特許第6386993号(P6386993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6386993
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】車両用モールディング
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20180827BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20180827BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20180827BHJP
【FI】
   B60R13/04 A
   B60J5/04 M
   B60J10/86
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-252796(P2015-252796)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-114351(P2017-114351A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】保井 猛
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0130215(US,A1)
【文献】 特開平07−186724(JP,A)
【文献】 特開2006−069229(JP,A)
【文献】 特開2006−213184(JP,A)
【文献】 特開2016−175532(JP,A)
【文献】 特開2010−195064(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0015183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04、13/06
B60J 5/04−5/08
B60J 10/00−10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のモールディング本体と、前記モールディング本体に装着される端末部材と、前記端末部材より剛性が低い介在部材と、前記モールディング本体の端部に一体に設けられた加締め部とを備え、
前記モールディング本体の面に前記端末部材と前記介在部材がこの順で重ね配置され、前記モールディング本体に前記端末部材と前記介在部材が共に前記加締め部で加締められて固定されていて、
前記モールディング本体は、ドアに装着されるドアサッシュモールディング本体であり、前記介在部材は、前記ドアの閉位置で車体側との隙間に配置されるドアリップ部材であることを特徴とする車両用モールディング。
【請求項2】
請求項1記載の車両用モールディングであって、
前記ドアリップ部材は、ウエザーストリップと別体であることを特徴とする車両用モールディング。
【請求項3】
請求項1記載の車両用モールディングであって、
前記ドアリップ部材は、ウエザーストリップに一体に設けられたことを特徴とする車両用モールディング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールディング本体に端末部材が装着された車両用モールディングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用モールディングであるドアサッシュモールディングの一従来例が図4に示されている。このドアサッシュモールディング51は、車両のドア40の外周端に沿って設けられる。ドアサッシュモールディング51は、金属製のドアサッシュモールディング本体52と、ドアサッシュモールディング本体52の端末に装着される合成樹脂製の端末部材60とを備えている。ドアサッシュモールディング51は、端末部材60によってドア40に固定される。
【0003】
従来では、図4に示すように、ドアサッシュモールディング本体52に加締め部53を設け、この加締め部53によって端末部材60をドアサッシュモールディング本体52に固定していた(特許文献1に同様の技術)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−44776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のドアサッシュモールディング51(車両用モールディング)では、加締め部53を強く力で加締めると、ドアサッシュモールディング本体52に端末部材60を介して強い力が作用し、ドアサッシュモールディング本体52の外面にひずみ等が発生する。