特許第6386763号(P6386763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386763
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20180827BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20180827BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20180827BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   G08B25/10 D
   G08B17/00 F
   G08B25/04 F
   H04M11/00 302
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-71946(P2014-71946)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194853(P2015-194853A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濁川 聡子
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−170821(JP,A)
【文献】 特開2006−011721(JP,A)
【文献】 特開2013−196255(JP,A)
【文献】 特開2013−089091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 23/00−31/00
H04M 3/00
H04M 3/16− 3/20
H04M 3/38− 3/58
H04M 7/00− 7/16
H04M 11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と操作部と通信回線を介して通信する通信部とを有し複数の避難対象者が携帯する端末と、前記通信回線を介して前記端末の通信部と通信する第1通信部と表示部とを有する支援装置と、を備え、災害発生時の避難確認を支援する支援システムであって、
前記端末は、前記端末毎に固有の識別子であって前記通信部が送信するときに付加されて送信される端末識別子と前記端末を制御する制御プログラムとを記憶する記憶部と、前記制御プログラムに基づいて前記支援装置と連携して動作する制御部と、を備え、
前記支援装置は、前記支援装置を制御する制御プログラムを記憶すると共に施設の人員の名前と該人員が携帯する前記端末の端末識別子とを該人員が所属するグループに関連付けて記憶する第1記憶領域を有する記憶部と、前記制御プログラムに基づいて前記端末と連携して動作する制御部と、を備え、
前記支援装置の制御部は、
前記端末からの報告を該端末の端末識別子と共に受け付ける受付部と、
避難を完了したときに避難完了を報告する避難確認画面に対する避難完了の報告と該報告に付加された前記端末識別子とを前記受付部が前記端末から受け付けたときに受け付けた前記端末識別子と関連付けて避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させると共に、該識別子に対応する前記グループに所属する他の避難完了者を確認した場合にその避難完了者を報告する避難者確認画面を受け付けた前記端末識別子を有する前記端末に表示させ、前記受付部が前記避難者確認画面に対する避難完了者の報告を前記端末から受け付けたときに前記報告の避難完了者と関連付けて避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させる、避難完了報告登録部と、を備え、
前記記憶部の第1記憶領域を参照して、前記グループと、前記グループと関連付けた前記人員の名前と、前記人員毎の避難完了報告に基づく避難状況とを、前記支援装置の表示部に表示させる制御部であること
を特徴とする支援システム。
【請求項2】
表示部と操作部と通信回線を介して通信する通信部とを有し複数の避難対象者が携帯する端末と、前記通信回線を介して前記端末の通信部と通信する第1通信部と表示部とを有する支援装置と、を備え、災害発生時の避難確認を支援する支援システムであって、
前記端末は、前記端末毎に固有の識別子であって前記通信部が送信するときに付加されて送信される端末識別子と前記端末を制御する制御プログラムとを記憶する記憶部と、前記制御プログラムに基づいて前記支援装置と連携して動作する制御部と、を備え、
