【実施例1】
【0009】
図1A部に示す容器の入れ目線構造は、
図2に示すように、容器10の内周壁で、充填する液体等の充填物の適正量を表示した高さ位置に形成されており、入れ目線1が、反射面部2と、陰影面部3とからなっている。
本実施例では、入れ目線1は、容器10の外部上方からの光を反射させるために入れ目線1の下方に反射面部2が形成され、入れ目線1の上方には陰影面部3が形成されている。
【0010】
ここで容器10は紙、発泡スチロール、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレンなどの合成樹脂や、中層や外層にアルミ箔などの遮光性素材を積層したもの、その他、光を完全に吸収することなく反射しうる素材であれば所望の素材を用いることができる。
また、容器10は、単独で使用されるものでも、外容器やカバーを外嵌して使用するものでもよい。
【0011】
反射面部2は、容器10の内壁面から外側に向かって窪む断面が直線状の傾斜面からなっており、容器10の外側上方からの光を反射するようになっている。
陰影面部3は、前記反射面部2の上端に連接して折り返され容器内壁面側に延びているので、前記容器内に入る光は反射せず陰影を形成する。
これによって、陰影面部は、前記反射面部2の反射面に連続する陰影面を形成して明暗差により反射面を強調することができる。
【0012】
本実施例で一例を示すと、反射面部2は、容器10の内壁面11に対してなす角θ1を10°から80°の範囲で傾斜することが好ましい。
10°未満であると、内周壁に対して視認上、有効な反射とならない。
90°までは反射できるが80°を超えると、成形加工上の問題が生じる。
上記傾斜角度は、少なくとも10°以上30°以下であれば反射面として機能し、30°を超えると更に反射による明るさを強く増すことができる。
【0013】
上記反射面部2の長さは、0.5mmから3mmの範囲とすることが、反射面として機能させるために望ましい。
0.5mm未満では、視認しうる反射範囲が狭くなり反射面の視認性が十分ではない。3mmを超えると成形加工上の問題が生じる。
【0014】
陰影面部3は、前述のように反射面部2に連接し、容器10の内壁面11側に屈曲して、前記容器内に上方から入りこむ光を反射せずに陰影を形成するための面からなり、内壁面11に対してなす角θ2が大きい程、影が出やすい。
従って、断面を直線状とする1または複数の連続する傾斜面や湾曲面としてもよい。
また、傾斜面と湾曲面とを適宜組み合わせた連続した面からなるものであってもよい。
【0015】
本実施例では、前記反射面部2と陰影面部3とからなる入れ目線1は、その全長(縦幅)を、3mmから10mmの範囲とすることが好ましく、3mm未満であると視認性が十分ではなく10mmを超えるとそれ以上の効果がない。
少なくとも3mm以上5mm以下であれば効率的に視認性を高めることができ、5mmを超えると大型化するが更に視認性を高めることができる。
【実施例2】
【0016】
図3に示す容器の入れ目線構造は、前記実施例1の一例を示すものであって、容器10の内壁面11が5°傾斜するコップテーパー角度を有している場合を例示する。
この発明では内壁面11はテーパー状に傾斜しない0°の垂直面であってもよい。
【0017】
そして、入れ目線1は、陰影面部3を断面が直線状の2つの連接した傾斜面から構成し、全体の断面が略台形に近い形状にした。
これにより陰影面部3は、反射面部2に連設して容器10の内壁面と略平行に延びる第1陰影面部3Aと、該第1陰影面部3Aを介設面として容器10の内壁面11へ向かって傾斜する第2陰影面部3Bから構成される。
【0018】
上記形状とすることで反射面部2の角度θ1を従来より深く、例えば19°31'とし、反射面部2と第1陰影面部3Aとの境目のRを小さくR1.06mm程度にして、前記境目を従来の入れ目線である略断面円弧状の湾曲面より際立たせて、視認性を向上させることができる。
【0019】
即ち、入れ目線1が、従来形状のように、断面から見て1つの円弧形状となる場合(
