(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)少なくとも一部分にシロキサンを結合させることのできる前面を有する本体部材であって、ナノ粒子を含む高分子マトリックスを含み、前記マトリックスはシロキサンを結合することのできる粒子が露出されるように、プラズマ、コロナ及び火炎処理のうちの少なくとも1つに、前記本体部材の前面の少なくとも一部分を露出することにより処理されたものである、本体部材を用意する工程、
(b)シロキサンを結合することのできる構成要素であって、少なくとも1つの双性イオン性シランを含有する構成要素を含む硬化性のオーバーコート組成物を前記本体部材の表面の少なくとも一部分に適用する工程、及び、
(c)前記オーバーコート組成物を硬化して、前記本体部材の前面にシロキサン結合を有する親水性オーバーコートを形成する工程を含む、清浄可能な物品の製造方法。
前記本体部材が、(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1つの硬化性成分と、複数の表面改質無機ナノ粒子とを含む硬化性混合物の反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
(a)少なくとも一部分にシロキサンを結合させることのできる前面を有する本体部材であって、ナノ粒子を含む高分子マトリックスを含み、前記マトリックスはシロキサンを結合することのできる粒子が露出されるように、プラズマ、コロナ及び火炎処理のうちの少なくとも1つに、前記本体部材の前面の少なくとも一部分を露出することにより処理されたものである、本体部材と、
(b)少なくとも一部分に前記シロキサンを結合することのできる粒子が露出した前記本体部材の前面に、シロキサン結合を介して結合したオーバーコートであって、少なくとも1つの双性イオン性シランを含有する構成要素を含むオーバーコートと、を備える清浄可能な物品。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、図面を参照して更に説明する。
【
図1】本発明の清浄可能な物品の例示的な実施形態の概略図。
【0013】
これらの図は原寸に比例しておらず、また、単に説明を目的としたものであって非限定的なものである。
【0014】
記号及び用語
本明細書で使用される様々な用語は、当業者に既知であるような、それらの元来の意味によって定義されることが理解される。しかしながら、以下の用語は、本明細書に記載される意味を有するものとして理解される。
【0015】
用語「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は本明細書では互換的に使用される。
【0016】
本明細書で使用するとき、全ての数値は、用語「約」及び好ましくは用語「正確に」によって修飾されているとみなされる。本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、あらゆる数値はそれらの試験測定値における標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本来的に含むものである。
【0017】
用語「コーティング可能な材料」は、表面上にコーティングを施すことができる非固形(例えば、液体又はゲル状)材料を意味する。
【0018】
「含む(comprises)」という用語及びその変化形は、それらの用語が説明及び請求項に出現する箇所において、限定的な意味を有するものではない。
【0019】
用語「ホワイトボード」としては、ガラス、磁器(porcelainsteel)、塗装された鋼、塗装された金属、塗装されたハードボード、メラミン、コーティングされたフィルム、コーティングされた紙、コーティングされた段ボールシート、及び現在の商業上既知の他の乾式消去表面などの既知の乾式消去表面が挙げられる。
【0020】
語句「範囲」及び「範囲内」(及び類似の記載)は、その記載された範囲の端点を含む。
【0021】
用語「艶消仕上げ」とは、強い艶又は光沢を示さない、粗面又は粒状の表面仕上げ又は表面の質感を意味する。艶消仕上げは、滑らかな触感であってもよいものの、一般的には、著しい輝き又はハイライトは有さない。
【0022】
用語「光学的に明澄」は、材料の透明性を指し、典型的には、高レベルの光透過性(例えば、反射損を補正した場合に約99%超)、並びに低ヘイズ(例えば、約1%未満)を可能にするものである。
【0023】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば、2つ以上の異なるモノマーを使用して形成されるポリマー)、オリゴマー及びこれらの組み合わせ、並びに、例えば、共押出又はエステル交換などの反応によって混和性ブレンド中に形成され得るポリマー、オリゴマー、又はコポリマーを含むと理解される。別段の指定がない限り、ブロック及びランダムコポリマーの両方が含まれる。
【0024】
用語「高分子材料」は、上記で定義されるように、ポリマー、並びに例えば、酸化防止剤、安定剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、染料、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、及び顔料などの他の有機又は無機添加剤を含むと理解される。
【0025】
用語「好ましい」及び「好ましくは」とは、特定の状況下で、特定の利益をもたらすことができる、本発明の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じ状況又は他の状況下で、好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0026】
用語「又は」は、内容が明確にそれ以外を指図しないかぎり、一般的に「及び/又は」を含む意味で使用される。用語「及び/又は」は、記載された要素の1つ若しくはすべてを、又は記載された要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0027】
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5など)が包含される。
【0028】
本明細書において開示されている代替要素又は実施形態の基の分類は、制限として解釈されるべきものではない。基の各構成員は、個別に参照され請求されるか、又は基の他の構成員若しくは本明細書に記載される他の要素との任意の組み合わせで参照され請求され得る。基の1つ以上の構成員は、便宜上及び/又は特許資格の理由から、1つの基に含まれてよく、あるいは1つの基から除外されてもよいことが見込まれる。そのような包含又は削除が生じた場合、本明細書における仕様は、改変された基を含むものと見なされ、これにより、添付の請求項に使用されるマーカッシュ群のすべての記載された説明を充足する。
【0029】
ある基が本明細書で記載した式中に2回以上存在するとき、各基は特に記載しようとしまいと、「独立して」選択される。例えば、式中に2つ以上のY基が存在するとき、各Y基は独立に選択される。更に、これらの基の中に含まれるサブグループも独立に選択される。例えば、各Y基がRを含むとき、各Rも独立に選択される。
【0030】
