(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、廊下の空気が開閉扉のアンダーカット部を通じて機械室へ取り込まれる上述の構成では、空調装置の運転音がアンダーカット部を通じて廊下側へ漏れ出ることが考えられる。そのため、騒音の問題が懸念される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機械室から漏れ出る空調装置の運転音を低減させることができる建物を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物は、空調装置が設置された機械室と、その機械室に隣接する隣接空間とを備え、前記機械室と前記隣接空間とを連通する開口部には、当該開口部を開閉する扉部が設けられており、前記扉部の下端部と床面との間には、前記機械室と前記隣接空間との間の通気を可能とする通気部が形成されており、前記空調装置は、前記通気部を通じて前記隣接空間から前記機械室に流れ込む空気を取り込んで空調空気を生成し、その生成した空調空気を用いて建物内の空調を行うものであり、前記機械室の床面上には、前記扉部と対向しかつ前記通気部を前記機械室側から覆うようにパネル部が設けられており、前記パネル部と前記扉部との間には、前記通気部に通じる通気通路が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、機械室の床面上に扉部と対向するようにパネル部が設けられており、そのパネル部と扉部との間に通気部に通じる通気通路が形成されている。この場合、隣接空間の空気が通気部を通じて通気通路に流れ込み、その通気通路を経由して機械室に取り込まれる。また、通気部は機械室側からパネル部により覆われているため、空調装置から通気部へ向けて伝播する空調装置の運転音はパネル部により遮られる。このため、空調装置の運転音はパネル部を迂回するように通気通路を経由して通気部より機械室の外へ漏れ出ることになる。この場合、空調装置の運転音を通気通路において減衰させることができるため、機械室から漏れ出る空調装置の運転音を低減させることができる。
【0009】
第2の発明の建物は、第1の発明において、前記通気通路に面して吸音材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、通気通路に面して吸音材が設けられているため、通気通路において空調装置の運転音を吸音材により吸収することができる。これにより、機械室から漏れ出る空調装置の運転音をより低減させることができる。
【0011】
第3の発明の建物は、第2の発明において、前記吸音材は、前記パネル部及び前記扉部のうち少なくともいずれか一方に設けられ、前記通気通路に沿って拡がる板状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、吸音材がパネル部及び扉部のうち少なくともいずれか一方に設けられ、通気通路に沿って拡がる板状に形成されているため、空調装置の運転音を通気通路において好適に吸収することができる。これにより、機械室から漏れ出る空調装置の運転音をより一層低減させることができる。
【0013】
第4の発明の建物は、第3の発明において、前記吸音材は、前記パネル部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、吸音材がパネル部に設けられているため、製造工場において予め吸音材をパネル部に組み付け、施工時にそのパネル部を扉部と対向させて設けることで吸音材を通気通路に面して配設することができる。これにより、吸音材の配設作業を容易とすることができる。
【0015】
第5の発明の建物は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記開口部の幅方向に前記機械室を挟んで対向する各壁部は互いの間隔が前記開口部の幅と略同じとなっており、前記パネル部は、前記各壁部にそれぞれ固定されており、前記通気通路は、前記パネル部と前記扉部と前記各壁部とにより囲まれて形成されていることを特徴とする。
【0016】
