【実施例】
【0018】
図1は、本実施例に係る電子ビーム照射装置及び焦点位置計測装置の模式図である。
図2は、焦点位置計測装置の計測部を平面視したときの模式図である。
図3は、焦点位置計測装置の計測部により計測される漏れ電流値の説明図である。
図4は、電子ビームの焦点位置計測方法に関するフローチャートである。
図5は、陰極の交換前後における溶接ビードの形状を比較したグラフである。
図6は、陰極の交換前後における溶接ビードの形状を示す図である。
図7は、交換前の陰極に関し、相対距離によって変化する漏れ電流値を示すグラフである。
図8は、交換後の陰極に関し、相対距離によって変化する漏れ電流値を示すグラフである。
図9は、本実施例の焦点位置計測方法によって焦点位置を調整した、陰極の交換前後における溶接ビードの形状を比較したグラフである。
図10は、本実施例の焦点位置計測方法によって焦点位置を調整した、陰極の交換前後における溶接ビードの形状を示す図である。
【0019】
本実施例の電子ビームの焦点位置計測装置30は、電子銃等の電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置を計測するものである。先ず、焦点位置計測装置30の説明に先立ち、電子ビーム照射装置1について説明する。
【0020】
図1に示すように、電子ビーム照射装置1は、ワークに電子ビームを照射するものであり、例えば、ワークに対して電子ビーム溶接を行う溶接装置である。電子ビーム照射装置1は、チャンバ10と、電子ビーム照射部11と、電子ビーム照射部11を制御する制御部12とを備えている。チャンバ10は、その内部が真空状態となっており、その内部に電子ビーム照射部11が収容されると共に、電子ビームの照射対象となるワークが収容される。
【0021】
電子ビーム照射部11は、陰極21と、第1集束レンズ22と、絞り部23と、第2集束レンズ24とを有しており、これらは筐体25の内部に格納されている。陰極21は、電子を発生させており、陰極21から発生した電子は、図示しない陽極により、第1集束レンズ22側へ向かって放出される。第1集束レンズ22は、電磁コイルを用いて構成され、第1集束レンズ22に通電する電流値に応じて、陰極21から放出された電子を集束させる。絞り部23は、第1集束レンズ22によって集束された電子が通過する。絞り部23を通過した電子は、第2集束レンズ24側へ向かって進む。第2集束レンズ24は、電磁コイルを用いて構成され、第2集束レンズ24に通電する電流値(いわゆる、フォーカス電流値)に応じて、絞り部23からの電子を所定の焦点位置に集束させる。そして、第2集束レンズ24により集束された電子は、筐体25に開口された照射面25aから、電子ビームとして照射される。
【0022】
なお、本実施例では、電子ビーム照射部11は、第1集束レンズ22及び第2集束レンズ24を用いた、2段集束タイプのものを適用したが、この構成に限定されず、例えば、1段集束タイプのものを適用してもよい。
【0023】
制御部12は、電子ビーム照射部11を制御することで、電子ビームの焦点位置を調整可能となっている。具体的に、制御部12は、第1集束レンズ22及び第2集束レンズ24に接続され、第1集束レンズ22に印加する電流を制御すると共に、第2集束レンズ24に印加する電流を制御する。制御部12は、電子ビームの焦点位置を制御する場合、第2集束レンズ24に印加する電流を制御しており、焦点位置を照射面25aから遠ざける場合、印加する電流値を小さくし、一方で、焦点位置を照射面25aに近づける場合、印加する電流値を大きくする。なお、制御部12は、第1集束レンズ22に印加する電流を制御して、電子ビームの焦点位置を制御してもよく、特に限定されない。
【0024】
次に、焦点位置計測装置30について説明する。
図1に示すように、焦点位置計測装置30は、電子ビーム照射装置1の照射面25aから照射された電子ビームの焦点位置を計測している。焦点位置計測装置30は、照射面25aに対向して配置される計測部31と、照射面25aと計測部31との相対距離を調整する距離調整部32と、計測部31を挟んで照射面25aの反対側に設けられる受け部33とを有している。
【0025】
図1に示すように、計測部31は、照射面25aから照射された電子ビームが通過するビーム通過孔51が形成され、ビーム通過孔51を通過する電子ビームの漏れ電流(漏れ電子量)を計測する。ここで、
図2を参照して、計測部31について具体的に説明する。
【0026】
図2に示すように、計測部31は、導電部41と、絶縁部42と、固定部43と、冷却部44と、回路部45と、検出部46とを有している。導電部41は、導電性の高い銅等の材料が用いられ、長方体形状に形成されている。導電部41には、電子ビームが通過するビーム通過孔51が、電子ビームの照射方向に貫通形成されている。ビーム通過孔51の径は、電子ビームのスポット径よりも大きく形成され、また、電子ビームの漏れ電流を計測可能な径となっている。
【0027】
固定部43は、導電部41の両側を挟持して導電部41の位置を固定すると共に、導電部41を支持している。絶縁部42は、導電部41と固定部43との間に設けられ、導電部41から固定部43へ電流が流れることを抑制している。
【0028】
