特許第6386845号(P6386845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386845物流容器個体管理システム、物流容器個体管理方法、及び物流容器個体管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386845
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】物流容器個体管理システム、物流容器個体管理方法、及び物流容器個体管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20180827BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20180827BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20180827BHJP
【FI】
   B65G61/00 422
   B65G61/00 414
   B65G61/00 520
   G06Q10/08 330
   G06Q50/28
【請求項の数】4
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-188904(P2014-188904)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-60578(P2016-60578A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】500321955
【氏名又は名称】日本パレットレンタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 直久
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−214019(JP,A)
【文献】 特開2010−30734(JP,A)
【文献】 特開2006−199427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システムであって、
管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置とを関連付けた在庫位置情報を記憶する在庫位置情報記憶手段と、
物流容器の個体情報と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得手段と、
前記イベント情報取得手段により取得された物流容器に関するイベント情報と前記在庫位置情報記憶手段に記憶されている当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新すると共に、前記イベント情報と前記在庫位置情報との組み合わせが予め定められた異常を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常を示す組み合わせであると判定された場合には、当該異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する更新手段と、を備える、
物流容器個体管理システム。
【請求項2】
前記更新手段により生成された調整情報を記憶する調整情報記憶手段を更に備え、
前記更新手段は、前記調整情報記憶手段に前記物流容器に関する調整情報が記憶された後に前記イベント情報取得手段により取得されたイベント情報と前記在庫位置情報と前記調整情報との組み合わせが予め定められた異常の解消を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常の解消を示す組み合わせであると判定された場合には、前記調整情報記憶手段から当該調整情報を削除する、
請求項1記載の物流容器個体管理システム。
【請求項3】
複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システムであって、管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置を示す在庫位置情報とを関連付けて記憶する在庫位置情報記憶手段を備える物流容器個体管理システムにより実行される物流容器個体管理方法であって、
物流容器の個体情報と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得ステップと、
前記イベント情報取得ステップにおいて取得された物流容器に関するイベント情報と前記在庫位置情報記憶手段に記憶されている当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新すると共に、前記イベント情報と前記在庫位置情報との組み合わせが予め定められた異常を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常を示す組み合わせであると判定された場合には、当該異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する更新ステップと、を含む、
物流容器個体管理方法。
【請求項4】
管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置を示す在庫位置情報とを関連付けて記憶する在庫位置情報記憶手段を備えるコンピュータシステムを、複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システムとして機能させる物流容器個体管理プログラムであって、
コンピュータシステムを、
物流容器の個体情報と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得手段と、
前記イベント情報取得手段により取得された物流容器に関するイベント情報と前記在庫位置情報記憶手段に記憶されている当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新すると共に、前記イベント情報と前記在庫位置情報との組み合わせが予め定められた異常を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常を示す組み合わせであると判定された場合には、当該異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する更新手段として機能させる、
物流容器個体管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システム、物流容器個体管理方法、及び物流容器個体管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、輸送の効率化のために輸送対象物品をまとめて搬送するためのパレット等の物流容器が用いられている。このような物流容器の使用形態として、一の会社の出荷拠点から物流容器に輸送対象物品を載せて出発し、その会社の入荷拠点で輸送対象物品を降ろした後にその物流容器を他の会社が使用するといった、いわゆる物流容器のレンタルシステムがある。このように異なる会社間での物流容器の共同使用には、以下のような利点がある。すなわち、各会社は、各拠点において、使用したい時に使用したい分だけ物流容器を保有(レンタル)していればよくなる。また、各会社は物流容器を保管しておくためのスペースが不要となり効率的である。
【0003】
このような物流容器のレンタルシステム等の、拠点間で物流容器を入出荷するシステムにおいて、各拠点の物流容器の入出荷の個数を的確に管理するため、情報処理装置により構成される物流容器管理システムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−246456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物流容器をレンタルする事業者は、自身が保有する物流容器を適切に管理するために、拠点毎に存在する物流容器の個数を示す拠点在庫と、管理対象である物流容器(すなわち、事業者が資産として保有する物流容器)の総数を示す資産在庫(全体在庫)とを正確に把握しておくことが好ましい。管理対象である物流容器の全てがいずれかの拠点に存在する場合、すなわち拠点間を移動する物流容器が存在しない場合には、各拠点の拠点在庫の総数と資産在庫とは、互いに一致する。
【0006】
拠点在庫は、例えば以下のように管理される。すなわち、各拠点において物流容器が出荷(出庫)又は入荷(入庫)される際に、各拠点から物流容器の管理を統括するセンターに備えられた装置に対して、出荷又は入荷された物流容器の個数を示す出荷情報又は入荷情報が送信される。センター側の装置は、各拠点から受信した出荷情報又は入荷情報に基づいて拠点在庫の情報を更新する。一方、資産在庫は、事業者が新たに物流容器を生産した際や、古くなったり破損したりした物流容器を廃棄した際に更新(増加又は減少)される。
【0007】
ここで、拠点在庫及び資産在庫の両方を適切に管理するためには、それぞれ別々に管理するのではなく、拠点在庫及び資産在庫を整合性がとれた状態で管理することが好ましい。しかしながら、拠点在庫と資産在庫との間には、様々な要因により不整合が生じ得る。例えば、同一の入出荷に関する物流容器の出荷数及び入荷数は、本来合致するはずであるが、例えば物流容器が出荷されてから入荷されるまでの間に紛失する場合も考えられる。この場合、各拠点の拠点在庫の総数は物流容器の紛失前後において変動(減少)するが、正規の廃棄処理が行われるまでは資産在庫は変動しないため、拠点在庫と資産在庫との間に不整合が生じる。
【0008】
また、物流容器が移動中の場合、すなわち物流容器が出荷拠点から出荷された後入荷拠点に入荷される前においては、各拠点の拠点在庫の総数には移動中の物流容器の数が反映されない。これにより、各拠点の拠点在庫の総数と資産在庫との間に乖離が生じる。また、各拠点からセンター側装置へ情報送信がされるタイミングは各拠点に依存するため、センター側装置が出荷拠点から出荷情報を受信する前に入荷拠点から入荷情報を受信する場合も考えられる。このような場合には、出荷拠点に関する拠点在庫は、減少分(出荷分)が反映されていない状態となるため、各拠点の拠点在庫の総数と資産在庫との間に乖離が生じる。
【0009】
