(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率と異なる。
【0022】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態のカテーテル挿入補助具100(医療用長尺体挿入補助具)は、本体部110と、支持部120と、接着層130と、保護フィルム140、150と、シース160と、を有する。
【0023】
本体部110は、弾性体によって形成されている。弾性体は、例えばスポンジであるが、これに限定されず、例えばゴムであってもよい。本体部110には挿通孔111が形成されている。挿通孔111は、本体部110を貫通している。
【0024】
支持部120は、本体部110に設けられ、シース160を支持する。挿通孔111と連通する隙間121が支持部120に形成されている。
【0025】
接着層130は、本体部110において挿通孔111が形成された外面112に設けられている。
【0026】
保護フィルム140は、接着層130の全体を覆うとともに、挿通孔111の開口部を塞ぐ。保護フィルム140は、手で剥がせる程度の接着力で接着層130に接着している。保護フィルム140は、剥がし易いように、本体部110の外周から突出したつまみ141を有する。
【0027】
保護フィルム140は、接着層130の表面に異物が付着して粘着力が低下するのを防ぐ。保護フィルム140は、挿通孔111の開口部を塞ぐことによって、本体部110の内部に異物が侵入するのを防止する。
【0028】
保護フィルム150は、保護フィルム140と反対側で、挿通孔111が形成された外面113の全体を覆うとともに、挿通孔111の開口部を塞ぐ。保護フィルム150は、手で剥がせる程度の接着力で外面113に接着している。保護フィルム150は、剥がし易いように、本体部110の外周から突出したつまみ151を有する。
【0029】
保護フィルム150は、挿通孔111の開口部を塞ぐことによって、本体部110の内部に異物が侵入するのを防止する。
【0030】
シース160は、本体部110の内部に収容されている。シース160は滅菌されている。シース160は、薄膜が芯材166(引掛部)のまわりに巻回されて構成されるロール部161と、ロール部161から引き出された薄膜162と、を有する。
【0031】
薄膜162は、隙間121を通じて挿通孔111内に引き出されている。薄膜162は、挿通孔111を塞ぐように配置されている。薄膜162は、挿通孔111から突出する方向に押圧されると、ロール部161から引き出されつつ袋状に変形する。薄膜162が挿通孔111から突出していない状態では、シース160の全体が本体部110の内部に収まっている。
【0032】
シース160には潤滑剤163が塗布されている。潤滑剤163は、薄膜162の両面に塗布されているが、これに限定されない。潤滑剤163は、薄膜162が挿通孔111から突出して袋状に変形した際にその内側部分となる薄膜162の一方の面だけに塗布されていてもよい。潤滑剤163は、好ましくは多めに塗布される。
【0033】
潤滑剤163を構成する材料は、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプレングリコール、マクロゴール、カルボマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アガロース等である。
【0034】
図2に示すように、ロール部161および芯材166は環状であり、薄膜162はロール部161の内側に設けられている。薄膜162の中央部分に、脆弱部164が形成されている。脆弱部164は、例えばミシン目状の切れ目であるが、これに限定されない。
【0035】
図2に示されているように、支持部120は、ロール部161の周方向に離間して2つ設けられているが、これに限定されず、3つ以上設けられてもよい。また、支持部120は、ロール部161の周方向全体にわたって設けられてもよい。
【0036】
図3に示すように、実施形態のカテーテルセット180(医療用長尺体セット)は、カテーテル挿入補助具100と、尿カテーテル190(医療用長尺体)と、を有する。
【0037】
尿カテーテル190は、中空であり、管形状を有する。尿カテーテル190は可撓性を有する。尿カテーテル190の先端近傍の外周に開口部191が形成されている。尿カテーテル190の基端192にも開口部が形成されている。開口部191は、尿カテーテル190の内部、および基端192に形成された開口部と連通している。
【0038】
次に、カテーテル挿入補助具100および尿カテーテル190の使用方法について述べる。
【0039】