住宅等の建物では、居住スペースを広く確保する等の理由で、機械室が開口部の幅と略同じ幅からなる小室として形成される場合がある。そこで本発明では、かかる構成において、パネル部を開口部の幅方向に機械室を挟んで対向する各壁部にそれぞれ固定するようにしている。この場合、床面上から立ち上がるように設けられるパネル部を安定した状態で支持することができる。また、パネル部と扉部と各壁部とにより四方を囲むことで通気通路が形成されているため、空調装置の運転音が通気通路に側方から入り込むのを抑制することができ、換言すると、空調装置の運転音を通気通路において上下に通過させ易くすることができる。この場合、通気通路における音の減衰効果を好適に発揮させることが可能となる。また、第2の発明を適用した場合には、通気通路における音の吸音効果を好適に発揮させることが可能となる。これにより、パネル部を安定した状態で支持しながら、機械室からの音漏れを好適に低減させることができる。
【0017】
第6の発明の建物は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記開口部は、前記隣接空間から前記空調装置のメンテナンスを行う際に用いられるメンテナンス開口部であり、前記空調装置は、前記機械室において前記パネル部を挟んで前記メンテナンス開口部とは反対側に配置されており、前記パネル部は、前記床面からの立ち上がり高さが、前記メンテナンス開口部を通じて当該パネル部の上方から前記空調装置のメンテナンスを行うことが可能な高さに設定されていることを特徴とする。
【0018】
空調装置のメンテナンスが隣接空間からメンテナンス開口部を通じて行われる構成では、パネル部がメンテナンス作業の邪魔になるおそれがある。その点本発明では、床面からのパネル部の立ち上がり高さがパネル部上方から空調装置のメンテナンスを行うことが可能な高さに設定されているため、空調装置のメンテナンス作業性を確保しながら、機械室からの音漏れ低減を図ることができる。
【0019】
第7の発明の建物は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記空調装置は、そのメンテナンスをする際に用いられる開放部と、その開放部を開閉する可動式のカバーとを有し、前記カバーは、前記メンテナンス開口部側に移動されることにより略水平の向きで前記開放部を開放する開状態となり、さらに前記開状態のまま前記メンテナンス開口部側とは反対側の端部を中心として下方に向けて回動可能な構成を有しており、前記パネル部は、その上端部が、前記開状態の前記カバーが下方に回動しないよう当該カバーの前記メンテナンス開口部側の端部を載置する載置部となっていることを特徴とする。
【0020】
空調装置では、そのメンテナンスをする際に開放される開放部が可動式のカバーにより開閉される場合がある。この種のカバーとして、メンテナンス開口部側に移動されることにより略水平の向きで開状態となり、さらに開状態を維持したままメンテナンス開口部側とは反対側の端部を中心として下方に回動可能とされているものがある。このようなカバーでは、カバーを下方に回動させた状態で開状態が維持されることになる。
【0021】
ここで、空調装置のメンテナンス開口部側にパネル部が設けられている上述の構成では、上記のカバーを下方に回動させた後、そのカバーを上方へ持ち上げて(回動させて)水平向きに戻す際、パネル部が邪魔となり戻す作業がしづらくなるおそれがある。そこで本発明では、この点に鑑みて、パネル部の上端部を、カバーが下方に回動しないようにカバーのメンテナンス開口部側の端部を載置する載置部としている。この場合、カバーを下方に回動させることなく開状態に維持することができるため、上述の不都合が生じるのを回避しながら、空調装置のメンテナンスを行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は建物内の構成を示す概略縦断面図である。
【0024】
図1に示すように、住宅等の建物10には、屋内空間として、居室11と廊下12と機械室13とが設けられている。廊下12は、居室11と機械室13とを繋いでいる。廊下12は、間仕切壁15によって居室11と仕切られている。間仕切壁15には、廊下12から居室11へ出入りするための出入口17が設けられており、その出入口17にはドア18が設けられている。なお、廊下12が隣接空間に相当する。
【0025】