本明細書で使用するとき、以下の用語は、記載の意味を有する:「有機基」は、脂肪族基、環状基、又は脂肪族及び環状基の組み合わせ(例えば、アルカリル基及びアラルキル基)に分類される炭化水素基(炭素及び水素以外の任意の元素、例えば酸素、窒素、イオウ、及びケイ素を含む)を意味し、本発明の文脈において、有機基は拭き取り乾式消去及び油性マーカー表面の形成の邪魔にならないものであり、「脂肪族基」は飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味し、この用語を用いてアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基を包含し、例えば「アルキル基」は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシルなどを含む飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味し、「アルキレン基」は二価のアルキル基であり、「アルケニル基」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばビニル基を意味し、「アルキニル基」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味し、「環状基」は、脂環式基、芳香族基、又は複素環式基に分類される閉環炭化水素基を意味し、「脂環式基」は、脂肪族基と類似する特性を有する環状炭化水素基を意味し、「芳香族基」又は「アリール基」は単環式又は多環式の芳香族炭化水素基を意味し、「複素環式基」は、環中の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、イオウなど)である閉環炭化水素を意味する。同じであっても異なってもよい基は、「独立して」何かであると称される。
【0031】
本発明の複合体の有機基に対しては置換が見込まれる。本出願を通して使用される特定の専門用語の議論及び詳細説明を単純化する手段として、用語「基」及び「部分」は、置換され得る又は置換されていてもよい化学種と、置換され得ない又は置換されていなくてもよい化学種とを区別するために使用される。したがって、用語「基」を化学置換基を説明するために使用するとき、説明される化学物質は、非置換基、並びに例えば鎖中(アルコキシ基中のように)に、例えばO、N、Si又はS原子を有する基、及びカルボニル基又は他の一般的な置換を含む。用語「部分」を化学化合物又は置換基を説明するために使用するとき、非置換化学物質だけを包含することを意図する。例えば、語句「アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのような純開環飽和炭化水素アルキル置換基だけではなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシなどのような、当該技術分野において既知である置換基を更に有するアルキル置換基も含むことを意図する。したがって、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどを含む。一方、語句「アルキル部分」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどのような純開環飽和炭化水素アルキル置換基のみの包含に限定される。
【0032】
用語「一次粒径」は、凝集していない1つのシリカ粒子の平均寸法のことを指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、「親水性」は、水溶液により湿潤される表面を指すために用いられ、層が水溶液を吸収するかどうかを表さない。水又は水溶液の液滴が50°未満の静的水接触角を示す表面を「親水性」と呼ぶ。疎水性基材の水接触角は50°以上である。
【0034】
本明細書で使用するとき、「親水性官能性化合物の少なくとも単層は、例えば、(1)表面又は基材の表面上の下塗りに(シロキサン結合を介して)共有結合される単層又はそれ以上の厚さの層の分子であって、親水性官能性の化合物由来である分子、及び(2)表面又は基材の表面上の下塗りに共有結合される単層又はそれ以上の厚さの層の水溶性ポリマーを含む。親水性官能性化合物が各分子の二量体、三量体、又はその他オリゴマーを含む場合、「少なくとも単層」は、このような二量体、三量体、若しくはその他オリゴマー、又はこのようなオリゴマーとモノマーとの混合物の単層を含む。
【0035】
上記の本発明の課題を解決するための手段は、本発明の開示されるそれぞれの実施形態、又は本発明のすべての実施を説明することを目的としたものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示するものである。本出願の全体にわたるいくつかの箇所で、実施例のリストを通じて指針が提供され、それらの実施例は、様々に組み合わせて使用することができる。いずれの場合も、記載されるリストは、あくまで代表的な群としてのみの役割を果たすものであって排他的なリストとして解釈するべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、前面16とシロキサン結合しているオーバーコート14を備える本体部材12を含む本発明の清浄可能な物品10の例示的な実施形態を示す。実施形態では、本体部材12は、その前面に表被層13を備えるベース部材15を含む。物品10は、本体部材12の後面22上に任意の接着層18及び任意の取り外し可能ライナー20を更に含む。
【0037】
上述のように、本発明の清浄可能な物品の製造方法は、(a)少なくとも一部分にシロキサンを結合させることのできる前面を有する本体部材を提供する工程、(b)シロキサンを結合させることのできる成分を含むオーバーコート組成物を、シロキサン接着性表面の少なくとも一部分に適用する工程、及び(c)オーバーコート組成物を硬化し、本体部材の前面にシロキサン結合を有するオーバーコートを形成することで、清浄可能な物品を生成する工程、を含む。
【0038】
本体部材
本体部材は、典型的には、物品の大部分が本発明による清浄可能な表面で構成されているのが好ましい。例えば、これは、ドア、窓、天井のパネル又は他の建築表面、キャビネット又は家具の表面、標識又はホワイトボードの表面、ノート、クリップボードなどの個人用物品の表面であり得る。当業者は、本明細書に開示される本発明に従って、例えば、意図する用途において好適な構成及び構造などの様々な本体部材を使用して、本発明を実行することができるであろう。
【0039】
その他の所望の特性を示すことに加えて、本体層の前面は、シロキサンを結合させることができるという特性を示すべきである。一部の実施形態では、本体部材にシロキサンを結合させることができるとは、例えば、下部のベース部材上に好適な層を形成するなど、本体部材の前面としてシロキサンを結合することのできる層を組み込むことで、実施される。他の実施形態では、本体部材にシロキサンを結合させることができるとは、例えば、本体部材から突出する、シロキサンを結合することのできる好適なナノ粒子などといった、シロキサンを結合することのできる成分を、本体部材内の前面に組み込むことで達成される。
【0040】
本体部材の前面
