特許第6386927号(P6386927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化成品工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6386927-保温容器 図000002
  • 特許6386927-保温容器 図000003
  • 特許6386927-保温容器 図000004
  • 特許6386927-保温容器 図000005
  • 特許6386927-保温容器 図000006
  • 特許6386927-保温容器 図000007
  • 特許6386927-保温容器 図000008
  • 特許6386927-保温容器 図000009
  • 特許6386927-保温容器 図000010
  • 特許6386927-保温容器 図000011
  • 特許6386927-保温容器 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386927
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】保温容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20180827BHJP
   A47J 36/28 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B65D81/18 F
   A47J36/28
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-17735(P2015-17735)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141424(P2016-141424A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100160668
【弁理士】
【氏名又は名称】美馬 保彦
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
(72)【発明者】
【氏名】島袋 出
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−153278(JP,U)
【文献】 特開2009−039377(JP,A)
【文献】 特開2005−206213(JP,A)
【文献】 特開2001−278279(JP,A)
【文献】 実開昭63−057267(JP,U)
【文献】 実開昭52−038762(JP,U)
【文献】 国際公開第98/031608(WO,A1)
【文献】 特開2013−147263(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132387(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/18
B65D 81/38
A47J 36/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口した開口部が形成された容器本体と、前記容器本体の前記開口部を覆うように被着自在な蓋体とを備え、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、酸素と反応することにより発熱する発熱体と共に被梱包物を収容する収容空間が、形成される保温容器であって、
前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記保温容器の側壁部には、前記保温容器の外部と前記収容空間とを連通する貫通孔が形成されており、
前記保温容器の前記側壁部を水平方向から見た側面視において、前記保温容器の外部から前記貫通孔を介して前記収容空間が見えず、前記保温容器の前記側壁部を前記水平方向に対して斜め下方向から見たときに、前記保温容器の外部から前記貫通孔を介して前記収容空間が見えるように、前記貫通孔が形成されていることを特徴とする保温容器。
【請求項2】
前記貫通孔を形成する上側壁面は、前記収容空間側に進むに従って、前記水平方向に対して上方に傾斜した傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の保温容器。
【請求項3】
前記収容空間を形成する前記保温容器の内壁面には、前記内壁面の少なくとも上下方向に沿って、前記貫通孔に連続するように複数の溝部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の保温容器。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記収容空間を挟んで対向する位置に少なくとも一対形成されており、前記複数の溝部は、各貫通孔を介して前記内壁面を周回するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の保温容器。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記蓋体と前記容器本体との間に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の保温容器。
