特許第6386758号(P6386758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386758
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20180827BHJP
   B65H 35/07 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B43L19/00 H
   B65H35/07 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-52033(P2014-52033)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-174316(P2015-174316A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−291360(JP,A)
【文献】 米国特許第04324603(US,A)
【文献】 国際公開第90/014299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B65H 35/07
B43M 11/06
B41J 29/26 − 29/373
F16C 11/00 − 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープの基材を巻き取る巻取軸部、転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備え、前記送出軸部、前記巻取軸部、の一方又は両方を前記転写部の転写テープ搬送面幅方向中央に向けて鋭角状に傾けて、該送出軸部の転写テープの巻装端面と該巻取軸部の基材の巻装端面とを積層状に配置するよう、前記送出軸部と前記巻取軸部とに各々形成された筒状の軸体を、該送出軸部と該巻取軸部のそれぞれの積層側と反対の巻装端面が臨む側の前記筐体の内面に突出形成した枢支軸が、各々枢支し、さらに、前記筐体内面に突出形成した該送出軸部又は該巻取軸部を枢支する前記枢支軸の外径を、当該枢支軸の枢支する該送出軸部又は該巻取軸部が傾動するように小径としたことを特徴とする転写具。
【請求項2】
送出軸部と巻取軸部とがスリップしつつ連動回転するよう、送出軸部と巻取軸部の軸体のうち、一方が他方を互いに回転可能に軸支していることを特徴とする請求項1記載の転写具。
【請求項3】
送出軸部と巻取軸部のうち、一方の軸体の積層側に球状の軸を形成し、他方の軸体の積層側に該一方の球状の軸を嵌合する凹部を形成し、かつ該凹部の軸方向両端部に弾性変形する爪部を形成したことを特徴とする請求項2記載の転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出軸部と巻取軸部を互いの軸方向に段状に重ねた転写具に係り、送出軸部から転写部、転写部から巻取軸部、の各区間の基材の搬送経路で該基材の幅方向両端に生じる張力差を解消して搬送を安定させ、使用感を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写媒体を紙などの被転写体に転写する転写具は、主要構成として、筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取軸部、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備えている。なお、以下、特別に転写テープ、転写媒体を説明しない限り、送出側における転写テープ、巻取側における基材、を総称して「基材」と言うこととする。
【0003】
転写具は、筐体から露出した転写部を被転写体に向けて押しつけたまま、被転写体上で全体を移動させることにより、基材と被転写体との相対移動が送出軸部の送出駆動力(及び巻取軸部の巻取駆動力)となって、送出軸部から基材が引き出され(巻取軸部で基材が巻き取られ)、この基材の搬送時に転写部において基材上の転写媒体が被転写体へ転写される。
【0004】
転写具は、使い勝手とデザイン、さらには小型化の多様化に応えるべく、通常ならば筐体内において転写部が設けられた開口に対して手前−奥方向に配置した送出軸部及び巻取軸部を、筐体内の開口に対して奥側の一箇所にて互いの軸方向に段状に重ねて配置したもの、例えば特許文献1〜3に示されるものが存在する(以下、段重ねタイプという)。
【0005】
特許文献1〜3は、いずれも段重ねタイプの転写具において、各々、筐体の、手で握る部分の寸法を小さくしてペンを握る感覚で使用することを目的として、筐体内部における基材の捻れや弛み並びに転写媒体の基材からの剥離を防止することを目的として、低コストで簡便に交換できると共に小型化を図るために、巻取軸部の内部に送出軸部をほぼ同一平面上に同軸に配設した集合体を軸支したカートリッジを、筐体に装着した構成としている。
【0006】