本体部材の前面の少なくとも一部分、及び好ましくは実質的に前面全体はシロキサンを結合することができ、すなわち、相溶性配合されたオーバーコートとシロキサン結合を形成することができる。この特性は、例えば、高分子マトリックスに含まれる露出したシロキサンを結合することのできる粒子から構成されるか、又は、例えば、「ダイヤモンド様ガラス」表被層をポリエステルフィルムベース部材の表面に形成するなど、本体部材の前面として、シロキサンを結合することのできる表被層を提供することで構成される、本体部材の前部を構成する材料の固有の特性であり得る。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態では、本体部材は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1種の硬化性成分を含む混合物の反応生成物の層を含む。他の硬化性材料は、本発明による更に他の実施形態から選択される。
【0042】
本発明で使用するのに好適なコーティング可能な材料は、様々なフィルム形成材料のいずれかを含み得る。一部の実施形態では、コーティング可能な材料は、溶媒中の1つ以上のポリマー及び/又はオリゴマーからなる高分子材料である。一部の実施形態では、コーティング可能な材料は、1種以上の溶媒中の1つ以上のモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの混合物である。他の実施形態では、コーティング可能な材料は、大量の粒子又はナノ粒子と共に、1種以上の溶媒中に前述のオリゴマー、モノマー、及び/又はポリマーを含む。
【0043】
一部の実施形態では、本体部材はナノ粒子を含む。本発明の本体部材に使用され得るナノ粒子の例示的な実施例としては、酸化アルミニウム、酸化アンチモンスズ、次サリチル酸ビスマス、ベーマイト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二酸化セリウム、グラフェン、ハロイサイト、ホウ化ランタン、炭酸リチウム、銀、非晶質シリカ、コロイドシリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は二酸化ジルコニウムが挙げられる。好適なナノ粒子は、非規則的及び規則的な形状、ナノチューブ状、ナノプレートレット状、円筒状、などの多くの形状であり得る。
【0044】
特定の実施形態では、下塗りコーティング組成物を書き込み表面に適用する工程は、基材表面をナノ粒子含有コーティング組成物と接触させる工程を含む。このナノ粒子含有コーティング組成物は、約40ナノメートル以下の平均粒径を有するシリカナノ粒子を含む約5未満のpHを有する水性分散液、及び約≦3.5のpKaを有する酸、を含む。方法は、ナノ粒子含有コーティング組成物を乾燥させ、基材表面上にシリカナノ粒子下塗りコーティングを提供する工程を更に含む。特定の実施形態では、必要に応じて、ナノ粒子含有コーティング組成物はテトラアルコキシシランを更に含む。コーティングされた物品の特定の実施形態では、ナノ粒子含有下塗りコーティングの厚さは、100オングストローム(Å)〜10,000Åである。コーティングされた物品の特定の実施形態では、スルホネート官能コーティングの厚さは約10マイクロメートル以下であり、多くの場合、厚さは約1マイクロメートル以下である。
【0045】
ナノ粒子は表面改質され得るが、この表面改質とは、ナノ粒子が、安定な分散体を提供するよう改質された表面を有することを指す。「安定な分散体」は、例えば、室温(すなわち約20〜22℃)及び大気圧、過剰な電磁力がないという周囲条件下で、一定の時間、例えば約24時間放置された後に、コロイド状ナノ粒子が凝集しない分散体を指す。
【0046】
表面改質されたコロイド状ナノ粒子は、任意で、本明細書のコーティング可能な組成物として用いられるポリマーコーティング中に、仕上げ要素、つまり光学要素の耐久性を高めるのに有効な量で存在するナノ粒子と共に存在し得る。本明細書に記載される表面改質されたコロイド状ナノ粒子は、例えば、ナノ粒子がコーティング可能な組成物内で安定な分散体を形成する、ナノ粒子とコーティング可能な組成物との相溶性、より耐久性のある複合物にする、ナノ粒子とコーティング可能な組成物との反応性、及び低影響性又は未硬化組成物の粘性など、様々な好ましい特質を有し得る。表面改質の組み合わせを利用して、組成物の未硬化及び硬化特性を操作できる。表面改質されたナノ粒子は、コーティング可能な組成物の光学的及び物理的特性を改善でき、このような特性としては、例えば、樹脂の機械的強度の改善、コーティング可能な組成物中に充填される固体量を増加させる際に伴う粘度変化の最小化、及びコーティング可能な組成物中に充填される固体量増加を増加させる際の光学的透明度の維持などが挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は表面改質されたナノ粒子である。好適な表面改質されたコロイド状ナノ粒子は、オキシド粒子を含み得る。ナノ粒子は、所与の材料について周知の粒径分布にわたる粒径範囲を含み得る。いくつかの実施形態において、平均粒子サイズは約1nm〜約100nmの範囲内であり得る。粒径及び粒径分布は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)などによる周知の方法で測定できる。好適なナノ粒子は、任意の様々な物質、例えば、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、シリカ、ジルコニア、チタニア、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択される金属酸化物を含んでよい。表面改質されたコロイド状ナノ粒子は、実質的に完全に凝縮され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、シリカナノ粒子は、約5〜約75nmの範囲の粒径を有し得る。いくつかの実施形態において、シリカナノ粒子は、約10〜約30nmの範囲の粒径を有し得る。シリカナノ粒子は、約10〜約95重量%の量で、コーティング可能な組成物中に存在し得る。一部の実施形態では、シリカナノ粒子は、約25〜約80重量%の量でコーティング可能な組成物中に存在し、他の実施形態では、シリカナノ粒子は、約30〜約70重量%の量でコーティング可能な組成物中に存在し得る。本発明のコーティング可能な組成物で使用するのに好適なシリカナノ粒子は、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)から商品名NALCO(商標)Colloidal Silicasで市販されている。好適なシリカ製品としては、NALCO(商標)製品1040、1042、1050、1060、2327及び2329が挙げられる。好適なヒュームドシリカ製品としては、例えば、DeGussa AG(Hanau,Germany)から商品名AEROSIL(商標)シリーズOX−50、−130、−150、及び−200、並びにCabot Corp.(Tuscola,Ill.)から商品名CAB−O−SPERSE(商標)2095、CAB−O−SPERSE(商標)A105、及びCAB−O−SIL(商標)MSとして販売されている製品が挙げられる。ナノ粒子の表面処理は、コーティング可能な組成物(例えば、高分子樹脂)中で安定な分散体を提供し得る。好ましくは、粒子がコーティング可能な組成物中に良好に分散されて、実質的に均一な組成物を生じるように、ナノ粒子を表面処理により安定化させる。更に、ナノ粒子は、安定化させた粒子が硬化中にコーティング可能な組成物と共重合又は反応できるように、その表面の少なくとも一部を表面処理剤により改質し得る。