前記支援装置は、前記支援装置を制御する制御プログラムを記憶すると共に施設の人員の名前と該人員が携帯する前記端末の端末識別子とを該人員が所属するグループに関連付けて記憶する第1記憶領域を有する記憶部と、前記制御プログラムに基づいて前記端末と連携して動作する制御部と、を備え、
前記支援装置の制御部は、
前記端末からの報告を該端末の端末識別子と共に受け付ける受付部と、
避難を完了したときに避難完了を報告する避難確認画面に対する避難完了の報告と該報告に付加された前記端末識別子とを前記受付部が前記端末から受け付けたときに受け付けた前記端末識別子と関連付けて避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させると共に、該識別子に対応する前記グループに所属する他の避難完了者を確認した場合にその避難完了者を報告する避難者確認画面に対する避難完了者の報告を前記受付部が前記端末から受け付けたときに前記報告の避難完了者と関連付けて避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させる、避難完了報告登録部と、を備え、
前記記憶部の第1記憶領域を参照して、前記グループと、前記グループと関連付けた前記人員の名前と、前記人員毎の避難完了報告に基づく避難状況とを、前記支援装置の表示部に表示させる制御部であり、
前記受付部は、前記避難者確認画面に対する避難完了の報告計数し、計数した前記報告の数に応じて重み付けした他者による避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させる
ことを特徴とする支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自衛消防隊の活動を支援する技術に関し、特に災害発生時の避難確認を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消防計画では、火災発生時、避難が完了したときに避難場所で自衛消防隊員の担当者が点呼を行うことによって避難完了の確認を行うことになっており、防災訓練もそのような計画に基づいて行われている。しかしながら、現実の火災が発生したとき、固定的に定められた担当者が不在である場合があり、また、避難場所の混乱により、避難完了の確認が困難となる虞がある。そのような場合、公設消防隊が到着したときに、全員避難できたか否かが判断できず、要救助者の存在が不明となりかねない。また、最悪の場合は、要救助者が放置されてしまう虞がある。
【0003】
また、従来、防災サーバが全従業員の防災端末に対して安否確認メッセージを発信し、該メッセージを受信した防災端末が返信する形で自身の安否を含む個人被災情報を発信する防災管理システムがある(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の防災管理システムは、工場等、避難対象者が固定的な施設を対象としており、すべての人員が防災端末を携帯することが前提となっており、防災端末を忘れた者、防災端末が故障した者、外部からの訪問者は、避難完了の確認ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−196255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、避難対象者に端末を携帯していない者がいても、端末を携帯する者が避難完了を確認できるような、避難確認を支援する支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る支援システムは、 表示部と操作部と通信回線を介して通信する通信部とを有し避難対象者が携帯する複数の端末と、前記通信回線を介して前記端末の通信部と通信する第1通信部と表示部と操作部とを有する支援装置と、を備え、災害発生時の避難確認を支援する支援システムであって、前記端末は、前記端末毎に固有の識別子であって前記通信部が送信するときに付加されて送信される端末識別子と前記端末を制御する制御プログラムとを記憶する記憶部と、前記制御プログラムに基づいて前記支援装置と連携して動作する制御部と、を備え、前記支援装置は、前記支援装置を制御する制御プログラムを記憶すると共に施設の人員の名前と該人員が携帯する前記端末の端末識別子とを該人員が所属するグループに関連付けて記憶する第1記憶領域を有する記憶部と、前記制御プログラムに基づいて前記端末と連携して動作する制御部と、を備え、前記支援装置の制御部は、前記端末からの応答を該端末の端末識別子と共に受け付ける受付部と、前記操作部での避難確認操作によって避難を完了したときに避難完了の操作を指示する避難確認画面を前記端末の表示部に表示させ、前記受付部が前記避難確認画面に対する避難完了の応答と該応答に付加された前記端末識別子とを前記端末から受け付けたときに