より具体的には、例えば、特定の1つの物流容器(例えば「パレットA」)に着目した場合、パレットAは、積送中であるか、或いは一の拠点に在庫として存在しているはずである。しかし、ある拠点において、例えばオペレータ等の入力ミス等により、実際にはパレットAを入荷(又は出荷)していないにもかかわらず、パレットAを入荷(又は出荷)したとして登録されてしまう場合も考えられる。すなわち、パレットAは、誤って複数の拠点に同時に存在するものとして管理されてしまうおそれがある。この場合、パレットAは、複数の拠点の拠点在庫として重複してカウントされてしまうこととなる。その結果、パレットに関する拠点在庫と資産在庫との間で不整合が生じてしまう。そこで、拠点在庫及び資産在庫を整合性がとれた状態で管理するためには、物流容器毎の在庫位置を適切に把握することが必要である。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、物流容器毎の在庫位置を適切に把握することができる物流容器個体管理システム、物流容器個体管理方法、及び物流容器個体管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る物流容器個体管理システムは、複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システムであって、管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置とを関連付けた在庫位置情報を記憶する在庫位置情報記憶手段と、物流容器の個体情報と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得手段と、イベント情報取得手段により取得された物流容器に関するイベント情報と在庫位置情報記憶手段に記憶されている当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新すると共に、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが予め定められた異常を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常を示す組み合わせであると判定された場合には、当該異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する更新手段と、を備える。
【0012】
上記物流容器個体管理システムでは、例えばある拠点で物流容器についてイベントが発生した際に、当該物流容器の在庫位置が、当該イベントと当該物流容器のイベント発生前の在庫位置との組み合わせに応じて更新される。さらに、イベントと在庫位置との組み合わせが異常を示す組み合わせである場合には、異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報が生成される。ここで、異常を示す組み合わせの一例としては、イベントが「拠点Aでの出荷読取」であり、在庫位置が「拠点B」であるような組み合わせが挙げられる。このような組み合わせは、イベント発生拠点である拠点Aには在庫として存在しないはずの物流容器が拠点Aから出荷されたことを示している。従って、このような場合には、更新手段により、在庫が存在しない状態で出荷されることを示す「在庫なし出荷」という異常の内容を示す異常情報が生成される。
【0013】
以上述べたように、上記物流容器個体管理システムによれば、物流容器毎に、イベントの発生に伴う在庫位置の更新をイベント発生前の在庫位置に応じて適切に実行することができる。さらに、イベント発生前の在庫位置との関係において異常なイベントが発生した場合に、調整情報を生成することにより異常の内容を管理することができる。これにより、物流容器の在庫位置を適切に把握することが可能となる。
【0014】
上記物流容器個体管理システムは、更新手段により生成された調整情報を記憶する調整情報記憶手段を更に備え、更新手段は、調整情報記憶手段に物流容器に関する調整情報が記憶された後にイベント情報取得手段により取得されたイベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが予め定められた異常の解消を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常の解消を示す組み合わせであると判定された場合には、調整情報記憶手段から当該調整情報を削除してもよい。
【0015】
例えば、ある物流容器Xについて、在庫位置情報に含まれる在庫位置が「拠点A、拠点B」であり、調整情報に含まれる異常情報が「他在庫あり入荷」である場合について考える。このような状況は、例えば物流容器Xが拠点Aの在庫として存在している状態(すなわち、拠点Aから物流容器Xが出荷されたことを示すイベント情報が物流容器個体管理システムに送達されていない状態)で、拠点Bに物流容器Xが入荷されたことを示すイベント情報が物流容器個体管理システムに送達された場合等に生じ得る。このような状況において、仮に物流容器個体管理システムが拠点Aにおける物流容器Xの「出荷読取」を示すイベント情報を事後的に取得した場合には、物流容器Xに関する「他在庫あり入荷」という異常な状態は解消されたと判断することができる。つまり、物流容器Xが拠点Aから出荷されて拠点Bに入荷されたことが確定することで、物流容器Xに関する異常な状態は解消されたと判断することができる。
【0016】
上記物流容器個体管理システムでは、更新手段は、イベント情報と在庫位置情報とに加えて調整情報を取得し、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせに応じて、調整情報を適切に削除する。すなわち、上記の例では、更新手段は、ある物流容器について、イベントが「拠点Aでの出荷読取」であり、在庫位置が「拠点A、拠点B」であり、調整情報に含まれる異常情報が「他在庫あり入荷」であるような組み合わせが得られた場合に、当該調整情報を削除することができる。
【0017】
すなわち、上記物流容器個体管理システムによれば、調整情報に含まれる異常情報が示す異常な状態が解消されたことが、イベントと在庫位置と調整情報との組み合わせによって判定され、判定結果に基づいて当該調整情報が自動的に削除される。その結果、調整情報の管理(生成及び削除)に関するオペレータの手作業は不要となるため、オペレータの手間が削減される。また、これにより、オペレータによる入力ミスの発生も防止される。以上により、物流容器の在庫位置及び異常の管理をより確実且つ効率的に行うことが可能となる。
【0018】
ところで、本発明は、上記のように物流容器個体管理システムの発明として記述できる他に、以下のように物流容器個体管理システムにより実行される物流容器個体管理方法及び物流容器個体管理プログラムの発明としても記述することができる。これらの発明はカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であるため、同様の作用及び効果を奏する。
【0019】
すなわち、本発明に係る物流容器個体管理方法は、複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システムであって、管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置とを関連付けた在庫位置情報を記憶する在庫位置情報記憶手段を備える物流容器個体管理システムにより実行される物流容器個体管理方法であって、物流容器の個体情報と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得ステップと、イベント情報取得ステップにおいて取得された物流容器に関するイベント情報と在庫位置情報記憶手段に記憶されている当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新すると共に、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが予め定められた異常を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常を示す組み合わせであると判定された場合には、当該異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する更新ステップと、を含む。
【0020】
また、本発明に係る物流容器個体管理プログラムは、管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置とを関連付けた在庫位置情報を記憶する在庫位置情報記憶手段を備えるコンピュータシステムを、複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理する物流容器個体管理システムとして機能させる物流容器個体管理プログラムであって、コンピュータシステムを、物流容器の個体情報と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得手段と、イベント情報取得手段により取得された物流容器に関するイベント情報と在庫位置情報記憶手段に記憶されている当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新すると共に、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが予め定められた異常を示す組み合わせであるか否かを判定し、異常を示す組み合わせであると判定された場合には、当該異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する更新手段として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、物流容器毎の在庫位置を適切に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る物流容器個体管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図2】出荷前の在庫位置情報の一例を示す図である。
図3】(a)は出荷読取イベントを示すイベント情報の一例を示す図であり、(b)は入荷読取イベントを示すイベント情報の一例を示す図である。
図4】物流容器の在庫位置及び不一致区分の更新ルールの一例を示す図である。
図5】入荷後の在庫位置情報の一例を示す図である。
図6】入荷後に生成された調整情報の一例を示す図である。
図7】第2の例について説明するための図である。
図8】第2の例について説明するための図である。
図9】第3の例について説明するための図である。
図10】第3の例について説明するための図である。
図11】第3の例について説明するための図である。
図12】パレットの調整後在庫の一例を示す図である。