冷却部44は、導電部41の内部に設けられ、冷却水を用いて導電部41を冷却する水冷機構となっている。具体的に、冷却部44は、導電部41の内部に形成され、ビーム通過孔51の周囲に形成される冷却内部通路44aと、冷却内部通路44aの一端に接続される冷却水入口ポート44bと、冷却内部通路44aの他端に接続される冷却水出口ポート44cとを含んで構成されている。冷却水は、冷却水入口ポート44bを介して冷却内部通路44aに流入し、冷却内部通路44aを流通することで、導電部41と熱交換し、導電部41を除熱する。そして、冷却水は、冷却水出口ポート44cを介して冷却内部通路44aから流出する。
【0029】
回路部45は、導電部41と検出部46とを接続する電圧測定回路45aと、導電部41を接地させるアース回路45bとを有している。電圧測定回路45aは、導電部41を流れる漏れ電流を計測するために、検出部46によって電圧を検出する測定回路となっている。アース回路45bは、第1の抵抗52が設けられている。また、電圧測定回路45aとアース回路45bとは、それぞれ第2の抵抗53及びコンデンサ54に接続されている。また、この回路部45において、電圧測定回路45aの一部と、アース回路45bの一部とは、同軸ケーブル55によって構成されている。
【0030】
検出部46は、例えば、オシロスコープを用いて構成され、回路部45の電圧を計測している。そして、検出部46は、回路部45の第1の抵抗52と、計測した電圧との関係から、導電部41における漏れ電流の電流値を検出している。
【0031】
距離調整部32は、図示は省略するが、電子ビーム照射装置1及び計測部31の少なくとも一方を、電子ビームの照射方向に沿って移動させることで、照射面25aと計測部31との間の相対距離(いわゆる、ワークディスタンス)WDを調整している。ここで、相対距離WDは、照射面25aと、照射面25aと対向する計測部31の表面との間の距離である。受け部33は、導電部41のビーム通過孔51を通過した電子ビームを受けており、チャンバ10へ電子ビームが照射されることを抑制する。
【0032】
ここで、
図3を参照し、相対距離WDに応じて変化する漏れ電流について説明する。電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの出力分布は、電子ビームのビームスポットの中心において最も高く、ビームスポットの中心から離れるにつれて低くなる。ここで、計測部31が電子ビームの焦点位置にある場合(S100)、電子ビームは、最も集束している。このため、電子ビームのビームスポットが最も小さくなっていることから、電子ビームの出力分布の変化量は大きくなる。このため、ビーム通過孔51を通過する電子ビームは、その一部の電子が計測部31の導電部41を流れるものの、電子ビームのビームスポットが最も小さいことから、導電部41への照射面積が小さくなり、漏れ電流の電流値は、最も小さくなる。
【0033】
これに対し、計測部31が、電子ビームの焦点位置から相対距離WDが長くなる側にある場合(S101)、電子ビームは、焦点位置から離れるにつれてビームスポットは大きくなる。このため、電子ビームのビームスポットが焦点位置に比して大きくなることから、電子ビームの出力分布の変化量は小さくなる。このため、ビーム通過孔51を通過する電子ビームは、その一部の電子が計測部31の導電部41を流れ、電子ビームのビームスポットが大きいことから、導電部41への照射面積が大きくなり、漏れ電流の電流値は、大きくなる。
【0034】
同様に、計測部31が、電子ビームの焦点位置から相対距離WDが短くなる側にある場合(S102)、電子ビームは、焦点位置から離れるにつれてビームスポットは大きくなる。このため、電子ビームのビームスポットが焦点位置に比して大きくなることから、電子ビームの出力分布の変化量は小さくなる。このため、ビーム通過孔51を通過する電子ビームは、その一部の電子が計測部31の導電部41を流れ、電子ビームのビームスポットが大きいことから、導電部41への照射面積が大きくなり、漏れ電流の電流値は、大きくなる。
【0035】
次に、
図4を参照して、上記の焦点位置計測装置30を用いて、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置を計測する焦点位置計測方法の一連の動作について説明する。
【0036】
まず、電子ビーム照射装置1の照射面25aと、焦点位置計測装置30の計測部31とが所定の相対距離WDとなるように、照射面25aと計測部31とを対向させて設置する(計測部設置工程:ステップS1)。このとき、ステップS1における所定の相対距離WDを、電子ビーム照射装置1と計測部31との初期位置とする。
【0037】
続いて、ステップS1の初期位置から、距離調整部32によって相対距離WDを変化させながら、計測部31によって電子ビームの漏れ電流の電流値を計測する(計測工程:ステップS2)。このとき、計測工程S2では、距離調整部32により相対距離WDが長くなる方向または短くなる方向のいずれか一方の方向に変化させたときに、漏れ電流の電流値が大きくなる場合、相対距離WDが長くなる方向または短くなる方向のいずれか他方の方向に変化させる。
【0038】
この後、焦点位置計測装置30の検出部46は、計測工程S2で計測した漏れ電流の電流値に基づいて、電子ビームの焦点位置における相対距離WDを導出する(焦点位置導出工程:ステップS3)。つまり、検出部46は、計測工程S2で計測した漏れ電流の電流値が最も小さいときの相対距離WDを、電子ビームの焦点位置における相対距離WDとして導出する。
