(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。実施の形態中の用語について簡単に説明すると、以下のとおりである。剥離発行とは、ラベル連続体として、複数枚のラベルが長尺帯状の台紙に所定間隔で仮着された連続状のラベル(台紙付きラベル)を用いた場合に、ラベルを1枚毎に台紙から剥がしてプリンタから発行する方式を言い、通常発行とは、ラベルを剥がさないでプリンタから発行する方式を言う。台紙付きラベルにおいてラベルを台紙から剥がさないで発行する場合はもちろんのこと、ラベル連続体として、台紙が無く、片面の粘着剤層が剥き出しのまま搬送される連続状のラベル、または、台紙が無く、粘着剤層も無い連続状のシート(連続シート)等のような台紙無しラベルを使用する場合も通常発行が適用される。
【0013】
図1(a)は本実施の形態に係るプリンタの通常発行状態の全体斜視図、
図1(b)は
図1(a)のプリンタの剥離発行状態の全体斜視図、
図2は開閉カバー部の開放状態における
図1のプリンタおよびラベル連続体の一例の外観を示す全体斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態のプリンタ1は、例えば、扁平な直方体形状に形成された携帯型のラベルプリンタであり、ラベルを台紙から1枚ずつ剥離して発行する剥離発行と、ラベルを剥がさないで発行する通常発行とを1台で切り換え可能な兼用型の構成を備えている。プリンタ1は、発行口側を上に向けた状態(横置き)で使用することもできるが、プリンタ1の外周一面に設けられたベルトフック(図示せず)を作業者のベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着して作業者の肩に掛けたりすることにより発行口側を横に向けた状態(縦置き)で使用することもできる。なお、ここでは、
図1(a)に示すように、矢印A1の方向から見た面をプリンタ1の正面とし、矢印A2の方向から見た面をプリンタ1の背面とし、矢印A3,A4の方向から見た各面をプリンタ1の側面とする。
【0015】
プリンタ1の印字媒体としては、
図2に示すように、例えば、長尺帯状の台紙PMとその長手方向に沿って所定間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有するラベル連続体P(台紙付きラベル)が使用されている。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等の非粘着性を有する剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルPLの位置を示す位置検出マーク(図示せず)が形成されている。ラベルPLの表面(印字面)には、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。
【0016】
ただし、印字媒体は、台紙付きラベルに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、台紙が無く粘着剤層が剥き出しにされたまま搬送される台紙無しラベルを使用しても良い。この場合、台紙無しラベルの粘着剤層側には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルの位置を示す位置検出マーク(図示せず)が形成されている。また、台紙無しラベルの表面(粘着剤層が形成された面の裏面、印字面)には、上記した感熱発色層が形成されている。この他、例えば、上記した連続シートを使用しても良いし、紙類に限らずサーマルヘッドにより印字可能なフィルム(台紙無しラベル)等を使用しても良い。連続シートまたはフィルムの場合も位置検出マークを設けることができる。
【0017】
プリンタ1は、外部ケース2と、開閉カバー部3と、剥離ユニット部4と、用紙収容部(印字媒体収容部)6(
図2参照)と、用紙ガイド機構部7(
図2参照)とを備えている。外部ケース2は、プリンタ1の外形の一部を形成する外部筐体であり、その発行口側の表面には、操作部Cp、カバーオープンボタンBp、一対の解除レバー部Lc,LcおよびカッタCt等が装着されている。なお、操作部Cpは、プリンタ1を操作するためのボタンやパネル等の配置部である。カバーオープンボタンBpは、開閉カバー部3を開くためのボタンである。解除レバーLcは、剥離ユニット部4の保持状態を解除するためのレバーである。カッタCtは、印字後のラベル連続体Pを切断するための固定刃である。