図13】本実施形態に係る物流容器個体管理システムの動作を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係る物流容器個体管理プログラムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る物流容器個体管理システム、物流容器個体管理方法、及び物流容器個体管理プログラムの一実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る物流容器個体管理システムの機能構成を示す図である。本実施形態に係る物流容器個体管理システム1は、複数の拠点間で入出荷される物流容器を管理するシステムである。物流容器個体管理システム1は、例えば物流容器の管理を統括するセンター等において利用可能に配置される。物流容器は、輸送対象物品を輸送する際に用いられる荷台や容器のことであり、例えば、パレットやコンテナ等である。本実施形態に係る物流容器個体管理システム1は、拠点在庫及び資産在庫を整合性がとれた状態で管理すべく、物流容器毎の在庫位置を適切に管理するシステムである。
【0025】
資産在庫(全体在庫)は、管理対象である物流容器の総数を示すものである。すなわち、資産在庫は、事業者が資産として保有する物流容器の総数を示すものである。資産在庫は、拠点間での物流容器の入出荷によっては変動せず、事業者が新たに物流容器を生産したり仕入れたりした際、及び古くなったり破損したりした物流容器を廃棄した際等、事業者の資産としての物流容器が増加又は減少した際に更新されるものである。オペレータは、資産在庫を参照することで、事業者が資産として保有する物流容器の総数を把握することができる。
【0026】
拠点在庫は、拠点毎に後述する各種読取イベント(出荷読取イベント、入荷読取イベント、その他読取イベント)により集計された物流容器の個数を示すものである。各拠点の拠点在庫は、物流容器の入出荷によって変動する。オペレータは、拠点在庫を参照することで、各拠点に存在する物流容器の個数をほぼリアルタイムに把握することができる。なお、ここで「ほぼリアルタイム」と説明した理由は、拠点間で物流容器が入出荷されるタイミングとオペレータによって拠点在庫の更新処理がされるタイミングとの間にタイムラグが生じ得るからである。
【0027】
例えば、特定の1つの物流容器(例えば「パレットA」)に着目した場合、パレットAは、積送中であるか、或いは一の拠点に在庫として存在しているはずである。しかし、ある拠点において、例えばオペレータ等の入力ミス等により、実際にはパレットAを入荷(又は出荷)していないにもかかわらず、パレットAを入荷(又は出荷)したとして登録されてしまう場合も考えられる。すなわち、パレットAは、誤って複数の拠点に同時に存在するものとして管理されてしまうおそれがある。この場合、パレットAは、複数の拠点の拠点在庫として重複してカウントされてしまうこととなる。その結果、パレットに関する拠点在庫と資産在庫との間で不整合が生じてしまう。
【0028】
そこで、本実施形態に係る物流容器個体管理システム1は、事業者によって管理及び保有される物流容器毎の在庫位置を適切に把握することにより、拠点在庫及び資産在庫を整合性がとれた状態で管理する。図1に示すように、物流容器個体管理システム1は、在庫位置情報記憶部11、イベント情報取得部12、イベント情報記憶部13、更新部14、及び調整情報記憶部15を備えている。
【0029】
物流容器個体管理システム1は、物理的には、例えば、1又は複数のCPUと、主記憶装置であるRAM及びROMと、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置と、ディスプレイ等の出力装置と、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュールと、ハードディスクドライブ及び半導体メモリ等の補助記憶装置とを含むコンピュータシステムとして構成されている。物流容器個体管理システム1は、物理的に1台の装置として構成されてもよいし、連携して動作する複数台の装置により構成されてもよい。
【0030】
物流容器個体管理システム1の機能は、例えば、CPU、RAM等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで入力装置、出力装置、及び通信モジュールを動作させると共に、RAM及び補助記憶装置におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。続いて、物流容器個体管理システム1の各機能について説明する。
【0031】
在庫位置情報記憶部11は、管理対象の物流容器を一意に識別する個体情報と当該物流容器の一以上の在庫位置とを関連付けた在庫位置情報を記憶する在庫位置情報記憶手段である。在庫位置情報記憶部11に記憶される在庫位置情報は、例えば物流容器が新たに仕入れられたタイミングにおいて、物流容器に貼り付けられたRFIDタグが各拠点に設けられたRFIDリーダによって読み取られること等により新規に登録される。その後は、オペレータによる入力による更新、又は後述する更新部14により更新される。また、物流容器が廃棄されると、当該物流容器に関する在庫位置情報は、オペレータによって在庫位置情報記憶部11から削除されてもよい。
【0032】
図2は、後述する出荷読取イベント(図3(a)に示される出荷読取イベント)発生前の物流容器の在庫位置情報の一例を示す図である。図2に示すように、在庫位置情報記憶部11に記憶される在庫位置情報は、管理対象の物流容器毎に、物流容器の分類(物品)と、物流容器の個体情報である個体番号と、物流容器の在庫位置とが互いに関連付けられた情報である。ここで、在庫位置は、図2に示すように特定の拠点(ここでは一例としてA倉庫、B店舗、C工場)を示す情報である。ただし、物流容器が存在する位置が特定の拠点に紐付かない場合(例えば物流容器がある拠点から別の拠点に配送されている場合)には、在庫位置は、積送中であることを示す情報(例えば、図5の「積送中」)であってもよい。以下では、説明の便宜上、物流容器の分類と個体番号とを連続して表記することで特定の物流容器を示す。例えば個体番号が100であり分類がパレットである物流容器のことを「パレット100」と表記する。
【0033】
ここで、1つの物流容器に関する在庫位置情報の在庫位置は、通常は1つだけである。ただし、例えば上述のRFIDリーダによる物流容器のRFIDタグの読取漏れが発生したり、出荷によるデータ更新と入荷によるデータ更新との時間順序が入れ替わったりする可能性がある。そこで、在庫位置情報記憶部11は、在庫位置情報として複数の在庫位置を記憶することが可能とされている。例えば、ある物流容器XがA拠点から出荷されたことによるデータ更新(物流容器Xに関する在庫位置情報の在庫位置からA拠点を削除する更新)がされる前に、物流容器XがB拠点に入荷されたことによるデータ更新(物流容器Xに関する在庫位置情報の在庫位置にB拠点を追加する更新)がされる場合があり得る。この場合、物流容器Xに関する在庫位置情報の在庫位置として、A拠点及びB拠点の2つの拠点が記憶されることとなる。
【0034】
イベント情報取得部12は、物流容器の個体番号と当該物流容器について発生したイベントとを関連付けたイベント情報を取得するイベント情報取得手段である。つまり、イベント情報取得部12は、どの物流容器に対してどのようなイベントが発生したかを示すイベント情報を取得する。ここで、「物流容器について発生したイベント」には、物流容器について物理的に発生したイベント(例えば、出荷時、入荷時、棚卸時等における読取イベント等)だけでなく、物流容器に関する情報について発生したイベント(例えば、物流容器に関するイベント情報及び在庫位置情報の更新等)も含まれるものとする。イベント情報記憶部13は、イベント情報取得部12により取得されたイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段である。本実施形態では一例として、イベントには、読取イベント、手動イベント、及びタイムイベントがある。以下、これらのイベントについて詳細に説明する。
【0035】
読取イベントとは、各拠点において物流容器に対する種々の読取処理がされたことを示すイベントである。具体的には、読取イベントには、出荷読取イベント、入荷読取イベント、及びその他読取イベントがある。出荷読取イベントとは、物流容器の出荷登録を行うために当該物流容器の個体番号が読み取られたことを示すイベントである。入荷読取イベントとは、物流容器の入荷登録を行うために当該物流容器の個体番号が読み取られたことを示すイベントである。その他読取イベントとは、出荷読取イベント及び入荷読取イベント以外の読取イベント全般を指し、例えば棚卸読取イベントや状態変更読取イベント等がある。棚卸読取イベントは、棚卸の際に物流容器の個体番号が読み取られたことを示すイベントである。状態変更読取イベントとは、例えば物流容器の状態を管理するためのデータベース等に記憶されている物流容器のステータス(例えば物品積載状態等)を変更するために物流容器の個体番号が読み取られたことを示すイベントである。
【0036】
図3(a)は、出荷読取イベントを示すイベント情報(以下「出荷読取イベント情報」ともいう。)の一例を示す図である。図3(b)は、入荷読取イベントを示すイベント情報(以下「入荷読取イベント情報」ともいう。)の一例を示す図である。
【0037】
図3(a)に示す出荷読取イベント情報は、出荷対象の物流容器に共通の共通出荷情報D1と、出荷対象の物流容器毎の個別出荷情報d11〜d13とからなる。共通出荷情報D1には、出荷読取イベントを識別(一意に特定)するデータ番号、出荷拠点、出荷日(実際に出荷された日)、入荷予定日、及び入荷拠点(入荷される予定の拠点)を示す情報が関連付けられている。各物流容器の個別出荷情報d11〜d13にはそれぞれ、各物流容器の出荷を識別するデータ番号、各物流容器の分類(物品)、及び各物流容器の個体番号が関連付けられている。ただし、図3(a)に示す出荷読取イベント情報のデータ構成は一例であり、例えば上述の個別出荷情報及び共通出荷情報は、同一テーブルとして管理されてもよい。
【0038】
図3(a)に示す例では、共通出荷情報D1と個別出荷情報d11とを合わせた情報がパレット100についての出荷読取イベント情報を構成し、共通出荷情報D1と個別出荷情報d12とを合わせた情報がコンテナ200についての出荷読取イベント情報を構成し、共通出荷情報D1と個別出荷情報d13とを合わせた情報がコンテナ201についての出荷読取イベント情報を構成している。すなわち、共通出荷情報D1と個別出荷情報d11とを合わせた情報は、物流容器の個体番号「100」と当該物流容器(パレット100)について発生したイベント(A倉庫から出荷されたことを示す出荷読取イベント)とを関連付けた出荷読取イベント情報である。また、共通出荷情報D1と個別出荷情報d12とを合わせた情報は、物流容器の個体番号「200」と当該物流容器(コンテナ200)について発生したイベント(A倉庫から出荷されたことを示す出荷読取イベント)とを関連付けた出荷読取イベント情報である。また、共通出荷情報D1と個別出荷情報d13とを合わせた情報は、物流容器の個体番号「201」と当該物流容器(コンテナ201)について発生したイベント(A倉庫から出荷されたことを示す出荷読取イベント)とを関連付けた出荷読取イベント情報である。
