(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置の断面図である。
図2は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置の正面図である。
図3は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置と車体側固定部との分解斜視図である。
図4は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置の斜視図である。
図5は、実施形態に係る固定構造のサポートブラケットの斜視図である。
図6は、実施形態に係る固定構造のサポートブラケットの取付面とは反対側の側面図である。
図7は、実施形態に係る固定構造のサポートブラケットの取付面側の側面図である。
図8は、実施形態に係る固定構造のサポートブラケットの上面図である。
図9は、実施形態に係る固定構造のサポートブラケットの下面図である。
図10は、
図6中のA−A断面図である。
図11は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置のサポートブラケット取付前の斜視図である。
図12は、実施形態に係る固定構造のサポートブラケットの取り付けを説明する部分斜視図である。
図13は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置のサポートブラケット取付後の斜視図である。
図14、
図15は、実施形態に係る固定構造の支持凹部への車両側ピン部材の挿入を説明する模式的な断面図である。
図16は、実施形態に係る固定構造が適用された車両用表示装置の弾性支持固定部近傍の部分斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る車両用表示装置固定構造としての固定構造1は、
図1に示すように、車両用表示装置100に適用され、当該車両用表示装置100を車体101に固定するものである。本実施形態の車両用表示装置100は、
図4等に示すように、いわゆるコラムメータであり、固定構造1によって、車体101の一部を構成するステアリングシャフト102の上に固定される。車両用表示装置100は、例えば、車速、積算走行距離、走行用動力源の出力回転数、ウォーニング表示(いわゆるテルテール)、シフトポジションインジケータ等、車両の運転に供される種々の情報を表示する。車両用表示装置100は、筐体103内に当該車両用表示装置100の各部を構成する種々の部品が収容されている。筐体103は、複数の部材を組み合わせることで構成される。
【0017】
なお、
図1等に示す奥行き方向とは、典型的には、車両用表示装置100、及び、固定構造1が適用される車両の前後方向に相当する。この奥行き方向は、例えば、上述のステアリングシャフト102に沿った方向である。以下の説明では、奥行き方向において、車両の運転席と対面する側、言い換えれば、運転席に座った運転者によって視認される側を前面側、前面側とは反対側を背面側という。また、
図2等に示す幅方向とは、典型的には、車両用表示装置100、及び、固定構造1が適用される車両の車幅方向に相当する。以下の説明では、幅方向において、車両用表示装置100の前面に向かって右側(
図2中の向かって右側)を右側、車両用表示装置100の前面に向かって左側(
図2中の向かって左側)を左側という。
【0018】
本実施形態の固定構造1は、
図1等に示すように、締結固定部10と、弾性支持固定部20とを備え、当該締結固定部10と当該弾性支持固定部20とによって車両用表示装置100を車体101に適正に固定するものである。
【0019】
締結固定部10は、
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、締結部材としてのボルト11を有し、当該ボルト11によって車体101側に設けられる車体側固定部104と車両用表示装置100とを締結するものである。ここで、車体側固定部104は、車体101側に設けられる被固定部であり、ステアリングシャフト102に固定された固定板105の一部として形成される。固定板105は、ステアリングシャフト102上に車両用表示装置100を支持するための金属板状の部品であり、車体側固定部104は、この固定板105の鉛直方向上端部から鉛直方向上側に向けて突出する突出部として形成される。ボルト11は、当該車体側固定部104と車両用表示装置100とを締結する締結具である。
【0020】
本実施形態の締結固定部10は、車両用表示装置100において、幅方向に対して左右1対で設けられ、合計2つが設けられる。つまり、本実施形態の固定構造1は、2つの締結固定部10と後述の1つの弾性支持固定部20の合計3点で車両用表示装置100を車体101に固定する。ここでは、各締結固定部10は、車両用表示装置100の鉛直方向下端部側に設けられる。