図9参照)には、連続して徐々に変化する面によって反射面と陰影面との明暗差が小さくなるが、反射面部2と第1陰影面部3Aとの境目のRを小さくすることで、反射面部2の反射面の平坦面の領域を広げ、且つ反射面部2の境目を際立たせることで、反射面部2に反射した光を見えやすくすることができる。
更に、第1陰影面部3Aを介設することで、第2陰影面部3Bと内壁面11とのなす角θ2を大きくすることができ、影が暗くなって、前記反射面部2の明るさとのコントラストを一層明確にすることができる。
そして、反射面部2と陰影面部とにより入れ目線1は太く(上下に長く)なる。
【0020】
本実施例では、反射面部2は、光の反射で明部となり、第1陰影面部3Aはやや薄い暗部となり、第2陰影面部3Bは濃い暗部となり、明確な3つのコントラストが形成されるため、入れ目線1が3つのコントラストからなる帯として認識でき、視認性を高めることができる。
また、上記入れ目線1は、容器10の内壁面11の内周に沿って連続する環状線であっても、該環状線の軌跡に沿って部分的に断続する断続線であってもよい。
【実施例3】
【0021】
実施例2のように入れ目線1が、反射面部2と、第1陰影面部3Aと、第2陰影面部3Bとからなる場合の入れ目線加工装置について
図4以降を参照しながら説明する。
【0022】
ここで、
図8〜9(a)は、従来の、断面が半円弧状の入れ目線1'を成形する入れ目線加工装置30である。
この従来の入れ目線加工装置30は、リング状のダイ31と、該ダイ31の中空内に嵌合して、ダイ31の中心軸と偏心した位置に回転軸を有するピーターホイール33とからなっており、前記ダイ31の内周面の中途位置には、水平で環状に形成された断面略円弧形状の入れ目線成形用の凹部32が形成されている。
また、前記ピーターホイール33には、前記凹部32に嵌合して容器10'に入れ目線1'を形成する突部34が設けられている。
【0023】
また、前記ダイ31の中空内で、縦向きの中心線L1より偏心した位置L2を回転の中心線として、前記紙カップの内壁面に順次に入れ目線(ピーター線)1'を形成するピーターホイール33と、該ピーターホイール33の外周の下部で外向きに突出し先端が前記凹部32に突入して容器10'の内壁面11'を押圧して入れ目線1'を形成する断面円弧状の突部34とからなっており、前記ピーターホイール33は回転の中心線L2を中心にして回転する構成となっている。
【0024】
図9(b)は、従来の入れ目線1'の断面を示す模式図であり、比較対象として前記実施例の入れ目線1の断面を点線で示す。
この入れ目線1'は、容器の内壁面11'に対して、反射面部に対応する面2'のなす角θ1'、および陰影面部に対応する面3'のなす角θ2'がそれぞれ小さく、且つ全体が湾曲面となり、全長も短いので、入れ目線1'による明暗差が少なく、十分な視認効果をあげることができない。
【0025】
また、上記構成では、扇状のブランクをカップ状に成形した際の容器胴部の貼合せ個所、即ち、内外に二重に貼り合わせた個所に入れ目線を加工する際に、前記凹部32の断面が他の個所と同一であるので、凹部32の外方への突出の度合いを小さくしてピンホールや裂けが発生しないようにする必要があり、入れ目線1'の反射面に対応する個所が短く、且つ浅くなっていた。
即ち、貼合せ個所(容器のシーム部)が他の個所と比べて、入れ目線を形成する際に、前記凹部32は他の個所と同一断面形状であるため、同じ力でピーターホイール33が押していて力を逃がしていないため、突部34に押される量が他の個所より多く、更に貼り合せ段差部の衝撃で容器10'の最内面の紙層や合成樹脂層が破れることにより、ピンホールや裂けが発生する。そのため、入れ目線1'の深さには限界があった。
【0026】
そこで、
図4から
図7に示すこの発明の入れ目線加工装置20は、前記従来例と同様のリング状のダイ21を有し、該ダイ21の内周面の中途位置に、断面が略矩形状で入れ目線成形用の凹部22が形成されている(
図7(a)参照)。
また、前記ダイ21の中空内で、中心線L1より偏心した位置L2を回転の中心線として、前記紙カップの内壁面に順次に入れ目線(ピーター線)を形成するピーターホイール23が設けられ、更に、該ピーターホイール23は、図示省略の高さ調整装置によって、前記凹部22の縦幅の範囲内で平行に上下に移動可能に設けられている。