反対に、加締め部53を弱い力で加締めると、スプリングバック現象によって端末部材60がぐらついたり、場合によって脱落するという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、モールディング本体の外面にひずみ等を発生させることなく、しかも、モールディング本体に端末部材を強固に固定できる車両用モールディングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属製のモールディング本体と、前記モールディング本体に装着される端末部材と、前記端末部材より剛性が低い介在部材と、前記モールディング本体に一体に設けられた加締め部とを備え、前記モールディング部材の面に前記端末部材と前記介在部材がこの順で重ね配置され、前記モールディング本体に前記端末部材と前記介在部材が共に前記加締め部で固定されていることを特徴とする車両用モールディングである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加締め部を強い力で加締めると、介在部材が圧縮変形するためにモールディング本体に端末部材を介して加締め力よりも弱い力しか作用せず、又、強い加締め力を作用させたためにスプリングバック現象後でも加締め部と介在部材との間に隙間が発生せず、端末部材がぐらつくことがない。以上より、モールディング本体の外面にひずみ等を発生させることなく、しかも、モールディング本体に端末部材を強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示し、ドアの正面図である。
図2】本発明の一実施形態を示し、ドアサッシュモールディングの要部内面図である。
図3】本発明の一実施形態を示し、図2のA−A線断面図である。
図4】従来例のドアサッシュモールディングの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1図3は本発明の一実施形態を示す。図1及び図2に示すように、車両用モールディングであるドアサッシュモールディング1は、ドアサッシュモールディング本体2と、このドアサッシュモールディング本体2に装着される端末部材10と、ウエザーストリップ20と、介在部材であるドアリップ部材30とを備えている。
【0012】
ドアサッシュモールディング本体2は、ステンレス鋼等の金属製である。ドアサッシュモールディング本体2は、車両のドア40の上側の外周に沿って装着され、ドア40の取り付けされる外周に倣った細長い部材である。ドアサッシュモールディング本体2は、その断面が略C字形状である。ドアサッシュモールディング本体2の端部には、加締め部3が一体に設けられている。加締め部3の内面には、合成樹脂材3aが貼り付けられている。剛性樹脂材3aは、端末部材10と同様に硬い合成樹脂材である。
【0013】
端末部材10は、硬い合成樹脂製である。端末部材10は、ドアサッシュモールディング本体2の略C字状断面の内面スペースに差し込まれる差込み部11と、ドアサッシュモールディング本体2の略C字状断面の側端を塞ぐキャップ部12と、ドア40に固定する固定部(図示せず)とを備えている。端末部材10によってドアサッシュモールディング本体2がドア40に固定される。
【0014】
ウエザーストリップ20は、ドア40の外周に沿う内面側に取り付けされている。ウエザーストリップ20は、ドア40の閉位置では車体側との隙間に配置される。これにより、室内への雨水等の浸入を防止する。
【0015】
ドアリップ部材30は、端末部材10より剛性が低い部材(例えばエチレンプロピレンゴム)より形成されている。ドアリップ部材30は、ドアサッシュモールディング本体2の内周側に配置される本体部31と、ドアサッシュモールディング本体2の外側に露出するリップ部32とを有する。ドアリップ部材30のリップ部32は、ドア40の閉位置では車体45側との隙間に配置される。これにより、風切り音の発生を防止する。
【0016】
次に、加締め箇所の構成を説明する。図3に示すように、ドアサッシュモールディング本体2の端末箇所の略C字状断面の内面側には、端末部材10とドアリップ部材30の本体部31がこの順で重ね配置されている。ドアサッシュモールディング本体2に端末部材10とドアリップ部材30の本体部31が共に加締め部3で加締められている。換言すると、ドアサッシュモールディング本体2と加締め部3の間に端末部材10とドアリップ部材30の本体部31がこの順で配置されている。
【0017】
加締め作業時に、ドアサッシュモールディング本体2の加締め部3を、ドアリップ部材30の本体部31を圧縮変形する程度の強い力で加締める。すると、加締め部3からの押圧力によって剛性が低いドアリップ部材30の本体部31が圧縮変形するため、ドアサッシュモールディング本体2には端末部材10を介して加締め力よりも弱い力しか作用しない。そして、加締め部3にドアリップ部材30の本体部31が圧縮変形させる程度の強い加締め力を作用させたためにスプリングバック現象後でも加締め部3とドアリップ部材30の本体部31との間に隙間が発生せず、端末部材10がぐらつくこともなく確実に固定される。以上より、ドアサッシュモールディング本体2の外面にひずみ等を発生させることなく、しかも、ドアサッシュモールディング本体2に端末部材10を強固に固定できる。
【0018】
この実施形態では、ドアリップ部材30は、ウエザーストリップ20と別体であるが、ウエザーストリップ20に一体に設けても良い。
【0019】
尚、この実施形態では、車両用モールディングはドアサッシュモールディング1であるが、本発明は、加締め部3で加締め固定する車両用モールディングであれば適用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 ドアサッシュモールディング(車両用モールディング)
2 ドアサッシュモールディング本体(モールディング本体)
3 加締め部
10 端末部材
20 ウエザーストリップ
30 ドアリップ部材(介在部材)
40 ドア
図1
図2
図3
図4