特許第6386873号(P6386873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6386873マイクロホンホルダ及び前記マイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386873
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】マイクロホンホルダ及び前記マイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウント
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   H04R1/00 328A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-215843(P2014-215843)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-86201(P2016-86201A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】池田 達也
【審査官】 須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−044286(JP,U)
【文献】 特開2013−058885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体外面に段差部の上面と下面とが形成されたマイクロホンを保持するマイクロホンホルダであって、
上下に開口部を有する筒状体に形成されるとともに、前記筒状体の壁部を貫通する複数の貫通路が設けられたホルダ本体と、
前記ホルダ本体の開口部に沿って周方向に移動可能に設けられたスライド部を有し、前記スライド部から延設されたロック板部によって、前記ホルダ本体に形成された貫通路を外側から覆うロックリングと、
前記貫通路の中を移動自在に保持され、前記マイクロホンの段差部の上面側に接触可能な接触子部材とを備え、
前記ロックリングのロック板部には、前記接触子部材を外側から内側に押圧し、移動させる押圧部と、前記接触子部材の一部を収容し、外側に移動させる逃げ穴部とが隣設され、
前記ロックリングのスライド部を所定方向に回すことにより前記ロック板部の押圧部と逃げ穴部のいずれかが、前記貫通路の外側に配置されることを特徴とするマイクロホンホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ本体は、前記マイクロホンの段差部の下面が係止される係止部を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロホンホルダ。
【請求項3】
前記接触子部材は、ボール状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたマイクロホンホルダ。
【請求項4】
前記貫通路は、前記ホルダ本体の内側に向かって下がるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたマイクロホンホルダ。
【請求項5】
前記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたマイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウントであって、
前記マイクロホンホルダと、
前記マイクロホンホルダの周囲を囲むように配置され、外部への取り付け部材が設けられたリング状部材と、
前記マイクロホンホルダと前記リング状部材との間に張架された紐状の弾性部材とを備えることを特徴とするマイクロホンショックマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンホルダ及びそれと共に用いる段差形成部材、並びに前記マイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウントに関し、特にマイクロホンの脱着が容易なマイクロホンホルダ及びそれと共に用いる段差形成部材、並びにマイクロホンを保持する前記マイクロホンホルダの振動を吸収することのできるマイクロホンショックマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロホンを保持しつつ振動を吸収するためのマイクロホンショックマウントは、例えば、図17図18に示すように、大径リング状の外周部材50と、外周部材50のリング内に配置され、マイクロホンを保持するための小径リング状のホルダ55とを備えている。また、外周部材50は螺子部51を備え、マイクロホンスタンドに接続できるようになっている。
【0003】
前記外周部材50とホルダ55との間には、ゴム紐57が張架される。このゴム紐57によって、ホルダ55が外周部材50に対して上下方向に弾力性をもって往復移動可能に保持されている。図示する例では、リング状のホルダ55の中に、水平方向に平行に一対のゴムバンド58(平ゴム)が張架されている。このゴムバンド58の中にマイクロホン筐体(図示せず)が狭持されるとともに、ゴムバンド59がマイクロホン筐体に形成された溝部に嵌まることにより、保持される。尚、このような構成のホルダは、特許文献1に開示されている。