廊下12を挟んで居室11とは反対側には機械室13が設けられている。機械室13は三方が間仕切壁19等により囲まれている。機械室13の一側面には廊下12に向けて開口された開口部27が設けられており、その開口部27には扉部28,29が設けられている。
【0026】
屋内空間の上方には天井裏空間21が形成されている。屋内空間と天井裏空間21とは天井部22により上下に仕切られている。天井部22は、石膏ボードよりなる複数の天井面材23,24を有して構成されている。天井面材23,24には、第1天井面材23と、第1天井面材23よりも低い位置に設けられた第2天井面材24とがある。
【0027】
第1天井面材23は、居室11と機械室13とに跨がって設けられており、居室11及び機械室13の天井面を形成している。第1天井面材23は、天井梁25の下面側に設けられた野縁26により支持されている。第2天井面材24は、廊下12に設けられており、廊下12の天井面を形成している。第2天井面材24は、廊下12を挟んで対向する間仕切壁15の間に架け渡された状態で支持されている。第2天井面材24は、いわゆる下がり天井となっている。そのため、廊下12は居室11及び機械室13よりも天井高さの低い低天井空間となっている。
【0028】
廊下12の上方には、第2天井面材24に加え第1天井面材23が設けられている。廊下12の天井裏空間21は、第1天井面材23により上下に仕切られている。天井裏空間21において第1天井面材23よりも上側は上側空間部21aとなっており、第1天井面材23よりも下側は下側空間部21bとなっている。
【0029】
建物10には、屋内空間の空調を行うための空調設備30が設けられている。空調設備30は、共通の空調装置を用いて複数の屋内空間の空調を行う全館空調システムとして構成されている。以下、かかる空調設備30の構成について
図1に加えて
図2に基づいて説明する。
図2は空調設備30及びその周辺の構成を示す斜視図である。なお、
図2では便宜上、紙面手前側の間仕切壁15等の図示を省略している。
【0030】
図1及び
図2に示すように、空調設備30は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置31と、空調装置31に接続された空調ダクト32と、空調ダクト32に接続された吹出チャンバ33とを備える。空調装置31は、機械室13に設置された室内機として構成されている。空調装置31は、廊下12から機械室13に流れ込む空気を還気として取り込み、その還気をもとに空調空気を生成する。そして、空調装置31は、その生成した空調空気を空調ダクト32へ供給する。
【0031】
空調ダクト32は、廊下12上方の天井裏空間21において下側空間部21bに設置されている。空調ダクト32は、下側空間部21bにおいて廊下12の延びる方向(長手方向)に沿って設置されている。空調ダクト32は、その一端側が下側空間部21bから機械室13に突出しており、その突出部分が接続ダクト34を介して空調装置31に接続されている。
【0032】
吹出チャンバ33は、空調ダクト32の側面部に接続されている。吹出チャンバ33は、空調ダクト32において複数箇所(具体的には3箇所)に接続されている。吹出チャンバ33は、空調空気を吹き出す吹出口35を有している。間仕切壁15には下側空間部21bと居室11とを連通する連通孔36が形成され、その連通孔36に吹出チャンバ33が吹出口35を居室11に向けた状態で挿通されている。この場合、空調ダクト32を流れる空調空気が吹出チャンバ33に供給されると、その空調空気が吹出口35より居室11へ向けて吹き出される。
【0033】
吹出チャンバ33の吹出口35側(居室11側)には吹出グリル38が設けられている。吹出グリル38は、間仕切壁15に設けられたグリル収容部39に収容されている。
【0034】
次に、機械室13周辺の構成について
図3に基づいて説明する。
図3は、機械室13周辺の構成を示す縦断面図である。
図4は、機械室13周辺の構成を示す横断面図であり、
図3のA−A線断面に相当する。
【0035】
図3及び
図4に示すように、機械室13は、廊下12の突き当たりに位置しており、廊下12の延長上の空間として形成されている。機械室13は、互いに対向する間仕切壁19と、扉部28,29と対向する外壁37とにより三方を囲まれて形成されている。この場合、機械室13を挟んで対向する間仕切壁19同士の間隔と、廊下12を挟んで対向する間仕切壁15同士の間隔とは同じとなっている。なお、間仕切壁19が壁部に相当する。
