特許第6386834号(P6386834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386834
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】チェーンテンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   F16H7/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-171550(P2014-171550)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-44790(P2016-44790A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】高木 康行
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修
(72)【発明者】
【氏名】榑松 勇二
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−125506(JP,A)
【文献】 特開2006−348975(JP,A)
【文献】 特開2013−224699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が開放したプランジャ収容穴を有するテンショナボディと、前記プランジャ収容穴に摺動自在に挿入される円筒状のプランジャと、前記プランジャを突出方向に付勢する付勢手段とを備えたチェーンテンショナであって、
前記プランジャは、外周面に弾性リング部材が係合可能な複数の環状溝を有し、
前記プランジャ収容穴の開放側には、前記弾性リング部材を保持するリング保持部が設けられ、
前記弾性リング部材が、環状弾性部と前記環状弾性部を拡径するための1対の操作部を有し、
前記リング保持部が、周方向で前記1対の操作部の両外側に対向して前記弾性リング部材の回転を規制する押え突起部と規制部とを有し、
前記テンショナボディが、外面に1つの取付面を有し、
前記押え突起部は、前記規制部よりも前記取付面に近い位置に配置され
前記弾性リング部材の1対の操作部が、それぞれ、前記環状弾性部から第1屈曲部で外周側に屈曲した第1腕部、前記第1腕部から第2屈曲部で屈曲した第2腕部、及び、前記第2腕部から第3屈曲部で屈曲した第3腕部を有したクランク形状に形成され、
前記押え突起部の前記プランジャ収容穴側には、前記弾性リング部材が拡径した際に前記操作部の第1腕部及び第2屈曲部を収容する逃げ凹部が形成されていることを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項2】
前記規制部の前記プランジャ収容穴側には、肉厚部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンテンショナ。
【請求項3】
前記押え突起部が、前記弾性リング部材が保持された際の第3腕部の延びる方向と同一方向の押え面を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンテンショナ。
【請求項4】
前記1対の操作部の第1腕部が、互いに傾斜して延びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方が開放したプランジャ収容穴を有するテンショナボディと、該プランジャ収容穴に摺動自在に挿入される円筒状のプランジャと、前記プランジャを突出方向に付勢する付勢手段とを備え、チェーンの張力を適正に保持するチェーンテンショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、チェーンの張力を適正に保持するチェーンテンショナを用いることは慣用されており、例えば、エンジンルーム内のクランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケット間に無端懸回したローラチェーン等の伝動チェーンを走行案内シューによって摺動案内を行うチェーンガイド機構において、張力を適正に保持するためにチェーンテンショナによって走行案内シューを有する揺動チェーンガイドを付勢するものが公知である。
例えば、図11に示すように、タイミングチェーンCHがエンジンルーム内のクランク軸に取り付けた駆動スプロケットS1とカム軸に取り付けた1対の従動スプロケットS2、S3との間に無端懸回されており、このタイミングチェーンCHが揺動チェーンガイドG1と固定チェーンガイドG2とによってガイドされてチェーンガイド機構が構成されている。
固定チェーンガイドG2は、2つの取付軸B1、B2でエンジンルーム内に固定され、揺動チェーンガイドG1は、取付軸B0を中心にタイミングチェーンCHの懸回平面内で揺動可能にエンジンルーム内に取り付けられている。
チェーンテンショナ500は、揺動チェーンガイドG1を押圧することでタイミングチェーンCHの張力を適正に保持するとともに振動を抑制している。
【0003】
このようなチェーンガイド機構に用いられる公知のチェーンテンショナ500として、外周面に弾性リング部材が係合可能な複数の環状溝を有したプランジャを用い、プランジャ収容穴の開放側には弾性リング部材を保持するリング保持部が設けられ、弾性リング部材がリング保持部に保持されてプランジャの環状溝に弾性的に係合することでラチェット式のバックストップ機構を構成したものが公知である(特許文献1、2等参照。)。
