特許第6386774号(P6386774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386774
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】組電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20180827BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180827BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20180827BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20180827BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20180827BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20180827BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180827BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01M10/653
   H01M10/613
   H01M10/647
   H01M10/6551
   H01M10/6557
   H01M10/6568
   H01M2/10 S
   H01M2/34 B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-90711(P2014-90711)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-210895(P2015-210895A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 怜
(72)【発明者】
【氏名】首藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】小池 昇
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−174524(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133708(WO,A1)
【文献】 特開2010−199070(JP,A)
【文献】 特表2007−538373(JP,A)
【文献】 特開2012−252898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52−10/667
H01M 2/10
H01M 2/20−2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
前記複数の二次電池を収容するアルミダイカスト製の筐体と、
前記筐体に収容された前記複数の二次電池の各々の電極端子部が外部に露出する前記筐体の開口部を覆う非導電性の蓋体と、
前記複数の二次電池の各々の表面の少なくとも一部を覆い、少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられた非導電性の被覆部材と、
前記貫通孔に充填される非導電性および熱伝導性の充填材と、を備え
前記貫通孔は、前記筐体の内部への前記複数の二次電池の挿入方向に伸びるスリット形状を有する、
組電池モジュール。
【請求項2】
前記被覆部材は、樹脂または熱伝導性の材料から成る、請求項に記載の組電池モジュール。
【請求項3】
前記充填材は、ゲル、接着剤、およびペーストの何れかである、請求項に記載の組電池モジュール。
【請求項4】
複数の二次電池と、
前記複数の二次電池を収容するアルミダイカスト製の筐体と、
前記筐体に収容された前記複数の二次電池の各々の電極端子部が外部に露出する前記筐体の開口部を覆う非導電性の蓋体と、を備え、
前記筐体は、前記複数の二次電池の隣り合う二次電池の間を仕切る仕切部を備え、
前記仕切部は、冷媒の流路を備え、
前記筐体は、前記仕切部の前記流路に接続される流路が設けられた壁部を備え、
前記壁部の前記流路が前記壁部の表面で開口する開口部を覆うようにシール材を介して前記壁部に装着され、前記開口部に対して前記冷媒を流入および流出させる冷媒入出部材を備え、
前記冷媒入出部材は、複数の前記開口部に臨んで分岐および合流する冷媒入出流路と、前記冷媒入出流路に接続された入出口部と、を備え、
複数の前記筐体の隣り合う筐体は、第2の冷媒入出部材および第2のシール材を介して、互いの前記壁部の前記開口部を臨ませた状態で連結される、
組電池モジュール。
【請求項5】
前記筐体は、前記壁部の表面上から突出するフランジ部を備え、
前記冷媒入出部材は、前記フランジ部に固定される、
請求項に記載の組電池モジュール。
【請求項6】
前記第2の冷媒入出部材は、非導電性の材料から成る、請求項に記載の組電池モジュール。
【請求項7】
前記筐体は、表面上の少なくとも一部に放熱フィンを備える、請求項1または4に記載の組電池モジュール。
【請求項8】
前記放熱フィンは、前記筐体の内部への前記複数の二次電池の挿入方向に平行に伸びる形状を有する、
