特許第6386762号(P6386762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386762放射線診断装置、放射線検出装置、及び放射線検出データ処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386762
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】放射線診断装置、放射線検出装置、及び放射線検出データ処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20180827BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20180827BHJP
   G01T 1/17 20060101ALN20180827BHJP
   G01T 7/00 20060101ALN20180827BHJP
【FI】
   A61B6/00 350Z
   A61B6/03 350A
   A61B6/03 350Y
   !G01T1/17 A
   !G01T7/00 A
【請求項の数】20
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2014-59386(P2014-59386)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-181627(P2015-181627A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 清一郎
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−112816(JP,A)
【文献】 特開2012−250043(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0114424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線光子を発生する放射線発生部と、
前記放射線発生部により発生され被検体を透過した前記放射線光子を検出し、検出された放射線光子を所定のビット数で計数することにより放射線検出データを生成する放射線光子検出部と、
前記放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、前記最大ビット位置に対応した付帯情報を前記有効信号ビットに付帯させて出力する圧縮部と、
前記有効信号ビットと前記付帯情報とを受け、前記有効信号ビットのビット長を検出し、検出された前記ビット長と前記付帯情報とから算出された付加ビット長分の付加データを前記有効信号ビットの下位側に付加することにより前記放射線検出データの復元データを生成する復元部と、
前記復元部によって生成された前記復元データに基づいて画像を作成する画像作成部と、
を含むことを特徴とする放射線診断装置。
【請求項2】
前記圧縮部は、
前記最大ビット位置を検出するビット位置検出部と、
前記ビット位置検出部により検出された前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を前記放射線検出データの前記最大ビット位置から前記有効信号ビットとして抽出する信号ビット抽出部と、
前記ビット位置検出部により検出された前記最大ビット位置に基づいて、前記付帯情報を生成する付帯情報生成部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線診断装置。
【請求項3】
前記付帯情報生成部は、
前記最大ビット位置のパリティを示す情報を前記付帯情報として生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の放射線診断装置。
【請求項4】
前記ビット位置検出部は、
前記放射線検出データを上位側にシフトするシフトアップ部と、
前記シフトアップ部により前記放射線検出データを上位側にシフトすることにより得られたシフトアップデータ又は前記放射線検出データの最上位ビットのデータが前記所定ビットデータであるか否かを検出する最上位ビット検出部と、
を含み、
前記最上位ビット検出部により前記最上位ビットのデータが前記所定ビットデータであることが検出されたときの前記シフトアップ部によるシフトアップビット数に基づいて前記最大ビット位置を検出する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の放射線診断装置。
【請求項5】
前記信号ビット抽出部は、
前記シフトアップビット数に基づいて下位側にシフトすべきシフトダウンビット数を算出するシフトダウンビット数算出部と、
前記シフトダウンビット数算出部により算出された前記シフトダウンビット数だけ前記シフトアップデータを下位側にシフトするシフトダウン部と、
を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の放射線診断装置。
【請求項6】
前記付帯情報生成部は、前記シフトアップビット数を2進数で表現した場合の最下位ビットを抽出することにより前記付帯情報を生成する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の放射線診断装置。
【請求項7】
前記復元部は、
前記有効信号ビットにおける前記最大ビット位置を検出することにより、前記有効信号ビットのビット長を検出するビット長検出部と、
前記ビット長検出部により検出された前記ビット長と前記付帯情報とに基づいて、前記有効信号ビットの下位側に付加すべきビット長である付加ビット長を算出する付加ビット長算出部と、
前記付加ビット長算出部により算出された前記付加ビット長分だけ前記有効信号ビットを上位側にシフトすることによって得られたシフトデータの下位側に所定の付加データを付加することにより前記復元データを生成する復元データ生成部と、
を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項8】
前記所定の付加データは、各ビットのデータがすべて0のデータ、各ビットのデータがすべて1のデータ、最上位のビットのデータのみが1でそれ以外のデータが0であるデータ、最上位のビットのデータのみが0でそれ以外のデータが1であるデータ、又は乱数のいずれかである
ことを特徴とする請求項7に記載の放射線診断装置。
【請求項9】
前記放射線検出データは、(2×N)(Nは正の整数)ビットのデータであり、
前記圧縮部は、前記放射線検出データの上位(N+1)ビットのビット列を前記有効信号ビットとする
ことを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項10】
前記付加ビット長は、前記ビット長と前記付帯情報とを加算することにより算出される
ことを特徴とする請求項7に記載の放射線診断装置。
【請求項11】
前記放射線検出データは、(2×N)(Nは正の整数)ビットのデータであり、
前記圧縮部は、前記放射線検出データの上位(N+1+α)(1≦α<(N−1)、αは整数)ビットのビット列を前記有効信号ビットとする
ことを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか一項に記載の放射線診断装置。
【請求項12】
前記付加ビット長は、前記ビット長と前記付帯情報とを加算し、その加算結果から(2×α)を減算することにより算出される
ことを特徴とする請求項10に記載の放射線診断装置。
【請求項13】
放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する放射線光子検出部と、
前記放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する放射線光子計数部と、
前記放射線光子計数部により前記放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する圧縮部と、
を含み、
前記圧縮部は、前記放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、前記最大ビット位置に対応した付帯情報を前記有効信号ビットに付帯させて出力する
ことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項14】
2次元状に配列された複数の画素と、
各列又は各行の画素毎に共通に設けられた複数の出力バスと、
を含み、
各画素は、
放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する放射線光子検出部と、
前記放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する放射線光子計数部と、
前記放射線光子計数部により前記放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する圧縮部と、
を含み、
前記圧縮部は、前記放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、前記最大ビット位置に対応した付帯情報を前記有効信号ビットに付帯させて各出力バスに出力する
ことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項15】
2次元状に配列された複数の画素と、
各列又は各行の画素毎に共通に設けられた複数の出力バスと、
を含み、
各画素は、エネルギーグループ毎に、
放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する放射線光子検出部と、
前記放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する放射線光子計数部と、
前記放射線光子計数部により前記放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する圧縮部と、
を含み、
前記圧縮部は、前記放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、前記最大ビット位置に対応した付帯情報を前記有効信号ビットに付帯させて各出力バスに出力する
ことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項16】
2次元状に配列された複数の画素と、
各列又は各行の画素毎に共通に設けられた複数の出力バスと、
前記複数の出力バスに接続可能に構成された圧縮部と、
を含み、
各画素は、
放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する放射線光子検出部と、
前記放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する放射線光子計数部と、
を含み、
前記圧縮部は、前記放射線光子計数部により前記放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、前記最大ビット位置に対応した付帯情報を前記有効信号ビットに付帯させて出力する
ことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項17】
前記圧縮部は、
前記最大ビット位置を検出するビット位置検出部と、
前記ビット位置検出部により検出された前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を前記放射線検出データの前記最大ビット位置から前記有効信号ビットとして抽出する信号ビット抽出部と、
前記ビット位置検出部により検出された前記最大ビット位置に基づいて、前記付帯情報を生成する付帯情報生成部と、
を含むことを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
【請求項18】
放射線光子を計数することにより得られた放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置を検出するビット位置検出ステップと、
前記ビット位置検出ステップにおいて検出された前記最大ビット位置に対応したビット数のビット列を前記放射線検出データの前記最大ビット位置から有効信号ビットとして抽出する信号ビット抽出ステップと、
前記ビット位置検出ステップにおいて検出された前記最大ビット位置に基づいて、前記有効信号ビットに付帯させる付帯情報を生成する付帯情報生成ステップと、
を含むことを特徴とする放射線検出データ処理方法。
【請求項19】
前記付帯情報生成ステップは、前記最大ビット位置のパリティを示す情報を前記付帯情報として生成する
ことを特徴とする請求項18に記載の放射線検出データ処理方法。
【請求項20】
前記有効信号ビットにおける前記最大ビット位置を検出することにより、前記有効信号ビットのビット長を検出するビット長検出ステップと、
前記ビット長検出ステップにおいて検出された前記ビット長と前記付帯情報とに基づいて、前記有効信号ビットの下位側に付加すべきビット長である付加ビット長を算出する付加ビット長算出ステップと、
前記付加ビット長算出ステップにおいて算出された前記付加ビット長分だけ前記有効信号ビットを上位側にシフトし、シフトすることにより得られたシフトデータの下位側に所定の付加データを付加することにより前記放射線検出データの復元データを生成する復元データ生成ステップと、
を含む
ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の放射線検出データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線診断装置、放射線検出装置、及び放射線検出データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線診断装置は、X線やγ線などの放射線を検出することにより診断用画像を作成する装置である。放射線診断装置には、X線診断装置やX線CT(Computed Tomography)装置や核医学診断装置などがある。
【0003】
X線診断装置やX線CT装置は、X線発生器と、X線検出器とを有する。X線発生器は、X線を発生し、発生したX線を被検体に対して曝射する。X線検出器は、被検体に対して曝射されたX線を検出する。X線検出器は、たとえば、2次元状に配列された複数の画素を有する。各画素では、入射されたX線が電荷に変換される。X線を電荷に変換する方式には、X線をヨウ化セシウムなどのシンチレータにより光に変換し、この光をフォトダイオードなどにより電荷に変換する方式と、X線をアモルファスセレンなどの光導電物質により直接に電荷に変換する方式とが知られている。
【0004】
このようなX線検出器は、たとえば、所定の期間内に入射されたX線により発生した電荷を蓄積し、これを電圧に変換した後にディジタル値に変換することにより得られたディジタル値を生データ(画像データ)の画素値として出力する。
【0005】
