【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例に係るフレキシブルスイッチについて図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本実施例に係るフレキシブルスイッチ1は、
図1乃至4に示すように、長尺状のスイッチ構造体2(詳細は後述する)を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体3と、前記スイッチ構造体2を内装した長尺状の絶縁筒体3を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体3を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態(例えば直方体形態)とするとともに、柔軟性を有し、各端面4a、4bを絶縁筒体3外周より厚さ方向外側に突出させるとともに、後述する外被材5に設けた孔6を貫いて外被材5の表裏両面の外側に表出させた複数(本実施例では7個)列設配置の絶縁円環状体4と、前記複数列設配置の絶縁円環状体4及びこれら絶縁円環状体4に巻回された絶縁筒体3の外周全体を覆う例えば透明合成樹脂製で柔軟性を有し絶縁材からなる外被材5と、前記外被材5の外側に設けた前記第1電極系、第2電極系に各々接続した一対の電極端子6a、6bと、を有している。
【0018】
すなわち、前記スイッチ構造体2を内装する絶縁筒体3の外径t1と、絶縁円環状体4の長さ方向の寸法t2との関係は、
図4に示すように、t1<t2となるように設定している。
【0019】
そして、前記一対の電極端子6a、6bは、例えば、接続ケーブル7を介して例えばナースセンター等に配置した発音装置8に接続するように構成している。
【0020】
前記外被材5に設けた孔6は、本実施例では
図3に示すように各絶縁円環状体4に対応する配置で7個設けている。
【0021】
なお、本実施例では、前記外被材5として透明合成樹脂製のものを採用したが、これに限定されるものではなく不透明合成樹脂製等としてもよいことはもちろんである。
【0022】
次に、前記スイッチ構造体2及び絶縁筒体3の構成例について、
図5、6を参照して詳述する。
【0023】
前記スイッチ構造体2は、
図5に斜視状態で示し、
図5に展開状態で示すように、例えば銅線のような導電体からなり、第1電極系を構成する2本の並列配置の糸材11a、11bからなる糸材11と、同じく銅線のような導電体からなり、第2電極系を構成する2本の並列配置の糸材11a、11bからなる糸材11と、木綿糸、麻糸等のような天然繊維からなる絶縁体の糸材12とが長さ方向、周方向各々に交互に配置される組紐状で、かつ、円筒状の織り上げ構造を有している。
【0024】
すなわち、前記スイッチ構造体2は、
図5に示す形状から明らかなように、前記第1電極系の糸材11、前記第2電極系の糸材11間に絶縁体の糸材12が配置され、かつ、前記第1電極系の2本の糸材11a、11b、前記第2電極系の2本の糸材11a、11bの外面に、各々絶縁体の糸材12により覆われる部分と覆われない部分とが交互に形成されるように組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げた構造を有している。
【0025】
そして、スイッチ構造体2は、2本の並列配置の糸材11a、11bからなる導電体系である糸材11の領域全体を、定常状態では相互に接触しないような第1電極系と、第2電極系とに分割した構成としている。
【0026】
更に、本実施例では、前記スイッチ構造体2を前記絶縁筒体3により内装するように構成し、また、前記スイッチ構造体2の端部に前記第1電極系、第2電極系に各々接続した一対の電極端子6a、6bを設けている。
【0027】
このようなスイッチ構造体2は、例えば公知の製紐機を使用して導電体の各糸材11と、絶縁体の糸材12とを組紐状に織り上げることで形成している。
【0028】
なお、
図5、
図6においては、2本の並列配置の糸材11a、11bからなる糸材11の部分を、導電体系を示す黒塗りで表し、絶縁体の糸材12の部分を、絶縁体系を示す紙面の色(白色)で表している。
【0029】
そして、前記絶縁筒体3によって前記スイッチ構造体2を内装するように構成している。
【0030】
このような構成からなるスイッチ構造体2及び絶縁筒体3によれば、前記絶縁筒体3の外側から例えば握り力が作用すると、前記絶縁筒体3とともにスイッチ構造体2も変形し、これにより、第1電極系の糸材11と、第2電極系の糸材11とが握り力が作用した領域に対応する箇所で部分的に接触し、スイッチオン状態に転じる。
【0031】
なお、前記スイッチ構造体2としては、
図5、
図6に示す構造のものに限定されものではないことは言うまでもない。
【0032】
次に、上述した構成からなる本実施例に係るフレキシブルスイッチ1のスイッチ動作について、
図7を参照して説明する。
【0033】
例えば、入院患者が、随時病室のベッド脇にあるフレキシブルスイッチ1を片手で握り、前記外被材5を経て絶縁筒体3内のスイッチ構造体2に対して前記絶縁円環状体4の径方向の握り力(一方向性)を加えると、前記絶縁筒体3とともにスイッチ構造体2も
図7に示すように変形し、これにより、スイッチ構造体2における前記第1電極系の糸材11、第2電極系の糸材11間における絶縁体の糸材12により覆われない部分同士が部分的に接触し、この結果、スイッチ構造体2は定常時のスイッチオフ状態からスイッチオン状態に転じる。
【0034】
このときのスイッチオンの信号は、前記一対の電極端子6a、6b、接続ケーブル7を介して例えばナースセンター等に配置した発音装置8に伝送され、この発音装置8からブザー音又はチャイム音等が発音され、ナースを呼び出すことができる。
【0035】
一方、
図8に示すように、前記フレキシブルスイッチ1が例えば病室のベッド脇等における平坦部分に平らに載置されている状態で、このフレキシブルスイッチ1の情報から何等かの物体Mが落下し、フレキシブルスイッチ1に衝撃力が作用したような場合においては、この衝撃力は前記フレキシブルスイッチ1に設けた絶縁円環状体4の端面4aに作用することから、絶縁円環状体4の柔軟性により吸収される。
【0036】
これにより、前記スイッチ構造体2は、握り力を加えた場合の変形を生じることがなく、定常時のスイッチオフ状態を維持する。
【0037】
すなわち、物体Mがフレキシブルスイッチ1上に落下した場合でも、スイッチオン状態に転じることはなく、これにより、従来例のような発音装置8からの誤発報が生じることを防止できる。
【0038】
以上説明したように、本実施例のフレキシブルスイッチ1によれば、入院患者等が一方向性をもって握り力を加えるだけで、簡略容易にスイッチオン状態とすることができ、また、何等かの物体Mが衝突したような場合でもスイッチオン状態となることはなく、誤発報を確実に防止することができるという顕著な効果を奏する。