このようなチェーンテンショナ500を用いたチェーンガイド機構のメンテナンス作業において、弾性リング部材の環状弾性部を拡径させてプランジャの位置調整を伴う場合があり、その際には、チェーンテンショナがエンジン等に取り付けられた状態で、メンテナンスホールを通じて弾性リング部材の環状弾性部を拡径させることとなる。
また、チェーンテンショナの組立時においても、弾性リング部材をリング保持部にセットした後に、弾性リング部材の環状弾性部を拡径させてプランジャを挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−5249号公報
【特許文献2】特開2001−146946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの公知のチェーンテンショナのメンテナンス時の弾性リング部材の拡径作業は、エンジン等に取り付けられたままであるため作業スペースが不十分な状態で、かつ、小さな窓であるメンテナンスホールを通じて操作部を操作する必要がある。
1対の操作部が交差する型式の弾性リング部材(例えば、特許文献1:「レジスタリング7」)が使用されている場合、環状弾性部を拡径させるために1対の操作部をペンチ等で摘むこととなり、また、1対の操作部が交差しない型式の弾性リング部材(例えば、特許文献2:「レジスタクリップ12」)が使用されている場合に、環状弾性部を拡径させるために専用の操作具を用いることとなる。
これらの作業は、小さなメンテナンスホールを通じてペンチ等や専用の操作具を操作することとなるため作業性が悪く、環状弾性部を拡径状態に維持するためには、1対の操作部をペンチ等や専用の操作具を継続的に操作し続ける必要があり、メンテナンス作業に手間がかかるという問題があった。
【0006】
また、1対の操作部が交差しない型式の弾性リング部材の場合、切欠部と1対の操作部との間に存する隙間に起因して、両操作部の位置が変わり易いために、操作具を1対の操作片の間に挿入しそれを維持する作業が容易ではないという問題があった。
また、チェーンテンショナ組立時においても、プランジャを挿入するため弾性リング部材を拡径状態に維持する必要があり、組立を自動化する際には、複雑な機構や、制御が必要であった。
さらに、弾性リング部材の操作部が、テンショナボディからメンテナンスホール方向(エンジン等への取付面の反対方向)に突出しているため、チェーンテンショナの取付スペースとしてその突出分を確保する必要があり、チェーンテンショナが使用されるエンジン等の小型化を阻害するという問題があった。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、組立時やメンテナンス作業時における弾性リング部材の操作を容易に行うことができるとともに、弾性リング部材の操作部の取付面の反対方向への突出をなくすことが可能なチェーンテンショナを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るチェーンテンショナは、一方が開放したプランジャ収容穴を有するテンショナボディと、前記プランジャ収容穴に摺動自在に挿入される円筒状のプランジャと、前記プランジャを突出方向に付勢する付勢手段とを備えたチェーンテンショナであって、前記プランジャは、外周面に弾性リング部材が係合可能な複数の環状溝を有し、前記プランジャ収容穴の開放側には、前記弾性リング部材を保持するリング保持部が設けられ、前記弾性リング部材が、環状弾性部と前記環状弾性部を拡径するための1対の操作部を有し、前記リング保持部が、周方向で前記1対の操作部の両外側に対向して前記弾性リング部材の回転を規制する押え突起部と規制部とを有し、前記テンショナボディが、外面に1つの取付面を有し、前記押え突起部は、前記規制部よりも前記取付面に近い位置に配置され、前記弾性リング部材の1対の操作部が、それぞれ、前記環状弾性部から第1屈曲部で外周側に屈曲した第1腕部、前記第1腕部から第2屈曲部で屈曲した第2腕部、及び、前記第2腕部から第3屈曲部で屈曲した第3腕部を有したクランク形状に形成され、前記押え突起部の前記プランジャ収容穴側には、前記弾性リング部材が拡径した際に前記操作部の第1腕部及び第2屈曲部を収容する逃げ凹部が形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係るチェーンテンショナによれば、リング保持部が、周方向で1対の操作部の両外側に対向して弾性リング部材の回転を規制する押え突起部と規制部とを有し、押え突起部は、規制部よりも取付面に近い位置に配置されていることにより、規制部側から突出した1対の操作部の一方を、取付の方向に押圧するだけで弾性リング部材を拡径させることが可能となり、弾性リング部材の操作を容易に行うことができ、作業性が向上するとともに、容易に自動化が可能となる。
また、規制部側から突出した1対の操作部の一方が弾性リング部材の操作部の取付面の反対方向には突出しないように規制部の位置を設定することができ、チェーンテンショナが使用されるエンジン等の小型化に寄与することが可能となる。
【0010】
また、弾性リング部材の1対の操作部が、それぞれクランク形状に形成されていることにより、弾性リング部材の縮径した状態での環状弾性部の円弧長を長くしつつ、1対の操作部の間隔を大きくすることが可能となり、より確実にラチェット式のバックストップ機構を作用させるとともに、作業性を向上することができる。