【0039】
図3(b)に示す入荷読取イベント情報は、入荷対象の物流容器に共通の共通入荷情報D2と、入荷対象の物流容器毎の個別入荷情報d21〜d23とからなる。共通入荷情報D2には、入荷読取イベントを識別するデータ番号、出荷拠点、入荷日(実際に入荷された日)、及び入荷拠点を示す情報が関連付けられている。各物流容器の個別入荷情報d21〜d23にはそれぞれ、各物流容器の入荷を識別するデータ番号、各物流容器の分類(物品)、及び各物流容器の個体番号が関連付けられている。ただし、図3(b)に示す入荷読取イベント情報のデータ構成は一例であり、例えば上述の個別入荷情報及び共通入荷情報は、同一テーブルとして管理されてもよい。
【0040】
図3(b)に示す例では、共通入荷情報D2と個別入荷情報d21とを合わせた情報がパレット100についての入荷読取イベント情報を構成し、共通入荷情報D2と個別入荷情報d22とを合わせた情報がコンテナ200についての入荷読取イベント情報を構成し、共通入荷情報D2と個別入荷情報d23とを合わせた情報がコンテナ299についての入荷読取イベント情報を構成している。すなわち、共通入荷情報D2と個別入荷情報d21とを合わせた情報は、物流容器の個体番号「100」と当該物流容器(パレット100)について発生したイベント(すなわち、B店舗に入荷されたことを示す入荷読取イベント)とを関連付けた入荷読取イベント情報である。また、共通入荷情報D2と個別入荷情報d22とを合わせた情報は、物流容器の個体番号「200」と当該物流容器(コンテナ200)について発生したイベント(すなわち、B店舗に入荷されたことを示す入荷読取イベント)とを関連付けた入荷読取イベント情報である。また、共通入荷情報D2と個別入荷情報d23とを合わせた情報は、物流容器の個体番号「299」と当該物流容器(コンテナ299)について発生したイベント(すなわち、B店舗に入荷されたことを示す入荷読取イベント)とを関連付けた入荷読取イベント情報である。
【0041】
また、その他読取イベントを示すイベント情報(以下、「その他読取イベント情報」ともいう。)についても、例えば出荷読取イベント情報及び入荷読取イベント情報と同様に、共通読取情報と物流容器毎の個別読取情報とで構成される。共通読取情報には、その他読取イベントを識別するデータ番号、読取拠点、及び読取日を示す情報が関連付けられている。各物流容器の個別読取情報にはそれぞれ、各物流容器の読取を識別するデータ番号、各物流容器の分類(物品)、及び各物流容器の個体番号が関連付けられている。
【0042】
イベント情報取得部12は、例えば以下のようにして、読取イベントに関するイベント情報を取得することができる。例えば、個々の物流容器には、各物流容器の個体番号を記憶するRFIDタグが貼り付けられており、入出荷や棚卸等の際に、各拠点のRFIDリーダにより当該物流容器のRFIDタグが読み取られる。また、RFIDリーダによる読取処理(出荷読取、入荷読取、又はその他読取)に関する情報は、例えばオペレータ等によって予めRFIDリーダに設定される。
【0043】
ここで、オペレータ等によりRFIDリーダに設定される出荷読取に関する情報は、図3(a)に示した共通出荷情報に含まれる出荷拠点、出荷日、入荷予定日、及び入荷拠点に相当する情報である。また、入荷読取に関する情報は、図3(b)に示した共通入荷情報に含まれる出荷拠点、入荷日、及び入荷拠点に相当する情報である。またその他読取に関する情報は、上述した共通読取情報に含まれる読取拠点、及び読取日に相当する情報である。RFIDリーダは、読み取った物流容器の個体番号と、予めRFIDリーダに設定された読取処理に関する情報とを、拠点端末2に送信する。ここで、イベント自体のデータ番号(共通出荷情報のデータ番号、共通入荷情報データ番号、又は共通読取情報のデータ番号)については、例えばRFIDリーダによって、互いに異なるイベント同士で重複しないように採番されてもよいし、拠点毎に予め定められた拠点番号と読取時間(日時分秒等)とを組み合わせた番号がイベント自体のデータ番号として設定されてもよい。また、各物流容器のデータ番号(個別出荷情報のデータ番号、個別入荷情報のデータ番号、又は個別読取情報のデータ番号)については、例えばRFIDリーダによって、互いに異なる物流容器同士で重複しないように採番されてもよいし、各物流容器の個体番号が各物流容器のデータ番号として設定されてもよい。
【0044】
拠点端末2は、例えば予め拠点端末2に記憶されている物流容器の個体番号と分類(物品)とを関連付けたデータベース等を参照することで、RFIDリーダから取得した個体番号に対応する分類(物品)を取得する。そして、拠点端末2は、このようにして得られた物流容器の個体番号及び分類(物品)と、RFIDリーダから取得したイベントのデータ番号、物流容器のデータ番号、及び読取処理(出荷読取、入荷読取、又はその他読取)に関する情報と、を関連付けることで、上述の読取イベント情報(出荷読取イベント情報、入荷読取イベント情報、又はその他読取イベント情報)を生成する。
【0045】
物流容器個体管理システム1は、例えばインターネットや専用ネットワーク等の通信ネットワークを介して、各拠点の拠点端末2と通信可能とされている。従って、イベント情報取得部12は、例えば各拠点の拠点端末2において生成された各種読取イベント情報を随時受信することにより、各種読取イベント情報を取得することができる。なお、ここではRFIDリーダから拠点端末2を中継して物流容器個体管理システム1に各種読取イベント情報を送信する例について説明したが、例えば個体番号に対応する分類(物品)を示す情報を予めRFIDタグに登録しておくことで、RFIDリーダから直接物流容器個体管理システム1に各種読取イベント情報を送信してもよい。
【0046】
手動イベントとは、各拠点又は物流容器個体管理システム1のオペレータによる手動操作(データ入力操作)によって在庫位置情報の更新が指示されたことを示すイベントである。各拠点のオペレータによる手動イベントは、当該オペレータが在庫位置情報記憶部11に記憶されている自拠点の物流容器に関する在庫位置情報の更新を指示するイベントである。各拠点のオペレータは、例えば拠点端末2を操作することで、上述の通信ネットワークを介して物流容器個体管理システム1に接続し、在庫位置情報記憶部11にアクセスする。そして、各拠点のオペレータは、在庫位置情報記憶部11に記憶されている自拠点を在庫位置とする在庫位置情報を参照する。そして、例えば実際には自拠点には存在しない物流容器に関する在庫位置情報が見つかった場合に、当該在庫位置情報から自拠点を示す在庫位置の情報を削除することを指示する。具体的には、当該指示内容を示す手動イベント情報が、拠点端末2から物流容器個体管理システム1のイベント情報取得部12に送信される。手動イベント情報は、例えば、更新(在庫位置の削除)対象の在庫位置情報に関連付けられた個体番号と、削除対象の在庫位置とを関連付けた情報である。
【0047】
物流容器個体管理システム1のオペレータによる手動イベントは、当該オペレータによる手動操作によって在庫位置情報の更新が指示されたことを示すイベントである。物流容器個体管理システム1のオペレータは、例えば、物流容器個体管理システム1が備えるディスプレイ等の出力装置により在庫位置情報記憶部11に記憶されている在庫位置情報を確認し、キーボード等の入力装置により当該在庫位置情報を更新することができる。例えば、当該オペレータは、在庫位置情報記憶部11に記憶されている在庫位置情報のうち複数の在庫位置が関連付けられた在庫位置情報(例えば図5に示すように「C工場」及び「B店舗」が在庫位置として関連付けられたコンテナ299の在庫位置情報)を参照する。そして、当該オペレータは、いずれの在庫位置が正しい在庫位置であるかを確認した後に、正しくない方の在庫位置(例えば「C工場」)を当該在庫位置情報から削除することを指示する。具体的には、当該指示内容を示す手動イベント情報が、イベント情報取得部12に送信される。この手動イベント情報は、上述した各拠点のオペレータによる手動イベントに関する手動イベント情報と同様である。
【0048】
タイムイベントとは、日時の経過に関するイベントである。例えば図3(a)に示すように、入荷予定日が12月3日(12/3)であるコンテナ201の出荷読取イベント情報(共通出荷情報D1と個別出荷情報d13とを合わせた情報)がイベント情報記憶部13に記憶されている場合について考える。この場合において、入荷予定日を経過した12月4日になっても、コンテナ201についての入荷読取イベント情報がイベント情報記憶部13に記憶されなかったとする。このような場合に、イベント情報取得部12は、コンテナ201の出荷読取イベント情報に対して入荷予定日が超過したことを示すタイムイベント(入荷予定日超過)フラグを付加した情報(以下「タイムイベント情報」ともいう。)を生成(取得)する。
【0049】
イベント情報取得部12は、例えば以下のようにして、タイムイベントに関するイベント情報を取得することができる。イベント情報取得部12は、後述する入荷完了フラグが付加されていない出荷読取イベント情報の各々について、当該出荷読取イベント情報に対応する入荷読取イベント情報が取得されると、当該出荷読取イベント情報に示される出荷に対応する入荷が完了したことを示す入荷完了フラグを付加する。ここで、出荷読取イベント情報に対応する入荷読取イベント情報とは、当該出荷読取イベント情報に示される個体番号の物流容器が当該出荷読取イベント情報に示される入荷拠点に入荷されたことを示す入荷読取イベント情報である。例えば、図3(a)に示すパレット100についての出荷読取イベント情報(共通出荷情報D1及び個別出荷情報d11)に対応する入荷読取イベント情報は、図3(b)に示すパレット100についての入荷読取イベント情報(共通入荷情報D2及び個別入荷情報d21)である。
【0050】
そして、イベント情報取得部12は、例えば1日1回予め定められた時刻に、イベント情報記憶部13にアクセスし、入荷完了フラグが付加されていない出荷読取イベント情報を抽出する。また、イベント情報取得部12は、例えば物流容器個体管理システム1を構成するコンピュータのシステムクロックを参照して現在の日付を取得する。そして、イベント情報取得部12は、抽出された出荷読取イベント情報の各々について、現在の日付が出荷読取イベント情報に設定された入荷予定日を超過しているか否かを判定する。そして、イベント情報取得部12は、入荷予定日を超過していると判定された出荷読取イベント情報の各々について、入荷予定日を超過していることを示すタイムイベントフラグを付加したタイムイベント情報を生成する。