【0039】
焦点位置導出工程S3において電子ビームの焦点位置を特定すると、電子ビーム照射装置1の制御部12は、焦点位置に係る相対距離WDが、所定の相対距離WDとなるように、第2集束レンズ24に印加するフォーカス電流を制御して、電子ビームの焦点位置を調整する(焦点位置調整工程:ステップS4)。
【0040】
このように、焦点位置計測方法では、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置を計測し、また、計測した焦点位置に基づいて、電子ビーム照射装置1の焦点位置を調整することができる。
【0041】
次に、
図5及び
図6を参照して、陰極21の交換前後における溶接ビードの形状について説明する。
図5のグラフは、その横軸が、ワークWの表面からの距離であり、その縦軸がビード幅となっている。なお、ビード幅は、電子ビームの照射方向に対して直交する方向における幅であり、電子ビームによって形成される熱影響部よりも内側の幅となっている。また、交換前の陰極21は、
図5及び
図6において陰極Aとし、交換後の陰極21は、
図5及び
図6において陰極Bとする。交換前の陰極21において、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置は、所定の相対距離WDとなっている。一方で、交換後の陰極21において、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置は、調整されておらず、第2集束レンズ24のフォーカス電流値を、交換前と同じ値としている。
【0042】
図5に示すように、交換前の陰極21(陰極A)に関し、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームによって、ワークWに形成される溶接ビードの形状は、電子ビームが照射される表面側のビード幅が広くなっている。また、溶接ビードの形状は、表面側と裏面側との間のビード幅が、表面側のビード幅に比して狭いビード幅となり、裏面側のビード幅が、表面側と裏面側との間のビード幅に比して広くなっている。また、溶接ビードの表面側は、ワークWの表面から膨らんで形成される。ここで、
図6に示すように、交換前の陰極21(陰極A)を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置は、ワークWの表面と裏面とを結ぶ厚み方向の中央部よりもわずかに裏面側に位置している。
【0043】
一方で、
図5に示すように、交換後の陰極21(陰極B)に関し、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームによって、ワークWに形成される溶接ビードの形状は、点線で囲んだ表面からの距離において、ビード幅が異なっている。また、溶接ビードの表面側は、ワークWの表面から窪んで形成される。これは、
図6に示すように、交換後の陰極21を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置は、交換前の陰極21よりも裏面側に位置するからである。
【0044】
このように、交換前後の陰極21では、個体差が発生することから、陰極21の交換前後において、電子ビームの焦点位置を調整しない場合、ワークWに対する焦点位置がずれてしまい、溶接ビードの品質を維持することは困難となる。なお、上記では、交換前後の陰極21について説明したが、陰極21の消耗等による経時的な変化によっても、ワークWに対する電子ビームの焦点位置がずれる。
【0045】
ここで、
図7を参照し、本実施例の焦点位置計測方法によって計測した、交換前の陰極21(陰極A)を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置について説明する。また、
図8を参照し、本実施例の焦点位置計測方法によって計測した、交換後の陰極21(陰極B)を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置について説明する。
図7及び
図8のグラフは、その横軸が相対距離WDとなっており、その縦軸が漏れ電流の電流値となっている。
図7及び
図8に示すように、交換前後の陰極21において、第2集束レンズ24に印加するフォーカス電流の電流値を小さい順から、電流値A1、A2・・・A7とする。
【0046】
電流値A1の場合、交換前の陰極21(陰極A)を用いたときの電子ビームの焦点位置における相対距離WDは、相対距離WD1aとなる。つまり、フォーカス電流の電流値A1の場合、本実施例の焦点位置計測方法によって、漏れ電流の電流値が最も小さくなる相対距離WDが、相対距離WD1aとなる。同様に、電流値A2〜A7の場合、交換前の陰極21(陰極A)を用いたときの電子ビームの焦点位置における相対距離WDは、相対距離WD2a〜WD7aとなる。
【0047】
また、電流値A1の場合、交換後の陰極21(陰極B)を用いたときの電子ビームの焦点位置における相対距離WDは、相対距離WD1bとなる。同様に、電流値A2〜A7の場合、交換後の陰極21(陰極B)を用いたときの電子ビームの焦点位置における相対距離WDは、相対距離WD2b〜WD7bとなる。このように、フォーカス電流の電流値が大きくなるほど、焦点位置における相対距離WDは短くなる。