さらに、押え突起部のプランジャ収容穴側に、弾性リング部材が拡径した際に操作部の第1腕部及び第2屈曲部を収容する逃げ凹部が形成されていることにより、弾性リング部材が拡径した際の干渉を避けることができ、操作部の第2腕部を長く設定して大きく拡径させることが可能となるため、弾性リング部材を拡径した際にプランジャの環状溝との係合が確実に解除され、作業性が向上する。
本請求項2に記載の構成によれば、規制部のプランジャ収容穴側に、肉厚部が形成されていることにより、プランジャ収容穴の切欠きを少なくして弾性リング部材とプランジャの環状溝との係合がより確実となり、ラチェット式のバックストップ機構を作用させるとともに、規制部の強度を補強しテンショナボディの強度も向上する。
本請求項3に記載の構成によれば、押え突起部が、弾性リング部材が保持された際の第3腕部の延びる方向と同一方向の押え面を有していることにより、規制部側の操作部の第3腕部を押して拡径する際に、押え突起部側の操作部の第3腕部が押え面に安定的に押し付けられるため、弾性リング部材が傾いたりすることなく、確実に弾性リング部材を拡径させることができる。
本請求項4に記載の構成によれば、1対の操作部の第1腕部が、互いに傾斜して延びるように形成されていることにより、1対の操作部が接触することなく弾性リング部材を拡径することができ、環状弾性部が捩れることがなく、確実に弾性リング部材を拡径させることができるとともに、弾性リング部材を拡径した際にプランジャの環状溝との係合が確実に解除され、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの正面図。
図3】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの平面図。
図4】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの側面図。
図5】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの背面図。
図6】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナのテンショナボディの斜視図。
図7】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナのプランジャの斜視図。
図8】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの弾性リング部材の斜視図。
図9】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの弾性リング部材の平面図。
図10】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナの弾性リング部材の正面図。
図11】エンジンのチェーンガイド機構に用いられるチェーンテンショナの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のチェーンテンショナは、一方が開放したプランジャ収容穴を有するテンショナボディと、プランジャ収容穴に摺動自在に挿入される円筒状のプランジャと、プランジャを突出方向に付勢する付勢手段とを備えたチェーンテンショナであって、プランジャは、外周面に弾性リング部材が係合可能な複数の環状溝を有し、プランジャ収容穴の開放側には、弾性リング部材を保持するリング保持部が設けられ、弾性リング部材が、環状弾性部と環状弾性部を拡径するための1対の操作部を有し、リング保持部が、周方向で1対の操作部の両外側に対向して弾性リング部材の回転を規制する押え突起部と規制部とを有し、テンショナボディが、外面に1つの取付面を有し、押え突起部は、規制部よりも取付面に近い位置に配置され、弾性リング部材の1対の操作部が、それぞれ、環状弾性部から第1屈曲部で外周側に屈曲した第1腕部、第1腕部から第2屈曲部で屈曲した第2腕部、及び、第2腕部から第3屈曲部で屈曲した第3腕部を有したクランク形状に形成され、押え突起部のプランジャ収容穴側には、弾性リング部材が拡径した際に操作部の第1腕部及び第2屈曲部を収容する逃げ凹部が形成され、簡単な構成で、組立時やメンテナンス作業時における弾性リング部材の操作を容易に行うことができるとともに、弾性リング部材の操作部の取付面の反対方向への突出をなくすことが可能なものであれば、その具体的な構成はいかなるものであってもよい。
【実施例】
【0013】
本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100は、図1乃至図10に示すように、一方が開放したプランジャ収容穴111を有するテンショナボディ110と、プランジャ収容穴111に摺動自在に挿入される円筒状のプランジャ120と、プランジャ120を突出方向に付勢するバネ機構や油圧機構等の付勢手段(図示せず)とを備えている。
プランジャ120は、図1乃至図5図7に示すように、外周面に弾性リング部材130が係合可能な複数の環状溝121を有している。
テンショナボディ110のプランジャ収容穴111の開放側には、弾性リング部材130を保持するリング保持部112が設けられている。
