特許第6386869号(P6386869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386869
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】フレキシブルスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/18 20060101AFI20180827BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01H13/18 Z
   A61G12/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-212604(P2014-212604)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-81746(P2016-81746A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390024718
【氏名又は名称】株式会社東京センサ
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】田中 清之
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−004457(JP,A)
【文献】 特開2003−135315(JP,A)
【文献】 特開2013−218999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 − 13/88
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極系を構成する導電体の糸材と、第2電極系を構成する導電体の糸材と、絶縁体の糸材とを、組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げ、外力の作用時に第1電極系の導電体の糸材と、第2電極系の導電体の糸材とを部分的に接触させてスイッチオン状態となり、外力の不作用時にスイッチオフ状態となる長尺状のスイッチ構造体と、
前記スイッチ構造体を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体と、
前記スイッチ構造体を内装した長尺状の絶縁筒体を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態とするとともに、柔軟性を有し、各端面を絶縁筒体外周より厚さ方向外側に突出させた複数列設配置の絶縁円環状体と、
前記複数列設配置の絶縁円環状体及びこれら絶縁円環状体に巻回された絶縁筒体の外周全体を覆う柔軟性を有し絶縁材からなる外被材と、
を有し、
前記外被材を経て絶縁筒体内のスイッチ構造体に対して前記絶縁円環状体の径方向の握り力が作用するときの前記絶縁筒体内におけるスイッチ構造体の変形により、スイッチオン動作をさせるように構成したことを特徴とするフレキシブルスイッチ。
【請求項2】
第1電極系を構成する導電体の糸材と、第2電極系を構成する導電体の糸材と、絶縁体の糸材とを、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間に前記絶縁体の糸材が配置され、かつ、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材の各糸材の外面に各々絶縁体の糸材により覆われる部分と覆われない部分とが交互に形成されるように組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げた長尺状のスイッチ構造体と、
前記スイッチ構造体を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体と、
前記スイッチ構造体を内装した長尺状の絶縁筒体を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態とするとともに、柔軟性を有し、各端面を絶縁筒体外周より厚さ方向外側に突出させた複数列設配置の絶縁円環状体と、
前記複数列設配置の絶縁円環状体及びこれら絶縁円環状体に巻回された絶縁筒体の外周全体を覆う柔軟性を有し絶縁材からなる外被材と、
を有し、
前記外被材を経て絶縁筒体内のスイッチ構造体に対して前記絶縁円環状体の径方向の握り力が作用するときの前記絶縁筒体内におけるスイッチ構造体の変形により、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間における絶縁体の糸材により覆われない部分同士の接触によりスイッチオン動作をさせるように構成したことを特徴とするフレキシブルスイッチ。
【請求項3】
第1電極系を構成する導電体の糸材と、第2電極系を構成する導電体の糸材と、絶縁体の糸材とを、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間に前記絶縁体の糸材が配置され、かつ、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材の各糸材の外面に各々絶縁体の糸材により覆われる部分と覆われない部分とが交互に形成されるように組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げた長尺状のスイッチ構造体と、
前記スイッチ構造体を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体と、
前記スイッチ構造体を内装した長尺状の絶縁筒体を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態とするとともに、柔軟性を有し、各端面を絶縁筒体外周より厚さ方向外側に突出させた複数列設配置の絶縁円環状体と、