【0036】
機械室13は、廊下12と開口部27を介して連通している。開口部27は、その開口幅が機械室13の幅(間仕切壁19同士の間隔)と略同じとなっており、その開口高さが廊下12の高さ寸法(上下寸法)と略同じとされている。開口部27の周縁部には扉枠41が設けられている。扉枠41は、開口部27の上縁部に沿って設けられた上枠42と、開口部27の各側縁部に沿って設けられた一対の縦枠43とを有している。上枠42は天井部分に設けられた下地材46に固定され、各縦枠43はそれぞれ機械室13の間仕切壁19に固定されている。
【0037】
扉枠41の内側には、開口部27を開閉する上下2つの扉部28,29が設けられている。これら2つの扉部28,29はいずれも同じ高さ寸法を有する観音開き式の扉となっている。これら各扉部28,29は廊下12側に突出して開くよう構成されている。なお、各扉部28,29を観音開き式に代えて、廊下12側に開く片開き式としてもよい。
【0038】
各扉部28,29のうち上側の扉部28は収納棚44の開閉扉となっている。収納棚44は機械室13の上部に設けられており、詳しくは機械室13の上側半分に跨がって設けられている。収納棚44は、機械室13において奥行き方向における廊下12側に配置されている。この場合、機械室13において収納棚44の後方スペース(扉部28側とは反対側のスペース)は接続ダクト34が配設される配設スペースとなっている。この配設スペースにおいて接続ダクト34が上下に延びるように配設されている。
【0039】
本実施形態では、このように機械室13に収納棚44が設けられていることで、機械室13上部における接続ダクト34前方(廊下12側)のデッドスペースの有効利用が図られている。なお、かかるデッドスペースには必ずしも収納棚44を設ける必要はなく、例えば衣服を吊り下げ可能な吊り具を設ける等して、衣服を収納するスペースとして利用してもよい。
【0040】
開口部27において収納棚44よりも下側の部分はメンテナンス開口部45となっている。メンテナンス開口部45は、空調装置31をメンテナンスする際に用いられる開口であり、その開口高さが空調装置31の高さよりも大きくなっている。なお、このメンテナンス開口部45が「開口部」に相当する。
【0041】
各扉部28,29のうち下側の扉部29はメンテナンス開口部45を開閉する開閉扉となっている。扉部29はその下端部がアンダーカットされている。扉部29の下端面と機械室13(廊下12)の床面47との間には機械室13と廊下12とを連通する通気部48が形成されている。この通気部48を通じて廊下12の空気が機械室13に取り込まれるようになっている。
【0042】
機械室13には、上述したように空調装置31が設置されている。空調装置31は、機械室13の床面47上に設置されており、機械室13において奥寄り(廊下12とは反対寄り)に配置されている。以下、空調装置31の構成について
図3及び
図4に加え
図5に基づいて説明する。
図5は、空調装置31周辺の構成を示す斜視図である。
図5において(a)が空調装置31の防音カバーの上部開口が閉鎖された状態を示しており、(b)が上部開口が開放された状態を示している。
【0043】
図3,
図4及び
図5(a)に示すように、空調装置31は、全体として直方体状に形成されており、その上端部において接続ダクト34と接続されている。空調装置31は、機械室13内の空気を取り込んで空調空気(暖気及び冷気)を生成する熱交換ユニット51と、同ユニット51で生成した空調空気を接続ダクト34ひいては空調ダクト32へ向けて送り出す送風ユニット52とを備える。
【0044】
熱交換ユニット51には、同ユニット51へ機械室13の空気を取り込むための取込口54が設けられている。取込口54は、扉部29側(廊下12側)に向けて開口されている。この取込口54には、熱交換ユニット51内に異物が入り込むのを防止するためにフィルタ55(エアフィルタ)が取り付けられている。フィルタ55は、取込口54に対して着脱可能に取り付けられている。
【0045】