受け付けた前記端末識別子と関連付けて自らによる避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させると共に第1記憶領域を参照して該識別子に対応する前記グループに所属する他の人員の名前を取得し、取得した前記名前を表示すると共に表示された名前に該当する避難完了者を確認した場合にその避難完了者を報告する操作を指示する避難者確認画面を受け付けた前記端末識別子を有する前記端末に表示させ、前記受付部が前記避難者確認画面に対する避難完了者の報告を前記端末から受け付けたときに前記報告の避難完了者と関連付けて他者による避難完了報告として前記記憶部の第1記憶領域に記憶させる、指示部と、を備え、前記記憶部の第1記憶領域を参照して、前記グループと、前記グループと関連付けた前記人員の名前と、さらに、前記人員毎に他者による避難完了報告があって自らによる避難完了報告が無い者と自らによる避難完了報告がある者とを区別した避難状況とを、前記表示部に表示させる制御部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る支援システムによれば、予め定めたグループ毎に、端末を携帯する者が自らの避難完了を報告すると共にグループに所属する他の者の避難確認を行って、端末を携帯しない者がいてもグループ全員の避難完了を防災センタで確認することができる。また、グループの避難場所が複数にわかれてしまったとしても、それぞれに端末を携帯する者がいればグループ全員の避難完了を防災センタで確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る支援システムの構成を説明する図である。
図2】本発明に係る支援装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る端末の構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係る端末で避難確認画面を表示した例を説明する図である。
図5】本発明に係る端末で避難者確認画面を表示した例を説明する図である。
図6】本発明に係る支援装置で避難状況を表示した例を説明する図である。
図7】本発明に係る端末で避難確認要請画面を表示した例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
まず、本発明に係る支援システム100の構成の概要を図1に基づいて説明する。支援システム100は、信号線L1を介して通信回線Xに接続された支援装置10を備える。支援装置10は、例えば防災センタに設置されて、防災センタ要員Sが操作、監視する。また支援システム100は、通信回線Xに接続されて無線通信する複数の端末20を備える。端末20は、自衛消防隊の隊員または避難対象者である施設人員G11〜15、21〜22の一部または全員が携帯する携帯型の端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。図1の例では、グループG1の施設人員G11、G12、グループG2の施設人員G21が、それぞれ端末20を携帯し、他の施設人員は端末20を携帯しないものとしている。通信回線Xは、例えばIMT−2000に準拠した無線通信網などであるが、これに限るものではなく、例えばiEEE802.11に準拠する無線LANなどであってもよい(図1における、グループウェアサーバ30、入退館管理システム40、訪問者V1〜2については、変形例で後述する)。
[支援装置の構成]
【0010】
次に、図2を参照して、支援装置10の構成を説明する。支援装置10は、制御部11と、記憶部12と、第1通信部13と、表示部16と、操作部17とを有する(図2における、第2通信部14、第3の通信部15、グループウェアサーバ30、入退館管理システム40については、変形例で後述する)。第1の通信部13は、信号線L1と通信回線Xとを介して端末20と制御情報等を通信するインターフェースである。記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、避難確認の活動を支援するための処理を実行する制御プログラムを記憶する。表示部16は、支援装置10の動作状況と、避難確認の状況とを表示する、LCD等の表示手段である。操作部17は、支援装置10の動作を操作する、キーボード、表示部16に重ねて設けられたタッチパネル、スイッチ等、適宜決定される操作手段である。例えば、操作部17は、操作者の指などの指示体によって操作され、表示部16の画面に重なる領域における位置を指示する操作者の操作を検出するタッチパネルである。例えば、このタッチパネルは、表示部16の画面に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルである。制御部11は、記憶部12に記憶された制御プログラムに基づいて支援装置10の各部の動作を制御する制御手段である。制御部11は、図示しないCPU等の演算処理装置を備える。