特許文献1〜3を含め、段重ねタイプの転写具は、送出軸部の基材送出地点における基材の幅方向中心、巻取軸部の基材巻取地点における基材の幅方向中心、の一方又は両方が、転写部における基材搬送面の幅方向中央(以下、「転写部幅中央」という)と筐体厚み方向(基材幅方向)で一致せず、斜行状にずれていることが構造上の特徴であると共に、この構造に起因して次の問題が生じる。
【0007】
すなわち、段重ねタイプの転写具は、転写部幅中央に対する基材の幅方向の一方端と他方端とでは張力の差が生じ、例えば幅方向一方端では張力が高く、他方端では張力が低くなることで、基材の斜行搬送が可能となる反面、前記基材幅方向の張力差により、例えば基材が転写部から脱線したり、転写部の幅方向両端に脱線防止のガイドを設けている場合には該ガイドに基材の幅方向の縁部が接触して基材を破損したり転写媒体が剥がれてしまうといった問題が生じる。
【0008】
この点は既知の問題であるため、例えば特許文献1,3では転写部と送出軸部及び巻取軸部との間の距離を(比較的)長くするようにしている。この手法は、段重ねタイプの転写具(特許文献1〜3を含む)では基材の幅方向の一方と他方との張力差を緩和するために常套的に採用されている。特許文献2では、転写部を筐体に支持する支持部材上に基材を案内して斜行を強制的に直線状とする、頂点を切欠いたアーチ状のテープガイドを設けている。
【0009】
また、特許文献2のようなガイド部材を設ける発想としては、例えば搬送経路における基材の張力が高くなる一方側を低く(張り出しを小さく)し、基材の張力が低くなる他方側を高く(張り出しを大きく)し、基材の幅方向の一方側と他方側とに高低(張り出しの大小)を設けたガイドを設けて、このガイド上に基材を通過させる手法もよく採用されている。
【0010】
しかしながら、従来の手法では、例えば特許文献1,3のように送出軸部及び巻取軸部から転写部までの距離を長くする手法では不必要に筐体寸法を大きく(長く)することとなり、また、特許文献2のようにテープガイドを設ける手法では該テープガイドに基材の両端が接触したり、ガイドから脱線するといった不具合が生じる可能性があり、根本的な改善策とは言えない。
【0011】
つまり、従来の段重ねタイプの転写具は、いずれにしても張力差自体を解消して搬送される構成とはなっていないので、基材搬送が不安定で、例えば長尺状に使用する場合は何度も中断しつつ転写媒体を転写するように使用しなけらばならず、使用感が安定せず、使いにくいといった問題がある。
【0012】
さらには、従来の手法を用いても、根本的に基材幅方向両端の張力差は解消されていないので、被転写体に転写媒体を転写した後に該被転写体上で転写媒体幅方向両端の張力差が解消されて、転写媒体の幅方向の端部でひび割れや皺が生じたり、この逆に被転写媒体が波うったり、転写媒体が被転写体から部分的に剥離したりするという現象が改善することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−315491号公報
【特許文献2】実開平7−28146号公報
【特許文献3】特開2001−315493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする問題は、従来の段重ねタイプの転写具では、搬送経路における基材の幅方向の一方端と他方端における張力差を「根本的」に解消する構成となっていないので、搬送が不安定で、使用感が安定せず、よって、使いにくい点である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープの基材を巻き取る巻取軸部、転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備え、前記送出軸部、前記巻取軸部、の一方又は両方を前記転写部の転写テープ搬送面幅方向中央に向けて鋭角状に傾けて、該送出軸部の転写テープの巻装端面と該巻取軸部の基材の巻装端面とを積層状に配置するよう、前記送出軸部と前記巻取軸部とに各々形成された筒状の軸体を、該送出軸部と該巻取軸部のそれぞれの積層側と反対の巻装端面が臨む側の前記筐体の内面に突出形成した枢支軸が、各々枢支し、さらに、前記筐体内面に突出形成した該送出軸部又は該巻取軸部を枢支する前記枢支軸の外径を、当該枢支軸の枢支する該送出軸又は該巻取軸部が傾動するように小径としたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成とすることで、基材は、送出軸部から転写部まで、転写部から巻取軸部まで、の各区間での搬送経路が直線状となり、幅方向の一端側と他端側での張力差が無理なく解消される。この結果、搬送と搬送に伴う使用感も安定的となり、使いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の転写具の外観を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、である。
図2図2は本発明の転写具の内部構造を示し、(a)は正面・平面方向から見た分解斜視図、(b)は平面方向から見た分解図、である。
図3図3は本発明の転写具の内部構造を示す図1(a)のA−A線断面図である。
図4図4は本発明の転写具の送出軸部と巻取軸部との関係を示し、筐体を省略した状態の平面図である。