【0049】
金属酸化物ナノ粒子は、表面処理剤で処理され、本発明で使用するのに好適になり得る。一般的に、表面処理剤は、粒子表面に付着(共有結合、イオン結合又は強力な物理吸着による結合)するであろう第1末端部と、粒子に硬化性組成物との適合性をもたらす、及び/又は硬化中に硬化性組成物と反応する第2末端部を有する。表面処理剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、及びチタネートが挙げられる。処理剤の種類は、金属酸化物表面の性質に応じて決定され得る。例えば、シリカ及び他のシリカ系充填剤には、典型的にはシランが好ましい。表面改質は、硬化性組成物との混合に続けて、若しくは混合後のいずれかに達成され得る。シランの場合、硬化性組成物へ組み込む前にシランを粒子又はナノ粒子の表面と反応させるのが好ましい。表面改質剤の量は、粒径、粒子の種類、改質剤の分子量、及び改質剤の種類などの要素によって決定され得る。一般的には、改質剤の単層を粒子の表面に付着させることが好ましい。必要とされる付着手順又は反応条件もまた、使用する表面改質剤によって決定される。シランに関し、表面処理は、約1時間〜最大約24時間、酸性又は塩基性条件のもと、高温下で行われ得る。
【0050】
コーティング可能な組成物中に含まれる粒子に好適な表面処理剤としては、例えば、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG3TES)、SILQUEST(商標)A1230、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG2TES)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、β−カルボキシエチル酢酸、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び上述のうちの2つ以上の混合物などの化合物が挙げられる。
【0051】
コロイド分散液中の粒子の表面改質は様々な方法で達成され得る。このプロセスは、無機分散液と、表面改質剤、及び、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド及び1−メチル−2−ピロリジノンなどの共溶媒との混合物を含む。共溶媒は、表面改質剤並びに表面改質された粒子の溶解度を向上するのに使用され得る。無機ゾル及び表面改質剤を含む混合物は、その後、室温又は高温で、混合あり又はなしで、反応される。1つの方法では、混合物を約85℃で約24時間反応させ、表面改質されたゾルを生成する。1つの方法では、金属酸化物が表面改質されている場合、金属酸化物の表面処理は、粒子表面への酸性分子の吸着を含み得る。重金属酸化物の表面改質は、室温で実施するのが好ましい。
【0052】
いくつかの実施形態において、平均粒径(例えば、粒子直径)は、約0.05マイクロメートル〜約60マイクロメートルの範囲であり得る。上記粒径に加え、より小さい及びより大きい平均粒径の使用も想到される。本発明の実施形態において、少なくとも一部の上記粒子は上記方法で表面改質されてよい。その他の実施形態においては、全ての粒子が表面改質される。更に他の実施形態においては、粒子は表面改質されない。
【0053】
所望の用途に応じて、本体部材の前面は、艶消仕上げ又は光沢仕上げを有し得る。
【0054】
一部の実施形態では、本体部材は、好適なコーティング組成物を基材の前面の少なくとも一部分に適用し、組成物を硬化させて、例えば、家具、ドア、窓といった表面などの基材において、その場で本体部材を生成させることで形成される。他の実施形態では、本発明の予備形成された本体部材又は予備形成された清浄可能な物品は、例えば、積層及び自己接着、又は結合接着又は他の結合層の使用などによって、基材の前面の少なくとも一部分に結合する。
【0055】
本体部材の前面の少なくとも一部分、及び場合によっては、実質的に前面全体は、シロキサンを結合することができ、すなわち、相溶性に配合されたオーバーコートとシロキサン結合を形成することができる。この能力は、例えば、高分子マトリックスに含まれるシロキサンを結合することのできる露出した粒子から構成されるか、又は、例えば、「ダイヤモンド様ガラス」表被層をポリエステルフィルムベース部材の表面に形成するなど、本体部材の前面としてシロキサンを結合することのできる組成物を提供することで構成される、本体部材の前部を構成する材料の固有の特性であり得る。
【0056】
一部の実施形態では、本体部材にシロキサンを結合させることができるとは、高分子マトリクス中のシロキサンを結合することのできる粒子を露出させることで達成される。これを達成する方法の例示的な実施例は、前面をプラズマエッチング、コロナなどで処理することである。
【0057】
米国特許第6,696,157号(Davidら)には、本発明で使用され得るダイヤモンド様ガラス(「DLG」とも呼ばれる)フィルム及びその製造方法が開示されている。このような材料の利点は、オーバーコートに強力な結合をもたらす本体部材上にシロキサンを結合することのできる前面をもたらすのに加えて、このような層は、オーバーコートを重ねるのに役立つ剛性及び寸法安定性をもたらす上に、清浄可能な物品を傷に対してより耐久性及び抵抗性のあるものにし得る。これは特に、比較的柔らかい下部のベース部材の構成要素に重ねる際に有用である。
【0058】
本明細書で使用するのに好適な例示的なダイヤモンド様ガラス材料は、炭素が豊富なダイヤモンド様アモルファス共有結合系含有炭素、シリコン、水素及び酸素を含む。DLGは、基材を高周波(「RF」)化学反応器内の駆動電極に配置することにより、イオン衝撃の状態で、炭素、シリコン、水素、及び酸素を含む、高密度のランダムな共有結合系を堆積することによって作製される。特定の実施では、DLGは、強力なイオン衝撃条件下で、テトラメチルシラン及び酸素の混合物から堆積される。典型的には、DLGが、可視及び紫外線領域、すなわち約250〜約800nmにおいて示す光吸収は無視できる程度のものである。また、DLGは、通常、いくつかの他の種類の炭素フィルムと比較して、フレックスクラック(flex-cracking)耐性の向上を示し、セラミックス、ガラス、金属、及びポリマーなどの多くの基材に対して優れた接着性を示す。
【0059】
DLGは、少なくとも約30原子濃度(%)の炭素、少なくとも約25原子濃度(%)のシリコン、及び約45原子濃度(%)以下の酸素を含有する。各DLGは、典型的には、約30〜50原子濃度(%)の炭素を含む。具体的な実施において、DLGは、約25〜約35原子濃度(%)のシリコンを含み得る。また、特定の実施において、DLGは、約20〜約40原子濃度(%)の酸素を含む。具体的に有利な実施において、DLGは、水素を除いた成分を基準に、約30〜約36原子濃度(%)の炭素、約26原子濃度(%)〜約32原子濃度(%)のシリコン、及び約35原子濃度(%)〜約41原子濃度(%)の酸素を含む。「水素を除いた成分を基準に」とは、薄膜に大量の水素が存在する場合であってもこれを検出しない、電子分光化学分析法(ESCA)などの方法によって得られる、材料の原子組成を指す。
【0060】
本体部材のベース部材