【0011】
記憶部12は、詳細には、施設人員G11〜15、G21〜22に関する情報を施設人員データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)121として記憶する第1記憶領域を有する(図2における、不在者データベース122、訪問者データベース123については、変形例で後述する)。施設人員データベースは、施設の人員の名前と該人員が携帯する端末20の後述する端末識別子とを該人員が所属するグループ(G1、2)に関連付けて記憶する。そして、後述する避難情報が上記情報と関連付けて記憶される。
【0012】
制御部11は、詳細には、その機能的構成として、指示部111、受付部112を備える(図2における、要請部113、不在者管理部114、訪問者管理部115については、変形例で後述する)。
【0013】
受付部112は、第1通信部13を介して、端末20からの応答を該端末の後述する端末識別子と共に受け付ける受付手段である。
【0014】
指示部111は、第1通信部13を介して、端末20の表示部25に支援装置10からの指示を表示させる指示手段である。指示部111は、操作部17での避難確認操作によって、避難を完了したときに避難完了の操作を指示する避難確認画面2510を端末20の表示部25の画面251に表示させる(図4参照)。
【0015】
また、指示部111は、受付部112が避難確認画面2510に対する避難完了の応答とその応答に付加された後述する端末識別子とを端末20から受け付けたときに、受け付けた前記情報を記憶部12の第1記憶領域の施設人員データベース121に記憶させる。記憶させる前記情報は「自らによる避難完了報告」であり、受け付けた端末識別子と関連付けた自らによる避難完了報告として記憶させる。このとき、指示部111は施設人員データベース121(第1記憶領域)を参照して、受け付けた端末識別子に対応するグループ(G1またはG2)に所属する他の施設人員の名前を取得する。そして、取得した前記名前を表示すると共に、表示された名前に該当する避難完了者を確認した場合にその避難完了者を報告する操作を指示する避難者確認画面2520を受け付けた端末識別子を有する端末20に表示させる(図5参照)。
【0016】
また、指示部111は、受付部112が避難者確認画面2520に対する避難完了者の報告を端末20から受け付けたときに、前記報告の避難完了者と関連付けて「他者による避難完了報告」として施設人員デ−タベース121(第1記憶領域)に記憶させる。
[端末の構成]
【0017】
次に、端末20の構成について、図3に基づいて説明する。端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作部24と、表示部25を有する(図3における、測位部26については、変形例で後述する)。制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを有し、CPUがROMまたは記憶部22に記憶されている制御プログラムを読み出して実行する。そして、記憶部22から読み出した制御プログラムに基づいて、端末20の各部、表示部25と操作部24と通信部23と、を制御すると共に、支援装置10と連携して動作する。表示部25は、液晶などを利用した画面251を備え、制御部21からの指示に応じてこの画面251に画像が表示される。操作部24は、端末20を操作する操作手段である。例えば、操作部24は、例えば、表示部25が備える画面251に重ねて操作者の指等が触れたことを検出するタッチパネル241である。例えば、タッチパネル241は、操作者の指などの指示体によって操作され、表示部25の画面251に重なる領域における位置を指示する操作者の操作を検出する、画面251に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルである。記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれる制御プログラムを記憶する。また、記憶部22は、端末20毎に固有の識別子である端末識別子をも記憶する。通信部23は、支援装置10と通信するために無線通信によって通信回線N1と接続するインターフェースである。
[支援システムの動作]
【0018】
次に、本発明に係る支援システム100の動作について説明する。まず、火災等、避難すべき災害が発生したとき、例えば自動火災報知設備によって火災が報知され、避難対象者は避難を開始する。すなわち、火災への初期対応のために館内に残る自衛消防隊の隊員以外の施設人員は、避難対象者として避難を開始する。そして、避難後、避難場所に集合する。