尿カテーテル190は、カテーテル挿入補助具100の挿通孔111に挿通して用いられる。使用者は、保護フィルム140、150を剥がし、外面113側から挿通孔111に尿カテーテル190を挿入する。
【0040】
図4に示すように、尿カテーテル190が挿通孔111に挿入されるのにともなって、シース160の薄膜162が、ロール部161から引き出され、尿カテーテル190を覆いつつ挿通孔111から突出する。支持部120は、シース160を挿通孔111から抜けないように支持する。
【0041】
使用者は、尿カテーテル190の先端およびその近傍の外周部が僅かに挿通孔111から突出する程度まで尿カテーテル190を挿入したところで、その状態を保持する。このとき、シース160の大部分は本体部110の内部に収まっているため、シース160に不潔なものが接し難い。
【0042】
図5に示すように、使用者は、その状態のままカテーテル挿入補助具100および尿カテーテル190を陰茎Pの外尿道口P1に配置する。尿カテーテル190の先端が挿通孔111から突出しているため、尿カテーテル190を外尿道口P1に位置合わせして入れ易く、手技を円滑に進めることができる。
【0043】
尿道P2において外尿道口P1から数センチメートル内側の領域P3(図中で多数の点を付して示した箇所であり、以下では単に近外部領域P3と称す)は、細菌が高濃度に存在する箇所であるが、シース160が尿カテーテル190の先端を覆っているため、細菌が尿カテーテル190に付着しない。
【0044】
使用者は、接着層130を陰茎Pの先端部に接着し、本体部110を陰茎Pに対して固定する。接着層130は、手で剥がせる程度の接着力で陰茎Pの先端部に接着している。
【0045】
カテーテル挿入補助具100および尿カテーテル190を外尿道口P1に配置した後、使用者は、尿カテーテル190を押し込み、尿道P2の奥側へと尿カテーテル190を進める。
【0046】
図6に示すように、尿カテーテル190が押し込まれるのにともない、シース160の薄膜162は、尿カテーテル190の先端によって押され、尿道P2内へと引き出される。薄膜162は、引き出される前、本体部110内に収まっているため、体外の外部環境に露出することなく滅菌状態を保っている。
【0047】
引き出された薄膜162は、細長い筒状の袋形状を有し、尿カテーテル190の先端および尿カテーテル190の外周を覆う。
【0048】
尿カテーテル190が尿道P2の奥側へと移動するのにともない、袋状の薄膜162は、深さ方向に拡張する。薄膜162が最も引き出された状態となったとき、シース160の先端は、近外部領域P3よりも尿道P2の奥側に位置する。
【0049】
シース160の先端には脆弱部164が形成されている。このため、シース160の先端は、その先端よりも基端側の部分に比べて破れ易い。従って、薄膜162が最も引き出された状態となったところで尿カテーテル190がさらに押し込まれると、シース160の先端が破れ、尿カテーテル190はシース160を突き抜ける。このとき、シース160の基端側が支持部120に引っ掛って保持されているため、シース160は本体部110から外れることなく近外部領域P3に留まる。
【0050】
シース160の先端の脆弱部164は、切れ目に限定されず、例えば、シース160の先端を水溶性の材料によって形成することによって構成してもよい。この場合、例えば尿カテーテル190の先端側の開口部191からシース160の先端に水を供給することによって、シース160の先端が破り易くなる。また、脆弱部164は、例えば、シース160の膜厚を薄くする、糊によって蓋をする、もしくはピンホールを開ける、またはこれらの組み合わせによって構成されてもよい。
【0051】
図7に示すように、シース160の基端の芯材166は、隙間121の幅L1よりも大きい幅L2を有し、隙間121に引っ掛る。これによってシース160は支持部120に保持される。引掛部としての芯材166は、隙間121に引っ掛ればよく、芯材166の断面形状は、図示したような真円形状に限定されない。芯材166の断面形状は、楕円形状であってもよいし、多角形形状であってもよい。
【0052】
図8に示すように、シース160の先端を突き抜けた尿カテーテル190は、さらに押し込まれ、尿道P2の奥に位置する膀胱へと移動する。
【0053】
尿カテーテル190が近外部領域P3を通過する際、尿カテーテル190は、シース160によって覆われた状態であるため、近外部領域P3に高濃度に存在する細菌が尿カテーテル190に付着しない。
【0054】