【0051】
更新部14は、在庫位置情報の更新並びに調整情報の生成及び削除を実行する更新手段である。更新部14は、例えばイベント情報記憶部13を定期的に監視し、イベント情報取得部12により取得されたイベント情報がイベント情報記憶部13に記憶されたことを検知すると、当該イベント情報を取得する。また、更新部14は、イベント情報に含まれる物流容器(個体番号)に関する在庫位置情報を在庫位置情報記憶部11から取得する。そして、更新部14は、物流容器に関するイベント情報と当該物流容器の在庫位置情報との組み合わせに応じて当該在庫位置情報を更新する。更新部14により実行される在庫位置情報の更新の詳細については、更新部14による調整情報の生成及び削除についての説明を行った後に説明する。
【0052】
また、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが予め定められた不一致(異常)を示す組み合わせであるか否かを判定する。ここで、不一致を示す組み合わせとは、各拠点の拠点在庫の総和と資産在庫との間に不整合が生じ、両者が一致しなくなるようなイベントの発生を示す組み合わせである。更新部14は、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが不一致を示す組み合わせであると判定した場合には、当該不一致の内容を示す不一致区分(異常情報)と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報を生成する。
【0053】
図6(a)及び(b)は、更新部14により生成される調整情報の一例を示す図である。より具体的には、図6(a)に示す調整情報は、タイムイベント情報の取得を契機として生成される調整情報の一例である。図6(b)に示す調整情報は、入荷読取イベント情報の取得を契機として生成される調整情報の一例である。図6(a)及び(b)に示すように、調整情報は、調整情報を識別するデータ番号、不一致区分、物流容器の分類(物品)、物流容器の個体番号、イベント情報を識別するイベントデータ番号、イベントが読み取られた拠点を示す読取拠点、調整情報が生成された日時を示す作成日時、及び不一致区分に対応する過剰/不足の分類(詳しくは後述)が関連付けられている。
【0054】
このような調整情報は、例えば以下のようにして生成される。すなわち、更新部14は、例えば、新規に生成される調整情報に一意の番号を採番するための採番テーブルを予め保持することで、当該採番テーブルにより調整情報のデータ番号を決定する。また、更新部14は、後述の更新ルールに基づいて不一致区分を決定する。また、更新部14は、調整情報を生成する契機となったイベント情報に基づいて、調整情報の物品、個体番号、イベントを識別するデータ番号であるイベントデータ番号、及び読取拠点(詳しくは後述)を決定する。また、更新部14は、例えばシステムクロックを参照することで、調整情報を生成した日時を作成日時として決定する。また、更新部14は、予め不一致区分に対応する分類として定められている「過剰/不足」の分類を決定する。
【0055】
ここで、出荷読取イベント情報の取得を契機として生成される調整情報の読取拠点には、当該出荷読取イベント情報の「出荷拠点」が設定される。また、入荷読取イベント情報の取得を契機として生成される調整情報の読取拠点には、当該入荷読取イベント情報の「入荷拠点」が設定される。また、その他読取イベント情報の取得を契機として生成される調整情報の読取拠点には、当該その他読取イベント情報の「読取拠点」が設定される。また、タイムイベント情報の取得を契機として生成される調整情報の読取拠点には、当該タイムイベント情報に紐付く出荷読取イベント情報の「出荷拠点」が設定される。
【0056】
なお、手動イベント情報は、在庫位置情報に含まれる複数の在庫位置のうち一の在庫位置を削除することを指示するものであり、上述した不一致区分を解消することを目的とするものである。従って、本実施形態においては、更新部14は、手動イベント情報の取得を契機として調整情報を生成することはない。
【0057】
本実施形態では一例として、不一致区分の分類として、「出荷あり入荷なし」、「在庫なし出荷」、「他在庫あり入荷」、「自在庫あり入荷」、「他在庫あり読取」、及び「入荷なし読取」が予め定められているものとする。
【0058】
「出荷あり入荷なし」は、ある拠点において、物流容器の出荷読取イベントが発生した後に入荷予定日を経過しても入荷拠点(入荷予定の拠点)での入荷読取イベントが発生していないことを示す。この不一致区分は、データ上、本来入荷拠点に入荷されていなければならない物流容器が入荷されていないことを示している。この場合、拠点毎の拠点在庫の総計は資産在庫よりも物流容器1つ分だけ不足することとなる。従って、この不一致区分には、「過剰/不足」の分類として「不足」が対応付けられている。
【0059】
「在庫なし出荷」は、ある拠点において、物流容器の在庫位置が自拠点ではない状態で当該物流容器の出荷読取イベントが発生したことを示す。この不一致区分は、データ上、自拠点に在庫として存在しないはずの物流容器が出荷されたことを示している。この場合、拠点毎の拠点在庫の総計は資産在庫よりも物流容器1つ分だけ過剰となる。従って、この不一致区分には、「過剰/不足」の分類として「過剰」が対応付けられている。
【0060】
「他在庫あり入荷」は、ある拠点において、物流容器の在庫位置が他拠点である状態で当該物流容器の入荷読取イベントが発生したことを示す。この不一致区分は、データ上、他拠点に在庫として存在しているはずの物流容器が自拠点に入荷されたことを示している。この場合、拠点毎の拠点在庫の総計は資産在庫よりも物流容器1つ分だけ過剰となる。従って、この不一致区分には、「過剰/不足」の分類として「過剰」が対応付けられている。
【0061】
「自在庫あり入荷」は、ある拠点において、物流容器が自拠点に既に在庫として存在している状態で、さらに当該物流容器の入荷読取イベントが発生したことを示す。この不一致区分は、データ上、既に自拠点に在庫として存在しているはずの物流容器がさらに自拠点に入荷されたことを示している。この場合、拠点毎の拠点在庫の総計は資産在庫よりも物流容器1つ分だけ過剰となる。従って、この不一致区分には、「過剰/不足」の分類として「過剰」が対応付けられている。
【0062】
「他在庫あり読取」は、ある拠点において、物流容器の在庫位置が他拠点である状態で当該物流容器についてのその他読取イベント(棚卸読取イベント等)が発生したことを示す。この不一致区分は、データ上、他拠点に在庫として存在しているはずの物流容器が自拠点にも在庫として存在することを示している。この場合、拠点毎の拠点在庫の総計は資産在庫よりも物流容器1つ分だけ過剰となる。従って、この不一致区分には、「過剰/不足」の分類として「過剰」が対応付けられている。
【0063】
「入荷なし読取」は、ある拠点において、物流容器が積送中である状態で当該物流容器についてのその他読取イベント(棚卸読取イベント等)が発生したことを示す。この不一致区分は、データ上、積送中であってどの拠点にも在庫として存在していないはずの物流容器が自拠点に在庫として存在することを示している。この場合、拠点毎の拠点在庫の総計は資産在庫よりも物流容器1つ分だけ過剰となる。従って、この不一致区分には、「過剰/不足」の分類として「過剰」が対応付けられている。
【0064】
調整情報記憶部15は、上述した更新部14により生成された調整情報を記憶する調整情報記憶手段である。更新部14は、調整情報記憶部15に物流容器に関する調整情報が記憶されている場合には、イベント情報と在庫位置情報とに加えて、調整情報記憶部15に記憶されている調整情報を更に取得し、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが予め定められた不一致の解消を示す組み合わせであるか否かを判定する。ここで、不一致の解消を示す組み合わせとは、各拠点の拠点在庫の総和と資産在庫との間の不一致を解消するイベントの発生を示す組み合わせである。更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが不一致の解消を示す組み合わせであると判定した場合には、調整情報記憶部15から当該調整情報を削除する。
【0065】
続いて、上述の更新ルールについて説明する。更新ルールは、例えば更新部14に予め記憶されている。図4は、更新ルールの一例を示す図である。図4に示す更新ルールは、イベント、イベント前在庫位置、イベント前不一致区分、イベント後在庫位置、及びイベント後不一致区分の5つの項目からなる。ここで、「イベント」は、物流容器についてのイベント情報の種別を示す項目である。「イベント前在庫位置」は、当該物流容器の在庫位置情報の在庫位置を示す項目である。「イベント前不一致区分」は、当該物流容器の調整情報の不一致区分を示す項目である。「イベント後在庫位置」は、当該物流容器の在庫位置情報の在庫位置をどのように更新するかを示す項目である。「イベント後不一致区分」は、当該物流容器の調整情報をどのように更新するかを示す項目である。
【0066】
具体的には、上述の更新ルールにおいて、イベント、イベント前在庫位置、及びイベント前不一致区分は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせに関する条件を示している。つまり、更新部14により取得されたイベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせがいずれの条件に合致するかを判定するための項目である。また、イベント後在庫位置は、上述の判定により条件に合致すると判定された場合に、どのように在庫位置を更新するかを示す項目である。また、イベント後不一致区分は、上述の判定により条件に合致すると判定された場合に、どのように調整情報を更新するかを示す項目である。
【0067】
図4に示す更新ルールにおいて、「出荷読取」は、イベント情報が出荷読取イベント情報であることを示す。「入荷読取」は、イベント情報が入荷読取イベント情報であることを示す。「入荷予定日超過」は、イベント情報がタイムイベント情報であることを示す。「その他読取」は、イベント情報がその他読取イベント情報であることを示す。「手動削除」は、イベント情報が手動イベント情報であることを示す。また、「イベント発生拠点」は、イベント情報が出荷読取イベント情報の場合には、出荷読取イベント情報の出荷拠点のことである。また、イベント情報が入荷読取イベント情報の場合には、入荷読取イベント情報の入荷拠点のことである。また、イベント情報がその他読取イベント情報の場合には、その他読取イベント情報の読取拠点のことである。また、イベント情報がタイムイベント情報の場合には、当該タイムイベント情報に紐付く出荷読取イベント情報の出荷拠点のことである。また、イベント情報が手動イベント情報の場合には、当該手動イベントによる削除対象の拠点のことである。また、イベント前不一致区分における「ハイフン(−)」は、イベントに係る物流容器の調整情報が、どのようなものであってもよい(なくてもよい)ことを示す。また、イベント後不一致区分における「ハイフン(−)」は、調整情報を生成しないことを示す。