前記複数列設配置の絶縁円環状体及びこれら絶縁円環状体に巻回された絶縁筒体の外周全体を覆う柔軟性を有し絶縁材からなる外被材と、
前記第1電極系、第2電極系に各々接続した一対の電極端子と、
を有し、
前記外被材を経て絶縁筒体内のスイッチ構造体に対して前記絶縁円環状体の径方向の握り力が作用するときの前記絶縁筒体内におけるスイッチ構造体の変形により、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間における絶縁体の糸材により覆われない部分同士の接触によりスイッチオン動作をさせるように構成したことを特徴とするフレキシブルスイッチ。
【請求項4】
前記絶縁円環状体の各端面は、前記外被材に設けた絶縁円環状体に対応する個数の孔を貫いて外被材の表裏両面の外側に表出させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフレキシブルスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルスイッチに関し、例えば手指の力が衰えた入院患者等の場合においても、一方向の握り操作力だけで簡略容易にスイッチオン状態とすることができ、また、誤発報が生じ難く、例えば病院等の医療機関におけるナースコール用のスイッチとして好適なフレキシブルスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関においては、入院患者が随時ナースコール用のスイッチを指等で押し、ナースセンター等に配置した発音装置を動作させてブザー音やチャイム音等を鳴らすことで、ナースを呼び出すことが日常時に行われている。
【0003】
この種のスイッチに関連する先行技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、手すり等に取り付けるための手すり取り付け部に帯状のスイッチ部を配置し、このスイッチ部を指で押すことにより、スイッチオン状態として呼び出し音を発音するように構成した車椅子トイレ用押ボタンスイッチが知られている。
【0004】
しかし、押ボタンスイッチ構造の場合、例えば手指の力が衰えた入院患者の場合スイッチ部を指で押してスイッチオン状態とすることは容易ではない。
【0005】
また、特許文献2には、弾性絶縁体と、この弾性絶縁体を挟んで対向配置した一対のスイッチ体とを有するスイッチ構造とし、弾性絶縁体、一対のスイッチ体を曲げることで、一対のスイッチ体に設けた接点部を接触させてスイッチオン状態とする構成とした曲がりスイッチが提案されている。
【0006】
この曲がりスイッチの場合、何等かの物体が衝突したような場合でもスイッチオン状態となってしまい誤発報が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−135315号公報
【特許文献2】実開昭62−152328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、例えば手指の力が衰えた入院患者等の場合においても、一方向の握り操作力だけで簡略容易にスイッチオン状態とすることができるとともに、何等かの物体が衝突したような場合でも誤発報が生じ難いようなフレキシブルスイッチが従来存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るフレキシブルスイッチは、第1電極系を構成する導電体の糸材と、第2電極系を構成する導電体の糸材と、絶縁体の糸材とを、組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げ、外力の作用時に第1電極系の導電体の糸材と、第2電極系の導電体の糸材とを部分的に接触させてスイッチオン状態となり、外力の不作用時にスイッチオフ状態となる長尺状のスイッチ構造体と、前記スイッチ構造体を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体と、前記スイッチ構造体を内装した長尺状の絶縁筒体を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態とするとともに、柔軟性を有し、各端面を絶縁筒体外周より厚さ方向外側に突出させた複数列設配置の絶縁円環状体と、前記複数列設配置の絶縁円環状体及びこれら絶縁円環状体に巻回された絶縁筒体の外周全体を覆う柔軟性を有し絶縁材からなる外被材と、を有し、前記外被材を経て絶縁筒体内のスイッチ構造体に対して前記絶縁円環状体の径方向の握り力が作用するときの前記絶縁筒体内におけるスイッチ構造体の変形により、スイッチオン動作をさせるように構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、例えば入院患者等が一方向性をもって握り力を加えるだけで、簡略容易にスイッチオン状態とすることができ、また、何等かの物体が落下し、衝突したような場合でもスイッチオン状態となることはなく、誤発報防止機能も発揮することができるフレキシブルスイッチを実現し提供することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、第1電極系を構成する導電体の糸材と、第2電極系を構成する導電体の糸材と、絶縁体の糸材とを、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間に前記絶縁体の糸材が配置され、かつ、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材の各糸材の外面に各々絶縁体の糸材により覆われる部分と覆われない部分とが交互に形成されるように組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