である。また、図21は、本発明の実施形態4に係る半導体装置のC−D断面図である。
【0074】
図20は、図1と類似しているが、放熱部材140がパワーデバイス130を基準として異なる2方向に延びており、その異なる2方向において、第1接続点401及び第2接続点402でリードフレーム110に接続される点において、図1とは相違する。図21の断面形状を見ても分かるように、パワーデバイス130の裏面に接続された放熱部材140は第1接続点401及び第2接続点402でリードフレーム110に接続されている。
【0075】
上記のように、実施形態4に係る半導体装置によると、パワーデバイス130で発生した熱が放熱部材140を介して第1接続点401及び第2接続点402からリードフレームに伝達される。したがって、より高い放熱特性を得ることができる。
【0076】
〈実施形態4の変形例1〉
本発明の実施形態4の変形例1に係る半導体装置100の概要について、図22を参照しながら詳細に説明する。図22は、本発明の実施形態4の変形例1に係る半導体装置の概略平面図である。
【0077】
図22は、図20と類似しているが、放熱部材140がパワーデバイス130を基準として異なる3方向に延びており、その異なる3方向において、第1接続点401、第2接続点402、及び第3接続点403でリードフレーム110に接続される点において、図20とは相違する。
【0078】
上記のように、実施形態4の変形例1に係る半導体装置によると、パワーデバイス130で発生した熱が放熱部材140を介して第1接続点401、第2接続点402、及び第3接続点403からリードフレームに伝達される。したがって、より高い放熱特性を得ることができる。
【0079】
〈実施形態4の変形例2〉
本発明の実施形態4の変形例2に係る半導体装置100の概要について、図23を参照しながら詳細に説明する。図23は、本発明の実施形態4の変形例2に係る半導体装置の概略平面図である。
【0080】
図23は、図20と類似しているが、放熱部材140がパワーデバイス130、IPD160、及び周辺IC165を覆うように形成されている点において、図20とは相違する。図23においては、放熱部材140がパワーデバイス130、IPD160、及び周辺IC165の全ての領域を覆う構造を例示したが、この構造に限定されず、少なくとも電磁波の影響で特製が変動する素子の一部を覆う構造であればよい。
【0081】
上記のように、実施形態4の変形例2に係る半導体装置によると、パワーデバイス130で発生した熱が放熱部材140を介して第1接続点401及び第2接続点402からリードフレームに伝達される。したがって、より高い放熱特性を得ることができる。さらに、放熱部材140がパワーデバイス130、IPD160、及び周辺IC165を覆うため、外部からの電磁波の影響がこれらの回路の特性を変動させることを抑制することができる。したがって、環境に左右されない安定した特性を得ることができる。
【0082】
〈実施形態5〉
本発明の実施形態5に係る半導体装置100の概要について、図24及び25を参照しながら詳細に説明する。図24は、本発明の実施形態5に係る半導体装置の概略平面図である。また、図25は、本発明の実施形態5に係る半導体装置のE−F断面図である。
【0083】
図24は、図1と類似しているが、放熱部材140がパワーデバイス130上だけに存在し、リードフレーム110と接続されていない点において、図1とは相違する。図24及び25では、放熱部材140はパワーデバイス130全体を覆うように配置された構造を例示したが、この構造に限定されず、パワーデバイスの一部だけを覆う構造であってもよい。つまり、図24において、放熱部材140がパワーデバイスを覆わない領域が存在してもよい。また、図23のように、IPD160及び周辺IC165を覆うように放熱部材140が配置されていてもよい。
【0084】
上記のように、実施形態5に係る半導体装置によると、より少ない放熱部材で高い放熱特性を得ることができる。したがって、放熱部材の材料消費量を低減することができるため、コスト低減の効果が得られる。
【0085】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
100:半導体装置
110:リードフレーム
112:外部ソース端子
114:外部ドレイン端子
116:外部ゲート端子
118:導電性接着部材
120:回路基板
122:ドレイン端子用パッド
124:ゲート端子用パッド
128:バンプ
130:パワーデバイス
138、139:高熱伝導接着部材
140:放熱部材
141:放熱部材140の一部の表面
145、146:流路
150:封止樹脂
170:第1樹脂
180:第2樹脂
181、182:成型金型
183:開口部
184:リリースフィルム
190:他の装置の部品
200:横型スイッチング素子
210:半導体基板
220:ソース電極
221:ソース端子
230:ドレイン電極
231、331:ドレイン端子
240、340:ゲート絶縁膜
250、350:ゲート電極
251、351:ゲート端子
300:縦型スイッチング素子
310:半導体基板、N型エピタキシャル成長層
320:P型注入層
321:ソース端子
325:N型注入層、ソース電極
330:N型SiC基板、ドレイン電極
401:第1接続点
402:第2接続点
403:第3接続点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25