【0018】
開閉カバー部3は、用紙収容部6の開閉カバーであり、開閉カバー部3の長手方向一端部(開放端部:外部ケース2の長手方向中央側)が外部ケース2に対して離間および接近する方向に移動可能な状態で、開閉カバー部3の長手方向他端部が開閉支持軸により軸支されている。また、開閉カバー部3は、その長手方向他端部の開閉支持軸に配置されたトーションバネにより開方向(開閉カバー部3の開放端部が外部ケース2から離間する方向)に付勢されている。
【0019】
開閉カバー部3の開放端部には、プラテンローラ(搬送ローラ)10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。プラテンローラ10は、ラベル連続体Pを搬送する搬送手段であり、ラベル連続体Pの幅方向(短方向)に沿って延在した状態で設置されている。プラテンローラ10は、例えば、シリコーンを含有させた樹脂やシリコーンゴムにより形成されている。プラテンローラ10のプラテン軸10aの一端部には、ギア10bが接続されている。このギア10bは、開閉カバー部3の閉止時にギアユニット部(図示せず)を介して駆動モータ(図示せず)に機械的に接続される。駆動モータは、例えば、ステッピングモータにより構成されている。開閉カバー部3の開放端部側においてプラテンローラ10の近傍には剥離ピン11が並設されている。この剥離ピン11は、台紙付きラベルを使用する場合に、ラベルPLを台紙PMから剥離する剥離部材であり、その長手方向両端部側は開閉カバー部3に固定されている。
【0020】
剥離ユニット部4は、剥離発行時にラベル連続体Pの台紙PMからラベルPLを剥がして台紙PMとラベルPLとの搬送経路を分けるユニット部であり、その先端部には、ニップローラ4aが回転可能な状態で支持されている。剥離ユニット部4は、
図1(a)に示すように、通常発行時には外部ケース2内に収納されているが、
図1(b)に示すように、剥離発行時には、外部ケース2の外部に配置される。剥離発行時には、ラベル連続体Pの台紙PMをプラテンローラ10とニップローラ4aとで挟み込んだ状態でプラテンローラ10を回転させると、ニップローラ4aが従動回転し、台紙PMが搬送されるとともに、台紙PMからラベルPLが剥離される。
【0021】
図2に示す用紙収容部6は、ロール状に巻回されたラベル連続体Pを収容する空間であり、その内部には用紙ガイド機構部7の一対のガイド板(ガイド部)7aおよび操作板(操作部)7bが設置されている。用紙ガイド機構部7は、ラベル連続体Pをその幅に合わせて支持しガイドする機構部である。ガイド板7aは、ロール状のラベル連続体Pの幅方向(短方向)両端面に接触し、ロール状のラベル連続体Pを回転自在の状態で支持してラベル連続体Pの搬送をガイドする部材である。このガイド板7aは、ラベル連続体Pの幅に応じて位置を変えられるようにラベル連続体Pの幅方向に沿って移動可能な状態で設置されている。操作板7bは、ガイド板7aの固定および固定解除の他、ガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動するために操作する部材である。なお、操作板7bについては後述する。
【0022】
次に、プリンタ1の内部構造について
図3を参照して説明する。
図3(a)は
図1(a)の通常発行時のプリンタを側面側から見た概略構成図、
図3(b)は
図1(b)の剥離発行時のプリンタを側面側から見た概略構成図である。
【0023】
プリンタ1の内部においてプラテンローラ10の対向側には、サーマルヘッド(印字部)25と、配線基板26と、ヘッドブラケット27と、コイルバネ29とが設置されている。なお、
図3においては、図面を見易くするため用紙ガイド機構部7が省略されている。
【0024】