【請求項6】
前記蓋体と前記容器本体には、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、相互に嵌合する嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保温容器。
【請求項7】
前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記容器本体と前記蓋体とが当接する部分よりも前記保温容器の底部側に前記貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の保温容器。
【請求項8】
前記保温容器は、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記容器本体と前記蓋体とが当接する部分の外壁面に粘着テープを貼着することにより、前記容器本体と前記蓋体とを一体にして、前記収容空間に前記発熱体と共に前記被梱包物を梱包するものであり、
前記貫通孔は、前記粘着テープが貼着される領域よりも前記保温容器の底部側に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の保温容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海ブドウや野菜などの生鮮品や花卉などの植物を好適に保温しながら輸送することができる保温容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、海ブドウや野菜などの生鮮品や花卉などの植物の被梱包物を冬季に輸送するにあたって、輸送中に生鮮品や植物が低温の外気によって損なわれるのを防止するための保温容器が種々提供されている。たとえば、沖縄などの南国が主産地である海ブドウ(海藻の一種)は冬季消費地で12℃以下になるとその商品価値がなくなってしまう。
【0003】
そこで、現在冬季には温媒として使い捨てカイロ等の発熱体を、被梱包物と共に保温容器内に収容して搬送している。たとえば、特許文献1に記載の技術では、酸素が流入可能なダンボールからなる外箱内に、被梱包物を収納するための収納部が形成され且つ発泡体からなる内箱を配設し、外箱と内箱との間に、使い捨てカイロなどの発熱体を配設している。
【0004】
この技術では、ダンボールからなる外箱の継目または隙間などから、外箱内部に酸素が流入することにより、発熱体を発熱させ、内箱内の被梱包物の保温性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3132387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すように、ダンボール板から外箱(保温容器)を組み立てる際に形成される継目および隙間では、外箱外部から外箱内部に酸素が十分に流入しないことが想定され、発熱体による発熱を十分に期待することができないことが考えられる。
【0007】
この点を鑑みると、内部に酸素が十分に流入するように、外箱である保温容器に通気孔(貫通孔)をあけることも考えられるが、単に貫通孔を設けた場合には、内部に冷気が入り込んでしまい、その保温性が損なわれることが考えられる。
【0008】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、酸素と反応することにより発熱する発熱体を収容した状態で、この発熱体に十分に酸素を供給しつつ、保温容器の保温性を保持することができる保温容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決すべく、本発明に係る保温容器は、上方に開口した開口部が形成された容器本体と、前記容器本体の開口部を覆うように被着自在な蓋体とを備え、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、酸素と反応することにより発熱する発熱体と共に被梱包物を収容する収容空間が、形成される保温容器であって、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記保温容器の側壁部には、前記保温容器の外部と前記収容空間とを連通する貫通孔が形成されており、前記保温容器の前記側壁部を水平方向から見た側面視において、前記保温容器の外部から前記貫通孔を介して前記収容空間が見えず、前記保温容器の前記側壁部を前記水平方向に対して斜め下方向から見たときに、前記保温容器の外部から前記貫通孔を介して前記収容空間が見えるように、前記貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、保温容器の側壁部に、保温容器の外部と収容空間とを連通する貫通孔が形成されているので、貫通孔を介して保温容器の外部から収容空間に配置された発熱体に酸素を供給することができる。これにより、貫通孔を介して供給された酸素に反応させて、発熱体を発熱させることができる。