請求項7に記載の組電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の二次電池を電気的に絶縁性の樹脂製筐体に収容する組電池モジュールがある。このような組電池モジュールにおいては、放熱性および冷却性を向上させることが難しい場合があり、複数の二次電池の充放電の電流値を増大させることが難しい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−33306号公報
【特許文献2】特開2013−134809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、放熱性および冷却性を向上させ、充放電の能力を向上させることができる組電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の組電池モジュールは、複数の二次電池と、アルミダイカスト製の筐体と、非導電性の蓋体と、非導電性の被覆部材と、非導電性および熱伝導性の充填材と、を持つ。筐体は、複数の二次電池を収容する。蓋体は、筐体に収容された複数の二次電池の各々の電極端子部が外部に露出する筐体の開口部を覆う。被覆部材は、複数の二次電池の各々の表面の少なくとも一部を覆い、少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられる。充填材は、貫通孔に充填される貫通孔は、筐体の内部への複数の二次電池の挿入方向に伸びるスリット形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の組電池モジュールの構成を示す斜視図。
図2】実施形態の組電池モジュールの構成を示す分解斜視図。
図3】実施形態の組電池モジュールの二次電池および被覆部材を示す斜視図。
図4】実施形態の組電池モジュールの二次電池および被覆部材の各々を示す分解斜視図。
図5】実施形態の組電池モジュールの筐体を示す斜視図。
図6】実施形態の組電池モジュールの冷媒入出部材を示す斜視図。
図7】実施形態の第1の変形例の組電池モジュールの筐体を示す斜視図。
図8】実施形態の第2の変形例の組電池モジュールの筐体を示す斜視図。
図9】実施形態の第3の変形例の組電池モジュールの構成を示す斜視図。
図10】実施形態の第3の変形例の組電池モジュールの構成を示す分解斜視図。
図11】実施形態の第3の変形例の組電池モジュールの第2の冷媒入出部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の組電池モジュールを、図面を参照して説明する。
【0008】
実施形態の組電池モジュール10は、図1および図2に示すように、複数の二次電池11と、アルミダイカスト製の筐体12と、非導電性の蓋体13と、複数のバスバー14と、電子回路基板15と、トップカバー16とを備えている。さらに、組電池モジュール10は、筐体12に接続される冷媒入出部材17と、シール材18とを備えている。
【0009】
複数の二次電池11の各々は、例えば、リチウムイオン電池などの非水電解質二次電池である。各二次電池11は、図2および図3に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された扁平な略直方体形状の外装容器21と、外装容器21内に非水電解液と共に収納された電極体(図示略)と、を備えている。各二次電池11は、電極体の正極に接続された正極端子22および負極に接続された負極端子23を、例えば合成樹脂やガラスなどの絶縁体から成るガスケット24を介して、端子面25の長手方向両端部の各々に備えている。
【0010】
複数の二次電池11の各々は、図3および図4に示すように、外装容器21の表面の少なくとも一部、例えば筐体12内に収容される底面26および側面27を覆う非導電性の被覆部材28を備えている。被覆部材28は、非導電性に加えて、例えば弾性および熱伝導性を有するシート状の樹脂材料から成るケース型の形状を有している。被覆部材28は、例えば、筐体12と各二次電池11との間を電気的に絶縁するために必要とされる所定最小厚さを有している。
被覆部材28には、網目状に配置される複数の貫通孔28aが設けられている。複数の貫通孔28aの各々は、各二次電池11の高さ方向(つまり底面26から端子面25に向かう方向)に伸びるスリット状に形成されている。各貫通孔28aが伸びる方向は、例えば後述する筐体12内に各二次電池11が挿入される方向と一致するように設定されている。
【0011】
複数の二次電池11の各々は、外装容器21の表面の少なくとも一部に被覆部材28が装着された状態で外装容器21と被覆部材28との間および複数の貫通孔28aに充填される熱伝導性の充填材29を備えている。充填材29は、例えば流動可能な粘性を有するゲル、接着剤、およびペーストの何れかの材料によって構成されている。充填材29は、例えば、予め筐体12の内部に所定量だけ貯留された状態で各二次電池11が筐体12内に挿入されることによって加圧され、外装容器21と被覆部材28との間、複数の貫通孔28a、および被覆部材28と筐体12の内面との間に隙間無く流動する。これにより充填材29は、外装容器21と被覆部材28との間、複数の貫通孔28a、および被覆部材28と筐体12の内面との間に気泡などの空気層が形成されること無しに充填される。