サーマルヘッド25は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報をラベル連続体Pに印字する印字手段であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10に対向するようにサーマルヘッド25の印字面を通紙ルートに向けた状態で配線基板26を介してヘッドブラケット27に実装されている。このサーマルヘッド25の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)がラベル連続体Pの幅方向(短方向)に沿って並設されている。配線基板26は、プリンタ1の全体動作を制御する制御ユニット部(図示せず)から送られた印字信号をサーマルヘッド25に伝送する配線用の基板である。
【0025】
ヘッドブラケット27は、サーマルヘッド25を保持するとともに、開閉カバー部3の保持および保持解除を行う部材であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10の向かい側に、開閉カバー部3の保持または保持解除が可能なようにプラテンローラ10に対して接近および離間する方向に揺動自在の状態で軸支されている。
【0026】
コイルバネ29は、開閉カバー部3の閉止時にサーマルヘッド25およびヘッドブラケット27をプラテンローラ10側に付勢する部材であり、ヘッドブラケット27の背面側(配線基板26の実装面の裏面側)に設置されている。このコイルバネ29の付勢力によりヘッドブラケット27がプラテンローラ10側に押し付けられるので、サーマルヘッド25がラベル連続体Pを介してプラテンローラ10に押し付けられるとともに、開閉カバー部3がヘッドブラケット27により保持される。
【0027】
次に、プリンタ1の用紙ガイド機構部7の一例について
図4〜
図7を参照して説明する。
図4は
図1のプリンタにおいて開閉カバー部を閉じた状態の要部を側面から見た要部構成図、
図5は
図4のプリンタにおいて開閉カバー部を開いた状態の要部を側面から見た要部構成図、
図6(a)は
図4のプリンタにおいてガイド板を操作する操作板と外部ケースとの係合部を開閉カバー部側から見た要部構成図、
図6(b)は
図5のプリンタにおいてガイド板を操作する操作板と外部ケースとの係合部を開閉カバー部側から見た要部構成図、
図7は
図1のプリンタにおいて開閉カバー部の閉じた状態の用紙ガイド機構部の要部拡大斜視図である。
【0028】
用紙ガイド機構部7は、一対のガイド板7a,7aと、操作板7bと、ガイド板移動機構部7c(
図7参照)とを備えている。一対のガイド板7a,7aは、その各々の内側側面を対向させた状態で設置されている。各ガイド板7a,7aは、例えば、平面略円形状に形成されており、ガイド板移動機構部7cにより互いに接近および離間する方向に移動することが可能な状態で設置されている。
【0029】
ガイド板移動機構部7cは、一対のガイド板7a,7aを互いに接近および離間する方向に移動させるための機構部であり、
図7に示すように、一対の脚部35,35と、一対のラック部36,36と、ピニオンギア部37とを備えている。各脚部35,35は、各ガイド板7a,7aを支える部分であり、各ガイド板7a,7aに一体成形されている。各脚部35,35の内側側面には、ラック部36,36が一体成形されている。各ラック部36,36は、一方の脚部35,35から他方の脚部35,35に向かって延在し、互いに対向した状態で設置されている。各ラック部36,36の対向面間には、ピニオンギア部37が、ガイド板7aの設置面内に沿って回動自在の状態で設置されている。各ラック部36,36とピニオンギア部37とは、ラック部36,36同士の対向面においてラック部36の延在方向に沿って形成された複数の歯(凹凸)36aと、ピニオンギア部37の外周に沿って形成された複数の歯(凹凸:図示せず)とが噛み合うことで互いに係合されている。このようなガイド板移動機構部7cを設けたことにより、一方のガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動すると一方のガイド板7aに接続された一方のラック部36も同方向に移動するので、そのラック部36に係合されたピニオンギア部37が回転する結果、ピニオンギア部37に係合された他方のラック部36も移動するので、他方のラック部36に接続された他方のガイド板7aも、一方のガイド板7aの移動方向に対して逆方向に移動するようになっている。このため、ラベル連続体Pをその幅に応じて適切な位置で保持することができるので、ラベル連続体Pを安定した姿勢に律した状態で搬送することが可能になっている。