【0011】
さらに、貫通孔が、側面視において、保温容器の外部から貫通孔を介して前記収容空間が見えず、斜め下方向から見たときに、保温容器の外部から貫通孔を介して収容空間が見えるように、形成されている。これにより、保温容器の外部上方から下方に向かって流れる冷気は貫通孔に沿って(前記斜め下方向に沿って)流れ難く、保温容器の外部の冷気が貫通孔を介して収容空間に取り込まれ難い。
【0012】
さらに、保温容器の収容空間で発熱体の発熱により得られた暖気は、保温容器の下方から上方に向かって一般的に流れやすいところ、本発明では、上述した貫通孔を保温容器に形成したので、このような暖気が保温容器の収容空間から、貫通孔に沿って(前記斜め下方向に沿って)外部に流れ出し難い。
【0013】
このような結果、収容空間に収容した発熱体に十分に酸素を供給しつつ、保温容器の外部の冷気の影響を受け難く、保温容器の収容空間内の暖気を保持しやすいので、保温容器内の保温性を高めることができる。
【0014】
ここで、貫通孔を形成する上側壁面は、例えば、収容空間側に進むに従って、凸状、または凹上の壁面であってもよく、水平方向に沿った壁面を一部有していてもよく、上述した貫通孔を形成することができるのであれば、貫通孔を形成する上側壁面および下側壁面は特に限定されない。
【0015】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記貫通孔を形成する上側壁面は、前記収容空間側に進むに従って、前記水平方向に対して上方に傾斜した傾斜面を有する。この態様によれば、貫通孔を形成する上側壁面が上述した傾斜面を有するので、保温容器の外部から上方に向かう暖気が流れている場合には、この上側壁面の傾斜面に沿ってこれを流し、収容空間に取り込むことができる。
【0016】
さらに、収容空間を形成する側壁部の内壁面は、保温容器の外部から貫通孔を介して酸素を取り込むことができるのであれば、平面、曲面など特に限定されない。より好ましい態様としては、前記収容空間を形成する前記保温容器の内壁面には、前記内壁面の少なくとも上下方向に沿って、前記貫通孔に連続するように複数の溝部が形成されている。この態様によれば、貫通孔から取り込まれた酸素は、側壁部の内壁面に沿って形成された複数の溝部に沿って案内される。したがって、この複数の溝部が形成された部分に、発熱体を配置すれば、溝部が酸素を供給する通路となるので、発熱体に安定して酸素を供給することができる。
【0017】
また、本発明では、貫通孔の個数、およびその位置は、特に限定されないが、より好ましい態様としては、前記貫通孔は、前記収容空間を挟んで対向する位置に少なくとも一対形成されており、前記複数の溝部は、各貫通孔を介して前記内壁面を周回するように形成されている。
【0018】
この態様によれば、複数の溝部が、各貫通孔を介して前記内壁面を周回するように形成されているので、溝部は、収容空間を形成する保温容器の上下の内壁面にも形成されることになる。これにより、貫通孔を介して取り込まれた酸素が、上下の内壁面に沿って形成された溝部にも案内されることになるので、上下の内壁面に配置した発熱体にも、安定して酸素を供給することができる。この結果、収容空間内をより均一に保温することができる。
【0019】
上述した貫通孔は、容器本体の側壁部に形成してもよいが、より好ましい態様としては、前記貫通孔は、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記蓋体と前記容器本体との間に形成されている。この態様によれば、貫通孔と容器本体との間、すなわち接合部分近傍設けることができるので、製造時に保温容器に貫通孔を成形し易い。
【0020】
さらに好ましい態様としては、前記蓋体と前記容器本体には、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、相互に嵌合する嵌合部が形成されている。このような嵌合部により、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で相互に嵌合することができるので、容器本体から蓋体が衝撃等により脱落することを防止することができる。さらに、容器本体と蓋体とが嵌合部により強固な状態で一体化されている場合には、これらを一体化すべくこれらが当接する部分の外壁面に粘着テープを貼着する作業も省略することができる場合もある。これにより、粘着テープで貫通孔が塞がれる可能性が低くなる。