図5図5は本発明の転写具における送出軸部を示す斜視図である。
図6図6は本発明の転写具における巻取軸部を示す斜視図である。
図7図7は本発明の転写具における送出軸部と巻取軸部との関係を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の軸方向断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、段重ねタイプの転写具において、基材の搬送経路における幅方向の一端側と他端側の張力差の問題と、これに起因した使用感の悪化に繋がる様々な現象を、次の構成とすることで解消した。すなわち送出軸部、巻取軸部、の一方又は両方を転写部の転写テープ搬送面幅方向中央に向けて鋭角状に傾けて、該送出軸部の転写テープの巻装端面と該巻取軸部の基材の巻装端面とを積層状に配置する。
【0019】
さらに、本発明は、筐体内面に突出形成した該送出軸部又は該巻取軸部を枢支する枢支軸の外径当該枢支軸の枢支する該送出軸部又は該巻取軸部が傾動するように小とする。以上の構成とすれば、使用感の悪化に繋がる現象の解消と共に、使用時に何らかの状況で変動する基材の幅方向の一方端と他方端の張力差を送出軸部と巻取軸部の傾動で吸収することできる。
【0020】
さらに、本発明は、送出軸部と巻取軸部とがスリップしつつ連動回転するよう、送出軸部と巻取軸部の軸体のうち、一方が他方を互いに回転可能に軸支することで、送出軸部と巻取軸部とが互いに傾動していても、基材の搬送に要する該送出軸部と該巻取軸部の回転駆動を安定させることができる。
【実施例】
【0021】
以下、図1図7を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。1は、本発明の転写具である。本発明における転写具1は、筐体2内に、転写媒体が塗布された基材(=転写テープ)が巻装された送出軸部3、転写テープのうちの基材を巻き取る巻取軸部4、及び転写テープのうちの転写媒体を被転写体へ転写する転写部5を備えている。
【0022】
なお、改めて、以下の説明では、特に転写媒体、転写テープと記さない限り、送出側及び巻取側の経路上で搬送されるのは基材(送出側ではこの基材に転写媒体が塗布されている、巻取側では基材だけが搬送される)であることから、全般的に「基材」と記して説明することとする。
【0023】
転写具1は、送出軸部3と巻取軸部4のそれぞれを転写部5の基材搬送面の幅方向中央C(以下、「中央C」と記す)に向けて鋭角状に傾けて、該送出軸部3の基材巻装端面と該巻取軸部4の基材巻装端面とが積層されるように配置しており、この点が大きな特徴である。
【0024】
図2に示すように、筐体2は、例えば送出軸部3側と巻取軸部4側に2分割しており、送出軸部3側の筐体2Aと、巻取軸部4側の筐体2Bとにおけるそれぞれの内面には、該送出軸部3と該巻取軸部4とを枢支する枢支軸2Aa,2Baが各々突設されている。
【0025】
この枢支軸2Aa,2Baは、後述する送出軸部3と巻取軸部4の各々の筒状の軸体3A,4Aにそれぞれ嵌入して該送出軸部3と該巻取軸部4を枢支している。枢支軸2Aa,2Baは、本例では、図3に示すように筐体2A,2Bの送出軸部3と巻取軸部4の収納部位の外形(内面)が予め傾斜され、これら内面に、若干角度を設けて(ほぼ垂直状)それぞれ突設している。
【0026】
なお、枢支軸2Aa,2Baは、筐体2のデザイン上、例えば外形を傾斜させていない形状とし、内面に対して枢支軸2Aa,2Baを(上記より大きく)傾斜させて設けるようにしていもよい。いずれにしても、筐体2の内部において、図4に示すように、送出軸部3と巻取軸部4が中央Cに向けて鋭角状に傾けて、それぞれの基材の巻装端面とが積層されるよう配置できるならば限定しない。
【0027】
また、筐体2B(巻取軸部4側)の内面において、送出軸部3と巻取軸部4が位置する部位(以下、「駆動部位」という)から転写部5までの空間には、基材の搬送経路を送り出し側と巻き取り側とに区画すると共に、駆動部位から転写部5までの筐体2の補強部材として機能するリブ2Cが形成されている。
【0028】
筐体2Bの駆動部位の内面には、後述する巻取軸部4に形成されたラチェット爪4bが噛合するラチェット歯2Bbが形成されている。このラチェット歯2Bbは、巻取軸部4の回転方向には斜面が、逆転方向には垂直面が、それぞれ形成されている。該巻取軸部4の正転時はラチェット爪4bが斜面を乗り越えて正転を許容し、逆転時はラチェット爪4bが垂直面で係止して逆転を防止する。
【0029】
さらに、筐体2A,2Bの転写部5が設けられる部分は開口2aが形成されており、該開口2aには本例ではローラ5Aが該筐体2A,2Bの開口2a部位に回転可能に枢支されている。また、筐体2B側の該開口2a部位における基材の送り出し側には、ローラ5Aを覆うカバー5Bがヒンジ5aを介して開閉可能に設けられている。
【0030】
送出軸部3は、対向するフランジ同士の間を繋ぐよう形成された筒状の軸体3Aの外周面に基材(送出軸部3に巻装されるときは基材に転写媒体が塗布された転写テープ)が巻装されている。
【0031】