【0030】
操作板7bは、上記したように、ガイド板7aの固定、固定解除および移動を操作する部材である。操作板7bの一端部は、開閉カバー部3に移動可能に係合されている。すなわち、操作板7bの一端部の幅方向両側面には、操作板7bの幅方向(ラベル連続体Pの搬送方向)に突出する一対の突部40,40が形成されており、その突部40,40が、開閉カバー部3の裏面の溝41に嵌め込まれている。溝41は、ラベル連続体Pの幅方向に沿って延在している。これにより、操作板7bは、ラベル連続体Pの幅方向に沿って移動可能な状態で開閉カバー部3に係合されている。
【0031】
また、操作板7bは、ガイド板7aにも移動可能に係合されている。すなわち、一方のガイド板7aの外側側面には複数の支持部42が分散配置されており、その複数の支持部42により操作板7bはガイド板7aの側面に沿って移動可能な状態で一方のガイド板7aに支持されている。これにより、操作板7bをガイド板7aに係合させた状態で、開閉カバー部3を開閉することが可能になっている。
【0032】
この構造によると、開閉カバー部3を開くと、開閉カバー部3の動きに追従して操作板7bも移動する。このとき、操作板7bが直線状に形成されていると、開閉カバー部3を開けることができないので、操作板7bは、開閉カバー部3の開閉が可能なように湾曲状に形成されている。これにより、
図5に示すように、開閉カバー部3を開くと、開閉カバー部3とガイド板7aとの間に操作板7bの中央部がアーチ状に突出するようになっているので、操作板7bの突出部分を指で摘んでラベル連続体Pの幅方向に移動させることにより、操作板7bに係合されたガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動させることが容易にできる。したがって、ガイド板7aの操作性を向上させることができる。
【0033】
また、操作板7bの他端部には、係合部(固定部)43Aが操作板7bと一体で形成されている。
図6および
図7に示すように、操作板7bの係合部43Aには、操作板7bの厚さ方向(ラベル連続体Pの幅方向)に沿って複数の凹凸が形成されている。一方、
図4および
図5に示すように、プリンタ1の背面側の外部ケース2内の側面(開閉カバー部3の対向面に交差する面)S1には、
図6に示すように、係合部44Aが形成されている。外部ケース2内の係合部44Aには、操作板7bの係合部43Aの複数の凹凸に嵌合されるように、ラベル連続体Pの幅方向に沿って複数の凹凸が形成されている。そして、
図4に示すように、開閉カバー部3を閉じると、
図6(a)に示すように、操作板7bの係合部43Aが外部ケース2内の係合部44Aに接近し互いに係合されることによりガイド板7aが固定される。一方、
図5に示すように、開閉カバー部3を開けると、
図6(b)に示すように、操作板7bの係合部43Aが外部ケース2の係合部44Aから離れるのでガイド板7aの固定状態が解除される。なお、
図6(a),(b)に示す矢印A5は、開閉カバー部3の開閉時の操作板7bの移動方向を示している。
【0034】
このように、操作板7bは、開閉カバー部3とガイド板7aとの両方に係合されており、開閉カバーの動作にあわせて移動するため、開閉カバー部3を閉じるとガイド板7aが自動的に固定され、開閉カバー部3を開くとガイド板7aの固定状態が自動的に解除されるようになっている。このため、ガイド板7aの固定および固定解除の操作を容易にすることができ、固定解除された状態でカバーが閉止されてしまうこともない。したがって、ガイド板7aの操作性を向上させることができる。また、一対のガイド板7a,7aの固定し忘れを防止することができるので、印字に際してラベル連続体Pを安定した姿勢に律した状態で搬送することができる。
【0035】
また、
図4、
図5および
図7に示すように、操作板7bの係合部43Aの近傍には、操作板7bの厚さ方向両(ラベル連続体Pの幅方向)面間を貫通し、かつ、操作板7bの幅方向に延在する孔(弾性変形構造)45が形成されている。操作部7bの係合部43Aと外部ケース2内の係合部44Aとがしたときに、この孔45と係合部43Aとの間の操作板がたわむことにより、操作板7bの係合部43Aの近傍に板バネのような作用を生じさせることができるので、操作板7bの係合部43Aと外部ケース2内の係合部44Aとの係合状態に過不足が生じないように微調整することができる。また、操作板7b等の長手方向の寸法誤差等を吸収することもできる。