【0021】
さらに、好ましい態様としては、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記容器本体と前記蓋体とが当接する部分よりも前記保温容器の底部側に前記貫通孔が形成されている。この態様によれば、貫通孔が容器本体と蓋体とが当接する部分よりも保温容器の底部側に形成されているので、貫通孔から容器本体により形成された収容空間の部分に、酸素を供給しやすい。
【0022】
このような貫通孔のより好ましい態様としては、前記保温容器は、前記容器本体に前記蓋体を被着した状態で、前記容器本体と前記蓋体とが当接する部分の外壁面に粘着テープを貼着することにより、前記容器本体と前記蓋体とを一体にして、前記収容空間に前記発熱体と共に前記被梱包物を梱包するものであり、前記貫通孔は、前記粘着テープが貼着される領域よりも前記保温容器の底面側に形成されている。
【0023】
この態様によれば、容器本体と前記蓋体とが当接する部分の外壁面に粘着テープを貼着する際に、貫通孔は、粘着テープが貼着される領域よりも保温容器の底面側に形成されているので、貫通孔を粘着テープで塞ぐことを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、酸素と反応することにより発熱する発熱体を収容した状態で、この発熱体に十分に酸素を供給しつつ、保温容器の保温性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る保温容器の模式的分解斜視図。
図2図1に示す容器本体を下方から見た斜視図。
図3図1に示す蓋体を下方から見た斜視図。
図4図1に示す保温容器の模式的斜視図。
図5図4のA−A線に沿った矢視断面図。
図6】(a)は、図5のB−B線に沿った矢視断面図であり、(b)は、蓋体と容器本体の嵌合状態を示した断面図、(c)は、(b)に示す蓋体と容器本体の嵌合部の変形例を示した断面図。
図7】(a)は、図1に示す保温容器の貫通孔を説明するための模式的断面図であり、(b)〜(d)は、その変形例に係る模式的断面図。
図8】(a)は、本発明の第2実施形態に係る保温容器の模式的斜視図であり、(b)は、(a)の上面図。
図9】本発明の第2実施形態に係る蓋体を下方から見た斜視図。
図10】本発明の第3実施形態に係る保温容器の模式的分解斜視図。
図11図10に示す保温容器の模式的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下に、図1図7を参照して、第1実施形態に係る保温容器10を説明する。
本実施形態に係る保温容器10は、海ブドウや野菜などの生鮮品や花卉などの植物を被梱包物として収容し、これを保温しながら搬送するための容器であり、本実施形態では、被梱包物に海ブドウを例示にして、以下に説明する。
【0027】
図1に示すように、保温容器10は、容器本体20および蓋体30からなる。蓋体30は、容器本体20の開口部20eを覆うように被着自在となっており、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、内部に上述した被梱包物を収容する収容空間Sが形成される(例えば図5,6参照)。
【0028】
なお、この収容空間Sには、酸素と反応することにより発熱する発熱体である使い捨てカイロ60、被梱包物(海ブドウ)Pを収納した収納箱50、発泡シート41〜43の配置状態については、後述する保温容器10の使用方法において後述する。
【0029】
ここで、容器本体20、蓋体30、および後述する収納箱50は、発泡樹脂からなり、たとえば、ポリスチレン、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。
【0030】
中でも、ポリスチレンまたはスチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡による成型体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。
【0031】
また、ポリスチレンの発泡体の発泡倍率は30〜80倍が好ましい。本実施形態の保温容器10で使用する発泡樹脂は、従来に比較して発泡倍率を高めに設定している。このように発泡倍率を高めることで、荷重が加わったときに従来の発泡倍率の場合と比較して、より潰れやすく緩衝効果に優れた構成となっている。
【0032】
図1,2に示すように、容器本体20は、長辺及び短辺を有する上面視矩形状の形状であり、長辺および短辺を有する矩形状の底部24から立ち上った4つの側壁部21により、上方に開口した開口部20eが形成されている。容器本体20に蓋体30を被着した状態で、容器本体20の側壁部21が保温容器10の側壁部11となり、容器本体20の底部24が保温容器10の底部14となる。本発明でいう「収容空間を形成する保温容器の内壁面」は、本実施形態では、容器本体20の内側面21a、内側底面20a、および蓋体30の裏面30bで構成される。