一方、シース160の内側には潤滑剤163が塗布されているため、尿カテーテル190がシース160によって覆われつつ近外部領域P3を通過したとき、潤滑剤163が尿カテーテル190に付着する。潤滑剤163は、シース160の内周全体に塗布されているため、尿カテーテル190の外周の周方向全体で潤滑剤163が付着する。潤滑剤163が尿カテーテル190の表面に塗布されることによって、尿カテーテル190は尿道P2内を円滑に移動できる。
【0055】
尿カテーテル190の先端の開口部191が膀胱内に達すると、使用者は尿カテーテル190の挿入を止める。膀胱に溜まった尿は、開口部191を通じて尿カテーテル190内に流れ込み、尿カテーテル190の基端側から体外に排出される。
【0057】
本実施形態のカテーテル挿入補助具100は、近外部領域P3を通過する尿カテーテル190を、シース160によって覆う。このため、近外部領域P3に高濃度に存在する細菌が、尿カテーテル190に付着しない。従って、尿カテーテル190とともに細菌が尿道P2の奥側へと移動せず、尿カテーテル190の挿入にともなう感染症のリスクを低減できる。
【0058】
また、カテーテル挿入補助具100は、シース160の少なくとも一部を本体部110に収納した状態で使用可能であるため、シース160が体外で不潔なものと接触し難く、シース160の衛生状態が損なわれ難い。
【0059】
カテーテル挿入補助具100においては、未使用時、シース160は、薄膜162がロール部161に巻き取られて小さくなった状態で本体部110に収まっているため、カテーテル挿入補助具100をコンパクトにできる。
【0060】
尿道P2への尿カテーテル190の挿入とともに、シース160の内側の潤滑剤163が尿カテーテル190の表面に広がりつつ付着する。このため、尿カテーテル190を尿道P2内に挿入する前に別途に潤滑剤163を塗布しておく手間が省けて作業負担が軽減され、また、潤滑剤163を均一に尿カテーテル190に塗布できる。
【0061】
シース160においては、芯材166が、隙間121の幅L1よりも大きい幅L2を有し、隙間121に引っ掛る。これによって、シース160は支持部120に強く保持されるため、シース160に対する抜け防止効果が高い。
【0062】
尿カテーテル190が尿道P2内へと押し込まれた際、本体部110が陰茎Pの先端部に押し付けられるが、本体部110は、弾性体によって形成されているため、変形して体表面への押圧を緩和する。従って患者への負担が軽減される。
【0063】
本体部110は、接着層130によって陰茎Pの先端部に接着して固定され、所定の位置からずれ難い。このため、本体部110の位置を直す、または本体部110を所定の位置に手で保持する煩わしさが軽減され、使用者は手技を円滑に進められる。
【0064】
<第2実施形態>
図9に示すように、第2実施形態のカテーテル挿入補助具200は、留め具270および装着部275を有する点で第1実施形態のカテーテル挿入補助具100と異なる。
【0065】
本実施形態のカテーテルセット280は、第1実施形態の尿カテーテル190と異なる構成を有する尿カテーテル290と、カテーテル挿入補助具200と、を含む。
【0066】
留め具270は、互いに略平行に延びた延長部271と、延長部271の基端側と一体的に形成された基部272と、を有する。留め具270は、延長部271の先端に互いに対向する一対の爪273を有する。留め具270は、爪273と基部272との中間に互いに対向する一対の爪274を有する。
【0067】
装着部275は、本体部110の外面113から突出するとともに、外面113と略平行な向きに曲がっている。装着部275と外面113との間の隙間に留め具270は着脱可能である。
【0068】
カテーテル挿入補助具200は、留め具270および装着部275以外の構成については第1実施形態のカテーテル挿入補助具100と同様であるため、図中で同じ符号を付し、ここでの重複する説明を省略する。
【0069】
尿カテーテル290は、基端側の外周に溝291が形成される点で第1実施形態と異なる。他の構成については、尿カテーテル290は、第1実施形態の尿カテーテル190と同様である。共通する構成には図中で同じ符号を付し、ここでの重複する説明を省略する。
【0070】
カテーテル挿入補助具200および尿カテーテル290は、第1実施形態と同様の使用方法で用いられるが、尿カテーテル290が留め具270によって留められる点で第1実施形態と異なる。
【0071】
図10に示すように、尿カテーテル290は、先端が膀胱に達するまで尿道P2に挿入された状態で、留め具270によって留められる。
【0072】
使用者は、留め具270を装着部275から外した状態で、尿カテーテル290を挿通孔111に通す。使用者は、尿カテーテル290を膀胱まで移動させた後、装着部275と外面113との間の隙間に留め具270を差し込み、尿カテーテル290を本体部110に対して移動しないように固定する。