【0004】
また、従来からのマイクロホンを保持する手段の構成は、前記構成の他、図示しないが、マイクロホン筐体に切った螺子孔に螺子留めして固定する構成、クリップでマイクロホン筐体を挟んで固定する構成、四方向から螺子の先端で押して固定する構成などもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−152360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図17図18に示すようなゴムバンド58,59によりマイクロホン筐体を狭持し保持する構成にあっては、マイクロホンの装着時にマイクロホン筐体がゴムバンド58に引っ掛かり、装着しづらいという課題があった。また、ゴムバンド59をマイクロホン筐体に形成された溝部に嵌めなくても、マイクロホンの筐体下部のみを狭持し保持することが可能であるため、ユーザが誤った使い方をしてしまうという課題があった。この誤った使い方はマイクロホンを落下させる危険性がある。
また、マイクロホン筐体に切った螺子孔に螺子止めする構成では、螺子が見え、マイクロホン筐体をクリップで挟む構成では、クリップの把手部分が目立つため、共に外観が悪いという課題があった。
また、四方向から螺子の先を押してマイクロホン筐体を固定する構成では、脱着作業が容易ではなく、また、マイクロホンを中心に配置するのが容易ではないという課題があった。
【0007】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、マイクロホンの脱着が容易かつ確実になり、外観においても優れたマイクロホンホルダ及び前記マイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明に係るマイクロホンホルダは、筐体外面に段差部の上面と下面とが形成されたマイクロホンを保持するマイクロホンホルダであって、上下に開口部を有する筒状体に形成されるとともに、前記筒状体の壁部を貫通する複数の貫通路が設けられたホルダ本体と、前記ホルダ本体の開口部に沿って周方向に移動可能に設けられたスライド部を有し、前記スライド部から延設されたロック板部によって、前記ホルダ本体に形成された貫通路を外側から覆うロックリングと、前記貫通路の中を移動自在に保持され、前記マイクロホンの段差部の上面側に接触可能な接触子部材とを備え、前記ロックリングのロック板部には、前記接触子部材を外側から内側に押圧し、移動させる押圧部と、前記接触子部材の一部を収容し、外側に移動させる逃げ穴部とが隣設され、前記ロックリングのスライド部を所定方向に回すことにより前記ロック板部の押圧部と逃げ穴部のいずれかが、前記貫通路の外側に配置されることに特徴を有する。
尚、前記ホルダ本体は、前記マイクロホンの段差部の下面が係止される係止部を有することが望ましい。
また、前記接触子部材は、ボール状に形成されていることが望ましい。
また、前記貫通路は、前記ホルダ本体の内側に向かって下がるように傾斜していることが望ましい。
【0009】
このような構成のマイクロホンホルダは、マイクロホンの装着時には、マイクロホンホルダにマイクロホンが挿入され、ロックリングがホルダ本体に対し所定方向に回転することで、容易で確実にマイクロホンをロックした状態で保持できる。
一方、マイクロホンの取り外し時には、ロックリングがロック時とは反対方向に回転することでロックが解除され、マイクロホンの取り外しが容易になる。
また、本発明に係る構成によれば、ロック機構をマイクロホンホルダの内部に設けているため、外観に優れたマイクロホンホルダを得ることができる。
【0010】
また、前記課題を解決するために本発明に係るマイクロホンショックマウントは、前記のマイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウントであって、前記マイクロホンホルダと、前記マイクロホンホルダの周囲を囲むように配置され、外部への取り付け部材が設けられたリング状部材と、前記マイクロホンホルダと前記リング状部材との間に張架された紐状の弾性部材とを備えることに特徴を有する。
このような構成によれば、前記のマイクロホンホルダにより容易にマイクロホンの着脱を行うことができ、また、外観の優れたマイクロホンショックマウントを得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マイクロホンの脱着が容易かつ確実になり、外観においても優れたマイクロホンホルダ及び前記マイクロホンホルダを用いたマイクロホンショックマウントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係るマイクロホンショックマウントの平面図である。
図2図2は、図1のマイクロホンショックマウントの側面図である。
図3図3は、図1のマイクロホンショックマウントが有するマイクロホンホルダの斜視図である。
図4図4は、図3のマイクロホンホルダの分解図である。
図5図5は、マイクロホンホルダのロック状態を示す横断面図である。
図6図6は、マイクロホンホルダのロック解除状態を示す横断面図である。