【0033】
また、容器本体20の開口部20eを形成する開口縁20dは、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、蓋体30の裏面30bに形成された嵌合突条38に嵌合するように形成されている(図3図6(a)、(b)等参照)。
【0034】
容器本体20の側壁部21の外側面20cのうち開口縁20dの近傍に鍔部27が形成されるように、肉抜き部26が形成されている。肉抜き部26を設けることにより、容器本体20の軽量化を図ることができ、鍔部27を設けることにより、保温容器10の外側面10cから、鍔部27を介して容器本体20(保温容器10)を簡単に持ち上げて搬送することができる。
【0035】
また、図2に示すように、容器本体20の外側底面20bの周縁部には、段付き部29が形成されている。具体的には、保温容器10を上下方向に段積みした際に、上位の保温容器10の段付き部29は、下位の保温容器10の蓋体30の上面30aに形成された係合凸部39に係合するように段付き部29が形成されている。
【0036】
このように蓋体30の上面30aの係合凸部39と、容器本体20の底部24に形成された段付き部29は、上下方向に保温容器10を、短辺および長辺が一致するように段積みする際の位置決め部として作用する。
【0037】
さらに、容器本体20の長辺側の各側壁部21(具体的には鍔部27)には、切欠き部22が形成されており、長辺側の対向する一対の側壁部21,21に形成された切欠き部22,22は、開口部20eを挟んで対向する位置に形成されている。
【0038】
一方、図3に示すように、蓋体30の裏面30bの長辺側の縁部には、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、容器本体20の各切欠き部22に入り込む位置に、下方に突出した突縁部31が形成されている。
【0039】
このように、容器本体20の開口縁20dの切欠き部22と、蓋体30の裏面30bの突縁部31とを設けることにより、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、切欠き部22と突縁部31との間には、間隙が形成される。すなわち、図4および5に示すように保温容器10の側壁部11に、保温容器10の外部と収容空間Sとを連通する貫通孔12が形成され、これが容器本体20と蓋体30との間に形成されることになる。
【0040】
具体的には、容器本体20の切欠き部22は、上側に向いた傾斜面22aを有しており、傾斜面22aは、容器本体20の内方に進むに従って、水平方向Hに対して上方に傾斜している。
【0041】
一方、蓋体30の突縁部31は、下側に向いた傾斜面32bを有しており、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、傾斜面32bは、蓋体30の内方に進むに従って、水平方向Hに対して上方に傾斜している。
【0042】
このようにして、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、容器本体20の傾斜面22aと、蓋体30の傾斜面32bとは、離間して平行な位置に配置される。容器本体20の傾斜面22aが、貫通孔12を形成する下側壁面12aとなり、下側壁面12aは、収容空間S側に進むに従って、水平方向Hに対して下方に傾斜することになる。一方、蓋体30の傾斜面32bは、貫通孔12を形成する上側壁面12bとなる。
【0043】
さらに、保温容器10に形成された貫通孔12は、図5図7(a)に示すように、保温容器10の側壁部11を水平方向Hから見た側面視において、保温容器10の外部から貫通孔12を介して収容空間Sが見えず、保温容器10の側壁部11を水平方向Hに対して斜め下方向Rから見たときに、保温容器10の外部から貫通孔12を介して収容空間Sが見えるように、形成されている。
【0044】
このように構成された保温容器10の使用方法について以下に説明する。
まず、図1に示すように、容器本体20の内側底面20aに使い捨てカイロ60を配置し、この上にシート状の可撓性を有した発泡ウレタンなどからなる発泡シート43を配置する。
【0045】
次に、収容空間Sに、海ブドウPが収容される箱本体52と、箱本体52の開口部を覆うように被着した箱蓋51とからなる複数(具体的には16個)の収納箱50を整列して2段に配置する。
【0046】
次に、配列された複数の収納箱50の側面を囲繞するように、発泡ウレタンなどからなる発泡シート42を配置し、容器本体20の切欠き部22の下方の内側面21aと、発泡シート42との間に、使い捨てカイロ60を配置する。次に、配列された複数の収納箱50の上面を覆うように発泡ウレタンなどからなる発泡シート41を配置し、その上に使い捨てカイロ60を配置する。