典型的には、ベース部材は、ガラス、セラミック、磁器、紙、金属、又はプラスチックのシートを含む表面から実質的になるか、又は有する。一部の実施形態では、ベース部材は高分子フィルムである。例示的な実施例としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、オレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ホモ−エポキシポリマー、ポリジアミンとのエポキシ付加重合体、ポリジチオール、ポリエチレンコポリマー、フッ素化表面、酢酸塩及び酪酸塩などのセルロースエステル、生体高分子、ポリ乳酸、及びこれらのブレンドからなる群から選択される高分子フィルムが挙げられる。
【0061】
所望であれば、ベース部材は、半透明、透明又は明澄であり得る。一部の実施形態では、ベース部材は逆反射性である。用語「透明」は、可視スペクトル(約400〜700nmの波長)において入射光線の少なくとも約85%を透過することを意味する。基材は、着色されていてもよい。
【0062】
本明細書で用いられるベース部材は、必要に応じて可撓性又は非可撓性であってよい。
【0063】
一部の実施形態では、ベース部材は、実質的に自己支持型であり、すなわち、移動、使用、あるいは操作される際にその形状を保持するのに十分な寸法安定性がある。一部の実施形態では、物品は、例えば、補強フレームなどのいくつかの様式で更に支持され、支持表面などに接着される。
【0064】
所望であれば、本体部材には、当該技術分野で既知の文字又は記号などの図形をその表面上に提供してもよく、又は表面中に埋め込んでもよく、このような図形は、重ねられたオーバーコートを通して視認され得る。
【0065】
多くの実施形態では、本体部材は実質的には平面であるが、湾曲した又は複雑な形状の構成であってもよいことが理解され得る。
【0066】
様々な材料が、例えば、不織材料、編物、フィルム(例えば、高分子フィルム)、不織布、金属シート、金属ホイル、ガラスなどの可撓性材料を含むベース部材15として使用するのに好適であり得る。最終フィルム製品を光学ディスプレイなど光学用途で用いることが意図される一部の実施形態では、基材材料は、意図される用途に対して望ましい光学的特性及び機械的特性にある程度基づいて選択されるであろう。機械的特性としては、可撓性、寸法安定性、及び衝撃耐性が挙げられてよい。一部の実施形態では、光学的に明澄な材料(例えば、透明)が所望され得る。好適な光学的に明澄な材料の例としては、光学的に明澄なポリエステルフィルム、トリアセテート(TAC)フィルム、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリ(メチルメタクリレート)、2軸延伸ポリプロピレン(BOPP)及び同時2軸延伸ポリプロピレン(S−BOPP)などのポリオレフィンが挙げられる。ベース部材は、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、エポキシなどを含むか、又はこれらからなり得る。
【0067】
ベース部材の厚さは変更可能であり、典型的には最終物品の使用用途によって決まる。一部の実施形態では、基材の厚さは約0.5mm未満であり、典型的には約0.02〜約0.2mmである。高分子材料は、従来のフィルム作成技術(例えば、押出及び押出フィルムの任意の1軸配向又は2軸配向)を使用して形成され得る。ベース部材15は、存在するのであれば、表被層との接着を向上するために処理され得る。このような処理の代表的なものとしては、化学処理、コロナ処理(例えば、空気又は窒素コロナ)、プラズマ、火炎、又は化学線が挙げられる。層間接着は、任意の結合層の使用又は適用される下塗りによっても向上され得る。
【0068】
最終的にディスプレイパネルでの使用が意図される物品の場合、ベース部材15及び物品10の他の構成要素は、典型的には光透過性であり、すなわち光を透過し得るため、ディスプレイを見ることができる。好適な光透過性光学フィルムとしては、多層光学フィルム、微細構造化フィルム、例えば逆反射シート及び輝度向上フィルム(例えば、反射性又は吸収性)、偏光フィルム、拡散性フィルム、並びに(例えば、2軸)リターダーフィルム及びコンペンセータフィルム、例えば米国特許第7,099,083号(Johnsonら)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
例えば、米国特許第6,991,695号(Taitら)に記載されるように、多層光学フィルムは、異なる屈折率を有するミクロ層を配列することによって少なくとも部分的に所望の透過性及び/又は反射特性を提供するフィルムである。各ミクロ層は、複数の境界面で反射された光が建設的又は破壊的干渉を受けて、フィルムに反射又は透過特性をもたらすほどに十分に薄い。光を紫外線波長、可視光波長、又は近赤外線波長で反射するように設計された光学フィルムの場合、各ミクロ層は、一般的に、約1マイクロメートル未満の光学厚さ(すなわち、物理的厚さ×屈折率)を有する。フィルム外面のスキン層、又はミクロ層のパケットを分離するフィルム内に配置される保護境界層などのより厚い層を含めることもできる。またラミネート中で多層光学フィルムの2枚以上のシートを結合するように、多層光学フィルム体に1つ以上の厚い接着剤層を含めることもできる。
【0070】
多層光学フィルムの反射特性及び透過特性には、それぞれのミクロ層の屈折率が機能する。各ミクロ層は、少なくともフィルムの局所的位置で、面内屈折率nx、nyと、フィルムの厚さ方向の軸と関連付けられた屈折率nzとによって特徴付けることができる。これらの率は、対象とする材料が、相互直行するx−、y−及びz−軸に沿って偏光する光に関し示す屈折率を表す。実際には、屈折率は、慎重な材料選択及び加工条件によって制御される。好適なフィルムは、典型的には数十又は数百の、2つの交互のポリマー(ポリマーA、B)の層を共押出し、その後、任意で、多層押出物に1つ以上の多層化ダイを通過させ、次に、押出物を伸張するか、あるいは配向させて、最終フィルムを形成することによって、作成することができる。生じたフィルムは、複数の(例えば、数十又は数百も)のミクロ層で構成されており、その厚み及び屈折率は、可視又は近赤外などの所望のスペクトル領域において1つ以上の反射帯域をもたらすように調整されている。
【0071】
高分子多層光学フィルムの作製の際に用いることができる代表的な材料は、国際公開第99/36248号(Neavinら)で見ることができる。望ましくは、材料のうちの少なくとも1つは、応力光学係数の絶対値が大きいポリマーである。換言すれば、ポリマーは、延伸される際、大きな複屈折(少なくとも約0.05、より25好ましくは少なくとも0.1又は更には0.2)を示す。多層フィルムの用途によっては、複屈折は、フィルムの面の2つの直行する方向の間、1つ以上の面内の方向とフィルム面に垂直な方向との間、又はこれらの組み合わせで生じる可能性がある。延伸していないポリマー層間の等方性の屈折率が幅広く分離している特別な場合には、少なくとも1つのポリマーでの大きい複屈折に対する選好性は、多くの場合、なおも複屈折が望ましいとしても、緩和される可能性がある。このような特別な場合は、ミラーフィルム及び2軸プロセスを使用して形成される偏光器フィルムのためのポリマーの選択において生じる場合があり、2軸プロセスは、フィルムを2つの直交する面内の方向に引く。更に、望ましくはポリマーは、延伸後に複屈折を維持する能力を有し、これにより最終的なフィルムには所望の光学的特性が付与される。第2ポリマーは、最終的なフィルムにおける第2ポリマーの屈折率が、少なくとも1つの方向で、同方向において第1ポリマーの屈折率と著しく異なるように、多層フィルムの他の層に選択され得る。便宜上、フィルムは、わずかに2つの異なるポリマー材料のみを使用して組み立てることができ、押出プロセス中にこれらの材料を交互配置して、交互の層A、B、A、Bなどを作製する。しかしながら、2つの異なるポリマー材料を交互に配置することは必須ではない。その代わりに、多層光学フィルムの各層は、フィルム内の他の層には見られない特有の材料又はブレンドから構成することができる。好ましくは、同じ又は同様の溶融温度を有するポリマーは、共押出される。