X線診断装置は、上記の「画像データ」に対し、さらに階調処理や空間フィルタ処理などの画像処理を施し、画像処理後の画像データに基づく画像を観察用モニタに表示させる。また、X線CT装置は、1つの撮影シーケンスの中でX線発生器とX線検出器とを被検体の周囲に回転させながら、所定の間隔で上記「画像データ」を複数生成する。X線CT装置は、1つの撮影シーケンスで収集された複数の画像データに対し再構成処理を施すことにより被検体のX線吸収特性の3次元分布である3次元データを作成し、この3次元データに基づいて様々な呈示方法で観察用モニタに表示させる。
【0006】
[エネルギー積分型検出器]
X線光子により発生する電荷は、検出されたX線光子の数とX線光子のエネルギーとの積に略比例している上に、所定の期間内に入射されたX線光子すべての電荷を蓄積して処理するため、この種のX線検出器を「エネルギー積分型検出器」と呼ぶことがある。
【0007】
「エネルギー積分型検出器」が出力する画素値は、オフセット補正やゲイン補正や欠陥画素補正が施され、「画像データ」として、その後段側の画像処理過程に渡される。オフセット補正は、半導体の暗電流などに起因するオフセット成分を補正する処理である。ゲイン補正は、X線検出物質の感度の2次元のばらつき、増幅器ゲインのばらつき、又はX線分布の不均一性などを補正する処理である。欠陥画素補正は、周辺の正常画素の画素値から出力が異常な欠陥画素の画素値を推定して決定する処理である。
【0008】
「エネルギー積分型検出器」が出力する画素値から直接に量子ノイズの大きさを知ることは困難である。その理由は、(a)画素値は、検出された複数のX線光子の発生電荷量の総和に比例すること、(b)X線光子1個当たりの発生電荷量にはX線光子のエネルギーの影響があること、(c)オフセット成分が無視できないことなどである。しかしながら、2次元状に配列された画素のうち所望の画素の近傍の画素の画素値や、繰り返し収集された「画像データ」の同一画素の画素値に対する統計計算により量子ノイズの大きさを推定することが可能である。
【0009】
このような「エネルギー積分型検出器」に対し、近年、「光子計数型検出器」が実用化されている。
【0010】
[光子計数型検出器]
「光子計数型検出器」は、検出器上に設けられた画素に入射されたX線光子を1つずつ検出し、所定の期間内に入射されたX線光子の総数を当該画素の画素値として出力する。1つの画素にX線光子が入射されると、そのエネルギーに対応した電圧のパルスが発生する。「光子計数型検出器」は、このパルスが所定の電圧範囲内であるときにX線光子が検出されたと判断し、計数する。この判断は、予め設定された複数の閾値電圧と電圧パルスの波高(振幅)との比較により行われる。閾値電圧の下限は、半導体の暗電流を検知しないように設定されるため、「光子計数型検出器」が出力する画素値に対するオフセット補正は必要ない。
【0011】
また、「光子計数型検出器」では、X線から電荷への変換過程の変換効率の画素毎のばらつきや電荷を電圧に変換する増幅器の増幅率の画素毎のばらつきなどによって、あるエネルギーのX線光子1つに対する電圧パルスの波高(振幅)が画素毎にばらつく。このばらつきは、画素毎、又は複数の画素のグループ毎に設定される閾値電圧を調整することにより、均一化することが可能である。或いは、画素毎や画素のグループ毎に閾値電圧を設定する必要のない程度に、X線から電荷への変換過程の変換効率及び電荷を電圧に変換する増幅器の増幅率の画素毎のばらつきを小さくなるよう設計することで、ばらつきの問題を解決することができる。このように、「光子計数型検出器」のゲインのばらつきは、X線光子が各画素で検出され生成された電荷量に応じた電圧パルスを検知し閾値範囲内のものを計数するまでの過程において解決される。このため「エネルギー積分型検出器」の場合のように画像処理装置が検出器からの画素値を収集した後に行う「ゲイン補正」は、「光子計数型検出器」では不要である。
【0012】
以上のように、「光子計数型検出器」では、所定の期間内に計数された結果に対してオフセット補正やゲイン補正を行う必要はなく、その計数結果そのものがその画素で検出されたX線光子数nとなる。
【0013】
検出されたX線光子数nを画素値とする画像データには、光子と物質の相互作用が確率的であることに起因する「量子ノイズ」が含まれることが不可避である。この相互作用の結果はポアソン分布に従うことが知られており、検出されたX線光子数をnとしたとき、ノイズの強度(揺らぎの標準偏差)はnの1/2乗であることが知られている。
【0014】
画素で検出されたX線光子の数を信号成分とし、量子ノイズをノイズ成分とすると、信号対雑音比SNR(Signal−to−Noise Ratio)は、次式のように表される。
SNR=n/(n1/2)=n1/2
【0015】
これにより、SNRは、検出されたX線光子数であるnが大きいほど大きくなることがわかる。すなわち、SNRのよい画像を得るためには、検出するX線光子数を多くするとよいことがわかる。
【0016】
一般的な放射線診断装置において用いられる画像データは、1画素当たり8ビット〜20ビットなどが割り当てられ、画像の濃淡、すなわち被検体のX線吸収物質の2次元分布情報を表現する。このビット数は、画像の濃淡情報を診断に利用するために必要な画像のSNRを確保する観点から決定されている。従って、「光子計数型検出器」においても、診断に利用するために必要な画像のSNRを得るために1画素当たりのビット数が決定される。そのため、「光子計数型検出器」は、上記のように、診断に利用するために必要な画像のSNRを得るために十分なX線光子数を検出する必要があり、1画素当たりのビット数が大きくなる。
【0017】
「光子計数型検出器」の各画素で計数された結果は、内部配線を通して出力部に伝送され、検出器に接続された画像処理装置へ伝送される。伝送されるデータのビット数が大きくなると、検出器内部の配線が増えるため、検出器自身が大型化するという問題が発生する。
【0018】
また、検出器から画像処理装置への伝送においても、複数のビットのデータを並列的に伝送しようとすると、ケーブルに含まれる電線の数が多くなるという問題が発生する。さらに、検出器から画像処理装置への伝送において複数のビットのデータを無線通信などでシリアル伝送する場合、伝送時間が長くなるという問題が発生する。
【0019】
「光子計数型検出器」では、検出されたX線光子に対応する電圧パルスを検知するための検知部に対し、設定された複数の閾値によりX線光子のエネルギーを複数のグループに分割し、エネルギーグループ毎の光子を計数する構成も知られている。この場合、各画素では、計数結果が1つではなく、それぞれがエネルギーグループに対応した複数の計数結果が得られる。「光子計数型検出器」の後段側に設けられた画像処理装置では、これらをエネルギーグループ毎に1枚の画像データとして扱う。そのため、1回のX線照射に対して、「エネルギー積分型検出器」では1つの画像データが得られたのに対して、「光子計数型検出器」では複数の画像データが得られる。従って、「光子計数型検出器」を用いた場合では、より大容量の記憶装置が必要になるという問題がある。
【0020】
そこで、「光子計数型検出器」により得られた画像データを圧縮することで、検出器の小型化、伝送時間の短縮化、記憶容量の削減を図ることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2013−052134号公報
【特許文献2】特開2012−222453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、X線光子などの放射線光子の計数結果である放射線検出データを画像データに適用する場合、従来の手法では量子ノイズの特性を考慮していないため、圧縮して伝送したとしても、復元後に信号対雑音比を劣化させてしまう場合があった。また、量子ノイズの特性を考慮していないため、放射線検出データ(画像データ)を十分に圧縮できず、検出器の小型化や伝送時間の短縮化や記憶容量の削減を十分に図ることができない場合があった。
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、信号対雑音比を劣化させることなく、放射線検出データの圧縮が可能な放射線診断装置、放射線検出装置、及び放射線検出データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
実施形態の放射線診断装置は、放射線発生部と、放射線光子検出部と、圧縮部と、復元部と、画像作成部とを含む。放射線発生部は、放射線光子を発生する。放射線光子検出部は、放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出し、検出された放射線光子を所定のビット数で計数することにより放射線検出データを生成する。圧縮部は、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて出力する。復元部は、有効信号ビットと付帯情報とを受け、有効信号ビットのビット長を検出し、検出されたビット長と付帯情報とから算出された付加ビット長分の付加データを有効信号ビットの下位側に付加することにより放射線検出データの復元データを生成する。画像作成部は、復元部によって生成された復元データに基づいて画像を作成する。
また、実施形態の放射線検出装置は、放射線光子検出部と、放射線光子計数部と、圧縮部とを含む。放射線光子検出部は、放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する。放射線光子計数部は、放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する。圧縮部は、放射線光子計数部により放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する。また、圧縮部は、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて出力する。
また、実施形態の放射線検出装置は、複数の画素と、複数の出力バスとを含む。複数の画素は、2次元状に配列される。複数の出力バスは、各列又は各行の画素毎に共通に設けられる。各画素は、放射線光子検出部と、放射線光子計数部と、圧縮部とを含む。放射線光子検出部は、放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する。放射線光子計数部は、放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する。圧縮部は、放射線光子計数部により放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する。また、圧縮部は、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて各出力バスに出力する。
また、実施形態の放射線検出装置は、複数の画素と、複数の出力バスとを含む。複数の画素は、2次元状に配列される。複数の出力バスは、各列又は各行の画素毎に共通に設けられる。各画素は、エネルギーグループ毎に、放射線光子検出部と、放射線光子計数部と、圧縮部とを含む。放射線光子検出部は、放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する。放射線光子計数部は、放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する。圧縮部は、放射線光子計数部により放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する。圧縮部は、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて各出力バスに出力する。
また、実施形態の放射線検出装置は、複数の画素と、複数の出力バスと、圧縮部とを含む。複数の画素は、2次元状に配列される。複数の出力バスは、各列又は各行の画素毎に共通に設けられる。圧縮部は、複数の出力バスに接続可能に構成される。各画素は、放射線光子検出部と、放射線光子計数部とを含む。放射線光子検出部は、放射線発生部により発生され被検体を透過した放射線光子を検出する。放射線光子計数部は、放射線光子検出部により検出された放射線光子を所定のビット数で計数する。圧縮部は、放射線光子計数部により放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて出力する。
実施形態の放射線検出データ処理方法は、ビット位置検出ステップと、信号ビット抽出ステップと、付帯情報精製ステップとを含む。ビット位置検出ステップは、放射線光子を計数することにより得られた放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置を検出する。信号ビット抽出ステップは、ビット位置検出ステップにおいて検出された最大ビット位置に対応したビット数のビット列を放射線検出データの最大ビット位置から有効信号ビットとして抽出する。付帯情報生成ステップは、ビット位置検出ステップにおいて検出された最大ビット位置に基づいて、有効信号ビットに付帯させる付帯情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る放射線検出データにおける有効信号ビットと量子ノイズとの関係の説明図。
図2】第1実施形態に係る放射線診断装置の概略構成の機能ブロック図。
図3図2の圧縮部の概略構成の機能ブロック図。
図4図2の復元部の概略構成の機能ブロック図。
図5】第1実施形態に係る圧縮部の動作例のフロー図。
図6】第1実施形態に係る圧縮部の動作説明図。
図7】第1実施形態に係る復元部の動作例のフロー図。
図8】第1実施形態に係る復元部の動作説明図。
図9】第1実施形態に係る復元部の動作説明図。
図10】第1実施形態に係る復元部の動作説明図。
図11】第1実施形態の変形例に係る復元部の概略構成の機能ブロック図。
図12】第2実施形態に係る圧縮部の動作説明図。
図13】第2実施形態に係る復元部の動作説明図。
図14】第2実施形態に係る復元部の動作説明図。
図15】第3実施形態に係る放射線診断装置の概略構成の要部の機能ブロック図。
図16】第3実施形態に係る放射線診断装置の概略構成の機能ブロック図。
図17】第4実施形態に係るX線検出器のハードウェア構成例のブロック図。
図18図17の量子ビット圧縮器のハードウェア構成例のブロック図。
図19】第4実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例のブロック図。
図20図19の量子ビット復元部のハードウェア構成例のブロック図。
図21】第5実施形態に係るX線検出器のハードウェア構成例のブロック図。
図22】第6実施形態に係るX線検出器のハードウェア構成例のブロック図。
図23】第7実施形態に係るX線診断装置の概略構成の斜視図。
図24】第7実施形態に係るX線診断装置の概略構成の機能ブロック図。
図25】第8実施形態に係るX線CT装置の概略構成の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0027】
以下では、検出された放射線光子数を画素値とする画像データを「放射線検出データ」と表記する。また、「放射線検出データ」から「量子ノイズ」を除去することにより取得され、伝送すべき情報のビット列を「有効信号ビット」と表記する。さらに、「画像」と「画像データ」は一対一に対応するので、この実施形態においては、これらを同一視する場合がある。