【0047】
このようにして、使い捨てカイロ60と共に収納箱50に収納された海ブドウPを、容器本体20に収容した状態で、容器本体20に蓋体30を被着する(図5図6(a),(b)参照)。これにより、蓋体30の裏面30bの嵌合突条38が、容器本体20の開口縁20d近傍の内側面21aに嵌合し、保温容器10の収容空間Sに、使い捨てカイロ60と共に海ブドウPが梱包される。
【0048】
ここで、本実施形態では、図6(b)に示すように、蓋体30の裏面30bの嵌合突条38により、蓋体30を容器本体20に嵌合させた。この他にも、例えば、図6(c)に示すように、蓋体30の裏面30bに嵌合凹溝38Aを形成し、容器本体20に、嵌合凹溝38Aに嵌合する嵌合突条28Aを形成してもよい。
【0049】
これにより、容器本体20と蓋体30とが嵌合凹溝38Aと嵌合突条28Aとからなる嵌合部の相互の嵌合により、容器本体20と蓋体30とは、強固な状態で一体化される。したがって、これらを一体化すべく、これらが当接する部分の外壁面に粘着テープを貼着することを省略することができる。これにより、粘着テープで貫通孔12が塞がれることを回避することができる。
【0050】
このように梱包された保温容器10によれば、図5図7(a)に示すように、保温容器10の側壁部11に、保温容器10の外部と収容空間Sとを連通する貫通孔12が形成されている。これにより、貫通孔12を介して保温容器10の外部から収容空間Sに配置された使い捨てカイロ60に酸素を供給することができる。このような結果、貫通孔12を介して供給された酸素に反応させて、使い捨てカイロ60を発熱させることができる。
【0051】
特に、本実施形態では、容器本体20に蓋体30を被着した状態で、容器本体20と蓋体30とが当接する部分よりも保温容器10の底部側に貫通孔12が形成されているので、貫通孔12から容器本体20により形成された収容空間Sに酸素を供給しやすい。
【0052】
さらに、貫通孔12が、水平方向Hから見た側面視において、保温容器10の外部から貫通孔12を介して収容空間Sが見えず、斜め下方向Rから見たときに、保温容器10の外部から貫通孔12を介して収容空間Sが見えるように、形成されている。これにより、保温容器10の外部上方から下方に向かって冷気が一般的に流れやすいところ、本実施形態では、このような冷気が貫通孔12に沿って(斜め下方向Rに沿って)流れ難く、保温容器10の外部の冷気が貫通孔12を介して収容空間Sに取り込まれ難い。
【0053】
さらに、保温容器10の収容空間Sで使い捨てカイロ60の発熱により得られた暖気は、保温容器10の下方から上方に向かって一般的に流れやすいところ、上述した貫通孔12を保温容器10に形成したので、このような暖気が保温容器10の収容空間から貫通孔12に沿って(斜め下方向Rに沿って)その外部に流れ出し難い。
【0054】
このような結果、収容空間Sに収容した使い捨てカイロ60に十分に酸素を供給しつつ、保温容器10の外部の冷気の影響を受け難く、保温容器10の収容空間S内の暖気を保持しやすいので、保温容器10の保温性を高めることができる。
【0055】
さらに、貫通孔12を形成する上側壁面12bは、収容空間S側に進むに従って、水平方向Hに対して上方に傾斜した傾斜面32bであるので、保温容器10の外部から上方に向かう暖気が流れている場合には、上側壁面12bの傾斜面32bに沿って暖気を流し、収容空間Sに取り込むことができる。
【0056】
ここで、貫通孔12は、水平方向Hから見た側面視において、保温容器10の外部から貫通孔12を介して収容空間Sが見えず、斜め下方向Rから見たときに、保温容器10の外部から貫通孔12を介して収容空間Sが見えるように、形成されていればよい。
【0057】
したがって、図7(b)に示す変形例のように、貫通孔12を形成する上側壁面12bが、下側壁面12aよりも、外側に張り出すように形成されていてもよい。これにより、保温容器10の外部から上方に向かう暖気を、保温容器内に取り込み易くなる。
【0058】
また、図7(c)に示すように、下側壁面12aが、収容空間S側に進むに従って下方に傾斜してもよい。これにより、上側壁面12bと下側壁面12aとの間に、絞り構造を形成することができるため、収容空間Sの暖気が外部に逃げ難くなる。さらに、図7(d)に示すように、上側壁面12bの一部を傾斜面32bとし、その一部に水平方向Hに沿った平坦面12cを形成してもよい。
【0059】
〔第2実施形態〕