【0072】
十分な屈折率の差及び十分な層間接着性の両方をもたらす2つのポリマーの代表的な組み合わせとしては、(1)優先的1軸延伸によるプロセスを使用して作製された偏光多層光学フィルムには、PEN/coPEN、PET/coPET、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/Eastar(商標)ポリエステル及びPET/Eastar(商標)ポリエステルがあり、ここで「PEN」は、ポリエチレンナフタレートを指し、「coPEN」は、ナフタレンジカルボン酸系のコポリマー又はブレンドを指し、「PET」は、ポリエチレンテレフタレートを指し、「coPET」は、テレフタル酸系のコポリマー又はブレンドを指し、「sPS」は、シンジオタクチックポリスチレン及びその誘導体を指し、Eastar(商標)は、Eastman Chemical Co.から市販されているポリエステル又はコポリエステル(シクロヘキサンジメチレンジオール単位及びテレフタレート単位を含むと考えられる)の商品名であり、(2)2軸延伸工程の加工条件を操作することによって作成された偏光多層光学フィルムには、PEN/coPEN、PEN/PET、PEN/PBT、PEN/PETG、及びPEN/PETcoPBTがあり、ここで、「PBT」は、ポリブチレンテレフタレートを指し、「PETG」は、第2のグリコール(通常シクロヘキサンジメタノール)を使用するPETのコポリマーを指し、「PETcoPBT」は、エチレングリコールと1,4ブタンジオールの混合物を有するテレフタル酸又はそのエステルのコポリエステルを指し、(3)ミラーフィルム(有色ミラー・フィルムを含む)には、PEN/PMMA、coPEN/PMMA、PET/PMMA、PEN/Ecdel(商標)熱可塑性ポリエステル、PET/Ecdel(商標)熱可塑性ポリエステル、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/coPET、PEN/PETG及びPEN/THV(商標)フルオロポリマーがあり、ここで、「PMMA」は、ポリメチルメタクリレートであり、Ecdel(商標)は、Eastman Chemical Co.から市販されている熱可塑性ポリエステル又はコポリエステル(シクロヘキサンジカルボキシレート単位、ポリテトラメチレンエーテルグリコール単位、及びシクロヘキサンジメタノール単位を含むと考えられる)の商品名であり、THV(商標)は、3M Companyから市販されているフルオロポリマーの商品名である。
【0073】
好適な多層光学フィルム及び関連構造の更なる詳細については、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、及び国際公開第95/17303号(Ouderkirkら)及び同第99/39224号(Ouderkirkら)に見出せる。高分子多層光学フィルム及びフィルム体には、それらの光学的特性、機械的特性、及び/又は化学的特性に関して選択した追加的な層及びコーティングを含ませることができる。また高分子フィルム及びフィルム体には、無機層、例えば金属又は金属酸化物コーティング又は層を含ませることもできる。
【0074】
他の実施形態では、ベース部材15は、ガラス、金属シート、厚紙、織物材料、布地、などの任意の様々な非高分子材料を含むか、又はそれらからなり得る。
【0075】
オーバーコート
オーバーコート14は、シロキサンを結合することのできる構成要素を含む硬化性液体オーバーコート組成物を、本体部材12の前面16の少なくとも一部分に適用することで形成される。次に、コーティング組成物は、シロキサンを結合した固体のオーバーコート14が形成されるように硬化される。
【0076】
生じたオーバーコートは、親水性であり、好ましくは高度に親水性である。例示的な実施形態では、生じたオーバーコートは、約0.3〜約1マイクロメートルの厚さであり、下部の本体部材のダイヤモンド様表被層は、約0.1〜約2マイクロメートルの厚さである。このような組み合わせは、耐久性のある清浄性及び損傷抵抗性において有用な組み合わせを提供する。本発明の物品は、構成要素の層に関しその他の厚さを使用して作製することもできる。
【0077】
一部の実施形態では、オーバーコートは、ホスフェートシラン及びスルホネートシランからなる群からの少なくとも1つの双性イオン性シランを含む。このようなシランは、所望される高親水性を清浄可能な表面に付与するために、少なくとも1つのホスフェート基(PO
4−3)又はスルホネート基(SO
3−)を含む。
【0078】
双性イオン性スルホネート官能性化合物の実例としては、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)及び国際公開第2007/146680号(Schlenoff)及び同第2009/119690号(Yamazakiら)に記載されているものが挙げられる。
【0079】
特定の実施形態では、本発明の溶液及び組成物で使用される双性イオン性スルホネート−有機シラノール化合物は、以下の式(I)を有し、
(R
1O)
p−Si(R
2)
q−W−N
+(R
3)(R
4)−(CH
2)
m−SO
3− (I)
(式中、
R
1は、各々独立して、水素、メチル基、又はエチル基であり、
R
2は、各々独立して、メチル基又はエチル基であり、
R
3及びR
4は、各々独立して、飽和又は不飽和、直線状、分枝状、又は環状有機基であり、これらは互いに、任意に基Wの原子と結合して環を形成してよく、
Wは有機連結基であり、
p及びmは1〜3の整数であり、
qは0又は1であり、
p+qは3である。)
【0080】
式(I)の有機連結基Wは、好ましくは、飽和又は不飽和、直線状、分枝状、又は環状有機基から選択される。連結基Wは好ましくはアルキレン基であり、カルボニル基、ウレタン基、尿素基、酸素、窒素、及び硫黄などのヘテロ原子、並びにこれらの組み合わせを含んでよい。好適な連結基Wの例としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキル置換シクロアルキレン基、ヒドロキシ置換アルキレン基、ヒドロキシ置換モノオキサアルキレン基、モノオキサ骨格置換を有する二価の炭化水素基、モノチア骨格置換を有する二価の炭化水素基、モノオキソ−チア骨格置換を有する二価の炭化水素基、ジオキソ−チア骨格置換を有する二価の炭化水素基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン基、及び置換アルキルアリーレン基が挙げられる。
【0081】
式(I)の双性イオン性化合物の好適な例は、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)及び国際公開第2007/146680号及び同第2009/119690号に記載されており、以下の双性官能基(−W−N