空調装置31には、取込口54を覆うようにしてコ字状に形成された防音カバー56が設けられている。防音カバー56は、取込口54から漏れ出る運転音を低減させるためのものであり、その溝開口を取込口54の側に向けて熱交換ユニット51に固定されている。防音カバー56は、取込口54(及びフィルタ55)に対して対向配置された前面カバー部57と、前面カバー部57を挟んで上下両側に設けられた下カバー部58及び上カバー部59とを有している。これら各カバー部57〜59はいずれも防音性能を有する材料により形成されている。各カバー部57〜59は、例えば金属製の板材の裏面(内側面)に防音性能を有するクッション材を貼り付けて構成されている。
【0046】
防音カバー56には、幅方向(取込口54の開口幅方向と同方向)の両端部にそれぞれ通気口61が設けられている。通気口61は、防音カバー56の各カバー部57〜59の幅方向の端部により囲まれた内側領域により形成されている。これらの通気口61を通じて機械室13の空気が取込口54へと取り込まれるようになっている。
【0047】
図5(b)に示すように、防音カバー56の上カバー部59は可動式となっている。上カバー部59は、メンテナンス開口部45側(廊下12側)にスライド可能に構成されており、そのスライドによって防音カバー56の上側開口部62が開放されるようになっている。上側開口部62は取込口54に設けられたフィルタ55を着脱する際に用いられるものである。フィルタ55をメンテナンスする際には、この上側開口部62を通じてフィルタ55の着脱を行う。また、上カバー部59の上面には取っ手59aが設けられており、その取っ手59aを持って上カバー部59をスライドさせることが可能となっている。なお、上カバー部59がカバーに相当し、上側開口部62が開放部に相当する。
【0048】
上カバー部59の幅方向の両端部には同カバー部59をスライド可能に支持する一対の支持レール63が設けられている。これら各支持レール63は、熱交換ユニット51の前面部(メンテナンス開口部45の側面)と前面カバー部57との間に架け渡されて設けられており、上カバー部59のスライド方向(機械室13の奥行き方向)に沿って延びている。上カバー部59は、この支持レール63に沿って上側開口部62を閉鎖する閉状態(
図5(a)に示す状態)と、上側開口部62を開放する開状態(
図5(b)に示す状態)との間で動作可能となっている。上カバー部59は、開状態においては前面カバー部57よりもメンテナンス開口部45側に突出した(略水平向きの)状態となる。
【0049】
また、本空調装置31では、上カバー部59がさらに開状態(換言すると前面カバー部57からの突出状態)のまま下方に向けて回動可能とされている。
図6には、かかる上カバー部59の動作の様子が示されている。
図6に示すように、上カバー部59は、上記開状態においてメンテナンス開口部45側とは反対側の端部が支持レール63により回動可能に軸支されている。これにより、上カバー部59は、
図6において二点鎖線で示すように、当該端部を中心として下方へ回動可能とされている。この場合、上カバー部59を下方に回動させた状態でその開状態を維持しておくことができる。
【0050】
ここで、廊下12の空気が通気部48を通じて機械室13に取り込まれる構成では、空調装置31の運転音が通気部48を通じて廊下12側に(ひいては居室11まで)漏れ出ることが考えられる。その場合、その漏れ出た音が騒音となって居住者等に不快感を与えてしまうおそれがある。そこで本実施形態では、その点に鑑みて、機械室13において通気部48付近に吸音構造を設け、その吸音構造により機械室13から漏れ出る音の低減を図っている。以下、かかる吸音構造について
図3〜
図5に基づいて説明する。
【0051】
図3〜
図5に示すように、機械室13の床面47上には、扉部29と対向させて吸音パネル65が設けられている。吸音パネル65は、その下端部が床面47上に載置されており、当該床面47から上方に立ち上がるようにして設けられている。この場合、吸音パネル65により通気部48が機械室13側から覆われた状態となっている。なお、吸音パネル65がパネル部に相当する。
【0052】
吸音パネル65は、所定の厚みを有した矩形板状に形成されている。吸音パネル65は、その高さ寸法(床面47からの立ち上がり高さ)がメンテナンス開口部45の開口高さの半分程度に設定されており、具体的にはメンテナンス開口部45の開口高さの半分よりも小さくなっている。これにより、床面47上に吸音パネル65を設けながらも、メンテナンス開口部45を通じて吸音パネル65の上方から空調装置31のメンテナンスが可能となっている。