【0021】
より詳細には、各締結固定部10は、それぞれ上述のボルト11と、車両用表示装置100の筐体103側に形成される挿入凹部12及びボルト挿入孔13と、車体側固定部104側に形成されるボルト螺合孔14とを有する。
【0022】
各挿入凹部12は、車両用表示装置100の筐体103の鉛直方向下端部に形成される(特に
図1、
図2等参照)。各挿入凹部12は、筐体103の鉛直方向下端部から鉛直方向上側に向けて延在する空間部として形成される。各挿入凹部12は、それぞれ上述の各車体側固定部104のうちの1つが挿入可能な位置、大きさで形成される。ここでは、各挿入凹部12は、幅方向に対して車両用表示装置100の表示部分を挟んで、一方が当該車両用表示装置100の幅方向左側の端部に形成され、他方が当該車両用表示装置100の幅方向右側の端部に形成される。
【0023】
各ボルト挿入孔13は、それぞれボルト11を挿入可能な孔として形成される。各ボルト挿入孔13は、車両用表示装置100の筐体103の鉛直方向下端部に形成される。各ボルト挿入孔13は、上述の各挿入凹部12と同様に、幅方向に対して車両用表示装置100の表示部分を挟んで、一方が当該車両用表示装置100の幅方向左側の端部に形成され、他方が当該車両用表示装置100の幅方向右側の端部に形成される。各ボルト挿入孔13は、筐体103の前面側から、対応する挿入凹部12まで連通している。
【0024】
各ボルト螺合孔14は、それぞれボルト11が螺合可能な孔として形成される。各ボルト螺合孔14は、各車体側固定部104にそれぞれ1つずつ形成される。各ボルト螺合孔14は、各挿入凹部12内に各車体側固定部104が挿入された状態で、対応するボルト挿入孔13と奥行き方向に対向する位置に形成される(特に
図1等参照)。
【0025】
車両用表示装置100は、
図3に示すように、全体を固定板105の鉛直方向上側から鉛直方向下側に移動させながら当該固定板105上に組み付けられる。このとき、車両用表示装置100は、各車体側固定部104が、筐体103に形成された各挿入凹部12内に鉛直方向下側から挿入されるような位置関係で固定板105上に組み付けられる。そして、各締結固定部10は、
図4に示すように、各ボルト11が奥行き方向前面側から各ボルト挿入孔13に挿入され各ボルト螺合孔14に螺合することで、ボルト11によって車体側固定部104と車両用表示装置100とを締結し固定することができる。
【0026】
一方、本実施形態の弾性支持固定部20は、
図1等に示すように、車両用表示装置100側に設けられ支持凹部21aが形成された支持弾性体21を有し、支持凹部21a内に車体101側に設けられる車両側ピン部材106が挿入され当該車両側ピン部材106を弾性支持するものである。ここで、車両側ピン部材106は、車体101側に設けられる被固定部であり、ステアリングシャフト102に固定された固定部材107(
図3参照)の一部として棒状に形成される。車両側ピン部材106は、固定部材107から鉛直方向上側に延びるようにして、鉛直方向に沿って延在して形成される。
【0027】
本実施形態の弾性支持固定部20は、奥行き方向に対して筐体103の背面103a側に1つ設けられる。ここでは、弾性支持固定部20は、上述の支持弾性体21と、当該支持弾性体21を保持する補助部材としてのサポートブラケット22とを有する。サポートブラケット22は、支持弾性体21が設けられると共に車両用表示装置100の筐体103の背面103aに一体的に組み付けられる。サポートブラケット22は、筐体103の背面103aに一体的に組み付けられることで車両用表示装置100の一部を構成するものであり、ここでは、車両用表示装置100の筐体103とは別体に形成され当該筐体103に対して着脱可能に構成される。
【0028】
具体的には、サポートブラケット22は、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10に示すように、保持部22aと、側面ブラケット部22bと、下面ブラケット部22cと、上部ビス止めブラケット部22dとを含んで構成され、例えば、ABS樹脂等の樹脂部材によってこれらが一体で形成される。なお、以下のサポートブラケット22の説明では、サポートブラケット22が筐体103に組み付けられ、車両用表示装置100が車体101に固定された状態での方向を用いて各部を説明するものとする。
【0029】
保持部22aは、中空の矩形筒状(あるいは矩形箱状)に形成され、内部の空間部22e(
図5、
図9、
図10等参照)に後述の支持弾性体21が2色成形等によって一体的に形成される。保持部22aは、鉛直方向下端面にピン挿入開口22f(