【0073】
留め具270は、爪273が装着部275に引っ掛ることによって、装着部275と外面113との間から抜けるのを防止される。尿カテーテル290は、爪274が尿カテーテル290の溝291に嵌合することによって留められる。
【0074】
本実施形態と異なり、カテーテル挿入補助具200を用いることなく尿カテーテル290がそのまま尿道P2に留置された場合、尿カテーテル290が留置位置から尿道P2の奥側へと位置ずれすると、近外部領域P3で尿カテーテル290に付着した細菌が、尿カテーテル290の位置ずれとともに尿道P2の奥側へと移動する。
【0075】
一方、本実施形態においては、留め具270によって尿カテーテル290が固定されるため、尿カテーテル290の位置ずれによって細菌が尿道P2の奥側へと移動するのを防止できる。
【0076】
また、本実施形態のカテーテル挿入補助具200は、第1実施形態のカテーテル挿入補助具100と共通する構成を有するため、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0077】
本実施形態において、尿カテーテル290の代わりに、溝291のない第1実施形態の尿カテーテル190を用いてもよい。この場合、留め具270は、爪274によって尿カテーテル190の外周を挟むように押圧して固定する。
【0078】
<第3実施形態>
図11に示すように、第3実施形態のカテーテル挿入補助具300では、本体部310、支持部320、およびシース360の構成が、第1実施形態の本体部110、支持部120、およびシース160と異なる。接着層130および保護フィルム140、150は、第1実施形態と同様であるため、これらについては図中において同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0079】
本実施形態のカテーテルセット380は、カテーテル挿入補助具300と、尿カテーテル190と、を有する。尿カテーテル190は第1実施形態と同様であるため、これについては図中において同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
本体部310は、第1実施形態と同様に弾性体によって形成されている。本体部310には、尿カテーテル190が挿通される挿通孔311が形成されている。
【0081】
シース360は、筒体362と、筒体362の基端に設けられたフランジ361と、を有する。筒体362の内周には、第1実施形態の潤滑剤163が塗布されている。筒体362の外周には第1実施形態の潤滑剤163が塗布されている。筒体362は、挿通孔311に配置されている。
【0082】
支持部320は、フランジ361が引っ掛かる引掛部321を有する。シース360の全体は、フランジ361が引掛部321に引っ掛ることによって、本体部310の内部に収まっている。
【0083】
図12に示すように、尿カテーテル190が挿通孔311を通じて筒体362に挿入されると、シース360には、尿カテーテル190との間の摩擦力が作用し、その結果、シース360は尿カテーテル190の挿入方向に押される。シース360は、柔軟性を有する材料によって形成されているため、尿カテーテル190によってそのように押されると、フランジ361は引掛部321を乗り越えるように変形する。
【0084】
図13に示すように、フランジ361が引掛部321を乗り越えると、シース360は、尿カテーテル190とともに移動する。使用者は、シース360の先端が挿通孔311の下側の開口部から僅かに突出するまで、尿カテーテル190およびシース360を移動させたところで、その状態を保持する。このとき、シース360の大部分は本体部310の内部に収まっているため、シース360に不潔なものが接し難い。
【0085】
図14に示すように、使用者は、カテーテル挿入補助具300および尿カテーテル190を外尿道口P1に配置し、先述の状態から尿カテーテル190をさらに押し込む。シース360は、フランジ361が支持部320の下部322に当接するまで移動し、挿通孔311から尿道P2へと突出する。このとき、シース360の先端は近外部領域P3よりも尿道P2の奥側に位置する。
【0086】
図15に示すように、フランジ361が支持部320の下部322に当接した後、さらに尿カテーテル190が押し込まれると、シース360は支持部320に引っ掛って近外部領域P3に留まり、尿カテーテル190だけが尿道P2の奥側へと移動する。
【0087】
尿カテーテル190が近外部領域P3を通過する際、尿カテーテル190は、シース360によって覆われた状態であるため、近外部領域P3に高濃度に存在する細菌が尿カテーテル190に付着しない。
【0088】