【0068】
次に、更新部14が上述の更新ルールに基づいて、取得されたイベント情報に係る物流容器の在庫位置情報の在庫位置及び調整情報を更新する処理について説明する。更新部14は、イベント情報記憶部13にイベント情報が記憶されたことを契機として、当該イベント情報をイベント情報記憶部13から取得する。そして、更新部14は、取得されたイベント情報に係る物流容器(一例としてパレット100)の在庫位置情報を在庫位置情報記憶部11から取得する。また、調整情報記憶部15にパレット100の調整情報が記憶されている場合には、更新部14は、パレット100についてのイベント情報と、パレット100の在庫位置情報とに加えて、調整情報記憶部15からパレット100についての調整情報を取得する。そして、更新部14は、このようにして取得したイベント情報と在庫位置情報と調整情報(取得されなかった場合には空データ)との組み合わせが、図4に示す更新ルールに示されるイベント、イベント前在庫位置、及びイベント前不一致区分の組み合わせのうち、どの組み合わせに一致するかを判定する。そして、更新部14は、一致すると判定された組み合わせに対応するイベント後在庫位置及びイベント後不一致区分に基づいて、パレット100の在庫位置情報の在庫位置及び調整情報を更新する。
【0069】
ここで、更新ルールは、イベント情報と在庫位置情報と調整情報とのあらゆる組み合わせに対して一のルールが適用されるように、予めオペレータ等によって定められている。図4に示す16個のルールは、このような更新ルールの一部の例を示すものである。なお、イベント及びイベント前在庫位置が同一であり、イベント前不一致区分が互いに異なる二つのルール(例えば図4の項番6のルールと項番7のルール)が存在し得る。イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせがこのような二つのルールの両方に一致する場合(一方のイベント前不一致区分が「ハイフン(−)」である場合)には、更新部14は、イベント前不一致区分に「ハイフン(−)」ではなく具体的な不一致区分が格納されている方のルールを適用するものとする。つまり、上記例では、更新部14は、項番6のルールよりも項番7のルールを優先的に適用するものとする。以下、具体的な例について説明する。
【0070】
(第1の例)
図5は、図2の在庫位置情報が示す状態を初期状態として、図3(a)に示される出荷読取イベント情報と図3(b)に示される入荷読取イベント情報とが、この順に更新部14により取得された後の在庫位置情報を示す図である。この場合に更新部14が上述の更新ルールを用いて実行する処理について、パレット100に着目して説明する。
【0071】
まず、更新部14は、イベント情報記憶部13から、出荷拠点が「A倉庫」であり個体番号が「100」であるパレット100についての出荷読取イベント情報(図3(a)に示す共通出荷情報D1及び個別出荷情報d11)を取得する。また、更新部14は、在庫位置情報記憶部11から、在庫位置が「A倉庫」であるパレット100の在庫位置情報(図2参照)を取得する。ここで、調整情報記憶部15にはパレット100の調整情報が記憶されていないため、更新部14により、パレット100の調整情報は取得されない。
【0072】
続いて、更新部14は、例えば取得されたイベント情報に付与されているイベント種別を示す情報(不図示)を参照する等により、取得されたイベント情報の種別を取得する。これにより、更新部14は、取得されたイベント情報が出荷読取イベント情報であること(イベント情報の種別が「出荷読取」であること)を判別する。また、更新部14は、イベント情報に含まれる出荷拠点とパレット100の在庫位置情報の在庫位置のうち「積送中」以外の拠点とが一致するか否かを判定する。パレット100の在庫位置情報の在庫位置のうち「積送中」以外の拠点が複数ある場合には、更新部14は、このような拠点のそれぞれとイベント情報に含まれる出荷拠点とが一致するか否かを判定する。更新部14は、パレット100の在庫位置情報の在庫位置のうちイベント情報に含まれる出荷拠点と一致すると判定された拠点を「イベント発生拠点」であると判別する。一方、パレット100の在庫位置情報の在庫位置のうちイベント情報に含まれる出荷拠点と一致しないと判定された拠点を「その他拠点」であると判別する。この例では、更新部14は、パレット100の在庫位置情報の在庫位置「A倉庫」は「イベント発生拠点」であると判別する。
【0073】
続いて、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが、図4に示す更新ルールのうちのどのルールと一致するか否かを判定する。具体的には、更新部14は、上述のように取得されたイベント情報の種別、在庫位置、及び調整情報の不一致区分(調整情報が取得されない場合は空データ)と、各ルールの「イベント」、「イベント前在庫位置」及び「イベント前不一致区分」とを比較する。そして、更新部14は、全ての項目について一致すると判定されたルールを適用されるルールとして決定する。ここで、イベント情報の種別は「出荷読取」であり、在庫位置情報の在庫位置は「イベント発生拠点(倉庫A)」であり、調整情報は空データであるため、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番1の更新ルールに一致すると判定する。そして、更新部14は、項番1の更新ルールに基づいて、パレット100の在庫位置情報の在庫位置「A倉庫」を「積送中」に更新する。一方、更新部14は、項番1の更新ルールに基づいて、パレット100の調整情報を生成しない。
【0074】
続いて、図3(b)に示されるパレット100についての入荷読取イベント情報(共通入荷情報D2及び個別入荷情報d21)がイベント情報記憶部13に記憶されると、更新部14は、イベント情報記憶部13から、当該入荷読取イベント情報(すなわち、入荷拠点が「B店舗」であり個体番号が「100」であるパレット100についての入荷読取イベント情報)を取得する。また、更新部14は、在庫位置情報記憶部11から、在庫位置が「積送中」であるパレット100の在庫位置情報を取得する。ここで、調整情報記憶部15にはパレット100の調整情報が記憶されていないため、更新部14により、パレット100の調整情報は取得されない。
【0075】
続いて、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが、図4に示す更新ルールのうちのどのルールと一致するか否かを判定する。ここで、イベント情報の種別は「入荷読取」であり、在庫位置情報の在庫位置は「積送中」であり、調整情報は空データであるため、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番6のルールに一致すると判定する。そして、更新部14は、項番6のルールに基づいて、パレット100の在庫位置情報の在庫位置「積送中」を「B店舗」に更新する(図5参照)。一方、更新部14は、項番6の更新ルールに基づいて、パレット100の調整情報を生成しない。
【0076】
(第2の例)
続いて、図7及び図8を用いて、更新部14による在庫位置情報の更新処理並びに調整情報の生成及び削除についての一例を説明する。ここでは、パレット100がA倉庫から出荷された後に、入荷予定日を超過して入荷拠点であるB店舗に入荷される場合について説明する。ここで、パレット100がA倉庫から出荷される前は、在庫位置情報記憶部11に記憶されたパレット100の在庫位置情報の在庫位置は、「A倉庫」であるとする(図7(a)参照)。
【0077】
A倉庫においてパレット100について出荷読取イベントが発生すると、個体番号が「100」であり出荷拠点が「A倉庫」である出荷読取イベント情報が、イベント情報取得部12により取得され、イベント情報記憶部13に記憶される。そして、更新部14は、当該出荷読取イベント情報をイベント情報記憶部13から取得すると共に、パレット100の在庫位置情報(図7(a)参照)を在庫位置情報記憶部11から取得する。ここで、調整情報記憶部15にはパレット100の調整情報が記憶されていないため、更新部14により、パレット100の調整情報は取得されない。
【0078】
そして、更新部14は、上述の第1の例と同様の処理を実行することにより、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番1のルールに一致すると判定する。そして、更新部14は、項番1のルールに基づいて、パレット100の在庫位置情報の在庫位置「A倉庫」を「積送中」に更新する(図7(b)参照)。
【0079】
続いて、上記出荷読取イベント情報に設定されている入荷予定日を超過しても当該出荷読取イベント情報に入荷完了フラグが付加されなければ、イベント情報取得部12は、当該出荷読取イベント情報にタイムイベントフラグを付加したタイムイベント情報を生成(取得)し、イベント情報記憶部13に記憶する。そして、更新部14は、イベント情報記憶部13から当該タイムイベントを示すイベント情報を取得すると共に、パレット100の在庫位置情報(図7(b))を在庫位置情報記憶部11から取得する。ここで、調整情報記憶部15にはパレット100の調整情報が記憶されていないため、更新部14により、パレット100の調整情報は取得されない。
【0080】
そして、更新部14は、上述の第1の例と同様の処理を実行することにより、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番12のルールに一致すると判定する。ここで、項番12のルールのイベント後不一致区分には、不一致区分が「出荷あり入荷なし」である調整情報を生成することを示す情報が格納されている。従って、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせは、不一致(出荷あり入荷なし)を示す組み合わせであると判定する。そして、更新部14は、項番12のルールに基づいて、パレット100の在庫位置情報の在庫位置を「積送中」のままにした上で、不一致区分が「出荷あり入荷なし」であるパレット100の調整情報(図8参照)を生成し、調整情報記憶部15に記憶する。