【0036】
ここでは、操作板7bおよび外部ケース2内の係合部43A,44Aに凹凸を設け、双方を嵌合する構成にした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操作板7bおよび外部ケース内の係合部43A,44Aに凹凸を設けることなく、操作板7bの長手方向他端部を外部ケース2内の側面S1に押し当て、そのときの摩擦力でガイド板7aを固定する構成にしても良い。これにより、操作板7bの係合部43Aの凹凸と外部ケース2の係合部44Aの凹凸との合わせ精度を緩和することができるので、プリンタ1の構造を簡単化することができる。また、操作板7bおよび外部ケース2に嵌合のための凹凸を形成する必要がなくなるので、プリンタ1のコストを低減することができる。
また、摩擦力を高めるために、操作板7bの他端部にゴム等の摩擦係数の高い素材を用いても良い。
【0037】
次に、プリンタ1の用紙収容部6内にラベル連続体Pを収容する方法例について
図1、
図5〜
図7を参照して説明する。まず、
図1に示すプリンタ1のカバーオープンボタンBpを押すことにより、開閉カバー部3が開閉支持軸に配置されたトーションバネにより自動的に開く。すると、開閉カバー部3に係合された操作板7bも開閉カバー部3の動きに追従して一方のガイド板7aの側面に沿って移動する。このため、
図6(b)に示すように、操作板7bの係合部43Aが外部ケース2の係合部44Aから離れるので、一対のガイド板7a,7aの固定状態が自動的に解除される。また、開閉カバー部3と一方のガイド板7aとの間に、操作板7bの一部がアーチ状に突出される。
【0038】
続いて、開閉カバー部3と一方のガイド板7aとの間に突出された操作板7bの一部を指で摘んで、操作板7bをその厚さ方向に動かすことにより、一対のガイド板7a,7aの間隔をラベル連続体Pが収容可能なように広げる。この際、操作板7bの操作により一方のガイド板7aを一方向に移動すると、そのガイド板7aに接続された一方のラック部36(
図7参照)も同方向に移動するのでピニオンギア部37が回転する結果、ピニオンギア部37に係合された他方のラック部36が逆方向に移動するので、他方のラック部36に接続された他方のガイド板7aが逆方向(一方のガイド板7aから離間する方向)に移動する。
【0039】
続いて、用紙収容部6の一対のガイド板7a,7aの間にラベル連続体Pを収容した後、上記と同様に操作板7bを操作することにより一対のガイド板7a,7aをラベル連続体Pの幅方向の両端面に接触する位置に移動させてラベル連続体Pを支持する。本実施の形態においては、操作板7bの一部が開閉カバー部3と一方のガイド板7aとの間、すなわちラベル連続体Pの上方に突出するため、ラベル連続体Pを用紙収容部6に収容した後でも操作板7bをラベル連続体Pの幅方向に移動させてガイド板7aを移動させることができるので、ガイド板7aの位置をラベル連続体Pの幅に合うように容易に調整することができる。
【0040】
その後、開閉カバー部3を閉めると、開閉カバー部3の動きに追従して操作板7bの係合部43Aが外部ケース2の係合部44Aに接近し係合されるので、一対のガイド板7a,7aを自動的に固定することができる。このため、一対のガイド板7a,7aの固定し忘れを防止することができるので、印字に際してラベル連続体Pを安定した姿勢に律した状態で搬送することができる。ここで、発明者が検討した技術においては、操作部を上下動させることでガイド板7aの固定および固定解除を行う構造もあるが、ガイド板7aが外部ケース2の内側面に近接していると、操作部と外部ケース2の内側面との間に指を入れることが難しく、操作部の操作が難しい場合がある。このため、操作部と外部ケース2との間に、指を入れるための隙間を確保せざるを得ず、プリンタの小型化を阻害する場合がある。これに対して本実施の形態においては、開閉カバー部3の開閉によりガイド板7aの固定解除および固定ができるので、操作板7bと外部ケース2との間に指を入れる隙間を確保する必要が無い。このため、プリンタ1を小型化することができる。