一方、シース360の内側には第1実施形態の潤滑剤163が塗布されているため、尿カテーテル190がシース360によって覆われつつ近外部領域P3を通過するとき、潤滑剤163が尿カテーテル190の表面に付着する。
【0089】
尿カテーテル190の先端の開口部191が膀胱内に達すると、使用者は尿カテーテル190の挿入を止める。膀胱に溜まった尿は、開口部191を通じて尿カテーテル190内に流れ込み、尿カテーテル190の基端側から体外に排出される。
【0090】
本実施形態のカテーテル挿入補助具300の本体部310、支持部320、およびシース360は、第1実施形態の本体部110、支持部120、およびシース160と異なる形状を有するが、それぞれ対応する構成と同様の機能を有する。従って、本実施形態のカテーテル挿入補助具300によっても、第1実施形態のカテーテル挿入補助具100と同様の作用効果を発揮できる。
【0091】
<第4実施形態>
図16に示すように、第4実施形態のカテーテル挿入補助具400は、第1実施形態の接着層130と異なる配置の接着層430を有する。
【0092】
カテーテル挿入補助具400では、接着層430は、第1実施形態の接着層130と異なり、外面112ではなく、その反対側の外面113に配置される。その他の構成については、カテーテル挿入補助具400は、第1実施形態のカテーテル挿入補助具100と同様であるため、図中で同じ符号を付し、ここでの重複する説明を省略する。
【0093】
本実施形態のカテーテルセット480は、第1実施形態の尿カテーテル190と異なる構成を有する尿カテーテル490と、カテーテル挿入補助具400と、を含む。
【0094】
尿カテーテル490は、先端に開口部493が形成されている点で、第1実施形態の尿カテーテル190と異なる。開口部493は、尿カテーテル490の軸方向に開いている。開口部493は、尿カテーテル490の内部と連通している。開口部493以外の構成については、尿カテーテル490は第1実施形態の尿カテーテル190と同様であるため、図中において同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0095】
次に、カテーテル挿入補助具400および尿カテーテル490の使用方法について述べる。
【0096】
図17に示すように、使用者は、ワイヤWを用いて、尿カテーテル490とカテーテル挿入補助具400とをセットする。使用者は、カテーテル挿入補助具400の外面112側を尿カテーテル490の先端に向け、尿カテーテル490の先端と挿通孔111との位置を合わせる。また、使用者は、外面113側で、ワイヤWの先端と挿通孔111との位置を合わせる。
【0097】
その後、
図18に示すように、使用者は、ワイヤWをシース160に向かって押し込み、薄膜162によって形成されるシース160の先端を、開口部493から尿カテーテル490の内部に入れ込む。尿カテーテル490の内部に入れ込まれた薄膜162は、袋形状を有する。
【0098】
図19に示すように、使用者は、薄膜162が開口部493から尿カテーテル490の内部に最も引き出された状態となるまで、ワイヤWを差し込む。このとき、シース160は、支持部120に引っ掛って保持されているため、本体部110から外れない。
【0099】
その後、
図20に示すように、使用者はワイヤWを抜いて尿カテーテル490を挿通孔111に向かって押し込む。
【0100】
図21に示すように、尿カテーテル490が挿通孔111に挿入され、その先端でシース160が押されると、これにともない、尿カテーテル490の内部に入れ込まれていた薄膜162が押し戻される。そして、薄膜162は、開口部493から引き出されて裏返されつつ、尿カテーテル490を覆う。
【0101】
使用者は、尿カテーテル490の先端およびその近傍の外周部が、挿通孔111の下側の開口部から僅かに突出するまで尿カテーテル490を挿入したところで、その状態を保持する。このとき、シース160の大部分は本体部110および尿カテーテル490の内部に収まっているため、シース160に不潔なものが接し難い。
【0102】
図22に示すように、使用者は、その状態のまま、カテーテル挿入補助具400および尿カテーテル490を外尿道口P1に配置する。使用者は、接着層430を陰茎Pの先端部に接着し、本体部110を陰茎Pに対して固定する。その後、使用者は、尿カテーテル490をさらに押し込み、尿カテーテル490を尿道P2の奥側へと進める。
【0103】
図23に示すように、尿カテーテル490は、シース160によって覆われつつ、尿道P2の奥側へと移動する。尿カテーテル490の挿入とともに押し出されるシース160の突出先165は、開口部493から引き出されて裏返された薄膜162によって形成される。薄膜162は、本体部110および尿カテーテル490の内部に収まっていたため、滅菌状態のまま開口部493から引き出される。