送出軸部3の軸体3Aは、図5及び図7に示すように、巻取軸部4との積層側の内周に凹部3aが形成されている。この凹部3aは、軸体3Aの内周が、巻取軸部4との積層側から離間する方向(以下、「反積層側」という)へ軸方向に伸びて径外方向へ弾性変更により拡がる4本の柱体3Aaと、反積層側から巻取軸部4との積層側へ軸方向に伸びて径外方向へ弾性変形により拡がる4本の柱体3Abと、により構成される。
【0032】
柱体3Aaと柱体3Abは、周方向に交互に配置され、柱体3Aaは反積層側における端部に、柱体3Abは積層側における端部に、それぞれ爪部3bが形成されている。そして、柱体3Aaと柱体3Abは、それぞれ爪部3bが形成された側にやや軸中心方向に傾斜しており、上記のとおり径外方向へ弾性変形する。
【0033】
また、軸体3Aにおいて、柱体3Aaと柱体3Abにより凹部3aが形成されていない側(つまり反積層側)の内径は上記枢支軸2Aaより大径とされ、送出軸部3が自由に傾動するように構成されている。
【0034】
巻取軸部4は、図6及び図7に示すように、対向するフランジ同士の間をつなぐよう形成された筒状の軸体4Aの外周面に基材(巻取軸部4に巻装されるときは転写テープから転写媒体が剥離した基材)が巻装されている。
【0035】
巻取軸部の軸体4Aは、対向するフランジのうち送出軸部3と積層する側が該フランジより突出し、この突出先端部に外形が略球状の球軸4aが形成されている。この球軸4aの内部は軸体4Aと連通している。
【0036】
軸体4Aにおいて、対向するフランジのうち反積層側のフランジ周縁部には、周方向に円弧状に伸びた3本の腕部4Baが形成されており、該腕部4Baのフランジと結合していない側の端部には、ラチェット爪4bがそれぞれ形成されている。また、軸体4Aにおいて、反積層側の内径は上記枢支軸2Baと同等とされており、巻取軸部4が挿入されている。
【0037】
そして、送出軸部3と巻取軸部4とは、図7に示すように、互いの積層側のフランジを対面させ、送出軸部3の凹部3a(柱体3Aa,3Ab)に対し、巻取軸部4の球軸4aを嵌合する。球軸4aが凹部3aに嵌合される際には、該球軸4aが積層側の柱体3Abの爪部3bを押し広げて(弾性変形して)嵌合され、嵌合後は、該柱体3Abが弾性復元し、これにより球軸4aは凹部3aから軸芯に向けた一定の押圧力が付与された状態で把持される。
【0038】
上記構成の転写具1は、送出軸部3と巻取軸部4とを中央Cに向けて鋭角状に傾けて、送出軸部3と巻取軸部4の巻装端面と該巻取軸部の基材の巻装端面とを積層状に配置することで、送出軸部3から転写部5まで、転写部5から巻取軸部4まで、の各区間の搬送経路は直線状となる。
【0039】
したがって、本発明の転写具1は、段重ねタイプでありながら、基材の幅方向の一方端と他方端で張力差が生じないので、転写部5の幅方向の一方端又は他方端に極端に偏って斜行搬送されることがなく、よって搬送が安定し、基材が搬送経路を脱線しようとしたり、基材が他部材と接触して幅方向端部が破損したり、転写媒体が剥げるなどといった不具合が生じることがない。
【0040】
また、本例では、送出軸部3と巻取軸部4が同方向に回転することで基材の送り出しと巻き取りが行われるよう、送出軸部3及び巻取軸部4に基材を巻装している。これにより本例の転写具1は、駆動にギヤなど別途の部材を要せず、球軸4aと凹部3aとのスリップを許容する適度の摩擦接触により互いに連動回転するため、構造の簡素化と部材点数の削減が図れるというメリットがある。
【0041】
転写具1は、使用によりしだいに基材の搬送が重くなる(転写具1を被転写体に押し付けたまま移動させるために大きな力を要すること)が、このとき、基材は送出軸部3と巻取軸部4との間で張力が高くなることに起因して該送出軸部3と巻取軸部4との回転速度の差が生じる。
【0042】
球軸4aと凹部3aとの結合は、上記のとおりスリップを許容することで回転速度差の吸収を図る機能もあるが、本発明の場合、使用における基材の張力による送出軸部3と巻取軸部4との傾動量の変化にも対応する機能も有している。
【0043】
例えば 基材の張力が高くなると、送出軸部3と転写部5間、転写部5と巻取軸部4間では、転写部5の中央Cに向けて送出軸部3と巻取軸部4との傾斜が大きくなる、つまり相対的に転写部5の中央Cに向かって送出軸部3と巻取軸部4とが引っ張られるように傾斜が大きくなる。
【0044】
このとき、球軸4aと凹部3aがフレキシブルに対応すること、また、送出軸部3と巻取軸部4の各々の軸体3A,4Aの内径がそれぞれの枢支軸2Aa,2Baの外径より若干大径とされていること、によって送出軸部3と巻取軸部4との上記傾斜が大きくなろうとする挙動に追従するから、使用感は転写具1の使用開始から終了に至るまで安定する。
【符号の説明】
【0045】
1 転写具
2 筐体
2Aa 枢支軸
2Ba 枢支軸
2Bb ラチェット歯
3 送出軸部
3A 軸体
3a 凹部
3b 爪部
4 巻取軸部
4A 軸体
4a 球軸
4b ラチェット爪
5 転写部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7