【0028】
[第1実施形態]
<動作原理>
実施形態に係る放射線診断装置を説明する前に、動作原理について説明する。
【0029】
検出された放射線光子を計数することにより得られた画像データの画素値がP(Pは整数)であるものとする。また、画素値Pを2進数で表現したとき、最下位ビット(Least Significant Bit:以下、LSB)から0番目、1番目、2番目、・・・と数えて、MSB側に最も近く“1”が設定されているビット位置を「最大ビット位置」と呼ぶ。最大ビット位置がM番目のとき、画素値Pは、実数qを用いて次式のように表すことができる。
【0030】
【数1】
【0031】
検出された放射線光子数nを画素値とする画像データに含まれる量子ノイズの強度は、nの1/2乗である。従って、量子ノイズの大きさであるP1/2は、Mが偶数のとき、式(2)のように表される。ここで、M=2m(m=0,1,2,・・・、mは整数)である。
【0032】
【数2】
【0033】
式(1)のqに関する条件より、式(3)が成り立つ。
【0034】
【数3】
【0035】
式(2)および式(3)より、式(4)が成り立つ。
【0036】
【数4】
【0037】
式(4)から、画素値がPのとき、量子ノイズが2以上、すなわち(2−1)以上である。(2−1)は、2進数表現では(m−1)番目のビット位置が1でそれより下位のビットがすべて1である。従って、画素値がPである放射線検出データのビット列において最大ビット位置がM番目(=2m、偶数)のとき、m番目のビット位置から上位側は有効信号ビットであり、(m−1)番目のビット位置から下位側は量子ノイズとみなすことができる。
【0038】
また、量子ノイズの大きさであるP1/2は、Mが奇数のとき、式(5)のように表される。ここで、M=2m+1(m=0,1,2,・・・、mは整数)である。
【0039】
【数5】
【0040】
式(3)および式(5)より、Mが奇数の場合、式(6)が成り立つ。
【0041】
【数6】
【0042】
式(6)は、画素値がPのとき、量子ノイズが2以上、すなわち(2−1)以上であることを表す。従って、画素値がPである放射線検出データのビット列において最大ビット位置がM番目(=2m+1、奇数)のとき、m番目のビット位置から上位側は有効信号ビットであり、(m−1)番目のビット位置から下位側は量子ノイズとみなすことができる。従って、Mが偶数の場合も奇数の場合も、放射線検出データから下位側のmビットのデータを削除することにより、上位側の信号ビットを有効とすることで、放射線検出データを圧縮することが可能になる。
【0043】
図1に、この実施形態に係る放射線検出データにおける有効信号ビットと量子ノイズとの関係を説明するための図を示す。図1は、放射線検出データのビット長が16ビットである場合を表す。
【0044】
画素値が“0”ではない場合、最大ビット位置は第0ビット位置(LSB)から第15ビット位置(MSB)までのいずれかである。図1は、最大ビット位置が互いに異なるケース1〜ケース16までの16種類のケースと画素値が“0”である場合のケース17とを含めて17種類のケースを表す。
【0045】
図1に示すように、式(4)、式(6)などに従って、放射線検出データは、上位側のビット列(図1のJ1)である有効信号ビットと、下位側のビット列(図1のJ2)である量子ノイズとに分けられる。
【0046】
有効信号ビットの最大ビット位置におけるデータは、“1”(所定ビットデータ)である。放射線検出データにおいて、最大ビット位置より上位側のビット位置のデータは“0”である。有効信号ビットは、最大ビット位置より下位側にmビット(Mが偶数の場合)または(m+1)ビット(Mが奇数の場合)のビット列の“0”又は“1”のデータである。
【0047】
量子ノイズは、最大ビット位置から(m+1)ビット(Mが偶数の場合)または(m+2)ビット(Mが奇数の場合)以上だけ下位側のビット位置におけるビット列であり、各ビット位置のデータは“0”又は“1”である。
【0048】
たとえば、ケース1では、第15ビット目に“1”が設定されているので、最大ビット位置であるMは、“15”である。この場合、画素値Pは、次式のように表される。
【0049】
【数7】
【0050】
従って、量子ノイズは、次式のように表される。
【0051】
【数8】
【0052】
すなわち、ケース1では、第6ビット目以下を量子ノイズとみなすことができる(図1参照)。
【0053】
同様に、ケース2では、第14ビット目に“1”が設定されているので、最大ビット位置であるMは、“14”である。この場合、画素値Pは、次式のように表される。
【0054】
【数9】
【0055】
従って、量子ノイズは、次式のように表される。
【0056】
【数10】
【0057】
すなわち、ケース2では、ケース1と同様に、第6ビット目以下を量子ノイズとみなすことができる(図1参照)。
【0058】
ケース3〜ケース15についても、同様に、最大ビット位置であるMと最大ビット位置のパリティとにより特定が可能なビット位置以下を量子ノイズとみなすことができる(図1参照)。
【0059】
ケース16では、第0ビット目に“1”が設定されているので、最大ビット位置であるMは、“0”である。この場合、画素値Pは、次式のように表される。
【0060】
【数11】
【0061】
従って、量子ノイズは、次式のように表される。
【0062】
【数12】
【0063】
すなわち、ケース16では、m=0となるので、第0ビット目以上を信号として扱い画素値Pを保持する。このケースでは、信号対雑音比SNRが100%であるため、真の値は、”0”と“2”の間に存在する。従って、ケース17は、ケース16の場合に含まれると考えてよく、この場合も画素値Pを保持する。
【0064】
以上のように、放射線検出データのビット列における最大ビット位置が特定されると、当該放射線検出データのビット列における量子ノイズのビット列の特定が可能になり、伝送すべき情報のビット列である有効信号ビットの特定が可能になる。また、有効信号ビットのビット数が特定されると、式(2)及び式(5)に示すように、最大ビット位置が偶数であるか奇数であるかによって量子ノイズP1/2の特定が可能になる。この実施形態では、圧縮部100は、放射線検出データの最大ビット位置を検出し、検出された最大ビット位置に応じて特定が可能な有効信号ビットと最大ビット位置のパリティを示す付帯情報とを伝送データとして復元部200に送る。復元部200は、伝送された有効信号ビットにおける最大ビット位置を検出し、圧縮部100から受けた付帯情報を参照することにより、伝送された有効信号ビットから復元データを生成する。
【0065】
<放射線診断装置>
図2に、第1実施形態に係る放射線診断装置の概略構成の機能ブロック図を示す。図2に示す放射線診断装置には、X線診断装置やX線CT装置や核医学診断装置などがある。
【0066】
放射線診断装置1は、放射線発生部10と、放射線検出部20と、画像処理部30と、表示制御部40と、表示部50とを含んで構成されている。放射線発生部10は、放射線(放射線光子)を発生し、発生した放射線を被検体に曝射する。
【0067】
放射線検出部20は、放射線発生部10により曝射された放射線光子を検出し、検出された放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮して伝送データを生成する。この実施形態では、検出された放射線光子数がnである場合にポアソン分布に従って発生する「量子ノイズ」の強度(揺らぎの標準偏差)がnの1/2乗であることに着目して、放射線光子数nを画素値とする放射線検出データを圧縮して伝送データを生成する。
【0068】
すなわち、放射線検出部20は、放射線光子検出部21と、放射線光子計数部22と、圧縮部(量子ビット圧縮部)100とを含んで構成されている。放射線光子検出部21は、放射線発生部10が発生した放射線光子を検出する。放射線光子計数部22は、所定の期間内に放射線光子検出部21により検出された放射線光子を(2×N)ビット数で計数する。圧縮部100は、放射線光子計数部22により放射線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮して伝送データを生成する。この実施形態では、圧縮部100は、(2×N)(Nは正の整数)ビットの放射線検出データにおいて所定ビットデータ(たとえば、“1”)である最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて出力する。付帯情報は、放射線検出データの最大ビット位置に応じて生成される。この実施形態では、有効信号ビットは、放射線検出データの上位側の(N+1)ビットの信号データに含まれ、(N+1)ビットの信号データと1ビットの付帯情報とからなる伝送データとして、画像処理部30に伝送される。圧縮部100の構成及び動作については、後述する。
【0069】
画像処理部30は、放射線検出部20からの有効信号ビットと付帯情報とを受け、この有効信号ビットと付帯情報とから(2×N)ビットの放射線検出データの復元データを復元し、復元された復元データに基づいて画像を作成する。
【0070】
すなわち、画像処理部30は、復元部(量子ビット復元部)200と、画像作成部31とを含んで構成されている。復元部200は、放射線検出部20からの有効信号ビットのビット長を検出し、検出されたビット長と付帯情報とから付加ビット長を算出する。復元部200は、算出された付加ビット長分と付帯情報とにより決定されるビット長の付加データを有効信号ビットの下位側に付加することにより復元データを生成する。画像作成部31は、復元部200により復元された復元データに基づいて画像を作成する。復元部200の構成及び動作については、後述する。
【0071】
表示制御部40は、画像作成部31により生成された画像を表示部50に表示させる。表示部50は、画像作成部31により生成された画像(放射線画像)や、その他各種情報を表示する。表示部50は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイなどの表示装置で構成されている。
【0072】
圧縮部100と復元部200とにより、放射線検出データに対してデータ処理を施す放射線検出データ処理装置を構成することが可能である。
【0073】
以下、圧縮部100と復元部200について、画素値が(2×N)ビットで表現される画像データを扱うものとして説明する。
【0074】
<圧縮部>
図3に、図2の圧縮部100の概略構成の機能ブロック図を示す。
【0075】
圧縮部100は、ビット位置検出部110と、信号データ抽出部120と、付帯情報生成部130とを含んで構成されている。
【0076】
ビット位置検出部110は、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置を最大ビット位置として検出する。以下では、所定ビットデータが“1”であるものとする。
【0077】
ビット位置検出部110は、シフトアップ部111と、最上位ビット検出部112とを含んで構成されている。シフトアップ部111は、放射線検出データ(ビット列)を上位側に1ビットだけシフトする。最上位ビット検出部112は、シフトアップ部111により放射線検出データを上位側にシフトすることにより得られたシフトアップデータ又は放射線検出データのMSBのデータが上記の所定ビットデータ(“1”)であるか否かを検出する。ビット位置検出部110は、最上位ビット検出部112により最上位ビットのデータが所定ビットデータ(“1”)であることが検出されたときのシフトアップ部111によるシフトアップビット数に基づいて最大ビット位置を検出する。
【0078】
信号データ抽出部120は、ビット位置検出部110により検出された最大ビット位置に対応したビット数のビット列を放射線検出データの最大ビット位置から有効信号ビットとして抽出する。この実施形態では、信号データ抽出部120は、後述するように、有効信号ビットを含む(N+1)ビットの信号データを抽出する。
【0079】
信号データ抽出部120は、上位ビット抽出部121と、シフトダウンビット数算出部122と、シフトダウン部123とを含んで構成されている。上位ビット抽出部121は、シフトアップ部111により得られたシフトアップデータ(シフトアップビット数だけ放射線検出データを上位側にシフトして得られたデータ)から上位の(N+1)ビットのビット列を抽出する。すなわち、上位ビット抽出部121は、(2×N)ビットのシフトアップデータの上位(N+1)ビットのみを残して、下位(N−1)ビットを切り捨てる。シフトダウンビット数算出部122は、ビット位置検出部110により最大ビット位置が検出されたときのシフトアップ部111によるシフトアップビット数と付帯情報とに基づいて下位側にシフトすべきシフトダウンビット数を算出する。シフトダウン部123は、シフトダウンビット数算出部122により算出されたシフトダウンビット数だけ上記のシフトアップデータを下位側にシフトする。シフトダウン部123により得られたデータが、(N+1)ビットの信号データである。信号データ抽出部120は、「信号ビット抽出部」の一例である。
【0080】
付帯情報生成部130は、ビット位置検出部110により検出された最大ビット位置に基づいて、付帯情報(復元用補助ビット情報)を生成する。具体的には、付帯情報生成部130は、ビット位置検出部110により検出された最大ビット位置のパリティを示す情報を1ビットの付帯情報として生成する。付帯情報生成部130は、後述するように、ビット位置検出部110により最大ビット位置が検出されたときのシフトアップ部111によるシフトアップ数を2進数で表現した場合のLSBに基づいて付帯情報を生成することが可能である。
【0081】
以上より、圧縮部100は、(2×N)ビットの放射線検出データから、有効信号ビットを含むNビットの信号データと1ビットの付帯情報とからなる(N+2)ビットの伝送データを生成し、生成された伝送データを画像処理部30(復元部200)に送る。
【0082】
<復元部>
図4に、図2の復元部200の概略構成の機能ブロック図を示す。
【0083】
復元部200は、ビット長検出部210と、付加ビット長算出部220と、復元データ生成部230とを含んで構成されている。
【0084】
ビット長検出部210は、圧縮部100からの(N+2)ビットの伝送データのうち有効信号ビットを含む(N+1)ビットの信号データを受ける。ビット長検出部210は、有効信号ビットにおける最大ビット位置を検出することにより、有効信号ビットのビット長を検出する。なお、信号データのビット長は予め決められているため、検出された最大ビット位置に基づいて、信号データから有効信号ビットの特定が可能である。
【0085】
付加ビット長算出部220は、圧縮部100からの(N+2)ビットの伝送データのうち1ビットの付帯情報を受ける。付加ビット長算出部220は、ビット長検出部210により検出されたビット長と付帯情報とに基づいて、有効信号ビットの下位側に付加すべきビット長である付加ビット長を算出する。その具体例として、付加ビット長算出部220は、ビット長検出部210により検出されたビット長と付帯情報とを加算することによって付加ビット長を算出する。
【0086】
復元データ生成部230は、付加ビット長算出部220により算出された付加ビット長分だけ有効信号ビットを上位側にシフトすることによって得られたシフトデータの下位側に所定の付加データを付加することにより(2×N)ビットの復元データを生成する。