【0019】
防災センタで、監視カメラや自衛消防隊からの連絡によって避難状況の概要を観測していた防災センタ要員は、最終的に避難状況を確認するため、支援装置10で避難確認の操作を行う。すなわち、支援装置10の操作部17での避難確認操作によって、支援装置10の指示部111は、避難を完了したときに避難完了の操作を指示する避難確認画面2510を、第1通信部13を介して端末20の表示部251に表示させる(図2〜4を参照)。このとき端末20は、通信部23を介して支援装置10の指示部111からの指示を受信した制御部21は、表示部251に避難確認画面2510を表示させる。図4に示した避難確認画面2510の例では、状況表示部2511に支援システム100が実行中の状況を、例えば「避難確認」と表示する。また、避難確認画面2510の指示表示部2512に、避難を完了したときに避難完了の操作を指示するメッセージ、例えば「営業○○部 川東○朗さん 避難を完了したら、避難完了ボタンを押してください。」を表示し、避難を完了したときに避難完了の操作をするための避難完了ボタン2513を表示する。
【0020】
前記端末20を、グループG1に所属する施設人員G11が携帯し、操作しているものとする。施設人員G11が避難完了して避難場所に到達したとき、施設人員G11は自らが携帯する端末20の避難完了ボタン2513を操作すると、タッチパネル241は該当する位置の操作を検出する(図4において、g11は操作している施設人員G11の指を示す)。そして、検出された前記操作に基づいて、制御部21は、記憶部21に記憶した自機の端末識別子を付加して、避難完了した旨を送信する。つまり、端末20は、避難確認画面2510の指示表示部2512に表示された前記メッセージに対して、自らの避難完了を支援装置10に応答する。
【0021】
支援装置10の受付部112は、避難確認画面2510に対する避難完了の応答と該応答に付加された前記端末識別子とを端末20から受け付ける。そして、このとき、受付部112は、受け付けた前記端末識別子(前記例では、施設人員G11が携帯する端末20に対応する端末識別子)と関連付けて「自らによる避難完了報告」として、記憶部12の第1記憶領域に記憶された施設人員データベース121に記憶させる。また、受付部112は、同時に、施設人員データベース121(第1記憶領域)を参照して、受け付けた端末識別子に対応するグループに所属する他の施設人員の名前を取得する。この場合は、応答した端末20を操作した施設人員G11が所属するグループG1について、所属する他の施設人員G12〜15の名前を取得する(図1参照)。そして、指示部112は、取得した名前G12〜15を表示すると共に、表示された名前に該当する避難完了者を確認した場合にその避難完了者を報告する操作を指示する避難者確認画面2520を受け付けた端末識別子を有する端末20の表示部251に表示させる(図5参照)。
【0022】
図5に示した避難者確認画面2520の例では、状況表示部2521に支援システム100が実行中の状況を、例えば「避難者確認」と表示している。また、避難者確認画面2520の指示表示部2522に、表示した施設人員の避難完了を確認したらその避難完了者を報告する操作を指示する表示、例えば「営業○○部で避難完了した人がいたら、チェックして送信してください。」と表示する。そして、避難者確認画面2520の避難者確認部2523に、施設人員G11のグループG1に所属する他の施設人員G12〜15の名前を記し、施設人員G12〜15のそれぞれ対応する避難者確認ボタン2523a〜2523dを表示する。このとき、仮にグループG1では施設人員G15以外の施設人員G11〜14が避難場所に集合していたとすると、施設人員G11は、避難場所で施設人員G12〜15を探し、避難完了を確認できたG12〜14の避難完了ボタン2523a、2523b、2523cを操作し、さらに避難完了ボタン2523と同時に表示された送信ボタン2524を操作して、避難完了者を報告する。
【0023】
この施設人員G11が携帯する端末20からの避難完了者の報告を支援装置10の受付部121が受け付けたとき、受付部121は、前記報告の避難完了者G12〜14と関連付けて「他者による避難完了報告」として、記憶部12の施設人員データベース121に記憶させる。すなわち、この時点では、施設人員データベース121のグループG1に関する記憶は、施設人員G11は「自らによる避難完了報告」が、施設人員G12〜14は「他者による避難完了報告」が、それぞれ記憶されている。そして、施設人員G15の避難完了報告が無いこととなる。
【0024】