図5、
図9、
図10等参照)が形成される。ピン挿入開口22fは、車両側ピン部材106が挿入される開口であり、支持弾性体21が形成される空間部22eと連通している。なおここでは、保持部22aは、鉛直方向上端面にも上面開口22g(
図8等参照)が形成されており、また、他の箇所にも適宜開口が設けられている。
【0030】
側面ブラケット部22bは、保持部22aの側面の奥行き方向前面側の縁部から幅方向両側に突出するように形成される板状の部分である。各側面ブラケット部22bは、保持部22aの鉛直方向下側端部側に形成される。サポートブラケット22は、筐体103に組み付けられた状態で、当該各側面ブラケット部22bの前面側が筐体103の背面103aと対向し接触する取付面を形成する。各側面ブラケット部22bは、それぞれ鉛直方向に沿った側面長孔22hが形成される。各側面長孔22hは、鉛直方向に沿った略長円形状に形成され、各側面ブラケット部22bを貫通している。
【0031】
下面ブラケット部22cは、保持部22aの鉛直方向下面の奥行き方向前面側の縁部から幅方向両側に突出するように形成される板状の部分である。各下面ブラケット部22cは、上述の各側面ブラケット部22bと略垂直に交わって連続するように形成される。つまり、サポートブラケット22は、各側面ブラケット部22bと各下面ブラケット部22cとが交わることで、略垂直の角部が形成される。各下面ブラケット部22cは、それぞれ奥行き方向に沿った下面長孔22iが形成される。各下面長孔22iは、奥行き方向に沿った略長方形状に形成され、各下面ブラケット部22cを貫通している。
【0032】
上部ビス止めブラケット部22dは、保持部22aの鉛直方向上面から鉛直方向上側に突出するように形成される板状の部分である。上部ビス止めブラケット部22dは、奥行き方向に対して側面ブラケット部22bより背面側に位置していると共に、奥行き方向前面側に凹部22jが形成されている(
図5、
図8等参照)。上部ビス止めブラケット部22dは、当該凹部22jの底部分にビス挿入孔22kが形成される。ビス挿入孔22kは、上部ビス止めブラケット部22dを奥行き方向に貫通している。
【0033】
なお、サポートブラケット22は、保持部22aを補強する格子状のリブや側面ブラケット部22b、下面ブラケット部22c、上部ビス止めブラケット部22d等を補強するリブ等、種々の補強リブが一体となって形成されている。
【0034】
支持弾性体21は、
図5、
図9、
図10等に示すように、保持部22aの空間部22e内に配置される。支持弾性体21は、サポートブラケット22よりも剛性が低く、弾性を有する材料、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性の低い可撓性の弾性材料により形成される。ここでは、支持弾性体21は、上述したように、2色成形等によってサポートブラケット22と一体的に形成される。
【0035】
支持弾性体21は、上述したように、車両側ピン部材106が挿入される支持凹部21aが形成される。ここでは、支持弾性体21は、空間部22e内において、奥行き方向に対して隙間をあけて一対で配置され、当該隙間の部分が支持凹部21aとして形成される。支持弾性体21は、サポートブラケット22において空間部22eを形成する壁面であって奥行き方向に対して互いに対向する両壁面の表面にそれぞれ設けられている。支持弾性体21は、空間部22eを形成する壁面と密着する面とは反対側の面が、支持凹部21aに車両側ピン部材106が挿入された状態で当該車両側ピン部材106と接触する支持面21bとして機能する。この各支持面21bは、上記支持凹部21aを区画する区画壁面として機能する。支持弾性体21は、当該一対の支持面21bによって、支持凹部21aに挿入された車両側ピン部材106を奥行き方向の両側で挟持する。つまり、本実施形態の支持弾性体21は、奥行き方向に対して車両側ピン部材106を挟んで両側で当該車両側ピン部材106と接触し当該車両側ピン部材106を挟持する一対の支持面21bを有するものである。支持凹部21aは、当該一対の支持面21bによって鉛直方向に沿って形成され、鉛直方向上側及び鉛直方向下側に開口する。なおここでは、支持凹部21aは、鉛直方向上側及び鉛直方向下側に開口するがこれに限らず、少なくとも鉛直方向下側に開口していればよい。
【0036】
また、本実施形態の支持弾性体21は、車両側ピン部材106と接触する支持面21bに形成される複数の突起部21cを有する。各突起部21cは、各支持面21bにおいて、奥行き方向に沿って支持凹部21a側に山形状に突出するように形成される。また、各突起部21cは、車両側ピン部材106の挿入方向、ここでは、鉛直方向に沿って線状に延在する。なお、各支持弾性体21は、さらに、鉛直方向下端部に、車両側ピン部材106を支持凹部21a内に挿入しやすくするためのテーパ面21d(