【0048】
ここで、
図7において計測した相対距離WD1aと、
図8において計測した相対距離WD1bとは異なる相対距離WDとなる。このため、フォーカス電流の電流値が同じ値であっても、陰極21の交換前後において、電子ビームの焦点位置が相違することが確認された。
【0049】
次に、
図9及び
図10を参照して、本実施例の焦点位置計測方法を用いて焦点位置を調整した場合の、陰極21の交換前後における溶接ビードの形状について説明する。
図9のグラフは、
図5と同様に、その横軸が、ワークWの表面からの距離であり、その縦軸がビード幅となっている。交換前の陰極21(陰極A)において、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置は、本実施例の焦点位置計測方法によって、所定の相対距離WDであることが特定されている。また、交換後の陰極21(陰極B)において、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームの焦点位置は、本実施例の焦点位置計測方法によって、交換前の陰極21(陰極A)を用いたときの焦点位置と同じ位置となっている。
【0050】
なお、
図9に示すように、交換前の陰極21(陰極A)に関し、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームによって、ワークWに形成される溶接ビードの形状は、
図5の交換前の陰極21(陰極A)と同様であるため、説明を省略する。また、
図10に示すように、交換前の陰極21(陰極A)を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置も、
図6とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0051】
一方で、
図9に示すように、交換後の陰極21(陰極B)に関し、電子ビーム照射装置1から照射される電子ビームによって、ワークWに形成される溶接ビードの形状は、交換前の陰極21を用いて形成される溶接ビードの形状とほぼ同じ形状となっている。これは、
図10に示すように、交換後の陰極21を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置は、交換前の陰極21を用いてワークWに照射される電子ビームの焦点位置と同じ位置となっているからである。
【0052】
このように、交換前後の陰極21において個体差が生じる場合であっても、陰極21の交換前後において、電子ビームの焦点位置を調整することで、溶接ビードの形状を同じ形状にできることが確認された。なお、電子ビームの焦点位置の調整は、陰極21の交換毎、加工対象となるワークWが異なる種類となったとき、あるいは、予め設定された所定期間毎に行ってもよく、特に限定されない。
【0053】
以上のように、本実施例によれば、距離調整部32により相対距離を変化させながら、計測部31により漏れ電流の電流値を計測することで、電子ビームの焦点位置を特定することができる。このため、陰極21の性能が変化する場合であっても、溶接ビードの品質を維持することが可能となる。このとき、計測部31は、ビーム通過孔51を通過した電子ビームの漏れ電流を計測することから、電子ビームが計測部31に直接照射されることを抑制することができる。このため、電子ビームが高出力のビームであっても、計測部31に与えられる熱負荷を軽減することができ、電子ビームの焦点位置を精度良く計測することができる。
【0054】
また、本実施例によれば、導電部41が電子ビームの漏れ電流を受ける場合であっても、冷却部44により導電部41を冷却することができる。このため、導電部41に与えられる熱を除熱できる分、ビーム通過孔51を小さくすることができる。よって、ビーム通過孔51を小さくすることで、計測部31による漏れ電流の計測感度を向上させることができるため、漏れ電流をより精度良く計測することが可能となる。
【0055】
また、本実施例によれば、照射面25aと計測部31との間の相対距離WDを、所定の方向に変化させることで、漏れ電流が大きくなる場合、漏れ電流が小さくなるように、相対距離WDを逆方向に変化させることで、計測部31を焦点位置へ近づけることができる。このため、焦点位置における相対距離WDを迅速に計測することが可能となる。よって、計測部31へ電子ビームが照射されることを抑制できるため、計測部31への熱負荷を低減することができる。
【0056】
また、本実施例によれば、制御部12は、焦点位置計測装置30により計測した電子ビームの焦点位置に基づいて、焦点位置を所定の位置に調整することができる。このため、電子ビームの照射対象となるワークWに対して、電子ビームの焦点位置を最適な位置とすることができ、電子ビームによるワークWへの加工品質を維持することができる。
【0057】
なお、本実施例では、計測部31は、漏れ電流の電流値を計測したが、電圧値を計測してもよい。
【0058】
また、本実施例では、制御部12は、第2集束レンズ24のフォーカス電流を調整して、相対距離WDが所定の相対距離WDとなるように、電子ビームの焦点位置を調整したが、この構成に限定されない。例えば、フォーカス電流の電流値を変更せずに、計測した焦点位置における相対距離WDに基づいて、電子ビーム照射部11の照射面25aとワークWとの間の相対距離WDを調整してもよい。