げた長尺状のスイッチ構造体と、前記スイッチ構造体を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体と、前記スイッチ構造体を内装した長尺状の絶縁筒体を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態とするとともに、柔軟性を有し、各端面を絶縁筒体外周より厚さ方向外側に突出させた複数列設配置の絶縁円環状体と、前記複数列設配置の絶縁円環状体及びこれら絶縁円環状体に巻回された絶縁筒体の外周全体を覆う柔軟性を有し絶縁材からなる外被材と、を備える構成の基に、請求項1記載の発明と同様な効果を奏するフレキシブルスイッチを実現し提供することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様な効果を奏し、かつ、第1電極系、第2電極系に各々接続した一対の電極端子からスイッチオン信号を取り出すことができるフレキシブルスイッチを実現し提供することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏し、特に絶縁円環状体の各端面は、前記外被材に設けた絶縁円環状体に対応する個数の孔を貫いて外被材の表裏両面の外側に表出させた構成により、絶縁円環状体の柔軟性を利用して物体衝突時の誤発報防止機能を確実に発揮させることができるフレキシブルスイッチを実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の実施例に係るフレキシブルスイッチ及び発音装置を示す概略構成図である。
図2図2は本実施例に係るフレキシブルスイッチの概略正面図である。
図3図3は本実施例に係るフレキシブルスイッチにおける外被材を示す概略平面図である。
図4図4は本実施例に係るフレキシブルスイッチにおける絶縁筒体の外径と、絶縁円環状体の長さ方向の寸法との関係を示す説明図である。
図5図5は本実施例に係るフレキシブルスイッチにおけるスイッチ構造体、絶縁筒体の構成を示す拡大斜視図である。
図6図6は本実施例に係るフレキシブルスイッチにおけるスイッチ構造体の展開図である。
図7図7は本実施例に係るフレキシブルスイッチのスイッチオン動作を示す概略説明図である。
図8図8は本実施例に係るフレキシブルスイッチに対して物体が落下する状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、例えば手指の力が衰えた入院患者等の場合においても、一方向の握り操作力だけで簡略容易にスイッチオン状態とすることができるとともに、何等かの物体が衝突したような場合でも誤発報が生じ難いフレキシブルスイッチを提供するという目的を、第1電極系を構成する導電体の糸材と、第2電極系を構成する導電体の糸材と、絶縁体の糸材とを、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間に前記絶縁体の糸材が配置され、かつ、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材の各糸材の外面に各々絶縁体の糸材により覆われる部分と覆われない部分とが交互に形成されるように組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げた長尺状のスイッチ構造体と、前記スイッチ構造体を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体と、前記スイッチ構造体を内装した長尺状の絶縁筒体を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態とするとともに、柔軟性を有し、各端面を絶縁筒体外周より厚さ方向外側に突出させた複数列設配置の絶縁円環状体と、前記複数列設配置の絶縁円環状体及びこれら絶縁円環状体に巻回された絶縁筒体の外周全体を覆う柔軟性を有し絶縁材からなる外被材と、を有し、前記外被材を経て絶縁筒体内のスイッチ構造体に対して前記絶縁円環状体の径方向の握り力が作用するときの前記絶縁筒体内におけるスイッチ構造体の変形により、前記第1電極系の糸材、第2電極系の糸材間における絶縁体の糸材により覆われない部分同士の接触によりスイッチオン動作をさせる構成により実現した。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例に係るフレキシブルスイッチについて図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本実施例に係るフレキシブルスイッチ1は、図1乃至4に示すように、長尺状のスイッチ構造体2(詳細は後述する)を内装する柔軟性を有する長尺状の絶縁筒体3と、前記スイッチ構造体2を内装した長尺状の絶縁筒体3を曲折状態で外周に巻回し、かつ、絶縁筒体3を含む全体形状を片手で把持可能な立体形態(例えば直方体形態)とするとともに、柔軟性を有し、各端面4a、4bを絶縁筒体3外周より厚さ方向外側に突出させるとともに、後述する外被材5に設けた孔6を貫いて外被材5の表裏両面の外側に表出させた複数(本実施例では7個)列設配置の絶縁円環状体4と、前記複数列設配置の絶縁円環状体4及びこれら絶縁円環状体4に巻回された絶縁筒体3の外周全体を覆う例えば透明合成樹脂製で柔軟性を有し絶縁材からなる外被材5と、前記外被材5の外側に設けた前記第1電極系、第2電極系に各々接続した一対の電極端子6a、6bと、を有している。
【0018】
すなわち、前記スイッチ構造体2を内装する絶縁筒体3の外径t1と、絶縁円環状体4の長さ方向の寸法t2との関係は、図4に示すように、t1<t2となるように設定している。
【0019】
そして、前記一対の電極端子6a、6bは、例えば、接続ケーブル7を介して例えばナースセンター等に配置した発音装置8に接続するように構成している。
【0020】