なお、このとき、グループG1において、避難完了した施設人員G12も端末20を携帯し、施設人員G11と共に避難場所へ集合していたとすると、施設人員G11の携帯する端末20と同様に、避難確認画面2510と、避難者確認画面2520とが表示される。そして、避難確認画面2510において、自らの避難完了を報告し、避難者確認画面2520において、施設人員G11、13,14を避難完了者として報告することとなる。この施設人員G12の報告により、支援装置10の施設人員データベース121は、施設人員G12と関連する「自らによる避難完了報告」が追加記憶される。
【0025】
一方、施設人員G21、22が所属するグループG2は、避難完了した施設人員21が端末20を携帯し、施設人員G22と共に避難場所へ集合していたとすると、施設人員G21が携帯する端末20には、同様に、避難確認画面2510と、避難者確認画面2520とが表示される。そして、避難確認画面2510において、自らの避難完了を報告し、避難者確認画面2520において、施設人員G22を避難完了者として報告することとなる。この施設人員G21の報告により、施設人員データベース121のグループ2に関する記憶は、施設人員G21は「自らによる避難完了報告」が、施設人員G22は「他者による避難完了報告」が、それぞれ記憶される。そして、グループ2では避難完了報告が無い施設人員はいないこととなる(図1参照)。
【0026】
以上により、支援装置10の施設人員データベース121は、施設人員G11、12、21については「自らによる避難完了報告」が、施設人員G13,14、22については「他者による避難完了報告」が、それぞれ記憶される。また、施設人員G15は避難完了報告が無い。そして、支援装置10の制御部11は、施設人員データベース121(記憶部12の第1記憶領域)を参照して、グループと、グループと関連付けた人員の名前と、さらに、前記施設人員毎に「他者による避難完了報告」があって「自らによる避難完了報告」が無い者と、「自らによる避難完了報告」がある者とを区別した避難状況とを、表示部16に表示させる。すなわち、表示部16には、グループG1については、施設人員G11、12の避難状況が「自らによる避難完了報告」がある者として、施設人員G13、14の避難状況が「他者による避難完了報告」がある者として、それぞれ表示される。また、施設人員G15の避難状況は「避難完了報告」が無い者として、すなわち空白で表示される。また、グループG2については、施設人員G21の避難状況が「自らによる避難完了報告」がある者として、施設人員G21の避難状況が「他者による避難完了報告」がある者として、それぞれ表示される。(図1、6を参照。ただし、施設人員G14は、図示された状況とは異なって外出せずに避難完了したものとする。また、図示された訪問者については、変形例で後述する。)
【0027】
以上のように、避難対象者全員が端末20を携帯できない様な状況であっても、避難確認を行うグループ内に端末20を携帯する者が一人でもいれば、避難完了した者を防災センタ等に設けた支援装置10で把握することができる。また、避難場所に集合しておらず、避難完了を確認できない者も把握することができる(前記の例では施設人員G15が相当する)。そして、避難完了が確認できない者を要救援者として認識して捜索し、また、公設消防隊が到着した際には、行方不明者として情報を伝達することができる。
2.変形例
【0028】
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
【0029】
上記実施形態では、施設人員で外出したり休暇を取得したりしている者がいたような場合、それを如何に支援システム100で把握するかが課題となる。外出者が所属するグループでは、通常は外出者の存在を把握しているので、前記避難者確認画面2520を端末20の画面251に表示させる段階で、グループに所属する他の施設人員の避難完了報告に加え、外出中であることを報告できるようにしてもよい。
【0030】
また、対象施設に、外出あるいは休みといった不在の状況を含む行動状況が入力されて共有されるグループウェアが導入されている場合は、これを利用することもできる。このようなグループウェアを利用した支援システムについて、図1、2を参照して説明する。支援装置10は、不在を含む行動状況が入力されて共有されるグループウェアを実行するグループウェアサーバ(図において「グループウェア」を「GW」と表記する)30と信号線L2を介して通信する第2通信部14をさらに備える。また、支援装置10の記憶部12は、不在者を記憶する第2記憶領域としての不在者データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)122をさらに備える。そして、支援装置10の制御部11は、第2通信部を介してグループウェアサーバ30から不在者情報を取得する不在者管理部114を備える。不在者管理部114は、取得した不在情報に基づいて、不在者を抽出して第2記憶領域に記憶させ、前記不在者の不在状況の抹消を抽出して不在者データベース122(第2記憶領域)に記憶させた前記不在者の記憶を削除するように制御する。さらに、不在者データベース122に記憶された不在者の情報に基づいて、施設人員データベース121(第1記憶領域)の避難完了報告として「不在であること」を記憶させる。このように構成することにより、支援装置10の表示部16は、不在者の避難状況として「不在」であることを表示することができる。