【0053】
続いて、吸音パネル65の構成について
図7に基づいて説明する。なお、
図7は吸音パネル65とその固定ブラケットとを示す分解斜視図である。
【0054】
図7に示すように、吸音パネル65は、吸音材66と、その吸音材66が取り付けられる取付プレート67とを有する。吸音材66は、吸音性能に優れた樹脂材料により矩形板状に形成されており、例えば発泡ポリウレタンにより形成されている。但し、吸音材66は、必ずしも発泡ポリウレタンにより形成する必要はなく、グラスウール等その他の材料により形成してもよい。
【0055】
取付プレート67は、吸音材66と略同じ大きさからなる鋼板により形成されている。取付プレート67は、吸音材66の片方の板面(片面)に重ねられた重ね部71と、重ね部71の上下両端部に設けられた一対のフランジ部72,73とを有する。上側のフランジ部72は、重ね部71の上端部から重ね部71の上記片面側に延び、さらに下方へと延びることで重ね部71とともに内側に溝部74を形成している。また、下側のフランジ部73は、重ね部71の下端部から重ね部71の上記片面側に延び、さらに上方へと延びることで重ね部71とともに内側に溝部75を形成している。溝部74には吸音材66の上端部が嵌め込まれ、溝部75には吸音材66の下端部が嵌め込まれている。これにより、吸音材66が取付プレート67に取り付けられている。
【0056】
取付プレート67には、幅方向の両端部に一対の固定ブラケット77,78が取り付けられている。固定ブラケット77,78は、上下方向に延びる断面L字状の板材により形成され、その高さ寸法(上下寸法)が吸音パネル65の高さ寸法と同じ大きさに設定されている。各固定ブラケット77,78は基本的に同じ構成を有しており、具体的には吸音パネル65の幅方向において互いに対称となる形状を有している。
【0057】
各固定ブラケット77,78は互いに直交する2つの縦板部77a,77b(78a,78b)を有している。具体的には、各固定ブラケット77,78はそれぞれ取付プレート67の各フランジ部72,73(詳しくはその縦向き部分)に跨がって取り付けられた縦板部77a,78aと、各縦板部77a,78aにおいて互いに離間する側の端部からそれぞれ吸音パネル65の厚み方向において吸音パネル65とは逆側に延びる縦板部77b,78bとを有している。各縦板部77a,78aはそれぞれ取付プレート67から側方にはみ出した状態で各フランジ部72,73にビス79により取り付けられている(
図4も参照)。また、各固定ブラケット77,78は、その上端部を吸音パネル65の上端部に位置合わせし、かつ、その下端部を吸音パネル65の下端部に位置合わせした状態で取付プレート67に取り付けられている。
【0058】
吸音パネル65は、
図3〜
図5に示すように、吸音材66を扉部29に向き合わせた状態で床面47上に載置されて設けられている。吸音パネル65が床面47上に設けられた状態において、各固定ブラケット77,78は両側の間仕切壁19にそれぞれ固定されている。具体的には、各固定ブラケット77,78の縦板部77b,78bがそれぞれ間仕切壁19の壁面にビス82により固定されている。これにより、吸音パネル65が各固定ブラケット77,78を介して間仕切壁19に固定されている。また、各固定ブラケット77,78はその下端部を床面47に当接させた状態で配置されている。
【0059】
吸音パネル65と扉部29との間には通気通路80が形成されている。通気通路80は、吸音パネル65と扉部29と各間仕切壁19と(詳しくは、さらに各固定ブラケット77,78及び各縦枠43と)により四方を囲まれて形成されており、上下方向に沿って延びている。通気通路80は、その下端側において通気部48に通じている一方、その上端部において上向きに開口されている。また、吸音パネル65の吸音材66はこの通気通路80に面して配置されている。
【0060】
上記の構成によれば、廊下12の空気は通気部48を通じて通気通路80へ流れ込み、その通気通路80を通じて機械室13に取り込まれる(