【0087】
復元データ生成部230は、シフトアップ部231と、データ付加部232と、付加データ記憶部233とを含んで構成されている。シフトアップ部231は、圧縮部100からの有効信号ビットを、付加ビット長算出部220により算出された付加ビット長分だけ上位側にシフトすることによりシフトアップデータを生成する。データ付加部232は、シフトアップ部231により生成されたシフトアップデータの下位側に付加データを付加する。付加データは、シフトアップデータに応じたビット長を有する。付加データ記憶部233は、データ付加部232によって付加される付加データを予め記憶する。付加データは、各ビットのデータがすべて“0”のデータ、各ビットのデータがすべて“1”のデータ、最上位のビットのデータのみが“1”でそれ以外のデータが“0”であるデータ、又は最上位のビットのデータのみが“0”でそれ以外のデータが“1”であるデータのいずれかである。なお、付加データは、後述するように、乱数であってもよい。
【0088】
<動作例>
次に、図5図10を参照しつつ、圧縮部100及び復元部200の動作例について説明する。
【0089】
図5に、この実施形態に係る圧縮部100の動作例のフロー図を示す。
図6に、この実施形態に係る圧縮部100の動作説明図を示す。図6では、Nが“8”であるものとする。
【0090】
(S1、S2)
ビット位置検出部110は、MSBに“1”が設定されるまで、2進数で表現された16ビットの放射線検出データを上位側にシフトする。具体的には、最上位ビット検出部112は、放射線検出データ、又はシフトアップ部111により放射線検出データをシフトすることにより得られたシフトアップデータのMSBに“1”が設定されているか否かを検出する(S1)。MSBに“1”が設定されていることが検出されたとき(S1:Y)、ビット位置検出部110は、シフトアップ部111によるシフトアップビット数を保存し、圧縮部100の動作はS3に移行する。MSBに“1”が設定されていることが検出されないとき(S1:N)、シフトアップ部111は、16ビットの放射線検出データを1ビットだけ上位側にシフトし(S2)、圧縮部100の動作は、S1に移行する。S1、S2は、「ビット位置検出ステップ」の一例である。
【0091】
図6には、MSBに“1”が設定されていることが検出されたときのシフトアップデータ(J3は有効信号ビット、J4は量子ノイズ)と、シフトアップビット数が図示されている。なお、ケース10〜ケース17のように、シフトアップビット数が大きいために元のデータ(画素値)が存在しないビット位置には“0”を詰めていく。また、放射線検出データ(画素値)が“0”の場合(ケース17)、15(=2×N−1)ビット分だけシフトしてもMSBに“1”が設定されないが、それ以上のシフト動作は行わなず、シフトアップビット数は15(=2×N−1)とする。
【0092】
(S3〜S5)
信号データ抽出部120は、ビット位置検出部110により検出された最大ビット位置に対応したビット数のビット列を放射線検出データの最大ビット位置から有効信号ビットを含む信号データとして抽出する。ここでは、上位ビット抽出部121は、シフトアップ部111により上位側にシフトされた16(=2×N=2×8)ビットのシフトアップデータのうち上位側の8(=N)ビットのみを残して、下位側の8ビットを切り捨てる(S3)。シフトダウンビット数算出部122は、式(13)に従ってシフトダウンビット数を算出する(S4)。
【0093】
シフトダウンビット数=(シフトアップビット数+シフトアップビット数の偶奇に応じて0又は1)/2 ・・・(13)
【0094】
たとえば、ケース15では、シフトアップビット数が“14”で、且つ、偶数であるため、シフトダウンビット数=(14+0)/2=7である。また、たとえば、ケース14では、シフトアップビット数が“13”で、且つ、奇数であるため、シフトダウンビット数=(13+1)/2=7である。
【0095】
なお、シフトアップビット数の偶奇は、シフトアップビット数を2進数で表現した場合のLSBのデータである。従って、シフトアップビット数とシフトアップビット数を2進数で表現した場合のLSBのデータとを加算することにより、シフトダウンビット数を算出することが可能である。また、図6に示すように、シフトアップビット数は最大ビット位置に対応しているため、シフトアップビット数と最大ビット位置のパリティとを用いてシフトダウンビット数を算出することも可能である。
【0096】
シフトダウン部123は、S3において得られた上位9(=N+1)ビットのシフトアップデータを下位側にシフトダウンビット数分だけシフトし、量子ノイズに相当するビット列が除去され有効信号ビットのみを残す(S5、ノイズビット掃出し)。これにより、伝送データとして復元側に伝送される有効信号ビットを含む9ビットの信号データが生成される。図6には、ノイズビット掃出し後の9ビットの信号データ(J5は有効信号ビット)が図示されている。S3〜S5は、「信号ビット抽出ステップ」の一例である。
【0097】
(S6)
付帯情報生成部130は、ビット位置検出部110により検出された最大ビット位置に基づいて、付帯情報(復元用補助ビット情報)を生成する。具体的には、付帯情報生成部130は、シフトアップビット数を2進数で表現した場合のLSBのデータを抽出することにより、このデータを復元用補助ビット情報としての付帯情報とする。この実施形態では、上記のようにシフトアップビット数は最大ビット位置に対応している。そのため、付帯情報生成部130は、シフトアップビット数を2進数で表現した場合のLSBのデータに対応する最大ビット位置のパリティに基づいて、復元用補助ビットとして付帯情報を生成することが可能である。S6は、「付帯情報生成ステップ」の一例である。
【0098】
(S7)
圧縮部100は、シフトダウン部123により得られたノイズビット掃出し後の8ビットの信号データと、付帯情報生成部130により生成された1ビットの付帯情報とからなる(9+1)ビットの伝送データを画像処理部30に出力する。その後、圧縮部100は、一連の動作を終了する(エンド)。
【0099】
図7に、この実施形態に係る復元部200の動作例のフロー図を示す。
図8図10に、この実施形態に係る復元部200の動作説明図を示す。図8図10においても、Nが“8”であるものとする。なお、図10において、図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0100】
(S11)
ビット長検出部210は、9ビットの信号データを受け、この信号データに含まれる有効信号ビットの最大ビット位置を検出することにより、検出ビット長として有効信号ビットのビット長を検出する(図8のJ11)。LSB側から0番目、1番目、2番目、・・・と数え、たとえば8番目のビット位置が上記のビット位置である場合、ビット長検出部210は、検出ビット長として“9”を検出する。S11は、「ビット長検出ステップ」の一例である。
【0101】
(S12)
付加ビット長算出部220は、S11において検出された検出ビット長と圧縮部100からの1ビットの付帯情報とに基づいて、式(14)に従って付加ビット長を算出する(図8のJ12)。S12は、「付加ビット長算出ステップ」の一例である。
【0102】
付加ビット長=検出ビット長+付帯情報(復元用補助ビット情報)−2 ・・・(14)
【0103】
(S13、S14)
復元データ生成部230は、付加ビット長算出部220により算出された付加ビット長に基づいて、有効信号ビットから16ビットの復元データを生成する。具体的には、シフトアップ部231は、圧縮部100からの有効信号ビットを、付加ビット長のビット数分だけ上位側にシフトする(S13)。図9には、シフトアップ部231により上位側にシフトされた9ビットのシフトアップデータ(復元データ)(J13)(有効信号ビットはJ14)が図示されている。なお、付加ビット長算出部220により算出された付加ビット長がゼロ以下の場合は付加ビット数をゼロとする。
【0104】
データ付加部232は、シフトアップ部231により得られたシフトアップデータの下位側に付加データを付加する(S14)。付加データは、上記のように、各ビットのデータがすべて“0”のデータ、各ビットのデータがすべて“1”のデータ、最上位のビットのデータのみが“1”でそれ以外のデータが“0”であるデータ、又は最上位のビットのデータのみが“0”でそれ以外のデータが“1”であるデータのいずれかから選択可能である。S13、S14は、「復元データ生成ステップ」の一例である。
【0105】
なお、付加データは、圧縮側のS3において切り捨てられた情報に対応するものである。S3において切り捨てられた情報は、各ビットのデータがすべて“0”のデータと各ビットのデータがすべて“1”のデータとの間をランダムに分布している。従って、付加データとして最上位のビットのデータのみが“1”でそれ以外のデータが“0”であるデータが選択された場合、切り捨て前の統計的な平均レベルを復元することが可能である。また、付加データは、最上位のビットのデータのみが“0”でそれ以外のデータが“1”であるデータであってもよい。切り捨て前の統計的な平均レベルを復元する必要がない場合には、付加データとして、各ビットのデータがすべて“0”のデータや各ビットのデータがすべて“1”のデータであってもよい。
【0106】
図9には、付加データとして最上位のビットのデータのみが“1”でそれ以外のデータが“0”であるデータが選択された場合の復元データの例が図示されている。図9では、ケース14〜ケース17を除いて、統計的な平均レベルを復元するように各ビットのデータが付加される。ケース13及びケース14では、付加すべきビットが1ビットであるため、統計的な平均レベルを復元することができない。しかしながら、これらのケースでは、復元時にランダムに発生させた“0”又は“1”を付加することにより、複数の放射線検出データの間では統計的な平均レベルを復元することが可能になる。また、ケース15、16および17は、付加ビット長がゼロ以下であるため、付加データが存在しない。圧縮前の放射線検出データがそのまま設定されている。
【0107】
図10には、付加データとして各ビットのデータがすべて“0”のデータが選択された場合の復元データの例が図示されている。ケース15、16および17は、付加ビット長がゼロ以下であるため、付加データが存在せず、圧縮前の放射線検出データが設定されている。
【0108】
なお、第1実施形態に係る圧縮部100と復元部200とにより構成される放射線検出データ処理装置を、放射線データ処理方法として適用することが可能である。すなわち、放射線検出データ処理方法は、ビット位置検出ステップと、信号データ抽出ステップと、付帯情報生成ステップとを含む。ビット位置検出ステップは、放射線光子を計数することにより得られた放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置を検出する。信号ビット抽出ステップは、ビット位置検出ステップにおいて検出された最大ビット位置に対応したビット数のビット列を放射線検出データの最大ビット位置から有効信号ビットとして抽出する。付帯情報生成ステップは、ビット位置検出ステップにおいて検出された最大ビット位置に基づいて、有効信号ビットに付帯させる付帯情報を生成する。この付帯情報は、ビット位置検出ステップにおいて検出されたビット位置のパリティを示す情報とすることができる。
【0109】
また、放射線検出データ処理方法は、さらに、ビット長検出ステップと、付加ビット長算出ステップと、復元データ生成ステップとを含む。ビット長検出ステップは、有効信号ビットにおける最大ビット位置を検出することにより、有効信号ビットのビット長を検出する。付加ビット長算出ステップは、ビット長検出ステップにおいて検出されたビット長と付帯情報とに基づいて、有効信号ビットの下位側に付加すべきビット長である付加ビット長を算出する。復元データ生成ステップは、付加ビット長算出ステップにおいて算出された付加ビット長分だけ有効信号ビットを上位側にシフトし、シフトすることにより得られたシフトデータの下位側に所定の付加データを付加することにより放射線検出データの復元データを生成する。
【0110】
以上説明したように、第1実施形態では、放射線発生部10により発生された放射線光子を検出し、検出された放射線光子を計数することにより得られた放射線検出データに対し、ポアソン分布の標準偏差を基準にして圧縮処理を施す。
【0111】
これにより、量子ノイズの特性を考慮して伝送すべきデータのビット数を削減して画像処理部30に送ることができるため、信号の生成原理に沿った圧縮が可能になる。このため、この実施形態によれば、画像処理部30において生成される画像に偽像が発生しにくくなり、信号対雑音比を損なうことなく、放射線検出データを圧縮することができる。また、伝送すべきデータの情報量を(2×N)ビットから(N+2)ビットに圧縮することができる。これにより、放射線検出部20内部や放射線検出部20と画像処理部30との間の信号伝送に関わる伝送時間や配線コストを低減することが可能になる。さらに、圧縮側と復元側との間で放射線検出データを記憶装置(記憶媒体)に一時的に保存する場合は、放射線検出データの保存に必要な記憶装置(記憶媒体)の容量を小さくすることが可能になる。
【0112】
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態において、復元部200のデータ付加部232は、シフトアップ部231により上位側にシフトされたシフトアップデータの下位側に、予め記憶された付加データを付加するものとして説明したが、これに限定されるものではない。第1実施形態の変形例では、乱数発生部により発生された乱数が、シフトアップ部231により上位側にシフトされたシフトアップデータの下位側に付加される。
【0113】
以下、第1実施形態の変形例に係る放射線診断装置について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。第1実施形態の変形例に係る放射線診断装置の構成が、第1実施形態に係る放射線診断装置1の構成と異なる点は、画像処理部が有する復元部である。
【0114】
図11に、第1実施形態の変形例に係る復元部の概略構成の機能ブロック図を示す。図11において、図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0115】
復元部200aは、ビット長検出部210と、付加ビット長算出部220と、復元データ生成部230aとを含んで構成されている。
【0116】
復元データ生成部230aは、シフトアップ部231と、データ付加部232と、乱数発生部234とを含んで構成されている。乱数発生部234は、付加ビット長算出部220により算出された付加ビット長と付帯情報とにより特定されるビット数を有する乱数を発生する。データ付加部232は、シフトアップ部231により生成されたシフトアップデータの下位側に、乱数発生部234により発生された乱数を付加データとして付加する。
【0117】
本変形例に係る復元部200aの動作は、シフトアップデータに付加される付加データが乱数である点を除いて、第1実施形態と同様であるため、本変形例に係る復元部200aの動作の説明については省略する。
【0118】