図10等参照)が形成されている。
【0037】
上記のように構成されるサポートブラケット22は、
図11、
図12、
図13に示すように、筐体103の背面103aに形成された組付部108に組み付けられる。この組付部108は、背面103aの一部を構成するものであり、背面103aに形成される第1凹部108a及び第2凹部108b等を含んで構成される。ここでは、組付部108は、幅方向中央位置よりもやや左側に設けられている。
【0038】
第1凹部108aは、サポートブラケット22の保持部22a、側面ブラケット部22b、及び、下面ブラケット部22cの取付面側を収容可能な大きさに形成される。第1凹部108aは、サポートブラケット22の保持部22a等を当該第1凹部108a内に収容した状態で、少なくともサポートブラケット22のピン挿入開口22f(
図5等参照)が鉛直方向下側に露出する程度の深さに形成される。組付部108は、この第1凹部108a内に、一対の円柱突起部108c、及び、一対の係合爪108dが形成される。一対の円柱突起部108cは、第1凹部108aの底面(奥行き方向に対して最も前面側にへこんだ面)から奥行き方向の背面側に向けて突出するようにして形成される。各円柱突起部108cは、円柱状に形成される。一対の円柱突起部108cは、幅方向に対して、上述の一対の側面長孔22h(
図5等参照)の間隔とほぼ同等の間隔をあけて形成される。各円柱突起部108cは、サポートブラケット22が当該第1凹部108a内に収容された状態で、各側面長孔22hに挿入可能な大きさ、位置で形成される。一対の係合爪108dは、第1凹部108aの鉛直方向下側の壁面から鉛直方向上側に向けて突出するようにして形成される。各係合爪108dは、略三角形の突起状リブとして形成される。一対の係合爪108dは、幅方向に対して、上述の一対の下面長孔22i(
図5等参照)の間隔とほぼ同等の間隔をあけて形成される。各係合爪108dは、サポートブラケット22が当該第1凹部108a内に収容された状態で、各下面長孔22iに挿入可能な大きさ、位置で形成される。
【0039】
第2凹部108bは、第1凹部108aの鉛直方向上側に当該第1凹部108aと連続して形成される。第2凹部108bは、段付き部108eを介して第1凹部108aと連続しており、ここでは、第1凹部108aよりも浅い凹部として形成される。第2凹部108bは、サポートブラケット22の上部ビス止めブラケット部22dの取付面側を収容可能な大きさに形成される。組付部108は、この第2凹部108b内に、凸部108fが形成されている。凸部108fは、サポートブラケット22が当該第1凹部108a内に収容され、上部ビス止めブラケット部22dが第2凹部108b内に収容された状態で、上部ビス止めブラケット部22dに形成された凹部22j(
図5等参照)内に嵌合可能な大きさ、位置で形成される。そして、組付部108は、凸部108fにビス螺合孔108gが形成されている。ビス螺合孔108gは、上部ビス止めブラケット部22dが第2凹部108b内に収容された状態で、奥行き方向に対して上部ビス止めブラケット部22dに形成されたビス挿入孔22kと対向する位置に形成されている。
【0040】
上記のように構成されるサポートブラケット22は、
図12、
図13に示すように、サポートブラケット22の保持部22a、側面ブラケット部22b、及び、下面ブラケット部22cの取付面側が第1凹部108a内に収容され、上部ビス止めブラケット部22dの取付面側が第2凹部108b内に収容される位置関係で組付部108に組み付けられる。このとき、サポートブラケット22は、
図12に示すように、各円柱突起部108cが各側面長孔22hに挿入され、凸部108fが凹部22jに嵌合した状態で、当該サポートブラケット22の全体が鉛直方向下側にスライドされることで、各係合爪108dが各下面長孔22i内にスライド嵌合し、当該各下面長孔22iの縁部と係合する。この状態で、サポートブラケット22は、ビス挿入孔22kがビス螺合孔108gと奥行き方向に対向し、各側面ブラケット部22bと各下面ブラケット部22cとが交わる角部側が第1凹部108aの鉛直方向下側の角部に密着した状態となる。さらに言えば、サポートブラケット22は、保持部22a、及び、側面ブラケット部22bの奥行き方向前面側が第1凹部108aの底面と対向して一部が接触し、保持部22a、及び、下面ブラケット部22cの鉛直方向下側が第1凹部108aの鉛直方向下側の壁面と対向して一部が接触する。そして、サポートブラケット22は、固定用ビス108hが奥行き方向背面側からビス挿入孔22kに挿入され、ビス螺合孔108gと螺合することで、上部ビス止めブラケット部22dが凸部108fに締結される。この結果、サポートブラケット22は、筐体103の背面103aに設けられた組付部108に対して一体的に組み付けられる。