図7図7は、図1のマイクロホンショックマウントにマイクロホンを挿入したロック解除状態を示す縦断面図である。
図8図8は、図1のマイクロホンショックマウントにマイクロホンを挿入したロック状態を示す縦断面図である。
図9図9は、本発明に係るマイクロホンショックマウントの変形例であって、ロック状態を示す縦断面図である。
図10図10は、本発明に係るマイクロホンショックマウントの変形例であって、ロック解除状態を示す縦断面図である。
図11図11は、横断面が矩形のマイクロホンを保持する本発明のマイクロホンホルダのロック状態を示す横断面図である。
図12図12は、横断面が矩形のマイクロホンを保持する本発明のマイクロホンホルダのロック解除状態を示す横断面図である。
図13図13は、本発明のマイクロホンホルダの他の変形例であって、ロック状態を示す横断面図である。
図14図14は、本発明のマイクロホンホルダの他の変形例であって、ロック解除状態を示す横断面図である。
図15図15は、第1のアダプタを装着させたマイクロホンの斜視図である。
図16図16は、第2のアダプタを装着させたマイクロホンの斜視図である。
図17図17は、従来のマイクロホンショックマウントの平面図である。
図18図18は、従来のマイクロホンショックマウントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図8に基づき説明する。図1は本発明に係るマイクロホンショックマウントの平面図であり、図2は側面図である。また、図3は、図1のマイクロホンショックマウントが有するマイクロホンホルダの斜視図であり、図4はその分解図である。また、図5は、図1のマイクロホンショックマウントが有するマイクロホンホルダのロック状態を示す横断面図であり、図6はロック解除状態を示す横断面図である。また、図7は、図1のマイクロホンショックマウントにマイクロホンを挿入したロック解除状態を示す縦断面図であり、図8は、ロック状態を示す縦断面図である。
【0015】
図1図2に示すようにマイクロホンショックマウント1は、大径リング状の外周部材3(リング状部材)と、外周部材3内に配置されるマイクロホンホルダ5とを備える。
リング状の前記外周部材3の外周面には、前記螺子部2(取り付け部材)が連結されて設けられ、マイクロホンショックマウント1は、マイクスタンド(図示せず)に対して螺合により連結される構成となっている。
【0016】
また、外周部材3の外周面には、複数箇所(図では4箇所)にボタン状に突出したフック4が周方向に均等に配置される。このフック4には、丸紐ゴム7(弾性部材)が引っ掛けられるようになっている。
また、マイクロホンホルダ5は筒状に形成されており、その上部外周面には、周方向に沿って複数(図では4つ)の突起部8が均等に配置されている。各突起部8は、上方に突出するように設けられ、その先端部に形成された2つの通し孔8a(図3参照)に丸紐ゴム7が挿通されている。
【0017】
また、前記突起部8と上下対称になるように、マイクロホンホルダ5の下部外周面には、周方向に沿って複数(図では4つ)の突起部9が均等に配置されている。各突起部9は、下方に突出するように設けられ、その先端部に形成された2つの通し孔9a(図3参照)に丸紐ゴム7が挿通されている。
【0018】
前記丸紐ゴム7は、図1図2に示すように、前記外周部材3のフック4と前記マイクロホンホルダ5の突起部8,9との間に張架されている。マイクロホンホルダ5は、リング状の外周部材3の中で、前記丸紐ゴム7によって弾力をもって中空に浮いた状態に保持されている。即ち、マイクロホンホルダ5は、丸紐ゴム7によって、外周部材3に対し上下方向に往復移動可能に保持され、衝撃吸収されるようになされている。
【0019】
続いて、マイクロホンホルダ5の構成について、詳細に説明する。
図3はマイクロホンホルダ5の斜視図、図4はマイクロホンホルダ5の分解図である。図4に示すように、マイクロホンホルダ5は大きく分けて3つの部材により構成される。即ち、マイクロホンホルダ5は、筒状体のホルダ本体10と、ホルダ本体10の上から被せるように装着されるロックリング15と、複数(図では4つ)のボール20(接触子部材)とからなる。ホルダ本体10は上下に開口する筒状体であり、前記突起部8,9が設けられる。また、ホルダ本体10の壁部には、複数の貫通路11が形成され、前記ボール20が貫通路11内に保持される。ロックリング15は、ホルダ本体10に対し周方向に所定の範囲内を回転可能になっている。
【0020】
尚、本実施の形態において、ホルダ本体10は金属材料により形成され、ロックリング15及びボール20は、ある程度の硬さと耐摩擦力とを有する樹脂材料、例えばポリアセタール(POM)樹脂により形成されている。ここでボール20の材料としてPOM樹脂が好ましい理由は、金属と比較してPOM樹脂は軟らかく、重量が軽いためである。また、POM樹脂はマイクロホンを保持するのに適した摩擦力を有している。ボール20を鉄球などの金属球とした場合、マイクロホン30の筐体を傷つける虞があり、また重量が大き過ぎる。また、ボール20をゴムやシリコンで形成した場合には、ロックリング15を回す際、摩擦力が強すぎ、経年劣化により早期に表面が荒れるなどの欠点がある。そのため、本実施例におけるボール20の素材には、POM樹脂またはPOM樹脂と同程度の物性を持つ素材が望ましい。