図3の矢印参照)。一方、空調装置31の運転音は通気通路80を経由して通気部48より機械室13の外に漏れ出ることになる。この場合、通気通路80において空調装置31の運転音を吸音材66により吸収することができるため、機械室13から漏れ出る音の低減を図ることができる。
【0061】
ところで、空調装置31の上カバー部59は、上述したように、上側開口部62を開放させた開状態において下向きに回動可能とされている(
図6参照)。ここで、吸音パネル65が空調装置31のメンテナンス開口部45側に設けられている上記の構成では、上カバー部59を下向きに回動させた後、その上カバー部59を持ち上げて元の位置に戻す際、吸音パネル65が邪魔となって戻す作業がしづらくなることが考えられる。そこで、本実施形態では、その点に鑑みて、吸音パネル65の上端部を、上カバー部59が下方に回動しないように上カバー部59を載置するための載置部としている(
図5(b)参照)。以下、この点について説明する。
【0062】
吸音パネル65は、その上端部が空調装置31の上カバー部59の下面と同じ高さ位置に設定されている。また、吸音パネル65は、機械室13の奥行き方向の位置がメンテナンス開口部45側にスライド(開移動)された上カバー部59の下方に位置するよう設定されている。この場合、上カバー部59がメンテナンス開口部45側にスライドされ開状態とされると、
図5(b)に示すように、上カバー部59のメンテナンス開口部45側の端部が吸音パネル65の上端部の上に載置される。これにより、上カバー部59を下向きに回動しないように開状態のまま保持しておくことができるため、上述した不都合を回避しながら、上側開口部62を通じたフィルタ55の着脱作業を行うことができる。
【0063】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0064】
機械室13の床面47上に、扉部29と対向させて吸音パネル65を設け、その吸音パネル65と扉部29との間に通気部48に通じる通気通路80を形成した。吸音パネル65を、通気部48を機械室13側から覆うように設けたため,空調装置31から通気部48へ向けて伝播する空調装置31の運転音は吸音パネル65により遮られる。このため、空調装置31の運転音は吸音パネル65を迂回するように通気通路80を経由して機械室13の外へ漏れ出ることになる。この場合、空調装置31の運転音を通気通路80において減衰させることができるため、機械室13から漏れ出る音の低減を図ることができる。
【0065】
通気通路80に面して吸音材66を設けたため、通気通路80において空調装置31の運転音を吸音材66により吸収することができる。これにより、機械室13から漏れ出る空調装置31の運転音をより低減させることができる。
【0066】
また、吸音材66を通気通路80に沿って拡がる板状に形成したため、空調装置31の運転音を通気通路80において好適に吸収することができる。これにより、機械室13から漏れ出る空調装置31の運転音をより一層低減させることができる。
【0067】
吸音材66を吸音パネル65に設けたため、製造工場において予め吸音材66を取付プレート67に組み付けて吸音パネル65を製造し、施工時にその吸音パネル65を扉部29に対向させて設けることで吸音材66を通気通路80に面して配設することができる。これにより、吸音材66の配設作業を容易とすることができる。
【0068】
吸音パネル65を、当該パネル65を挟んで対向する各間仕切壁19にそれぞれ固定したため、床面47上から上方に立ち上がるように設けられる吸音パネル65を安定した状態で支持することができる。また、吸音パネル65と扉部29と各間仕切壁19とにより四方を囲むことで通気通路80を形成したため、空調装置31の運転音が通気通路80に側方から入り込むのを抑制することができ、換言すると、空調装置31の運転音を通気通路80において上下に通過させ易くすることができる。この場合、通気通路80における音の減衰効果及び吸音効果を好適に発揮させることが可能となる。これにより、吸音パネル65を安定した状態で支持しながら、機械室13からの音漏れを好適に低減させることができる。
【0069】
床面47からの吸音パネル65の立ち上がり高さをメンテナンス開口部45を通じてパネル65上方から空調装置31のメンテナンスを行うことが可能な高さに設定したため、空調装置31のメンテナンス作業性を確保しながら、機械室13からの音漏れ低減を図ることができる。