+(R
3)(R
4)−(CH
2)
m−SO
3−):
【0083】
特定の実施形態では、本発明の溶液及び組成物で使用されるスルホネート−有機シラノール化合物は、以下の式(II)を有し
(R
1O)
p−Si(R
2)
q−CH
2CH
2CH
2−N
+(CH
3)
2−(CH
2)
m−SO
3− (II)
(式中、
R
1は、各々独立して、水素、メチル基、又はエチル基であり、
R
2は、各々独立して、メチル基又はエチル基であり、
p及びmは1〜3の整数であり、
qは0又は1であり、
p+qは3である。)
【0084】
式(II)の双性イオン性化合物の好適な例は、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)で記載されており、例えば、
(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−N
+(CH
3)
2−CH
2CH
2CH
2−SO
3−、及び
(CH
3CH
2O)
2Si(CH
3)−CH
2CH
2CH
2−N
+(CH
3)
2−CH
2CH
2CH
2−SO
3−が挙げられる。
【0085】
実施例の項で例示する標準的手技を用いて作成可能な好適な双性イオン性化合物のその他の例としては、以下のものが挙げられる。
【0087】
スルホネート官能コーティング組成物は、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、少なくとも約0.1重量%、及び多くの場合、少なくとも約1重量%の量でスルホネート官能化合物を含む。スルホネート官能コーティング組成物は、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約20重量%以下、多くの場合、5重量%以下の量でスルホネート官能化合物を含む。一般的に、単層コーティングの厚さには、相対的に希釈されたコーティング組成物が用いられる。あるいは、相対的に濃縮されたコーティング組成物を使用し、その後洗い流すことができる。
【0088】
スルホネート官能コーティング組成物は、好ましくはアルコール、水、又はヒドロアルコール性溶液(すなわちアルコール及び/又は水)を含む。典型的には、このようなアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール(例えば、C
1〜C
8のアルコール、より典型的にはC
1〜C
4のアルコール)である。好ましくは、スルホネート官能コーティング組成物は水溶液である。本明細書で用いられるとき、用語「水溶液」は水を含有する溶液を意味する。このような溶液は、水を唯一の溶媒として使用してよく、又はアルコールとアセトンなど、水と有機溶媒の組み合わせを使用してもよい。また、凍結融解安定性を向上するために、親水処理用組成物に有機溶媒を含めてもよい。典型的には、溶媒は、組成物の最大約50重量%、及び好ましくは組成物の約5重量%〜約50重量%の範囲で存在する。
【0089】
スルホネート官能コーティング組成物は、酸性、塩基性、又は中性であってよい。コーティングの耐久性能は、pHの影響を受け得る。例えば、スルホネート官能双性イオン性化合物を含有するコーティング組成物は、好ましくは中性である。
【0090】
スルホネート官能コーティング組成物は、様々な粘度で提供され得る。したがって、例えば粘度は、水様の低いものから、ペースト様の高いものまで可変であり得る。また、ゲル形態で提供することもできる。更に、様々なその他の成分を組成物に組み込むこともできる。
【0091】
したがって、例えば、従来の界面活性剤、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤を用いることができる。洗剤及び湿潤剤もまた使用できる。典型的には、以下の下塗り組成物について記載したもののような、アニオン性界面活性剤、洗剤、及び湿潤剤も、本発明のスルホネート官能コーティング組成物に有用である。本明細書で使用するとき、「界面活性剤」という用語は、コーティング溶液の表面張力を低下させることができる、同一分子に親水性(極性)及び疎水性(非極性)領域を含む分子を表す。有用な界面活性剤としては、米国特許第6,040,053号(Scholzら)に開示されるものが挙げられる。
【0092】
シリカナノ粒子の典型的な濃度(例えば、総コーティング組成物に対して、約0.2〜約15重量%)において、大部分の界面活性剤は、コーティングの抗反射特性を保持するためにコーティング組成物の約0.1重量%、好ましくは約0.003〜約0.05重量%を構成する。一部の界面活性剤では、防曇特性を得るのに必要な濃度を超える濃度で、むらのあるコーティングが生じることに留意すべきである。
【0093】
下塗りコーティング組成物中のアニオン性界面活性剤は、添加により、得られるコーティングの均一性を向上させるものであることが好ましい。有用なアニオン性界面活性剤としては、(1)C
6〜C
20のアルキル、アルキルアリール、及び/又はアルケニル基などの少なくとも1つの疎水性部分、(2)サルフェート、スルホネート、ホスフェート、ポリオキシエチレンサルフェート、ポリオキシエチレンスルホネート、ポリオキシエチレンホスフェートなどの少なくとも1つのアニオン性基、並びに/又は(3)これらのアニオン性基の塩であって、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、第3級アミノ塩などを含むもの、を含む分子構造を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。有用なアニオン性界面活性剤の代表的な市販例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(例えばHenkel Inc.(Wilmington,DE)のTEXAPON(商標)L−100、又はStepan Chemical Co(Northfield,IL)のPOLYSTEP(商標)B−3);ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(例えばStepan Chemical Co.(Northfield,IL)のPOLYSTEP(商標)B−12);ラウリル硫酸アンモニウム(例えばHenkel Inc.(Wilmington,DE)のSTANDAPOL(商標)A);及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えばRhone−Poulenc,Inc.(Cranberry,NJ)のSIPONATE(商標)DS−10)が挙げられる。
【0094】