【0021】
筒状の前記ホルダ本体10には、マイクロホンが挿入される。図4に示すように、ホルダ本体10の下端部は内側に折り曲げられ、フランジ部12(係止部)が形成されている。このフランジ部12は、マイクロホンの筐体に形成された段差部の下面側を係止させるためのものである。また、前記ホルダ本体10の壁部には、前記したように径方向に例えば水平に貫通する複数(図では4つ)の貫通路11が周方向に均等に形成されている。この貫通路11には、ボール20が径方向に移動可能に収容される。また、ホルダ本体10の内周面側には、前記貫通路11に連通する開口11aが設けられている。
尚、前記貫通路11の径はボール20の径よりも大きく、開口11aの径はボール20の径よりも小さく形成されており、ボール20が貫通路11において径方向内側に移動することによって、ボール20の一部が前記開口11aから突出するように構成されている。
【0022】
また、ロックリング15は、周方向に回転自在なリング状スライダ16(スライド部)と、リング状スライダ16から垂下するように延設された複数のロック板部17とを有する。リング状スライダ16は筒状のホルダ本体10の上端部をレールとして、周方向に回転自在になっている。また、ロック板部17はリング状スライダ16の周方向に沿って複数箇所(図では4箇所)に等間隔に設けられる。尚、ロック板部17の上方には、ロックリング15を回す際に掌で掴みやすいように凹状の波が表面に形成されたグリップ部18が設けられている。
【0023】
4枚の前記ロック板部17は、前記ホルダ本体10の外側周面に摺接し、前記ボール保持孔11をそれぞれ覆うように配置される。前記ロック板部17は、前記ボール20の径よりも小径の孔である逃げ穴部17aとその隣に設けられた板状の押圧部17bとを有する。前記ロックリング15を所定の回転範囲でスライドさせ回すことにより、ホルダ本体10の貫通路11の外側に、前記ロック板部17の逃げ穴部17aと押圧部17bのいずれかが配置される。
【0024】
ここで、マイクロホンホルダ5の使用状態について説明する。図5はマイクロホンを保持(固定)している状態を図示している。また、図6はロックを解除している状態を示している。図6の状態(初期状態)において、マイクロホン筐体がホルダ本体11に挿入される。マイクロホン筐体が挿入されると、ロックリング15が所定方向(本実施例においては、時計周り)に回され、図5に示すように貫通路11の外側にロック板部17の押圧部17bが配置される。このとき、押圧部17bはボール20を押圧し、ボール20を径方向内側に移動させる。それによりホルダ本体11の内側開口11aからボール20が突出し、マイクロホン筐体を固定する(ロック状態)。尚、このロック状態となる際、マイクロホン筐体は金属製であり、ロックリング15は樹脂製であるため、ボール20に押されてロックリング15の押圧部17bが外側に撓む。このとき生じる押圧部17bの弾性力と、ボール20が押される力により、適度なフリクションとロック時のクリック感が生じることになる。
【0025】
また、ボール20は球体であり、押圧部17bは弾性を有するため、生産上のばらつきによるサイズ等の誤差を許容し、マイクロホン筐体を確実に保持する。ボール20はマイクロホン30の筐体に対し面では無く点で接触するため、ロック状態におけるがたつきが抑えられる。また、ロック板部17の内側の溝にボール20が嵌まることにより、ボール20はロックリング15に対して閂と同等の効果を持つ。そのため、ボール20はロックリングの不意な回転を防止する役割も担う。
【0026】
一方、ホルダ本体10に対しロックリング15が反対方向に回転(本実施例においては反時計回り)することで、図6に示すように貫通路11の外側にロック板部17の逃げ穴部17aが配置される。このとき、ボール20は径方向外側(逃げ穴部17a側)に移動する。これにより、ボール20がホルダ本体10の内側開口11aから突出しない状態に戻るようになっている(ロック解除状態)。尚、このロック解除の動作において、ボール20はマイクロホン筐体に当接する状態から解放され、ロック板部17の逃げ穴部17aに移動することになる。即ち、マイクロホンホルダ5においてロック解除のための複雑な機構は不要となる。また、ボール20は貫通路11内と逃げ穴部17aにおいて自在に転がる。このボール20の転がりがマイクロホン筐体の着脱時に不要な摩擦力を発生させないため、マイクロホン筐体の着脱を容易にする。
【0027】
このように構成されたマイクロホンショックマウント1にマイクロホンを保持させる場合、図7に示すようにロック解除の状態のマイクロホンホルダ5(ホルダ本体10)に対し、マイクロホン30は上から挿入される。このとき、ホルダ本体10下端のフランジ部12はマイクロホン30の筐体に形成された段差部31の下面を係止する。
次いで、ロックリング15が所定方向に回転することで、図8に示すようにロック板部17の押圧部17bがボール20を押圧する。ボール20は貫通路11内を径方向内側に移動して、開口11aから突出した状態となる。
この状態において、ボール20はマイクロホン30の段差部32の上面側に当接する。ボール20の当接によって、ボール20とフランジ部12との間にマイクロホン筐体の段差部が狭持され(ロックされた状態)、マイクロホン30がマイクロホンホルダに保持される。