以下に、図8図9を参照して、第2実施形態に係る保温容器を説明する。第1実施形態と相違する点は、容器本体20Aの内側面21aおよび内側底面20aに複数の溝部25を設けた点と、蓋体30Aの裏面30bに複数の溝部35を設けた点である。したがって、第1実施形態の保温容器の構成と同じ構成は、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、図8(a),(b)に示すように、収容空間Sを形成する(保温容器10A)の容器本体20Aの対向する一対の内側面21aには、内側面21aの上下方向に沿って、貫通孔12(切欠き部22)に連続するように複数の溝部25,25,…が形成されている。さらに、図8(b)に示すように、対向する内側面21aに形成された各溝部25は、内側底面20aにおいて連続して形成されている。さらに、図9に示すように、蓋体30Aの裏面30bには、対向する一対の突縁部31を繋ぐように、複数の溝部35,35,…が形成されている。
【0061】
このように、容器本体20Aおよび蓋体30Aに複数の溝部25,35を形成することにより、収容空間Sを挟んで対向する位置に形成された一対の貫通孔12,12を介して、複数の溝部25,35が、保温容器10Aの内壁面(容器本体20の内側面21a、内側底面20a、および蓋体30の裏面30b)を周回するように形成されることになる。
【0062】
このようにして、貫通孔12,12から取り込まれた酸素は、保温容器の側壁部11(容器本体20の側壁部21)の内側面11a(21a)に形成された複数の溝部25,25,…に沿って案内される。この複数の溝部25,25,…は、内側底面20aにおいて連続して形成されているので、底部24(収容空間の下方)にも酸素が案内される。さらに、蓋体30Aの裏面30bにも複数の溝部35,35,…が形成されているので、これらの複数の溝部35,35,…に沿って、貫通孔12,12から取り込まれた酸素が収容空間Sの上方にも案内される。
【0063】
このような結果、複数の溝部25,25,…(35,35,…)により形成された部分(具体的には、溝部25,25(35,35)同士の間に形成された複数の突条)に、使い捨てカイロ60を配置すれば、溝部25(35)が酸素を供給する通路となるので、使い捨てカイロ60に安定して酸素を供給することができる。
【0064】
特に、保温容器の上側の内壁面(蓋体の裏面30b)、下側の内壁面(容器本体20の内側底面20a)の近傍に配置した使い捨てカイロ60にも、安定して酸素を供給することができるので、使い捨てカイロ60で収容空間S内をより均一に保温することができる。
【0065】
〔第3実施形態〕
以下に、図10図11を参照して、第3実施形態に係る保温容器10Bを説明する。第1実施形態と相違する点は、容器本体20Bの切欠き部22B、および蓋体30Bの突縁部31Bの形状であり、保温容器10Bの貫通孔12Bの位置である。したがって、第1実施形態の保温容器の構成と同じ構成は、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、図11に示すように、保温容器10Bは、容器本体20Bに蓋体30Bを被着した状態で、容器本体20Bと蓋体30Bとが当接する部分10gの外壁面に粘着テープTを貼着する。これにより、容器本体20Bと蓋体30Bとを一体にして、収容空間に使い捨てカイロ60と共に収納箱50に収納された海ブドウPを梱包する。
【0067】
ここで、本実施形態では、図10に示すように、本実施形態に係る容器本体20Bの切欠き部22Bは、第1実施形態の切欠き部22に比べて、下方に深く切り欠かれている。蓋体30Bの突縁部31Bは、切欠き部22に入り込むように、第1実施形態の突縁部31に比べて、下方に長く延在している。
【0068】
より具体的には、図11に示すように、容器本体20Bの切欠き部22Bと、蓋体30Bの突縁部31Bは、貫通孔12Bが、粘着テープTが貼着される領域Cよりも保温容器10Bの底面側に形成されるような形状となっている。このような結果、容器本体20Bと蓋体30Bとが当接する部分の外壁面に粘着テープTを貼着する際に、貫通孔12Bを粘着テープで塞ぐことを防止することができる。
【0069】
以上、本発明のいくつか実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0070】
10,10B:保温容器、11:側壁部、12,12B:貫通孔、12a:下側壁面、12b:上側壁面、12c:平坦面、14:底部、20,20A,20B:容器本体、20a:内側底面(内壁面)、20b:外側底面、20c:外側面、20d:開口縁、20e:開口部、21:側壁部、21a:内側面(内壁面)、22,22B:切欠き部、22a:傾斜面、24:底部、25:溝部、26:肉抜き部、27:鍔部、28A:嵌合突条(嵌合部)、29:段付き部、30,30A,30B:蓋体、30a:蓋体の上面、30b:蓋体の裏面(内壁面)、31,31B:突縁部、32b:傾斜面、35:溝部、38:嵌合突条(嵌合部)、38A:嵌合凹溝(嵌合部)、39:係合凸部、41,42,43:発泡シート、60:使い捨てカイロ(発熱体)、H:水平方向、S:収容空間、R:斜め下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11