上記のように、付加データは、圧縮側のS3において切り捨てられた情報に対応するものであるため、本変形例によれば、量子ノイズを乱数発生部234で擬似的に発生させることができるので、切り捨て前の統計的な平均レベルを復元することが可能になる。
【0119】
[第2実施形態]
第1実施形態では、画素値がPの放射線検出データにおいて、P1/2を量子ノイズの大きさとみなしていたが、P1/2は、ノイズの標準偏差であるため、ノイズの大きさの1つの標準的な見積もり基準であるに過ぎないと言える。従って、画素値がPの放射線検出データに対し、圧縮により切り捨てるビット数を変更することにより、ノイズの大きさを多めに見積もったり、少なく見積もったりすることが可能である。
【0120】
第2実施形態では、画素値がPの放射線検出データに対し、圧縮により切り捨てるノイズの大きさを少なく見積もるものとする。この場合、有効信号ビットが含まれる範囲が大きくなるため、記憶装置等に必要な容量が大きくなり、且つ、伝送データのビット数が増加する。しかしながら、復元部は、第1実施形態と比較して、圧縮前の放射線検出データにより近い復元データに復元することが可能になる。
【0121】
そのため、第2実施形態では、画素値がPである放射線検出データにおいて、最大ビット位置がMのとき、1≦α<(N−1)(αは整数)として、Mが偶数の場合には上位側の(m+1+α)ビットを、Mが奇数の場合には上位側の(m+2+α)ビットを有効信号ビットとみなし、下位側の(m−α)ビットを量子ノイズとみなす。なお、第1実施形態は、α=0の場合に相当する。
【0122】
以下、第2実施形態に係る放射線診断装置について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
第2実施形態に係る放射線診断装置の構成は、第1実施形態に係る放射線診断装置1の構成と同様の構成を有しており、第1実施形態では(N+1)ビットの信号データを生成するのに対し、第2実施形態では(N+1+α)ビットの信号データを生成する点が異なる。そのため、第2実施形態では、圧縮側において信号データを生成する処理が第1実施形態と異なり、復元側において信号データから復元データを生成する処理が第1実施形態と異なる。
【0124】
図12に、第2実施形態に係る圧縮部の動作説明図を示す。図12において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図12では、説明の便宜上、α=1であるものとする。
【0125】
図12には、MSBに“1”が設定されていることが検出されたときのシフトアップデータ(J21は、第1実施形態の量子ノイズの一部)と、シフトアップビット数が図示されている。なお、ケース8〜ケース17のように、シフトアップビット数が大きいために元のデータ(画素値)が存在しないビット位置には“0”を詰めていく。図12に示すように、第2実施形態に係る信号データ抽出部は、16(=2×N=2×8)ビットの放射線検出データの最大ビット位置から最大で10(=N+1+1=9+1)ビットの有効信号ビットを含む信号データを抽出する。ここでは、第2実施形態に係る上位ビット抽出部は、シフトアップ部111により上位側にシフトされた16(=2×N=2×8)ビットのシフトアップデータのうち上位側の10(=N+1+α=9+1)ビットのみを残して、下位側の6(=N−1−α=7−1)ビットを切り捨てる。第2実施形態に係るシフトダウンビット数算出部は、式(13)に従ってシフトダウンビット数を算出する。ただしシフトアップビット数が(2N−2=14)以上の場合は、式(13)に従って算出された結果に1を加算する。これはシフトアップビット数が(2N−2=14)以上となるケース15から17の場合には、下位ビットに追加すべきビットがないためである。図12には、ノイズビット掃出し後の10ビットの有効信号ビット(J22、J5は第1実施形態の有効信号ビット)が図示されている。
【0126】
第2実施形態に係る圧縮部は、シフトダウン部により得られたノイズビット掃出し後の10ビットの信号データと、第2実施形態に係る付帯情報生成部により生成された1ビットの付帯情報とからなる(10+1)ビット(α=1)の伝送データを画像処理部30に出力する。
【0127】
図13及び図14に、第2実施形態に係る復元部の動作説明図を示す。図13において、図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図14において、図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図13及び図14では、説明の便宜上、α=1であるものとする。
【0128】
第2実施形態に係るビット長検出部は、有効信号ビットを受け、有効信号ビットの最大ビット位置を検出することにより、検出ビット長として有効信号ビットのビット長を検出する(図13のJ23)。LSB側から0番目、1番目、2番目、・・・と数え、たとえば9番目のビット位置が上記のビット位置である場合、第2実施形態に係るビット長検出部は、検出ビット長として“10”を検出する。
【0129】
第2実施形態に係る付加ビット長算出部は、検出された検出ビット長と圧縮部からの1ビットの付帯情報とに基づいて、式(15)に従って付加ビット長を算出する(図13のJ24)。すなわち、第2実施形態に係る付加ビット長算出部は、検出されたビット長と付帯情報とを加算し、その加算結果から(2×(1+α))を減算することにより付加ビット長を算出する。なお、式(15)により得られた算出結果が負の場合、式(15)の算出結果を“0”とする(α=1)。
【0130】
付加ビット長=検出ビット長+付帯情報(復元用補助ビット情報)−2×(1+α)
=検出ビット長+付帯情報(復元用補助ビット情報)−4 ・・(15)
【0131】
第2実施形態に係る復元データ生成部は、第2実施形態に係る付加ビット長算出部により算出された付加ビット長に基づいて、有効信号ビットから16ビットの復元データを生成する。具体的には、第2実施形態に係るシフトアップ部は、圧縮部からの有効信号ビットを、付加ビット長のビット数分だけ上位側にシフトする。図14には、第2実施形態に係るシフトアップ部により上位側にシフトされた10ビットのシフトアップデータ(復元データ)(J25)(第1実施形態の有効信号ビットはJ26)が図示されている。
【0132】
第2実施形態に係るデータ付加部は、第2実施形態に係るシフトアップ部により得られたシフトアップデータの下位側に付加データを付加する。付加データは、第1実施形態又はその変形例と同様である。但し、図14に示すように、ケース13〜ケース17では、付加ビット長が“0”であるため、何も付加しない。
【0133】
以上のように、第2実施形態では、(2×N)ビットの放射線検出データにおいて、上位側の(m+1+α)ビットを有効信号ビットとみなし、下位側の(m−α)ビットを量子ノイズとみなす。
【0134】
これにより、放射線診断装置の使用目的に応じてαを選択することにより、適切な圧縮の程度が選択可能になる。量子ノイズの特性であるポアソン分布の標準偏差に無関係に圧縮の程度を制御する場合に比べて、全画素に対してポアソン分布の標準偏差を基準にして圧縮の程度を制御するので、信号の生成原理に沿った圧縮となり偽像が発生しにくくなる。
【0135】
なお、放射線検出データをより圧縮する場合には、画素値がPで最大ビット位置がMのとき、下位側の(m−1+β)(1≦β≦N、βは整数)ビットを量子ノイズとみなしてもよい。この場合、第2実施形態において、たとえば、「α」を「−β」と置き換えることにより、伝送すべき信号データのビット数を削減することが可能な圧縮部及び復元部を実現することができる。
【0136】
[第3実施形態]
上記の実施形態やその変形例では、圧縮部により生成された伝送データが直接に復元部に送られ、復元部がこの伝送データから復元データを生成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。第3実施形態では、上記の実施形態やその変形例に係る圧縮部及び復元部の間に可逆圧縮部とこの可逆圧縮部に対応した可逆復元部とが設けられ、圧縮部と復元部との間で、伝送データを可逆圧縮処理されたデータが伝送される。
【0137】
図15に、第3実施形態に係る放射線診断装置の概略構成の要部の機能ブロック図を示す。図15において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0138】
第3実施形態に係る放射線検出部20cは、データ圧縮部23cを含んで構成されている。データ圧縮部23cは、圧縮部100と、可逆圧縮部24cとを含んで構成されている。
【0139】
第3実施形態に係る画像処理部30cは、データ復元部32cを含んで構成されている。データ復元部32cは、可逆復元部33cと、復元部200とを含んで構成されている。
【0140】
図16に、第3実施形態に係る放射線診断装置の概略構成の機能ブロック図を示す。図16において、図2又は図15と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0141】
第3実施形態に係る放射線診断装置1cでは、圧縮部100は、第1実施形態と同様に、放射線光子計数部22により放射線光子を計数することによって得られた(2×N)ビットの放射線検出データを圧縮して(N+2)ビットの伝送データを生成する。可逆圧縮部24cは、圧縮部100によって生成された(N+2)ビットの伝送データに対し、公知の可逆圧縮処理を施すことにより圧縮データを生成する。ここで、可逆圧縮処理は、伝送データのビットサイズである(N+2)ビットをより小さくする処理であってもよいし、所定の期間内に伝送される総データサイズをより小さくする処理であってもよい。可逆圧縮部24cによって生成された圧縮データは、画像処理部30cに出力される。
【0142】
可逆復元部33cは、データ圧縮部23cからの圧縮データを受け、この圧縮データに対し、可逆復元処理を施すことにより可逆圧縮処理前の(N+2)ビットの伝送データに復元する。ここで、可逆復元処理は、可逆圧縮部24cにより行われる可逆圧縮処理に対応した処理である。可逆復元部33cによって復元された伝送データは、復元部200に出力される。復元部200は、上記のように、伝送データから(2×N)ビットの復元データに復元する。画像処理部30cは、画像作成部において、この復元データに基づいて画像を作成する。
【0143】
可逆圧縮処理及びこれに対応した可逆復元処理は、公知の可逆圧縮処理及びこれに対応した可逆復元処理でよいため、それぞれの処理の内容についての説明を省略する。
【0144】
なお、図15又は図16に示すデータ圧縮部23cにおける圧縮部100は、第2実施形態に係る圧縮部であってもよい。同様に、図15又は図16に示すデータ復元部32cにおける復元部200は、圧縮部に対応していることを条件に、第1実施形態の変形例に係る復元部であってもよいし、第2実施形態に係る復元部であってもよい。
【0145】
以上説明したように、第3実施形態では、上記の実施形態又はその変形例に係る圧縮部及び復元部の間に、可逆圧縮部24c及び可逆復元部33cが設けられる。これにより、第3実施形態によれば、上記の実施形態又はその変形例と比較して、信号対雑音比を損なうことなく、圧縮側から復元側に伝送されるデータサイズをより小さくすることが可能になる。従って、放射線検出部20c内部や放射線検出部20cと画像処理部30cとの間の信号伝送に関わる伝送時間や配線コストをより一層低減することが可能になる。さらに、圧縮側と復元側との間で放射線検出データを記憶装置(記憶媒体)に一時的に保存する場合は、放射線検出データの保存に必要な記憶装置(記憶媒体)の容量をより一層小さくすることが可能になる。
【0146】
[第4実施形態]
上記の実施形態又はその変形例は、放射線検出部の構成や画像処理部の構成に限定されるものではない。上記の実施形態又はその変形例に係る放射線診断装置がX線診断装置やX線CT装置である場合、放射線検出部として以下のような構成を有するX線検出器の適用が可能である。同様に、画像処理部として以下のような構成を有する画像処理装置の適用が可能である。なお、以下の説明において、「画素」は、「検出ブロック」としてもよい。
【0147】
<X線検出器>
図17に、第4実施形態に係るX線検出器のハードウェア構成例のブロック図を示す。図17は、説明の便宜上、X線検出器の一部の構成のみを表す。
図18に、図17の量子ビット圧縮器のハードウェア構成例のブロック図を示す。図18において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0148】
第4実施形態に係るX線検出器300は、2次元状に配列されたJ×K(J,Kは2以上の整数)個の画素31011〜310JKと、各列に設けられたJ本の各列用の出力バスBS〜BSと、各列に設けられたJ個の出力バッファ320〜320と、出力バスBOとを含んで構成されている。画素31011〜310JKのそれぞれは、同様の構成を有している。図17では、第i(1≦i≦J、iは整数)列の画素310i1〜310iKのうちの画素310i1と、第i列用の出力バスBSと、第i列用の出力バスBSiに接続される出力バッファ320と、出力バッファ320に接続されるX線検出器300の出力バスBOのみが図示されている。出力バスBSには、第i列における画素310i1〜310iKが接続されている。出力バスBS、BOは、それぞれ(N+2)ビットのバス幅を有する。すなわち、2次元状に配列された複数の画素のうち各列の画素は、共通の1つの出力バス(BS)が接続され、各列の画素のうちの1つの出力データが、この出力バスに出力される。各列の出力バス(BS)は、各列に設けられた出力バッファに接続され、各列に設けられた出力バッファは、X線検出器300の出力バスBOに接続される。
【0149】
画素310i1は、X線−電荷変換部311i1と、電荷電圧変換器312i1と、比較器313i1と、光子数カウンタ314i1と、量子ビット圧縮器315i1と、出力バッファ316i1とを含んで構成されている。
【0150】
X線−電荷変換部311i1は、放射線発生部10としてのX線発生部により発生され被検体を透過したX線が入射し吸収されると、電荷を発生する。電荷電圧変換器312i1は、X線−電荷変換部311i1により発生された電荷に対応した電圧パルスに変換する。比較器313i1には、電荷電圧変換器312i1により変換された電圧パルスと、予め設定された上限閾値及び下限閾値とが入力される。
【0151】
比較器313i1は、電荷電圧変換器312i1により変換された電圧パルスの波高値(振幅値)が上限閾値以下で、且つ、下限閾値以上であるとき、検出パルスを出力する。上限閾値は、たとえば、X線発生部を構成するX線管の管電圧やパイルアップピーク等を考慮して設定される。下限閾値は、たとえば、X線−電荷変換部311i1を構成する半導体の暗電流を検知しないように設定される。上限閾値は、事後的に変更可能に構成される。下限閾値もまた、事後的に変更可能に構成される。また、上限閾値及び下限閾値は、(J×K)個の画素31011〜310JKに共通に設定されてもよいし、所定の領域内の画素毎に設定されてもよいし、画素毎に個別に設定されてもよい。
【0152】