【0028】
一方、マイクロホン1の保持は、ロックリング5が反対方向に回転することで解除される。図7に示すように、ロックリング5の回転によって再び貫通路11の外側に逃げ穴部17aを配置される。これによりボール20は逃げ穴部17a側に移動し、ロック状態は解除される。
【0029】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、ロックリング15が所定方向に回転するだけで、マイクロホンホルダ5に装着されたマイクロホン30を容易にロックした状態で保持できる。一方、ロックリング15がロック時とは反対方向に回転するだけでロックは解除される。そのため、マイクロホン30の着脱および固定が容易になる。
また、本発明に係る構成によれば、ロック機構をマイクロホンホルダ5の内部に設けているため、外観に優れたマイクロホンホルダ5及びマイクロホンショックマウント1を提供することができる。
【0030】
尚、前記実施の形態においては、ホルダ本体10に設けた貫通路11は、径方向に水平に設けられたものとしたが、その構成に限定されるものではない。
例えば、図9図10に示すように貫通路11が径方向内側に向かって下方に傾斜するように形成されてもよい。尚、図9図10は、マイクロホンショックマウントの変形例であって、図9はロック状態を示す断面図であり、図10はロック解除状態を示す断面図である。
このように傾斜した貫通路11が形成されることにより、マイクロホンホルダの組立時に、貫通路11からボール20が転げ落ちることがなくなる。そのため、組み立てが容易になり、作業性が向上する。また、貫通路11はマイクロホン30の筐体側に下がって傾斜しているため、ロック時において全てのボール20が確実にマイクロホン30の筐体(段差部32)に当接する。そのため、より確実にマイクロホンを保持および固定することができる。
【0031】
また、前記実施の形態においては、マイクロホン30の筐体30が円筒状(断面正円状)のものを例に説明したが、本発明にあっては、マイクロホンホルダ5が保持可能なマイクロホン30の筐体形状はそれに限定されるものではない。
例えば、図11の断面図(ロック状態)、及び図12の断面図(ロック解除状態)に示すようにマイクロホン30の筐体の断面(段差部の平面形状)が矩形状であっても、マイクロホン30を保持することが可能である。
【0032】
また、前記実施の形態においては、貫通路11に接触子部材として球状のボール20を収容し、ボール20が転がることによってこれを移動させ、ロックとロック解除とを行う構成としたが、接触子部材としては球状のボール20に限定されるものではない。例えば、図13の横断面図(ロック状態)、及び図14の横断面図(ロック解除状態)に示すように内側と外側の球面の曲率が異なる接触子部材21を用いてもよい。
【0033】
また、前記実施の形態においては、筐体に段差部31、32を有するマイクロホン30に対して、段差部31、32にフランジ12とボール20とが係止しロックする構成とした。しかしながら、本発明に係るマイクロホンホルダにあっては、図15(a)に示すように段差部31,32のような凸部を持たないマイクロホン30に対し、これをリング状の第1のアダプタ35(段差形成部材)に挿着し、図15(b)に示すように凸部を形成した上で、保持するようにすることもできる。
【0034】
また、本実施形態において、ホルダ本体10は金属製であるが、ホルダ本体10を構成する素材は金属に限らず、例えば、樹脂材であってもよい。
【0035】
尚、前記アダプタ35は、硬質ゴムや樹脂、金属といった材質からなり、マイクロホン筐体に取り付けられる。段差形成部材であるアダプタは図15(a),(b)に限らず、図16(a),(b)に示すようなリング状の2つのアダプタ36,36(第2のアダプタ)であってもよい。硬質ゴム製の場合は、マイクロホン筐体の外径より若干小さく形成したリング状のものであってもよく、円筒形であってもよい。この場合、ゴムの弾性と摩擦力によって、アダプタ35または36はマイクロホン筐体に確実に固定される。樹脂や金属製の場合は、円筒形状や環状の部材であってもよい。円筒形状のアダプタ35は螺子等によりマイクロホンに直接固定される。また、環状のアダプタ36,36は、例えば、螺子締めや嵌合部を引っ張ることで環状のバンドの径を小さくする締め付け部を有し、マイクロホンの筐体を締め付けるように固定されてもよい。このような締め付け部を有するアダプタ36,36は、例えば、樹脂や金属製の結束バンドと同様に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 マイクロホンショックマウント
2 螺子部(取り付け部材)
3 外周部材(リング状部材)
5 マイクロホンホルダ
7 丸紐ゴム(弾性部材)
10 ホルダ本体
11 貫通路
12 フランジ部(係止部)
15 ロックリング
16 リング状スライダ(スライド部)
17 ロック板部
17a 逃げ穴部
17b 押圧部
20 ボール(接触子部材)
30 マイクロホン
31 段差部
32 段差部
35 第1のアダプタ(段差形成部材)
36 第2のアダプタ(段差形成部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18