【0081】
その後、B店舗においてパレット100についての入荷読取イベントが発生すると、個体番号が「100」であり入荷拠点が「B店舗」である入荷読取イベント情報が、イベント情報取得部12により取得され、イベント情報記憶部13に記憶される。そして、更新部14は、当該入荷読取イベント情報をイベント情報記憶部13から取得すると共に、パレット100の在庫位置情報(図7(b)参照)を在庫位置情報記憶部11から取得する。また、更新部14は、調整情報記憶部15から、不一致区分が「出荷あり入荷なし」であるパレット100の調整情報(図8参照)を取得する。
【0082】
そして、更新部14は、上述の第1の例と同様の処理を実行することにより、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番7のルールに一致すると判定する。ここで、項番7のルールのイベント後不一致区分には、不一致区分が「出荷あり入荷なし」である調整情報を削除することを示す情報が格納されている。従って、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは、不一致(出荷あり入荷なし)を解消する組み合わせであると判定する。そして、更新部14は、項番7のルールに基づいて、パレット100の在庫位置情報の在庫位置を「積送中」から「B店舗」に更新すると共に(図7(c)参照)、不一致区分が「出荷あり入荷なし」であるパレット100の調整情報を調整情報記憶部15から削除する。
【0083】
以上述べた第2の例では、パレット100がA倉庫から出荷されたことを示す出荷読取イベント情報について入荷予定日が超過したタイミングで、更新部14によって、不一致区分が「出荷あり入荷なし」である調整情報が生成される。これにより、パレット100がA倉庫から出荷された後に予定通りにB店舗に入荷されていない状態であることが適切に管理される。また、その後、パレット100がB店舗に入荷されたことを示す入荷読取イベント情報が取得されたタイミングで、更新部14によって、上記調整情報に示される不一致区分(出荷あり入荷なし)が解消したことが自動的に判別され、当該調整情報が適切に削除される。
【0084】
(第3の例)
続いて、図9図10、及び図11を用いて、更新部14による在庫位置情報の更新処理並びに調整情報の生成及び削除についての他の例を説明する。ここでは、パレット200の在庫位置情報の在庫位置がC工場であるときに、A倉庫においてパレット200の棚卸読取イベントが発生する場合について説明する。
【0085】
パレット200の在庫位置情報の在庫位置がC工場であるときにA倉庫においてパレット200の棚卸読取イベントが発生すると、個体番号が「200」であり読取拠点が「A倉庫」である棚卸読取イベント情報がイベント情報取得部12により取得され、イベント情報記憶部13に記憶される。そして、更新部14は、当該棚卸読取イベント情報をイベント情報記憶部13から取得すると共に、パレット200の在庫位置情報(図9(a)参照)を在庫位置情報記憶部11から取得する。ここで、調整情報記憶部15にはパレット200の調整情報が記憶されていないため、更新部14により、パレット200の調整情報は取得されない。
【0086】
そして、更新部14は、上述の第1の例と同様の処理を実行することにより、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番14のルールに一致すると判定する。ここで、項番14のルールのイベント後不一致区分には、不一致区分が「他在庫あり読取」である調整情報を生成することを示す情報が格納されている。従って、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせは、不一致(他在庫あり読取)を示す組み合わせであると判定する。そして、更新部14は、項番14のルールに基づいて、パレット200の在庫情報の在庫位置に「A倉庫」を追加する。このとき、更新部14は、「A倉庫」が在庫位置に追加されたデータのうち最新のものであることがわかるように、最新であることを示す情報を「A倉庫」に付加してもよい。また、更新部14は、上述の項番14のルールに基づいて、不一致区分が「他在庫あり読取」であるパレット200の調整情報(図10参照)を生成し、調整情報記憶部15に記憶する。
【0087】
その後、C工場又はセンターのオペレータにより、在庫位置情報記憶部11に記憶されたパレット200の在庫位置情報の在庫位置から「C工場」を削除することを指示する手動イベントが発生すると、個体番号が「200」であり削除対象の拠点が「C工場」である手動イベント情報がイベント情報取得部12により取得され、イベント情報記憶部13に記憶される。そして、更新部14は、当該手動イベント情報をイベント情報記憶部13から取得すると共に、パレット200の在庫位置情報(図9(b)参照)を在庫位置情報記憶部11から取得する。また、更新部14は、調整情報記憶部15から、不一致区分が「他在庫あり読取」であるパレット200の調整情報(図10参照)を取得する。
【0088】
そして、更新部14は、上述の第1の例と同様の処理を実行することにより、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは項番16のルールに一致すると判定する。ここで、項番16のルールのイベント後不一致区分には、不一致区分が「他在庫あり入荷」である調整情報を削除することを示す情報が格納されている。従って、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせは、不一致(他在庫あり読取)を解消する組み合わせであると判定する。そして、更新部14は、項番16のルールに基づいて、パレット200の在庫位置情報の在庫位置から「C工場」を削除すると共に(図9(c)参照)、不一致区分が「他在庫あり読取」であるパレット200の調整情報(図10参照)を調整情報記憶部15から削除する。
【0089】
なお、上記手動イベントの代わりに、C工場からパレット200が出荷されたことを示す出荷読取イベントが発生した場合も、上述と同様の結果となる。この場合には、更新部14は、項番5のルールに基づいて、パレット200の在庫位置情報の在庫位置から「C工場」を削除すると共に(図9(c)参照)、不一致区分が「他在庫あり読取」であるパレット200の調整情報(図10参照)を調整情報記憶部15から削除する。
【0090】
ここで、各拠点のオペレータは、物流容器個体管理システム1にアクセスすることで、物流容器毎(個体番号毎)に、調整情報(不一致区分)の詳細を参照することが可能とされてもよい。図11は、図10に示すパレット200の調整情報が調整情報記憶部15に記憶されている際に、A倉庫及びC工場のオペレータにより参照されるデータの一例を示す図である。この参照データは、調整情報についての詳細な情報を得ることが可能なように、調整情報記憶部15に記憶された調整情報とイベント情報記憶部13に記憶されたイベント情報とに基づいて整形されたデータである。この参照データは、物流容器の分類(物品)、個体番号、自拠点において当該物流容器について発生した読取イベントの種別(読取)、自拠点での読取日時、調整情報を生成する契機となった読取イベントが発生した拠点(不一致読取)、生成された調整情報の不一致区分、相手先の拠点でなされた読取イベントの種別(相手先読取)、及び相手先読取日時を含んでいる。ここで、相手先とは、不一致区分に係る複数の拠点(例えば在庫位置情報の在庫位置に重複して記憶されている複数の拠点)のうち自拠点以外の拠点のことである。
【0091】
図11(a)は、C工場のオペレータにA倉庫に関するデータに対する参照権限が付与されている場合に、C工場のオペレータが参照可能なデータの一例を示す図である。C工場のオペレータは、例えば、自拠点の拠点端末2を操作して物流容器個体管理システム1にアクセスし、調整情報を参照したい物流容器(一例としてパレット200)を指定し、指定された物流容器を示す情報を物流容器個体管理システム1に送信する。物流容器個体管理システム1の参照データ生成部(不図示)は、当該指定された物流容器を示す情報を受信すると、調整情報記憶部15及びイベント情報記憶部13に記憶されているパレット200についての調整情報及びイベント情報を取得し、図11(a)に示すような参照データを生成し、当該参照データをC工場の拠点端末2に送信する。これにより、C工場のオペレータは、自拠点の拠点端末2を介して当該参照データを参照することができる。ここで、C工場のオペレータにA倉庫に関するデータに対する参照権限が付与されているため、参照データの「相手先読取」において、相手先が「A倉庫」と表示される。
【0092】
一方、図11(b)は、C工場のオペレータにA倉庫に関するデータに対する参照権限が付与されていない場合に、C工場のオペレータが参照可能なデータの一例を示す図である。この場合、C工場のオペレータにA倉庫に関するデータに対する参照権限が付与されていないため、参照データの「相手先読取」において、相手先が「非表示」と表示される。
【0093】
図11(c)は、A倉庫のオペレータにC工場に関するデータに対する参照権限が付与されている場合に、A倉庫のオペレータが参照可能なデータの一例を示す図である。A倉庫のオペレータは、例えば、自拠点の拠点端末2を操作して物流容器個体管理システム1にアクセスし、調整情報を参照したい物流容器(一例としてパレット200)を指定し、指定された物流容器を示す情報を物流容器個体管理システム1に送信する。物流容器個体管理システム1の参照データ生成部(不図示)は、当該指定された物流容器を示す情報を受信すると、調整情報記憶部15及びイベント情報記憶部13に記憶されているパレット200についての調整情報及びイベント情報を取得し、図11(c)に示すような参照データを生成し、当該参照データをA倉庫の拠点端末2に送信する。これにより、A倉庫のオペレータは、自拠点の拠点端末2を介して当該参照データを参照することができる。ここで、A倉庫のオペレータにC工場に関するデータに対する参照権限が付与されているため、参照データの「相手先読取」において、相手先が「C工場」と表示される。
【0094】
一方、図11(d)は、A倉庫のオペレータにC工場に関するデータに対する参照権限が付与されていない場合に、A倉庫のオペレータが参照可能なデータの一例を示す図である。この場合、A倉庫のオペレータにC工場に関するデータに対する参照権限が付与されていないため、参照データの「相手先読取」において、相手先が「非表示」と表示される。
【0095】