光子数カウンタ314i1には、制御部(図示せず)からのX線照射開始タイミング信号と、比較器313i1により出力された検出パルスとが入力される。制御部は、たとえば、X線検出器300が搭載されるX線診断装置やX線CT装置などのコンソール装置に設けられる。X線照射開始タイミング信号は、X線診断装置やX線CT装置におけるX線照射の開始タイミングを通知する信号である。光子数カウンタ314i1は、X線照射開始タイミング信号によりX線照射の開始タイミングが通知されると、計数値を初期化した後、比較器313i1からの検出パルスの数をX線光子数として計数を開始する。光子数カウンタ314i1は、計数値を(2×N)ビットの放射線検出データとして、量子ビット圧縮器315i1に出力する。
【0153】
量子ビット圧縮器315i1には、制御部からのX線照射終了信号と、光子数カウンタ314i1によって出力された放射線検出データとが入力される。X線照射終了信号は、X線診断装置やX線CT装置におけるX線照射の終了を通知する信号である。量子ビット圧縮器315i1は、図18に示すように、最上位ビット検出器317i1と、ノイズビット掃出し器318i1とを含み、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る圧縮部の機能を実現する。最上位ビット検出器317i1は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係るビット位置検出部の機能を実現する。ノイズビット掃出し器318i1は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る信号データ抽出部及び付帯情報生成部の機能を実現する。
【0154】
このような量子ビット圧縮器315i1は、X線照射終了信号によりX線照射の終了が通知されると、通知された時点の放射線検出データを取り込む。量子ビット圧縮器315i1が第1実施形態に係る圧縮部100の機能を実現する場合、量子ビット圧縮器315i1は、取り込まれた(2×N)ビットの放射線検出データを(N+2)ビットの伝送データに圧縮する。
【0155】
出力バッファ316i1には、制御部からの第1行選択信号と、量子ビット圧縮器315i1により生成された伝送データとが入力される。第1行選択信号は、2次元状に配列された(J×K)個の画素31011〜310JKのうち第1行目に配列された画素31011〜310J1を選択するための信号である。出力バッファ316i1は、第1行選択信号により選択されたとき、量子ビット圧縮器315i1により生成された伝送データを第i列用の出力バスBSに出力する。
【0156】
X線−電荷変換部311i1、電荷電圧変換器312i1、及び比較器313i1は、放射線光子検出部21の機能を実現する。光子数カウンタ314i1は、放射線光子計数部22の機能を実現する。量子ビット圧縮器315i1は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る圧縮部の機能を実現する。この圧縮部は、出力バッファ316i1の機能を実現してもよい。
【0157】
以上のように、X線検出器300では、各列の画素のうち行選択信号により選択された画素において生成された伝送データが、各列用の出力バスに出力される。従って、各列の画素の1つを行選択信号により1つずつ選択することにより、2次元状に配列された画素31011〜310JKにおいて生成された伝送データを順次に出力させることができる。
【0158】
以下、量子ビット圧縮器315i1に、第1実施形態に係る圧縮部100が適用された場合につい説明する。
【0159】
第i列では、X線検出器300は、制御部からのX線照射開始タイミング信号を受けて、光子数カウンタ314の計数値を初期化した後、計数を開始する。X線−電荷変換部311i1は、X線光子が入射し吸収されると電荷を発生する。電荷電圧変換器312i1は、X線−電荷変換部311i1により発生された電荷に応じた波高値(振幅値)の電圧パルスに変換する。比較器313i1は、この電圧パルスの波高値(振幅値)と上限閾値電圧及び下限閾値電圧とを比較し、電圧パルスの波高値(振幅値)が両閾値の間にあるとき、検出パルスを出力する。光子数カウンタ314i1は、この検出パルスを受けて、計数値をインクリメントする。
【0160】
X線照射期間が終了すると、X線検出器300は、図示しない制御部からX線照射終了信号を受ける。すると、量子ビット圧縮器315i1は、光子数カウンタ314i1により計数された(2×N)ビットの計数値である放射線検出データに対し、上記の圧縮処理を施す。
【0161】
量子ビット圧縮器315i1では、最上位ビット検出器317i1が、(2×N)ビットの放射線検出データを上位側に1ビットシフトしながら、最大ビット位置を検出し、シフトアップビット数を決定する。上位側にシフトされ上位側から数えて、たとえばNビット分のデータと、シフトアップビット数とは、ノイズビットビット掃出し器318i1に送られ、Nビット分のデータからノイズ掃出しが実施される。このノイズ掃出しにより、有効信号ビットのみが残り、残った有効信号ビットのビット列がLSBから上位側に配置された状態となる。また、シフトアップビット数に基づき、復元用補助ビット情報としての1ビットの付帯情報が決定される。ノイズビット掃出し器318i1は、ノイズが掃き出された有効信号ビットを含む信号データと1ビットの付帯情報とからなる伝送データを、出力バッファ316i1に出力する。
【0162】
制御部からの行選択信号により画素310i1が選択されると、出力バッファ316i1は、上記の伝送データを第i列用の出力バスBSに出力する。この制御部は、行選択信号により第1行から第K行まで順次に1行ずつ選択していく。ある行が選択されたとき、X線検出器300内の各列の画素は、同時に伝送データを各列用の出力バスに出力し、各列に設けられた出力バッファに保持される。各列の出力バッファに保持された伝送データは、制御部からの列選択信号により選択されると、第1列から第J列まで順次に出力バスBOに出力される。X線検出器300の出力バスBOは、復元側である画像処理部に接続される。
【0163】
以上のようなX線検出器300は、放射線診断装置1,1cにおける放射線検出部20,20cへの適用が可能である。なお、図17において、行方向と列方向とを入れ替えることが可能である。
【0164】
<画像処理装置>
図19に、第4実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例のブロック図を示す。
図20に、図19の量子ビット復元部のハードウェア構成例のブロック図を示す。図20において、図19と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0165】
第4実施形態に係る画像処理装置400は、量子ビット復元部410と、画像作成部420と、画像記憶部430とを含んで構成されている。量子ビット復元部410は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る復元部の機能を実現する。画像作成部420は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る画像作成部の機能を実現する。
【0166】
量子ビット復元部410は、図20に示すように、最上位ビット検出器411と、加算器412と、シフトレジスタ413と、付加データ発生器414を含んで構成されている。最上位ビット検出器411は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係るビット長検出部の機能を実現する。加算器412は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る付加ビット長算出部の機能を実現する。付加データ発生器414は、付加データを出力する。付加データ発生器414は、所定の付加データを予め記憶するメモリを有し、このメモリに記憶された付加データを出力する。また、付加データ発生器414は、乱数発生器を有し、この乱数発生器により発生された乱数を付加データとして出力することも可能である。シフトレジスタ413は、付加データ発生器414から出力された付加データを利用して、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る復元データ生成部の機能を実現する。
【0167】
画像処理装置400では、量子ビット復元部410が、伝送データから(2×N)ビットの復元データに復元し、画像作成部420に渡す。
【0168】
量子ビット復元部410では、最上位ビット検出器411が、たとえば、(N+2)ビットの伝送データのうちNビットの信号データに含まれる有効信号ビットの最大ビット位置を検出し、検出された最大ビット位置に基づく検出ビット長を出力する。加算器412は、検出ビット長と、(N+2)ビットの伝送データのうちの1ビットの付帯情報とから付加ビット長を算出する。シフトレジスタ413は、有効信号ビットの下位側に、所定の付加データを付加し、(2×N)ビットの復元データとして出力する。
【0169】
画像作成部420は、量子ビット復元部410により出力された(2×N)ビットの復元データに基づいて画像を作成する。画像作成部420によって作成された画像は、画像記憶部430に保存される。図示しない表示制御部は、画像記憶部430に保存された画像を図示しない表示部に表示させる。
【0170】
以上のような画像処理装置400は、放射線診断装置1,1cにおける画像処理部30,30cへの適用が可能である。
【0171】
以上のように、第4実施形態では、放射線検出装置としてのX線検出器300は、2次元状に配列された複数の画素31011〜301JKと、各列又は各行の画素毎に共通に設けられた複数の出力バスBS〜BSとを含む。各画素は、X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器(放射線光子検出部)と、光子数カウンタ(放射線光子計数部)と、量子ビット圧縮器及び出力バッファ(圧縮部)とを含む。X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器は、放射線発生部により発生されたX線光子を検出する。光子数カウンタは、X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器により検出されたX線光子数を所定のビット数で計数する。量子ビット圧縮器及び出力バッファは、光子数カウンタによりX線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する。量子ビット圧縮器及び出力バッファは、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて各出力バスに出力する。
【0172】
量子ビット圧縮器及び出力バッファは、最上位ビット検出器(ビット位置検出部)と、ノイズビット掃出し器(信号データ抽出部、付帯情報生成部)とを含む。最上位ビット検出器は、最大ビット位置を検出する。ノイズビット掃出し器は、最上位ビット検出器により検出された最大ビット位置に対応したビット数のビット列を放射線検出データの最大ビット位置から有効信号ビットとして抽出する。また、ノイズビット掃出し器は、最上位ビット検出器により検出されたビット位置に基づいて、付帯情報を生成する。
【0173】
このような実施形態によれば、非常に簡素な構成で、各画素における光子数カウンタの計数値に対応したデータのビット数を低減することができる。これにより、X線検出器に配置される配線数や、X線検出器と画像処理装置との間に配置される配線数を削減することが可能になる。また、X線検出器の小型化にも寄与することができる。
【0174】
[第5実施形態]
X線検出器の構成は、第4実施形態で説明した構成に限定されるものではない。第5実施形態に係るX線検出器は、エネルギーグループ毎にX線光子を検出することにより得られた放射線検出データに対し、上記の圧縮処理を施すことが可能である。以下、第5実施形態に係るX線検出装置について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0175】
図21に、第5実施形態に係るX線検出器のハードウェア構成例のブロック図を示す。図21は、説明の便宜上、画素310i1の構成のみを表す。図21において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図21では、量子ビット圧縮器が第1実施形態に係る圧縮部の機能を有するものとする。
【0176】
第5実施形態に係るX線検出器300aは、2次元状に配列されたJ×K個の画素310a11〜310aJKと、各列に設けられたJ本の各列用の出力バスBS〜BSと、各列に設けられたJ個の出力バッファ320〜320、出力バスBOとを含んで構成されている。画素310a11〜310aJKのそれぞれは、同様の構成を有している。図21では、第i列の画素310ai1〜310aiKのうちの画素310ai1と、第i列用の出力バスBSと、第i列用の出力バスBSiに接続される出力バッファ320と、出力バッファ320に接続されるX線検出器300aの出力バスBOのみが図示されている。出力バスBSには、第i列における画素310ai1〜310aiKが接続されている。出力バスBS、BOは、それぞれ(2×(N+2))ビットのバス幅を有する。
【0177】
画素310ai1は、X線−電荷変換部311i1と、電荷電圧変換器312i1と、比較器313ai1,313bi1と、光子数カウンタ314ai1,314bi1と、量子ビット圧縮器315ai1,315bi1と、出力バッファ316ai1,316bi1とを含んで構成されている。
【0178】
比較器313ai1には、電荷電圧変換器312i1により変換された電圧パルスと、予め設定された上限閾値及び第1閾値とが入力される。比較器313bi1には、電荷電圧変換器312i1により変換された電圧パルスと、予め設定された第1閾値及び下限閾値とが入力される。第1閾値は、上限閾値と下限閾値との間で設定された値である。第1閾値は、上限閾値及び下限閾値と同様に、事後的に変更可能に構成される。
【0179】
比較器313ai1は、電荷電圧変換器312i1により変換された電圧パルスの波高値(振幅値)が上限閾値以下で、且つ、第1閾値以上であるとき、第1検出パルスを出力する。比較器313bi1は、電荷電圧変換器312i1により変換された電圧パルスの波高値(振幅値)が第1閾値より小さく、且つ、下限閾値以上であるとき、第2検出パルスを出力する。上限閾値、第1閾値及び下限閾値は、(J×K)個の画素310a11〜310aJKに共通に設定されてもよいし、所定の領域内の画素毎に設定されてもよいし、画素毎に個別に設定されてもよい。
【0180】
光子数カウンタ314ai1には、制御部からのX線照射開始タイミング信号と、比較器313ai1により出力された第1検出パルスとが入力される。光子数カウンタ314bi1には、制御部からのX線照射開始タイミング信号と、比較器313bi1により出力された第2検出パルスとが入力される。光子数カウンタ314ai1は、X線照射開始タイミング信号によりX線照射の開始タイミングが通知されると、計数値を初期化した後、比較器313ai1からの第1検出パルスの数をX線光子数として計数を開始する。光子数カウンタ314ai1は、計数値を(2×N)ビットの放射線検出データとして、量子ビット圧縮器315ai1に出力する。光子数カウンタ314bi1は、X線照射開始タイミング信号によりX線照射の開始タイミングが通知されると、計数値を初期化した後、比較器313bi1からの第2検出パルスの数をX線光子数として計数を開始する。光子数カウンタ314bi1は、計数値を(2×N)ビットの放射線検出データとして、量子ビット圧縮器315bi1に出力する。