前記外被材5に設けた孔6は、本実施例では図3に示すように各絶縁円環状体4に対応する配置で7個設けている。
【0021】
なお、本実施例では、前記外被材5として透明合成樹脂製のものを採用したが、これに限定されるものではなく不透明合成樹脂製等としてもよいことはもちろんである。
【0022】
次に、前記スイッチ構造体2及び絶縁筒体3の構成例について、図5、6を参照して詳述する。
【0023】
前記スイッチ構造体2は、図5に斜視状態で示し、図5に展開状態で示すように、例えば銅線のような導電体からなり、第1電極系を構成する2本の並列配置の糸材11a、11bからなる糸材11と、同じく銅線のような導電体からなり、第2電極系を構成する2本の並列配置の糸材11a、11bからなる糸材11と、木綿糸、麻糸等のような天然繊維からなる絶縁体の糸材12とが長さ方向、周方向各々に交互に配置される組紐状で、かつ、円筒状の織り上げ構造を有している。
【0024】
すなわち、前記スイッチ構造体2は、図5に示す形状から明らかなように、前記第1電極系の糸材11、前記第2電極系の糸材11間に絶縁体の糸材12が配置され、かつ、前記第1電極系の2本の糸材11a、11b、前記第2電極系の2本の糸材11a、11bの外面に、各々絶縁体の糸材12により覆われる部分と覆われない部分とが交互に形成されるように組紐状で円筒状を呈する形状に織り上げた構造を有している。
【0025】
そして、スイッチ構造体2は、2本の並列配置の糸材11a、11bからなる導電体系である糸材11の領域全体を、定常状態では相互に接触しないような第1電極系と、第2電極系とに分割した構成としている。
【0026】
更に、本実施例では、前記スイッチ構造体2を前記絶縁筒体3により内装するように構成し、また、前記スイッチ構造体2の端部に前記第1電極系、第2電極系に各々接続した一対の電極端子6a、6bを設けている。
【0027】
このようなスイッチ構造体2は、例えば公知の製紐機を使用して導電体の各糸材11と、絶縁体の糸材12とを組紐状に織り上げることで形成している。
【0028】
なお、図5図6においては、2本の並列配置の糸材11a、11bからなる糸材11の部分を、導電体系を示す黒塗りで表し、絶縁体の糸材12の部分を、絶縁体系を示す紙面の色(白色)で表している。
【0029】
そして、前記絶縁筒体3によって前記スイッチ構造体2を内装するように構成している。
【0030】
このような構成からなるスイッチ構造体2及び絶縁筒体3によれば、前記絶縁筒体3の外側から例えば握り力が作用すると、前記絶縁筒体3とともにスイッチ構造体2も変形し、これにより、第1電極系の糸材11と、第2電極系の糸材11とが握り力が作用した領域に対応する箇所で部分的に接触し、スイッチオン状態に転じる。
【0031】
なお、前記スイッチ構造体2としては、図5図6に示す構造のものに限定されものではないことは言うまでもない。
【0032】
次に、上述した構成からなる本実施例に係るフレキシブルスイッチ1のスイッチ動作について、図7を参照して説明する。
【0033】
例えば、入院患者が、随時病室のベッド脇にあるフレキシブルスイッチ1を片手で握り、前記外被材5を経て絶縁筒体3内のスイッチ構造体2に対して前記絶縁円環状体4の径方向の握り力(一方向性)を加えると、前記絶縁筒体3とともにスイッチ構造体2も図7に示すように変形し、これにより、スイッチ構造体2における前記第1電極系の糸材11、第2電極系の糸材11間における絶縁体の糸材12により覆われない部分同士が部分的に接触し、この結果、スイッチ構造体2は定常時のスイッチオフ状態からスイッチオン状態に転じる。
【0034】
このときのスイッチオンの信号は、前記一対の電極端子6a、6b、接続ケーブル7を介して例えばナースセンター等に配置した発音装置8に伝送され、この発音装置8からブザー音又はチャイム音等が発音され、ナースを呼び出すことができる。
【0035】
一方、図8に示すように、前記フレキシブルスイッチ1が例えば病室のベッド脇等における平坦部分に平らに載置されている状態で、このフレキシブルスイッチ1の情報から何等かの物体Mが落下し、フレキシブルスイッチ1に衝撃力が作用したような場合においては、この衝撃力は前記フレキシブルスイッチ1に設けた絶縁円環状体4の端面4aに作用することから、絶縁円環状体4の柔軟性により吸収される。
【0036】
これにより、前記スイッチ構造体2は、握り力を加えた場合の変形を生じることがなく、定常時のスイッチオフ状態を維持する。
【0037】
すなわち、物体Mがフレキシブルスイッチ1上に落下した場合でも、スイッチオン状態に転じることはなく、これにより、従来例のような発音装置8からの誤発報が生じることを防止できる。
【0038】
以上説明したように、本実施例のフレキシブルスイッチ1によれば、入院患者等が一方向性をもって握り力を加えるだけで、簡略容易にスイッチオン状態とすることができ、また、何等かの物体Mが衝突したような場合でもスイッチオン状態となることはなく、誤発報を確実に防止することができるという顕著な効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のフレキシブルスイッチは、ナースコール用のスイッチとしての用途の他に、例えば車椅子トイレ用スイッチ等、例えば手指の力が衰えている人又は手指を使用できないが握力は残っている人用の操作スイッチとして広範に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 フレキシブルスイッチ
2 スイッチ構造体
3 絶縁筒体
4 絶縁円環状体
4a 端面
4b 端面
5 外被材
5a 孔
6a 電極端子
6b 電極端子
7 接続ケーブル
8 発音装置
11 糸材
11a 糸材
11b 糸材
12 糸材
M 物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8