【0104】
図24に示すように、シース160は、薄膜162が尿カテーテル490の内部から外側に全て引き出されるまで、尿カテーテル490を覆いつつ挿通孔111から突出する。このとき、シース160の先端は、近外部領域P3よりも尿道P2の奥側に位置する。
【0105】
この状態から尿カテーテル490がさらに押し込まれると、脆弱部164によってシース160の先端が破れ、尿カテーテル490がシース160を突き抜ける。シース160の基端側が支持部120に引っ掛って保持されているため、シース160は本体部110から外れず近外部領域P3に留まる。
【0106】
図25に示すように、シース160を突き抜けた尿カテーテル490は、さらに押し込まれ、尿道P2の奥に位置する膀胱へと移動する。
【0107】
尿カテーテル490が近外部領域P3を通過する際、尿カテーテル490は、シース160によって覆われた状態であるため、近外部領域P3に高濃度に存在する細菌が尿カテーテル490に付着しない。
【0108】
一方、シース160の内側には第1実施形態の潤滑剤163が塗布されているため、尿カテーテル490が近外部領域P3を通過しつつシース160によって覆われたとき、潤滑剤163が尿カテーテル490の表面に付着する。
【0109】
尿カテーテル490の先端の開口部493および開口部191が膀胱内に達すると、使用者は尿カテーテル490の挿入を止める。膀胱に溜まった尿は、開口部493および開口部191を通じて尿カテーテル490内に流れ込み、尿カテーテル490の基端側から体外に排出される。
【0111】
カテーテル挿入補助具400では、シース160の突出先165は、突出方向と反対方向に押し込まれて不潔なものと接触していなかった薄膜162が、尿カテーテル490の挿入とともに順次に裏返されて構成される。その結果、突出先165は、常に細菌の付着が抑制された清潔な状態に保たれるため、カテーテル挿入補助具400は、尿道P2の奥側に細菌が移動するのをさらに効果的に防止できる。
【0112】
また、本実施形態のカテーテル挿入補助具400は、第1実施形態のカテーテル挿入補助具100と共通する構成を有するため、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0113】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
【0114】
例えば、支持部は上記実施形態に限定されず、支持部120の代わりに
図26〜
図30に示すような支持部120A〜120Eを用いてもよい。
【0115】
図26に示すような、中空な略台形の断面形状を有する支持部120Aを本発明は含む。
【0116】
また、
図27〜
図30に示すような、中空な略C字状の断面形状を有する支持部120B、120C、120D、120Eを本発明は含む。
【0117】
図29に示す支持部120Dでは、隙間121Dを形成する一対の縁部122Dが、湾曲した形状を有する。このため、縁部122Dが角張っている場合に比べ、薄膜162が縁部122Dに引っ掛り難く円滑に引き出される。
【0118】
図30に示す支持部120Eでは、一対の縁部122Eが、湾曲した形状を有するだけでなく、隙間121Eに対して薄膜162が引き出される側で互いに離間するように広がっている。このため、縁部122Eでは、隙間121Eを閉じる方向の力Fが、例えば本体部110から加わり、芯材166が隙間121Eからより抜け難くなる。
【0119】
また、本発明は、上記実施形態のように尿道を通じた処置で用いられるものに限定されない。本発明は、腹部に形成した開口部を利用する膀胱ろうカテーテル、腎盂カテーテルを挿入する処置に用いられるものであってもよい。この場合、医療用長尺体挿入補助具は、腹膜に形成された開口部に配置され、医療用長尺体として膀胱ろうカテーテル、腎盂カテーテルが挿入される。また、腹水を含む各種ドレナージチューブ等への利用も可能である。
【0120】
また、上記実施形態では、医療用長尺体挿入補助具は男性に対して用いられているが、これに限定されず、女性に対して用いられてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、医療用長尺体挿入補助具および医療用長尺体は、医療用長尺体の先端が医療用長尺体挿入補助具の挿通孔に挿入され、これらが一体となった状態で外尿道口に配置されるが、これに限定されない。例えば、医療用長尺体挿入補助具が先に外尿道口に配置され、その後、医療用長尺体が医療用長尺体挿入補助具の挿通孔に挿入されてもよい。