【0181】
量子ビット圧縮器315ai1には、制御部からのX線照射終了信号と、光子数カウンタ314ai1によって出力された放射線検出データとが入力される。量子ビット圧縮器315bi1には、制御部からのX線照射終了信号と、光子数カウンタ314bi1によって出力された放射線検出データとが入力される。量子ビット圧縮器315ai1,315bi1は、図18に示す構成を有している。
【0182】
量子ビット圧縮器315ai1は、X線照射終了信号によりX線照射の終了が通知されると、通知された時点の放射線検出データを取り込む。量子ビット圧縮器315ai1は、取り込まれた(2×N)ビットの放射線検出データを、(N+2)ビットの伝送データに圧縮する。量子ビット圧縮器315bi1は、X線照射終了信号によりX線照射の終了が通知されると、通知された時点の放射線検出データを取り込む。量子ビット圧縮器315bi1は、取り込まれた(2×N)ビットの放射線検出データを、(N+2)ビットの伝送データに圧縮する。
【0183】
出力バッファ316ai1には、制御部からの第1行選択信号と、量子ビット圧縮器315ai1により生成された伝送データとが入力される。出力バッファ316bi1には、制御部からの第1行選択信号と、量子ビット圧縮器315bi1により生成された伝送データとが入力される。出力バッファ316ai1は、第1行選択信号により選択されたとき、量子ビット圧縮器315ai1により生成された伝送データを第i列用の出力バスBSに出力する。出力バッファ316bi1は、第1行選択信号により選択されたとき、量子ビット圧縮器315bi1により生成された伝送データを第i列用の出力バスBSに出力する。
【0184】
X線−電荷変換部311i1、電荷電圧変換器312i1、及び比較器313ai1は、放射線光子検出部21の機能を実現する。X線−電荷変換部311i1、電荷電圧変換器312i1、及び比較器313bi1もまた、放射線光子検出部21の機能を実現する。光子数カウンタ314ai1,314bi1は、それぞれ放射線光子計数部22の機能を実現する。量子ビット圧縮器315ai1,315bi1は、それぞれ上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る圧縮部の機能を実現する。この圧縮部は、出力バッファ316ai1,316bi1それぞれの機能を実現してもよい。
【0185】
X線検出器300aでは、X線検出器300と同様に、各列の画素のうち行選択信号により選択された画素において生成された伝送データが、各列用の出力バスに出力される。従って、各列の画素の1つを行選択信号により1つずつ選択することにより、2次元状に配列された画素310a11〜310aJKにおいて生成された伝送データを順次に出力させることができる。
【0186】
第i列では、図示しない制御部からのX線照射開始タイミング信号を受けて、光子数カウンタ314ai1は、上限閾値と第1閾値との間のエネルギーグループのX線光子を計数し、光子数カウンタ314bi1は、第1閾値と下限閾値との間のエネルギーグループのX線光子を計数する。X線照射期間が終了すると、量子ビット圧縮器315ai1は、光子数カウンタ314ai1により計数された(2×N)ビットの計数値である放射線検出データに対し、上記の圧縮処理を施し、量子ビット圧縮器315bi1は、光子数カウンタ314bi1により計数された(2×N)ビットの計数値である放射線検出データに対し、上記の圧縮処理を施す。
【0187】
図示しない制御部からの行選択信号により画素310ai1が選択されると、出力バッファ316ai1は、伝送データを第i列用の出力バスBSに出力し、出力バッファ316bi1は、伝送データを第i列用の出力バスBSに出力する。
【0188】
このように、第5実施形態では、X線光子の検出結果としての電圧パルスは、エネルギーグループ毎に設けられた2つの比較器に入力され、エネルギーグループ毎に設けられた2つの光子数カウンタにより計数される。
【0189】
なお、図21では、2つのエネルギーグリープのX線光子を計数する例について説明したが、第5実施形態は、これに限定されるものではない。3以上のエネルギーグループのX線光子を計数する場合、上限閾値と下限閾値との間に複数の閾値を設け、エネルギーグループ毎に、比較器、光子数カウンタ、量子ビット圧縮器、及び出力バッファを設けることにより、上記と同様に動作させることができる。
【0190】
また、図21では、量子ビット圧縮器と出力バッファとをエネルギーグループ毎に配置し、各列用の出力バスのビット幅をエネルギーグループの数に比例するように配置する例を示したが、第5の実施形態は、これに限定されるものではない。たとえば、各列用の出力バスのビット幅として1つのエネルギーグループ分だけ配置し、複数のエネルギーグループのデータを、制御部からのタイミング制御信号に基づいて、異なるタイミングで時分割で出力させるようにしてもよい。この場合、各列用の出力バスや出力バスBOのバス幅を削減することができる。
【0191】
以上のようなX線検出器300aは、放射線診断装置1,1cにおける放射線検出部20,20cへの適用が可能である。なお、図21において、行方向と列方向とを入れ替えることが可能である。
【0192】
以上のように、第5実施形態では、放射線検出装置としてのX線検出器300aは、2次元状に配列された複数の画素310a11〜301aJKと、各列又は各行の画素毎に共通に設けられた複数の出力バスBS〜BSとを含む。各画素は、エネルギーグループ毎に、X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器(放射線光子検出部)と、光子数カウンタ(放射線光子計数部)と、量子ビット圧縮器及び出力バッファ(圧縮部)とを含む。X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器は、放射線発生部により発生されたX線光子を検出する。光子数カウンタは、X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器により検出されたX線光子数を所定の期間だけ計数する。量子ビット圧縮器及び出力バッファは、光子数カウンタによりX線光子を計数することによって得られた放射線検出データを圧縮する。量子ビット圧縮器及び出力バッファは、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて各出力バスに出力する。
【0193】
このような実施形態によれば、2以上のエネルギーグループのX線光子を検出するX線検出器を、非常に簡素な構成で、各画素における光子数カウンタの計数値に対応したデータのビット数を低減することができる。これにより、X線検出器に配置される配線数や、X線検出器と画像処理装置との間に配置される配線数を削減することが可能になる。また、X線検出器の小型化にも寄与することができる。
【0194】
[第6実施形態]
X線検出器の構成は、第4実施形態又は第5実施形態で説明した構成に限定されるものではない。第6実施形態に係るX線検出器は、(J×K)個の画素に対して1つの量子ビット圧縮器が設けられる。以下、第6実施形態に係るX線検出装置について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0195】
図22に、第6実施形態に係るX線検出器のハードウェア構成例のブロック図を示す。図22において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0196】
第6実施形態に係るX線検出器300bは、2次元状に配列されたJ×K個の画素310b11〜310bJKと、各列に設けられたJ本の各列用の出力バスBS〜BSと、各列に設けられたJ個の出力バッファ320〜320と、出力バスBOと、量子ビット圧縮器315bとを含んで構成されている。出力バスBSには、第i列における画素310bi1〜310biKと、出力バッファ320とが接続されている。出力バッファ320〜320は、出力バスBOに接続されている。画素310b11〜310bJKのそれぞれは、同様の構成を有している。出力バスBS、BOは、それぞれ(2×N)ビットのバス幅を有する。
【0197】
たとえば、画素310bi1は、画素310i1から量子ビット圧縮器315i1が省かれた構成を有している。すなわち、画素310bi1は、X線−電荷変換部311i1と、電荷電圧変換器312i1と、比較器313i1と、光子数カウンタ314i1と、出力バッファ316i1とを含んで構成されている。
【0198】
光子数カウンタ314i1には、制御部からのX線照射開始タイミング信号と、比較器313i1により出力された検出パルスとが入力される。光子数カウンタ314i1は、X線照射開始タイミング信号によりX線照射の開始タイミングが通知されると、計数値を初期化した後、比較器313i1からの検出パルスの数をX線光子数として計数を開始する。光子数カウンタ314i1は、計数値を(2×N)ビットの放射線検出データとして、出力バッファ316i1に出力する。
【0199】
出力バッファ316i1は、制御部からの第1行選択信号と、光子数カウンタ314i1からの放射線検出データとが入力される。出力バッファ316i1は、第1行選択信号により選択されたとき、光子数カウンタ314i1からの放射線検出データを第i列用の出力バスBSに出力する。
【0200】
出力バッファ320〜320のそれぞれは、各列の選択信号により選択されたとき、各列に出力された放射線検出データを出力バスBOに出力する。出力バスBOに出力された放射線検出データは、量子ビット圧縮器315bにより圧縮される。量子ビット圧縮器315bの構成は、図18に示す構成を有する。
【0201】
X線−電荷変換部311i1、電荷電圧変換器312i1、及び比較器313i1は、放射線光子検出部21の機能を実現する。光子数カウンタ314i1は、放射線光子計数部22の機能を実現する。量子ビット圧縮器315bは、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る圧縮部の機能を実現する。
【0202】
X線検出器300bでは、各列の画素のうち行選択信号により選択された画素において生成された放射線検出データが、各列用の出力バスに出力される。従って、各列の画素の1つを行選択信号により1つずつ選択することにより、2次元状に配列された画素310b11〜310bJKにおいて生成された放射線検出データを順次に出力させることができる。そして、X線検出器300bの最終段に設けられた量子ビット圧縮器315bにより順次に圧縮処理が施され、(N+2)の伝送データとして出力される。
【0203】
以上のようなX線検出器300bは、放射線診断装置1,1cにおける放射線検出部20,20cへの適用が可能である。なお、図22において、行方向と列方向とを入れ替えることが可能である。
【0204】
以上のように、第6実施形態では、放射線検出装置としてのX線検出器300aは、2次元状に配列された複数の画素310b11〜301bJKと、各列又は各行の画素毎に共通に設けられた複数の出力バスBS〜BSと、複数の出力バスBS〜BSに接続可能に構成された量子ビット圧縮器315b(圧縮部)とを含む。各画素は、X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器(放射線光子検出部)と、光子数カウンタ(放射線光子計数部)とを含む。X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器は、放射線発生部により発生されたX線光子を検出する。光子数カウンタは、X線−電荷変換部、電荷電圧変換器、及び比較器により検出されたX線光子数を所定の期間だけ計数する。量子ビット圧縮器315bは、複数の出力バスBS〜BSを介して、光子数カウンタによりX光子を計数することによって得られた放射線検出データを受ける。量子ビット圧縮器315bは、放射線検出データにおいて所定ビットデータである最上位のビット位置である最大ビット位置から下位側の最大ビット位置に対応したビット数のビット列を有効信号ビットとし、最大ビット位置に対応した付帯情報を有効信号ビットに付帯させて出力する。
【0205】
このような実施形態によれば、各画素で生成された2×Nビットの放射線検出データは、そのままX線検出器内部で伝送され、その出力部において(N+2)ビットの伝送データに圧縮され、外部の画像処理部に出力される。これにより、X線検出器300bと画像処理部との間の接続において、ケーブル内に各ビットに導体を1つ割り当てる並列伝送の場合、導体の数を低減できるので、ケーブルのコスト、太さ、屈曲性を改善する効果がある。また、X線検出器300bと画像処理部との間の接続が無線又は有線のシリアル伝送の場合、伝送するデータ量を低減できるので、伝送時間を短縮することができる。
【0206】
[第7実施形態]
上記の実施形態又はその変形例は、次のような構成を有する放射線診断装置としてのX線診断装置に適用することが可能である。第7実施形態では、上記の実施形態又はその変形例に係る放射線診断装置がX線診断装置である。
【0207】
図23に、第7実施形態に係る放射線診断装置としてのX線診断装置の概略構成の斜視図を示す。
図24に、第7実施形態に係るX線診断装置の概略構成の機能ブロック図を示す。図24において、図23と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0208】
X線診断装置500は、バイプレーン型のX線診断装置であり、正面系X線撮影システム(フロンタル系撮影システム)と側面系X線撮影システム(ラテラル系撮影システム)とを備える。正面系X線撮影システムは、第1アーム530を有し、側面系X線撮影システムは、第2アーム532を有している。2つのX線撮影システムによって、X線診断装置500は、寝台540の天板上に載置された被検体Eを2方向から撮影することが可能となる。
【0209】
すなわち、X線診断装置500は、被検体Eに対してX線を照射する第1X線発生部510と、被検体Eを透過したX線を2次元的に検出すると共に、このX線検出データに基づいてX線投影データを生成する第1X線検出部520と、第1X線発生部510と第1X線検出部520とを対向配置させた状態でこれらを保持する第1アーム530とを含む。また、X線診断装置500は、被検体Eに対してX線を照射する第2X線発生部512と、被検体Eを透過したX線を2次元的に検出すると共に、このX線検出データに基づいてX線投影データを生成する第2X線検出部522と、第2X線発生部510と第1X線検出部520とを対向配置させた状態でこれらを保持する第2アーム532とを含む。さらに、X線診断装置500は、被検体Eを載置する天板542と、第1X線発生部510におけるX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部550と、第2X線発生部512におけるX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部552とを含む。