また、テンショナボディ110の外周の1面には、エンジン等に取り付けられための取付面115が形成されている。
【0014】
弾性リング部材130は、図8乃至図10に示すように、環状弾性部131と環状弾性部131を拡径するための1対の操作部132を有している。
1対の操作部132は、それぞれ、環状弾性部131から第1屈曲部133で外周側に屈曲した第1腕部134、第1腕部134から第2屈曲部135で屈曲した第2腕部136、及び、第2腕部136から第3屈曲部137で屈曲した第3腕部138を有したクランク形状に形成されている。
本実施形態では、1対の操作部132の第1腕部134は、互いに傾斜して延びるように形成されている。
すなわち、図10に示すように、一方の操作部132の第2腕部136a、第3腕部138aが環状弾性部131の円周面上に位置するように形成され、他方の操作部132の第1腕部134bが傾斜して延びることで、第2腕部136b、第3腕部138bが環状弾性部131の円周面と平行な面上に位置するように形成されている。
また、本実施形態では、1対の操作部132の第3腕部138の先端側には、それぞれ、互いに異なる方向に屈曲した先端屈曲部139が形成されている。
【0015】
テンショナボディ110のプランジャ収容穴111の開放側に設けられたリング保持部112は、図6に示すように、プランジャ収容穴111の内周に設けられ弾性リング部材130の環状弾性部131を嵌合可能なリング保持溝118と、周方向で弾性リング部材130の1対の操作部132の両外側に対向して弾性リング部材130の回転を規制する押え突起部113と規制部114とを有している。
押え突起部113と規制部114は、テンショナボディ110をプランジャ収容穴111開放側からリング保持溝118の下方までを、弾性リング部材130の1対の操作部132が開放側から収容可能なように切り欠いて形成されており、押え突起部113は、規制部114よりもテンショナボディ110の取付面115に近い位置に配置されている。
【0016】
押え突起部113と規制部114は、ともに、弾性リング部材130がリング保持溝118に嵌合された際に、操作部132の第3腕部138が当接するように設けられている。
押え突起部113は、図3図6に示すように、保持された弾性リング部材130の一方の第3腕部138が当接した際に、その延びる方向と同一方向の押え面117を有している。
また、押え突起部113のプランジャ収容穴111側には、弾性リング部材130が拡径した際に他方の操作部132の第1腕部134及び第2屈曲部135を収容する逃げ凹部116が形成されている。
規制部114は、図3に示すように、保持された弾性リング部材130の他方の第3腕部138が当接した際に、第2腕部136より環状弾性部131側に突出する肉厚部119が設けられており、規制部の強度を補強しテンショナボディ110の強度も向上している。
【0017】
テンショナボディ110及び弾性リング部材130の形状は、保持された弾性リング部材130の一方の第3腕部138が押え突起部113に当接した状態で、弾性リング部材130の他方の第3腕部138がテンショナボディ110の取付面115とほぼ平行となるように形成されている。
このことで、規制部114側から突出した他方の第3腕部138を取付面115の方向に押圧するだけで弾性リング部材130を拡径させることが可能となり、弾性リング部材130の操作を容易に行うことができる。
また、規制部114側から突出した他方の第3腕部138は、テンショナボディ110の取付面115の反対方向には一切突出しないため、チェーンテンショナ100が使用されるエンジン等の小型化に寄与することができる。
さらに、弾性リング部材130が上下、左右にほぼ対称の形状であることから、いずれの向きで保持してもよく、組立時の作業工数を低減できる。
【0018】
以上説明した実施形態は、本発明に係るチェーンテンショナの具体例であるが、本発明に係るチェーンテンショナがこれらに限定されるものではなく、各構成部材の形状、位置、寸法、配置関係等、他にも様々な変形が可能であり、また、それらを適宜組み合わせて構成されてもよい。
また、チェーンによる伝動機構に限らず、ベルト、ロープ等の類似の伝動機構に適用されてもよく、種々の産業分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
100、500 ・・・ チェーンテンショナ
110 ・・・ テンショナボディ
111 ・・・ プランジャ収容穴
112 ・・・ リング保持部
113 ・・・ 押え突起部
114 ・・・ 規制部
115 ・・・ 取付面
116 ・・・ 逃げ凹部
117 ・・・ 押え面
118 ・・・ リング保持溝
119 ・・・ 肉厚部
120 ・・・ プランジャ
121 ・・・ 環状溝
130 ・・・ 弾性リング部材
131 ・・・ 環状弾性部
132 ・・・ 操作部
133 ・・・ 第1屈曲部
134 ・・・ 第1腕部
135 ・・・ 第2屈曲部
136 ・・・ 第2腕部
137 ・・・ 第3屈曲部
138 ・・・ 第3腕部
139 ・・・ 先端屈曲部
S1 ・・・駆動スプロケット
S2 ・・・従動スプロケット
S3 ・・・従動スプロケット
CH ・・・タイミングチェーン
G1 ・・・揺動チェーンガイド
G2 ・・・固定チェーンガイド
B0、B1、B2・・・取付軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11