【0041】
なお、本実施形態のサポートブラケット22は、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10に示すように、さらに、当該サポートブラケット22が組付部108に設けられた状態で、筐体103との間に介在する補助弾性体23を有している。補助弾性体23は、保持部22a、及び、側面ブラケット部22bの奥行き方向前面側の面と第1凹部108aの底面との間に介在する側面弾性体23aと、保持部22a、及び、下面ブラケット部22cの鉛直方向下側の面と第1凹部108aの鉛直方向下側の壁面との間に介在する下面弾性体23bとを含んで構成される。側面弾性体23aは、保持部22a、及び、側面ブラケット部22bの奥行き方向前面側の面に薄膜状に形成され、下面弾性体23bは、保持部22a、及び、下面ブラケット部22cの鉛直方向下側の面に薄膜状に形成される。側面弾性体23a、下面弾性体23bは、それぞれ一部がサポートブラケット22の取付面を構成する。つまり、サポートブラケット22は、これら側面弾性体23a、下面弾性体23bを介して筐体103側の壁面と接触する。また、側面弾性体23aは、各側面長孔22hと対向する位置、大きさでそれぞれ挿入孔23cが形成され、下面弾性体23bは、各下面長孔22iと対向する位置、大きさでそれぞれ挿入孔23dが形成される。側面弾性体23a、下面弾性体23bは、それぞれ支持弾性体21と同様に、サポートブラケット22よりも剛性が低く、弾性を有する材料、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性の低い可撓性の弾性材料により形成される。ここでは、側面弾性体23a、下面弾性体23bは、支持弾性体21と一体で形成される。すなわち、側面弾性体23a、下面弾性体23bは、支持弾性体21と共に2色成形等によってサポートブラケット22と一体的に形成される。支持弾性体21、側面弾性体23a、下面弾性体23bは、2色成形によって形成されることで、サポートブラケット22から剥離しにくい構成とすることができる。
【0042】
車両用表示装置100は、上述したように、全体を固定板105の鉛直方向上側から鉛直方向下側に移動させながら当該固定板105上に組み付けられる。このとき、車両用表示装置100は、
図14に示すように、筐体103の背面103aに組み付けられたサポートブラケット22のピン挿入開口22fに、車両側ピン部材106が鉛直方向下側から挿入(圧入)されるような位置関係で固定板105上に組み付けられる。この場合、弾性支持固定部20は、サポートブラケット22に保持された支持弾性体21の各テーパ面21dに車両側ピン部材106の先端が当接することで、当該各テーパ面21dによって車両側ピン部材106を支持凹部21a側に案内することができる。そして、弾性支持固定部20は、
図15に示すように、当該支持凹部21a内に車両側ピン部材106が挿入されることで、支持弾性体21によって車両側ピン部材106を弾性支持することができる。
図16は、支持凹部21a内に車両側ピン部材106が挿入され弾性支持されている状態を表す斜視図である。
【0043】
ここで、本実施形態の固定構造1では、弾性支持固定部20は、締結固定部10の鉛直方向上側に位置することとなる。この場合、固定構造1は、仮に支持凹部21a内に車両側ピン部材106が挿入されていない状態では、各締結固定部10を支点として車両用表示装置100全体が奥行き方向に沿って揺動可能な位置関係となっている。つまり、この固定構造1は、支持凹部21a内に車両側ピン部材106が挿入されていない状態では、奥行き方向に沿った方向が、各締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能な揺動可能方向となる。そして、本実施形態の車両側ピン部材106は、上記のように締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能である揺動可能方向(奥行き方向)と交差する鉛直方向に沿って延在して形成されたものである。したがってここでは、弾性支持固定部20は、当該車両側ピン部材106が上記揺動可能方向(奥行き方向)と交差する鉛直方向に沿って支持凹部21a内に挿入されることとなる。そして、本実施形態の弾性支持固定部20は、各締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能である揺動可能方向(奥行き方向)に対して車両側ピン部材106を挟んで両側で、支持弾性体21の支持面21bが車両側ピン部材106と接触し挟持することとなる。またさらに、各支持面21bに形成された各突起部21cは、各締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能である揺動可能方向(奥行き方向)に沿って支持凹部21a側に突出することとなる。