【0210】
加えて、X線診断装置500は、第1アーム530、第2アーム532、又は天板542の回動や移動を行う機構部560と、第1X線検出部520や第2X線検出部522の検出結果に基づいて画像の作成と保存を行う画像処理部570と、画像処理部570により作成された画像を表示する表示部580とを含む。また、X線診断装置500は、被検体情報や撮影条件など、画像の生成に必要な設定条件の入力や、種々のコマンドの入力を行うための操作部590と、心拍同期撮影を行うために被検体Eに対して心電波形(Electrocardiogram:ECG)の収集を行うECG電極592及びECG計測部594と、X線診断装置500の上記各部を統括して制御するシステム制御部596とを含む。
【0211】
第1X線発生部510は、被検体Eに対しX線を照射するX線管と、X線管から照射されたX線に対してX線錘(コーンビーム)を形成するX線絞り器とを備えている。X線管は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧によって加速させてタングステン陽極に衝突させX線を発生させる。一方、X線絞り器は、X線管と被検体Eとの間に位置し、X線管から照射されたX線ビームを所定の照射視野のサイズに絞り込む機能を有している。第2X線発生部512は、第1X線発生部510と同様の構成を有している。
【0212】
第1X線検出部520は、第1X線発生部510により発生され被検体Eを透過したX線を検出する。このような第1X線検出部520は、上記のX線検出器300,300a,300bのいずれかにより構成される。第1X線検出部520は、第1X線発生部510により発生され被検体Eを透過したX線を検出することにより放射線検出データを生成し、生成された放射線検出データに対し上記のように伝送データに圧縮する。この圧縮された伝送データは、画像処理部570に出力される。第2X線検出部522は、第2線発生部512により発生され被検体Eを透過したX線を検出する。このような第2X線検出部522は、上記のX線検出器300,300a,300bのいずれかにより構成される。第2X線検出部522は、第2X線発生部512により発生され被検体Eを透過したX線を検出することにより放射線検出データを生成し、生成された放射線検出データに対し上記のように伝送データに圧縮する。この圧縮された伝送データは、画像処理部570に出力される。
【0213】
機構部560は、第1X線発生部510及び第1X線検出部520や第2X線発生部512及び第2X線検出部522を被検体Eの体軸方向に相対的に移動させるために、天板542を被検体Eの体軸方向に直線移動させる天板移動機構561と、第1アーム530や第2アーム532を被検体Eの周囲で回動、又は体軸方向やこの体軸方向に直角な方向に移動させる第1・第2アーム回動・移動機構562と、天板移動機構561及び第1・第2アーム回動・移動機構562を制御する第1・第2アーム・天板機構制御部563とを含む。
【0214】
第1・第2アーム・天板機構制御部563は、システム制御部596から供給される制御信号に従い、被検体Eの診断対象部位に対して所望の画像倍率を決定する管球−検出器間距離(SID)を設定する。また、第1・第2アーム・天板機構制御部563は、第1・第2アーム回動・移動機構562を制御して第1アーム530や第2アーム532や天板542における回動及び移動の方向や大きさや速度などを制御する。
【0215】
画像処理部570は、第1X線検出部520として適用されるX線検出器が有する量子ビット圧縮器に対応する量子ビット復元器と、第2X線検出部522として適用されるX線検出器が有する量子ビット圧縮器に対応する量子ビット復元器とを有する。画像処理部570は、第1X線検出部520からの伝送データに対し上記の復元処理を行うことにより復元データを生成し、生成された復元データに基づいて画像を作成する。また、画像処理部570は、第2X線検出部522からの伝送データに対し上記の復元処理を行うことにより復元データを生成し、生成された復元データに基づいて画像を作成する。
【0216】
表示部580は、画像処理部570により作成された画像を表示する液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)などのモニタを有する。
【0217】
操作部590は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスや表示パネル、各種スイッチ等を備えたインターラクティブなインターフェースである。操作部590は、被検体情報(被検体ID)や撮影部位(撮影対象臓器)の入力、X線照射条件、撮影方向、撮像倍率(SID)、さらには、撮影位置等の撮影条件の設定や撮影開始のコマンド信号の入力を行う。
【0218】
システム制御部596は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と記憶回路を備える。システム制御部596は、操作部590から供給される操作者のコマンドや撮影条件などの情報を一旦記憶した後、これらの情報に基づいた画像の作成や移動機構に関する制御などシステム全体の制御を行う。
【0219】
システム制御部596は、ECG計測部594によりECG電極592を介して計測された心拍数に応じて、第1アーム530や第2アーム532の回動速度や両アームの相対角度を決定する。システム制御部596は、決定された回動速度や相対角度に基づいて、第1・第2アーム回動・移動機構562を制御する。
【0220】
画像処理部570は、第1X線検出部520からの伝送データや第2X線検出部520からの伝送データに基づいて画像を作成する。表示部580には、画像処理部570によって生成された2つの画像が表示される。
【0221】
この実施形態によれば、量子ノイズの特性を考慮して放射線検出データを圧縮して画像処理部に出力され、画像処理部において復元されるため、信号の生成原理に沿った圧縮と復元とが可能になり、偽像が発生しにくいX線診断装置を提供することができる。また伝送するデータの情報量を低減することができるので、伝送系のコスト低減、伝送時間の短縮の効果がある。また圧縮側と復元側との間で一旦画像データを記憶装置に保存する場合、必要な記憶装置の容量を小さくできる。
【0222】
[第8実施形態]
上記の実施形態又はその変形例は、次のような構成を有する放射線診断装置としてのX線CT装置に適用することが可能である。第8実施形態では、上記の実施形態又はその変形例に係る放射線診断装置がX線CT装置である。
【0223】
図25に、第8実施形態に係る放射線診断装置としてのX線CT装置の概略構成の機能ブロック図を示す。
【0224】
X線診断装置600は、架台装置610と、寝台装置620と、コンソール装置630とを含む。
【0225】
架台装置610は、被検体EにX線を照射して放射線検出データを収集する装置であり、高電圧発生部611と、X線管612と、X線検出器613と、データ収集部614と、回転フレーム615と、架台駆動部616とを有する。さらに、架台装置610は、放射線検出データに対してデータ処理を行うデータ処理部617を有する。
【0226】
高電圧発生部611は、高電圧を発生して、発生した高電圧をX線管612に供給する装置である。X線管612は、高電圧発生部611から供給された高電圧によりX線を発生する真空管であり、X線管612が発生したX線は、被検体Eに対して照射される。
【0227】
X線検出器613は、X線管612から照射されて被検体Eを透過したX線の強度分布を示す放射線検出データを検出する検出器である。すなわち、X線検出器613は、被検体E内部で生じるX線吸収の度合を示す放射線検出データを検出する。
【0228】
回転フレーム615は、X線管612とX線検出器613とを被検体Eを挟んで対向するように支持する。架台駆動部616は、回転フレーム615を回転駆動させることで、被検体Eを中心とした円軌道上でX線管612およびX線検出器613を旋回させる駆動装置である。
【0229】
データ収集部614は、DAS(Data Acquisision System)であり、X線検出器613により検出された放射線検出データを収集する。具体的には、データ収集部614は、X線管612からのX線照射方向それぞれに対応する放射線検出データを収集する。そして、データ収集部614は、収集した放射線検出データをデータ処理部617に出力する。
【0230】
データ処理部617は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る圧縮部の機能を有する。データ処理部617は、放射線検出データに対して上記の圧縮処理を行うことにより伝送データを生成し、生成された伝送データをコンソール装置630に送信する。
【0231】
寝台装置620は、被検体Eを載せる装置であり、図25に示すように、天板622と、寝台駆動装置621とを有する。天板622は、被検体Eが載置されるベッドであり、寝台駆動装置621は、天板622を被検体Eの体軸方向(Z軸方向)へ移動させることで、被検体Eを回転フレーム615内に移動させる。
【0232】
コンソール装置630は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置610によって収集された投影データ群から断層画像を再構成する装置である。コンソール装置630は、入力装置631と、表示装置632と、スキャン制御部633と、データ第2処理部634と、画像記憶部635と、システム制御部636とを有する。
【0233】
入力装置631は、X線CT装置を操作する医師や技師などの操作者が各種指示を入力するためのマウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティックなどを有し、操作者から受け付けた各種コマンドを、システム制御部636に転送する。
【0234】
表示装置632は、入力装置631を介して操作者から指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、画像記憶部635が記憶する再構成画像を表示したりするためのモニタを有する。
【0235】
スキャン制御部633は、高電圧発生部611、架台駆動部616、データ収集部614、データ処理部617及び寝台駆動装置621の動作を制御する。これにより、スキャン制御部633は、架台装置610における被検体EのX線スキャン処理、放射線検出データ群の収集処理及び放射線検出データ群に対するデータ処理を制御する。
【0236】
具体的には、スキャン制御部633は、回転フレーム615を回転させながら、X線管612からX線を連続的、又は、間欠的に照射させることで、X線スキャンを実行させる。たとえば、スキャン制御部633は、天板622を移動させながら回転フレーム615を連続回転させて撮影を行うヘリカルスキャンを実行させる。或いは、スキャン制御部633は、被検体Eの位置を固定したままで回転フレーム615を1回転又は連続回転させて撮影を行うコンベンショナルスキャンを実行させる。
【0237】
データ第2処理部634は、上記のいずれかの実施形態又はその変形例に係る圧縮部に対応した復元部の機能を有する。データ第2処理部634は、データ処理部617からの伝送データに対し上記の復元処理を行うことにより復元データを生成し、生成された復元データに基づいて断層画像(X線CT画像)の再構成処理を行う処理部である。すなわち、データ第2処理部634は、データ処理部617から受信した伝送データを用いてX線CT画像の再構成処理を行う。画像記憶部635は、データ第2処理部634によって生成されたX線CT画像を記憶する。
【0238】
システム制御部636は、架台装置610、寝台装置620及びコンソール装置630の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御部636は、スキャン制御部633を制御することで、架台装置610および寝台装置620による放射線検出データ群の収集処理を制御する。また、システム制御部636は、スキャン制御部633を介して、データ処理部617を制御することで、放射線検出データ群に対する圧縮処理を制御する。また、システム制御部636は、データ第2処理部634を制御することで、コンソール装置630による画像再構成処理を制御する。また、システム制御部636は、画像記憶部635から再構成画像を読み出して、表示装置632が備えるモニタにおいて表示するように制御する。
【0239】
なお、放射線検出データに対して圧縮処理を施す上記の実施形態又はその変形例に係る圧縮部の機能を、データ処理部617ではなくX線検出器613に備えるようにしてもよい。このようなX線検出器613は、上記のX線検出器300,300a,300bのいずれかにより構成される。
【0240】
この実施形態によれば、第7実施形態と同様に、量子ノイズの特性を考慮して放射線検出データを圧縮して復元されるため、信号の生成原理に沿った圧縮と復元とが可能になり、偽像が発生しにくいX線診断装置を提供することができる。また伝送するデータの情報量を低減することができるので、伝送系のコスト低減、伝送時間の短縮の効果がある。また圧縮側と復元側との間で一旦画像データを記憶装置に保存する場合、必要な記憶装置の容量を小さくできる。
【0241】
なお、上記の実施形態又はその変形例に係る圧縮部は、上記の構成に限定されるものではない。また、上記の実施形態又はその変形例に係る復元部は、上記の構成に限定されるものではない。
【0242】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0243】
1,1c 放射線診断装置
10 放射線発生部
20,20c 放射線検出部
21 放射線光子検出部
22 放射線光子計数部
23c データ圧縮部
24c 可逆圧縮部
30,30c 画像処理部
31,420 画像作成部
32c データ復元部
33c 可逆復元部
40 表示制御部
50 表示部
100 圧縮部
110 ビット位置検出部
111 シフトアップ部
112 最上位ビット検出部
120 信号データ抽出部
121 上位ビット抽出部
122 シフトダウンビット数算出部
123 シフトダウン部
130 付帯情報生成部
200,200a 復元部
210 ビット長検出部
220 付加ビット長算出部
230,230a 復元データ生成部
231 シフトアップ部
232 データ付加部
233 付加データ記憶部
234 乱数発生部
300,300a,300b X線検出器
31011〜310JK,310a11〜310aJK,310b11〜310bJK 画素
311i1 X線−電荷変換部
312i1 電荷電圧変換器
313i1,313ai1 比較器
314i1,314ai1 光子数カウンタ
315i1,315ai1,315bi1,315b 量子ビット圧縮器
316i1,316ai1,316bi1,320〜320 出力バッファ
317i1,411 最上位ビット検出器
318i1 ノイズビット掃出し器
400 画像処理装置
410 量子ビット復元部
412 加算器
413 シフトレジスタ
414 付加データ発生器
430 画像記憶部
BO,BS〜BS 出力バス
図1
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