【0031】
すなわち、図示した例では、施設人員G14の外出はグループウェアサーバ30に登録されるので、避難完了の確認を行う際に施設人員G14が不在であることを把握することができる(図1、6参照)。
2−2.変形例2
【0032】
対象施設で、建築物への入館または退館を管理する入退館管理システムを導入している場合は、これを不在者の把握に利用することができる。また、在館中の訪問者の避難完了の確認にも利用することが可能となる。このような変形例について、図2を参照して説明する。
【0033】
支援装置10は、人の出入りを管理する入退館管理システム40と通信する第3通信部15と、在館中の訪問者を記憶部12の第3記憶領域に記憶する訪問者データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)123とを、さらに備える。支援装置10の制御部11は、第3通信部を介して入退館管理システム40から取得した入退館情報に基づいて、訪問者データベース123の記憶を制御する訪問者管理部115を備える。訪問者管理部114は、在館中の訪問者を抽出して在館中訪問者として訪問先の担当者と関連付けて訪問者データベース123(第3記憶領域)に記憶させ、前記在館中訪問者の退館を抽出して訪問者データベース123に記憶させた前記在館中訪問者記憶を削除する。そして、訪問者管理部115は、訪問者データベース123に記憶された在館中訪問者の情報に基づいて、施設人員データベース121を参照して、前記在館中訪問者の訪問先の担当者が所属するグループを抽出する。そして、訪問者管理部115は、抽出した前記グループに所属する他の施設人員に加えて前記在館中訪問者を施設人員データベース121に記憶させる。また、施設人員については、第3通信部を介して入退館管理システム40から取得した入退館情報に基づいて、訪問者管理部115が施設人員データベース121に不在者の避難完了報告として「不在」であることを直接記憶させるように制御すればよい。
【0034】
このように構成することにより、外出者G14は入退館管理システム40を介して外出で不在であるが把握される(図1参照。ただし、図示した状況とは異なり、外出者G14はグループウェアサーバ30ではなく、入退館管理システム40で把握される)。また、訪問者V1は、入館した後に退館していることが把握されるので、避難完了確認の対象とはならない。また、訪問者V2は入館中であり、グループG2を訪問しているので、グループ2に属するものとして扱われる。この場合、端末20を携帯するグループ2に所属する施設人員G21が訪問者V2の避難完了を、端末20の表示部25に表示された訪問者V2の名前が表示された避難者確認画面2520に従って、報告することとなる。その結果、支援装置10の表示部16は、図6に示すように、外出者G14の避難状況を「不在」として、訪問者V2の避難状況を「他社による避難完了報告」がある者として、それぞれ表示することができる。
2−3.変形例3
【0035】
この変形例は、避難完了が確認できない者を捜索できるようにするものであり、まず、図2を参照して構成を説明する。支援装置10の制御部11は、操作部17で「避難確認要請」の操作が行われたときに、施設人員データベース121(記憶部12の第1記憶領域)を参照し、避難確認報告が無い避難対象者の名前を取得して捜索対象者として認識する。そして、制御部11は、捜索対象者を表示させると共に、捜索対象者の避難完了を確認した場合は該捜索対象者の避難確認を報告する操作を指示する避難確認要請画面2530を、端末20すべてに表示させる要請部114を備える。また、施設人員データベース121に、記憶されている施設人員毎に、その顔写真も関連付けて記憶させておくと、避難確認要請画面2530に顔写真を表示することができるので、より発見が容易となる。
【0036】