【0070】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0071】
(1)上記実施形態では、吸音材66を吸音パネル65(パネル部)に設けたが、これに代えて又は加えて、吸音材を扉部29に設けてもよい。例えば、吸音材を扉部29の機械室13側の面に貼り付ける等して設けることが考えられる。また、この場合にも、吸音材を当該機械室13側の面(通気通路80)に沿って拡がる板状とすれば、空調装置31の運転音を通気通路80において好適に吸収することができる。
【0072】
また、吸音材を固定ブラケット77,78に貼り付ける等して設けてもよい。さらに、吸音材をブロック状に形成し、扉部29と吸音パネル65との間に挟み込んだ状態で設けるようにしてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態では、吸音パネル65を間仕切壁19に固定したが、これに代えて又は加えて、床面47に固定してもよい。また、吸音パネル65を間仕切壁19又は床面47に着脱可能に取り付けてもよい。例えば間仕切壁19に固定された固定ブラケットに吸音パネル65を係合可能な係合部を設ける一方、吸音パネル65にはその係合部に係合される被係合部を設けることが考えられる。この場合、吸音パネル65の被係合部を固定ブラケットの係合部に係合させることで、吸音パネル65を間仕切壁19に着脱可能に取り付けることができる。したがって、空調装置31のメンテナンスをする際には、吸音パネル65を取り外した状態でメンテナンスすることが可能となり、メンテナンス作業が容易となる。また、吸音パネル65を取り外し可能とすることで吸音パネル65の高さ寸法ひいては通気通路80の上下寸法を大きくすることができるため、通気通路80における音の減衰効果及び吸音効果を高めることもできる。
【0074】
(3)上記実施形態では、吸音パネル65(パネル部に相当)を吸音材66と取付プレート67とを有して構成したが、例えば吸音パネルを吸音材66のみにより構成してもよい。この場合、吸音材がパネル部に相当する。また、パネル部は必ずしも吸音材を有して構成する必要はなく、パネル部を例えば金属製の板材のみにより形成してもよい。その場合、扉部29等パネル部とは別の部位に吸音材66を設ければよい。
【0075】
(4)通気通路80に面して吸音材66を設けないようにしてもよい。その場合でも、空調装置31の運転音を通気通路80において減衰させることができるため、機械室13から漏れ出る音の低減を図ることができる。
【0076】
(5)上記実施形態では、防音カバー56の上カバー部59がメンテナンス開口部45側へのスライドにより開状態となる構成であったが、例えば上カバー部59がメンテナンス開口部45側への回動により開状態となる構成も考えられる。例えば、上カバー部59を、そのメンテナンス開口部45側の端部において回動可能に軸支する構成が考えられる。この場合、上カバー部59がメンテナンス開口部45側に回動されることで略水平向きの状態で開状態となり、さらに開状態のまま下方に回動されることになる。そこで、かかる構成の上カバー部59を吸音パネル65の上端部上で開状態のまま載置するようにしてもよい。この場合にも、下方に回動させた上カバー部59を上方に持ち上げて戻す際、吸音パネル65が邪魔でその作業がしづらくなる不都合を回避することができる。
【0077】
なお、必ずしも吸音パネル65の上端部を上カバー部59を載置する載置部とする必要はない。
【0078】
(6)上記実施形態では、開口部27の扉部28,29をメンテナンス開口部45用の扉部29と収納棚44用の扉部28とに二分割したが、これを変更して、開口部27の扉部を分割せず一つとしてもよい。その場合、その一つの扉部でメンテナンス開口部45及び収納棚44を共に開閉することになり、その扉部の下端部と床面47との間が通気部48となる。
【0079】
また、機械室13に収納棚44を設けないようにしてもよい。その場合、開口部27を通じて廊下12から機械室13へ出入りすることが可能となり、その開口部27を開閉する扉部と床面47との間が通気部48となる。
【0080】
(7)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用できる。