このように、パレット200についてのイベントの発生に伴って更新部14により生成された調整情報は、調整情報記憶部15に記憶されて適切に管理される。また、参照データ生成部(不図示)により、各拠点端末2に対して、不一致が生じている物流容器の詳細(不一致が生じている物流容器(個体番号)、不一致の内容、及び相手先の情報等)を示す参照データを生成及び提示することが可能となる。これにより、各拠点において、不一致が生じている物流容器を把握すると共に、その原因究明等の措置を講じ易くなる。
【0096】
続いて、各拠点の拠点在庫と調整情報記憶部15に記憶された調整情報とに基づいて、資産在庫と一致する在庫(調整後在庫)を算出する方法の一例について説明する。図12は、パレットについての各拠点の拠点在庫の総計(在庫数)が100であることを示している。ここで、パレットについての各拠点の拠点在庫の総計とは、在庫位置情報記憶部11に記憶されているパレットの在庫位置情報の在庫位置の個数を計数することで求まった値である。また、パレットについての全ての調整情報について、過剰/不足の分類が「過剰」であるものについては「−1」とし、「不足」であるものについては「+1」として足しあわせた数値(調整数)が5であることを示している。この場合、調整後在庫は、在庫数から調整数を引くことで95と算出される。
【0097】
このように、調整情報を考慮して拠点在庫の総計を調整することで、物流容器の正味の在庫(資産在庫)と一致する調整後在庫(「積送中」の物流容器が存在する場合には、当該物流容器の個数と調整後在庫との和)を得ることができる。ここで、調整後在庫と資産在庫とが一致する場合には、資産在庫として保有されている全ての物流容器についての在庫位置に関するイレギュラーな事態(すなわち、資産在庫と各拠点の拠点在庫の総計との間に不一致を生じさせる事態)が調整情報により的確に把握されているといえる。つまり、調整情報によって、拠点在庫と資産在庫とを整合をとって管理できているといえる。また、オペレータは、当該調整情報を参照し、これらの不一致区分を解消するための確認作業等を行なって調整情報の消込(不一致の原因を把握及び解消して調整情報を削除すること)を実行することで、物流容器の在庫管理を適切に行うことが可能となる。
【0098】
続いて、図13を用いて、本発明の実施形態に係る物流容器個体管理方法を含む物流容器個体管理システム1の動作について説明する。
【0099】
まず、イベント情報取得部12により、ある物流容器(ここでは一例として「パレット100」)についての各種イベント(出荷読取イベント、入荷読取イベント、その他読取イベント、手動イベント、タイムイベント等)を示すイベント情報が取得され、イベント情報記憶部13に記憶される(ステップS1、イベント情報取得ステップ)。
【0100】
続いて、更新部14により、S2〜S8の処理(更新ステップ)が実行される。まず、イベント情報記憶部13からパレット100についてのイベント情報が取得され、在庫位置情報記憶部11からパレット100の在庫位置情報が取得され、調整情報記憶部15にパレット100の調整情報が記憶されている場合には当該調整情報が取得される(ステップS2)。
【0101】
続いて、更新部14により、イベント情報と在庫位置情報と調整情報(取得されなかった場合は空データ)との組み合わせが、上述の更新ルール(図4参照)のうちどのルールに一致するか判定される(ステップS4)。そして、更新部14により、ステップS4において一致すると判定されたルールに基づいて(すなわち、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせに応じて)、パレット100の在庫位置情報が更新される(ステップS4)。また、上記ルールに基づいて、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが不一致を示す組み合わせであるか否かが判定される(ステップS5)。具体的には、上記ルールの「イベント後不一致区分」に、新規に生成される調整情報の不一致区分を示す情報が格納されているか否かが判定される。イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが不一致を示す組み合わせであると判定された場合(ステップS5:YES)には、更新部14により上記ルールに基づいて調整情報が生成される(ステップS6)。一方、ステップS5において、イベント情報と在庫位置情報との組み合わせが不一致を示す組み合わせでないと判定された場合(ステップS5:NO)には、ステップS7の処理へと進む。
【0102】
続いて、更新部14により調整情報が取得されている場合には、更新部14により、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが不一致の解消を示す組み合わせであるか否かが判定される(ステップS7)。具体的には、上記ルールの「イベント後不一致区分」に、調整情報を削除することを示す情報が格納されているか否かが判定される。イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが不一致を解消する組み合わせであると判定された場合(ステップS7:YES)には、更新部14により上記ルールに基づいて調整情報記憶部15から調整情報が削除されて、処理を終了する(ステップS8)。一方、ステップS7において、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせが不一致を解消する組み合わせでないと判定された場合(ステップS7:NO)には、そのまま処理を終了する。
【0103】
続いて、図14を用いて、本発明の実施形態に係る物流容器個体管理プログラムP1について説明する。物流容器個体管理プログラムP1は、上述の在庫位置情報記憶部11、イベント情報記憶部13、及び調整情報記憶部15を備えるコンピュータシステムを物流容器個体管理システム1として機能させるためのプログラムである。図14は、物流容器個体管理プログラムP1のモジュール構成を示すブロック図である。図14に示すように、物流容器個体管理プログラムP1は、イベント情報取得モジュールP11と更新モジュールP12とを備える。イベント情報取得モジュールP11及び更新モジュールP12が実行されることにより実現される機能は、上述した物流容器個体管理システム1のイベント情報取得部12及び更新部14の機能と同様である。
【0104】
このように構成された物流容器個体管理プログラムP1は、例えばCD−ROM及びDVD等の記憶媒体に記憶され、物流容器個体管理システム1として用いられるコンピュータシステムにより実行される。具体的には、当該コンピュータシステムは、例えばCD−ROMドライブ及びDVDドライブ等の記憶媒体読取部を備えている。記憶媒体読取部に記憶媒体がセットされると、当該コンピュータシステムは、記憶媒体読取部から記憶媒体に格納された物流容器個体管理プログラムP1にアクセス可能となる。そして、物流容器個体管理プログラムP1を当該コンピュータシステムに実行させることによって、当該コンピュータシステムを、物流容器個体管理システム1として動作させることが可能となる。
【0105】
なお、物流容器個体管理プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号としてネットワークを介して提供されるものであってもよい。
【0106】
本実施形態に係る物流容器個体管理システム1では、在庫位置情報記憶部11により、物流容器の在庫位置情報が記憶されている。また、ある拠点で当該物流容器についてイベントが発生した際に、当該イベント情報がイベント情報取得部12により取得される。そして、更新部14により、当該物流容器の在庫位置が、当該イベントと当該物流容器のイベント発生前の在庫位置との組み合わせに応じて更新される。さらに、イベントと在庫位置との組み合わせが異常を示す組み合わせである場合には、更新部14により、異常の内容を示す異常情報と当該物流容器の個体情報とを関連付けた調整情報が生成される。この物流容器個体管理システム1によれば、物流容器毎(個体番号毎)に、イベントの発生に伴う在庫位置の更新をイベント発生前の在庫位置に応じて適切に実行することができる。さらに、イベント発生前の在庫位置との関係において異常なイベントが発生した場合に、調整情報を生成することにより異常の内容を管理することができる。これにより、物流容器の在庫位置を適切に把握することが可能となる。
【0107】
また、調整情報記憶部15に調整情報が記憶されている場合には、更新部14は、イベント情報と在庫位置情報とに加えて調整情報を取得し、イベント情報と在庫位置情報と調整情報との組み合わせに応じて、在庫位置情報を更新すると共に調整情報を適切に削除する。従って、上記物流容器個体管理システム1によれば、更新部14により、調整情報に含まれる異常情報が示す異常な状態が解消されたことが、イベントと在庫位置と調整情報との組み合わせによって判定され、判定結果に基づいて当該調整情報が自動的に削除される。その結果、調整情報の管理(生成及び削除)に関するオペレータの手作業は不要となるため、オペレータの手間が削減される。また、これにより、オペレータによる入力ミスの発生も防止される。以上により、物流容器の在庫位置及び異常の内容の管理をより確実且つ効率的に行うことが可能となる。
【0108】
なお、本実施形態で示したイベント情報、在庫位置情報、及び調整情報のデータの例は一例であり、これに限定されるものではないことは言うまでもない。つまり、イベント情報は、個体番号とイベント内容を示す情報とが関連付けられた情報であればよく、上記実施形態に示したイベント情報とは異なるデータ項目を有する情報であってもよい。同様に、在庫位置情報は、個体番号と一以上の在庫位置とを関連付けた情報であればよく、上記実施形態に示した在庫位置情報とは異なるデータ項目を有する情報であってもよい。同様に、調整情報は、異常情報と個体番号とを関連付けた情報であればよく、上記実施形態に示した調整情報とは異なるデータ項目を有する情報であってもよい。
【0109】
また、本実施形態では、更新部14は、イベント情報のイベント種別と、在庫位置情報の在庫位置と、調整情報の不一致区分との組み合わせが、予め定められた更新ルール(図4参照)のうちどのルールに一致するかを判定するものとして説明した。しかし、在庫位置の更新及び不一致情報の生成を実行するにあたっては、イベント情報のイベント種別と在庫位置情報の在庫位置との組み合わせで一意に決定されるため、調整情報の不一致区分を判定材料として用いる必要はない。
【符号の説明】
【0110】
1…物流容器個体管理システム、2…拠点端末、11…在庫位置情報記憶部、12…イベント情報取得部、13…イベント情報記憶部、14…更新部、15…調整情報記憶部、P1…物流容器個体管理プログラム、P11…イベント情報取得モジュール、P12…更新モジュール。
図1
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