【0044】
以上で説明した固定構造1によれば、車体101側に設けられる車体側固定部104と車両用表示装置100とを締結するボルト11を有する締結固定部10と、車両用表示装置100側に設けられ支持凹部21aが形成された支持弾性体21を有し、支持凹部21a内に車体101側に設けられる車両側ピン部材106が挿入され当該車両側ピン部材106を弾性支持する弾性支持固定部20とを備え、締結固定部10と弾性支持固定部20とによって、車両用表示装置100を車体101に固定する。
【0045】
したがって、固定構造1は、締結固定部10によって車体側固定部104と車両用表示装置100とを締結する一方、弾性支持固定部20によって車両側ピン部材106を弾性支持することで、締結固定部10と弾性支持固定部20とによって、車両用表示装置100を車体101に固定することができる。これにより、固定構造1は、締結固定部10によって車両用表示装置100を車体側固定部104に確実に固定すると共に、弾性支持固定部20によって寸法誤差等に起因した車両側ピン部材106位置のバラツキ等を吸収、許容することができる。この結果、固定構造1は、車両用表示装置100を車体101に適正に固定することができる。つまり、固定構造1は、例えば、シビアな寸法管理をしなくても、車両用表示装置100の位置ズレを吸収しながら、当該車両用表示装置100を確実に車体101に固定することができる。この結果、固定構造1は、例えば、車両用表示装置100を車体101に固定する際の作業性を向上することができる。
【0046】
また、固定構造1は、車両用表示装置100を車体101に固定するための複数(ここでは3つ)の固定部位のうちの少なくとも1つを、支持凹部21a内に車両側ピン部材106を挿入する形式の弾性支持固定部20とすることができる。この結果、固定構造1は、例えば、締結具等の部品点数を削減することができると共に締結具等の締め付け作業の工数を削減することができる。この点でも、固定構造1は、車両用表示装置100を車体101に固定する際の作業性を向上することができると共に、製造コストを抑制することができる。また、固定構造1は、弾性支持固定部20を筐体103の背面103a側に設けても、当該弾性支持固定部20によって車両用表示装置100の一部を固定することができるので、この点でも、車両用表示装置100を車体101に固定する際の作業性を向上することができる。
【0047】
より詳細には、以上で説明した固定構造1によれば、締結固定部10は、車両用表示装置100の鉛直方向下端部側に設けられる。車両側ピン部材106は、締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能である揺動可能方向と交差する方向(鉛直方向)に沿って延在して形成される。弾性支持固定部20は、締結固定部10の鉛直方向上側に設けられ、車両側ピン部材106が揺動可能方向と交差する方向(鉛直方向)に沿って支持凹部21a内に挿入される。したがって、固定構造1は、車両側ピン部材106が弾性支持固定部20の支持凹部21aに対して車両用表示装置100の揺動可能方向と交差する方向に沿って挿入され弾性支持されるので、当該車両側ピン部材106によって、例えば、車両の挙動に伴った車両用表示装置100の揺動可能方向の振動(言い換えれば、車両の前後方向に沿った振動)を確実に抑制することができる。この結果、固定構造1は、車両用表示装置100の揺動可能方向の振動を抑制した上で、車両用表示装置100を車体101に適正に固定することができる。
【0048】
さらに、以上で説明した固定構造1によれば、支持弾性体21は、締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能である揺動可能方向に対して車両側ピン部材106を挟んで両側で当該車両側ピン部材106と接触し当該車両側ピン部材106を挟持する一対の支持面21bを有する。したがって、固定構造1は、支持弾性体21の一対の支持面21bによって、車両側ピン部材106を車両用表示装置100の揺動可能方向の両側から挟持することができるので、例えば、当該支持面21bが、車両用表示装置100の揺動可能方向の振動に伴った車両側ピン部材106の相対移動に対して、揺動可能方向の両側で確実に追従し密着することができる。この結果、固定構造1は、車両側ピン部材106の相対移動に伴って当該車両側ピン部材106が支持面21bから離間することを抑制することができるので、例えば、車両側ピン部材106が支持面21bから離間する際に発生するおそれがある剥離音等の異音を抑制することができる。また、固定構造1は、一対の支持面21bで車両側ピン部材106を挟持し弾性支持する構成であることから、例えば、円筒状の弾性体の中に車両側ピン部材106を挿入するような構成と比較して、支持凹部21a内に車両側ピン部材106を挿入しやすい構成とすることができる。この点でも、固定構造1は、車両用表示装置100を車体101に固定する際の作業性を向上することができる。