【0042】
図8は第2の実施の形態のプリンタにおいて開閉カバー部を閉じた状態の要部を側面から見た要部構成図、
図9は
図8のプリンタにおいて開閉カバー部を開いた状態の要部を側面から見た要部構成図、
図10(a)は
図8のプリンタにおいてガイド板を操作する操作板と外部ケースとの係合部を矢印A1方向から見た要部構成図、
図10(b)は
図9のプリンタにおいてガイド板を操作する操作板と外部ケースとの係合部を矢印A1方向から見た要部構成図である。
【0043】
本実施の形態においては、ガイド板7aを操作する操作板7bが、上記第1の実施の形態と同様に、開閉カバー部3とガイド板7aとの両方に係合されているが、上記第1の実施の形態の場合よりも、操作板7bの長手方向の寸法が短い。また、操作板7bと外部ケース2との係合部の構成が前記第1の実施の形態と異なっており、係合部(固定部)43Bが操作板7bとは別体に設けられている。
【0044】
係合部43Bは、操作板7bが係合された一方のガイド板7aの外側側面において、開閉カバー部3の閉止時に操作板7bの他端部が接触する位置に設置されている。この係合部43Bは、接触部46と、コイルバネ(弾性変形構造)47と、係合本体部48とを備えている。
【0045】
係合部43Bの接触部46は、操作板7bの他端部側に位置している。接触部46は、コイルバネ47により操作板7b側(閉止時の開閉カバー部3方向)に付勢されているとともに、係合部43Bは、ガイド板7aの移動にあわせて、外部ケース2内において閉止時の開閉カバー部3に対向する面S2に対して交差する方向に移動可能な状態で支持されている。
【0046】
係合部43Bの係合本体部48は、外部ケース2内の面S2側に位置している。この係合本体部48において、外部ケース2内の面S2に対向する面には、
図10に示すように、係合部43Bの厚さ方向(ラベル連続体Pの幅方向)に沿って複数の凹凸が形成されている。一方、プリンタ1の外部ケース2内の面S2において、係合本体部48の凹凸面に対向する位置には、係合部44Bが形成されている。外部ケース2内の係合部44Bには、
図10に示すように、係合部43Bの係合本体部48の複数の凹凸に嵌合されるように、ラベル連続体Pの幅方向に沿って複数の凹凸が形成されている。
【0047】
そして、
図8に示すように、開閉カバー部3を閉じると、操作板7bの他端部が係合部43Bの接触部46に接触し、コイルバネ47を介して係合本体部48の凹凸面を係合部44Bに押し付けるので、
図10(a)に示すように、係合部43Bの係合本体部48と外部ケース2内の係合部44Bとが係合されガイド板7aが固定される。このとき、コイルバネ47により、操作板7bの係合部43Bと外部ケース2内の係合部44Bとの係合状態に過不足が生じないように微調整することができる。一方、
図9に示すように、開閉カバー部3を開けると、操作板7bによる係合部43Bの押さえが外れるので、
図10(b)に示すように、係合部43Bの係合本体部48がコイルバネ47の付勢力により係合部44Bから離間する方向に移動し、ガイド板7aの固定状態が解除される。
【0048】
このように本実施の形態においては、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、
図10(a),(b)に示す矢印A6は、開閉カバー部3の開閉時の係合部43Bの係合本体部48の移動方向を示している。また、ガイド板移動機構部7cのラック部36およびピニオンギア部37の構成や操作板7bによりガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動する方法は前記第1の実施の形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0050】
第2の実施の形態においては、操作板7bとは別体の係合部43Bを外部ケース2内において閉止時の開閉カバー部3に対向する面S2に係合させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、操作板7bとは別体の係合部43Bを第1の実施の形態のように外部ケース2内の側面S1に係合させても良い。