下塗りコーティング組成物が界面活性剤を含まない場合、又はコーティング均一性を向上させることが望ましい場合には、防曇特性が長持ちしないものなどの別の湿潤剤を添加すると、水性又は水性アルコール溶液による物品の均一なコーティングを確実に行ううえで効果的である場合がある。有用な湿潤剤の例としては、ポリエトキシレート化アルキルアルコール(例えば、ICI Americas,Inc.のBRIJ(商標)30及びBRIJ(商標)35、並びにUnion Carbide Chemical and Plastics Co.のTERGITOL(商標)TMN−6(商標)Specialty Surfactant)、ポリエトキシレート化アルキルフェノール(例えば、Union Carbide Chemical and Plastics Co.のTRITON(商標)X−100、BASF Corp.のICONOL(商標)NP−70)、及びポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(TETRONIC(商標)1502ブロックコポリマー界面活性剤、TETRONIC(商標)908ブロックコポリマー界面活性剤、及びPLURONIC(商標)F38ブロックコポリマー界面活性剤、全てBASF,Corp.より)が挙げられる。当然のことながら、添加される湿潤剤はいずれも、コーティングの反射防止又は防曇特性(これらの特性が望まれる場合)を損なわない濃度で含めなければならない。一般的に、湿潤剤は、シリカナノ粒子の量に応じて、コーティング組成物の0.1重量%未満、好ましくはコーティング組成物の約0.003〜約0.05重量%の量で使用される。コーティングされた物品を水で濯ぐ又は水中に浸漬することが、過剰な界面活性剤又は湿潤剤を除去するために望ましい場合がある。
【0095】
スルホネート官能コーティング組成物は、バー、ロール、カーテン、輪転グラビア、スプレー、又はディップコーティング技術などの従来の技術を用いて物品上にコーティングされることが好ましい。好ましい方法としては、バー及びロールコーティング、又は厚さを調整するためにエアナイフコーティングが挙げられる。
【0096】
本発明のスルホネート官能コーティングは、好ましくは単層の厚さで適用される。典型的には、スルホネート官能コーティングの厚さは、Gaertner Scientific Corp型番L115Cなどの楕円偏光計を用いて測定したとき、約10マイクロメートル以下、好ましくは約1マイクロメートル以下である。
【0097】
本発明のスルホネート官能コーティングは、必要に応じて基材の両面にコーティングされ得る。あるいは、本発明のコーティングは、基材の片面にコーティングされ得る。コーティングされると、スルホネート官能物品は、典型的には、再循環炉で約20℃〜約150℃の温度で乾燥される。不活性ガスが循環してもよい。乾燥プロセスを加速させるために更に温度を上げてもよいが、基材への損傷は回避されるよう注意を払わなければならない。
【0098】
スルホネート官能コーティング組成物は、これを用いてコーティングした表面に防曇特性を提供する。防曇特性は、コーティングされた基材の透明性を著しく低下させる傾向がある水滴の形成に耐性を有するコーティングの傾向により示される。例えば人間の呼吸から生じる水蒸気は、水滴としてではなく、薄い均一な水フィルムの形態でコーティングされた基材上で凝結する傾向がある。このような均一なフィルムは、基材の明澄性又は透明性をそれほど低下させない。
【0099】
物品
加えて、例えば、乾式消去物品のような本発明の清浄可能な物品は、例えば、フレーム、材料及び用具、例えば筆記用具、イレーザー、布、メモ用紙などの保存手段、運搬用の取っ手、保護カバー、垂直表面への吊り下げ手段、イーゼルなどの任意要素を更に含んでよい。
【0100】
使用方法
本発明の清浄可能な物品は、例えば、乾いた布、紙タオルなどで単純に拭くか、又は場合によっては、水を使用して布、紙タオルなどにより拭くことで容易に清浄され得る。
【0101】
例えば、物品が乾燥消去物品である実施形態では、オーバーコートの表面にすぐに書き込むことが可能であり、その後に、容易に清浄され得る。意義深いことに、好ましくは水及び/又は水蒸気(例えば、息)を最初に適用した後で拭くことにより、油性マーカーでさえも容易に除去することができる。典型的には、本発明の方法は、水(例えば、室温の水道水)及び/又は水蒸気(例えば、ヒトの息)単に吹きかけ及び拭き取ることで、表面から油性マーカーの書き込みを除去する工程を含む。本明細書で使用するとき、「拭く」は、典型的には手により、例えば、ティッシュ、ペーパータオル、又は布を用いて、高い圧をかけずに(例えば、通常は350グラム以下)、1回以上の往復又は摩擦(典型的には、ほんの数回を必要とする)で優しく拭くことを意味する。
【0102】
場合によっては、例えば、乾燥消去ボードなどの表面の清浄は、好ましくは、Windex(商標)Glass Cleaner(SC Johnson Co.,Racine,WI)などの水系ガラスクリーナーであるクリーナー組成物を使用して促進される。
【実施例】
【0103】
本発明は、以下の具体的な非限定実施例により更に説明される。
【0104】
実施例に使用する材料は、以下を含む:
【0105】
【表1】
【0106】
油性マーカー書き込みの除去評価において、以下の試験方法を使用した。
【0107】
試験表面上にSharpie(商標)黒色油性マーカーで書き込んだ。室温で24時間後、表面に水を適用した。次に、濡れた紙タオルで表面上の書き込みを擦った。書き込みが除去されるか、ボード上に残されたマーカーの量に変化が見られなくなるまで擦り続けた。濡れた紙タオルを動かすことで書き込みが除去されるか、あるいは除去されないかを記録した。水のみで除去するのが難しい油性マーカーに関しては、書き込みに対しWINDEX(商標)ガラスクリーナーをいくらか噴霧した後、紙タオルで拭いて除去した。
【0108】
高光沢前面を有する本体部材を備える再書き込み可能な物品(実施例1)及び艶消前面を有するもの(実施例2)をダイヤモンド様ガラスでコーティングし、表被層を形成し、以下で記載される双性イオン性シラン組成物を適用して、本発明によるオーバーコートを形成した。24時間の乾燥後、Sharpie(商標)油性マーカーの除去性を試験した。7回目の使用後に観察された傷に示されるように、実施例2の艶消仕上げ物品は、実施例1の光沢物品よりも摩耗耐性が高かった。
【0109】
実施例1におけるオーバーコートを、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(49.7g、239mmol)をねじ口付き瓶に加えた後に、脱イオン化(DI)水(82.2g)及び1,4−ブタンスルトン(32.6g、239mmol)を加えて調製される組成物から形成した。混和した反応混合物を75℃まで温め、14時間混合した。生じた反応混合物を水中で2重量%まで希釈し、最終コーティング組成物を得た後、本体部材の前面に適用した。
【0110】
実施例2では、2重量%の水溶液[LITHISIL(商標)25ケイ酸リチウム:実施例1の準備組成物(23:77w/w)]として調製した組成物からオーバーコートを形成した。
【0111】
10回使用後、100%のSHARPIE(商標)黒色油性マーカーは、まだ容易に除去できた。7回目の使用後、マーカーは光沢サンプルに傷をつけたが、艶消光学構造表面サンプルの誘導されるロールにはマーカーによる傷はつかなかった。したがって、耐久性は、任意の好適なプロセスによるハードコート表面の微細構造化によって向上する。
【0112】
【表2】
【0113】
添付図面を参照しながら、本発明を好ましい実施形態と関連付けて完全に説明したが、様々な変更及び修正が当業者に明らかであることに留意されたい。そのような変更及び修正は、添付された特許請求の範囲によって定められるような本発明の範囲から逸脱しない限り、これに含まれるものと理解すべきである。本明細書に引用される全ての特許、特許書類、及び刊行物の完全な開示は、参照によりそれら全体が組み込まれる。