【0027】
該ピーターホイール23の外周の下部で外向きに突出し先端が前記凹部22に突入して容器に入れ目線1を形成する突部24は、断面が略矩形で先端の角部が面取りされた形状からなっている(
図7(a)参照)。
前記突部24の先端の押圧面25は平面状となっており、容器10の内壁面11を凹部22側に押し込んで、第1陰影面部3Aを形成し、該第1陰影面部3Aに引っ張られて上下に連接する第2陰影面部3Bと反射面部2とが同時に形成される。
【0028】
そして、ピーターホイール23を上方に変位すると、反射面部2を長く且つ傾斜角度を小さくし、第2陰影面部3Bを短くすることができ、逆にピーターホイール23を下方に変位すると、反射面部2を短く且つ傾斜角を大きくし、第2陰影面部3Bを長くすることができる。
これにより、入れ目線1の反射面部2と第1陰影面部3Aと第2陰影面部3Bとを、それぞれの容器10の用途や、容器の素材の反射率などに対応させて、任意の角度と長さに調整して成形することが可能となる。
【0029】
更に、入れ目線1の形成用の凹部22は、同一断面ではなく、容器10の貼合せ個所に対応した個所に、
図6および
図7(b)に示すように凹部22の上下の幅を広げた縦断面略横倒台形状で横断面略弓形状の拡大凹部22'が形成されている。
この拡大凹部22'は、内外二重に重なった容器10の貼合せ個所で入れ目線1を形成するため、容器の素材の厚みの増加に対応して入れ目線1が形成されるように拡大凹部22'内で押圧された素材を逃がすことができるので、貼合せ個所でのピンホールや亀裂を生じさせることがない。
【0030】
本実施例では、前記突部24の先端の押圧面25は略垂直面からなっているが、傾斜面であってもよい。略垂直面の場合、θ2を大きくでき、影をつくりやすい。
また、リング状のダイ21の内周壁21aは図示例では断面が上に向かって拡開するテーパー状からなっているが、容器10の胴部の断面形状に対応していればよい。
ここで、前記押圧面25が傾斜面の場合、容器内壁面11に対して略垂直に押し当てれば、前記反射面部2の角θ1を大きくでき、反射する光を強い明るさにすることになり好ましい。
【0031】
更に、上記入れ目線加工装置20は入れ目線1が反射面部2と2つの陰影面部3A、3Bからなる場合を例示したが、実施例1のように反射面部2と陰影面部3の2つの面からなる場合には、突部24の先端を断面三角形状としたり、小さい断面円弧状とするなどして入れ目線1を形成すればよい。
そして、入れ目線1は、容器の内壁面11と反射面部2とのなす角θ1が大きい程、光を反射して明るくなり、また陰影面部3と前記内壁面11とのなす角θ2が大きいほど影が出やすく暗くなる。
【0032】
そこで、入れ目線1は、反射面部2と陰影面部3との2つの面で構成する場合にも相応の効果が生じるが、更に、反射面部2と第1陰影面部3Aと第2陰影面部3Bとを有する3つの面で構成された方が、前記内壁面11とのなす角θ1及びθ2を大きくすることができるので、明暗差が一層明瞭となって好ましい。
換言すると、容器の内壁面11と入れ目線1のなす角度が大きく、入れ目線1の幅が大きい程、入れ目線1は視認しやすい。
【0033】
入れ目線の深さが同じである場合、2面構成では入れ目線1の全長(縦幅)を長くするとθ1、θ2の角度を大きくできないが、3面構成では入れ目線1の全長を長くしてもθ1、θ2の角度を大きくできるので、2面構成で形成されている入れ目線より明暗差を大きくすることができる。
同様に凹部22もこれに対応して断面三角形状や台形状、円弧形状などとしてもよい。
【0034】
また、前記実施例の入れ目線1は、容器10上方から光を反射させる場合を例に説明したが、例えば、容器10に注入する液体に反射した光を反射させる場合には、反射面部2が上方となり、陰影面部3が下方となるように配置すればよく、その場合は前記入れ目線1の構造および入れ目線加工装置20の構造は上下逆にすればよいので前記説明を省略する。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。