【0012】
複数の二次電池11は、例えば、隣り合う二次電池11の互いの長側面27a(つまり、側面27を成す各1対の幅の広い長側面27aおよび幅の狭い短側面27bのうちの長側面27a)を対向させるように積層された状態で筐体12内に収容されている。筐体12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いたダイカストにより形成されている。
【0013】
筐体12は、図5に示すように、複数の二次電池11が収容される複数の収容部31の各々を区分するように、隣り合う二次電池11の間を仕切る少なくとも1つ以上の仕切部32を備えている。仕切部32は、筐体12の一部を成す1対の対向する第1壁部33a間を接続する板状の形状を有している。
筐体12は、仕切部32および仕切部32に接続される第1壁部33aの内部を貫通して、冷却水などの冷媒を流通させる冷媒流路34を備えている。冷媒流路34は、例えば、各収容部31に収容される二次電池11の長手方向に仕切部32および第1壁部33aの各内部を貫通する流路によって形成されている。仕切部32に接続される第1壁部33aには、第1壁部33aの表面で開口する冷媒流路34の開口部34aを覆うようにして、後述する冷媒入出部材17がシール材18を介して装着されている。
【0014】
筐体12は、複数の収容部31の各々に収容される二次電池11の端子面25を外部に露出させる開口部35を備えている。蓋体13は、複数の収容部31の各々に収容される二次電池11を固定するとともに、開口部35を覆うようにして筐体12に着脱可能に装着される。筐体12および蓋体13は、着脱可能に装着される複数の爪部36aおよび複数の装着孔36bを備えている。これにより蓋体13は、各装着孔36bに各爪部36aが装着されることによって、筐体12に固定され、筐体12の開口部35を塞ぐとともに複数の二次電池11を固定する。また、蓋体13は、各装着孔36bに対する各爪部36aの装着が解除されることによって、筐体12から固定解除され、開口部35を開放するとともに各二次電池11の端子面25を外部に露出させる。
【0015】
蓋体13は、筐体12に固定された状態で複数の二次電池11の正極端子22および負極端子23を外部に露出させる複数の端子孔13aを備えている。複数のバスバー14は、複数の端子孔13aから露出する正極端子22および負極端子23と電子回路基板15とを電気的に接続するようにして、蓋体13と電子回路基板15との間に配置されている。各バスバー14は、導電性のアルミニウムなどの金属の曲げ成形によって形成され、複数の二次電池11に対する各種の接続形態に応じた所定形状を有している。例えば図2に示す各バスバー14は、短手方向で隣り合う二次電池11の互いの正極端子22および負極端子23を電気的に接続する概略I型板状の形状を有している。複数のバスバー14は、例えばねじ止めなどによって、電子回路基板15または外部出力端子(図示略)に固定されている。
トップカバー16は、蓋体13に装着されて、複数のバスバー14および電子回路基板15を保護する。
【0016】
冷媒入出部材17は、図6に示すように、筐体12の第1壁部33aに装着される板状に形成されている。冷媒入出部材17は、筐体12の第1壁部33aの表面に対向して接触する対向面41上に第1壁部33aの複数の開口部34aに臨む溝部42を備えている。溝部42は、冷媒入出部材17を厚さ方向に貫通して対向面41の反対側の表面43で開口する冷媒入出口44に接続されている。溝部42は、筐体12の第1壁部33aに冷媒入出部材17が装着された状態で第1壁部33aの表面によって閉塞されることによって、複数の開口部34aと冷媒入出口44とを接続するように分岐および合流する冷媒入出流路45を形成する。これにより冷媒入出口44は、複数の冷媒流路34に対して冷媒を流入および流出させる。溝部42は、筐体12の冷媒流路34および冷媒入出流路45の各々を流通する冷媒の圧力損失および流量が均等になるような形状を有している。
【0017】
冷媒入出部材17は、溝部42の周縁を取り囲むように対向面41上に設けられ、シール材18が装着されるシール溝46を備えている。シール材18は、非導電性に加えて、例えば熱伝導性を有する樹脂材料から成る環状に形成されている。シール材18は、シール溝46に応じた形状を有し、シール溝46に装着された状態で筐体12の第1壁部33aと冷媒入出部材17との間に挟み込まれることによって冷媒入出流路45をシールする。
冷媒入出部材17は、表面43側において冷媒入出口44に配管またはホースなどを接続するための接続部47を備えている。
【0018】
筐体12は、図2に示すように、1対の第1壁部33aに連続するようにして、他の1対の対向する第2壁部33bの表面上から外部に向かい突出するフランジ部51を備えている。冷媒入出部材17は、例えばボルト止めまたはクランプ部材(図示略)による締付け固定などによって、フランジ部51に固定されている。
例えば図2に示す筐体12は、複数のボルト装着孔51aが設けられたフランジ部51を備えている。例えば図7に示す冷媒入出部材17には、フランジ部51の複数のボルト装着孔51aに臨む複数のボルト挿入孔17aが形成されている。これらにより筐体12および冷媒入出部材17は、各ボルト挿入孔17aに挿入された各ボルト52が各ボルト装着孔51aに装着されることによって固定されている。