【0049】
また、以上で説明した固定構造1によれば、支持弾性体21は、車両側ピン部材106と接触する支持面21bに形成され、締結固定部10を支点として車両用表示装置100が揺動可能である揺動可能方向に沿って支持凹部21a側に突出すると共に車両側ピン部材106の挿入方向に沿って延在する複数の突起部21cを有する。したがって、固定構造1は、車両用表示装置100の揺動可能方向の振動に伴って車両側ピン部材106が揺動可能方向に相対移動しても、支持面21bが複数の突起部21cによって当該車両側ピン部材106に追従し密着しやすい構成とすることができる。さらに言えば、固定構造1は、各支持面21bが、車両側ピン部材106の平らな形状に対して複数の山形状の突起部21cによって角度を持って接触するように構成されるので、支持面21bと車両側ピン部材106とにおいて所定の接触面積を確保しやすくすることができる。その上で、固定構造1は、例えば、当該支持面21bが区画する支持凹部21aの間隔が狭すぎて支持凹部21a内に車両側ピン部材106を挿入(圧入)し難くなることを抑制することがでる。すなわち、固定構造1は、車両用表示装置100の車体101への取り付け性の悪化を抑制しつつ、車両側ピン部材106と各支持面21bとのラップ量を確保することができる。つまり、固定構造1は、車両側ピン部材106に対する支持弾性体21の密着性と支持凹部21a内に車両側ピン部材106を挿入する際の作業性とを両立して向上することができる。この結果、固定構造1は、剥離音等の異音を確実に抑制することができると共に車両用表示装置100を車体101に固定する際の作業性もさらに向上することができる。
【0050】
さらに、以上で説明した固定構造1によれば、弾性支持固定部20は、支持弾性体21を保持するサポートブラケット22を有し、サポートブラケット22は、車両用表示装置100の筐体103とは別体に形成され当該筐体103に対して着脱可能に構成される。したがって、固定構造1は、例えば、サポートブラケット22によって保持されている支持弾性体21が摩耗したり劣化したりした場合であっても、車両用表示装置100の筐体103全体を交換する必要がなく、サポートブラケット22を筐体103から取り外して交換することで支持弾性体21を交換することができるので、支持弾性体21等の交換を容易に行うことができる。
【0051】
さらに、以上で説明した固定構造1によれば、サポートブラケット22は、筐体103との間に介在する補助弾性体23を有する。したがって、固定構造1は、サポートブラケット22と筐体103との接触部分に補助弾性体23が介在することで、例えば、車両用表示装置100の揺動可能方向の振動に伴って当該接触部分で打音等の異音が発生することを抑制することができる。
【0052】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両用表示装置固定構造は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
以上の説明では、補助部材としてのサポートブラケット22は、車両用表示装置100の筐体103とは別体に形成され当該筐体103に対して着脱可能に構成されるものとして説明したがこれに限らない。サポートブラケット22は、筐体103と一体で形成されてもよい。また、車両用表示装置固定構造は、そもそもサポートブラケット22を備えずに、筐体103に直接的に支持弾性体21が設けられていてもよい。
【0054】
以上の説明では、支持弾性体21、補助弾性体23は、2色成形等によってサポートブラケット22と一体的に形成されるものとして説明したがこれに限らず、それぞれ別体で形成された後にサポートブラケット22に組み付けられてもよい。また、車両用表示装置固定構造は、補助弾性体23を備えない構成であってもよい。
【0055】
以上の説明では、支持弾性体21は、一対の支持面21bが揺動可能方向(奥行き方向)に対して車両側ピン部材106を挟んで両側で当該車両側ピン部材106と接触し当該車両側ピン部材106を挟持するものとして説明したがこれに限らない。また、支持弾性体21は、突起部21cを有さない構成であってもよい。