このときの避難確認要請画面2530の例を図7に示す。避難確認画面2530は、端末20の表示部25の表示画面251に表示される。状況表示部2531には、支援システム100が動作している状況として、例えば「避難確認要請」と表示されている。また、要請表示部2532には、表示された施設人員(この場合は施設人員G15)の避難を確認した人は避難確認の操作を行うことを要請するメッセージ、例えば「以下の人の避難を確認した人は、チェックを入れて送信してください。」が表示される。そして、要請対象表示部2533には、捜索対象者の名前と顔写真とが表示されている。捜索対象者が複数の場合は、複数の捜索対象者が要請対象表示部2533に表示される。捜索対象者を要請対象表示部2533に表示しきれない場合は、図示しないページ送りボタンを表示し、捜索対象者を順次表示するようにしてもよいし、スクロール表示させるようにしてもよい。このとき、避難確認を入力するための避難確認ボタン2534と、避難確認ボタン2534を操作した後に、その情報を送信する送信ボタン2535が表示される。そして、端末20を携帯する施設人員が捜索対象者を発見したら、該当する避難確認ボタン2534を操作し、さらに送信ボタン2535を操作することにより、支援装置10に捜索対象者の避難完了を送信することができる。
【0037】
このように構成することにより、捜索対象者が他のグループに紛れ込んでしまっていたような場合は、直ちに避難完了を報告することができる。また、このような構成としても、捜索対象者が発見できない場合は、要救助である可能性が高い者であることが強く認識されるものである。
2−4.変形例4
【0038】
上記実施形態において、他者による避難完了報告がある者は、避難完了の報告が多いほど信頼性の高い情報として扱うこともできる。例えば、支援装置10の制御部11の受付部112が、避難者確認画面2520に対する避難完了の応答を計数し、計数した応答の数に応じて重み付けした「他者による避難完了報告」として、施設人員データベース121(記憶部12の第1記憶領域)に記憶させるようにしてもよい。記憶する内容は、計数した応答の数そのものでもよいし、その数に対応した段階で表すようなレベル値であってもよい。そして支援装置10の表示部16は、その記憶内容を反映させるように、数値、色、形状、等で表示するようにする。このようにすることにより、避難完了確認の間違いを低減することができる。
【0039】
上記実施形態において、端末20が自己の位置情報を取得できる測位部26を備えるようにしてもよい。支援装置10の指示部111が、端末20の表示部25に避難確認画面2510を表示させる段階で、指示部111からの指示によって、端末20の測位部26を用いて自機の位置情報を取得させ、これを支援装置10に送信する。支援装置10が受信する前記位置情報が、避難場所を示すものであった場合は、端末20からの避難確認の応答を待たず、直ちに避難完了が確認されたものとして扱うことができる。なお、測位システムには、屋外又は衛星通信条件が良い屋内においては、例えば衛星による測位システムGPS(Global Positioning System)やGLONASS(GLObal’naya NAvigatsuionnaya Sputnikovaya Sistema)を用いることができる。また、例えば、衛星通信条件が悪い屋内においては、GPSを補完するIMES(Indoor MEssaging System)を用いることができる。また、例えば、モバイル通信網の無線基地局や無線LANのアクセスポイント等に基づく測位システムによって、自己の位置情報である端末位置情報を取得する(測位する)ことができる。
【符号の説明】
【0040】
100…支援システム、10…支援装置、11…制御部、111…指示部、112…受付部、113…要請部、114…不在者管理部、115…訪問者管理部、12…記憶部、121…施設人員データベース(第1記憶領域)、122…不在者データベース(第2記憶領域)、123…訪問者データベース(第3記憶領域)、13…第1通信部、14…第2通信部、15…第3通信部、16…表示部、17…操作部、20…端末、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…操作部、241…タッチパネル、25…表示部、251…画面、2510…避難確認画面、2511、2521、3531…状況表示部、2520…避難者確認画面、2512、2522…指示表示部、2513…避難完了ボタン、2523…避難者確認部、2524、2535…送信ボタン、2530…避難確認要請画面、2532…要請表示部、2533…要請対象表示部、2534…避難確認ボタン、26…測位部、X…通信回線、L1〜3…信号線、S…防災センタ要員、G1、2…グループ、G11〜15、21〜22…施設人員(避難対象者)、V1〜2…訪問者、30…グループウェアサーバ、40…入退館管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7