【0019】
以上説明した実施形態によれば、複数の二次電池11を収容するアルミダイカスト製の筐体12を持つことにより、構成に要する費用が嵩むことを防ぎつつ、組電池モジュール10の放熱性および冷却性を向上させ、充放電の能力を向上させることができる。
さらに、各二次電池11において外装容器21の表面の少なくとも一部を覆う非導電性の被覆部材28を持つことにより、各二次電池11と筐体12との間において所望の電気的な絶縁性を確保することができる。さらに、熱伝導性を有する被覆部材28を持つことにより、各二次電池11の放熱性および冷却性を向上させることができる。さらに、弾性を有するケース型の被覆部材28を持つことにより、各二次電池11に被覆部材28を装着する際に各二次電池11の寸法公差を適切に吸収することができる。
さらに、筐体12内に各二次電池11が挿入される方向に伸びるスリット状の複数の貫通孔28aが設けられた被覆部材28を持つことにより、各二次電池11が筐体12内に挿入される際に充填材29を貫通孔28a内に隙間無く充填し易くすることができる。
【0020】
さらに、外装容器21と被覆部材28との間、複数の貫通孔28a、および被覆部材28と筐体12との間に充填される非導電性および熱伝導性の充填材29を持つことにより、所望の電気的な絶縁性を確保しつつ、放熱性および冷却性を向上させることができる。
さらに、ゲル、接着剤、およびペーストの何れかである充填材29を持つことにより、外装容器21と被覆部材28との間、複数の貫通孔28a、および被覆部材28と筐体12との間に、隙間無く充填材29を充填することができる。
【0021】
さらに、冷媒流路34が設けられて隣り合う二次電池11の間を仕切る仕切部32を持つことにより、各二次電池11の放熱性および冷却性を向上させることができる。
さらに、筐体12の第1壁部33aに装着されることによって複数の冷媒流路34と冷媒入出口44とを接続する冷媒入出流路45を形成する冷媒入出部材17を持つことにより、冷媒の配管などを設ける必要が無く、冷媒を流通させる構成が複雑になることを防止することができる。
【0022】
以下、第1の変形例について説明する。
第1の変形例の組電池モジュール10において、筐体12は、図7に示すように、各仕切部32に複数の冷媒流路34を備えてもよい。さらに、筐体12は、各仕切部32に加えて、筐体12の1対の第2壁部33bおよび底部33cに内部を貫通する少なくとも1つ以上の冷媒流路34を備えてもよい。
この第1の変形例によれば、各仕切部32に加えて筐体12の1対の第2壁部33bおよび底部33cに冷媒流路34を持つことにより、組電池モジュール10の放熱性および冷却性を、より一層、向上させることができる。
【0023】
以下、第2の変形例について説明する。
第2の変形例の組電池モジュール10において、筐体12は、図8に示すように、1対の対向する第2壁部33bの表面上に複数の放熱フィン61を備えている。複数の放熱フィン61の各々は、例えば、筐体12の内部への複数の二次電池11の挿入方向に平行に伸びる形状を有している。
この第2の変形例によれば、筐体12の第2壁部33bに複数の放熱フィン61を持つことにより、組電池モジュール10の放熱性および冷却性を、より一層、向上させることができる。
さらに、筐体12内への各二次電池11の挿入方向に平行に伸びる形状を有する複数の放熱フィン61を持つことにより、アルミダイカストにより筐体12を製造する際に金型の抜き方向を1方向とすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0024】
以下、第3の変形例について説明する。
第3の変形例の組電池モジュール10は、図9および図10に示すように、互いの冷媒流路34を接続するようにして連結される複数の筐体12を備えている。隣り合う筐体12は、互いの第1壁部33aを対向させ、互いの第1壁部33aの開口部34aを臨ませた状態で、第2の冷媒入出部材71および複数の第2のシール材72を介して連結されている。
第2の冷媒入出部材71は、図10および図11に示すように、隣り合う筐体12の互いの第1壁部33aに挟み込まれるように装着される板状に形成されている。第2の冷媒入出部材71は、非導電性に加えて、例えば熱伝導性を有する樹脂材料などによって形成されている。第2の冷媒入出部材71には、各筐体12の第1壁部33aの表面に対向して接触する1対の対向面71a上に各第1壁部33aの複数の開口部34aに臨む複数の貫通孔73が形成されている。
【0025】
第2の冷媒入出部材71は、各貫通孔73の周縁を取り囲むように対向面71a上に設けられ、第2のシール材72が装着される第2のシール溝74を備えている。各第2のシール材72は、非導電性に加えて、例えば熱伝導性を有する樹脂材料から成る環状に形成されている。第2のシール材72は、第2のシール溝74に応じた形状を有し、第2のシール溝74に装着された状態で筐体12の第1壁部33aと第2の冷媒入出部材71との間に挟み込まれることによって貫通孔73をシールする。
隣り合う筐体12は、例えばボルト止めまたはクランプ部材(図示略)による締付け固定などによって、互いのフランジ部51と第2の冷媒入出部材71とが固定されている。
例えば図10に示す隣り合う筐体12の各々は、複数のボルト装着孔51aが設けられたフランジ部51を備えている。第2の冷媒入出部材71には、フランジ部51の複数のボルト装着孔51aに臨む複数のボルト挿入孔71bが形成されている。これらにより隣り合う筐体12および第2の冷媒入出部材71は、各ボルト装着孔51aおよび各ボルト挿入孔71bに各ボルト52が装着されることによって固定されている。
【0026】
この第3の変形例によれば、互いの冷媒流路34を接続するようにして連結される複数の筐体12を持つことにより、筐体12の連結数を拡張する際に新たに冷媒の配管などを設ける必要が無く、冷媒を流通させる構成が複雑になることを防止することができる。
さらに、隣り合う筐体12の間に互いの冷媒流路34を接続する非導電性の第2の冷媒入出部材71を持つことにより、冷媒を流通させる構成が複雑化することを防止しつつ、隣り合う筐体12を電気的に絶縁することができる。
さらに、非導電性に加えて熱伝導性を有する第2の冷媒入出部材71を持つことにより、組電池モジュール10の放熱性および冷却性を、より一層、向上させることができる。
【0027】
以下、第4の変形例について説明する。
上述した実施形態においては、被覆部材28をシート状の樹脂材料から成るケース型に形成されるとしたが、これに限定されない。
被覆部材28は、例えば、蒸着などによって内面に有機材料などが被覆されたケース型の部材などでもよい。
【0028】
以下、第5の変形例について説明する。
上述した第3の変形例において、隣り合う筐体12は、各筐体12のフランジ部51においてボルトまたはクランプ部材などによって固定されるとしたが、これに限定されない。
例えば、互いに連結された複数の筐体12は、連結方向の両側から挟み込む1対の板状部材などによって固定されてもよい。
【0029】
以下、第6の変形例について説明する。
上述した第3の変形例において、隣り合う筐体12は非導電性の第2の冷媒入出部材71によって電気的に絶縁され、各筐体12に非導電性の蓋体13が装着されるとしたが、これに限定されない。例えば、複数の蓋体13は一体に形成されてもよい。
また、上述した第3の変形例において、筐体12および冷媒入出部材17と、筐体12および第2の冷媒入出部材71とは、個別に、各ボルト52によって固定されるとしたが、これに限定されない。筐体12、冷媒入出部材17、および第2の冷媒入出部材71は、複数の筐体12の連結方向に伸びる共通のボルト(図示略)が、ボルト装着孔51a、および各ボルト挿入孔17a,71bに装着されることによって、固定されてもよい。
【0030】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数の二次電池11を収容するアルミダイカスト製の筐体12を持つことにより、構成に要する費用が嵩むことを防ぎつつ、組電池モジュール10の放熱性および冷却性を向上させ、充放電の能力を向上させることができる。
さらに、各二次電池11において外装容器21の表面の少なくとも一部を覆う非導電性の被覆部材28を持つことにより、各二次電池11と筐体12との間において所望の電気的な絶縁性を確保することができる。さらに、熱伝導性を有する被覆部材28を持つことにより、各二次電池11の放熱性および冷却性を向上させることができる。さらに、弾性を有するケース型の被覆部材28を持つことにより、各二次電池11に被覆部材28を装着する際に各二次電池11の寸法公差を適切に吸収することができる。
さらに、筐体12内に各二次電池11が挿入される方向に伸びるスリット状の複数の貫通孔28aが設けられた被覆部材28を持つことにより、各二次電池11が筐体12内に挿入される際に充填材29を貫通孔28a内に隙間無く充填し易くすることができる。
【0031】
さらに、外装容器21と被覆部材28との間、複数の貫通孔28a、および被覆部材28と筐体12との間に充填される非導電性および熱伝導性の充填材29を持つことにより、所望の電気的な絶縁性を確保しつつ、放熱性および冷却性を向上させることができる。
さらに、ゲル、接着剤、およびペーストの何れかである充填材29を持つことにより、外装容器21と被覆部材28との間、複数の貫通孔28a、および被覆部材28と筐体12との間に、隙間無く充填材29を充填することができる。
【0032】
さらに、冷媒流路34が設けられて隣り合う二次電池11の間を仕切る仕切部32を持つことにより、各二次電池11の放熱性および冷却性を向上させることができる。
さらに、筐体12の第1壁部33aに装着されることによって複数の冷媒流路34と冷媒入出口44とを接続する冷媒入出流路45を形成する冷媒入出部材17を持つことにより、冷媒の配管などを設ける必要が無く、冷媒を流通させる構成が複雑になることを防止することができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
10…組電池モジュール、11…二次電池、12…筐体、13…蓋体、17…冷媒入出部材、18…シール材、22…正極端子、23…負極端子、25…端子面、26…底面、27…側面、28…被覆部材、28a…貫通孔、29…充填材、31…収容部、32…仕切部、33a…第1壁部、33b…第2壁部、34…冷媒流路、34a…開口部、35…開口部、44…冷媒入出口、45…冷媒入出流路、51…フランジ部、61…放熱フィン、71…第2の冷媒入出部材、72…第2のシール材
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